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競馬回顧 2021年6回阪神

第38回ホープフルステークス(GⅠ)

キラーアビリティ

スカッと見せて、動きキビキビ。少し物見をしていた点も、前走阪神戦が道中で引っ掛かっただけに、いい方にも解釈出来る。出脚は速く、行きたい馬に行かせつつ、スッと好位。前走の経緯が有り、最初から折り合い重視で乗られていたことも有るが、何とか我慢してくれていた。4角から正攻法で追い出し、坂下辺りで先頭。最後迄脚取りに力強さが有り、完勝といえる内容。相手関係から、今年は阪神戦組の方がレベルは高いだろうが、今日の内容だけをいえばケチをつけるところはない。あとは折り合い。今日は我慢したが、ダノンザキッドの様なパターンにならなければ。

ジャスティンパレス

数字は450kgだが、もっと小さく見える。その分、緩んだところがなく、完成度が高いともいえるが。歩様も馬格の割にはしっかりしていた。スタート直後に躓いたが、上手く立て直してキラーアビリティの直後。出した分、序盤だけ行きたがったが、あとはスムーズ。ただ、道中は内外に馬が居て小柄な馬にとってはストレスが掛かる形。決して楽ではなかったが、それでも4角はキラーアビリティに楽に付いて行ける回り足が有り、バラけてからもディープインパクト産駒らしい大きなフットワークで良く伸びていた。レースに行って根性が有る。先々は小回りのローカル重賞で狙ってみたいタイプ。

ラーグルフ

2人曳き。+14kg。数字分だけ腹回りが緩く映るが、この馬としては落ち着いている方。歩様は悪くない。ゲートをポコンと出て、一完歩目は分が悪かったが、そこからの出脚は速く、前から5番手辺り。1角迄は少し行きたがったが、あとは折り合いも付いていた。枠なりに只管インから。内目の馬場が悪いだけにパワーは有るのだろうが、ジリジリ伸びて3着は確保。休養前はイレ込みがキツかった馬で、今日は緩い分、キレを欠いた。メンタルと肉体のバランスをどうやってコントロールして行くかがカギに。

フィデル

2人曳き。寸が詰まったマイラー寄りの体型だが、まだ全体に力が付き切っていない印象。動きが全体に緩い。お世辞にも出脚が速い方ではなく、後方に近い位置。スタート直後から内へ潜ろうとしていたが、1周目の決勝線通過直後、1角と、コマンドラインとは2回接触する不利。これで更に位置取りが悪くなった。道中も手応えは一息で、勝負どころで外へも出そうにも出せず、結局はインから。追っての反応も決して良かった訳ではないが、最後の最後に伸びて来た形。苦しい競馬だった割に、良く頑張ったといえる4着。まだ馬が若く、現状は機動力不足だが、素質は高い。

ボーンディスウェイ

2人曳き。前後にバンテージ。馬に迫力は有るが、今日は腹回りがボテッと映る。毛ヅヤもイマイチ。ゲート自体は五分程度だったが、出脚が速く、スッと先行。前走はハナだったが、今回はグランドラインが主張したことで2番手で折り合いを付ける形。序盤に少し力むのは仕方がないところだが、2角辺りで馬が納得した様で、我慢して走ってくれていた。ペースもそこ迄速かった訳ではなく、坂下で先頭に立つ迄は良かったが、坂を上る脚がなかった分の5着。現状だとこんなモノだろうが、馬自体はいいので成長してくれば大化けの可能性も。

第66回有馬記念(GⅠ)

エフフォーリア

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。戦前から報道されていたが、東京戦と比較して、馬体の張りが落ちた印象。歩様も悪くはないが、微妙に硬くなっている。ゲート内の駐立が怪しく、微妙に出負け。1周目の決勝線時点で9番手辺り。ただ、馬群の薄いところで、しかも眼前がクロノジェネシス。競馬としては組み立て易い位置に収まっていた。あとは距離を意識して兎に角折り合いに専念すべきところだが、鞍上に自信が有ったのか、今日も強気の競馬。3角手前からクロノジェネシスの真横迄番手を上げ、4角ではクロノジェネシスに対し、1馬身後方に追いやる形。結構早い段階で相手を前と決めていたのが正着だった。坂下からディープボンドと一騎打ち。相手も渋太かったが、最後は力でネジ伏せた形。距離不安を完全に一掃する内容で、現役最強も証明。「記者会見で言ったように天皇賞が120%の状態で、それに比べると落ちる感じでしたが、高い能力を持っているので8〜9割でも十分だと思っていました。初めての2500メートルで、これまでで1番長い距離を走るので折り合いが不安でしたが、いい位置でリラックスしてくれました。ダービーの時みたいにファイトすることなく、いいリズムで直線に向けましたし、何とか頑張ってくれと、がむしゃらに追いました。いい結果を出せて良かったですし、馬に感謝してありがとうと伝えました。(週刊競馬ブック・横山武史騎手)」

ディープボンド

前後肢にバンテージ。張り切れんばかりの造りで、デキは文句なし。毛ヅヤも冴えて、今春よりも一段上。気配も良かった。好発。少し出して好位の内目。出して行っても折り合いが付くのがこの馬のいいところ。序盤は最内を避けていた様にも見えたが、3角手前辺りからインへ潜って死んだ振り。馬場の悪いところに居た分、一瞬4角で手応えが渋くなったが、それでも上手く捌いて直線はエフフォーリアと一騎打ち。良く食い下がったが、最後は相手の底力が一枚上手だった。今日の展開で勝てなければ相手を称える外ない。GⅠを勝つにはもうワンパンチが欲しい。

クロノジェネシス

多少煩いのは何時ものことだが、今日は冬毛が妙に目立った。毛ヅヤ以外は悪くないが、同じ海外遠征帰りでもディープボンドと比較すると一枚落ちる。以前はゲートの下手な部類だったが、最近はむしろ速い方。出脚も有って、スッと好位を確保。序盤はこれで良かったが、3角手前でエフフォーリアにフタをされる形となり、4角はそこへステラヴェローチェら3頭程が加わって、動くに動けない展開。最後は詰めているが、勝負どころで後手に回ったのが応えた格好。今年も全国リーディングながら、肝心なところで冴えていなかった鞍上悪いのか、デキの問題で大事に乗らざるを得なかったのかは微妙だが、引退レースということを考えれば悔いの残らない様に積極策でも良かった気もしないでもない。

ステラヴェローチェ

2人曳き。前後肢にバンテージ。前走阪神戦もそうだったが、2人で曳いている割には妙に大人しい。ただ、コンパクトに纏まった造りで、毛ヅヤも上々。歩様も悪くなかった。ゲートでアオッて半馬身後手。それでも出脚は有る方で、馬群には取り付いてエフフォーリアをマークする形。3角でアカイイトに外から来られたことも有るが、ここもエフフォーリアに付いて行く形。直線は結果的に一段後方に居たクロノジェネシスと併せ馬になったが、坂を上って甘くなった。最後は距離かゲートか、単純な底力の問題か微妙なところだが、この相手なら良く踏ん張った方。

タイトルホルダー

2人曳き。+12kg。特に太い印象はなく、意外と成長分。活気も先行馬だけにこれ位有って丁度。好発。戦前の想定通り、内からパンサラッサが主張しての2番手。勿論、この馬の方が出脚には余裕が有った。パンサラッサに大逃げを打たせ、自身は少し離れた位置での追走だったが、前に馬が見えると多少なりとも力むのは仕方がないところ。向こう正面半ばから少しずつ差を詰め、後続を待たず、600m標識辺りからのスパート。登坂力で差は有ったが、暫くディープボンドやエフフォーリアにも食い下がれた分の5着。やはりベストはハナだが、今日の粘り腰は好印象。来年も何処かで一発有りそう。

第16回阪神カップ(GⅡ)

グレナディアガーズ

前後肢にバンテージ。牝馬が人気だったことも有るが、このメンバーに入れば馬振りは断然。毛ヅヤもピカピカだった。ゲートは半馬身後手。少し出して中段やや後方。変に窮屈なところに入った様にも見えたが、結果的に馬が我慢する形になった。幸いに4角で外の壁になっていたサウンドキアラが動いて、外へ出せるスペースが出来たが、直線は1頭だけ脚が違っていた。生涯でも一番切れる脚だったといえるだろう。マトモに走ればこれ位の能力は持っているが、これが毎回使える保証はない。今後も位置取りやペース次第。3回に1回ハマれば充分。

ホウオウアマゾン

また馬体増。太いことは太いが、今シーズン3戦目で馬は張っていた。手先のスナップが利いて、太い点以外にケチを付けるところはない。ゲート自体も微妙に分が悪かったが、1200m馬のファストフォースが主張したことも有り、無理せず好位のイン。流れには乗れていた。直線もインから。今日の馬場状態だと、距離損は有っても外を回した方がいい筈だが、荒れ馬場も苦にせず、渋太く脚を伸ばして2着確保。前走の様に33秒台の決め手を要求される展開だと厳しいが、有る程度上がりが掛かる展開なら堅実。

ダノンファンタジー

前後肢にバンテージ。+8kg。ここが目標だった割には少し太いかも。歩様に力感が有って、気配も良かったが。ゲートを決めてジワッと先行。隊列が直ぐに落ち着いてくれればこれで良かったが、3角手前で動いた馬が多く、位置取りが一列下がった上に、出入りが激しくなった。何とか我慢してくれてはいたが、馬にストレスを掛けた面は否めないだろう。直線もジワジワ伸びているが、前走程の脚は使えなかった。阪神なら堅実だが、3歳馬にやられただけに年齢的な勢い不足も感じない訳ではない。

タイセイビジョン

テンション高いのは何時ものこと。メリハリの利いた造りで、毛ヅヤも上々。デキ自体は間違いなく良かった。歩様も悪くない。ゲート五分。本気を出せば有る程度は行ける筈だが、1400mということで折り合い重視で乗られ後方から。馬場の悪いインだったが、引っ掛かることもなく、下を気にすることもなく、我慢して走ってくれていた。ただ、4角で眼前のベストアクターが故障して、数馬身待たされたのが痛かった。最後は詰めているが、3着は有った競馬。

サウンドキアラ

+6kg。少し毛ヅヤと歩様が落ちて来た。前々走、前走と良く見せたが、1割位のデキ落ち。出脚には余裕有ったが、無理せず中段。枠番とは内外逆になっていたが、グレナディアガーズと同じ位置。前述した様に、そのグレナディアガーズに対し、フタをするイメージで乗られ、相手の仕掛けをワンテンポ遅らせる形になったのは良かったが、グレナディアガーズとは決め手が違っていた。デキ落ちの分は有るにせよ、今日はそれ以前の問題。このメンバーだと少し能力差が有る。

第73回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

ドウデュース

-10kg。前走東京戦が太かった。現状はこれ位で丁度。毛ヅヤが冴えて、現状のデキ自体も良さそう。今年のメンバーなら馬の器としても上位。あとは歩様に力強さが来れば文句なし。ゲートは微妙に後手。それでも特に急かす様子はなく、中段から。逃げたのは最内枠のカジュフェイスだったが、好位勢が結構固まっており、馬群の薄いところで運べたのは大きかった。基本的にはセリフォスを目標に運び、直線入口でオタルエバーに外へ張られる場面こそ有ったものの、立て直してセリフォスと一騎打ち。馬群が併さった坂下で右手前になっていたが、それでも持前の並んだら抜かせない勝負根性を発揮して、セリフォスを競り落とした。能力の絶対値は未知数だが、妙に勝負強い。競馬に注文も付かず、夢を追える馬。

セリフォス

2人曳き。前後肢にバンテージ。ドッシリと見せて、馬振りでは抜けた存在。気配に集中力が有り、歩様もしっかりしていた。ケチの付けるところがない。今日もゲートが微妙に悪かったが、好位は確保。ただ、押して行った分、掛かり気味。あからさまに引っ掛かった訳ではないが、4角手前迄引っ張っていた。普通ならズルズルの展開だったが、直線は力強い伸び。最後はドウデュースに競り負けたものの、馬力を示した2着。この鞍上もゲートは下手な方だが、ゲートは出るに越したことはないところ。ただ、一戦毎に強くなっている印象で、競馬も上手くなっていることも確か。

ダノンスコーピオン

-4kg。まだ微妙な緩さは有るが、少しでも締まって来たのはいい傾向。歩様も悪くないが、マイラー体型だけにもうちょっと硬い位になって来た方が走りそう。好発。そのまま行かせれば2番手位で運ぶ形になっただろうが、引っ掛かりそうになったことで押さえて中段から。内に居たことで何とか我慢して走れていたか。ただ、今日の馬場で内へ押し込められると勝ち切る迄は難しい。一瞬、セリフォスとドウデュースの間を狙ったが、ドウデュースに塞がれ、この時点で競馬が終わった。それで3着なら馬は頑張っているといえるが、スタート直後に引っ掛かる癖が未だ直らず。

アルナシーム

2人曳き。前肢にバンテージ。-6kg。前走東京戦が+20kg。成長分も有り、今日は今日で纏まった造り。ただ、少し歩様が頼りない。テンションも高目。アオって1馬身不利。馬場の悪い内目だったが、押して直ぐ馬群には取り付いており、その割には折り合いも付いていた。ここ迄来たら、腹を括って最内を突くしかなく、内目から渋太く脚を伸ばして際どいながらも4着浮上。前走東京戦の大暴走が有っただけに、ゲート以外はマトモに競馬出来たことは収穫。尤も、この手の馬は次走サッパリということも少なくないが...。

ジオグリフ

+4kg。悪くいえば前走札幌戦からの成長がないということにはなるが、馬はキッチリ出来ていた。胴長で垢抜けた感は有るが、気性面が散漫。行く気もなかった様に見えたが、元々が出脚もなく後方から。道中もこういったペースに経験がないことも有り、追走に汲々。直線は大外へ持ち出して伸びているが、大勢が決した後だった。元々不器用な馬だが、今日は経験不足が加わって競馬にならなかった。

第7回ターコイズステークス(GⅢ)

ミスニューヨーク

緩んだところが一切なく、如何にも切れ者といった造り。この時期の牝馬にしては毛ヅヤも良かった。ゲートは出ているが、例に依って進んで行かず最後方から。前走東京戦が内に居て不完全燃焼だったことも有り、今日は3角過ぎから外を進出。4角でもまだ後方だったが、大外から坂下では勝ったかの勢いだった。無論、圏内の馬では有ったが、今日は単純にハマった。戦前はハイペースが想定されていたが、実際には中々そうならない中で、流れたことも味方した。あとはハンデ。次走以降は最低2kg増となるが、それでも走れるかどうかが焦点。

アンドラステ

前後肢にバンテージ。完歩の小さい歩様は何時ものこと。少し毛ヅヤは落ちて来たが、馬体の張りは悪くない。無理に急かすことはせず、内外の出方を窺いながら中段から。今日のペースなら悪くない位置だったか。ただ、4角辺りから外へ出そうとしているのにずっと壁。諦めて坂下で内へ切り替えたが、外から勢いが付いていたミスニューヨークには屈した形。勝負どころでスムーズだったら勝っていた可能性も有ったが、ハンデ戦で思い切って乗った馬にやられるのは仕方がないところ。56.5kgは少し見込まれた感も有ったが、限定戦なら上位の馬。

ギルテッドミラー

少し歩様が甘く、重心が高いのは毎度。馬体はキッチリ出来ていた。落ち着いていた点も好感。ゲートは五分程度。折り合いが鍵となる馬だが、2角辺りで少し持って行かれる場面は有ったものの、何とか中段で我慢。勝負どころではアンドラステを意識しつつ、上手く内へ押し込んでジリジリ伸びて来たが、上位2頭の決め手が一枚上手だった。それでもマイルの外枠で折り合って競馬になっただけでも大進歩。ただ、折り合いがカギとなる割に外枠の方が走る傾向も。

フェアリーポルカ

限定戦なら迫力断然。歩様にも力強さが有って、下見からはケチをつけるところがない。ゲートは五分に出ているが、他馬の方が出脚は速く、中段やや後方から。道中もちょっと忙しそうにも見えた。直線は底力で伸びて来たが、ずっと窮屈な位置を通らされ、馬にストレスが掛かった様で坂を上って脚色が一緒になってしまった。外枠なら何とかなった可能性も有ったが、現状だとマイルは微妙に忙しく、内枠で器用な立ち回りを求められると苦しい。

ジュランビル

-6kg。前走が少し余裕残しで、これ位が現状のベスト。ダートを走っているだけ有って、歩様もしっかりしていた。一瞬の出脚が速かった訳ではないが、スマイルカナの外だったことも有り、ジワッと行かせて好位4番手辺り。上手く流れに乗れた。4角の手応えこそ若干渋い様にも見えたが、それでも直線は良く踏ん張っている。芝の重賞で勝ち負けに持ち込むにはもう少し決め手が欲しいが、ダートも走れる馬で馬主孝行するタイプ。

第73回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

サークルオブライフ

シープスキンノーズバンド。良くも悪くも前走東京戦と変わらず。小走りが入る場面も有ったが、それ以外は何時も通りの地味な気配。ナミュールの出遅れが目立っていたが、この馬も半馬身程出負け。中段やや後方の外。道中でズブいのは覚悟の上だろうが、スタートして2F程で少しゴチャつく場面が有り、一瞬ながら手綱を引っ張る場面。今日はこの分なのか、前走より行き振りが良かった。4角手前で外からベルクレスタにマクられた以外はそこ迄苦労せず追走できており、直線向いてからも1頭だけ脚が違っていた。マイルはやはり短いだろうが、それでも1戦毎に内容は良くなっている。来年へ向けては、 あとはゲートを出ないので、変に前で押し切られる展開にならなければ。

ラブリイユアアイズ

-10kg。また馬体減。前走東京戦の段階で既に腹が巻き気味になっており、それを考えたら見た目はそこ迄ガレた印象はない。毛ヅヤ、歩様、気配共問題はなかった。ゲートを決めて好位5,6番手辺り。ウォーターナビレラに限らず、外から先行した馬が他にも居て、何度かブレーキを掛ける場面も有ったが、それでも意外と折り合いは付いていた。4角は内外前に馬が居たが、この時の手応えが抜群で、直線はウォーターナビレラの内から。目標のウォーターナビレラは競り落として2着浮上。馬体が減ってどうかと思ったが、競馬が上手くて相手なり。要はマジックキャッスルタイプだが、あとは今日の馬体減がどうか。ここからは厩舎技量。

ウォーターナビレラ

2人曳き。トモのボリューム感は1頭だけ抜けている。気配も良かったが、、歩様に硬さが残っていたのも前走同様。相手次第ではハナへ行く手も有っただろうが、外からダークペイジが何が何でもの構えで行き、内からトーホウラビアンにも粘られたことも有り、これらと距離を取った3番手。上手く流れに乗れた。直線も外へ持ち出すだけの余裕も有り、坂下で先頭。ただ、流石にこの形では何かにやられるのも仕方がないところ。むしろ両サイドに交わされてからも良く抵抗している。ただ、この手の馬が3歳になってキツくなるのは毎度のこと。桜花賞は別にして、スプリントで何処迄大成させられるか、これも厩舎の手腕が問われる。

ナミュール

-10kg。少し腹が薄くなって来た。それでもトモの迫力とこの馬独特の力強さは残っている。毛ヅヤも意外と良かった。出遅れ2馬身不利。スタート直後は内外で迷っていた様にも見えたが、暫くしてサクと接触。この時に内へ弾かれたことでそのままインへ。4角も眼前のナムラクレアが外へ持ち出したことで最後迄インを通る形。、内目の馬場が悪い分、前は開いたが、ひと伸び利かなかったのは仕方がないところ。馬もゲートが下手だが、鞍上も下手で、ゲートに尽きる。

ナムラクレア

-6kg。馬体に細い印象がないのは救いだが、気性面がカギとなる馬だけに、もっと落ち着いて欲しい。下見の割に出脚がなく、中段やや後方から。折り合い面を気にして、出せなかった分も有るが、特にナムラリコリスに前を越されたのは意外だった。道中はインで直線だけ可能な限り、外へ。ジリジリ伸びているが、4角で外の馬が動いたことで番手が下がっており、その分も有って、入着止まり。器用さが有って、距離は何とかこなせるが、結果的にもう一段前で勝負すべきだったか。

第14回カペラステークス(GⅢ)

ダンシングプリンス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。+8kg。数字分だけ重いだろうが、デキがいいのか、馬は張っている。毛ヅヤも冴えていたが、少しチャカつく。ゲートは五分だったが、出脚が抜群に速く、スッと2番手。4番枠ながらも、砂を被らない位置迄、出て来れたのは大きかった。3角手前でモズスーパーフレアに少しプレッシャーを掛けて、一息入れたいところで脚を使わせ、先に脚が鈍って来たモズスーパーフレアに坂下で並び掛けて競り落とした。厩舎も馬も重賞初制覇とのことだが、自分で競馬を組み立てて、思い通りの競馬。単純に強かった。ただ、1200m限定なので国内には使うレースがなく、次走は海外遠征が視野に入っているとのこと。

リュウノユキナ

前肢にバンテージ。-3kg。少し腹回りが緩く映るが、何時もこんなモノ。歩様も一般的に見れば硬いが、これもこの馬独特。ダンシングプリンスには出脚で敵わなかったが、その番手。全体では5番手辺りから。モズスーパーフレアは別にしてしっかり行き切ってくれたお陰で、競馬が楽になった。ただ、マーク屋として完璧に運んだだけに、並走迄持ち込めず、影を踏んだ程度で終わったのは不満が残る。前走金沢で追い付かなかったモズスーパーフレアに先着出来たことは良かったが、中央で勝つにはもうワンパンチ欲しい。

オメガレインボー

シープスキンノーズバンド。水平首で気配は良かったが、ダートの短距離戦に走る馬としては地味な馬体。ただ、歩様は例に依って柔軟性が有って力強い。アオり気味に出て、出遅れ1馬身不利。腹を括ってインへ潜り、イチかバチかの競馬。ハイペースで前がバラけていたことも有って、進路は有り、スムーズに捌いて来たが、前には届かず。初の1200mで出遅れた割には追走も楽で、適性は有りそう。1600m辺りでも届かない競馬が多かったのでこれで馬がシャキッとすれば。

モズスーパーフレア

-12kg。500kgは切った方がスカッと見せて走る傾向。今日はその点で良かった。多少、毛ヅヤが落ちてきているのは仕方がないところ。好発。出脚で一馬身抜けてハナへ。外から躊躇なく行っているだけに、前半3F32.8秒は仕方がないところだが、坂下辺りから脚が鈍り、4着止まり。ズルズルと下がった訳ではないが、毎回あとひと踏ん張り欲しいところで粘れてない。変に控えるよりはこの方がいいことは間違いないのだが、毎回このパターン。今後が有るなら何か策が要るところだが、これで引退とのこと。

スマートダンディー

2人曳き。遮眼革。前後肢にバンテージ。+6kg。馬は迫力充分、ただ、少し気負っていることも有るが、完歩の小さい歩様。ゲートは五分に出ているが、出脚が足りず、押して何とか中段。このハイペースで初の1200mだった割には付いて行けた方だろう。直線も外へ持ち出して、ジリジリながら掲示板は確保。基本的には展開待ちにはなるだろうが、1200mでも走れそう。

第57回中日新聞杯(GⅢ)

ショウナンバルディ

前後肢にバンテージ。+6kg。一息入ったが、キッチリ出来ていた。一歩一歩がしっかりしていて、馬体もスッキリ。ゲート五分。大して出脚が速くないのはネックだが、枠の利が大きく、押してハナへ。今日はメンバー的に混戦で、皆が大事に乗った結果、1000m通過が61.1秒のスロー。2番手がアフリカンゴールドだったのも後続に変な安心感を与えていただろう。直線向いても後続が来たら来ただけ伸びた形。上がり3Fが最も早かったのが8着・ヤシャマルで34.4秒、この馬が35.0秒と、極一部を別にすればほぼ直線入口の隊列通りだった。左回りでスンナリならこれ位は走れて不思議はないが、今日はあまりに楽過ぎて能力面の評価は何ともいい難い。

アフリカンゴールド

下見は最後方を周回。馬体は相変わらず見栄えはしない。歩様が硬いのも何時ものことだが、この馬としては活気が有った。これも出脚はお世辞にも速くなかったが、戦前からの決め打ちで押して先行。2番手から。動いたのも少し早目で4角手前辺り。ラスト200m辺りではかなり苦しそうに見えたが、両サイドから来られると根性を発揮して、もうひと踏ん張り。今日はこの分の2着。昔と比べるとズブくなっており、今日は久々に積極的に乗ったのが好走の要因だが、これも今日はペースが特殊過ぎて次走は何とも...。

シゲルピンクダイヤ

前後肢にバンテージ。時折、チャカつくのは毎度で、これでもこの馬としては大人しい方。歩様には力強さが有って、馬体も最近の中では一番良く見せた。キングオブコージがいい壁になってくれたことも有ったが、折り合いもこの馬としては堪えてくれた方。直線はしっかりした脚取りで良く伸びているのだが、アフリカンゴールドも伸び返して3着止まり。このレースは昨年も2着と好走しており、2年連続の馬券圏内。ただ、2000mは本質的に長く、年明けの同条件はペースが流れて9着。この距離で好走するにはスローが大前提となる。

ボッケリーニ

-6kg。線の細さばかりが目立った昨年と比べたら、大分力強くなっている。歩様もしっかりして来た。ゲートは微妙に悪かったが、シゲルピンクダイヤの先行策に乗る形で好位直後。内に潜ってセコい競馬は出来た。直線も内目から抜けて来て、最低でも2着は有りそうな勢いだったが、最後に脚が鈍った。このメンバーなら何とかしたかったところだが、最後はハンデが応えたか。前走阪神戦がオープン特別2着で0.5kg増。結果的にこの分が見込まれていた形。

キングオブコージ

+10kg。年明けの2200m戦辺りが当面の目標なのだろうが、今回は全体に余裕残し。歩様は悪くなく、単に太いだけ。半馬身程出負け。一旦は外のレイエンダに叩かれているのだが、鞍上がスローと読んで立て直して3番手へ。出して行った割には折り合いも付き、いい形で直線に向いたが、伸びはジリジリ。回転数が足りなかった。ただ、太かった割には最後迄踏ん張っているともいえる。次走改めて。

ジャパン・オータムインターナショナル 第22回チャンピオンズカップ(GⅠ)

テーオーケインズ

+6kg。物見をして頭が高く、踏み込みが浅いのは毎度。皮膚を薄く見せて、デキ自体はいいが。ゲートがネックの馬だが、何とか五分。サンライズノヴァには叩かれたが、7番手辺りと、ソコソコ前に付けられた。道中は馬群の中で脚を矯め、直線は脚の違いで馬群を捌くと、あとは独り旅。昨年の覇者、チュウワウィザードに6馬身差は見事という外ない。戦前はゲートだけが不安要素だったが、単純に強かった。ただ、芝スタートの東京マイルは向いているとは思えず、UAE遠征が一番無難な選択ということになりそう。

チュウワウィザード

前後肢にバンテージ。金沢の交流戦と叩いて順当に良化。一歩一歩に力強さが有り、馬体も迫力が有って、スッキリ。昨年以上のデキ。出脚がそこ迄速い方ではなく、外枠だと中段がやっと。この位置だとどうしても外を回されてしまうのも仕方がないところだが、それでも直線で大外へ持ち出されると、最後迄しっかりした脚取りで2着は確保。テーオーケインズには敵わなかったが、この馬の面目は保った。ちなみに陣営の希望はテーオーケインズマークだったとのことだが、これ以上、無理する訳にも行かず、今日はこれでベストの騎乗。枠に泣いた。

アナザートゥルース

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。このメンバーだとそこ迄目立たないが、トモに張りが有って高値安定。前走阪神戦より、気配も良かった。押して押して好位の外。叩かれるとヤル気をなくす馬だが、外の馬に競り掛けて来る気配が全くなく、ユッタリと構えて乗れた。道中も被されない様に乗られ、直線はテーオーケインズには歯が立たなかったが、最後迄ジリジリ伸びて3着浮上。目下のデキもいいのだろうが、やはり揉まれなければ渋太い。

インティ

前後肢にバンテージ。-10kg。近走が太かった。久々に目一杯仕上げて来た印象。手先だけで歩いている点は毎度。出脚は速かったが、この距離だけにソダシと喧嘩して迄行き切るのは得策ではなく、スッと引いて2番手から。多少なりとも力む場面は有った。4角でソダシに並び掛け、直線で抜け切らんかというところでテーオーケインズが来て、そこを抵抗する脚がなかった。ちょっとでも踏ん張れていたら3着有ったかも。全盛期の勢いががないのは仕方がないところとしても、力んだり、直線で手前が替わらなかったり、細かいところがもうちょっと器用にならないと。

サンライズノヴァ

前後肢にバンテージ。年齢の割には馬が張っていて、若々しい。少し小走りも入っていたのも愛嬌の範疇。両サイドの馬とは出脚が違うのは仕方がないところで、例に依って後方でジッと待機。直線だけ外へ持ち出して、ジワジワ伸びて来ているが、ここ迄。テーオーケインズがブッちぎる展開は絶好だったが、GⅠともなるとそれだけで馬券圏内は中々難しいところ。ウェスタールンドの様に、追い込みはインを突かないと苦しい。

ソダシ

下見にケチを付けるところはない。白毛だけに馬体の張りは何とも言えないが、迫力が有って、歩様も悪くなかった。ダノンファラオがゲート入りでゴネて待たされたのは痛恨だったが、何とかゲート五分。最内枠だけに押してハナへ。1000m通過が61.4秒だから、取り敢えず形は出来たが、4角でインティに並び掛けられても抵抗出来ず、直線もズルズルだった。単純に適性がない。更にいえば基本的にGⅠの初ダートで好走するケースは、東京マイルで外枠の先行馬が大半。

第72回チャレンジカップ(GⅢ)

ソーヴァリアント

2人曳き。トモのボリューム感で1頭だけ抜けている。曳き手を馬が引っ張って行く位の気合乗りで、歩様も力強い。ハナへだけは行く気がなかった様だが、外から馬の気に任せて2番手から。ハナへ行くまいとガッチリ抑えたことで、マイネルフラップの逃げは62.9秒のスロー。あとは後続を引き付けるだけ引き付けて追い出したが、直線は独走だった。このメンバーでスムーズに運べれば、この位の圧勝は当然の馬。ただ、GⅠでどうかはあくまで未知数。

ヒートオンビート

前走東京戦と増減なしだが、叩いて良くなった印象。馬体の張りが増して、気配も良かった。ゲートがアオり気味だったが、押して前から5番手。序盤に少し行きたがるのは仕方がないところ。それでも向正面では折り合いが付いたのは大きかった。このスローだけにコーナーで動く馬も居たが、ワンテンポ待てる余裕が有り、その分の2着。ただ、追って頭が高いのと、トビが大きくて回転数自体が有るタイプではないだけに、本来ならスローの決め手勝負は向かないタイプ。今日は鞍上が上手く乗った印象。

ペルシアンナイト

+12kg。最近は馬体重の変動が激しいが、見た目にはそこ迄の変化はない。デキ自体はずっと安定。ゲートのタイミングが合わず、出遅れ。道中は中段から。スタート直後から行きたがっており、最初から宥めに掛かっていた。常に馬を前に置き、何とか我慢させて直線は外へ。ジワジワ伸びて来ていたが、前も止まらず3着止まり。ヒートオンビートとは立ち回りの差だけで、内容そのものはこの馬の方が強い。この辺りのメンバーなら常に馬券圏内の馬だが、ゲートや折り合いの問題も有り、良くて2着なのが難しいところ。

ジェラルディーナ

2人曳き。448kgの馬としては迫力が有る方だが、2人で曳いても、曳き手が馬と一緒に走っている状況。何時ものこととはいえ、ヒドい。懸案のゲートは何とか五分も、カツジを壁にして折り合いを付ける形。かなり行きたがってはいたが、何とか我慢して走ってくれていた。ただ、3角から外を押し上げて行った馬が多く、インに居た利は有ったとしても、後方に置かれていてはどうしようもなかった。カツジがもう一段前で頑張ってくれていればまた違っただろうが...。とはいえ、まずはイレ込みを何とかしないことには。

スカーフェイス

重賞に入ると迫力が足りない。皮膚を薄く見せて、現状のデキ自体は悪くないだろうが、歩様にも力強さを欠く。この馬としてはゲートを決めた方だが、積極的に行く気はなく、中段やや後方から。他馬が早目に動いた際も我関せずで脚を矯め、直線に賭ける策。競馬が終わった後では有ったが、最後の最後にいい脚を使っている。アテには出来ないが、オープン特別なら何処かで一発は有りそう。

第55回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

ディバインフォース

この距離を走る馬としては寸の詰まった造りだが、デキ自体は文句なし。馬体に張りが有って、歩様にもブレがない。出遅れ1馬身不利。後方から。序盤から極端なスローだったが、道中もあまり動かず、動き出したのは2周目3角辺りから。当然ながら、序盤のペースが遅い分、勝負どころから一気にペースが上がる形だったが、それでもこの回り脚が結構速く、余裕を持って4角を回り、計った様にアイアンバローズを捕まえた。毎回、後方からの競馬になるので、ハマるかハマらないかは運の助けも要るが、距離は有れば有るだけ有利。回り脚も速いので、中山3600mは合っていたということはいえるだろう。

アイアンバローズ

2人曳き。前後肢にバンテージ。何時もより落ち着いている。距離を意識して、上手く造って来た印象。その分、馬体もフックラ見せる。出ッパは速い方ではなく、セダブリランテス等の外から来た馬に叩かれる展開となり、一旦は4番手。しかし、1周目1角で外へ持ち出した際に、馬がソノ気になっており、1周目向正面でハナへ。それでも2番手以下が突きに来なかったことも有り、今日は遅く、1000m通過が65.3秒、2000m通過が130秒2と、ずっと遅かった。勝負どころの回り脚にも余裕た有り、後続を一旦は突き放す場面迄造ったが、この競馬で捕まったのなら諦めも付くだろう。充分好内容。もう少し出脚が有れば更に楽になりそう。

シルヴァーソニック

お世辞にもいい様には見えなかったが...。腹回りが少し緩く、歩様にも頼りなさが有った。ゲート自体はそこ迄速くなかったが、馬が最初から行く気になっており、鞍上が引っ張りながらも3番手。道中も引っ掛かるという程ではなかったにせよ、リラックスして走れていたともいい難いのだが、2周目3角過ぎから積極的に動く競馬。前のアイアンバローズに並び掛ける迄の脚はなかったが、3着は確保した。3600mを根性一本で走った様な競馬。ハードルに使ってみても面白いかも。

トーセンカンビーナ

前後肢にバンテージ。前後肢にバンテージ。馬体は使う度に良くなっているが、少し歩様が硬い。今に始まったことではないが、ゲートでアオって、1馬身出遅れ。1周目はディバインフォースより後方だったが、2周目のホームで進出して中段。ただ、2周目向正面半ばからペースが上がった際に、置かれそうになっており、ディヴァインフォースにマクられる形になったのが痛かった。直線に向いてからは伸びているが、既に競馬が終わった後。力は有るが、如何せん不器用。10回やれば1回位はこの馬でも勝てるパターンも有っただろうが、今日の様に一気にペース変わる展開には対応出来なかった。

ゴースト

前後肢にバンテージ。-6kg。数字分だけでも締まった印象。この時期の芦毛にしては毛ヅヤは悪くない。外枠でも出脚は速く、楽に好位。上手く内へも潜り込めた。折り合いも付いていた。序盤スローで一気にペースが上がる展開は内に居た馬にとって絶好だった筈で、直線も割って来る脚が有ったのだが、坂が上れなかった。この相手だとワンパンチ足りない。