Sakura Archives

競馬回顧 2000年5回阪神・6回中山

有馬記念(GⅠ)

テイエムオペラオー

この馬を一言で表せば、ドラマティックと言うよりはアニメチック。まず先にオチ有りき、それをギリギリで達成出来る程度の適度な試練。そして、今日の悪役は武豊騎手。スタートして挟まれて下がったのは演出のプロローグ、武騎手が徹底マークして外に出させない作戦。4角でも捌けず終い、イチかバチかで馬群に突っ込んで、終わってみればハナ差勝ち。これで第1章は無事に完結。来年は新しい物語、第2章は1998年生対決編。「厳しいレースを勝つことができてホッとしている。本当はもっと前でレースをしたかったが、途中からワッと来られて下げなければならない状況に。それで後方からのレースになったんだ。動くに動けないし、かと言って外は回りたくなかった。結局、狭いところを捌いてくるしか方法はなかった。でも、そこさえ出てこられれば何とかなると思った。メイショウドトウが差し返した時にもこちらには勢いがあったからね。自分としては前走と変わらない状態だったと思うが、目に見えない疲れがあったのかもしれない。それでもキッチリ結果を出すのだから大したもの。今年は負けなしの8連勝と終わってみれば一頭だけ次元の違う競馬。これからもオペラオーの時代を突っ走っていきたい。(和田騎手・週刊競馬ブック)

メイショウドトウ

+8kgも充実一途。これもスタートして挟まれて、位置取りが悪くなってしまった。ただ、こちらは動きたい時にスペースは有ったが、手応えが悪い。そしてジョッキーの意志とは裏腹に、馬がテイエムオペラオーを待っている印象。ここらに2着続きの理由が有りそう。

ダイワテキサス

前々で折り合う。4角手応え抜群。一瞬は夢が見えたが、抜け出すとソラを遣う癖。折角条件向いただけに惜しいが、待っていても瞬発力でやられてしまう。まあ、人気を考えれば良く走っているだろうが、昨年同様に主役の器でないと物語になれない。

キングヘイロー

デキ上々。ホットシークレットの件が有るので、どこまでスローを予測していたのか判らないが、スローはこれしか手が無い。この馬の変な負け方が、逆にこの馬を強そうに見せていたが、実は案外だった印象も。

アドマイヤボス

今日はテイエムの引き立て役。とはいえ、前走の敗因が左回りだった事をハッキリ証明。そして、この相手でも通用する事も証明。来年の春は空白の半年にならない様、この馬に頑張って貰わないと。

ナリタトップロード

もうピークを過ぎた事を認めるべき。空き巣のGⅡをあと一勝上積み出来るかどうかのレベルにまで落ちたと言っても過言では無い。

ラジオたんぱ杯3歳ステークス(GⅢ)

アグネスタキオン

兄とは違って虚弱体質ではなく、稽古がビシビシやれる。差はたったこれだけの事なのだが、馬体に途方も無い差となって現れる。とはいえ、今日がいくら強そうに見えても、違いはそれをコンスタントに発揮させられるかどうかで、恐らくMAX時の能力に差は無いだろう。従って、あとはこれだけの能力を支える精神面を何処まで持たせられるか、丈夫な身体も精神が燃え尽きては意味が無い。興味は長浜師の調教手腕へと。

ジャングルポケット

数字通り仕上がり上々。トニービン産駒らしく、胴長で如何にもステイヤー。余計な所もトニービン産駒らしく、1コーナーまでは多少掛かり気味だったし、4角で例の2頭に置かれてしまった。とはいえ、結果的にはその分脚を残しての2着。この2着と3着に違いが有るとは思えないが、諦めずに走ってくれたのは、上出来とするべきなのだろう。

クロフネ

若干太い。人気だし、一瞬の脚が有るタイプでもないので、一番最初に動いていく。ただ、4角で外に逃げ気味、直線も外にモタれた。存外、坂がダメなのか、レコードの反動なのかも知れない。加えて、一気に交わされて馬にダメージが残りそうな負け方だっただけに、その点を案じる。

エーピーウィザード

アグネスタキオンを徹底マーク。4角までは何とか喰らい付いていくのだが、直線は思い切り突き放される。やはり、差は相当に有るのだろうが、馬体は良く見えるだけに今後に期待は持てる。

マイネルエスケープ

折り合って2番手。上がり時計も3F35.9秒。例年ならばこれでも勝ち負けだろうが、あまりにハイレベル過ぎただけのこと。

サンケイスポーツ杯 阪神牝馬特別(GⅡ)

トゥザヴィクトリー

数字上は−4kg。見た目には変わらずも、この馬、馬体が良過ぎて判断がつき辛いタイプ。とはいえ、前走時の様にイレ込んでいなかったので、その分だけは確実に前回より良くなった。好発も折り合い重視で3番手。被されると嫌気を出すので、ヤマカツの早めの仕掛けを嫌って4角一気の仕掛けで、今年の安田記念のキングヘイローを見ている様な競馬。前走我慢し過ぎた嫌いも有っただけに、二の轍は踏まず。この馬、勝つ時は常に圧勝だけに、着差は参考外だが。

タイキダイヤ

気配目立たず。近走ズブくなっているとの陣営からアナウンスが有ったが、それを証明。道中は馬任せで平均ペース。といっても、午前中から小雨が降る馬場、前半4F46.8は中々速い。被されて手応え怪しくなっても渋太いのは、シルクロードS時もそんな雰囲気だったが、この距離で出来た事に値打ちが有るのだろう。とはいえこの馬だから驚きも有るのだが、最近のマイル戦はこれ位のペースでは残られて当たり前。それだけ日本調教馬のレベルが上がってきた事がこんな所からも判る。

ティコティコタック

細くは無かったが、これも気配薄い。ただ、逆にいえば数字から細く見せるべきで、馬が緩んでいた可能性も。上手く中段インのポケットにハマり、ワンテンポ仕掛けを遅らせたのが奏功。デキは良さそうで無かっただけに現状ではということになるが、前2騎とはかなりの差が有る筈。

ヤマカツスズラン

こちらは逆にデキ目立つ。トゥザヴィクトリーに被せに行ったまでは良かったが、向こうが本気になるや否やアッサリ突き放された。ティコティコタックとは違って、仕掛けを遅らせてもメリットは無いタイプの馬だけに力負け。とはいえ、乗り役さんは4着で喜んでいないで、ハナ切って勝ちに行くべき。

フサイチエアデール

今日は明らかに太かった。「追い切り手控え=太い→直線反応せず」ということで良いのでは?

ウメノファイバー

相変わらず良く見える。とはいえ、この結果。もうソロソロ...。

プリモディーネ

前走コレならと述べたが、今日は何故か覇気が無くパッとしない。

スティンガー

デキ絶好。右回りはインにモタれて...といっても稀に真面目に走るだけに良く判らない。

フェアリーステークス(GⅢ)

テンシノキセキ

江田照男マジック炸裂!確かにアカ抜けた馬、調教は動いたし、デキも良さそうだったが...。ゲートはテンザンデザートの方が速かったものの、二の脚で強引(に見えただけかも)にハナへ。4角では抑え切れないオイスターチケットに、手応え抜群のテンザンデザートが絡んで、通常は失速のパターンの筈が、ダイタクヤマトを思い出させる二枚腰。こんな競馬ではマイルは...と思いつつ、江田照男マジックに掛かれば、何とかなってしまうのか。

サクセスストレイン

余り走りそうではないのだが...。道中は中段のイン。ポケットになり、揉まれるシーンが無いのは幸運だった。4角上手く捌けたし、テンシノキセキが突き放して、好位勢が潰れる展開も向いた。短距離の差し馬の印象も、アテにし辛いタイプ。

タケイチイチホース

短距離馬の印象も如何にも走りそうな馬体。中段やや後ろでガッチリ折り合って、4角は大外。サクセスストレイン同様に展開は向いたが、大外は先週ネイティヴハートが泣いただけに、良く走っている。加えて、現段階は馬体を持て余し気味の走法だけに、今後成長してくれば大化けの可能性も。

タイムフェアレディ

馬振りは上位。道中はこれも中段。手応えは有ったが、直線向いて何処を割ろうかという際に内ラチ沿いを選択したのが失敗。フラつくテンザンデザートと内ラチの間を割る時に馬が一瞬怯んでしまっている。別の進路を選択していれば、3着が有ったかどうかはともかく、もうちょっと差は詰まった気もしないでもない。

テンザンデザート

スタート抜群。直線向いても手応えは有った。がしかし、坂でインにササってしまった。若干トモが甘い印象も有るので、坂の有るコースでは当面見送りが妥当。

ダイヤモンドビコー

馬は良く見えるし、折り合えた。だが、手応え通りに伸びてくれない。現状は見掛け倒し。

オイスターチケット

外枠で馬が喜んで行ってしまったにせよ、案外。坂がダメ?

CBC賞(GⅡ)

トロットスター

目下の充実振りを馬体が物語る。スタート五分もダッシュ付かず後方から。前が壁だった事も有るが、ここで腹を決めた蛯名騎手、3〜4角インをソツ無く捌き、後は何処を割らんかという手応え。それにしてもラスト100mは素晴らしい伸びで、ここでは一枚上の力。

ブラックホーク

今日は流石に太い印象。毎回述べている通り、この馬はマーク屋なのだが、今日はユーワファルコンさえ捕まえればという競馬。腐っても流石に歴戦の猛者、一応その目的は果たせたが、トロットスターの勢いには勝てず。来年も現役続行だそうだが、やはりもうその時期。

ユーワファルコン

好馬体。楽にという訳でもないが、単騎では行けただけに、今日は失望の負け。もうちょっとこの馬を高く評価していたのだが、若干の下方修正をするべきか。

タイキトレジャー

これも勝ち馬同様にダッシュ付かず後方からだが、いくら何でも後ろにゲイリーイグリット一頭というのは後ろ過ぎ。コーナーを巧く捌いて、勝ち馬同様に伸びているが、届く筈も無く。

トキオパーフェクト

ノドが弱い馬で冬場はダメな筈だが...。道中もそれなりに揉まれているが、昔と違うのか案外へこたれない。直線も大外から来ているし、ノドの件といい、イメージが全く変わってしまった。

ニシオセーラム

馬が硬い。冬場はダメだろう。

マイネルラヴ

終わったのは明らか。ブラックホークとは違って、強かさと競馬の上手さが無いだけに、勢いが無くなると辛い。

朝日杯3歳ステークス(GⅠ)

メジロベイリー

兄メジロブライトに似て多少馬が薄い印象も、デビュー時から比べれば、大分マシになってきた。好発も行きたい馬は先に行かせて、自分は好位のイン。4角では抜群の手応え、あとは何処を割るかだけという感じでは有ったが、にしても切れた。馬群を嫌がっていたデビュー当時とは別馬で、良血馬独特の学習能力の高さも持ち合わせているのだろう、従ってレースに対する課題はそれ程多くは無いが、強いて挙げるとすれば、やはりまだ馬がひ弱な印象、超一流を目指すには馬体面での成長が鍵。

タガノテイオー

良くまとまった馬体も、今日は細身でギリギリの造り。前走同様に中段で矯める競馬で、全く同じ競馬が中山でも東京でも出来る辺りはこの馬のセンスの高さ。ただ、4角多少捌き損ねた感も有ったし、レース中に故障を発症していたらしく、その分メジロベイリーにヒケを取った。最終的には予後不良だそうだが、正直、馬体を見る限り、成長力に疑問も有って...。

ネイティヴハート

これも馬体重の差こそ有るが、タガノテイオー同様にまとまりすぎている印象。スタート若干後手。結果としてこれが最後響いた感。人気と云う事も有るし、菅原騎手の騎乗スタイルと云う事も有るのだろうが、かなり早めの仕掛け。力は出し切れたとは云えるのだろうが、スタート五分、そして仕掛けをワンテンポ待てたら、2着は有った印象も。

メイショウドウサン

道中矯めるだけ矯め込んで、4角でも最後方で、文字通り直線だけの競馬外にヨレた分も有るが、良く伸びてはいても案の定届かず。

テイエムサウスポー

同じ毛色と云う事もあるが、今季のテイエムオペラオーに良く似てきた。ただ、向こうの重量感とこちらの重量感では中身が違うだろうから、こちらは若干太かったかも。道中も若干掛かり気味。口向きの悪さは相変わらずで、まだまだ課題は多い。

エイシンスペンサー

この馬を初めて見るが、マイナス体重でもまだ馬が緩く見える。これもテイエム同様に掛かり気味で、まだまだこれからの馬。

ウインラディウス

好馬体もイレ込み。4角前が壁になったのも有るが、にしても気性が幼すぎる。軽めの稽古が藤沢流なのかも知れないが、果たしてこの馬に関してはどうだろうか?

タイムトゥチェンジ

全身是バネ。ただ、まだ全体に非力な印象も。

中日新聞杯(GⅢ)

トウショウアンドレ

連闘でも増減無し。逆に太く見せる辺りはデキが良いと云う事なのか。道中は中段位置。3〜4角はこの馬だけが持ったまま。適当にコーナーワークも生かしつつ、前も開いていた。多少なりとも恵まれた面は否定出来ないが、まあ毎回、父内国産限定重賞は得てしてこんなもの。

フロンタルアタック

意外に多い安藤勝己騎手のゲート失敗。そのパターンにハマり、道中中段やや後ろで我慢する形。出負けした事自体は仕方が無いが、変に動く位ならばこれで良い筈が...4角捌き損ねたか、意図的に動かなかったか仕掛けが遅れ、トップギアに乗った時が決勝線上。一応重賞だけに、勿体無さはちょっとどころでは無い。

ミツアキサイレンス

流石にここでも上位の馬。道中は好位キープの筈が、3角でペースが上がった時に一気についていけない始末。エンジン掛かった時には、丁度目の前に2着馬がいて、これを格好の目標にして良く伸びているのだが。東京で走る機会が有れば、一度東京で狙っても。

グランパドドゥ

ローズステークス時に馬を褒めたが、フックラ見せてあの時と同じ気配。前で闘う形は伸びてこない...以前に力が足らない様な気もしないでも無い。

エレガントモア

この馬に合っているかどうかは別にして、この位のペースで逃げないと、通常はこのコースでは後ろの馬の決め手が勝る。一応、そのパターンには当てはめたつもりだろうが、力不足を露呈した形。

マッキーローレル

絶好調!この負けは理解出来ない。まあハイペースに慣れてなかった面はあるのだが...。

阪神3歳牝馬ステークス(GⅠ)

テイエムオーシャン

流石の好馬体。スタートしてから3角まではずっと掛かっていた。折り合いついた時は勝負処で直ぐに追い出し。そんな競馬でも押し切れる辺りは能力が違った以外に無いのだろう。それにしても、競馬が終った事すら分かっていなかった様だし、何時までもこんな競馬を続けている訳にもいかず、矯正の必要が有るだろうが、当面はやはり同父キョウエイマーチに倣ってハナ切った方が。

ダイワルージュ

休養前は太い印象だっただけに、休み明けでもこのマイナス体重は寧ろ好感。スタートして直ぐは掛かり気味も、外を行かせつつ、何とか宥めて自身は好位のイン。2着争いを上手く前で立ち回り、これを制した。前走もこんな感じの競馬でセンスは高そうだが、勝ち馬が異様なまでに強かっただけに。

リワードアンセル

あくまで結果論だが、前で決まっただけに3角手前と4角から直線にかけて前が壁になったのは痛い。ただ、夏の荒れた中山の馬場で競馬をしてきた2頭が2,3着。坂を経験してきたというのは案外大きかったかも。

ローレルプリンセス

スタート失敗した事も有るが、こちらは逆に置かれ加減も、エンジン掛かってからの脚は見せ場充分。ただ、結果として4角大外。開幕週の馬場ではどうしても伸び切れない。

タカラサイレンス

イレ込みキツい。これも後方待機→4角大外だが、やはりそれでは届かない。

ハクバノテンシ

掛かり気味も案外の内容。

ネームヴァリュー

やはり1戦のキャリアでは揉まれ込むと辛い。

タシロスプリング

見事なまでに坂でバッタリ。

スポーツニッポン賞 ステイヤーズステークス(GⅡ)

ホットシークレット

競輪の回顧ならば、「上手く番手につけて、風圧を避けられた。」で終わりそうなモノだが、それを今まで逃げて(しかも大逃げで)ナンボの馬だったこの馬が出来た処に価値が有る。2周目4角では一瞬置かれ掛けたが、エンジン掛かってからは正に2段ロケット。この賞金を手に有馬記念出走だそうだが、こんな競馬が出来るならテイエムオペラオー断然のレースが俄然面白いモノになってきた。

タガジョーノーブル

ダンシングブレーヴ産駒は皆同じ様なモノで、良く見せるのだが、今日は落ち着きがプラス。注文通りハナへ。この馬の場合、ペースは一切関係無く、気分良く走れるかどうかだが、今日もそういう競馬が一応は出来た。サンエムエックスには競り勝ったし、結果はともかく内容は満足のいくものだろう。

サンエムエックス

デキ目立つ一頭。1周目は4番手だったが、2周目からは、相手をタガジョーノーブルと決め付けての競馬。これも2着馬同様、それぞれの自分の形は造った筈だが、やはりタガジョーノーブルの方が一枚上手。

ナリタトップロード

実績を一切無視しても、見た目ですら抜けた存在なのだが...。道中のリズムも完璧。前で決まったといっても、別定戦で、所詮相手は準オープン上がり。もうちょっと前で競馬というのも、結果論に過ぎない印象。乗り役さんはああ見えて意外とソツなく乗っているだけに、ソロソロこの馬の力が落ちてきた事を認める時期では?

ロードプラチナム

京都大賞典時に褒めたが、やはり相変わらずの印象。距離も有るのかも知れないが、多少下方修正が必要。