レース後、陣営は「馬が完成期に入ってきた」と述べたらしいが、天皇賞(秋)時の当欄で述べた様に馬に華奢な面が解消され、重量感が出てきた分、馬体面についてはそういう印象は確かに有る。ただ、競馬内容は明らかに騎乗ミス。道中掛かり気味になった事はともかく、スローで内外に馬が居る状態は、包まれて動きたい時に動けないし、加えてマークされている立場だけに馬の心理面にもプレッシャーが掛かって良くない。とはいえ一応勝った訳だし、このレースは曲がりなりにも国際GⅠ。そういうミスも跳ね返す辺りは、「負けて尚強し」ならぬ、「辛勝尚強し」とでも表現出来るのだろうか。
更にデキアップ。元々スローと踏んでいたのかも知れないが、好発馬だったし、ステイゴールドにつられて一瞬掛かった事も有って、先行策に出た。4角早めに動いて、出し抜けを食らわすまでは成功したが、並んでしまうとテイエムの強さが光る。加えて、坂を駆け上がる脚はイマイチの印象。ここを突き放しておくとテイエムと併せ馬にはならなかっただけに、元来平坦で強さを見せてきた馬の一端が...。
外国招待馬の中では一番良かった。道中は終始勝ち馬をマーク。ただ、今日はインの馬場状態も比較的良好だったのだが、前走前が詰まって追えないシーンが有っただけに、それもL・デットーリ騎手、頭に有ったか外々を回ってきた。元々、瞬発力勝負で分が悪いのは判っていた事だが、結果、動きたい時に動けたものの、追い比べでは瞬発力の無さを露呈する形になってしまった。
こういう国際競走、しかもスローでは馬群の中で競馬をするというのは消耗度が違うと思うのだが、流石にこういう競馬に慣れている欧州調教馬という事か。ただその点さえクリア出来れば、インのメリットは有る訳だが、坂下でテイエムに並ぶ間も無く突き放されてしまった。そこからもう一伸びは有ったが、そこを踏んばらないと勝ち負けには。
エラアシーナの項で馬群の中は不利とは述べたが、とはいえテイエムオペラオーが包まれているだけに、前はインでも楽なモノ。ただ、マチカネキンノホシがGⅠでも最後まで競馬を諦めなかった点は今後に繋がる。
高齢馬はJCとはあまり縁が無いので...。
スローにしても全く伸びて来ない辺り、精神面の弱さを露呈。
−14kg。デキに疑問。
多少歩様が硬いのはダート馬故仕方がないが、細く見せた方が走る様で、今日はそのパターン。道中、後方にいた筈が、3角から先行勢が勝手に潰れ、既に4角では前に2頭だけで、そのまま押し切って快勝。些か不器用な馬だし、ダートの中距離戦が小回りの地方に集中していて、苦労も多かっただろうが、流石に2戦2勝の東京。戦前指摘した通り、ここでは一枚上の力、漸く本来の力を発揮出来た。
前回同様の気配。前走、事実上のトライアルを勝った馬だが、距離を嫌われて人気薄。その分、思い切って乗れた印象。上手くインで脚を矯めて瞬発力を生かせた。ニホンピロウイナー系は、殆どのスプリント種牡馬がそうで有る様に、代を経る毎に距離に融通性が利くのだが、正にそれを証明した感も。
無論、外国招待馬だけに断言は出来ないのだが、細い印象。道中、流石に捨て身のレギュラーメンバーとやり合う積もりは無い様で、これを行かせて2番手。幾ら北米のペースが速いと云っても、まさか前後半5秒も違う事は有り得ず、明らかなオーバーペース。好位勢が追っ掛けバテで総崩れだったにせよ、レギュラーメンバ−も潰れただけに、この頑張りは光る。
イレ気味。超ハイペースで縦長になり、揉まれずに済んだ。とはいえ4歳牝馬にして、あのペースをまともに追走しても、4角もまだ手応えが残っていて、それで伸びてくるのだから恐れ入る。この馬、かなり器用さも持ち合わせているだけに、3年位ダート牝馬路線の頂点に立ち続けられるかも。
プリエミネンスがあれだけやれただけに、牡牝の差と云うのは通用しないだろう。にしても、あまりに4角の手応えが悪すぎた。デキ?
ペース云々をよく云われていたが、上位の日本調教馬はマイル前後でも充分実績が有り、この位のペースも体験していた。逆にこういう距離ばかりを使われてきた馬が総崩れ、この馬も例外では無かったか?
同様にこの馬もこのペースで沈んだ一頭。馬体減の影響も。
必ずこの経験が生きる日が来るだろう。
良化気配は窺えたが...。馬の行く気に任せ、道中は後方待機。直線向いても暫く前が壁。追い出しは正味300m程だが、それにしても切れた。力を付けているのは確かだし、マイルの世代交代の時期で有るのは確か。とはいえ、春は良い脚が一瞬しか無い事を指摘されてきた馬で、それは以前と変わらない印象、今日はハマったという事で良いのでは?
馬体回復。出負けもインを突いて、徐々に追い上げる形。直線もインから一旦は抜け出していたが、寸前で強襲を食らってしまった。意外にインの馬場は悪かった様だが、その馬場を苦にしない辺り、意外に力馬タイプの印象も有る。最後に蛇足だが、安藤勝己騎手はJRAGⅠに全く縁が無い。高橋亮騎手落馬負傷の為、急遽の乗り替わりで、その影響で一番人気にまで推されたが、流石にGⅠは運の後押しも必要なだけに、実は安藤騎手が正解だったかは微妙だったかも。
イレ込みは普段よりはマシ。流石にこのハイペースだと折り合いも付く。2着馬同様に、直線インを突いて良く伸びている。ただ、完璧にハマった印象は有るだけに、連に絡めない様ではちょっと先行き不安。
先行勢唯一の上位入線。先行させつつ、矯めを造る競馬は最早人馬共に芸術の域。転厩等有りこそすれ、何がこの馬をそうさせたか未だに良く分からないが、それにしても見事なまでの変身振り。
またゲート失敗。ただ、それは福永騎手も覚悟出来ていた様で、結果的には良い位置取り。ただ、4角焦って無理に外に出そうとして、余分な脚を使ってしまった。その分最後伸びあぐねた印象。とはいえ、事実上の春の4歳マイルチャンプだけに、それを押し切ってこそだと思うのだが。
揉まれるシーンは無かった筈。気難しいで片付けても良いのかも知れないが、ソロソロ力も落ちてきたかも。
明らかに往時の力が無い。もう潮時。
折り合い自在。馬群も全く気にしない。インからトラックバイアス(A1→A2)を生かして抜け出し、展開利も有ったと云えそうだが、上記の気性だからこれが出来るともいえる。競馬センスの塊の様な馬だが、小柄で仕上げ易そうなタイプ、早熟に終わる可能性も。
多少イレ気味。頭の高い走法は成る程ネーハイシーザーに良く似ている。父は単騎でこその馬で、その代わりに卓越したスピードで他馬を寄せ付けないタイプの馬だったが、こちらはそうでは無い様。矯め逃げだったし、何よりカシマテンモンに絡まれ通し。直線も外にモタれていたが、そこからがどうして中々渋太い。
馬体は流石評判馬の印象も、まだまだ気性が幼い。馬群の中での競馬だったが、終始掛かり気味。ただ、そんな中3着まで押し上げて辺りは素質の成せる技か。
これも掛かり気味。ノド鳴りの馬らしいので、距離が延びるのも良くない。ノド鳴りは競走馬として大成した試しが無いだけに、折角の馬が勿体無い印象。
出遅れだったがスローになり、流れには乗れた。直線も良く伸びてはいるが、今日の馬場ではここまで。
札幌記念時とは最早別馬、毛ヅヤビカビカ(ピカピカでは無い)で桜花賞以来の素晴らしいデキ。道中インの4番手というよりも相手を人気2頭と決めつけての競馬。フサイチが先に動いたが、直線まで我慢。競り合いで人気2頭が消耗する中、一完歩ずつ確実に伸びた。
馬体増だが、見た目には良い造り。例に依って、前半掛かり気味になるので、オリーブクラウンとトゥザヴィクトリーを壁にして折り合う。トゥザヴィクトリーが4角楽をしようする処をそうはさせじとトゥザに競り掛けて行ったが、結果的にこれが勝ち馬の強襲を許してしまった。無論、一番人気だっただけに当然の行動、仕方無し。
減った馬体が数字上戻って来ないが、見た目には前回よりもフックラ。ゲートゆっくり出して後方待機。直線まではコースロス無く乗られ、直線だけ大外へ。スローで上がりの速い競馬だが、フサイチの仕掛けが早かっただけに、好位勢が追っ掛けバテを起こし、勝ち馬以外は全滅。これに上手く乗じての3着。やはり牝馬戦を目標に仕上げられている様で、牝馬戦は滅法強い。
馬体増はこれだけバランスの良い馬だけに、さ程気にはならなかったが、問題はイレ込みがキツかった事。この影響で大事に乗り過ぎてしまった。府中牝馬Sはあくまでこの馬の別面で、元々牝馬らしからぬ「肉を切らせて骨を絶つ」戦法を得意とする馬だけに、もっと飛ばして逃げないと。このまま四位騎手がこういう戦法しか取らないならば、やはりクイーンSの藤田騎手の方が手が合っていると云えそう。
後方のイン。ただ、エイダイクインとは違って外に出せず、(藤田騎手曰く)仕方無く直線もインを突いた。今週からAコース使用、インの馬場状態は良好で、インも空いていた筈だが、エイダイクインに負けたのはこの馬の能力の限界かも。
「馬込みに入れない馬ですから。
(福永騎手・週刊競馬ブック)」
ヤケに良く見えたが...。
これも良く見えた。
ゲート失敗して馬群の中での競馬。その結果、掛かり気味ながらも勝負処でも我慢する形。今まで馬が行き過ぎて失速の形ばかりが続いていたが、これをマスターすれば必ず化ける筈。今からでも遅くはない。
40kg増は殆ど成長分。失速は競馬勘の問題で、次走好走必至。
前走時よりは数段マシなデキだが、スプリンターズS程のデキでは無い。非力で知られる武幸四郎騎手、この日のダート戦では馬よりも先に騎手自身がバテていた印象も有ったが、気合いを付けた程度で伸びるこの馬ならば大丈夫。矯めるだけ矯め込めば、あの豪脚は戦前から分かり切った事だし、本人も非力な事は自覚している筈だが、それでもあの位置で我慢出来る度胸も大したモノ。
普段は良く見せる馬だけに、目立たなかった辺りはデキ一息と云えるのかも。ベラミロードが行きそうだっただけに、控えても良かった筈だが、押してハナへ。とはいえ、直線向いた段階ではそのまま押し切ってしまいそうな手応え。ブロードアピールとは次元は違い過ぎたが、このデキを思えば上々では。
同じ休み明けでも、こちらは上々のデキ。好位のインで脚を矯める競馬。エイシンとは手応えが違い過ぎた印象だが、最後突き放されたにせよ、その割に良く抵抗している。砂を被る経験が出来たのも今後に繋がるのでは。
東京芝1400同様にこのコースは外枠が圧倒的に不利。好発決めてもハナ切れなかったのは、この馬としては致命的。ただ、逆に外枠が幸いして揉まれなかった分、それなりに粘っているとも云えるのかも知れないが。
出負けして、最後方。ただ、こちらはインを突いたが上々の伸び。今までマイル前後で最後失速続きだった馬、多少忙しそうだが、この距離の方が向くのかも。
「右回りで外にモタれるならば、左回りでラチを頼らせる。」課題はそれ程は単純ではないと思っていたが、意外にもあっけなく。無論、落ち着いていたのも好感が持てたし、好発切ってマイペースの逃げ。あのネイティヴハートを封じ込めた事も評価の対象だが、初めて逃げたにも関わらず追って伸びたセンスの高さ。今日はこれを強調しておきたい。
菅原勲騎手曰く、ゲート練習の影響でイレ込んでしまったとの事。ゲート五分に出たし、その影響か若干掛かり気味ながらも、前走のイメージで外目を大事に乗られたが、前でテイエムが楽をされた分何とかマチカネイサリビを交わして2着。朝日杯出走に向けてこの3/4馬身差は大きいが、それより直線外にモタれ気味になったのが気になるのだが...。
流石にペリエと云うべきなのだろうが、ゲート五分に出た。こういう展開だけに結果オーライなのだが、ペリエの剛腕を持ってしても外枠で馬が喜んで行ってしまった。無論、これを控えていれば、3着も無かっただろうが、今日は着順はどうでも良かった筈。当面は1200mの方が良い。
多少掛かり気味も、前を壁にして何とか折り合う。このコースだけに外枠は圧倒的不利で、それなりにインのメリットを生かした乗り方だが、坂下で無理の馬群を割ろうとしてフォームがおかしくなった印象。まだ新馬勝ったばかりなだけに仕方が無かったか。
道中、折り合っていた筈だが、直線向いて高脚を遣っていた。多少、馬に硬さも覚えるだけにダート向きでは?
2ヶ月も間隔が開いていたが、逆に絞れてデキアップ。掛かっていたのを無理に抑え込んで後方待機策。それでも、手応えは抑え切れず3、4角で上がっていったが、4角で一回一息入れてインを突いたのが好判断。古馬オープンには壁が有る印象も有ったが、バラけてからの瞬発力は条件戦で見せていた時と変わらぬモノ。
これも後方→イン強襲のクチ。とはいえ、こちらは当初外に出したかった様だし、多少捌き損ねた感は有る。それにしてもこの馬、短距離では為し崩しに脚を使わされ、中距離では他力本願と、どうもどっちつかずの印象。
こちらは逆に一番人気馬だけに4角大外。その分、最後甘くなった印象は有る。とはいえ斤量差も有るし、3〜5着馬は皆時計が無い馬で、些かこの馬場は辛い処。
デキは良かった筈。4角抜群の手応えだった筈だが、何故かそこからが一息。斤量?時計?
馬振りはここでも上位だが、今日は気持ち太かったかも。後方でエアギャングスターに連れる形で動いたが、並ばせても貰えなかったのは正直不満。