Sakura Archives

競馬回顧 2014年3回京都

第128回農林水産省賞典目黒記念(GⅡ)

マイネルメダリスト

腹回りがボテッと映るのは体型。まあまあ。3歳時より歩様が力強くなっている。無理せずじっくり行って後方から。前に馬を置いてしっかり脚を矯め、直線だけ大外へ。最後に脚を使っているので、余計に目立つのだが、一追い毎に伸びてキッチリ捕らえた。人気のラブリーデイが先行して、各馬が早仕掛けとなる展開も向いたが、この距離は堅実。ダービーをハーツクライ産駒が勝って、このレースをステイゴールド産駒が勝つのも、トレンドをなぞる。

ラブイズブーシェ

歩様が少し頼りないが、デキ自体は大分戻って来た。元々出脚は遅い方だが、今日も押しても進んで行かない。内へ潜り込んで中段。多少エンジン掛かるのが遅い様にも見えたが、これも最後迄脚を使えている分の2着。有馬記念の4着で全国区になった馬だが、2000m以下では距離が短い様。これも展開一つの馬。ただ、今日でハンデ56kg。次走は57kgだろうが、57.5kgを超えるとキツくなるので、早目に何処かでタイトルが欲しいところだが...。

プロモントーリオ

寸は詰まっているが、無駄肉のない造り。ステイヤーとはまた違う東京2500mで強いタイプ。これも行く気なく中段から。とにかく追ってからがズブく、後ろから来る馬に抜かれっ放しになっており、直線も真っ直ぐ走らせて貰っていないのだが、それでも最後に盛り返して来た。勝ち鞍が東京か福島のダート。この戦績通りにパワーで競馬するタイプの馬。

アウォーディー

前後肢にバンテージ。+8kg。少しボテッと映る。歩様が力強く、デキは良いが。ゲートは出ているが、これも最初から一発狙ってインへ。上手く乗られており、一瞬やったかに見えたのだが、最後の最後で上位馬に差し返された。あくまでタイミング一つだと思うのだが、結果論をいえば経験の差。

ラブリーデイ

毛ヅヤは悪くなかったが、ちょっと馬体の張りが怪しい気も。出して行って2番手。追い出しも出来るだけ我慢していたが、ラスト100mで甘くなった。折り合っていても、東京2500mで前に壁がない状態だと案外終いが厳しい。見た目のやられ方はダラしないが、ハンデ戦でも有り、同情の余地は少なからず有る。

第81回東京優駿(GⅠ)

ワンアンドオンリー

+4kg。周回を重ねる毎にテンション上がっていたのは気になったが、本当に間に合った。歩様も力強い。意外な先行策というよりは、内のサウンズオブアースの先行策に乗りつつ、他馬が来ずで中段から。テンション上がっていたのも出脚強化に繋がった様。流石に多少は行きたがっていたが、その辺りは加減の上手い横山典弘騎手、向正面でしっかり折り合っていた。直線向いてイスラボニータが目標に出来たのも大きかっただろう。相手も渋太かったが、ラスト200mで並んで壮絶な叩き合い。最後半馬身程出たところがゴールだった。それなりに先行させて末脚を使えるのは、馬が本格化していた証。父ハーツクライは脚が曲がっていたにも関わらず、キングカメハメハに迫った馬だが、この馬は真っ直ぐなのが大きい。

イスラボニータ

+6kg。「完璧!」その一言に尽きる。毛ヅヤもピカピカだった。この枠で1番人気、先行する以外に手がなく、好位の外。今迄前に馬を置いて折り合いを付けて来た馬で、当然の様に行きたがっていた。ただそれでも、直線は追い出しを待つ余裕。ワンアンドオンリーと橋口師の物語にやられた格好だが、世代最強の牡馬は間違いなくこの馬。ただし、現段階でほぼ完成されている。最終的な戦績はジェニュイン級になりそうな気もしないでもないが。

マイネルフロスト

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬体に変化はないが、今日は落ち着いていた。内枠2頭が先行して、その直後。その内の1頭が勝ち馬だけに絶好の展開に。トーセンスターダムの粗相も、直前に少し外へ持ち出しており、無事にクリア。今日は全てが上手く行った。距離は少し長い筈だが、この馬が来れる程、内が有利な馬場だったと見たい。ただ、マイラーとしては上級。

タガノグランパ

+10kg。体型はマイラー。ただ、使っている割に歩様に硬さがない。この距離なら出脚は速いところだが、イスラボニータをマークする形。スタート直後に無理をしていない影響も大きいだろうが、意外な程折り合っていた。直線向いて、一瞬の反応の差で、ワンアンドオンリーに進路を作ってしまったのが勿体ないところだが、そこからが渋太かった。元々相手なりの馬だが、この距離でも相手なり。現役では、タマモベストプレイに近い。馬券を買うと痛い目に遭うタイプだが、馬主孝行。

トゥザワールド

+6kg。多少太いが、馬体の張りは文句なし。歩様もスムーズ。内外から先行した馬が居て、一旦下げて中段やや後方から。これ自体は仕方がないが、ずっと外を回されてしまった。直線向いても、頭が高くジリジリ。最後は内にモタれていた。結果的には外枠の方が良かったかも。枠順のツキも含めて、この血統は東京で勝負弱い。

ハギノハイブリッド

前後肢にバンテージ。筋肉の輪郭が浮いて、さらに良化。歩様も落ちていない。これも内外から来られて後方から。折り合いは付いており、位置取りの問題が有ったにしても、伸び案外だった。前走京都戦からもう少しやれてもいい筈だが、トビが大きいだけで全く伸びず。結果的に力不足だったか。

トーセンスターダム

2人曳き。雄大な馬体で見栄えはするが、上位とは少し完成度で見劣った印象。この枠でどう乗るか注目だったが、思い切って先行。序盤はともかく、2番手で折り合いも付いた。エキマエの故障で早目先頭に立たされたとしても、何とかなったかに見えたのだが、直線半ばで内ラチに接触するアクシデント。結果的に若さが出てしまった様。

第75回優駿牝馬(GⅠ)

ヌーヴォデコルト

前肢にバンテージ。+6s。関西で2戦しての馬体増は良い傾向。気配は相変わらず地味だが、馬体が数字の割にしっかりしている。好発。出脚も速く、前を出来るだけ叩いて、1角でインへ納まる形。向正面では中段に居た。3角過ぎから何時でも動ける様に少し外に出したものの、前走同様、直線向いてマーブルカテドラルが邪魔。暫く前が開かなかったのだが、バラけてからが一気の伸び。東京もそうだが、距離延長も何より良かった様。ただ、マイル向きのスピードがないのは確か。次走以降路線選択に難しさも生じるが。

ハープスター

前走と変わらず。皮膚の薄さはこの厩舎独特。ゲートは出ているが、例に依って後方から。流石に道中から外を回ることはなかったが、余裕を持って直線だけ大外へ。例に依って良く伸びているが、坂を上がった辺りから内にモタれ出し、その分届かなかった。レース後に左前脚の落鉄が判明。馬場状態との合わせ技一本といったところだが、戦前囁かれていた距離は流石にナンセンス。ただ、ブエナビスタもそうだったが、追い込みは基本的にこんなモノ。毎度の大外ブン回しを騎手に指示するのは陣営にも多少の驕りが有ったのでは? 勝負事のセオリーに鑑みるなら、背水の陣で臨む次走は100%勝つということにはなるのだが。

バウンスシャッセ

2人曳き。毛ヅヤが冴えて、落ち着いていた。雄大な馬体で見栄えがする。この枠でも有り、ジワッと好位のイン。ただ、朝鮮向いてヌーヴォデコルトの直ぐ内。ヌーヴォデコルトも捌くのに苦労していたが、この馬はその内に居ただけにもう一手間掛かっている。あの位置からヨーイドンだと血統の差が出るところ。技術では決して差はない岩田騎手と北村騎手だが、勝負勘となると話は別。少なくとも能力で負けている訳ではない。

ニシノアカツキ

前肢にバンテージ。桜花賞スキップが正解。馬体減なく、歩様が落ちていないのが何より。出遅れ1馬身不利。すかさず内に潜る競馬。ただ、イン迄には潜れず、直線も結局大外へ。ハープスターのワンテンポ前で、相手の土俵に乗ってしまった。それでも直線、ジワジワ伸びている。正月の中山マイル戦で外枠を克服して2着に来る等、渋太いところを見せていたが、この距離に新味が有ったのは間違いないだろう。上手く乗ればバウンスシャッセとも際どい競馬になっていた。

ブランネージュ

2人曳き。チャカつくのは毎度。ただ、馬体にその影響が出ている訳ではなく、むしろボリューム感を感じさせる造り。マイネグレヴィルの先行策に乗って、前付けの形で好位のイン。上位の中では前に居た分、上手く捌けたが、追ってからは上位に差を付けられた。内枠ならもう少し違っていただろうが、上位とは少し能力差有りそう。

サングレアル

-14kg。馬体減もそうだが、歩様に活気がなかった。出たなりで中段。折り合って悪くない追走に見えたが、追って案外。馬体減が応えたと見る外なさそう。前走少し時計が遅いのを指摘したが、マトモな競馬をしているブランネージュを寸法に採れば、足りそうなレース内容。秋に馬体回復なら本来の良血開花の場面も。

フォーエバーモア

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。-2kg。出来れば増えて欲しかったが、ちょっと細く映った。出来れば増えて欲しかった。外枠馬の先行策に乗って中段。ただ、序盤は結構引っ掛かっていた。直線向いて出て来た位置は悪くなかったが、最後はフォームがバラバラ。かなり苦しそうに走っていた。単純なスタミナ切れだろうが、今後故障が発覚しなければ良いが...。

第21回平安ステークス(GⅢ)

クリノスターオー

2人曳き。前後肢にバンテージ。テンション高いのは毎度だが、最近にしてはマシな方。歩様もこの馬としては悪くない。トウショウフリークにあまり行く気がなく、押して2番手。この位置で流れに乗って、直線向いての手応えも充分。右手前のままで、追ってからフワフワしていた位だったが、そのまま押し切った。見た目には完勝。ただ、ナムラビクターのマクりが不発で、後続の追撃が甘くなった面が相当大きい。毎回、ゲートが少し悪いのも課題。

ソロル

+6kg。前走と変わらずだが、どちらかといえばスカッとした造り。外から先行した馬が多く、無理せず中段辺りから。向正面ではナムラビクターと並走していたが、3角からナムラビクターが動いて行った際に内で我慢させて、直線迄待ってから外へ。結果的にこれがハマッた。外国人騎手が乗って早目早目の競馬が多い馬だが、松山騎手と鞍が合っている。

ワイルドフラッパー

2人曳き。前後肢にバンテージ。メリハリの利いた造りで馬体はパワフル。牝馬だが、この厩舎らしい造り。外枠だったが、例に依って積極的に乗られて好位。少し掛かっていたのは出して行った影響で止むを得ないところだろう。ナムラビクターのマクりを何とか抵抗し、2番手確保かに思われたが、外から飛び道具が飛んで来ては仕方がないところ。ただ、正月にメーデイアが引退。これがダートの牝馬では現役最強。

ジェベルムーサ

前後肢にバンテージ。馬振り上位だが、数字の割に重量感がない。ダート馬ならもっとドッシリ見せて欲しい。ゲート内の駐立が悪く、脚を滑らす様に出遅れて後方から。早目に外へ持ち出してナムラビクターをマークして動いて行ったが、前走阪神戦程の脚がなかった。結果的に外を回り過ぎた気もするのだが...。

ナムラビクター

シープスキンノーズバンド。何時もこれで走っているのだが、相変わらず腹回りがボテッと映る。この枠で行きたい馬に行かせて、馬群の切れ目で外へ持ち出す形。中段で立ち回りとしては悪くなかったが、今日はジェベルムーサに被されて気の悪さを出したのか、直線は全く伸びなかった。前走阪神戦でニホンピロアワーズに食らわした手を今度は自分が食らった形。気が悪いからこそのマクりだけに、前走で手の内がバレたのは痛い。となると、もう少し絞って機動力を求めたいところ。

グランドシチー

前肢にバンテージ。馬体は悪くないが、歩様が一息。下見で妙に内を回っていたのもマイナス。何時も通り後方から。ただ、4角で全く反応がなく、直線もサッパリだった。負け過ぎ。敗因不明。

第9回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

ヴィルシーナ

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。見た目は多少毛ヅヤが良くなった程度だが、前走阪神戦から極端に悪い訳ではなかった。好発。この枠だけに決め打ちという訳ではないだろうが、内に居なかったことも有り、そのまま押してハナへ。1000m通過が58.0秒なら馬場状態を考えると平均より少し遅い位のペース。直線向いて、最初にクロフネサプライズ、次にケイアイエレガント、内からメイショウマンボと次々に襲い掛かって来たが、前述2頭は東京マイル向きの瞬発力がなく、メイショウマンボも内から来ている格好では本来の脚が出せないところ。切れる馬も居たが、その後方で競馬にならなかった。ハナへ行く競馬で馬もヤル気を出して、本来の渋太さを発揮。毎回これを期待するのは酷だが、昨年も述べた様にマイラー色が濃くなっている。

メイショウマンボ

+6kg。馬体が回復したのは良い傾向。歩様がまだ良くなって来ない。意外に出脚は速かったが、無理せず中段で待機。本来はトビの大きい馬だけに、本来は外へ持ち出したかったところだろうが、この馬場で外へ持ち出すことも出来ず、そのままインを突く形。スムーズには立ち回って、現状の力は出し切ったが、デキそのものがもう一つの状況では捕まえ切る迄には至らなかった。ただ、昨年を考えると春よりは秋の方がデキが良いタイプ。連覇の場面も充分だろう。

ストレイトガール

2人曳き。前肢にバンテージ。何とか堪えていた。トモにボリューム感が有り、デキも悪くない。1200mでも行ける馬だが、前にメイショウマンボを置いて、折り合いに専念。脚は上手く矯められたが、直線は中々進路がなく、捌きながらになったのが痛い。ブレーキは掛かっていないのだが、スローで全体の上がりが速いだけに、前には届かなかった。乗り方ひとつで距離がこなせることが分かったのは収穫。

ホエールキャプチャ

近走は高値安定。歩様も力強い。この馬としてはゲート出た方で、丁度メイショウマンボと前後する位置。上手く流れに乗ったが、上位3頭は道中で内ラチ沿いに居た組。この馬もそれなりに伸びているのだが、今日の展開ではこれが精一杯だった。ただ、上位3頭はカテゴリーは違えど、牡馬相手でもそれなりの競馬になる馬。見方を変えると、GⅢレベルのこの馬ではこれで力を出し切ったということになるのでは?

キャトルフィーユ

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。何より気配が良かった。歩様もキビキビ。好発切って好位のイン。坂下での反応が悪く、一瞬置かれてしまっているのだが、そこから盛り返して、最後の脚はむしろ一番良かった程。マイルは流石に距離不足だったが、秋が楽しみとなるレースだった。

デニムアンドルビー

前後肢にバンテージ。大きな減点材料もないが、あくまでまずまずといったレベル。出ッパが良い方ではなかったが、例に依って行く気もなく後方から。ノビノビ走らせてナンボの馬で、直線大外の選択も仕方がないところだが、今日の展開では苦しいところ。ただ、最後の最後に伸びて来た。恐らく昨秋以降、長いところを使って来た影響も有っただろう。今日は結果が出なかったが、この馬の能力には疑う余地がない。

スマートレイアー

2人曳き。前後肢にバンテージ。ちょっとテンション上がり気味。馬体は相変わらず見栄えがする。今日はゲート五分。そのまま中段で流れに乗った。立ち回りとしてはこれで悪くない筈だが、いざ追ってからが案外。前走阪神戦が大出遅れで結果オーライの雰囲気だったが、やはりメリハリを利かせた方が良さそう。

フーラブライド

+12kg。ちょっと太い。腹回りがボテッと映った。この枠で先行出来る出脚はなく、後方から。4角大外も致し方ないところだが、伸びる場面がなかった。マイルは短い様。

第59回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

レッドスパーダ

首を具っと下げて気配文句なし。元々良く見せる馬だが、馬体も単純に一番良く見せた。好発。ただ、コパノリチャードが内から主張して無理せず2番手。マイペースで乗られて、坂を上がってコパノリチャードを捕えた段階で勝負有り。止まる気配が全くなく、そのまま押し切った。馬場状態は味方したが、見掛け上は完勝。道悪はサッパリの馬で前走中京戦はむしろ当然の惨敗、次走どうなるかは別問題としても、これが本来の実力。

クラレント

-8kg。基本的には何時も太目で走っている馬。見た目にはもっと絞れても良い位。この馬としてはゲートが少し悪かったが、出脚で先行。出した分、序盤は少し掛かっていた。3角で上手くインへ潜り、岩田騎手らしい競馬だが、直線でラチ沿いを狙って、コパノリチャードと接触。採決はお咎めなしだが、これも岩田騎手らしいところ。何れにしても東京は堅実。広いコースでリズムを崩さず走れるのが相性に繋がっている気もしていたが、急かして今日の内容なら少し強くなっている。

エールブリーズ

気配を表に出して、充実した馬体。ジワッと中段。直線も内からジワジワ来ているが、前には届かなかった。結果的にはこれでも位置取りが後ろ過ぎたということになるのだが、あれ以上深追いすると引っ掛かりそうな気配も有り、仕方がないところ。GⅡで勝ち負け持ち込むにはもう一段のステップアップが必要。

メイケイペガスター

首でリズムを取って、下見は落ち着いていた。馬体も何時もながら見栄えがする。外から出たなりで中段。上手く折り合って走っていた。直線はエールブリーズと同じ位置からの叩き合いだったが、ラスト100m程で競り落とされた。これ迄がこれ迄だけに、普通の競馬が出来ただけで良しとするべきなのだろうが、レースに迫力がない。イチかバチかでも矯め込んでブッ放す競馬の方が勝つ確率は高そうだが。

アミカブルナンバー

+10kg。馬体増はむしろ好感。歩様もしっかりしていた。ゲートは出ているが、下げて後方から。内が回れていたらまだ違った筈だが、最内にシャイニープリンスが居て、思い切って外へ。ノビノビ走れたのは確かだが、今日の展開では後ろ過ぎた。立ち回り一つでは何とかなりそうだが、上手く乗ってエールブリーズと互角といった程度。

コパノリチャード

2人曳き。+10kg。前後肢にバンテージ。数字分、太目残り。デキ自体は悪くなさそうだが。好発切ってハナ。ペースそのものは、1000m通過が56.0秒と速かったが、レッドスパーダが2番手でガッチリ押さえ込み、道中は単騎。坂を上がる途中でクラレントとの接触が有ったにせよ、直線は伸びなかった。敗因を探せば色々有るのだろうが、やはり基本はダイタクヘリオス。アテにはし辛い。

第19回NHKマイルカップ(GⅠ)

ミッキーアイル

+8kg。キビキビ歩けていて、まずまず。ただ、絶好調とも思えないが。内からダンツキャンサーも頑張っていたが、出脚の違いでハナへ。多少力むところも有ったが、道中はずっと単騎。ダンツキャンサーを叩いた段階で仕事の半分は思わっており、思い通りの競馬は出来ただろう。直線向いて暫く左手前だった為、フラフラしていたが、ホウライアキコが並び掛けて来て、再び加速し、何とか振り切った。ただ、時計が平凡。1分33秒台は馬場状態を考えると遅い。相手に恵まれた感が強くて。

タガノブルグ

2人曳き。イレ込みキツイが、胴がスッキリしている分、トモの張りが目立つ。出脚は一応五分だが、一旦後方に下げて折り合いに専念。ただ、最初に下げた関係で、ラチ沿いがスンナリ取れたのと、スローで馬群が固まったことで、前ともそれ程離されずに済んだ。直線は上手くスペースを見付けて、良く差している。3走前の阪神戦でマイルでも少し距離が長い様な印象も有ったが、それ以上に乗り易いタイプの様。

キングズオブザサン

前肢にバンテージ。ユッタリ使っている為、デキ落ちはなし。少し出して中段。この位置をちゃんとキープ出来ていればまた話は違ったが、タガノブルグに入られてしまい、3角からは並走の形。直線も、1頭分のスペースをタガノブルグに入られて、立て直すロス。そこからは伸びているだけに惜しい。前走中山戦同様、機動力のなさが課題ということにはなるのだが、スムーズなら勝っていたかも。

ロサギガンティア

マイラー体型。少しテンション高いが、馬体は迫力有る。また出遅れて最後方から。ペースが大して速くなかったことも有り、内を突くのは得策ではなく、大外へ。33.2秒で上がっているだけに、馬は責め辛いところだが、届かなかったというよりは、最後脚色が一緒になった感も。基本的には良い脚が長く続かないタイプ。2000mの方が良いという話も有るが、一理有るにせよ、ペース次第。

ホウライアキコ

2人曳き。馬体はこれで良いが、もう少し落ち着いて欲しいところ。一旦はミッキーアイルに叩かれる形だが、積極的に乗られて2番手。前に壁はなかったが、上手く我慢して走っていた。初の左回りでコーナリングが怪しいのも折り合いという点では良い方に出たかも。追ってからの反応も確かで、ミッキーアイルにほぼ馬体を併せたところ迄持って行ったが、そこから相手がもう一伸び。惜しい競馬だが、最後は底力の差だろう。成長の望める血統ではないだけに、今後どうか。

第36回新潟大賞典(GⅢ)

ユールシンギング

2人曳き。首でリズムを取って、気配絶好。強いて言えば、馬体がもう少し成長して欲しいのと、歩様の力強さが欲しい。他馬のゲート入りに時間が要し、リズムが合わず後方から。新潟だけに、道中は徒に動かず、直線に向いてから大外へ。前走後に新潟で狙い目と述べたが、広いコースは向いており、直線は真っ直ぐに駆け抜けた。クビ差だが、乗り役も自信を持って乗っていた印象。文句なしの勝ち振り。

マジェスティハーツ

2人曳き。-8kg。狙い通り絞れて来た。馬体の張りが多少甘いが、前走阪神戦よりは上向き。出脚は使わず、内からジワッと中段。時々引っ掛かる馬だが、今日は折り合いもスムーズ。道中はインで脚を矯めて、追い出すタイミングもバッチリに見えたが、手前が替わらず、苦しくなるとフラつく癖が有る。底力でユースシンギングに見劣った。器用さは評価出来るが、馬力が欲しい。

レッドレイヴン

チャカつくのは毎度。締まった造りで、近走高値安定。行こうと思えば行ける馬だが、今日はゲートが悪くジックリと。追ってからも伸びているが、上位2頭の方が仕掛けを遅らせていた分、最後に甘くなったか。ただ、乗り役の問題というよりは枠順の問題も大きいだろう。相変わらず堅実は堅実。

カルドブレッサ

前後肢にバンテージ。コンパクトに纏まった馬体。歩様もスムーズ。出脚はサッパリの馬で、あまり進んでいなかったが、押して中段やや後方から。直線はマジェスティハーツと同じスペースを狙い、右往左往してしまったが、バラけてからの伸びは中々だった。もう一つ前で競馬出来ていればという内容。ただ、前述した様に出脚がない。もどかしいタイプの馬。

ダノンヨーヨー

前肢にバンテージ。-10kg。馬体の張りに年齢を感じるが、現状のこの馬としてはまずまず。若い頃から出遅れの常連で、今日も出遅れて最後方から。大外に持ち出して、久々にこの馬らしい伸び。今日は前も同じように伸びていたのと、距離も有るだろう。キッカケは掴んだかも。

第62回京都新聞杯(GⅡ)

ハギノハイブリッド

前後肢にバンテージ。この厩舎独特の筋肉。歩様が伸びている点も強調出来る。出脚はむしろ速い方だったが、折り合いを付けて中段のイン。余程手応えが良かったのだと思うが、この時計勝負の馬場で直線は外へ。それでも余裕充分に差し切ったのだから強い。数字以上に馬が良くなっている印象が有る。何と言ってもバリバリの東京血統。今年は東京2400mベストという馬が少ないだけに、この馬でも足りるかも。

サウンズオブアース

2人曳き。今回からシープスキンノーズバンド。馬装の効果なのか、集中力が有った。馬振りは元々良い馬。好発。ジワッと中段。1角で上手くインへ潜り込んだが、坂の下りで手応えが悪く、外へフクれ加減になっていたのが痛い。直線は良く伸びているが、スムーズなら際どい競馬になっていた筈。坂の下りで手応えが悪い馬は総じて完成度が低い。まだ成長の余地を残しているといえそう。

ガリバルディ

前肢にバンテージ。少しイレ込み気味。馬体ももう少し成長が欲しい。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。普段は前に行っている馬で、少し戸惑いが有ったのか、序盤は引っ掛かっていた。直線は外へ持ち出し、シャドウダンサーとの併せ馬で追い込んで来たが、良く伸びてここ迄。結構力んでいたことを思えば、能力を示したといっていいだろう。競馬が上手くなれば相当なところ迄行ける。

シャドウダンサー

前後肢にバンテージ。-8kg。細い訳ではないが、数字分だけ迫力が落ちたかも。出遅れ1馬身不利。これも後方から。道中はハギノハイブリッドを見ながら直線だけ外へ。それなりに伸びているが、ガリバルディには伸び負け。今年はメンバーがソコソコ揃っており、古馬相手でも1000万なら通用する筈だが、対ガリバルディでは能力差が有った。

ミヤジジャスパー

2人曳き。前後肢にバンテージ。+10s。最後方を周回していたが、落ち着いていた。大物感はないが、太目感なく、デキ自体は問題ない。出遅れ1馬身不利。後方からの競馬を余儀なくされたが、多少行きたがるのは何時ものことで、道中はリズム良く走っていた。直線も思い切ってインを突き、ジワジワ伸びていた。戦前は熱発の影響なしと見られただけに、もう少し頑張って欲しかったが、内容としては悪くない。

第149回天皇賞・春(GⅠ)

フェノーメノ

前肢にバンテージ。+10kg。前走中山戦からデキ一変。昨年を100とすれば95点は有る。もう少し出脚は速い筈だが、あまり行く気なく、まず最初にインへ潜って中段から。この高速馬場で馬群がバラけ、立ち回りは上手いだけに、少しでもスペースが有れば捌いて来れる。直線向いた段階で、前が開いた状態になり、ラスト200mで先頭。このタイミングも、後続がかなり迫って来ていただけに、完璧だった。器用さ一本に近い馬だが、毎度のことながら長距離戦の時計勝負は最早それが全て。

ウインバリアシオン

2人曳き。歩様は少なくとも問題なし。何となくボテッと映ったが、前走と大して変わらず。好発。一瞬、引っ掛かりそうな気配が有り、控えて中段やや後方から。流石に折り合いは直ぐに付いた。キズナが後方からの競馬となっており、勝負どころは坂の下りを利して、自分のタイミングでの追い出し。100点の競馬が出来たが、内でセコい競馬をしていたフェノーメノにあと一歩が届かなかった。ただ、最後は脚が上がり気味。父はハーツクライだが、母父がStorm Bird。微妙に距離が長いかも。

ホッコーブレーヴ

2人曳き。相変わらず腹回りはボテッと映るが、あくまで体型。毛ヅヤが冴えている。出脚は速かったが、1周目3角でラストインパクトと接触する場面。一度少し番手を下げて、まずはインに潜り込む形。向正面ではフェノーメノの直後に居た。勝負どころもフェノーメノに付いて行く形。一瞬の機動力ではフェノーメノとは大分差が有ったが、最後は良く差して来た。少なくともキズナには一旦出られているところを差し返している。長距離なら堅実。

キズナ

2人曳き。-6kg。馬体はパワフル。気配を表に出して、今日も満点やれる。例に依って後方から。折り合いも付いていた。動いたタイミングも決して間違っていなかった筈だが、直線向いた勢いでは最低でも2着の雰囲気だったが、最後に失速。レース後に故障が判明。3200mということになると、馬体がパワフルになり過ぎている面は有って、故障がなければこれが原因になるのだが、今日の段階では故障を原因にしておきたい。

タニノエポレット

2人曳き。毛ヅヤが冴えていて、馬の雰囲気はまずまず。この距離なら、もう少しキリッとしていても良いが。スタート直後から最後方に下げてまずはインへ。只管インベタで回って、逃げていたサトノノブレスを捕まえたところがゴール。ただ、これもレース後に故障が判明。

ゴールドシップ

2人曳き。下見は落ち着いているのだが...。歩様にも柔軟性が有って、見た目には前走阪神戦以上。ゲート内での駐立が悪く、痛恨の出遅れ。前走阪神戦同様、行き振りは良かった。途中からでも出て行く手も有った筈だが、さすがにこの馬場で人気を背負っていると動けないのも止むを得ないところ。直線はジワジワ来ているが、キズナとは機動力が違っていた。あくまでこの馬としてはそれなりに伸びている。ゲートが五分で前走の先行策なら競馬になっていた。これでも完全復活成ったと見て良い。

第20回テレビ東京杯青葉賞(GⅡ)

ショウナンラグーン

シープスキンノーズバンド。馬体は回復分。迫力はないが、毛ヅヤが冴えている。出脚が速くない方で後方の内目からジックリと。4角は動けなかったのか、動かなかったのかは微妙だが、直線だけ外へ持ち出す形となり、矢の様な伸びで最後ワールドインパクトを捕えた。左手前のままだった様に不器用な面は有るのだが、スローの割に揉まれず競馬出来たのと、中山で能力発揮出来ずに終わっていただけで元々これ位の力を持っていたのだろう。

ワールドインパクト

2人曳き。前後肢にバンテージ。テンション高いが、垢抜けた馬体、出たなりで中段から。引っ掛かるという程ではなかったが、少し力む場面も有った。4角で少し動いて好位。坂下では既に先頭、ここで隣に居たウインマーレライがもう少し頑張ってくれると良かったが、フワッとしてしまい、内ラチにモタれたところをショウナンラグーンに強襲されてしまった。競馬で負けただけで、比べ馬では勝っている。早仕掛けの影響も有っただろう。乗り方一つで何とかなる筈で、次走も圏内。

ヤマノウィザード

前後肢にバンテージ。馬体に張りが有って、毛ヅヤピカピカ。前走阪神戦がサッパリだったが、デキ一変。これも後方に近い位置。折り合いは付いていた。ワールドインパクトは早仕掛けで、ワンテンポ待って通常の仕掛け位置。ジワジワ来ているが、ラスト150m辺りで左手前になってから止まり加減。良い脚が長く続かないタイプ。

ゴールドアクター

小ぢんまりと映るが、手先は軽い。少し促してワールドインパクトと並走する位置。4角で少し外へ振られた影響も有ったのだが、ワールドインパクトと一緒に動いては少し厳しいところ。最後は脚が上がっていた。もう少し馬体が成長すればここでも通用しそうだが、現状は微妙に力が足りない。

ピオネロ

前後肢にバンテージ。少しトモが甘く映った。ゲートは出ているが、下げて折り合いを付けようとしたところで引っ掛かってしまい、外へ出す形。何とか我慢させていたが、それでも徐々に前へ進んでしまっており、しかもコーナーで動いているので、余計に外を回されてしまっている。今日の5着は力を見せた5着。トビも高く、歯車噛み合えば相当の馬になりそう。

第49回サンケイスポーツ賞フローラステークス(GⅡ)

サングレアル

トモだけが盛り上がっている様な馬体。歩様にもバネが有る。出遅れ1馬身不利。後方でそのままジックリと。向正面でペースが落ち、中段がゴチャつく場面も有ったが、そこに巻き込まれずスムーズに回って来れた。直線向いて中々スペースがなく、坂下辺りまで苦労していたが、開いてからは一気の伸び。ブランネージュをキッチリ捉えた。着差以上に強い勝ち方。スローでも出来れば2分切って欲しかったが、昨年のデニムアンドルビー級の評価は出来る。

ブランネージュ

2人曳き。少しチャカついていたが、馬の造りはしっかり。好発。内の馬は叩いたが、外からマイネグレヴィルが行って好位のイン。1000m通過が1分超えるペースで上手く行ったものの、後続の仕掛けに呼応せざるを得ず、ラスト400mで先頭に立たされてしまったのは如何にも早過ぎた。左手前のままながら、良く頑張っているのだが...。ただ、器用さは評価出来る。本番はレッドリヴェールがダービー挑戦で2番手争いが大激戦。距離にもメドが立っているだけに、その筆頭格には置いて良い。

マイネオーラム

キビキビ歩けていたが、馬はどう見ても500万条件クラス。外枠の馬のゲートがバラバラだったが、この馬は出た方。有る程度出して行って、中段の外。ゴチャついた影響も有ったのか、少し外に逃げ加減となる場面も有ったが、向正面半ばではスムーズに。何れにしても終始外を回されていただけに、上位2頭共ほほぼ互角の評価が出来る。ただ、この馬を寸法に取ると、上位2頭は弱いということになるのだが...。

マローブルー

-6kg。トモの張りは悪くないが、少し腹が巻き気味。ジワッと好位直後。マイネオーラムより一歩前へ行った分も有り、道中は内に1頭置くのみで済んだ。例に依ってトビの大きい走りで、追ってからもそれなりに伸びているが、あとワンパンチが出ない。今日の展開ならサングレアル以外の馬には差されたくなかったところ。パワーアップが先決となる。

ニシノアカツキ

前肢にバンテージ。コンパクトに纏まっている。気配もまずまず。こちらは外枠でもゲートの悪かった方だが、行く気もなく後方で待機。道中は徒に動かず、直線迄待ってから大外へ。ただ、手前が替わっていない分、伸びが甘い。次走、距離は何とかなりそうだが、もう少し器用さは欲しいところ。

第45回読売マイラーズカップ(GⅡ)

ワールドエース

前肢にバンテージ。+16kg。戦前は陣営から泣きが入っていたが、確かに太目残り。出脚は速くなさそうだったが、押して好位。促している分、少し掛かっていたが、無理に控えずそのまま行かせて、4角で射程圏。ラスト300m辺りで捕まえると、その後も脚勢衰えることなく、押し切った。脚元に難が有るので、瞬発力勝負では不安が露呈する可能性が有り、このメリハリのない競馬がむしろ正解。ただ、東京でどうかという部分と、今日のデキでこの時計。馬は決勝線通過後に乗り役を振り落とす程元気だったが、一応は反動を案ずるところ。

フィエロ

2人曳き。馬振りはここでも負けていないが、ディープインパクト産駒ならもっと軽い造りでも良い。これも急かすと掛かりそうな気配が有り、中段で折り合いに専念。ただ、レース前にも少し懸念したが、追ってから少し反応の鈍い面が有る。坂の下りで掛かり、直線入口で一瞬モタついて、直線も右手前のまま。東京ならこれで良いのかもしれないが、何より賞金面で微妙。

エキストラエンド

前後肢にバンテージ。毛ヅヤが冴えて、デキ自体は意外に良いが、上位2頭と比較すると迫力不足。直ぐ右のレッドアリオンが行ってくれたが、付き合わず中段。ただ、3角で一旦引いて内に入れたのがこの時計勝負で結果的には悪かったかも。位置取りが2頭分後ろになり、更に外へ持ち出すロスも有った。パワー的にも見た目から上位2頭とは差を感じた。東京で巻き返す余地は有るが、あくまで連下レベル。

レッドアリオン

もう少し左後肢が出て欲しい。止め絵は悪くないが、動かすと左右のバランスが悪い。好発。スタート直後はカオスモスと並走していたが、主張してハナへ。4角迄単騎で回って来たが、追い出して一瞬右にモタれる場面。あれで脚勢が鈍ってしまった。大事でなければ良いが、下見で懸念したことがレースでも出てしまったか。

オースミナイン

腹回りがボテッと映るが、緩んだところはなく、あくまで体型。しっかり踏めていた。ジワッと好位。折り合いはスムーズで、先にワールドエースを行かせ、仕掛けを遅らせたのも悪い選択ではなかったが、追ってから手応えの割に伸びなかった印象。時計が速過ぎたと考える外なさそう。