Sakura Archives

競馬回顧 2000年3回阪神・4回東京

マーメイドステークス(GⅢ)

フサイチエアデール

サンデーサイレンス産駒6頭出走中で数字上一番大きい馬がトゥザヴィクトリー。逆にこの馬は2番目に小さく、その差は42kg。しかし、ほぼ同じ位に大きく見せていた。前走の安田記念で不完全燃焼。そのダメージを懸念していたのだが、松田国英調教師、オープン馬4頭が全て牝馬というのは偶然ではないのだろう、キッチリ馬を立て直してきた。58kgを背負い、道中掛かり気味ながら最後は力でネジ伏せた。

トゥザヴィクトリー

勝ち馬とほぼ同じ位に見えるとは前述したが、この馬とて雄大に見せることでは定評のある馬。それだけ勝ち馬のデキが凄すぎただけ。本題の競馬内容だが、逃げたことは不問としても、そう切れる脚がないだけに3角から一気に脚を使った方が面白かったのでは?

マルカコマチ

次走、連闘で北九州記念ということで、多少余裕があったかなという程度。連闘策だからか、距離を考えてなのか、道中、最後方で、直線だけの競馬。このスタイルでは無欲なだけに掲示板は堅いのだろうが、恵まれないと上もない。

サンデーピクニック

連対馬2頭は現役古牝馬のNo.1とNo.2なだけに、この2頭に勝てるのなら本物だったのだが、ただ、準オープン上位程度の実力はあるトウカイティアラを置き去りにした辺り、偽物でもないのだろう。また、900万下から出直して、秋かそれ以降に期待といったところ。

ヒシピナクル

昨秋のこの馬のキャンペーンを思い出してみると、マクってバテという競馬が印象にある。ただ、今日はトゥザヴィクトリーに絡むことすら出来なかった。休み明けということならば問題はないのだが、そうでないと今後アテにし辛い。あと一走見てみないと。

灘ステークス

マンボツイスト

包まれるのを嫌ってか、2番手から早目早目の立ち回り。G前1F地点ではスナークレイアースが勝った筈だったが、そこからが妙に渋太い。見た目には圧勝ではないし、事実そうなのだろうが、何回やっても同じ結果なのもまた確かなのだろう。

スナークレイアース

−2kgは好材料。砂を被るとよくないので、外枠は有り難かったのだろうが、それにしても大外ひとマクりの内容は強かった。勝ち馬にも云えることだが、こんな馬がコンスタントに出てくる辺り、関西ダート界はそれにしても底辺が広い。

サンフェザント

よく追い込んできたというべきなのだろうが、前とは5馬身差。その上好位追走組が戦意喪失していただけに、評価し辛い。

フサイチゴールド

デキが本当ではなかったかも知れないが、それにしてもダラしがなかった。900万下からは直ぐに上がって来れるだうが、準オープンとなるとちょっとアテに出来なくなった。

キクノグリッター

砂は被っても大丈夫らしいので、インからの競馬。直線向いて直ぐ一瞬はコレというシーンもあったが、そこから連対馬2頭に置いていかれた。それにしても...といったところ。

函館スプリントステークス(GⅢ)

タイキトレジャー

小回りはゴチャつくので不向きとは言われていたが、何故か函館と札幌はそれ程ゴチャつかないことが多い。今日も例外ではなく、インに居ながらスムーズな競馬。そして、本命馬が破れ去った最大の原因、スローの前残り。この相手で展開利があれば楽勝は当然で、強敵相手でもう一回見たい。

ダイタクヤマト

昨日の阪神のメインと同じ前半3F33.9秒。スプリントGⅠの格言に「前半3F33.5秒の位置にいる馬を狙え」というのがあるが、それに逃げた馬すら及ばないペース。そして、スタート直後こそ手擦ったものの、メジロダーリングが控えてくれたお蔭で楽にハナに行けた。この馬、本来オープンでは通用しない馬だけに、自分でペースを創ることの有効性を改めて示した。

メジロダーリング

今から競馬を教えるのは遅いと思うのだが、何れにせよ競馬を教えようとして控えたのだろう。今日の結果は微妙なところなのだが、今後それが距離面等で役に立てばとりあえずは是としてよいのでは?あと、蛇足だがこの馬が逃げないとなると2ヶ月後のスプリンターズステークスが逃げ馬不在の事態も有り得る。従って、イキのいい4歳馬の登場を真に願う。

フェイマスケイ

矯めて云々という馬なのだが、ペースが遅いと判断して3、4角中間から一気に出ていった。とはいえ、重賞だといつもこの程度。例え、前崩れでもこの馬以上に切れる馬は多数存在する訳で、多少の好運がないと厳しい。

スリーリバティー

ノーブルグラスの再来かもと期待して観ていたが、結局、スローと直線走路で外にモタれた分の負け。同じ上がり馬でもダイヤモナークに先着出来たのは戦前指摘した過去の傾向通り。

ブロードアピール

大外一気の馬がインに突っ込んだ段階で無理。あと、結果論になるがゲートを失敗して置かれ加減になったのも痛い。

ダイヤモナーク

いい馬だとは思うが、まだオープンでは通用しない。

マイネルマックス

スローにしても負け過ぎ。敗因がよく解らない。

文月ステークス

カルミナブラーナ

前半33.3秒はこのクラスでは平均ペースより多少速い程度。しかし、前の組が中途半端に競り合い、早々と自滅。しかもその結果、第2集団の仕掛けが早くなりこれも自滅。従って、結果的に第3集団の先頭にいたこの馬が一番美味しい思いが出来た。ただまあ、それ以上でもそれ以下でもないのも事実。

オーソリティー

前述の通り、数字上は前の流れ。従って、展開利大の勝ち馬とは違って、こちらは力で追い込んできた。また、慌てず4角でインを突いたのも好判断だった。

グランドウィン

これもカルミナブラーナと同じ位置。従って、展開利は大きかった。あとは休み明け、コーナーワーク、そして道中の追走時の手応えの差。

オカノスピカ

こちらは第2集団にいた。ただ、一瞬勝ったかと思わせる手応え。G前寸前で止まった訳だが、手応えに騙されたというより、戦前話題になっていた対オーソリティーへの分の悪さが仕掛けを早くしてしまった。

シェイクマイソウル

この馬についてそう知識がある訳ではないが、ハイペースだと追走に骨を折ってしまうが、だからといってスローでも前にも行けず難しい馬なのだと思う。今日はスローとは言えないまでも楽に追走出来る流れ。そこへ前崩れでここまでということなのだろう。1F延長でもう一度見てみたい。

アプリコットデュー

不利もあったが、脚もなかった。

ソブリンスルー

こちらは逆に脚があっただけに、挟まったのはもったいなかった。

サウンドワールド

57.5kgだからなのか、コース形態だからか、ダッシュ力でインの2頭に出られてしまった。これが行く気があるのか無いのかよく解らない態度で、途中から無理に出ていって自滅してしまった。

宝塚記念(GⅠ)

テイエムオペラオー

「見た目には辛勝。でも、中身は完勝。」のよくある形だが、グラスワンダーがいなければあの程度の相手、この馬の評価を上方修正するまではどうか。逆に下方修正してもいいくらいでさえと思う。春競馬は距離的にスローが多く、秋競馬の乱ペースで惨敗のケースは多いが、この馬とて例外ではない筈。

メイショウドトウ

回りは関係ないのは戦前指摘した通り。うまく前々で立ち回った点は否定できないが、地力強化も目ざましいのもまた確か。

ジョービッグバン

前述のメイショウドトウ、この馬、そしてここには出ていないタヤスメドウが今年前半の関西の成長株だが、この馬も地力強化振りを見せつけた。この馬が丁度1年前、函館記念を勝った時が500万上がりで50kg。今年の中山金杯を勝った時が53kg。ハンデキャップホースが遂に定量戦のGⅠで通用したのだから、ちょっとしたサクセスストーリー。

ステイゴールド

この馬の好走パターンも大分絞れてきたとは思う。左回り、そしてハイペースというのが基本になるのだろう。今日はサイレントハンターがタメ逃げを打ったのが、ちょっと痛かったところ。

ラスカルスズカ

流石にデキは落ちてきた。今日はそれよりも非力なこの馬にはインを出し抜ける競馬が合わなかった。

グラスワンダー

故障発生。

マチカネフクキタル

全盛期のパワーはないのだろうが、裂蹄気味の馬で夏場は思うように攻め馬が出来る分、大分立ち直ってきた。GⅢのハンデ戦で57kg程度なら充分やれるのでは?

マチカネキンノホシ

3歳時以来の西下を原因とするならば、このコメントも納得がいくというもの。「自分でヤメてしまうような、昔の悪い癖が出てしまったよ。(岡部騎手・週刊競馬ブック)

米子ステークス

チェックメイト

この馬もプロキオンステークス回顧のゴールドティアラの項で述べた事と全く同じ事が云える。追い込み馬がスローを見越して、好位につけたこと。これが最大の勝因。勿論、それが為し崩しに脚を使うケースもあるのだが、武豊騎手ではそれが見られない。末脚もしっかり引き出している。あくまで冗談だが、渡米を嘆く向きも多い。しかし、展開予想だけはやり易くなる分有り難いとさえ思う。

カネトシガバナー

休養から帰ってきて、ずっと体調自体は良かった。ただ、諦めの早い馬なのだろう。手応え通り伸びない競馬が続いていた。まあ、今日はいつもより距離の短い哩戦で最後まで気持ちが続いたといったところ。哩戦も数使っていけば今まで通りになりそうなだけに、今後、調教の工夫が要るかも。

トウカイダンディー

流石に−12kgは細い。行きたがっていたが、これに逆らわず行かせたのが奏功。

マルカコマチ

ジョッキーはスローを嘆いているが、武豊騎手はゲートに勝負を賭け、前につけた。しかし、福永騎手は何も考えず、普通に出てしまった。山野浩一氏絶賛の福永騎手だが、まだまだ勝負に対する厳しさが足らない。

ホーセンホーライ

原因が全く不明だが、3,4角でなぜか置かれてしまった。最後は差を詰めてきたが、スローなだけにこのロスは痛い。

ミッドナイトベット

非力で阪神の馬場と坂が辛いのだが、まだ平坦ならやれるのでは?

プロキオンステークス(GⅢ)

ゴールドティアラ

追い込みの馬にペースが合わないと判断して、前でレースをするのは武豊騎手のお手芸。アメリカで何を学んできたのかは知らないが、しかも、追い込み馬を前に無理槍行かせる技術は、最近特に強化された感はある。国内はともかく、海外競馬では"YUTAKA TAKE"は追い込みの騎手の認識が強く、アメリカでそれを払拭するのに懸命なのかも知れない。とにもかくにも、馬が強いのは分かり切ったこと。しかし、それを引き出すのがどれだけ大変か、その苦労が垣間見えた。

エイシンサンルイス

競馬の基本は馬の負担を減らす為如何に遅く勝つかということ。しかし、ゴールドティアラに勝つには基本から外れて、時計勝負に持ち込むしかない。そして一応、その形は出来た。正直、千載一遇のチャンスだったが、それで負けたのだから今日の負けを責める訳にもいくまい。

サンフォードシチー

人気薄で気楽に構えているからここまでは伸びる。それでも上位2頭とは相当の差があるし、なぜか人気になれば伸びないのがお約束。

タヤスケーポイント

昨年の覇者も昨年の前崩れの展開ではなかったし、何より時計勝負が辛い。

イソノウイナー

芝を使った後ということで、いつもより前に行けた。それでも、能力が足らないのでここまで。

チョウカイライジン

距離不足は明白の筈。ローカル特有の乱ペースの予行演習では?