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競馬回顧 2003年3回小倉・3回新潟・1回札幌

小倉2歳ステークス(GⅢ)

メイショウボーラー

今季デビューした馬ではこの馬が一番馬振りが良いといって良い程。特にトモの張りが素晴しい。スピードの違いでハナ。ただ、レースを重ねる毎に競馬が下手になっていて、3〜4角では半ば持って行かれ加減。確かに荒れ馬場を苦にしないパワーは魅力で、結果も圧勝だが、今日の内容では距離はまず論外、スプリントでもGⅠ級となると厳しい印象。

コスモサンビーム

2人曳き。間隔を開けて+10kgだが、全部実になった印象。好発もメイショウボーラーには喧嘩を売らず、外からジワッと。コーナーで外へ逃げ加減、直線も手前を替えずインへササッたりと、中々慌しいが、それでも2着は死守。まあ、マイルも前々走でこなしているだけに、距離の融通という点ではメイショウボーラーより上だろうが、この馬も競馬が若過ぎる。

エイシンヘーベ

2人曳き。イレ込みキツい。控えて中段からも、終始外にモタれ通し。最後良く差して来たが、ローラーの効き過ぎで前が止まらない馬場だけにここまで。例年の馬場状態なら差し切っていた可能性も無い訳ではないが、当面の結果はともかく、まずはこの馬もマトモに競馬出来る様になるのが先決。

カイシュウマックス

絞れる。シッカリした造りの馬で、距離延びてもっと良い筈。ゲートの出が甘く、中段からの競馬。戦前、馬群を嫌うということで最内枠を懸念する向きも有ったのだが、今日はそんなことも無くスムーズなレース運び。まあ、最内はトラックバイアスが存在し、ここを突いての4着は能力自体に疑問符を付けざるを得ないのだが、上位の中では一番競馬が上手い印象。距離延びれば逆転可能。

フィールドルーキー

2人曳き。前が牝馬ということも有って馬っ気を出していたが、最後方を周回する様になってからは落ち着いた。好発を一旦引いて外からマクッて行く競馬。メイショウボーラーはともかく、4角では2着確保の手応えに見えたのだが、そこからがジリ。初芝で経験を積めば変わる余地も有るのだが、本質はダートなのだろう。

ユウゼータ

コンパクトに纏まった馬体で、良い決め手を持っていそうだが、それだけに荒れ馬場やスプリントは向かない印象。前半から追走に汲々。4角では内のグランプリオーロラに弾かれる不利も有り、そこまで。スプリントでは忙し過ぎる嫌い。

グランプリオーロラ

後ろを歩いていたエイシンヘーベに触発された面も有るのだが、周回を重ねる毎に煩くなってしまった。デビュー戦とは違ってとにかく行き振りが悪い。外から被されるとどうもダメな様。

エルムステークス(GⅢ)

アドマイヤドン

馬体回復してキッチリ出来ていたが、成長という点ではモノ足らず。中段の外目。とにかく前半から押さえ切れない位の行き振りで、矯めても良い事無しと判断したのか、3角から徐々に仕掛け、4角先頭。直線は突き放す一方の競馬だった。まあ、デキさえ戻ればこんなモノだろうが、この馬の場合はとにかくデキが安定しない点が課題。次走もまずは下見に注目。

トシザボス

絶好調。イレ込みも思ったよりマシ。出負け気味もスッと好位。4角ではこの馬とアドマイヤドンの手応えが際立っていたが、直線は完全に突き放された。対アドマイヤドンという点では流石に力量差を認めざるを得ないが、以前より折り合いも付く様になっていて、競馬が上手くなった印象。GⅢレベルなら何時でも勝てる。

タニノゴードン

近走好調。歩様もこの馬なりに悪くない。これもトシザボス同様それ程スタート速くなかったが、ダッシュ力の違いで2番手へ取り付いた。結果的にアドマイヤドンとトシザボスに来られ、展開的に苦しくなったが、それでも前半からガリガリやり合った阪神戦を思うと遥かに楽。近走大分クラス慣れしてきた印象で、オープンでも展開さえ向けばソコソコやれる筈。

エクセシヴワード

多少煩いが、何時も通り。例に依って出遅れ。有る程度予期していた様で、腹据えて乗られた。直線だけで4着まで押し上げてきたが、アドマイヤドンが突き放す展開になった分、前の組が苦しくなったからと考えられるだけに、そう高い評価は出来ないだろう。

エンゲルグレーセ

攻め馬強化して、大分絞れてきた。好位からの競馬。大分競馬内容が良化してきた印象だが、一昨年活躍していた際は相手に恵まれ過ぎていた嫌いも有って、現状のメンバーだと差は否めない。

プリミネンス

特別変わらない様に見えるのだが...。これも好位から。しかし、4角辺りから置かれ出してそのまま伸びる事無く終わってしまった。今日の内容はイマイチ頂けない印象。やはり衰えが来たと考えるのが妥当。

スマートボーイ

一息入ったが、何時も通り。望み通りのハナ切る競馬は出来たが、昨年と違って後続が可愛がってくれなかったのが痛い。とにかく展開如何。

イーグルカフェ

例に依って全く気合を表に出さない。デキ自体もソコソコ。出負けして後方からも、直線は全く反応しなかった。突っ込み切れないというなら止むを得ないだろうが、終い全く反応しないケースというのはダートに限定すれば今回が初めて。休み明け走らないタイプだとはいえ、案外の内容。

新潟2歳ステークス(GⅢ)

ダイワバンディット

ボストンハーバー産駒らしく多少硬い印象、テンションも高目だが、馬体の完成度が高い。道中は好位の外。終始痺れる位の手応えで、直線600mはウイングレッドとの叩き合い。最後は馬の差というよりは乗り役の差なのだろうが、2歳戦でこんな競馬が見られるとは意外。今日に関しては真面目に走り過ぎた印象で、もうちょっと競馬に遊びが欲しいものの、ボストンハーバー産駒がマイルをこなしただけで収穫だろう。距離短縮で更に。

ウイングレッド

馬体は父タイキシャトルに良く似ているが、歩様が硬い。先行して2番手から。これも多少気負い気味だったのだが、新潟のマイルはスロー必至だけに多少は止むを得ないところ。直線はダイワバンディットとの一騎打ちだが、マークされていた分とワンテンポ我慢が足りなかった分の差。内容としては勝ち馬と互角の評価が可能。

アウトディスタンス

まだまだ重い。出遅れ。腹括って最後方から直線だけ外へ出す競馬。最後はそれなりに詰めていていたが、今日に関していえば前残りの展開に泣いた印象。この馬の場合はマイルでも距離が短いだけに、これはこれで仕方が無いところ。折り合い自在で、距離延びて改めて真を。

マイネルベナード

もうちょっとトモに力強さが欲しいが、スカッとした馬体。中段やや後方の外目。流れとしてはスローだが、これでもこの馬には速い様で押しながらの追走。直線は、決め手にはやや欠ける印象も、バテない強みを生かして入着。これも距離延びてこそ。

クリスタルヴィオレ

2人曳き。仕上がり早なのだろうが、馬自体に差が有る。終始外々を回された上、3角から成し崩しに脚を使わされた印象。今日はロスが多くてこの着差。思ったより能力差は無い。

マリンゴールド

2人曳き。比較的落ち着いていたし、踏み込みが素晴しい。スピードの違いでハナ。前半から終始気負い気味で、これでは最後止まるのも止むを得ない印象。距離が長い。

エーティーテイオー

好馬体。-10kgになるが、単に絞れたといった印象。スタート直後に挟まれて最後方から。前半から追走に汲々。直線外へ出したものの、イマイチ伸び切れない。直線競馬で勝ち上がって来た馬だが、マイルでも短い印象。

マイネルディマジオ

叩いて更に上昇。好位のイン。スローだけに絶好の位置といえる筈だが、直線は全く伸びなかった。単純に力不足。

農林水産省賞典 新潟記念(GⅢ)

ダービーレグノ

珍しく気合を表に出して2人曳き。硬さという点では前走の方がマシだったかも知れないが、毛ヅヤは相変わらず良い。昨年は中段から51kgトーワトレジャーの前に鋭さ負けした形も、今年は後方待機策。幸騎手、道中は馬群の中で、直線だけ外へ出す競馬。まあ、直線向いて一瞬前が壁になった分、却って脚が矯められた印象も有るのだが、昨年の印象も有っただけに道悪で上がりが掛かったのもこの馬には向いた印象。一時はマイル専門の印象も有ったのだが、目黒記念から馬が変わってきた様で、距離に融通性が出てきた。

カンファーベスト

2人曳き。一息入った形になるが、全く影響を感じさせない仕上がり。中段やや後方の外目でジワッと乗られる競馬。割とメリハリを利かせた競馬が強い新潟コース、左回りは向くとしても直線の長い競馬は不向きで、実は新潟向きの馬ではないのだが、今日はその中でも直線微妙に仕掛けを遅らせて、江田照男騎手が上手く乗った印象。この馬自身も力を付けている。

キングフィデリア

多少前駆の出が硬い印象も有るが、休み明けとしては悪くない仕上がり。気合も乗っていた。ゴーステディとミデオンビットに行かせて3番手から競馬させたかったところだろうが、引っ掛かってしまい外へ出してハナも覗かせる展開。直線向いても、ゴーステディが早々と脱落し、展開楽ではなかった筈だが、最後まで渋太かった。頭の高い走法だが、新潟コースは滅法強い。

カゼニフカレテ

例に依って多少トモの甘い歩様。ただ、今日はそれ以前の問題として細い。最後方待機策から4角大外へ。この馬なりに伸びているが、如何せん良い脚が一瞬しか続かない。まあ、上位馬は割とセコい競馬をしているだけに、この点も響いた印象。まだ真っ向勝負で勝ち負け出来るだけの地力は無いということ。

タニノエタニティ

相変わらず馬振りは良いのだが、今日に関しては立派過ぎる印象。これも後方から。ただ、カゼニフカレテとは違って無理には外へ出さず、馬群の外目を割って伸びてきた。最後はあくまで道悪の分が伸び切れなかった印象で、やはり小回りよりは直線の長いコースの方が向く。

エスジービーム

2人曳き。ブライアンズタイム産駒で有る程度は止むを得ないとしても、もうちょっと歩様に柔らかみが無いとオープンの芝では厳しい印象だが、雄大な馬体で、馬だけをいえばコレが抜けた存在。中段の外。4角からマクリ気味に進出したが、新潟コースでこれは強引過ぎた。まあ、一瞬の脚で勝負するよりは良い脚を長く使うタイプだけにこれはこれでという印象も有るのだが、今日の競馬ではオープンは厳しい印象。ただ、ダートは鬼といえる程上手いので、ダートで活路を。

ゴーステディ

馬体重変わらずも、叩いた分締まってきた印象。前走の1000m通過が57.1秒で、今日が59.9秒。終わってみればスロー過ぎたということになるが、大西騎手ならこの点は承知している筈だし、4角で既にアラアラの手応え。今日は見た目にも楽な逃げでは無かっただけに、馬場が応えたということなのだろう。

エイシンハリマオー

前走も指摘したが、トウカイテイオー産駒としては多少硬い印象。ピークは過ぎた。中段の内々で矯める競馬。前走は仕方無しにインを突いた形だが、馬群にいたのはあくまで直線で抜け出すまでの間。デキ落ちの分も否定しないが、本質的にはトビが大きく荒れ馬場が苦手で、セコい競馬が出来るタイプではないので、今日の競馬が合わなかった印象。10戦連続乗り替わり中で、この点も無視出来ない。

ミデオンビット

デキ自体は最高潮だと思うが、距離を考慮するともうちょっとスカッと見せて欲しい。前走は小回りの乱ペースに上手く乗った形も、今日は前半から行きたがっていた。3角辺りで何とか宥めインへ入れたものの、今日はインの馬場状態が悪過ぎた。まあ、真っ当な力勝負では2000mは長いだけに、今日は仕方が無い。

ブルーコンコルド

2人曳き。目標は先に有る訳だが、気が良いタイプでキッチリ出来ていた。道中は後方の内々。4角はそのままインを突いたもののサッパリ。馬場が全て。

博多ステークス

メイショウカイドウ

今季最大の上昇馬だが、上昇馬らしい活気と馬体の張り。例に依って出遅れも、直ぐに外へ出して後方から2番手。3角過ぎから除々に動き、4角も大外。アッサリ勝ったとしか言い様が無い程の勝ち方で、とにかく強かった。スキャン産駒でこういう馬場も上手いのだろう。

メイショウドメニカ

一枚重く映るが、何時ものこと。道中はアイアンリアリティと前後する位置。ただ、4角でアイアンリアリティに行かせてワンテンポ仕掛けを我慢。アイアンリアリティがメイショウカイドウに交わされ、戦意喪失したところを2着に浮上。それ程評価出来る内容ではない。

アイアンリアリティ

遮眼革。-10kg程の印象は無いが、歩様が一息。中段、1角まではインを追走していたが、2角辺りから外へ。ただ、道悪が良くないのか、終始気合を付けながらの追走。それでも流石に地力上位で、一旦は抜け出すも、抜け切ってフワッとなる癖が有るだけに、そこを突かれてメイショウカイドウに強襲されてしまった。今日は仕方が無いだろう。

コスモリバーサル

この位が理想的な数字なのだろう。デキも相変わらず良好。2番手から。シーパッションが引っ張る垂水ステークスと同じ展開でハマったかに思えたが、そのシーパッションがタレるのが早過ぎた。結果、決め手勝負の様な格好になり、一瞬の決め手の無いこの馬には辛かった。

トーホウスパーク

遮眼革。馬振りはここでも上位。中段から雪崩れ込んだだけ。こういう馬場も上手いのだろう。

シーパッション

チャカつくのは毎度。歩様もこの馬としてはマシな部類だが、多少重い嫌いも。何時も通りの逃げも、4角まで。馬場が全てだろう。

アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

イルバチオ

2人曳き。馬体も回復して、好気配。最初から行く気が無かった様で後方待機策。追い出したのはラスト300mといったところだが、ラスト1F12.0と上がりが掛かったのと、近走終いに賭ける競馬に徹していたのが漸く身を結んだ印象、切れに切れた。絶対能力の問題はさておき、今日の競馬はむしろ中山1200mでこそのイメージ、最近は前が残るスプリンターズステークスが続いているが、前崩れなら台頭も。

ティエッチグレース

2人曳き。多少後肢の送りが硬いものの、ゴッドオブチャンスとは対照的に馬の雰囲気は素晴らしかった。スタートダッシュ良く先行。上手く外ラチを頼っての競馬が出来たのは大きいだろう。上手く折り合いが付いたし、仕掛けられてからもグンと伸びたのだが、勝ちに行ってワンテンポ早かった分捕まってしまった印象。理想的な競馬が出来ただけに、今日は仕方が無い。

トーセンオリオン

多少重い嫌いは有るものの、殆どが成長分。久々に地元に戻ってきた向山騎手、今日は最初から外へ出すと決めていた様で、有る程度脚を使うのを覚悟で外へ出す競馬。ただ、その影響で仕掛けも早くなってしまった様で、最後は止まってしまった。今日はあくまで枠順に泣いただけで内容自体かなり良い。次走注目。

イシノグレイス

多少歩様硬い。押してハナ。ただ、今日は気負って走る馬が多く、ここらが我慢し切れず早目に動いてしまったのが今日は応えた印象。今日のデキの割には良く粘っていて、良いスピードを持っているが、ツキが無かった。

ゴッドオブチャンス

-6kg。馬体は絞れたが、訴えてくるモノが無く、気合を表に出して欲しい。ゲートでアオり気味に出たのを無理に仕掛けて先行。ここで相当脚を使ってしまったし、前半から気負って走っていたのも響いた。直線1000mはこの馬向きだと思われたが、どうしても横に馬がいるのを嫌うだけに、楽にハナ立てない以上は向かないということだろう。

サーガノヴェル

2人曳き。遮眼革、シープスキンノーズバンド。テンションも高過ぎたが、馬体がとにかく緩い印象。ゴッドオブチャンス同様、前半からとにかく真面目に走り過ぎた。やはり横山典弘騎手でこの辺を上手くゴマかして乗らないと厳しい。

タイキトレジャー

今季好調。斤量が応えたのかも知れないが、前半から完全に置かれてしまった。終いも一瞬反応しただけでそこまで。もうちょっと走って良い筈だが、敗因不明。

札幌記念(GⅡ)

サクラプレジデント

2人曳き。稽古軽目で-6kg。牧場で緩めず乗り込んできた様でソコソコ出来てはいたが、歩様が硬い。長手綱で前を壁にして後方待機。4角から外へ出して徐々に進出、直線内にモタれて多少追い辛いシーンが有ったものの、エアエミネムとの併せ馬を難無く制した。まあ、競馬内容に関しては完勝といって良い内容、人馬共に流石といって良いだろうが、今日感じたデキの無さが秋に響くケースも一応想定しておきたい。

エアエミネム

馬体の張りだけをいうと前走の方が若干良かった印象。それ以外は全く変わらないのだが。2番手も、デキ落ちの分多少前を追い掛け気味での追走。4角待って仕掛けたが、最後は斤量と決め手の差。現状のデキではここらが天井である可能性を否定しないが、前走の再現を目論んでヒマラヤンブルーを可愛がり過ぎたのも、切れるサクラプレジデントには有利に働いた印象。二兎を追う者は一兎も得ずということ。

ノブレスオブリッジ

連闘も変わらず。サクラプレジデントマークかと思いきや、意外にも先行したエアエミネムをマーク。サクラプレジデントが来るのを待ってから追い出したが、上手く馬体を併せた分良く伸びた印象。上位2頭はともかく、平均すれば先週の限定戦の方がメンバーは上だっただけに、この位走られても何ら不思議は無い。

ヒマラヤンブルー

函館からの輸送が応えたのか、多少細い嫌い。加えてテンションも高目。前半1000m通過が60.8秒。追って切れる馬ではないだけに、今日の逃げはスロー過ぎる。勿論、エアエミネムを勝たせることも意識の内には有っただろうが、これだけスローだと切れるサクラプレジデントにアドバンテージが生じてしまう。エアエミネム同様共倒れ。

ユウワンプラテクト

休み明けとしては上々。注文を付けて最後方から。不器用で、コーナーを回りながらの加速が一息の分勝負どころでは置かれてしまったが、上がりの速い競馬でもそれなりに詰めている。広いコースで改めて真を。

農林水産省賞典 小倉記念(GⅢ)

ロサード

もうちょっと煩くても良いと思うが、今春のことを思えば馬体は遥かに良くなった印象。馬場の良いところを選びつつ、後方待機策。4角も大外へ持ち出してサンライズシャークと併せ馬の形で伸びてきたが、今日の馬場で走ったのは立派といって良いだろう。年齢を経て大分融通が利く様になったとはいえ、良い脚が長く続かないタイプで、小回りこそが本質なのだが、その辺を差し引いても、1ヶ月前のローズバド同様の驚きを禁じえない。ラジオたんぱ賞勝ちのヴィータローザも含めて、この一族活躍馬揃いで、しかも息が長い。

サンライズシャーク

2人曳き。またプラス体重。前走は戻っただけとしても、流石に多少太く映る。一番人気だったにも関わらず、ポツンと離れた最後方からの競馬。お約束通り4角で外へ出して、直線はロサードと併せ馬。最後は勝ち馬の実力がハンデ差以上だったということで仕方が無いだろう。戦前は人気で早目に動いたケースを懸念していたが、今日は勝つ気ならばコレしかないという競馬。幸騎手、GⅠを勝って余程自信がついたのだろう。今日は乗り役の度胸を評価したい。

グリーンブリッツ

2人曳き。例に依って多少硬い歩様だが、間隔詰めて使われて張りが戻ってきた。道中は中段も、各馬外へ出したがる中、インを通る競馬。4角で一瞬迷いつつ、外へ出せないと見るや、最内へ。まあ、この馬自身荒れ馬場を全く苦にしない上、今日は各馬の仕掛けが早過ぎた嫌いも有って、迷った分脚がタメられた印象。運も有ったが、良く走っている。

エイシンスペンサー

シープシキンノーズバンド。休み明けになるが、今日は文句の付け様の無いデキ。好位のイン。今日はマクリ合戦の形になり、久々に展開も馬場も向いた。最後は、切れる馬が自分の競馬に徹した上、しかも2頭もいたのがこの馬には不幸だったが、この馬自身は力を出し切っている。これも騎手を称えたい1頭。

タイチルドレン

まだ重いだろうが、多少なりとも絞れてきたのは好材料。例に依って出遅れ。後方待機。ロサードと一緒に上がってきたが、そこまで。軽ハンデの分伸びている様には見えるが、あくまで他馬の凡走に助けられての掲示板。

クレンデスターン

2人曳き。馬は良いが、福島戦より気負っていた。好位の外。今日は多少気負っていた影響も有って馬に我慢が利かなかった。3〜4角中間から我慢しきれず動いていったが、如何せんタイミングが早過ぎた。落ち着いてさえいれば2000mはこなせる筈だが、今日の状態だと2000mは長い。

コスモリバーサル

-2kgでも減ってきたのは好材料。相変わらず太く見せる嫌いは有るものの、馬に張りが有った。スタート直後からノメって行き振りが悪い。マクリ合戦で展開キツかったにせよ、4角で既にアラアラの手応えだったのは頂けない。こういう馬場は苦にしない筈だったが、かなり意外。

マヤノアブソルート

500kgを切って、今日は走れる状態だったが、もうちょっと訴えてくるモノが欲しい。この馬も早目に動き過ぎたにせよ負け過ぎ。尤も、この馬の場合は道悪走らないことが最初から判っていたのだが。

北海道新聞杯 クイーンステークス(GⅢ)

オースミハルカ

2人曳き。テンション高いのは相変わらずも、数字は戻っただけで、馬体に張りが有った。ダイヤモンドビコーにファインモーションと行きたがる馬が多く、1角までは多少コスられ気味だったが、単騎になってからはスローに落として1000m通過が61.4秒。当欄で繰り返し述べている通り、スロー過ぎる逃げは後続の餌食になり易い訳だが、今日は人気馬が背負って切れ味を削がれた分がこの馬に味方した印象。川島騎手、今日は斤量差など様々な要素が重なって勝てたが、この馬自身としても追って切れるタイプではなく、今日の様なスロー過ぎる逃げはむしろ自身が不利になることを覚えておいて欲しい。

ファインモーション

2人曳き。多少緩い嫌いは有るものの、ダイヤモンドビコーが霞んで見える程馬振りは良い。下見に入ってきて直ぐは多少気負い気味だったが、周回を重ねる毎に落ち着く。スタート直後に行きたがっていたものの、内枠を生かして前を壁にする策。最後は斤量の分が届かなかっただけで、しっかり最後まで諦めずに伸びていたのは立派だが、馬群の中で競馬出来た点以外は相変わらず競馬に進歩が無い。この後、牝馬戦をメインで闘っていくらしいが、現状ではそれが賢明だろう。

テイエムオーシャン

2人曳き。最近はデキの無さを気合で支えている印象。ファインモーションを徹底マークする競馬も、最後まで捕まえ切れずに終わってしまった。まあ、イチかバチかの積極策なら勝つチャンスも出てくるのだろうが、如何せん今日は59kg。無事に繁殖へ上げなければならないことを思うと、そう無理もさせられないのだろう。デキの無さを思えばそれなりには良く走っていると思うのだが、現状これ以上も期待出来そうに無い。

ダイヤモンドビコー

2人曳き。-12kgはここ目標にキッチリ仕上げた分ということだろう。今日はファインモーションが凄過ぎたとはいえ、この馬なりにはキッチリ造ってきた。これもファインモーション同様、1角まで掛かり気味。2番手で宥めるも、真っ先に動いて目標にされてしまった様な印象だが、目標の牝馬戦で抵抗のシーンすら無く完全に突き放された点は頂けない。とにかくこの馬の場合は、結果に影響する程の行き振りが無いと競馬にならない二律背反を解消しないことには。

ノブレスオブリッジ

この馬なりに出来ているが、ここへ入ると馬の差歴然。後方待機策。背負った人気馬が早目に動いた際の漁夫の利を得ようと考えていたのだろうが、動いてくれないのだから仕方が無い。

ヤマカツリリー

多少余裕残しで、馬が緩んでいた。尤も、目標が先にある訳で、これはこれでといったところ。好位で流れに乗ったが、決め手勝負になると辛い。もっと上がりが掛からないことには。

毎日杯 玄海特別

メイショウカイドウ

スキャン産駒らしく骨量豊富で見栄えする。また出遅れて後方から。前半相当行きたがっていたが、馬群に入れて何とか宥める形。3角から動いて4角で先頭に並び掛け、直線は離す一方。荒れ馬場苦にしない長所が最大限生かされたとはいえ、これだけロスの多い競馬でも圧勝なのだから、力は相当。マトモに競馬出来る様になればオープンでも通用する筈。

ツルマルヨカニセ

2人曳き。好馬体。まだ完全ではないとしても、一時よりは歩様も良くなった印象。好発、多少行きたがっていたが、控えて好位のイン。我慢し切れないといったイメージで3〜4角中間辺りから痺れる位の手応えで上がってきたが、メイショウカイドウには全く歯が立たなかった。今日に関していえば、メイショウカイドウがあまりにも強過ぎた印象。この馬も現級に留まる様な馬ではない。

シンデレラボーイ

多少線が細いものの、馬は良く見せるのだが、歩様が悪過ぎる。ツルマルヨカニセを眺めながらの競馬。人気を背負っていた上、一瞬の決め手で勝負出来るタイプではないだけに、早目に動いて行ったが、上位馬が強過ぎた。この馬の場合はあくまで現級上位というだけの話で、それ以上の馬が出てくると全く通用しない印象。

シゲルゴッドハンド

シープスキンノーズバンド。遮眼革外す。テンション高いのは毎度。例に依って天井向いて走りながらの逃げ。ただ、遮眼革外した影響なのか、向正面で一気にペースが落ちてしまい、後続に早目に突かれる展開になったのは痛かった。その割には最後まで良く粘っているといえなくも無いのだが、勝ち切る為にはここで突き放さないと。

ゼンノカルナック

数字は戻ったものの、馬体に張りを欠く。中段よりやや後方も、メイショウカイドウよりワンテンポ遅らせてから仕掛ける形。まあ、今日に関していえばデキも無かったが、今日の相手では力自体が足らない。