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競馬回顧 2007年5回京都・5回東京

ジャパンカップ(GⅠ)

アドマイヤムーン

+8kg。前走は少し華奢に映ったので増えて出て来たは良い傾向。馬体も緩い事は無い。ゲートも速かったが、少し出して好位から。その分行きたがった面は有ったのだが、前が塞がって何とか宥めた。ラスト200mで先頭。最後は止まり掛かったが、タイミングが早かったというよりは前半行きたがった分と距離だろう。これで引退だそうで、能力比較は避けるが、今日は兎に角乗り役が丁寧に乗った印象。

ポップロック

+6kg。尻尾振る動作も含めてほぼ変わらず。前走時から完璧だった。例に依って出脚が無いのだが、この枠を嫌って前へ。ただ、無理矢理行った分、コスモバルクとの兼ね合いが付かず、1角では首を上げるシーン。ただ、ここからのペースが今日は遅く、内枠の競馬になったのだが、直線向いて少し待たされている間にアドマイヤムーンに抜けられ、その分が届かず。ただまあ、あくまで展開のアヤ。この距離ならワールドクラス。

メイショウサムソン

前走時もそうだったが、今季は馬体の張りが一息。今日はゲート五分。スタート直後にフサイチパンドラに叩かれたのと、行きたがる分、前走よりは位置取り後方。1角での内枠勢の競りに騙された分も有ろう。人気を背負っていた分も有るのだが、4角矢鱈外を回って結果的に届かず。あくまで器用さ身上で、基本的に真っ向勝負の馬では無い。乗り役に慢心が有ったと言われても仕方が無い内容。

ウオッカ

中間一頓挫が有って万全とは行かぬが、これでも前走京都戦よりは良い。折り合い意識して宥めている間に外から来られて、アッと言う間に最後方。その上スローと何ともならない展開だったが、そこはジャパンカップ。皆に色気が有る分直線馬群が広がり、小さく回っていたこの馬にとっては位置取りのディスアドバンテージが比較的軽微で済んだ。勿論、3歳牝馬がこれだけやれれば上出来という事にはなるのだが、今夏からの足踏みで天井が見えて来た。行きたがる癖が出て来て、折角の出脚が使えなくなったのも課題。

デルタブルース

もっと軽くした方が日本では走ると思うが、デキ自体は良い。外枠だったが、ジワッと好位。丁度アドマイヤムーンと前後する位置。道中も含めてスムーズに競馬が出来た。直線は瞬発力が無いだけでこの馬なりに伸びている。ただ、今季本当にデキが良いので、今夏の騒動は痛かった。

ドリームパスポート

歩様が硬い。少しテンション高いのも含めて、あとは絶好調時と変わらぬが。無理せず枠なりに中段やや後方。1角迄も結構ゴチャついていたが、直線入り口でまだガチャガチャ。まあ、脚が無いのでそうなっている部分も有ろうが、それにしても酷い競馬だった。今日の敗戦で人気を落とす様なら却って狙い目。

ジャパンカップダート(GⅠ)

ヴァーミリアン

この中間、攻め量の関係で不安説も流れたが、関係無し。ただ、抜群とも言えぬ。今日はゲート五分。出脚も無い馬だが、下げて中段やや後方。道中バラけた位置でスムーズに競馬出来た分も有ったが、3角過ぎからの行き振りが今日は凄かった。一旦抜けたフィールドルージュをラスト150mで交わし、このレコード。昨年は不遇を託ったが、今年は細かい状態面の変動は有るにせよ、完全に本格化。ただ、カネヒキリにアロンダイトと横綱2枚が居ない状態。まだ大関級。

フィールドルージュ

2人曳き。ダート戦の分を差し引いても、少し歩様が硬いのはマイナス材料。造りは悪くないが。出脚の無い馬が先行して押して行くとアクションの関係上他馬が控える傾向が有って、そこを突いてこの馬としては前目、中段のインから。そうは言っても無理はしておらず、直線向いて完全に抜け出し、末脚鈍ってはいなかった筈だが、外からヴァーミリアン。この距離の方が位置取りの誤魔化しが利く分乗り易かった面は有るだろうが、相手が悪かったという以外に無い。

サンライズバッカス

今年から重量感が出て来たのが大きい。テンション高いのは何時もの事。安藤勝己騎手は事前に乗り方を決めないタイプだが、今日は決め打ちだった様で、フワッと出して後方から。折り合いは付いたというより、付く位置迄下げたと見た方が良いだろう。この距離で真っ向勝負では厳しいと直線もそのままインから。伸びてはいるが、上位2頭とはかなり差が有った。マイルならまだしも、この距離だと少し苦しい。

メイショウトウコン

数字の無い馬だが、体高が低いだけで、馬体の造りとしては遜色無い。例に依って出脚が無く最後方から。直線は外へ行ったにせよ、4角は上手く捌けていて、この馬としては過不足無い競馬だったが、イマドキの競馬でGⅠを最後方からではキツい。ただ、前走札幌戦から小回りだけの馬という可能性も有ったのだが、取り敢えず東京でこれだけやれれば上等。ヴァーミリアンが大関なら小結級は有る。

ワイルドワンダー

トモの盛り上がりが例に依って抜群。この距離を思うと余り喧しいのはどうかと思うが、これがこの馬の特徴。毛ヅヤも上々。少し出して1角では中段辺りに居たが、馬群がバラけ、前に壁が無くて行きたがり3角では好位に取り付いていた。内から一瞬は先頭というシーンも有ったが、道中要らない脚使った分伸び切れなかった。流石に勝ち負け迄はどうかと思うが、3着は有った筈。ただ、基本的に距離が長いのも確か。

ドラゴンファイヤー

2人曳き。チャカついていたが、手先のスナップは利いていた。馬体は変わらず纏まっている。アオりながら出て後方から。道中はずっとインに居て、直線向いてメイショウトウコンの直ぐ前に出て来たが、ここからは伸びの差歴然。前走阪神戦の際に述べた様に、根本的に強くない。

ブルーコンコルド

+5kg。少し重目。もっと軽く見せた方が走る。積極的に乗られて3番手。予定されていた先行策だそうだが、出して行ったところ行きたがって最悪のパターンになった。ただ、前に居たエイシンロンバードやキャンディデートが4角手前で一杯になる中、この馬はまだ踏ん張っていた方。今日は一応能力示した一戦。次走大井戦は前に行けなくなったのが課題になるが、能力上差は無い。

フリオーソ

2人曳き。馬に集中力。トモの張りも目立つ。ダートコースだけでこれだけの馬を造るのは余程の調教技量なのだろう。出脚はこれが一番速そうだったが、外からエイシンロンバードが主張し、そこへブルーコンコルドが引っ掛かって最悪の展開に。ただ、戦前に述べた様に、この展開はジャパンカップダート独特のそれ。来年からコース替わるが、これはこれで面白い競馬だったと思うのだが...。何れにしても次走狙い目。

京阪杯(GⅢ)

サンアディユ

少し太い気もするが、この時期の牝馬にしては毛ヅヤが良い。好発。内から主張したサープラスシンガーに行かせて2番手。出脚も道中も余裕タップリの追走が出来た。4角で相手をサープラスシンガーと見て早目のスパート。その分と57kgで最後は詰められたが、圧勝と言って良いだろう。ただ、現役屈指の鉄砲巧者は、硬さの裏返し。本格化した今ならとは思うが、次走距離延長は一応課題に。

ペールギュント

+8kg。毛ヅヤが落ちて来た。歩様も硬い。ゲート五分。少し出した分も有るが、この相手ならという事だろう。中段から。そして今日は結果的にこれが正解。位置取り前だった分、4角外を回さずに済んだ。これも、この相手なら力量上位というところを見せた形。位置取りも地力の証。

カノヤザクラ

間隔開いたが、及第点はやれる。流石に毛ヅヤは一息だが。出負け気味の分後方から。ただ、掛かる位で行き振りは上々。直線もその通りに一追い毎伸びたが、位置取り悪かった分、届かなかった。ただ、前走阪神戦がそうだった様に、精神的な前向きさが感じられたのが今季の特徴。これが有る内は競馬が出来る。

ブラックバースピン

気合乗り抜群。馬体も見栄えするが、良い時はもっと良く見せていた。出脚で差が有るが、枠の分中段から。4角も内を回って来てはいるが、最後は時計の壁。見栄えが良いので騙され易いが、パンパンの良馬場では厳しい。あくまで時計が掛かってこそ。

ナカヤマパラダイス

+14kg。多少太い可能性も有るが、張りが有るのでそうは見せない。余程デキが良いのだろう。大外枠だが、出脚で好位。直線は伸びそうで伸びなかったが、この枠から先行して行けば甘くなって当然。ハンデ差も有って、カノヤザクラ以下は展開一つ。能力差は無いと見て良いだろう。兎に角このプラットフォームで18頭立ての競馬をやる事自体が無謀。

タマモホットプレイ

今季は最初からデキが良かった。歩様も落ちていない。出脚が無く、押して漸く中段。内を付いて回っただけで伸びずバテず。これも時計に限界の有る馬。1分8秒台で決まらぬ事には。

サープラスシンガー

+12kg。太くは無いが、歩様もスムーズ。戦前述べた様に出脚に怪しさの有る馬だが、スムーズにハナへ。道中はサンアディユの方に余裕が有ったのは確かだが、この馬の競馬は出来た。一旦は突き放すシーンも造り、最後も上がり3F34.4秒、サンアディユから0.3秒差なら決して止まってはいないが、一応は完敗。前走福島戦の時計が異様に遅く、時計面にも天井が有りそう。

マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

ダイワメジャー

何時も通り2人で曳いてもう1人。下見でパシュファイヤー。今季は歩様がスムーズなのだが、馬体は良くも悪くもこんなモノ。出脚はそこ迄速くない馬だが、押して前へ。一旦はハナも覗かせていた程だったが、内からフサイチリシャールとローエングリンが来て3番手から。被せられるのを嫌って早目先頭。そしてここからが安藤勝己騎手、心憎いところだが、内の馬が相手で無いと見るや否や外から来る馬へ併せて行って、この馬自身ももう一頑張り。まあ、落ち目は落ち目なのだろうが、戦前述べた様にこのレベルの相手とは力が違っていた。

スーパーホーネット

2人曳き。良い時の集中力が戻って来た。馬体もはち切れんばかり。珍しく好発。出脚も良かったが、無理せず中段から。道中は馬場の中程を通り、直線だけ外へ出す理想的な競馬が出来たが、最後はダイワメジャーの底力が一枚上だった。良く走っていると言えるが、1分32秒台の決着,ゲート出て差し馬の中では比較的前で競馬出来た分、この2点で優位性が有ったのも確か。過大評価もどうか。

スズカフェニックス

+8kgを全部実にして出て来た。チャカつく位の気合だが、これがこの馬本来の姿。スワンステークススキップが正解だったというよりも、前走中山戦が仕上がり途上だった。ゲートをソロッと出し、出脚を封印して中段やや後方。それでも少し行きたがる位だったが、これがこの馬本来の行き振りだ。最後は枠の影響で外を回され続けた分だろう。完全に立ち直った。対ダイワメジャーで分の悪さを感じるが、デキだけをいえば今春よりもむしろ良いかも。

アグネスアーク

2人曳き。+4kg。少しでも増えたのは良い傾向。毎回述べている様に気持ちが前向きなのが良い。出脚が鈍く中段やや後方から。前にスーパーホーネット、後ろにスズカフェニックス。そのまま4角向いて手応えも悪くなかったが、前に届かず、スズカフェニックスに最後掴まっての4着。レース後故障発症だそうで、これの影響も有ろうが、それ以前に器用さで立ち回る馬。真っ向勝負では少し壁が有る気も。

カンパニー

皮膚を薄く見せているのは相変わらず。煩いのも元々。例に依って後方。ただ、出脚もそうだが、道中の行き振り自体も良くなかった。直線向いてからも前と同じだけしか脚が使えておらず、結果的に位置取りの差が出た形。今回人気になったのは、今夏の新潟戦を買われた分も大きかっただろうが、当時述べた様に新潟で強過ぎる馬は他場でボロが出易い。

キングストレイル

少しでも絞れたのは良い傾向。折り合い課題の馬で、余り喧しいのは歓迎しないが、良く言えば活気が有る。出脚良い馬だが、折り合い意識して好位から。ただ、今日も行きたがってしまい、競馬が後手に回った印象。進歩が無い。

エイシンドーバー

休み明け思えば及第点やれるが、多少ゆとりが有りそう。道中はスーパーホーネットと前後する位置だったが、直線向いて外へ持ち出した分、これもキングストレイル同様、競馬が後手に。ただ、それにしても直線伸びていない。戦前期待した程のデキには無かったか。

ベクラックス

口から泡を吹いて気合乗り上々。馬体もしっかり造って有り、歩様もスムーズ。出脚が無くて後方から。今日の展開ではこの段階でアウト。経験の差が出た形。

東京スポーツ杯2歳ステークス(JpnⅢ)

フサイチアソート

毛ヅヤ良くデキ自体も間違い無く良い筈だが、バランスの取れた造りで大きく見せるのが強調出来る。出遅れも、行きたがるのを無理に引っ張らずジワジワ前へ。その道中は内目を通っていたが、直線も内の狭いところを割って来た。時計も優秀で、強い内容。ただ、道中重心が高くてまだまだ馬が若い。出遅れの原因もそこに有ろう。時計は優秀だが、ここから先は厩舎技量が問われる。

スズジュピター

2人曳き。+10kg。長期的には良い傾向も、現状は重目残り。少しテンション高いのも気になった。ゲートも少し悪かったが、出脚も一息で中段やや後方。そこからの行き振りは悪くなかったが、大事に乗って4角大外から。今の東京ならあれでも良いのだが、結果的にはフサイチアソートに脚元スクわれる形になっただけに、乗り役は責めを負われる事になるのだろう。何れにしてもフサイチアソートとの能力差は無いと見て良い。

スマイルジャック

2人曳き。テンション高い。馬振り目立つが、寸が詰まってマイラーの相。出脚は良いのだが、行きたがるのを宥めて好位。直線外へ出して、一旦は先頭に立つシーンも有ったのだが、内からフサイチアソートに来られ、外からスズジュピターにやられて3着。今迄は先頭に立つ前に競馬が終わっていた事を思えば違う競馬が出来た点で収穫有ったが、基本はマイラー。

ゴスホークケン

+12kg。まだ増えても良い位。毛ヅヤも良い。出脚が速く、一旦はハナも覗かせていたが、引いて好位。折り合いも付いて、今日は過不足無い競馬。それで居て直線伸びなかったのだから、上位馬とは能力差認めねばならないだろう。勿論、新馬上がりの馬に、ここ迄要求するのは酷なのだが、現実問題それが出来た馬が目の前に居るだけに...。

タケミカヅチ

シープスキンノーズバンド。前走京都戦は馬振り断然だったが、ここへ入ると上位の一角といったレベル。例に依って下げて後方から。これ自体は仕方が無いが、直線向いての伸びが案外。坂上で手前も替わっていて、直線が長過ぎるか、距離が長い様な止まり方。ただ、長い直線は新潟でこなせている。距離限界説が有力。

エリザベス女王杯(GⅠ)

ダイワスカーレット

2人曳き。仕草に集中力。戦前から述べている様に、今季はデキが良い。好発。このレース、距離の関係で使えない出脚の馬が多く、アサヒライジングが出遅れた事も有って、迷わずハナへ。序盤は毎回の様に行きたがるのだが、下手な2番手よりはこの方がスムーズに競馬が出来る。フサイチパンドラが少し来た以外は、例に依って誰も喧嘩を売りに来ず、直線もそのまま押し切った。今日はウオッカの取消,アサヒライジングの出遅れ,そして他馬が競り掛けない分が大きい。能力判定不能。

フサイチパンドラ

-8kg。毛ヅヤピカピカ。今季は張りが無い様に映っていたのだが、馬体も締まって来た。デキ一変。出脚はソコソコ有る馬で、好位から。折り合いは万全とは行かぬが、このペースで他馬も似た様なモノ。ただ、4角の手応えが良く、ダイワスカーレットへ並び掛けた時には一瞬沸いたが、ダイワスカーレットにも同じ脚で上がられて届かず。ダイワスカーレットを捕まえ切れなかったのは仕方が無いにせよ、漸くデキが戻ってこの馬の力を発揮出来た。距離に不安が無いのも長所。

スイープトウショウ

多少重いのだが、叩いて張りが出て来た。気配も例に依って落ち着いている。横見ている時にゲート開けられて出遅れたが、そこから出脚で中段。枠なりにインを回って、それなりに詰めているが、一枚太い分と全盛期より衰えている分も有ってここ迄。これで引退だそうだが、止むを得ぬところ。昨年の安田記念辺りから出遅れても前へ行ける様になり、その分で競馬に確実性が出て来て一皮剥けた。池添騎手はこの馬に教えられた事も多かっただろう。

ディアデラノビア

2人曳き。相変わらず毛ヅヤはイマイチだが、変にボーッとしているよりはこの位気配が出ていた方が良い。ゲート遅らせて後方。ただ、ずっと行きたがっていて、4角辺りではスローを嫌ったというより待ち切れずに動いて行った形。最後は前と差が有ったが、道中のロスを思えば仕方無いところ。これも一応は復調ムード。

アドマイヤキッス

+10kg。馬体増は良い傾向。今年の中では一番良い状態。歩様もスムーズ。中段やや後方。出脚甘い馬だが、それよりも少し行きたがって押さえている内に位置取りが悪くなった。その分4角も行き場が無く、今日は競馬が後手後手に回ってしまった。最後捌いて来た脚は悪くなく、下見通り一時期よりは動ける様になって来たが、ここに来て折り合いに課題が出て来たのがどうか。今迄は器用さで凌いで来た部分も大きかっただけに...。

アサヒライジング

トモの張り目立ち、好調持続。踏み込みもしっかりしていた。出遅れたが、出して行って2番手。道中はスムーズに見えたが、直線向いてズルズル。基本的には出脚が無いので、出して行くと他馬より余計に応えてしまう。その意味では参考外という事になるのだが、結構高確率でゲートやらかすのが気掛かり。

京王杯2歳ステークス(JpnⅡ)

アポロドルチェ

少し気性が若いのだが、気ヅヤが良くデキ自体は良い。出遅れ。出脚も無さそうだったが、押して徐々に進出。4角では中段迄取り付き、直線もアッサリ抜け出した。流れに全く乗らず、別次元の競馬。戦前にも触れたが、前走のレベルがそれだけ高かったという事だろう。馬振り自体は然程目立たず、この馬だけを言えば早熟の可能性も少なからず有るが、何れにしても暫くはいちょうステークス組に注目を。

ドリームシグナル

張りが無いという訳では無いが、造りにメリハリが欲しい。歩様も硬目。これも出遅れたが、出脚でカバーして中段のイン。東京の道悪は意外に最内が利く分も有るが、腹括ってインに拘ったのが結果的に正解。アグネスデジタル産駒で、恐らくはこういう馬場も得意だったのだろう。ただ、前走京都戦では追い出すと左へヨレる癖が。右回りは微妙な面も。

レッツゴーキリシマ

トモの張り目立ち、毛ヅヤも上々。好調キープ。ゲート,出脚共普通位だったが、馬任せでジワジワと前へ。直線一旦は抜けたところを最後掴まった形だが、これも道悪は走る馬。夏の小倉戦荒れた内目で粘っていたのが記憶に新しい。良馬場だった前走京都戦と全く同じ時計というのが如何にもこの馬らしい。

フォーチュンワード

チャカつき気味。寸の詰まった造りだが、馬体は悪くない。出遅れ。ただ、出脚も一息で、結局はずっと最内を。それでも狭いところを割って来る脚は悪くなかった。出脚的にこの距離は短そうだが、器用さだけの馬では無い事が分かっただけでも。

ミッキーチアフル

+10kg。気配悪くなく、そこ迄太い印象は無い。トモの造りも悪くない。出たなりで中段。直線向く迄は手応え含めて悪くなかった様に見えたが、追い出して外へモタれていた。馬場も有るだろうが、まだ馬が若い。

リーベストラウム

少し煩かったが、集中力は有った。馬体もスッキリ。また出遅れて後方から。枠順的にアポロドルチェの後追いになるのは止むを得ないが、前走の伸びが無かった。馬場?

ハートオブクィーン

+8kg。長期的には良い傾向だろうが、現状はこれだと重い。出脚良く、先行争いにクビだけ突っ込んで好位から。展開的には悪くなかったが、追い出してサッパリ。馬場はこなせる筈で、敗因不明。

エフティマイア

休み明け思うと出来過ぎなのは確かだが、逆に言えばキッチリ仕上げて来た。ただ、少しイレ込み気味。好発も付いて行けずに後方へ。直線も全く伸びなかった。これは馬場に尽きる。

KBS京都賞ファンタジーステークス(JpnⅢ)

オディール

2人曳き。テンション高目。寸の詰まった造りだが、トモの張りは目立つ。毛ヅヤもピカピカ。エイムアットビップ程では無いが、出脚良く好位から。途中からエイムアットビップが行ってしまった事も有って、実質はハナを切っている形に。直線は良く差し切ったと言えばそうだが、前走と同じ脚を使っているだけで、前が勝手に止まった感も。センスが有るのは間違い無いが、下見から距離に天井も有りそうで、次走人気程の評価はどうか。

エイムアットビップ

イラつき気味なのが気になった。馬体は小さくても纏まっているが。好発。出脚も相当に速そうだが、先週のアストンマーチャン同様使えない出脚で控える形。ただ、他馬との兼ね合いが付かなかった事も有って、3角手前からブッ放して結果的に大逃げになった。前走とは違い、外回りに替わって差し馬に掴まったという事になるのだが、そのアストンマーチャンは昨年行きたがりながらでも我慢して、直線伸びた事を思えば頂けない内容。乗り役がブッ放して行かせてしまった点、最後差された点、この2点で今後へ繋がらない競馬になってしまった。一からやり直しに。

エイシンパンサー

2人曳き。イレ込んでいた前走新潟戦を思えば堪えている。数字自体はこれで良いが、まだ緩く映るのも確か。出負け。勝ち負け度外視で後方からという手も有った筈だが、例に依って行きたがってしまい、中段から。最後いい脚使っているが、前も同じだけ脚を使っているので届かない。まあ、今日はどう乗っても3着の展開だったが、これも結局競馬に進歩が無かった。新潟組は、それ以外のコースになると途端に走らなくなる馬が多いので、そのパターンに嵌っていなさそうな分は救いだが、これも今後調教に工夫が要る。

ビーチアイドル

シープスキンノーズバンド。+20kg。馬体増は大半が成長分。毛ヅヤも良い。出遅れ。出して行って中段。折り合いは付いていたが、頭の高い走法が気になった。直線伸びなかったのは荒れた内目を通らされた分も有るだろうが、1400mでも微妙に長いのは間違い無いだろう。次走交流戦という話も有る様だが、JpnⅠで討ち死にするよりは。

チェレブリタ

テンション高くて腹回りは細いのだが、トモがしっかりのがせめてもの救い。ゲート五分も、追走に一杯で、徐々に番手を下げて4角では最後方。その割には最後良く差して来ていた。距離延びた方が良さそうなタイプだが、イマドキの長距離戦は馬力も必要。上級で闘うとなると馬体の成長が欲しい。

ドリームローズ

2人曳き。まだ力が付き切っていないのは確かだが、この時期を思えばバランス取れた造り。前走阪神戦を思えばゲート出た方だが、出脚が無くて後方から。武豊騎手、この段階で腹を括って向正面の段階から馬場の良い外目へ出す策。ただ、今日の展開で4角最後方は如何にもキツい。それでも一応最後の脚は目立っていた。課題は多いが、やり方如何では。

アルゼンチン共和国杯(JpnⅡ)

アドマイヤジュピタ

2人曳き。テンション高いのは以前から。ただ、馬はここでも断然。あとは歩様に力強さが来れば文句無し。出脚というより出して行って好位。下見のテンションの割に折り合いは付いていた。直線向いて早々と前へ並び掛け、坂下で先頭。そのまま押し切った。東京2500mでこの内容なら完勝。1000万上がりの馬だが、戦前から能力最上位なのは見えていた事。今迄が遠回りしていただけ。次走、中山でGⅠ挑戦という話も有る様だが、充分圏内。

トウカイトリック

+8kg。馬体に張りが有って、いきなりから走れる状態。歩様もこの馬にしてはスムーズ。例に依って出脚が無いのだが、先行馬不在のメンバー構成と枠の利で中段やや前。行き振りが悪いのも何時も通りで、前後していたハイアーゲームとはこの点で対照的。それでも、ずっと内目を立ち回ってジワジワ来ているが、最後はアドマイヤジュピタの方が余裕が有った。ハンデ差だけでは無い差がアドマイヤジュピタとの間には有りそうだが、ここへ入れば力量上位。今日は単純に人気が無さ過ぎた。

リキアイサイレンス

少しトモが甘いのだが、集中力有って、デキ自体は良い。出脚が無く、中段やや後方。内目で折り合っていたが、直線向いて暫く前が開かず、坂下から叩き出される様に伸びて来た。乗り役の話に依ると他馬のステッキが当たって怯む不利も有ったそうで、それを思えば悪くない内容。ハンデ差有るが、この路線なら上位の存在になりそう。それにしても重賞緒戦のサンデーサイレンス産駒は狙い目という格言が未だに生きているのは驚き。

ダンスアジョイ

-18kg。スカッとし過ぎているのは確か。一応はこれでも走れそうな造りだが。出脚サッパリで後方から。ゲートが少し悪く中段やや後方。道中は少し掛かり気味。4角我慢してインを回った分が有るにせよ、最後方に居た割には良く差していると言えるのだが、追って頭が上がり、一旦は3等だったのをその分でリキアイサイレンスに差された感も。これは前走京都戦も同様。末脚の持続性が課題に。

ヤマニンアラバスタ

馬体が維持出来たのは何より。妙に大人しかったが、距離を意識してそういう仕上げにして有るのだろう。珍しく好発。その分何時もよりは前から。外へは回したが、大事に乗って坂下迄待ってから追い出す形。実況も騙された程、一瞬はコレというシーンも有ったのだが、坂上で手前が替わってジリジリ。距離が長い。

ハイアーゲーム

+16kg。増えて出て来たのは良いが、まだ実になっていない状態。歩様も甘い。今日はゲート五分。出脚の無い方だが、外から来られて位置取りが悪くなるのを嫌って中段。少しその分行きたがったが、元々がこの位の行き振りの馬。ただ、直線向いてから何時もの伸びが無かった。エビの馬は自分から加減するケースが多々有るので、それが無ければの前提付だが、大きく負けている訳では無く、下見の気配も含めて精神的には問題無さそう。あとは前述の肉体面が伴って来れば。

ネヴァブション

まだ緩いのは確かだが、今日は幾らかでもマシに。気合も乗って、一応は走れる状態。ゲートも悪かったが、出脚も無くて最後方から。4角差し場を探す形になってそのまま直線に向いたが、前に居たヤマニンアラバスタが坂下迄追い出しを我慢していて、更にその後からの競馬になってしまった。今日はこの着順でも良く差している方。復調気配アリアリ。

トウショウナイト

変わらず見た目にはまずまず。積極的に出して行って好位から。折り合い面は元々問題無い馬で、流れに乗れていた筈だが、直線入り口で既に一杯。前走京都戦時に述べた様に、本来のデキには無い。