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競馬回顧 2020年2回新潟

第12回レパードステークス(GⅢ)

ケンシンコウ

寸が詰まったマイラー体型。前後に圧縮された様な馬体で、その分、幅は有るのだが、歩様もマイラー的で完歩が小さい。ただ、気配は良かった。出脚はタイガーインティが一番速かったが、ハナへ行く気がなく、他馬を待っている様な雰囲気すら有り、1角で追い付いてならばとハナへ。1000m通過60.7秒だから、最終的にレコード決着となったにしてもソコソコ速い流れだが、行き切ったことで気分良くは行けた。4角手前から後続を突き放し、例に依って手前は替わらず、直線は外へモタれ気味だったが、舌がハミを越しながらの走りで、遊ぶ余裕も有った。雨ダートを得意とするパイロ産駒ということもいえるが、最内枠になって行かせたことも好結果に繋がっただろう。ただ、出脚が速い訳ではなく、今日は成り行き上、違う競馬をしてみたらハマってしまったという感も強い。次走は何とも。

ミヤジコクオウ

下見は後方を周回。毛ヅヤピカピカ。脚の長いタイプで、迫力が有るという造りではないが、メリハリが有った。押しても大して進んで行かず、ステッキを入れられてやっと中段。向正面だけはまだマシだったが、3角から再びステッキが飛んでおり、随所でズブさを見せていた。これも直線はフラフラだったが、それでいて2着。世代限定戦なら上位の能力は持っている。ゲートを2戦続けて五分に出たことも収穫だが、芝に転向しない限り、世代限定戦を走るのは今日が最後。このままでは通用しない。

ブランクチェック

前後肢にバンテージ。毛ヅヤは悪くないが、気配は地味。ダートだけにもうちょっと馬体の迫力も欲しいところ。出脚はケンシンコウと五分程度。1角手前でタイガーインティに叩かれる形となって好位から。ただ、砂こそ被る形になったものの、これはこれで流れに乗れた。何よりレコード決着の馬場で、距離損なく回れたのは大きいだろう。ただ、それだけに2着が欲しかったところで、最後は明らかに止まっていた、1800mが長いのも有るだろうが、ミヤジコクオウとは底力でも差が有る。

デュードヴァン

2人曳き。前後肢にバンテージ。気合は乗っていたが、+2kgでも腹回りが微妙に寂しく映った。もっと馬体が増えないことには。一完歩目だけ怪しかったが、今日は出脚が有って挽回が早く、好位のイン。道中はスムーズに運べた。3角過ぎに外の馬が動いて、そこで出来たスペースで外を追い上げて行ったが、伸び案外。直線は中々手前が替わらず、右手前になったのはラスト150m辺りだったが、どちらにしても甘かった。トビが大きいので外へ持ち出した策自体は正解だった筈だが...。恐らく、馬体細化の影響で、スタミナが足りなかったか。

ニュートンテソーロ

遮眼革。前後肢にバンテージ。+14kg。多少太いだろうが、ダートなら許容範囲。歩様もしっかりしていた。出脚は速い方ではなく後方、最初から内へ寄せて行く策。遮眼革は今回からだが、砂を被っても特に気にする素振りはなかった。直線はケンシンコウの早仕掛けとハイペースで前がバラけ、脚取り自体はしっかりとしていたものの、前とは差が有る5着。500万勝ちの馬としては健闘。1000万でもメドは立てたといえるが、昇級初戦の前走東京戦が流れに乗れず、単勝1倍台の支持されながら11着。追い込み一手だけに、クラス慣れに時間が掛かるかも。

第24回エルムステークス(GⅢ)

タイムフライヤー

2人曳き。前後肢にバンテージ。今日は馬に集中力が有って、気配が良かった。馬体もドッシリと見せていた。歩様も、力強さが有りながら、手先のスナップが利いており、生涯最高に近い。ゲートで安目を売り、外のバスカヴィルにも叩かれる形だったが、何とか立て直して中段から。道中はずっと外を回されていた。ただ、それでも手応え充分で、4角でウェスタールンドにマクられそうになりながらも、余裕はタップリ。叩かれない様にだけ乗られ、直線向いて突き放した。この厩舎らしく、ダートでも広いコースの方が良さそうな印象も有ったのだが、2走続けて小回りに対応出来たのは大きい。特に今日はGⅠ級のウェスタールンドを問題にしなかった点も好印象。ついでに壁のない外で折り合いが付いていた点も収穫だろう。つまりはいいこと尽くめだが、最近はGⅠとなると交流戦でも頑張れる馬力が求められる。基本的に地方遠征をしない厩舎で、経験不足のままGⅠで闘うのはどうかという部分も。

ウェスタールンド

オーストラリアンブリンカー。+8kg。数字分だけ緩い気もしないでもないが、歩様に柔らか味が有って、踏み込みも深かった。最近はそれなりにゲートを出る様になっているが、例に依って最後方から。向正面に入ってから少し気合を付けられ、3角過ぎから一気に進出して4角で先団グループに取り付いていた。ただ、前述した様にタイムフライヤーの方が余裕が有り、直線は突き放された。追い込み一手で回り脚も速い馬だが、ベストは広いコース。タイムフライヤーも強かったとはいえ、今日は取り溢しといえる範疇。

アナザートゥルース

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。歩様の硬い面は有る馬だが、これでも大分マシになった方。馬を小ぢんまりと見せるのは毎度。58kgが響いたか、一瞬の出脚は甘かったが、馬が行く気になっており、そのまま行かせて2番手へ。序盤の行き振りの割に、途中から手応えが怪しくなったのは同じく58kgが影響したのだろうが、何とか3着は確保。58kgは前走阪神戦に次いで2回目だが、安定して走れている。今ならGⅠにも手が届きそう。

ハイランドピーク

-4kg。少しでも絞れたのはいい傾向。馬体の張りは有った。歩様もブレることなく、硬さも許容範囲。何故か出脚にムラが有る馬だが、今日は良かった方でスッと好位へ。基本的にはアナザートゥルースを目標に乗られ、4角手前の回り脚はアナザートゥルースより速かった位だが、直線の我慢比べでは内外に見劣り、4着止まり。昔と比べると確実に競馬が上手くなっているが、真っ向勝負だと馬力が足りない感も。

ワンダーリーデル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+6kg。多少腹回りがボテッと映るが、何時ものこと。馬体に張りが有って、デキ自体は良さそう。ゲートは若干分が悪い程度に留めたが、例に依って出脚がなく後方から。道中に大きな問題はなかったが、3角手前から外へ持ち出そうとした際にウェスタールンドが壁になり、直線に向いてから大外へ。今日の展開でこれだと一手遅い。小回りでも走れなくはないが、広いコースがベスト。

第68回北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)

レッドアネモス

動きが力強いという程ではないが、キビキビした気配。筋肉の輪郭が薄っすら浮いてデキ自体も良さそう。ゲート自体は一番速かった位だが、行く気はなく中段やや後方辺り。1000m通過58.2秒は馬場状態を考えるそこ迄ハイペースではないが、逃げたナルハヤをタガノアスワドが突き、更に勝負どころでもコントラチェックがマクりに行く展開となり、完全な前崩れ。コントラチェックを追い掛けたフェアリーポルカ辺りも苦しくなっていたが、内で脚を矯めていたのが最後に生きた。前々走福島戦辺りは最後に脚も見せており、一瞬の脚を持っていたことは確かだが、欲を出すと前走阪神戦の様に終いが甘くなる。昭和のローカル重賞の様な展開に、令和の馬場でイン突きがハマった感も強い。今後も展開次第となりそう。

ビーチサンバ

馬に活気が有ったのは久々。馬体は元々筋肉質で良く見せる方だが、歩様も力強く見せながら、決して硬くもなく、下見から目立っていた。ゲートの駐立が怪しい時が有り、今日は後手。そのまま後方から。インへ入れて道中はレッドアネモスを眺めながらの形。勝負どころではレッドアネモスが待たされている様な格好になり、4角で一瞬のスペースが出来たと見るや否や外へ持ち出して行ったが、今度は前にフェアリーポルカ、外にシャドウディーヴァの壁が有り、ここで待たされてしまった。結果的に脚を矯められた感もない訳ではないが、鞍上としてはスムーズに捌きたかったところ。能力面の評価はレッドアネモスより上。

スカーレットカラー

前肢にバンテージ。-8kg。今春はやや重目の状態で走っており、数字分だけスッキリ。歩様にも伸びが有った。元々出脚は速い方ではなく、後方から。道中はビーチサンバの直後。そのビーチサンバが勝負どころで外へ行ってくれたのはせめてもの救いで、インが突き易くなったが、いざ突いてみたら前が壁。レッドアネモスの抜けたところへ切り替えたラスト100mではレッドアネモスに対し、2馬身半位有ったが、3/4馬身、クビ差迄追い詰めての3着。それ以外の馬は止まって見えた程の脚だった。今日はレースの失敗という以外にないが、小回りで出遅れ癖の有る馬はこういった取り溢しが有るのは仕方がないところ。

シャドウディーヴァ

前肢にバンテージ。胴長の造りでユッタリ歩けていた。ただ、見た目だけをいえば、この時期だけにもう少し毛ヅヤは良くなって欲しいところ。枠が遠かったことも有るが、押しても進んで行かず後方から。馬体の割に頭の高い走法で、どころどころで気合を付けられていた。更に基本的に内へモタれ気味に走っており、結果的に外をマクる脚は速かったが、今日の展開では我慢した馬が有利で、直線はそこ迄伸びなかった。逆にいえば能力的な遜色はないということにもなるのだが、直線それなりに真っ直ぐ走れていたのは鞍上の技術という気もしないでもない。過去は全てマトモな騎手が乗っているが、ジョッキーは選ぶタイプ。

カリビアンゴールド

数字の割に細身の造りは元々。それでも歩様に伸びやかさが有り、気配もユッタリ。デキに不足はない。ゲートは五分。ジワッと行かせて中段やや前辺り。道中はスムーズだったが、1000m過ぎから動いて行ってコントラチェックを目標に正攻法の競馬。取り敢えずコントラチェックを捕まえた点は評価出来るが、内外からやられてしまった。今日の競馬が間違っていた訳ではないが、ステイゴールド産駒の割に道悪がダメなタイプで、かといって良馬場だとワンパンチが足りない。もう一段のパワーアップが必要。

サマースプリントシリーズ第3戦 第19回アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

ジョーカナチャン

>前後肢にバンテージ。数字は変わらないが、前走より上向き。シャープな造りで、トモにボリューム感も有った。気配が地味なのは何時も通り。スタート直後に外のイベリスと接触しているのだが、委細構わず気合の逃げ。勿論、出脚も速いのだが、それ以上に今日は何が何でもライオンボスを叩くという気迫が勝った。行き切ってしまえばライオンボスも人気を背負っている以上、無理は出来ず、400〜600mの地点で一瞬だけでも楽が出来たことが大きかった。最後はほぼ筒一杯だったが、それでも何とか逃げ粘って前走の雪辱を果たした。戦前はもっと外枠が欲しかったところだったが、それを気合でカバーした格好。ただ、対ライオンボスでデキの差も大きかった。 そもそも1200mで通用するとも思えず、年に1回のお祭りで頑張ったという程度の評価。

ライオンボス

2人曳き。前肢にバンテージ。この中間は攻め馬が軽いということで話題となっていたが、その割に-4kg。ただ、何となく造りが緩い気もしないでもない。好発。例に依って出脚も速いのだが、前述した様にジョーカナチャンが気合で行き切って、その2番手から。これはこれで良かったが、途中でラブカンプーにフタをされそうになり、そこをコジ開けるのに脚を使ったのと、追ってからフラついた分で届かなかった。何か一つ違っていただけで勝っていた競馬だが、最低でもデキは万全で出たかったところ。この馬にとっては年に1回の大目標だった筈で、GⅠに大本命馬が休み明けで出て来る時代なら尚更。

ビリーバー

後肢の送りが少し硬いが、如何にもスプリンターという造り。寸が詰まって良くも悪くも全体に厚ぼったい。ライオンボスの直ぐ内で枠の並びは恵まれていたが、ゲートが微妙に悪かった上に、出脚が違っており、序盤は中段辺りから。徐々に外へ寄せて行ったが、結果的に行くところが全て開いていた。最後は良く差を詰めており、惜しい3着。あまりに上手く行き過ぎて、評価が難しいところ。ただ、今日が直千初体験。ゲートがもう少しマトモになって、前に付けられる様になれば通用しそう。

メイショウカズヒメ

+14kg。休養前は腹が巻いており、馬体増は無条件で歓迎。ただ、もうちょっと張りが欲しいところ。ゲートをヨレながら出たが、何とか外のミキノドラマーは叩いて、ライオンボスの直後から。直千競馬は昨秋に走ってテンに付いて行けなかったが、枠が外になったことで道中の行き振りは悪くなかった。ただ、ライオンボスが少し待たされた関係で、この馬も待ち切れずに内へ切り替えるロスが有った。ジワジワだが、最後迄脚を使えており、これも適性は有りそう。

ダイメイプリンセス

2人曳き。暖かくなって毛ヅヤが良くなった。馬体は元々迫力の有るタイプで、歩様もスムーズ。気配も良かった。ゲートは出ているが、例に依って出脚は速い方ではなく、後方に近い位置。最初は外へ寄せていたが、前が塞がっており、これも内へ切り替える形。狭いところを割って来る脚も有った。届くか届かないかはあくまで展開次第で、今日は前残りだったが、この馬の脚は使っている。基本的に夏場は走る。