Sakura Archives

競馬回顧 2000年4回阪神・5回中山・2回札幌

スプリンターズステークス(GⅠ)

ダイタクヤマト

黒鹿毛とはいえ一応は良く見えていた。前半3F33.0は前後半のペースだけを考えればハイペースといえるものの、馬場状態を勘案しても、このメンバーならば特別速いとはいえない。加えて、この馬とてテレビ愛知オープンで前半32.8で行きながら、5着に踏んばった実績も有って、最近は多少変化の兆しは有った。そこへ加えて願っても無い好発。これで大分楽になったし、アグネスワールド、ブラックホークの項で後述する好運が待っていた...。

アグネスワールド

流石に良く出来ていた。我々と他の15頭はあまり意識に無かったのだと思うが、陣営は戦前に「折り合える様になってきたので、どこからでも競馬が出来る」とコメントしていて、控える事を暗示していた。そして実際にブラックホークと同位置。こうなるとお互い意識が有るから動くに動けない。良馬場ならまだしも、気づいた時にはもう手遅れ。

ブラックホーク

こちらは普通のデキ。内枠で包まれるのを嫌って、押して前への格好だが、揉まれて無いとはいえそれでも包まれた。それで一瞬仕掛けが遅れたが、その事自体は決め手の有るこの馬にとっては問題ではない。ただ、アグネスワールドがこの馬を意識に残してしまい、それで前を捕まえ損ねた。何処で捕まえたかにも依るだろうが、アグネスが前を捕まえていさえすれば、この馬にも勝機は見い出せた筈。まあ、そういう面がこの馬の悲しさではあるのだが...。

ブロードアピール

馬体、気合、毛ヅヤ等、正に全てが生涯最高のデキ。例に依っていつもの後方待機策も、アグネスが必要以上に前を可愛がり、残られてしまう展開になってしまったが、それを大外からただ一頭、敢然と追い込んでくる姿には頭は下がる思い。少なくともこの馬を支持していた全ての人間は納得出来た筈。

マイネルラヴ

人気馬2頭が中途半端な位置でイマイチ目標感がなかったにせよ、一応4角マクリの形は作った。しかし、マクリ潰した対象が7枠2頭で骨の無い連中。すぐにバテられてしまい、併せて伸びる筈がこの馬も坂で失速してしまった。

ユーワファルコン

+16kgは多少太かったかも知れぬが、好馬体の持ち主。何れ走ってくる。

キングヘイロー

後方待機、そして大外へと一応形だけは作ったが、結果ここまで。休み明け走らない実績を裏付ける形。

ビハインドザマスク

直線インを突いたが、二匹目のドジョウはいないということ。

ジョーディシラオキ

この馬はブロードアピールのラビットで出走してきたとばかり思っていたが、そうでは無かったのか控えてしまった。控えた理由が良く分からないのだが...。

大阪スポーツ杯

シアトルブリッジ

休養前の前走、重賞で有りながら人気になっていた様にここでは力が抜けた存在。そしてその前走で減っていた馬体が戻ったとなれば本領発揮も当然の感。前半、スローで掛かり気味だったが、直線向いてからが凄い脚。南関東で乱立する牝馬限定重賞程度なら楽勝出来る筈。

フサイチゴールド

この馬に関して何度となく述べている様に、準オープンでは多少厳しい。今日も前半64.4秒の超スローに落として負けた。何故か最近のこのクラスは尽くスローなので何とかなっているが、その内何時崩れても不思議では無い。

キクノグリッター

結果論にはなるが、もうちょっと前に行けなかったか。最内枠でラチ沿いの中段。結局こうなると動くタイミングが遅れてしまう。ただそれを差し引いても、シアトルブリッジがその位置から勝っただけに不満は有る。

シロキタティターン

行きたがっていたのを宥めて2番手だったが、瞬発力不足を露呈した形。今まで小回りの乱ペースを凌いできただけに、逆にスローが仇となった。従って、今日は騎乗ミス。

イシヤクモンド

インの3番手。そこから伸びもせずバテもせずで、結局この馬も瞬発力不足という事になるだろう。

フラットチャット

ゲート失敗したのが全て。

神戸新聞杯(GⅡ)

フサイチソニック

スローとはいえ、四位騎手のコメント「力任せに走っている感じ」そのままの走り振りで、かなり行きたがっていたのは確か。とはいえ逆に、仕掛けを遅らせる余裕とそれに馬が応えてしっかり伸びてくれたのも確か。距離伸びて課題とはいえ、当欄大絶賛の松田国英厩舎(今週7勝の固め勝ち!)、菊花賞は回避だそうだが、調教に工夫を凝らし、必ずや何処かの選手権距離でも結果を出してくれるだろう。

アグネスフライト

見た目、熱発の影響は感じない。ダービーとは違って、今日はスタート五分に出て、エアシャカールより前での競馬。その結果、4角マクッて直線向いた時、エアシャカールのインに入る事になった。エアは右回りだとインにササる癖が有る様で、この結果まともに追えない始末。今日に関してはお互い手応えが悪く、まともでも着順は変わらないとは思うが、菊花賞は4角団子の展開になり易く、従ってインを突くのは危険すぎ、2頭とも今日の競馬をするしかないだけに、エアシャカールのインから併せるというのは単純な様で相手に一番ダメージの大きい方法かも。

エアシャカール

モタれる癖はハッキリ言えば坂路調教しかやって来なかった弊害。その癖とイレ込み癖を圧倒的な力の違いで克服してきたのが春シーズン。しかし他馬も成長してくる為、秋はそうはいかなかったという事だろう。それでも、この馬には4歳にして海外遠征に行かせるだけの魅力と事実そこまで思わせるだけの底力が有る。強引でも何でも、最後方待機→大外マクリで充分競馬が成立する筈。その開き直りに期待。

トウカイオーザ

ゲートゆっくり出して、エアシャカールをマークの形。一応、その形は成功したが、いかんせん目標にしていたエアが3着。まあ、思い通りの競馬が出来ただけでも収穫なのだが。

ホワイトハピネス

道中持っていかれ加減になりながら見せ場も作ったし。休み明けならばこれで充分。

エリモブライアン

スプリングSから引っ掛かり癖が出る様になった。とはいえ前走の駒草賞では大丈夫で、その原因を中山コースに求めていたのだが、今日もまた引っ掛かってしまった。減って出てきたのも好感が持てず、立て直しに一層の努力が求められる。

産経賞 オールカマー(GⅡ)

メイショウドトウ

この馬の場合、今日勝った事自体は何か特別な事が有る訳ではない。それよりも中京記念が示す通り中距離のハイペースに滅法強く、天皇賞に出走予定の他馬で人気が予想される馬が何れも2000mよりも距離適性の長い馬ばかり。天皇賞の東京2000mはこの馬のベスト条件といえるもので、流行りの規制緩和効果がここにもと思う次第。

サクラナミキオー

どちら一頭、地方馬が絡んできてもよさそうなものだが、それすら無くまんまとスローに落とせた。道悪でもスムーズに走れていたのも大きい。

スエヒロコマンダー

滑る馬場は大丈夫でも、力の要る道悪は駄目なのか?今日は引っ掛かってみたり、勝負処では逆に反応悪かったりと、どうもチグハグ。

ダイワオーシュウ

イレ込みはもう仕方がない。「道中はいい感じで走っていたんだが、3分3厘で馬場の悪い処に脚を取られてしまって...。(柴田善騎手・週刊競馬ブック)」

ステイゴールド

いつもソコソコのイメージが有るが、基本的に休み明けはイマイチ。

ギャラクシーステークス

ゴールドティアラ

やって増えたのは好材料。この馬の場合、スタートを決めてリスクを減らすというのが基本だが、福永騎手でもそれが出来た。ハンデ背負っているので、普段よりも早めの仕掛け。それでジワジワ来た様に見えるが、数字は上がり34.7秒。完全な前残りの競馬を、底力で無理やり追い込んだとさえいえる。強い!

サンフォードシチー

下馬評はゴールドティアラの後ろという事だったが、実際にはその前での競馬。4角でゴールドティアラが仕掛けつつ外を回るのに対して、こちらはコース損を減らして出し抜けを食らわす形。一応は成功したが、とはいえ相手が強すぎた。

ゴッドインチーフ

この距離、そして馬場も合うのだろう。後方3番手からサンフォードシチーを後追いする形。この馬の場合、とにかく諦めずに走ってくれた点が収穫。

タガノサイレンス

抜け出してソラを遣う癖が有り、多少GOサインが早すぎた嫌いもあるだろうが、あのシーンを我慢すると後ろとの瞬発力の差が露呈してしまっただろう。どちらにしても見る側はアテにならず、乗る側は乗り難しい事は間違い無い。

スナークレイアース

下が渋って時計の速い競馬は誤算だっただろう。全体的に仕掛けの早い競馬だったが、その場面で置かれてしまっている。とはいえ、最後それなりに来てはいるが。

関西テレビ放送賞 ローズステークス(GⅡ)

ニホンピロスワン

ペースは平均やや遅め。しかし、有力馬が前の展開でお互いに息が入らなかったのだろう、完全な前崩れの展開。こうなると「棚から牡丹餅」ではないが、3着狙いがハマってしまう。トライアルとはいえ、有力馬揃って出走だからの現象で、一度コレをやってしまうと、人馬とも学習してしまうモノ。この馬の瞬発力は脅威だが、早目に動くと駄目なのは過去の競馬振りが証明していて、果たして同じ展開になるかどうか?

マルターズスパーブ

京王杯SCのスティンガーが好例だが、こういう展開で人気薄に乗せると武豊騎手は流石で、絶対に慌てない。直線向いてイン側ゴチャついていたが、上手く立ち回り一瞬は先頭。ニホンピロスワンがハマったとはいえ、勝てなかったのはこの馬の能力の限界を感じるが。

トーワトレジャー

これも直線勝負のクチ。直線向いてニホンピロスワンにブツけられたが、そこからまた立て直してもうひと伸び。今まで芝は1200mまでしか勝っていない馬。GⅠで通用するかどうかは別問題として、この距離で折り合えたのは収穫。

シルクプリマドンナ

山内厩舎、秋緒戦から目一杯というのは見たことはないが、今日も例に洩れずといったところ。その分自信が無かったのか、早く動き過ぎたのは確かだが、4角で既に手応え怪しい始末。とはいえ、そこから渋太く伸びての4着。それなりの値打ちは有る。

チアズグレイス

追い出すと頭が上がるので、こういう我慢比べの展開は辛いところ。ただ、シルクプリマドンナ同様にこの馬も余裕の有る造りだったし、意外とよく堪えていた気もする。本番も今日の様な我慢比べになると厳しく、展開次第ではあるが、今日の競馬を見る限りに於いては最有力馬といえる。

ドクターフェロー

挟まれて無ければ、どんなに少なく見積もっても3着は有った筈。賞金上、本番はアウトと思うが、暫く追いかけて損は無い。

グランパドドゥ

春のひ弱さが消え、イメージ一新。とはいえ、まだキャリアの浅い馬。前で一線級のプレッシャーを受ける事に慣れて無かったか?次走は元来の追い込む形と思うが、その時にはまた新味を見せてくれよう。

フサイチユーキャン

良く見せる。ニホンピロスワンとほぼ同じ位置に居た筈だが、全く伸びず。多少、早く動いてしまった分は有るが、この馬の絶対能力を疑ってもいいかも。

ヤマカツスズラン

左前にボルトが入っているそうで、その意味で右回りならばと期待していたのだが、息の入り辛い流れになってしまった。ただ、この馬逃げていた訳で、自分でペースを造れば良かった筈。距離に自信が無いのは分かるが、「離して逃げて、4角一息入れて」という展開に持ち込まないと。

ラジオ日本賞 セントライト記念(GⅡ)

アドマイヤボス

−10kgは絞れた。今日は縦長でバラバラの展開。変な小脚も要求され、元々乗り難しい中山2200m。更に仕掛け処が微妙になってくる筈だが、そんなことはお構い無し。後方3番手からかなり早めに捕まえに行って、外にヨレ、インにササりながらと忙しいながらも完勝。当面の菊花賞は特殊なレースで色々課題も有るだろうが、それを離れれば見通しは明るい。

トーホウシデン

春は華奢だっただけに、+14kgは寧ろ期待通りの成長。今日は終始複数の馬にマークされての競馬で、それを考えれば試走としては上々。ただ、2角で引っ掛かって過怠金の対象に。

ジョウテンブレーヴ

+22kgは流石に全部が全部はといったところ。スタートして直ぐの直線走路で行きたがって2番手の形。休み明けとは云え行きたがった事自体は課題だが、殊このレースに関しては小脚が利かない分、これが正解。直線も渋太く粘っていたし、絞れての上積みも見込め、期待は持てる。

マッキーローレル

前半1000m位は掛かり気味の割に、3角一瞬置かれ掛けたのはご愛敬。とはいえ、直線インで詰まっても、外に立て直してからの渋太い伸び。この程度の相手なら充分通用する。

ベルボクサー

一応、単騎での逃げ。アドマイヤボスが来るのが早く、それで全体的に早めに来られてしまった分は有るにせよ、一応完敗。

ムーンライトハンデキャップ

エリモセントラル

今日は武豊マジックに尽きる。普段掛かる馬が、内枠で前の馬が壁に出来たとはいえ、うまく折り合えた。そして、上がり34.0の決め脚。乗り手が違うと、こうも違うのか。

オカノスピカ

クルーピアスターがゲート五分と仮定した場合、早めのマクりが必至でかなり展開キツかっただろう。実際はそうはならずにスロー。この距離でも微妙なのだろう、ギリギリまで引き付けて追い出しを我慢し、粘り込む。

クルーピアスター

ゲート後手。そこへ加えて、道中掛かり気味に行ってしまった。こうなるとこのスローでは最後の切れに影響してくる。

ラパシオン

折り合えてしたし、どこをどうという不利も無かった筈。ジョッキーは馬場を敗因にしているが、瞬発力不足なのも事実。

モンレーブ

直線だけ外に出し良く伸びているが、スローで前も止まらない。

セントウルステークス(GⅢ)

ビハインドザマスク

中間稽古軽目で+6kg。これで減ってくると問題だが、一応押せ押せでも体調には問題ないのだろう。以前、米子S回顧で武豊騎手と福永騎手のスタートに対する意識の違いを述べたが、今日はそれも頭に有ったのか、ゲート決めた。これに依り、完璧に流れに乗れた点は大きい。特に、ここ数走外枠だっただけに尚更と思う。道中13番手のインから直線だけ馬群のド真ん中に突っ込んで、上がり33.2。本番への課題は、クドい様だが使い過ぎな点と仮柵明けの馬場状態。少なくとも、内枠だと今日以上に厳しい。

ブラックホーク

戦前、陣営は+10kg位だろうとコメントしていたが、自分で体を造る馬で増減無し。見た目にも出来ていた。しかし、私の戦前の指摘とは違って、マイネルラヴの後ろからの競馬。本命馬がマーク屋に徹したというのは滑稽だが、これで競馬がやり易くなった。あとはマイネルラヴのマクリに乗ずるだけだったが、斤量差もあるのか4角で一瞬置かれてしまい、エンジン掛かった時には行き場を無くして立て直すシーン。その分の2着ということになるだろう。本番では斤量も軽くなり、その上叩いての上積みも見込め、上々の始動。

スギノハヤカゼ

先行馬が雁行体勢の為、インでも上手くポケットになり、揉まれずに競馬が出来た。そのままインを抜け出して、アワヤのシーンもそこまで。展開に恵まれたのは確かだが、斤量を考えれば良く走っている。今年の阪急杯もソコソコの走りで、それにしてもダイイシス産駒、マルカダイシスもそうだったが、時計の速い阪神という条件は走る。ただ、その条件が滅多に無いのが悲しいところだが...。

マイネルラヴ

「蛇に睨まれた蛙」とでもいうべきなのか、どうもブラックホークの前での競馬というのは分が悪い。坂下までは手応え充分だった筈が、坂を上がって失速。是非、一度ブラックホークをマークしての競馬を。

ニシオセーラム

目下絶好調。、この馬の場合坂が全ての感があったが、今日は渋太く伸びていた。一応この点は収穫。

ゲイリーイグリット

単純に太い。その上、ビハインドザマスクとは対照的にゲート失敗して、流れに乗り損ねた。まだ、見捨てるには早計。

朝日チャレンジカップ(GⅢ)

ミッキーダンス

何よりも今日の収穫は坂をこなした事。ただ、いつもの事だと思うのだが、ジョッキーにいわせると斤量を気にして、勝負処で置かれ掛けた。追えばしっかり伸びている以上、問題はないとは思うが、天皇賞(秋)は58kgを背負わされる。超スローになると、一瞬のモタつきが致命傷になるだけに不安も。

ブリリアントロード

漸く−16kgと絞れて本領発揮。この馬被されるのを嫌うので、縦長の展開で上手くに外に出せたのも良かった。ただ、58kgに加えて、ドラゴンマンボが外から来て、些か早仕掛け。その分、ミッキーダンスの強襲を許したが、地力は充分見せつけた。

マルカコマチ

多少、後肢の送りが硬い。後方のインから上手く捌いてきたが、例によってここまで。この距離はこの手しか無く、苦しいところだが、コンスタントに駆けているのも事実。相手に恵まれればといったところ。

ロサード

上々のデキ。これも後方から大外を回って追い込んできたが、坂を苦にして外にヨレ加減。坂を上がってからはもう一伸びしているだけに惜しい。

ヒシピナクル

末切れないので前に行かせているのだろうが、この馬のこの形は行きたがってしまい、終い保たない。従って、追い込むにしても逃げるにしても極端な競馬を指向すべきと思うのだが...。

エイシンビンセンス

両側に馬が居る形は行きたがって良くない。やはり、ラチ沿いを通るべき。

マイネルプラチナム

馬体増は殆ど成長分。最後失速したが4角の脚は流石のモノで、今後に期待。