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競馬回顧 2016年5回京都

第61回京阪杯(GⅢ)

ネロ

前後肢にバンテージ。+12kg。太い以前に歩様が硬い。気配も一息。出ッパはセカンドテーブルの方が速かったが、何が何でもの構えでハナへ。再び3〜4角中間でセカンドテーブルが仕掛けて来たのだが、4角の手応えが他馬と全く違っており、直線はオイデオイデの大楽勝だった。上がりが36.2秒も掛かっており、道悪適性か、単に後続が差せなかったか微妙だが、この枠でスピードを生かせれば能力そのものが上。尤も、良馬場だと今日の硬さではサッパリだった可能性も有るのだが。

エイシンスパルタン

シープスキンノーズバンド。スプリント戦の割にトボトボ歩く馬が多い中で1頭気配の良さが光った。歩様の硬さも許容範囲。多少アオりながらだったが、好発切って好位。馬場の良い外を通ることは出来たが、逃げ切られる展開になってしまい、ここ迄が精一杯。18番枠だけに今日はこれでベストといえる結果。外枠ならハナでなくても競馬になったのは収穫だろう。賞金面でもこの2着は大きいのでは?

フミノムーン

前肢にバンテージ。+10kg。北海道ではこの位で走っていた。コロンとした体型だが、スプリント戦なら問題はない。出脚が速い方ではないが、最内枠ということも有って、何時もより前。中段やや後方辺りに居た。4角を回り切ってから外へ持ち出す形は今日の馬場状態では一手遅いのだが、この馬場でも重心の低い走法で全く苦にせず伸びていた。理想はこれも賞金が加算出来る2着だっただろうが、最内枠がアダとなっただけで力は充分示す内容。あとは前が止まるかどうか。

アースソニック

前肢にバンテージ。多少太いが、500kgを切れば力が出せる。ゲート内で喧しい馬だが、一応五分に出て中段から。この馬場で馬群の中で競馬させられたのはかなり厳しい面も有っただろう。勢いは明らかにフミノムーンの方が上だったが、例え追い付かれた格好だとしても、馬体を併せて同着迄持ち込んだのだから大したモノ。これはこれで道悪の適性を示す内容。ただ、毎回述べている様に、高齢馬が道悪で走るのは衰えのサイン。良馬場だとスピード不足なのも否めない。

ラインハート

遮眼革。淡々と歩いているのは何時ものこと。馬体の張りは有る。ゲートを五分に出て中段のイン。人気薄でコースロスなく回って入着狙いの競馬。ここ2走、サッパリだった様にオープンでは壁が有るのだが、狙いは当たってここ迄。ただ、走法は道悪が向いている様には見えない。少し下を気にする素振りも有った。

ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 第36回ジャパンカップ(GⅠ)

キタサンブラック

2人曳き。前肢にバンテージ。馬体は文句なしだが、今日は何時もよりテンションが高い。イラプトがゲート入りに手古摺って少し待たされたが、例に依って好発。一瞬で1馬身抜けた。2番手がワンアンドオンリー、3番手がリアルスティールでは鈴を付けに来る筈もなく、1角で隊列を整えてしまった。1000m通過が61.7秒。何時もの様にレースを支配して、後続を釘付け。ただ、今日は今迄ラチを頼っていた馬が内目の馬場が悪かったことも有り、3頭分程開けて走っていた。直線だけをいえば逃げ馬にとって楽な形ではなかったのだが、オイデオイデの楽勝。デビュー以来、一番強い競馬だった。決め手一本のタイプに厳しい馬場だったのも向いた感は有るが、兎に角東京で結果を出したのは立派。今日は仕上げが究極で、次走中山でお釣りが残っているかどうかは疑問の余地も有るが、今年の王者なのは間違いない。

サウンズオブアース

-8kg。淡々と歩いていたのは良し悪し有るだろうが、馬体が絞れた点には好感が持てる。歩様も一段としっかりして来た。珍しく好発。リアルスティールに叩かれる形では有ったが、中段は確保。昨年程ではないにしても、1角で多少ゴチャついた以外はスムーズに運べた。外回ったのもこの馬場状態を考慮すれば差し引きゼロに近い。力通り伸びて来たが、前で楽をしていたキタサンブラックが居た。また2着ということにはなるが、今日はこれで最良の結果。ただ、この馬場でも多少ノメる場面も有った様に見えた。デビュー以来19戦全て良馬場だが、ネオユニヴァース産駒にしては道悪は不向きかも。

シュヴァルグラン

2人曳き。+8kg。前走より張りは有るが、多少太い。チャカつくのは毎度で、ここがゴールドアクターとの差。ゲートは五分に出ているが、この枠で急かす訳には行かず、中段やや後方から。眼前にはサウンズオブアースが居た。東京で徒に動く訳にも行かず、スロー覚悟で待機。ただ、4角で少し手応えが悪く、そこでサウンズオブアースとの差を広げられてしまったか。最後はちゃんと詰めている。枠も有るだろうが、太目が反応の鈍さに繋がってしまったかも。キタサンブラックの様な先行力やドゥラメンテの様な決め手が有る訳ではないので、GⅠとなるとパンチ力が欲しい気もしないでもないが、力そのものは充分足りる。

ゴールドアクター

2人曳き。遮眼革。+8kg。馬は張っていたが、少し太く映った。気配も何時もより大人しい。出脚は有る馬でスッと好位のイン。折り合っていたが、直ぐ外に居たのがリアルスティール。どうもムーア騎手が道中ずっと内目の悪いところへ押し込めようとしていたフシが有る。ワンアンドオンリーも邪魔になっていた。直線だけは何とか外へ持ち出して、リアルスティールとの併せ馬は凌いだが、外から飛んで来た2頭をハネのけるだけの余力は残っていなかった。勿論、馬体増も影響は有った筈。中山で改めての期待は当然。

リアルスティール

一応は前走と変わらず。力感のない歩様も毎度。馬も行く気になっていたが、積極的に乗られて好位の外。1角は別にして、前に馬を置かなくても折り合いが付くのは前走で証明済。直線でキタサンブラックを追うのは諦め、外のサウンズオブアースに併せに行って着を取りに行く執念も見せたが、最後に甘くなった。春は1600mでも引っ掛かった馬で、調教の工夫で大分マシになっているとはいえ、やはり距離が少し長いのだろう。

第3回ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)

カデナ

コロンとした体型で少しトモが甘い。ディープインパクトらしいといえばそうだが...。ゲートも微妙に悪かったが、行く気もなく後方から。1角迄は前がやり合っていたが、向正面でガクッとペースが落ちてスローの流れ。元々少頭数だったが、4角で馬群が固まって外でヴァナヘイムを目標に良い形で回って来れた。追ってからも1頭違う決め手を発揮。ラスト100m程で手前は替わったが、真っ直ぐ伸びていた点にも好感が持てる。ただ、勝ち方が鮮やか過ぎて能力判定し辛い。メンバー的にもここは多少低調だった感も。次走が試金石。

ヴァナヘイム

前後肢にバンテージ。垢抜けた造りは別格。全身バネといった馬体。ゲートをアオり気味に出たが、この枠とこの頭数で大した影響はなく中段を確保。折り合い面はガッチリ抑えている分には堪えていた。4角の手応えは悪くなく、それなりに伸びているのだが、内へモタれて他馬を邪魔する場面。先週同様、以前の基準なら降着だった事例だろう。スパッと切れる訳ではないものの、真っ直ぐ走って追い比べに持ち込めていたら際どくなっていた。見た目の派手さが違うだけで、持っている能力そのものはカデナとのそれ程差はない。

ベストアプローチ

2人曳き。後肢にバンテージ。チャカつく。馬はスカッと見せ好感が持てるが。好発も出脚が怪しく中段から。向正面でペースが落ちた際にそのまま行かせて番手を上げて内に潜る形。コーナーでの距離損を最小限に出来たのだが、ヴァナヘイムが内にモタれた際にプラチナヴォイスが引っ張り、そのアオりを食らって立て直す場面が有ったのが痛かった。最後迄諦めずに伸びている。500万は楽勝だろう。

ワンダープチュック

胴回りはしっかりしているが、メリハリのない馬体。スタート直後に躓いてダッシュが鈍り後方から。バラけた位置で乗られたことも有るが、課題の折り合い面はデビュー以来一番スムーズだった。4角回ってカデナと似た様な位置に居ただけに、0.7秒差は言い訳がない。ただ、新馬が重馬場だった。今日の様な決め手を要求される展開よりは、時計が掛かる馬場になった方が良さそう。

ソーグリッタリング

若干腰高。歩様が甘いという程ではないが、まだまだ成長の余地を残す。好発。アダムバローズがハナへ行こうとしたところマイネルザウバアが主張。その2頭に行かせて好位のイン。前はやり合っていたが、結局スローになったことで絶好の展開になった。ただ、エンジン掛かったところでヴァナヘイムの幅寄せで引っ張る場面が有ったのが痛い。マトモなら3着争いは際どくなっていた。これも500万は通過点に出来る筈。

ジャパン・オータムインターナショナル 第33回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

ミッキーアイル

前走中山戦と大差はないが、今回の方が重量感を感じさせる分だけ良く見せる。好発。1馬身抜けた。如何に出脚を使わず前に行けるかがこの馬のポイントだが、願いがアッサリ叶った。2番手のネオリアリズムがガッチリ抑えてくれたのもこの馬には絶好の形になった。直線向いてネオリアリズムに並び掛けられたが、二枚腰を使って一杯一杯振り切った。例の粗相が有っただけにスッキリとした形ではなかったが、これはネオリアリズムのムーア騎手が馬体をピッタリ併せて外ステッキが使えなくした点も影響している。この馬自身は毎回述べている様に、外からジワッと行った方が結果が出るタイプ。全体の時計は平凡でも、1000m57.5秒で行って粘っている点も評価出来る。

イスラボニータ

前走東京戦と変わらず。活気と重量感が有る。昨年程ではないが、今年も微妙にゲートが悪い。ただ、ここで上手く立ち回って中段やや前の位置が取れたのは大きかったか。4角で外へ持ち出したのも結果的に正解。不利を食らわず、一直線に走れたのは大きかった。昨年3着から一歩前進だが、モーリスが居なくなってレベル低下した分、この馬が浮上した形。加えて、ちょっと時計面に天井が有る様な印象も。今日は上がりが掛かる展開になったのが良い方に向いた。

ネオリアリズム

+6kg。間隔が開いて、多少緩い。気配は悪くなかったが。形の上ではミッキーアイルに叩かれているが、この馬自身が微妙に出負けしており全く影響なく、外のサンライズメジャーだけ牽制しつつ2番手へ。出脚がマイル向きではないので、仕掛けている分、少し行きたがったが、3角で折り合いが付いた。決め手勝負では分が悪く、坂の下りを利してミッキーアイルと捕まえに行き、直線入口で並走迄持ち込んだが、流石にミッキーアイルの方が底力が上。距離適性の問題も有るが、少なくともミッキーアイルとの差はそこではないだろう。

ダノンシャーク

2人曳き。+6kg。多少腹回りがボテッと映るのは年齢の影響だろうが、馬に活気が有るのは何より。ゲートは速い方ではなく、例に依って後方から。これも何時ものパターンでインに入れて直線勝負。最内には拘らず、少し外へ持ち出したが、最小限の不利で済んだ。このレースの過去の覇者で京都には元々良績が有った上に、上がりが掛かって1分33秒1の決着ならこの位は走れるが、既に馬券圏内に入るだけの力はない。これで引退とのことだが、引き際としては妥当。

サトノアラジン

-6kg。前走の馬体を絞って今日は究極に近い。気配は地味だが、歩様も伸びていた。今日も微妙にゲートが悪く、後方に近い位置。内目の馬場が悪いことも有り、避けて通った馬が多く、3角迄に番手を上げて中段。京都の外回りらしく、直線向いて前の2頭以外がズラッと横に並び、その最内と展開はハマッたが、例の不利が全て。尤も、GⅠで後ろから行ってインを突くとなると、この手の不利が有るのは日常茶飯事。ゲートをちゃんと出ない馬も悪いということにはなる。

フィエロ

叩いて前走以上。馬体が締まって来た。今日は普通に出て中段から。折り合いも付いて、直線はイスラボニータの外。直線も伸びていない訳ではないが、今日の展開だと少なくとも馬券圏内はないと値打ちがない。ちょっと案外感が残る。衰えが有りそう。

第21回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

ブレスジャーニー

前後肢にバンテージ。相変わらず血統からこの馬体が想像出来ない様なスカッとした造り。現時点での完成度が高い。少しチャカつくのはマイナス。出ッパは決して速くなく、出たなりで折り合いに専念して中段から。バラけた位置だったことも有り、我慢して走っていた。直線向いて、ムーヴザワールドにフタをされる様な格好になり、立て直して外へ。更に加速が付いたところでスワーヴリチャードに内から寄られる事象も有り、悲惨な競馬になったが、それでも余裕を持って差し切った。無茶苦茶強い。疑う余地なく、現時点での2歳最強。あとは厩舎技量の問題。

スワーヴリチャード

ソコソコ迫力が有って、バランスの取れた馬体。叩いて馬体も締まって来た。出遅れ1馬身不利。徐々に番手を上げ、馬場の悪い内を通っていた分、多少ノメる場面も有ったが、馬は気にせず走っていた。直線は外へ持ち出し、反応も良かったが、最後の最後に甘くなった印象。坂を上がった辺りではムーヴザワールドに1馬身近く前に居たが、そこからハナ差迄追い詰められている。結果的に出遅れを挽回しようとして早目早目の競馬が応えたか。とはいえ、ブレスジャーニーの強さは相当で、これで最高に近い内容。賞金を加算出来たのは何より。

ムーヴザワールド

2人曳き。前後肢にバンテージ。馬が1頭抜けている。雄大な馬体でバネを感じさせる歩様。半馬身程出負けして中段やや後方から。折り合いは付いていたが、直線向いてからの反応が悪く、そこでスワーヴリチャードに離されてしまったのが痛かった。最後は盛り返しているが、前走阪神戦同様、エンジンが掛かるのが遅いのが欠点。性能そのものは間違いなく高く、先々は走って来そうだが。

キングズラッシュ

前肢にバンテージ。少し寸詰まり気味の体型。それでこの数字だから馬に幅が有る。もう少し馬を締めても良いが。これも出遅れて後方からジックリと。途中でスワーヴリチャードが上がって行ったが、付き合わず待機。ソコソコ伸びているが、前に追い付ける迄には至らず。不利はなかっただけに現状の能力だろう。

トラスト

+12kg。若干緩い。尤も、太い細いの前に、このメンバーに入ると馬が一枚劣る。トモの肉付きの良さは目立つが。好発も、マイネルエバティカが主張して2番手。実質同馬主とはいえ、相手はクラブの馬で商売を考えると引かざるを得ないところ。マイネルエバティカはそれなりに飛ばしてくれたが、3角辺り迄はかなり力んでいた。追ってからも外へモタれ気味。その上での0.4秒差は悪くない着差ともいえるのだが、今日のところは弱点が出た格好。

ジャパン・オータムインターナショナル 第41回エリザベス女王杯(GⅠ)

クイーンズリング

+10kg。馬体増は好感。ボリューム感が出て来た。馬にも活気が有る。ゲート内で少しガチャガチャしていたことも有り、出遅れて後方に近い位置。ただ、結果的に後述する不利に巻き込まれずに済んだ。このレースの特性と、前に人気薄が揃っていたことも有り、スローになったが、内でジッといた。4角をコーナーワークで差を詰め、前と4馬身程の差に収められたのが最大の勝因。追われてからの瞬発力が1頭違っていた。他馬の凡走は有ったにせよ、限定戦レベルの馬とは格が違った印象。今日のところはそれ以上でもないが。

シングウィズジョイ

2人曳き。後肢にバンテージ。結果が出ないだけで、馬は何時も見栄えがする。ゲートを決め、この馬の出脚でジワッと先行。内枠の人気どころが後方に回った為、9番枠でも上手くインに潜り込めた。逃げたプリメラアスールが頑張ってくれて、4角迄先行。これも番手のこの馬にはラッキーな展開。直線向いて早々に抜け出し、出し抜けの格好になったが、ラスト100m程で左手前になってから甘くなってしまった。これで負けたら仕方がない。牝馬戦なら重賞級の実力を持っているが、基本的にはマイラーで距離が長いのだろう。

ミッキークイーン

2人曳き。+10kg。中間は一頓挫有った様だが、決して悪くない。気合が乗って、毛ヅヤも冴えていた。スタート直後に行きたがっていたのを宥めつつ中段。1角進入時にはマリアライトと並走していたが、内に居て不利を食らわずに済んだ。スローを見越して、早目に外へ持ち出して捕まえに行く意思は見せているのだが、どうにも反応が鈍い。スローで尚のこと目立ってしまった。最後は詰めているが...。乗り役にいわせると休み明けはこの症状が有るとのこと。

パールコード

2人曳き。前後肢にバンテージ。踏み込みが力強く、馬も主力どころにスカッと見せる馬が多く、迫力が有る。スタート直後にシャルールに寄られ、出脚が鈍ったが、そこで馬が引っ掛かってしまい、好位へ。そこからは何とか折り合っていた。直線はジリジリったが、トビの大きい馬で、バテてはいない様に見えた。相変わらず一瞬の脚がない。

プリメラアスール

+8kg。毛ヅヤの良さは目を引くが、もっと増えても良い位。頭が上がって、重心が高いのはマイナス。恐らく最初からの決め打ちでハナへ。押して行って、序盤は少しリズムを欠いたが、1角過ぎからはマイペース。これで負けたら力負けという以外にないが、今日の経験は生きて来そう。トモに力が付けば来年は一発狙える。

マリアライト

2人曳き。前肢にバンテージ。-8kg。叩いて更に良くなった。今日は完璧。気配も良かった。内で競馬する様なタイプではなく、早目に外へ持ち出したかった様だが、1角で例の不利。落馬寸前のアクシデントとなり、そこで終わってしまった。参考外。

第51回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

ジューヌエコール

前後肢にバンテージ。バランスのとれた造りだが、迫力は感じない。キビキビ歩けていた点には好感。前走は出遅れていたが今日はゲート五分。この馬より内枠の馬が行くか控えるか、メリハリが付いたことも有って、スッとボンセルヴィーソの直後。結果的にこのスローで出脚を使わずこの位置を取れたのは大きかった。序盤は多少掛かっており、坂の下りでもかなり引っ張っていた様に見えたが、追い出して上がりが速い展開の中でしっかり伸びて快勝。牡馬相手に勝った点は評価出来るが、今日は上手く行き過ぎた感が強い。

ボンセルヴィーソ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。トモに迫力が有る。歩様にも力強さが有り、パワーは上位。ゲートはベルカプリが一番速かったが、これも前走とは違ってこの馬も五分に出て、枠と出脚で制してハナへ。2歳戦とはいえ、1000m通過が1分を超えるスローに持ち込めた。直線も渋太かったが、ジューヌエコールには競り負け。今日の展開だったら何とか押し切らないと評価出来ないところだが、能力で負けたというよりはジューヌエコールの決め手に屈した印象も。惜しい内容。

サングレーザー

馬振りは上位だが、少し気負っていた。ベルカプリに叩かれる形となったが、全く問題はなく立て直して好位の外。下見で力んでいた様に、レースでも行きたがっていた。そんな展開でも決め手が鈍った程度で、バテてはおらず、3着。ジューヌエコールと枠が逆だったら勝っていた可能性も高い。課題は有るが、能力は持っている。

ディーパワンサ

前後肢にバンテージ。+10kg。馬体増には好感。毛ヅヤが冴えていて、歩様もしっかり。前で行きたがっていた馬が多かった中で、好位で折り合えていた。ただ、勝負どころで反応が鈍く、少し置かれる様な格好に。最後の最後でエンジンが掛かって際どく詰めて来たが、勿体ない内容だった。恐らくは休み明けの影響も有っただろう。叩いた次は良くなる筈で、限定戦なら重い印を打てる。

ベルカプリ

前肢にバンテージ。トモに力が付き切っていない。テンション高いのもマイナス。好発も内からボンセルヴィーソが主張して2番手。向正面ではジューヌエコールと並走していたが、コーナーでラチ沿いに寄せて、それなりに粘っているが、ラスト1Fで甘くなった様に見えた。坂の下りで手応えが若干怪しくなっていなければもう少し際どくなっていた筈で、初の外回りが裏目に出たかも。この形でも競馬になったのは収穫だが。

タイセイスターリー

前後肢にバンテージ。+8kg。太いのとイレ込みがキツ過ぎる。今日は論外。アオり気味に出てダッシュが鈍ったが、促して馬群に取り付く形。ただ、頭が上がる場面も有り、ずっと外へ張り気味。流れに乗れていなかった。追ってからもサッパリで、今日は能力を出せず終い。

第21回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

タガノトネール

前肢にバンテージ。芝でもイケそうなバネを感じさせる歩様。馬体をドッシリ見せる点にも好感。好発。ドリームキラリの逃げに乗る形で2番手。1000m58.3秒は馬場を考えるとスロー気味。手応えも良さそうだったが、3〜4角中間辺りからドリームキラリと並走に持ち込み、相手がモタついている間に一気に交わし先頭。昨年はこの形で止まったが、レコードが出る時計の速い馬場状態ということも有り、今年は止まらない。ここでセーフティリードを築けたのが大きかった。これでモーニン相手に4戦2勝。決め手はないが、中々渋い。

ゴールドドリーム

前肢にバンテージ。コロンとした体型でどちらかといえばマイラー寄りだが、古馬相手でも馬は負けていない。半馬身程出負けして中段から。丁度、目の前にモーニンが居て、マークする格好。悪い形ではなかったが、勝負どころで包まれてしまい、外へ持ち出している間に前と途方もない差が付いてしまった。今日は地力で差して来た2着。この内容なら古馬相手でも充分足りるだろう。次走も圏内。

カフジテイク

前後肢にバンテージ。毛ヅヤが良かった。馬体も重量感が有ったが、もう少しキビキビ歩いてくれれば理想的。出遅れは毎度で、そのまま後方でジックリと。直線大外へ持ち出すのは予定通りだろうが、スローだったのと、スズカセクレターボが外にヨレ気味になっており、かなり邪魔になっていた。2馬身近く損しており、上手く行けば2着有った様な内容。東京では馬券圏内外したことがなく、常に警戒が必要。

キングズガード

前肢にバンテージ。今夏辺りから本格化。トモの肉付きが良くなっている。以前程ではないにしても、ゲートが微妙に悪いのだが、この馬場状態を乗り役が読んで3角で好位へ。その分、馬が少し掛かったか。直線も最初から内にモタれており、何時もの伸びがなかった。今日はこの策で仕方がないが、馬の力を出し切ったかとなると疑問符が付く。

ドリームキラリ

前肢にバンテージ。チャカついていたが、馬体にはメリハリが利いてシャープ。ゲートはタガノトネールの方が速かったが、枠の分制してハナへ。上手くスローに落とせたが、コーナーで外へフクれそうになっており、そこをタガノトネールに一気に交わされてしまった。直線も止まっている訳ではないが、逃げ馬に35秒台で上がれというのもキツい話。右回りならスムーズで、馬券的にはそこが狙い目。

モーニン

2人曳き。前後肢にバンテージ。キビキビ歩けていた。少なくとも下見に減点材料はない。ドリームキラリに叩かれる格好になって好位から。向正面は少し力んでいた様に見えたが、3角手前で引っ張っている間にヨレてしまい、他馬と接触。リズムを欠いたまま終わってしまった印象。斤量を背負っていただけに余計に応えただろう。1600mがダメという訳ではないが、本当のベストは1400mかも。

第7回みやこステークス(GⅢ)

アポロケンタッキー

2人曳き。560kgの馬で立派に映るのは何時ものこと。前走東京戦で久々に凡走したが、特に変わった印象はない。大型馬の割に出脚が有る方でスッと好位直後。乗り役にいわせると揉まれる弱そうとのことでバラけた位置を追走。3〜4角中間から早目に外を追い上げて行った。逃げたモンドクラッセとの間に5,6頭噛んでおり、決して楽なマクりではなかったが、ラスト200mで先頭に立つと右手前のまま一杯一杯振り切った。強引だが、中々強い勝ち方。東京なら直線一気で足りるだろうが、他場ではコーナーで動く必要が出て来る。内外から併せられると厳しい印象。展開に注文が付く。

グレンツェント

2人曳き。前後肢にバンテージ。+6kg。大きな減点材料はないが、古馬の方が風格が有ったのは確か。ゲートが怪しいのは何時ものことで中段から。アポロケンタッキーのマクりに反応した馬が多く、内に居たこの馬にとっては4角でズラと壁が出来てマトモに砂を被る形。流石に手応えが悪くなっていたが、外へ持ち出して視界が開けてからは良く伸びた。惜しい2着だが、あれで捕まらない以上は能力差が有るといわざるを得ない。尤も、まだ3歳。アポロケンタッキーとは1kgしか差がなかったことを考えても直ぐに逆転出来るだろう。ラニは残念ながら競馬にならなかったが、今年の3歳馬は層が厚い。

ロワジャルダン

前後肢にバンテージ。手が出し辛い歩様は何時ものことだが、馬体の張りは今年一番。最近、引っ掛かる場面も有り、折り合いに専念して中段やや後方から。砂は被って平気な馬で最内をコトコト回り、前述した様に4角で横に並んだことも有って、捌き易い展開になった。昨年同様、馬群を割って伸びているが、今日の展開で届かない以上は馬が足らなかった以外にない。一瞬だけ脚を使えるのだが、何時もそれで終わってしまっている。

モンドクラッセ

前肢にバンテージ。+15kg。毛ヅヤは悪くないが、多少太いのは間違いない。今日はこの馬としてはゲートを出た方だが、相変わらず出脚が苦しく押してやっとハナ。1000m通過61.0秒はそれ程速くないが、毎度のことながら序盤のロスは痛い。4角で少し突き放す格好は造ったものの、そこ迄だった。悲惨な出脚の割には良く頑張っているといえるが...。重賞に来ると何か速い馬が居るのは仕方がないところ。

メイショウヒコボシ

+6kg。トモが甘く、馬体も緩い。モンドクラッセに少し抵抗しつつ好位のイン。折り合ってセコい競馬が出来た。ただ、直線向いて一瞬の脚がなく、そこをロワジャルダンに内から交わされた際に少し引っ張る場面。最後はジワジワ伸びているが、要は瞬発力不足。こういう競馬は向いてなさそう。距離ももっと有った方が良い。

アスカノロマン

前肢にバンテージ。+10kg。数字分だけ少し緩く映った。外から促して3番手。常に前を射程圏内に置いてこの馬のパターンかと思ったが、4角で既に手応えがなくなっていた。本来は2番手が欲しかったところだろうが、スタート直後に内からインカンテーションに競られたのが痛かった。58kgで出脚を使うと終いが甘くなる。

第54回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

シュヴァルグラン

2人曳き。+6kg。意外に煩いのは何時ものこと。少し余裕残しだが、次走を考えるとこれで充分。出脚でジワッと好位。序盤は少し宥めながらの追走。正攻法で外へ持ち出し、坂を上る辺り迄は付いて来ていた馬も居たが、坂を上ってからもスピードが衰えず押し切った。今回に限らずトップハンデがソコソコ走る様に東京2500mはまず持続力だが、適性が他馬と違っていた。次走へ向けては展開と馬場状態。今日は前開催より上がりの速い馬場状態だったが、スローで極端に速くなると厳しい面も。能力自体は足りる。

アルバート

+12kg。元々がスカッとしたタイプだが、多少メリハリがなくなった印象も。歩様や気配等、走れる状態では有っただろうが、トータル8割程度。半馬身程出負けして中段やや後方から。1角でゴチャついたのも少し痛かったが、折り合いは付いており、影響は最小限に留められた様。4角回ってシュヴァルグランの直後。良い位置に出て来れたが、暫くモタついていたものの、最後迄加速して2着浮上。こちらも持続力を見せ付ける競馬が出来た。同じ休み明け、1kg差有って負けただけに言い訳はないのだが、出負けしたのが結果的に響いた印象も。少なくとも昨年よりは強くなっている。

ヴォルシェーブ

前肢にバンテージ。大分トモにボリューム感が出て来た。馬振りで上と差が有るが、毛ヅヤもピカピカだった。折り合いに専念して中段やや後方から。スローを嫌って直線迄待たずに動く形。一瞬は勝ったかの切れ味だったが、最後に甘くなった。3歳時の世代限定戦は別にして、実質初重賞挑戦で東京2500mを勝つのは難しい。春の目黒記念より、秋のこちらの方が特にその傾向は強い。ただ、今日の経験は勿論大きいところで、もう1回やれば逆転も可能。

モンドインテロ

2人曳き。微妙に寸詰まりの体型も含めて、春と大きく変わらず。毛ヅヤが冴えてデキも維持している。好発も出脚を使わず好位直後から。行きたがったのは序盤だけで、折り合いは付いていた。直線向いてからもスムーズに捌いて一旦は勝ったか勢いだったが、馬群を抜けたところで直ぐに甘くなり、一気に外から3頭。上手く乗られたが、前々走同様、重賞のメンバーだと少し甘い。今日はルメール騎手が10戦連続連対の記録を作ったことで一番人気に推されていたが、流石に過剰だった。

フェイムゲーム

2人曳き。前後肢にバンテージ。-4kg。去勢明けだが、大きく減らなかったのは珍しい。踏み込み力強く、馬体にも張りが有った。文句なしのデキ。余り出脚の速い方ではなく、後方でジックリと。手探りの面も有った筈で、直線迄待ってから追い出していたが、ラスト400m程で一旦全部壁になる場面が有りながら、バラけると再び加速してここ迄。競馬を投げる様になった為の去勢ということの様だが、効果は有った様。この条件ならまだまだやれる。

第21回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

ミスエルテ

2人曳き。-6kg。垢抜けた馬体。走る馬らしい品の良さは感じさせるが、如何せんテンションが高い。勿論馬体細化傾向もマイナス。出遅れ2馬身不利。ただ、今日は最初からペースが遅く、直ぐに追い付いて馬体に取り付いていたのは大きかったか。3〜4角中間で外へ持ち出し、エンジン掛かった瞬間に何とかなったかの決め手。ノーステッキでゴール前は抑える余裕が有った。気性面や線の細さ等、問題は山積みだが、化けモノクラス。このレースは過去の勝ち馬にスイープトウショウが居るのだが、今日のパフォーマンスだけをいえば歴代No.1。

ショーウェイ

+6kg。毛ヅヤは冴えていたが、トモの甘い歩様。馬体にもメリハリを欠く。出脚が抜群に速いという訳ではなさそうだが、同じく戦前から行きたそうにしていたドロウアカードに出脚で勝ち、モンローもアッサリ引いてくれたことでハナ。外回りということも有るが、隊列決まる迄が極端に遅かった。ミスエルテが出遅れたことで、道中も各馬が動くに動けずずtっと単騎。Bコース替わりの馬場でラチ沿いで一旦突き放す場面さえ造れば誰でも2着に残れる。ベストがハナなのは間違いないが、マトモならハナすら行けない出脚しかない。

ディアドラ

前肢にバンテージ。しっかり踏めていた。コンパクトに纏まった造り。ゲートは速い方だったが、全く行く気なく後方から。結果的か意図的かどうかは分からないが、ミスエルテをマークする格好。4角大外へ持ち出し、ミスエルテとは差が有ったにせよ、良く伸びているが、3着は痛恨。重賞で足りる能力は有りそうだが、初の右回りの影響が出たか、内にモタれていた。馬も乗り役も責められないが...。まだ余裕が有るとはいえ、賞金は加算したかった。

クインズカリナ

2人曳き。前肢にバンテージ。馬体に非力感はないが、気負っていた。こちらは決め打ちだった様だが最後方迄下げてインへ入れてからのレース。このペースでも折り合っていたが、直線迄待ってから外へ。全身を使った走法で、良い脚を長く使える印象。前へ行って甘いレースが続いていたが、この馬にとってはこの方が合っている。ダノンシャンティ産駒で気性的に難しい面も有るだろうが、距離もこの方が融通性が有りそう。

ゴールドケープ

前肢にバンテージ。意外に丸みの有る馬体。小さい馬に有り勝ちな歩様の硬さがないのは何より。少しゲートが悪かったが、掛かり気味に好位の外。先着4頭はスローの中で思い切って乗っていたクチで、道中気分良く走っていた。ソツなく乗ったつもりが、今日の展開で結果的に競馬が中途半端だったか。4角で前を被せに行っているとまた違うのだが、その脚もなかった。雪崩込んだだけ。

第52回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

モンドキャンノ

前後肢にバンテージ。皮膚の薄い馬体。筋肉が浮いており、見栄えする。前走函館戦で気になった歩様も良化。出遅れ1馬身不利。道中は中段から。何とか前に馬を置いていた様だが、馬群の外で結構行きたがっていた。直線も外から追い出されると、トビの大きいフットワークでジワジワ伸びた印象。回転数は決して多くないが、内に少し切れ込みつつ、レーヌミノルと馬体が合ってからは真っ直ぐ走ってもう一伸び。レースレベルは別にして完勝の内容。函館デビューだが、むしろ東京向きだった様子。あとは距離。この競馬だとマイルも怪しい。

レーヌミノル

良し悪し別にして淡々と歩いていた。前走小倉戦よりは馬体が締まっている。好位で落ち着こうとしていたところで、ディバインコードが引っ掛かり、連られる様に2番手。4角では一息付けたが、少し痛かったところ。上がりの速い馬場で逃げていたタイムトリップも渋太かったが、追ってからもしっかり反応しており、モンドキャンノにも良く抵抗している。前走が強かっただけにこのメンバーなら何とかしたかったところだが、悲観する内容ではない。ただ、1200mの方が小細工なしで競馬出来るのも確か。1400mだと少し工夫が要る。

ディバインコード

前肢にバンテージ。+8kg。馬振り自体が良い。踏み込みもしっかり。バネも利いている。レーヌミノルに連れる様に3番手。レーヌミノルマークは頭に有っただろうが、道中は結構掛かっていた。追い出して一瞬の反応がなく、頭が上がっていたが、ラスト100mで再び加速して3着浮上。気性的な問題はともかく、スタミナ自体は持っていそう。

コウソクストレート

前後肢にバンテージ。もう少し腹回りを絞って良いかも。馬体の張りは有って、デキ自体は悪くなさそうだが。ゲート内で煩かったことも有り、出遅れ1馬身不利。直線向いてからの反応も一息で、置かれそうになっていた程だったが、坂を上がった辺りで漸くエンジンが掛かりここ迄。まだ競馬になっていない状態。それで新馬,特別と連勝ならちょっとしたモノだが、今日の内容では重賞は遠い。

タイセイブレーク

2人曳き。前後肢にバンテージ。-12kg。毛ヅヤピカピカ。気配もまずまず。数字は前回増えた分も有り、現状ではベスト。もう少し馬体にメリハリが来れば理想的。出たなりで中段から。折り合いが付いてスムーズに運べていた。セコい競馬は出来たが、4角で前に数頭居て捌きながらになった分、伸びが甘かった印象。決め手がもう少し欲しいところだが、器用さは持っている。