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競馬回顧 2017年2回阪神

第77回皐月賞(GⅠ)

アルアイン

2人曳き。前走阪神戦辺りから毛ヅヤが良くなった。多少寸の詰まった体型だが、馬体に張りが有る。水平首で気配も絶好。例に依ってゲートが微妙に悪いのだが、それ以上に出脚が速く、一瞬はハナもの覗かせた程。そこから引いて好位。道中はファンディーナと並走する形。1000m通過が59.0秒。外枠からアダムバローズやトラストが行ったことでハイペースになった。乗り役の話では悪い馬場を気にしたとのことで4角手前から1馬身程後退しているが、直線に向くと馬群を割って再び伸びて最後はクビ差。歴史は牝馬Vではなく、1963年以来の親子丼だった。内側の芝が剥がれて硬くなった様で、今週は妙に高速化していたが、外にモタれて過怠金の対象になりながらも渋太い脚が有り、馬場状態勘案しても、この時計は速い。ただ、次走東京戦となると話は別。一応、反動も案ずるところ。

ペルシアンナイト

毛ヅヤは良さそうだが、相変わらず軽い造り。半馬身程出負け。マイルからの参戦ということも有り、急かす訳にも行かず、後方から。上手くインへ潜り込み、ペースが少しだけ落ちた向正面で中段に取り付き、そこで一旦息を入れて、インを割って一度は完全に抜け切っている。100%どころか、120%の騎乗でアルアインに捕まったのだから相手を讃える外ないだろう。前走阪神戦は強かったが、マイル戦で相手にも恵まれていた印象。乗り役人気で、戦前は妙に売れていたものの、実力は明らかに劣る。次走ダービーへ向かう様だが、流石に厳しそう。

ダンビュライト

オーストラリアンブリンカー。例に依って下見は後方を周回。馬体は前走からシャープに見せていた。強いていえば落ち着きが有った点が上積み。外枠の行きたい馬に行かせて中段やや前辺り。外でも折り合いが付いていた。4角でファンディーナの手応えがそこ迄ではないのを見て、潰しに行く様に被せに行った。そのファンディーナは潰しているが、内からマイラータイプの2頭。基本的には少し時計が掛かった方が良いタイプで、この時計の馬ではなかったか。ただ、前走の案外感を考えると想像が付かない程走っている。違いが有るとするなら、前走は馬群を捌く形になった点。要は一瞬の加速が甘いのだろう。その点で東京は誤魔化しが利く。

クリンチャー

まだ何となく不格好。全体に力が付き切っていない馬体。歩様はしっかりしているが。大外枠のトラストがゲートで1馬身抜けていたが、叩かれながらも立て直して好位の外。4角手前で逃げたアダムバローズへトラストが並び掛け、この馬もトラストへ付いて行く形。直線向いてそのトラストは捕まえたが、その時点で後続に交わされていた。多少フラついてはいたものの、逆にいえば今日は良く踏ん張った4着。この手の馬は時計勝負に強く、小回りの良馬場で先行力を生かせる展開になった時が狙い目となる。馬体も成長が欲しいところで、古馬になってからローカル重賞で買ってみたい。

レイデオロ

+8kg。数字分だけ余裕は有るのだろうが、馬体には張りが有った。一応は走れる状態。半馬身程出遅れ。例に依ってそのまま後方から。勝つ気が有ったら乗り方は違った様な気もするのだが、只管インを通る策。前も開いてスムーズに運べたが、前の馬より少しだけ良い脚を使った程度。東京戦で叩いての変わり身期待ということになるが、この馬場でインを通った利も有り、外を回したスワーヴリチャードと同タイムというのはちょっと寂しい印象も。若干ながら評価が下がる敗戦。

ファンディーナ

2人曳き。前後肢にバンテージ。馬は牡馬相手でも断然だが、また馬体減で腹は巻き気味。テンションが更に上がっていたのもマイナス。例に依って出脚は抜群に速いが、折り合いを意識しつつ好位のインに収まる形。今迄、外を回して力尽くで勝って来た馬がインに収まる形となった点には議論も有るだろうが、見た目にはスムーズに走れていた。3〜4角中間の手応えがそこ迄ではなかったが、4角から外へ持ち出して進出。直線入口で先頭に立って見せ場は造ったが、そこからの脚がなかった。敗因となる主な可能性としてはデキ、馬場状態、内に入れたレース展開の3つ辺りだが、何とも言えないところ。次走未定とのことだが、勝ちに行っての7着は、着狙いのレイデオロよりも余程価値が有る。少なくとも能力には疑う余地がなく、立て直して改めてということになりそう。

第22回アンタレスステークス(GⅢ)

モルトベーネ

-6kg。良くも悪くも、このメンバーに入ると軽い造りが際立っているが、芝馬の様な歩様の伸びが有る。この馬も出脚は速かったが、行きたい馬に行かせて好位から。道中の行き振りも悪くなく、序盤一瞬だけ行きたがった位でスムーズに走れていた。4角迄は馬群の中で我慢させ、坂下辺りで前が開いて追い出されるとアッという間に後続を突き放して快勝。前走の土古戦が序盤の行き振りから悪く案外だったが、見た目通り地方の馬場は合わない様。今日は一応良馬場だったが、この中間は雨が多く、1分50秒を切る馬場状態になったのも味方した。ここから先、馬場状態を問わず安定して稼く為には馬体の成長が必要。斤量面もネックになって来る。

ロンドンタウン

前後肢にバンテージ。例に依ってドッシリと見せる。歩様キビキビ。暖かくなって毛ヅヤも幾らか良化。最初から折り合いに専念して中段から。引っ掛かりそうになっていたのか、砂を被るのが嫌だったのかが微妙だが、序盤から頭が上がり気味の走法。行きたがっていたとするなら、折り合い面で良い方に出たのかも知れないが。4角の反応が悪かったが、前走中山戦よりは遥かにマシで、前が開いてから頭が下がって最後の最後でグイッと一伸び利かせて2着浮上。細かい部分で不器用な面は有るが、前走の経験が生きたのは間違いないだろう。追わせるタイプ。

ロワジャルダン

前後肢にバンテージ。-12kg。休み明けの馬体減だが、前走中京戦が太かった。緩んだところもなく、いきなりから出来ていた。出脚は速い馬だが、行く気がなく中段のインで折り合いに専念。砂は被っても平気な馬で、完全に引っ張り切りの追走。一切、外へ出すことなく、直線迄待って差し場を探す形となり、暫くは前が開かず、一瞬開いて狙ったところも直ぐに塞がってしまったが、モルトベーネが抜けてくれてそのあとを伸びて来た。スムーズだったら2着有ったということになるだろうが、内を突いただけに今日は仕方がないところ。時計が速い馬場は走る。同じ56kgでも前走中京戦は外枠で競馬にならなかったが、基本的には斤量面も他馬以上に敏感な馬で56kgも良かった。

リーゼントロック

+8kg。大型馬だけに馬体増は気にならないが、歩様にキビキビ感が欲しいところ。オープン迄来ると流石に出脚が苦しいが、仕掛けて3番手から。馬群の外では有ったが、揉まれず競馬出来たのは大きかったか。4角でアスカノロマンが被せに来て、一旦は出られながらも坂を上る辺りで振り切っているのだが、最後の踏ん張りが利かず4着に。3歳時は別にして、これでオープン初掲示板ということになるが、今日の展開で馬券圏内ないと少し厳しいところ。尤も、今日の様な競馬は馬を成長させてくれる。

アスカノロマン

前肢にバンテージ。気配は地味だが、これで平行線。悪くはない。好発。ジワッと行かせて4〜5番手。リーゼントロックを見ながらの競馬。外枠の方が結果が良いタイプで、今日の競馬は上手く行っている筈なのだが、4角でリーゼントロックを被せてそこ迄だった。踏ん張りが利かなくなっている。また悪い時の淡白な面が戻っている。

グレンツェント

2人曳き。前後肢にバンテージ。多少緩い気もしたが、大きな減点材料ではなく、走れる状態だった筈。出脚があまり速くないのは何時ものことだが、前走中京戦よりは行きたい馬が多く、中段やや後方から。道中の行き振りから悪く、今日は競馬にならなかった。とはいえ、勝ち馬とは0.6秒差。大きく負けている訳ではなく、叩いて改めて。

第77回桜花賞(GⅠ)

レーヌミノル

多少完歩の小さい歩様は毎度。馬はこの世代では上位。スプリント寄りの出脚が有る馬だが、折り合いに専念して好位から。カワキタエンカがブッ飛ばす展開で前がバラけ、揉まれずコースも極端な外にならずと理想的な競馬が出来た。4角から徐々に進出、坂下で先頭に立つと差せない馬場状態も味方して、そのまま押し切った。スピードは持っている馬だが、今日はピッチ気味の走法と馬場が上手くマッチした感が強い。前走は乗り役の失敗で落としたレースだったが、結果的に乗り替わりも良い方に出たといえるだろう。その浜中騎手は馬が出走取消で、ゲートにすら入れずと好対照な結果に。

リスグラシュー

2人曳き。前肢にバンテージ。一時より細い印象がないのは何より。多少テンション高いが、歩様にも硬さはない。この馬としてはゲート五分。多少出脚も怪しく、少しだけ出して中段から。ソウルスターリングを左前に置く形で進めた。直線向いた段階での反応はソウルスターリングの方が良かった様に見えたが、坂を上る辺りででソウルスターリングの脚が鈍り、逆にこちらは最後にエンジンが掛かって2着浮上。3歳牝馬にしては中々渋い内容だった。前走が案外だったが、昨年末は外を回って2着。東京だとそうでもないのだろうが、阪神だとマイルが短い様な印象。距離延長の次走は更に良いだろう。

ソウルスターリング

2人曳き。馬は雄大でスケールで抜けている。歩様も悪くないが、落ち着き過ぎている感も。半馬身程出負けも、出脚でカバーして中段から。折り合いは付いていたというより、明らかに下を気にしており、何時ものノビノビとしたフォームではなかった。それでも地力で見せ場は造っているのだが、坂を上り切ってから踏ん張り切れず3着に。一応、公式の敗因は馬場状態だが、下見の落ち着き過ぎている気配から、再輸送の影響も有った筈。多少仕上げに手緩い面が有ったのは否定出来ないだろう。逆にいえば東京で巻き返し必至。厩舎の威信を懸けた勝負となる。

カラクレナイ

踏み込みの力強さが特筆モノ。馬体もバランスが取れている。半馬身程出遅れ。スタート直後から抑え込んでおり、そのまま後方から。この馬場にしては掛かる位の行き振り。内外前も壁だったが、4角でも動く気配はなく、直線迄待ってから進路を探す形。リスグラシューの外が開いて併せ馬の形で、一瞬は前に出た様に見えたが、差し返されて4着に。リスグラシューも渋太いのだろうが、僅差とはいえこの馬自身も甘くなっている。道悪で何とも言えないのだが、今日の内容だけをいえばマイルは長い。

アエロリット

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。-6kg。馬体減もトモに丸みが有り、毛ヅヤも冴えていた。ゲート自体は出ているが、出脚がなく後方から。折り合いは付いていた。直線大外しか行くところがなく、距離損は有りながらここ迄差を詰めたのだから評価して良いだろう。戦前は穴人気していたが、次走狙い目に。

アドマイヤミヤビ

水平首で馬に集中力。軽い造りで、目の前のソウルスターリングとは迫力で差が有る。出遅れ1馬身不利。道中の行き振りから悪く、4角手前で既にステッキが飛んでいた。追ってからも下を気にしているのか、頭が高くなっており、競馬にならなかった。参考外。

第35回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

ジョーストリクトリ

もう少し馬体に張りが欲しいが、淡々と歩いていた。ゲートは少し悪かったが、仕掛けて好位直後のイン。ゲートは決して速い方ではなかったが、馬の気に任せて好位のイン。道悪でノメっていた馬も居たが、馬場の悪い内でも特に気にする素振りもなく走れていた。4角でメイソンジュニアが外へ行ってくれたことでこの馬にも進路が出来、インを突いて快勝。前々走阪神戦等、多少折り合いに課題も有った馬だが、この馬場で行き振りが丁度良かった印象も。そして、道悪はドイツ血統という格言も有るが、乗り役がドイツ人だった。

メイソンジュニア

-8kg。コロンとした体形でむしろこれ位で丁度。少し頭が高いのが気になる程度。好発切ってハナ。一瞬で隊列を決めたことで、1000m60.7秒とスローに落とせた。序盤に力む場面が有り、気性は相変わらずだが、それでもこのペースで後続に突かれなかったのだから、乗り役としては完璧な仕事が出来た。直線も馬場の良い外へ持ち出して、ボンセルヴィーソへ併せて良く頑張っているが、内を開けてしまい、ジョーストリクトリにやられたのは悔いが残るところ。内へ行っていれば外から2頭以上にやられていた可能性も高く、騎乗ミスではないが、これはこれで勿体ない。この馬自身も気性面は課題。

ボンセルヴィーソ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。初東上の分だけテンション高い。馬体も少し寂しく映る。ゲートは五分程度だったが、掛かり気味に2番手。道悪だけにこの行き振りでも、許容範囲といったところ。直線はメイソンジュニアとの併せ馬で、坂下辺りではハナだけでも出た様に見えたが、坂でフラついて差し返された。ただ、中山マイルだけに枠の差で片付けても良いだろう。ツメが甘い嫌いは有るにせよ、メイソンジュニアよりは能力上という判断は出来る。

スズカゼ

2人曳き。前後肢にバンテージ。下見所に入って来た当初は暴れる場面も有ったが、直ぐに落ち着いていた。脚長の馬体で牡馬相手でも見劣りしない。メイソンジュニア程ではなかったが、好発。ボンセルヴィーソも来て3番手からの競馬だったが、実質はメイソンジュニアを見ながらの競馬。これも掛かり気味の行き振りだった。直線向いて、メイソンジュニアに内から併せて行く形だったが、完全に並ぶ迄の脚がなく、モタモタしている間に更に内からジョーストリクトリに来られ、前をカットされて万事休す。とはいえ、不利がなかったとしても、3着有ったかどうかといったところ。勝負どころでこの馬に脚がなかった方が悪い。

タイムトリップ

前肢にバンテージ。まだ華奢に映る。もっと増えても良い位。アオる様にゲートを出て後方から。道悪だけに何とも言えない部分は有るが、今日は折り合いが付いていた。3〜4角中間から最後方に居たイノバティブが動いたタイミングで動いて、4角では好位。良く差を詰めているが、今日の展開ではここ迄が一杯だった。マイルでは乗り方に神経を使う部分が有るのがネックだが、力量差はそのものはなさそう。

第60回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

ミッキークイーン

+4kg。キッチリ出来ていた。毛ヅヤが冴えて、数字の割に馬を大きく見せる。半馬身程出負けも、この馬としてはマシな方。内枠の馬が結構行ってくれたことも有って、すんなり中段。ただ、この道悪でラチ沿いに寄せる訳にも行かず、コース取りはかなり気を遣っていた様に見えた。前に馬が居る等、泥を被っている時は手応え悪く、消えたかに見えたが、前が開いてからの脚が違っていた。力尽くでネジ伏せた様な競馬だった。マイルへの対応がどうかと思ったが、今日は馬場状態が特殊で決め手勝負や前残りにならなかったのが幸いした。東京戦も展開次第になるが、このパフォーマンスなら本命になる。

アドマイヤリード

-4kg。毛ヅヤ冴える。馬体は数字通りの見た目だが、歩様が力強い。ゲートも少し悪かったが、最初から行く気がなく後方。こちらは最初からインへ寄せていた。馬場も泥も苦にしない様で、直線迄ジッとして、前が開いてからの機動力が速かった。最後はミッキークイーンの地力に屈した格好だが、2着確保で充分評価出来る。3歳時はとても重賞級とはいえない馬だったが、今年に入ってから馬が良くなっている。道悪こなしたのも成長の証だろう。

ジュールポレール

-6kg。気配、歩様は悪くないが、馬体減の分、馬が薄く映った。内枠の行きたい馬に行かせて好位の外。揉まれず、出脚も使わず完璧な立ち回りが出来た。4角の手応えは勝ったかと思わせた程だったが、いざ追ってからがもう一つ。内外から来られて3着に。ただ、乗り役の話では馬場を気にしたとのこと。確かにフラフラだった。次走へ向けて、少し出来落ち感は有るのがどうかだが、良馬場なら能力そのものは重賞でも充分通用する。

クロコスミア

+8kg。今年初戦ということを考えればまずまず。多少余裕残しといった程度。出脚は一番速かったが、クイーンズリングが引っ掛かってコスられ、相手が再び控えた為、もう一度ハナへ立たされと3角迄は出入りの激しい展開。馬場状態を考えると1000m59.3秒も流れた方だろう。早目に追い出して出し抜け狙ったが、坂を上る辺りで捕まった。4着に残した辺りが道悪適性と能力だが、今日はツキがなかった。

エテルナミノル

後肢にバンテージ。多少テンション高いが、許容範囲。馬体をドッシリ見せる。差しに回った外枠の馬が多かった中で、この馬だけが押して行って2番手。道悪実績も有り、有る程度道悪には自信を持って乗れられた様。直線は手応えの良いジュールポレールへ併せて行ったが、直ぐに脱落。とはいえ、掲示板を確保した様に止まってはいない。能力的にここで通用するとは思えないが、確かに馬場適性は本物。

クイーンズリング

+14kg。馬体増はそれ程気にならないが、問題はイレ込み。今日は眼が血走っていた。前述した様に、クロコスミアの方が出脚は速かったが、引っ掛かってしまいハナへ。そこからまた引っ張って3角手前で折り合いが付き、番手で収まる形。一応、格好だけは造ったが、直線向いて直ぐに手応えがなくなり、最後は追うのを止めていた。今日は序盤の失敗に尽きる。叩けば変わる筈で、度外視したい。

第61回大阪杯(GⅠ)

キタサンブラック

2人曳き。前後肢にバンテージ。+4kg。馬体増えたが、むしろスカッと見せて、ほぼ完璧に出来ていた。気合乗りも文句なし。戦前の想定通り、マルターズアポジーとロードヴァンドールが行って3番手。この馬自身は珍しくゲートでヨレていたが、それでも出脚は抜群に速かった。全体のペースが1000m通過59.6秒だから、この馬で60秒後半のスロー。出脚で隊列を決めて、後続を釘付けにする何時もの展開に持ち込めた。4角手前から前を捕まえに行って、あとは持ち前の粘り腰でそのまま押し切った。負けるとするなら2000mで決め手勝負になった時だったが、自分で競馬を造れる強みをフルに生かした格好。今にして思えば昨秋は不向きの東京2400mで激走、ベストの中山2500mといえども多少疲れは有ったということになるのだろう。枠順次第となる京都3200mでも、何よりこの馬は一番大事な運を持っている。ただ、オーナーも欲が出て来た様で年内の引退を撤回。こうなるとツキが逃げて行くことが多いのだが...。

ステファノス

-4kg。絞れて順当に良化。GⅠの雰囲気で、多少チャカついていたが、馬体は締まっていた。下見所の中に関係者が居るG&&8544;の方が毎回気配が良い。出脚勝負ではキタサンブラックと2馬身位違っていたが、戦前から決め打ちで押してキタサンブラックの直後を確保。出した割には折り合いも付いていた。勝負どころでもキタサンブラックマークで付いて行ったが、直線入口の1馬身が最後迄詰まらず。こちらが迫ろうとすると、相手も同じだけ伸びていた。完敗の2着。陣営は敗れて悔いなしだろう。ただ、この馬これで22戦して20戦で掲示板を確保。下見所で見せる気合がどれ程影響しているのかは不明だが、GⅠでも堅実に走っている。

ヤマカツエース

-2kg。数字は僅かだが、前走中京戦よりは太く見せない。多少集中力散漫だったが、マイナス材料にする程ではない。出脚は有る馬だが、外枠ということも有ったか、あまり行く気なく中段やや後方から。最初から馬を前に置く形。マカヒキが動いたタイミングでかぶされない様に進出。ジワジワ伸びているが、これも前が同じだけ伸びており、届かず。ただ、坂を上り切った最後の最後で半馬身詰めた辺りに地力強化の一旦は示したといえそう。少し力の要る馬場も向いているのだろうが、秋の東京2000mだと決め手負けする危険も。こういったタイプの馬は香港や新嘉坡へ持って行った方が賞金稼げると思うのだが、個人馬主でそこ迄期待するのは酷。

マカヒキ

2人曳き。淡々と歩いていたが、馬体の張りは前走京都戦以上。ゲートも微妙に悪かったが、例に依って後方から。3〜4角中間から押し上げて行って、それなりに詰めているものの、坂を上り切った辺りで甘くなった様にも見えた。そもそもエンジンが掛かるのも遅く、やはり良い脚が長く続かないタイプ。内回りの外枠だと中々出番は回って来ない。案外これで復調といえるのでは? 歴史に准えるならエイシンフラッシュの再現と見て、秋の東京2000mが馬券上の勝負タイミング。

アンビシャス

2人曳き。気合乗り上々。もう少し絞った方が決め手は出るかも知れないが、これはこれで迫力が有る。デキ自体は間違いなく良い。ゲートは出ているが、マルターズアポジーに付いて行かず、後方で折り合いに専念。折り合いは付いて乗り役の意図通りには乗れた。ただ、マカヒキがあまり進んで行かず、更にその外ではどうしようもなかった。重心の低い走法で能力は持っているが...。馬はこの形の方が気分良く走ってくれるだろうが、これでは結果に繋がらない。横山典弘騎手の先行策の方が絶対結果は出る。

サトノクラウン

2人曳き。-12kg。毛ヅヤは悪くないが、馬体の張りがなくなっていた。今日は論外。少し出して中段やや前辺り。道中じゃ多少行きたがっていたが、許容範囲。4角でステファノスの直後に居て、勝負圏内に居たが、追ってからが案外だった。前走京都戦を考えれば、今日は走っていない。敗因を求めるなら、デキかコース適性ということになりそうだが、登坂力は元々怪しい面が有った。

第49回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

ロジチャリス

大型馬だが、緩んだところはない。歩様は力感がないものの、柔らか味の有るステップ。好発も、クラレントが大外枠から無理矢理ハナへ行って2番手。この馬が控えたことで、クラレントもペースを落とせる形となり、1000m60秒ジャストのスロー。あとは追い出しのタイミングだけだった。4角でキャンベルジュニアが動いて来たことも有って、少し早目に前へ並び掛け、直線は馬場の良いド真ん中に持ち出して押し切った。今日は好発が大きく、能力証明したといえる競馬ではないが、過去一連の結果から勝っても不思議はない性能は持っていた。ただ、東京だと昨夏にスローで決め手負け。馬場が渋った方が良く、良馬場だと単勝で狙い辛いタイプ。

キャンベルジュニア

迫力の有る馬体で動きがダイナミック。気配も良かった。この馬も好発切ったが、行き振りが良過ぎて好位に控える形。引っ張り切りだったが、一応我慢して走っていた。4角手前から少し緩めて進出。ロジチャリスに併せて行ったが、ロジチャリスが外に張った所為で、更に外になったのと、この馬自身も少し外へヨレてしまった。首の上げ下げを何とか凌いで2着確保出来たが、これが3着だったら悔いが残るところだっただろう。昨年は逃げて8着だったが、ハナでも引っ掛かっていた。それを考えたらマシになったとしても、前向き過ぎる気性はネック。ただ、この手の気性は道悪をこなす。

グランシルク

2人曳き。前肢にバンテージ。寸が詰まったマイラー体型だが、気合乗り抜群。半馬身程出負け。中段やや後方のインから。雨上がりの馬場状態で、少し下を気にする素振りも有った様に見えた。4角から少し外へ持ち出し、不利なく捌いたが、今日の展開ではここ迄が一杯だった。前走は珍しく出たが、基本的にはゲートが怪しいタイプで展開が組み立て辛いのがネック。こういった馬場状態でなければ前が開かない可能性の方が高かっただろう。重賞を勝てる実力は有って今後も人気になるだろうが、買う側も取捨選択が難しいタイプ。

マイネルアウラート

前走東京戦同様、メリハリの利いた馬体。良くも悪くも平行線。ハナへ行く出脚がなく、最初から諦めて好位の外。今日の展開なら次善策としてはこれで良かっただろうが、3角過ぎから手応えが怪しくなっており、置かれそうになっていた。直線も、キャンベルジュニアが外へヨレたことで更に外になったのが痛かった。直線の事象がないだけでも3着は有った競馬で、馬は強くなっているが、ベストはハナで出脚が欲しいところ。乗り役の話では、勝負どころで手応えが悪かったのは馬場状態を気にしたとのことだが...。

ダイワリベラル

遮眼革。シープスキンノーズバンド。腹回りがボテッと見えるのは体型。歩様が力強く、デキ自体は良さそう。内外の馬の出脚が速く、中段の外。気性的に難しい部分が有って、自分から競馬を止めてしまうケースも有るとのことで、道中は気分を損ねない様にソロッと乗っていた。直線は前の馬を見ながら、マイネルアウラートの外は流石に外過ぎると馬群の中へ突っ込んだが、交わす迄には至らず掲示板止まり。前走の様に前に行けるとまた違うのだろうが、重賞ともなると他に速い馬が多い。

2016 グローバルスプリントチャレンジ第3戦 第46回高松宮記念(GⅠ)

セイウンコウセイ

馬振りで迫力が有る訳ではないが、相変わらずメリハリの利いた馬体。現状のデキとしては良い。例に依って出脚は速かったが、シュウジやトウショウピスト等、行きたい馬に譲って好位から。ノメった場面も有ったが、こういう馬場はこなす様で自信を持って馬場のド真ん中へ持ち出し、あとは一人旅。最後は抑える余裕が有った。中京は雨が降ると適性勝負になり勝ちで、今日は馬場状態が向いたという評価に留めたい。特に秋の中山戦は絶好の飛ばし頃となるだろう。中山はそもそもダートで走ったのみで、あの独特のプラットフォームを走った経験がないのは痛い。

レッツゴードンキ

毎度のことながら馬体に迫力が有る。気配もこれ位なら丁度良いところだろうが、毛ヅヤは冴えず。今日はゲート五分程度だったが、他に速い馬が多く、中段やや後方から。流石にスプリント戦だと折り合いが付く。内枠の後方で動くに動けない展開、岩田騎手らしく腹を括ってインを突く形。パワーが有るのでこういう馬場も全く苦にしておらず、しっかりしたフォームで伸びているが、本職がスプリントではないだけに何かが前に居るのは止むを得ないところ。折り合いさえ付けば今後も堅実に走ってくれそう。

レッドファルクス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+7kg。馬体も数字通り、少し余裕有ったが、それ以上に歩様が硬いのがマイナス。この馬の出脚で中段やや前辺り。内ラチ沿いを通ったが、前に居た馬が外へ持ち出してくれて上手く前が開いた。それで伸びなかった以上は仕方ない。中京には良績が有り、敗因は道悪適性か休み明けということになるが、香港帰りという事情が有るとはいえ、GⅠを休み明けで勝つのは中々難しい。有る意味、二兎を追う者は一兎をも得ずということ。

ティーハーフ

前後肢にバンテージ。もう少し絞っても良いだろうが、馬に張りが有って、デキ自体は良い。この馬としてはゲートを出た方で中段やや後方から。道中の行き振りも良さそうだった。枠なりにインを立ち回ってレッドファルクスとの併せ馬。展開上はドンピシャだったが、坂を上り切った辺りで脱落。こちらは道悪に良績が有り、休み明けが敗因なのは明らか。何れにしても戦前に述べた様に力そのものはそれ程落ちていない。

フィエロ

毛色の関係で毎回良く見せる馬がが、今日は馬に集中力が有った。ゲート自体も一息だったが、スタート直後に狭くなったことも有って後方から。インに居たが、直線は少し外へ。馬場を気にしたのか、坂を上る途中で左手前になっていたが、その割には良く伸びている。毎回述べている様に、細かいところで競馬が下手なのだが、これも能力は有る程度維持出来ている。尤も、昔は道悪がサッパリだった。ティーハーフとは違い、このパターンは衰えのサインで有ることが多いのだが。

第24回マーチステークス(GⅢ)

インカンテーション

前後肢にバンテージ。元々良く見せる馬だが、前走東京戦も悪くなかった。高値安定。好発。マイル戦の外枠で行ける位の出脚だが、労せず好位のイン。下が渋ったことも有って、1000m60.7秒とかなり流れたが、1頭だけ持ったままで追走していた。インで我慢させて、ディアデルレイの内へ併せると、手応え通りに伸びて2年弱振りの勝利。恐らくはスピードが強化された反面、距離適性が少し短距離寄りへシフトしている。今日は馬場状態とペースが味方した。今後は良馬場の1800mをどうこなすかがポイントに。

ディアデルレイ

遮眼革、パシュファイヤー。バランスの取れた馬体。もうちょっと落ち着いて、馬体の迫力が出れば文句なしだが。アスカノロマンの先行策に乗って好位。内にインカンテーションを置く形。流れに乗れていた。4角でアスカノロマンが動いた際に、この馬も付いて行ったが、直線向いてインカンテーションと接触する程、内にモタれていた。相手に脚が有った為、審議対象にならなかったが、完敗といえる内容。ただ、この馬は馬場が乾いても大丈夫。馬装から外枠の方が良さそうで、その点でも良馬場の方が良いのでは?

アルタイル

遮眼革。ダートだけに許容範囲だが、もう少し歩様に柔らかみが欲しい。馬体の迫力のなさは毎度だが。半馬身程出遅れ、出脚も速そうではなく後方から。道中はずっとインで脚を矯めて死んだ振り。直線だけ外へ。良く追い込んでいるが、重賞で何か前に居るのは仕方がないところだろう。ただ、この馬自身は遮眼革着用の割に砂を被っても問題なさそう。今日は軽ハンデも有るのだが、前走中京戦の様に先行策が打てるならオープンでも。

ロンドンタウン

前後肢にバンテージ。馬体に重量感が有る。気配も良かった。出脚の違いでアスカノロマンに叩かれる形となったが、立て直して好位。立て直している分、序盤は少し掛かり気味にも見えたが、勝負どころの3〜4角中間では逆に置かれ加減。アルタイルと併せ馬で渋太く伸びているが、前述のロスが痛かった。ただ、相手低調の交流戦を勝ってしまったが故にハンデが57kg。仕方がないとはいえ、見込まれていた。それを考えればこれで良く走ったという評価にしておきたい。57kgを背負い慣れれば中央の重賞でも足りる様になる筈。

アスカノロマン

+4kg。ちょっと馬体の張りが落ちた様に見せる。今日は微妙に太い。出ッパ自体は横一線だったが、この馬の出脚で2番手。流れに乗って、直線を待たずに4角から仕掛けて行く強気な競馬。確かにペースは速かったが、1800mならこれがこの馬のパターン。自分の競馬は出来た。最後は甘くなったが、58kgも有って少なくとも乗り役の責任ではない。

第65回日経賞(GⅡ)

シャケトラ

2人曳き。前後肢にバンテージ。メリハリが利いた馬体。踏み込みが力強い。出ッパ自体も悪かったが、前走京都戦で引っ掛かったことも有り、後方で折り合いに専念。その前走を考えたら遥かにスムーズだった。3角手前から外へ持ち出し、外をマクって行く形。かなりのロングスパートとなったが、それでも最後迄脚勢乱れることなく捕まえて快勝。力でネジ伏せた様な競馬だった。対サトノダイヤモンドでどうかだが、挑戦権は得た。あとは次走京都戦の馬場適性。ゲートが悪いのも不安材料では有る。

ミライヘノツバサ

2人曳き。止め絵はこれで良いが、チャカ付いていたのはマイナス。先行激化も考えられたが、ジュンヴァルカンが出遅れ、ヤマカツライデンが行って2番手。淡々と流れて、下見の割には折り合いが付いていた。前走もそうだったが、切れる脚がないので4角手前からスパート。追撃して来たゴールドアクターは振り切ったものの、シャケトラに捕まって2着。前走でも述べたが、こういう競馬は馬を強くする。前走の経験は今日に生きただろうし、今日は今日で次走に生きて来るだろう。最後の瞬発力はないものの、出脚の速さと勝負どころで動ける機動力も評価出来る。

アドマイヤデウス

2人曳き。この馬にしては毛ヅヤが良い。気配は地味だが、この馬としては悪くない。出脚自体はあまり速くないが、少し押して3番手のイン。岩田騎手らしい競馬。出した分、少し行きたがっていた様にも見えたが、1角ではスムーズに折り合っていた。今日の展開でこの位置が取れれば何とかしたかったところだろうが、3〜4角中間辺りから手応えの割に進んで行かず、置かれ掛かっていた。最後は伸びているが、ここで1馬身程のロスが有ったのが痛い。GⅠでもソコソコ走る割に中々勝ち切れないが、細かい部分で競馬が下手。

レインボーライン

+10kg。多少太いだろうが、馬体には張りが有って走れる状態。歩様も多少頼りないが、こんなモノ。半馬身程出遅れて後方に近い位置。馬群の外で少し行きたがっていたが、1角辺りで馬群の切れ目で内ラチ沿いへ。勝負どころでもずっと内に居て、直線もインを突いたが、捌きながらの追い込みで、伸び切れなかった格好。入口で前に居たヤマカツライデン等、3回程ブレーキを掛けている。ただ、中山でこの位なら不利の内には入らない。器用さは有るが、ゲートが微妙なのは毎度で、もう一段前で競馬出来た方がベスト。

ゴールドアクター

2人曳き。元々煩い馬だが、今日は普段以上にキツい。馬体の張りも落ちていた。この馬の出脚で好位から。折り合いも付いていたが、いざ追って前に居たミライヘノツバサが捕まらず、後続にも差され、最後は掲示板確保がやっとだった。敗因を探せばイレ込みということになるだろうが、昨秋から何か調整が上手く行っていない。基本的にはもっと絞った方が良さそうに見えるが、何れにしても今後は厩舎技量が試される。

第64回毎日杯(GⅢ)

アルアイン

+6kg。暖かくなって毛ヅヤが良化。馬体に張りが有って、踏み込みもしっかりしていた。微妙に出負け気味だったが、出脚とこの頭数で問題なく2番手へ。逃げたテイエムヒッタマゲはかなり飛ばしていたが、並走のクリアザトラックが掛かっており、4角もクリアザトラックが待ち切れないタイミングで抵抗しながら動く形となったが、直線は内ラチを頼りながら一杯一杯粘り切った。見た目より厳しい展開だった筈で、サトノアーサーを抑え込んだ以上、一定の評価はしておきたい。次走中山戦だそうだが、今年のメンバーなら先行力込みで圏内といって良いのでは? この路線から来て人気になることも少なく、その点でもオイシイ存在かも。

サトノアーサー

2人曳き。これも毛ヅヤが良くなって、前走京都戦以上。当時述べた様に完成度が高い。スタート直後から全く行く気なく最後方から。それでも少し引っ掛かりそうになっていた。3〜4角中間で追い付いて、直線は大外へ。ダイナミックなフォームで伸びているが、内外離れて2着確保がやっとだった。トビがダイナミックで、才能には恵まれているといえそうだが、仮令最後方でも8頭立てで届かないのだから言い訳はない。今日は評価が下がる敗戦。ここは何が有っても勝っておくべき競馬だった。

キセキ

前後肢にバンテージ。馬自体は雄大で迫力が有るが、歩様に力強さがない。返し馬で引っ掛かっていたことも有るのか、スタート直後から抑え込みにかかっており、後方2番手。レースに行くとスムーズに折り合っていた。最後方から外へ行ったサトノアーサーとは対照的に、最内へ。少頭数だったことも有って、これ以上なくスムーズに抜け出して来れたが、坂を上る途中で手前が替わって苦しくなった。サトノアーサーと比較すれば能力差は相当。この形で折り合ったのは収穫だが、取り敢えず現状は距離面で限界が有る。

プラチナムバレット

寸の詰まったマイラー体型だが、キビキビ歩けていた。出脚は速そうだったが、折り合いに専念して4番手。流れに乗って走れていた。ただ、追ってから上位3頭とは伸びの差が歴然。明らかに力負けといえる形だった。現状だと33秒台の脚がない。ただ、もう少し首が使える様になると、伸びがが出そうな走法。この手の馬はダートへ来ると良く走るが...。

トラスト

馬体がこれで良いが、前後肢共に動きが硬い。テイエムヒッタマゲには完全に出脚でやられていたが、距離を意識したか、行く気もなく中段のイン。スローということも有って、レース全体の仕掛けが早かったが、直線迄待って追い出し、ジワジワ伸びているが、掲示板確保がやっとだった。これも評価が下がる負け方。まだハナへ行った方が競馬になりそうだが、こうやって賞金を咥えて来るのもそれはそれで大事なこと。