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競馬回顧 2009年2回小倉・2回新潟

関屋記念(GⅢ)

スマイルジャック

2人曳き。+8kg。馬は張っていたが、腹回りに数字分が。それでも落ち着いていて、毛ヅヤもピカピカ。ゲート速い馬だが、ソロッと出して折り合いに専念。序盤急かさずに矯めて乗られる分には折り合いが付く様になっている。直線、変なところへ突っ込んでいて一瞬狭くなったが、新潟だけに慌てず我慢して手応え通りに抜け出した。完勝。やはりこの相手なら力が違った。今後へ向けては折り合いを付けつつどれだけ前で流れに乗れるかがポイント。少しでも前へ行かないと一線級相手ではキツい。

ヒカルオオゾラ

今日も抜群に良く見せる。一人で曳いて落ち着いていたのも好感。これもゲート遅らせて折り合い付ける策。馬場の良い外目でスムーズに立ち回れたが、内から抜けたスマイルジャックが捕まえ切れず。力は出し切ってこの結果。スマイルジャックとは能力差認めねばなるまい。

マイネルスケルツィ

シープスキンノーズバンド。馬振りは元々良い馬。横の比較では硬目の歩様だが、縦の比較ではかなりマシな部類。好発も、内枠で同馬主マイネルレーニアが行って、喧嘩だけは避けて控える策。直線も、マイネルレーニアとは内外離して、結果的に馬場の良い外目を通って3着ギリギリ粘り通した。歩様の問題から、下が渋った方が良いタイプだが、デキも良いのだろう。

キャプテントゥーレ

+16kg。今日はグルッと回って来るだけかと思っていたが、意外に良く出来ていた。数字は成長分が大半。歩様にもバネ。少し前半行きたがって好発のマイネルスケルツィを叩いたのは若干のロスだっただろうが、そこからはスムーズ。直線、長期休養明け思うと良く粘っているという見方も有るが、これもマイネルスケルツィ同様速い時計で脆い馬。今日の渋った馬場が向いた感は有る。次走人気は確実で過信もどうか?

キャプテンベガ

毎回述べている様に歩様の甘さが無くなって本格化。ただ、数字の無さがこの馬の限界。デキ自体は良い。ゲート若干甘く、道中は中段。ただ、向正面ではかなり行きたがっていたのを宥めての追走。その分若干早目の仕掛けにはなっており、トータル1馬身程ロスしているだろうが、上位馬とは決め手の差が有るのも確か。良くも悪くも重賞入着級。

マルカシェンク

+10kg。意外な程に良かった。馬体の張りは完璧ではなかったが、何より歩様がスムーズ。出遅れ。こういう渋い馬場も良くないタイプで直線はサッパリ。参考外。

函館2歳ステークス(JpnⅢ)

ステラリード

2人曳き。叩いて馬体の張り一変。ただ、この時期にしては完成度が高過ぎるのと、馬場入りしてイレ込み。ハナ切る出脚は無く、道中は中段のイン。多少行きたがる位の行き振りだったが、直線向いて内を上手く捌きスパッと抜け切った。ただ、コース利が相当有ったのと、追い出して若干頭が上がっており、良い脚が一瞬しか使えていない。時計的にはまあまあ速いのは確かだが、この馬自身は距離に限界が有る。イレ込む気性も今後へ向けてマイナスに出そう。

キョウエイアシュラ

2人曳き。馬振りは一番良かったが、今日はテンション上がり過ぎ。出脚は負けていないが、スタート直後の150mでも10頭横一線。これではという事で一旦下げて中段やや後方から。この策は間違っていないが、3角で内からドナルドバローズに弾かれて1馬身程下がるロス。最後はステラリードと同タイム迄追い詰めており、今日は勝っていた競馬。例年の勝ち馬よりも遥かに強いだろう。

ソムニア

毛ヅヤが良かったのが唯一の救い。一言で言えばガリガリ。20kgは増えねば。出遅れて後方から。丁度キョウエイアシュラが居て、これをマークする策。3ヶ月連続開催で、多少硬目の馬場状態、非力なこの馬にとっては向いていた面は否定出来ないだろうが、それでもこれだけ食い下がれば上等。馬体さえ成長してくれば。

エステーラブ

寸詰まりの馬で、この数字でも腹回りはしっかりしていたが、歩様が硬い。また出遅れて後方から。直線は大外持ち出したが、腹括って直線迄待ってから出す形。前崩れの展開では有ったが、それなりの脚は見せている。あとはゲートが出る様になれば。

インテグラルヘッド

2人曳き。まだ全体に緩い。骨格は悪くないので、この数字で筋肉が付けば。ゲート自体は然程速くなかったが、出脚が有ってスッと好位。最後は一踏張りが無かったが、先行勢では唯一の掲示板。中間一頓挫も有ったそうで、評価出来る内容。

ノーワンエルス

2人曳き。シープスキンノーズバンド。馬振りは悪くないが、前走ボケッとしていた位の気配が、今日は右後肢を盛んに蹴っていた。悪い方に一変。アオりながら出て後方から。インを突いて、ラスト100m程一瞬だけ脚が有った。競馬の内容としては悪くないが、ステラリード同様使って行く内に悪くなるタイプと思えるのが。

サマー2000シリーズ第3戦第45回農林水産省賞典小倉記念(GⅢ)

ダンスアジョイ

今季は元々デキが良かった。昨年暮れよりも大分良い状態。馬体に重量感が来て本格化。まあ、小回り2000mでどうかという問題は有ったが。出脚が鈍いので必然的に後方から。今日は最初からイン狙いの枠なり競馬。追い出した時やスタート直後は天井向いていてかなり不恰好なのだが、それでも伸びて来た。得意の東京が出脚の無い馬には辛い馬場状態になる事が多く、差さる馬場で久々に持ち味発揮。中京はそうでもないが、小倉や福島の中距離戦は馬場状態次第でこの手の東京2500m馬が届く。ダイタクバートラム,レニングラード,ゴーイングスズカ等、人気の盲点になっていた馬も多い。

ホッコーパドゥシャ

毛ヅヤが冴えていて、止め絵は決して悪くないが、歩様に硬さが出て来た。出脚で勝負する馬ではないが、出たなりで中段。4角迄はスムーズだったが、前のクラウンプリンセスがフラフラ、内からマストビートゥルーが外へ持ち出していて直線で一瞬逡巡する場面が有った。立て直してからは脚を使っているが、着差が着差だけに惜しい。ただ、前走福島戦にしても妙な運の無さを感じるのは確か。イマドキGⅢ一本では将来へ向けて何の保証にもならないが、今日の相手は千載一遇のチャンスと思えただけに勿体無い。ただ、2着で少しでも賞金加算出来たのは不幸中の幸い。

クラウンプリンセス

歩様の甘さがここに来て解消。トモの張りがデビュー当時とは別馬に。以前思えば出脚も速くなっており、楽に好位。スムーズに立ち回っているが、直線半ば一瞬先頭に立った時にソラを遣ったのが痛い。最後ホッコーパドゥシャに交わされてから再び頭が下がって差し返す素振りが有った分の3着。何れにしても力負けではない。完全に本格化。下 (リーチザクラウン) が走ると上も走るのは良く有るパターン。限定戦なら楽勝の場面も。

エーティーボス

+6kg。少し太いだろう。デキ自体が悪いとは思わないが。クラウンプリンセスに抵抗する形で徐々に内へ。1角ではインへ収まっていた。内から上手く抜け出しているが、イマイチ伸び切れないのは太い影響も有っただろう。悪くない内容。

エリモハリアー

+10kg。数字は回復分。この馬にしては歩様に柔らか味が有った。皮膚の薄さも感じさせ、少なくとも昨年よりは遥かに良い状態。無欲の待機策。乗り役に言わせると前の馬が外へ持ち出す素振りを見せていて、直線迄待たざるを得なかったとの事だが、結果的に外張られてこのロスは相当。それで居てここ迄追い込んでいるのだから強い。今日は勝ちに等しいパフォーマンスだ。まあ、高齢馬故、次走このデキが維持出来るとは思えず、年に一度のチャンスを逃した感は有るのだが、この馬がこれだけ通用してしまう辺りは戦前述べた通りメンバーがそれだけ弱かった面も。

マイネレーツェル

-6kg。今季の中では一番良い状態。ただ、この手の馬は硬い位に力が入っている歩様の方が走る。ゲート五分に出たが、例に依って後方から。一番最後の脚は有ったが、直線迄待ってから追える阪神が得意な馬。コーナーで動かざるを得ない小倉ではワンテンポ遅かった。何れにしても力負けではない。何度も述べている様に、メンバー低調とはいえ、牡馬相手に54kg背負って中々立派。

マストビートゥルー

多少トモの甘さは有るが、これでもこの馬とすれば及第点。馬体も決して悪くない。一瞬行き掛けたが、他馬が外から来て、好位で折り合い付ける策。馬群の中でメリハリの無い競馬になった影響も有ったが、この馬自身も決め手が足りない。ダンスアジョイから0.2秒差、大きく負けている訳ではないのだが...。

ダイシンプラン

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。気配絶好。ただ、若干歩様に硬さが。大外枠で、無理出来ず後方。枠の分、外回されたにしても、更に外から来た馬が居て、これは言い訳にならず。4角回ってホッコーパドゥシャと同じ位置から直線だけで約1馬身差は大敗に近い。ムラ駆け気味の馬だが、距離説も。

サマー2000シリーズ第2戦第45回農林水産省賞典函館記念(GⅢ)

サクラオリオン

手先のスナップが利いていた。馬の張りも中京戦同様。位置取りよりはコース重視で、スタート直後から徐々に内へ。1角では既にインに居て、道中脚を矯め、4角若干強引ながらも外へ持ち出して、今日はこれ以上無い競馬が出来た。好騎乗。エルコンドルパサー産駒にしては器用さ有るが、戦前述べた様に、真っ向勝負の馬ではない。

マヤノライジン

2人曳き。-8kg。トモの張りが目に付いた。滞在していた函館は水が合うのだろう。気配も上々。スタート直後にヤマニンメルベイユに叩かれたのを立て直して中段。道中多少ズブい様な気もしたが、積極的に乗られて早目早目。最後、サクラオリオンには差されたが、前はしっかり潰したのだから立派。距離延長嫌う向きも有ったが、ズブさは昨年辺りから見られており、下地は有った。

メイショウレガーロ

見た目も薄いが、トモの甘さは相変わらず。多少無理矢理だったが、行き切ってハナ。ソコソコのペースで逃げた割に、後続も早目に来たが、ヤマニンメルベイユが1頭間に噛んで、直線向いて一旦は突き放すシーン。ただ、頭を上げてフォームはバラバラ。以前よりは復調しているとしても、時計には限界が有る。

ブラックアルタイル

毛ヅヤまずまずだが、多少張りが無い様にも見える。多少1角ゴチャついたが、好位のイン。そこからはスムーズに運べていた。従って、立ち回りは悪くないが、直線向いてメイショウレガーロが捕まらず、外から2頭に差されてしまった。昨年正月の中山戦が好内容で、この53kgは恵まれた様に思えたが、まだデキが本当ではない。

ドリームサンデー

馬振りで上は居るが、デキは完璧。直ぐ外からメイショウレガーロに叩かれた影響も有ったが、無理せず中段から。3〜4角が妙に反応悪かったが、その割には直線止まっていない。ハナ切らなくても競馬が出来たのは収穫...というよりは、目下本当にデキが良いと見る方が妥当なのだろう。

マンハッタンスカイ

オーストラリアンブリンカー。良くも悪くも平行線。今季はまあまあのデキ。戦前は逃げるかと思ったが、出脚がサッパリで何とか好位。4角無理にマクりに行って余計に末脚無くしていたが、それよりも序盤のスムーズさが無かったのが全てだろう。やはりムラ駆け気味。

レジネッタ

歩様硬いが、一応仕上がっていた。馬体の雰囲気だけなら及第点。ゲート潜り掛かったところを開けられて若干後手。道中は中段やや後方のイン。2000mでは多少行きたがっていた。まあ、4角でサクラオリオンに前をカットされたのが痛いといえば痛いのだが、あれは頑張ってカットされない様に立ち回るのが基本線。その辺りは休み明けや距離面も有って無理出来なかった影響も有ろう。とりあえずこれで変わってくれれば。

マイネルチャールズ

+14kg。成長分がゼロとは言わないが、腹回り多少太い。ただ、気配を表に出しており、歩様にバネが利いていたのも特筆出来る。掛かり気味に好位のイン。ただ、4角で既にアラアラ。休み明け有るにしても負け過ぎ感が有る。札幌は馬場が合わない?

ヤマニンメルベイユ

-10kg。馬の形が良いので然程目立たないが、やはり細い。好発。出脚も速い馬だが、メイショウレガーロに叩かれて2番手。スムーズならまた違うのだが、押しているだけにこの2番手はかなりのロスに。乗り役に言わせると絡まれると弱いそうで、マンハッタンスカイに早目に来られたのも痛かったのだろう。直線はズルズル。そういう意味では言い訳有るが、休み明けで馬体減。目標が先に有る馬がこの仕上がりというのは...。

サマースプリントシリーズ第2戦第9回アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

カノヤザクラ

2人曳き。-6kg。前走中京戦よりはマシといったレベル。ただ、その前走が酷過ぎただけに、良く立て直した方だろう。珍しく好発。出脚はここへ入ると強力ではないが、ゲートが良かった分、叩かれる展開にならなかったのが大きい。しかも、徹底先行タイプには苦しい馬場状態。元々力量的にも上位の存在で、この枠。全てが良い方に向いた。ただ、今年はこれに限らずだが、スプリント路線も例に漏れず手薄。この後は小倉を使わず、いきなり阪神戦だそうだが、グランプリエンゼルよりはサマースプリントシリーズチャンプの可能性高く。

アポロドルチェ

チャカついていたが、1000mだけにこれ位で丁度。毛色の分は大きいが、雨露に光って中々の見栄え。戦前から述べた様に今季はデキが良い。出脚もどうかだが、半馬身程出負け。ただ、枠順的にその辺りが苦にならなかった上に、カノヤザクラが相手を内と決めて、外ラチ沿いを空けてくれて、2着浮上。カノヤザクラの項で述べた様に、時計の掛かる馬場になったのも良かった。

アルティマトゥーレ

何となくだが、今春の阪神戦とは悪い方向で変わった様に見える。2番手位からの競馬。ただ、この馬が一番出脚に余裕が有った。ただ、ラスト300m辺りで左手前に替わってからは脚が上がっていた。最後は馬場だろう。戦前は追走で一杯かと思っていたのだが、出脚で優っていたのは大収穫。オープンでもメド。次走良馬場で狙い目に。

ウエスタンビーナス

今日も少し歩様に硬さ。毛ヅヤは良くなっていたが。出脚はカノヤザクラと五分程度。遂にハナも切れなくなってしまった。最後渋太く粘っているといえば聞こえは良いが、馬場の一番いいところに居て、カノヤザクラと0.4秒差は完敗だろう。今後、余程デキが良くならない限り、この馬も終わった感が。

エイシンタイガー

パシュファイヤー。チャカついて分かり辛いが、トモが甘い。アルティマトゥーレ程ではないが、比較的楽に前へ行けたクチ。ただ、ラスト250m辺りから手応え怪しくなり失速。馬場状態も有ろうが、オープン戦掲示板止まりのウエスタンビーナスに先着出来ない様では話にならない。前走中京戦が恵まれ過ぎただけ。