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競馬回顧 2005年2回京都・1回東京

フェブラリーステークス(GⅠ)

メイショウボーラー

多少気負っていたが、造りは上々。ゲートも良かったが、迷わずハナへ。1000m通過57.8秒はGⅠでも流石に速いが、後続に影も踏ませずに逃げ切った。ただ、馬場が違うといってもクロフネが1.33.3を叩き出している訳だし、この日の馬場を思えば然程速くは無いだろう。確実に着差が縮まっている事からしても、距離はマイルでギリギリ。今日はユートピアが出遅れて競馬にならなかったし、鈴を付けに行く馬が居ないのもこの馬にとっては良かった。レース内容そのものは強かったが、背景は薄い。

シーキングザダイヤ

2人曳き。腹袋が目立ち、その分がトモを薄く見せるが、川崎記念時も似た様な造り。ただ、昨春は歩様に力強さが無かっただけに、この点は良くなった。ダッシュ利かせて好位。前が離していただけに、仕掛けのタイミングが難しいところだが、ヒシアトラスと併せてメイショウボーラーの影に届くか届かないかのところがゴール。川崎記念の内容が良く、マイルならここでもの感も有ったのだが、ハイペースを自力で追い掛け2着なら秀逸といって良い内容。勿論、メイショウボーラー同様に馬場が向いたのは否定しないが。

ヒシアトラス

2人曳き。540kgでもスマートでいてクレバーに見せたシンボリクリスエスと迄は言わないが、今日はデビュー以来一番良く見せた。文句無く絶好調。マイルがどうかと思われたし、前走追い出して頭が上がっただけに、良い脚が一瞬しかない様にも思えたのだが、好位の外で手応え充分に追走し、良い脚を長く使えている。シーキングザダイヤとの差は、距離と渋った馬場状態の分だけで、少なくともデビュー以来最高のパフォーマンス。GⅠは直ぐ目の前だ。

タイムパラドックス

歩様はもう心配しなくて良いのだろうが、ジャパンカップダート時の方が気配は有った。中段のインも、3角迄は流れに乗れず。結果的に、ジャパンカップダートと同様の策になってしまったが、この馬砂を被っても平気だし、流れに乗れなかったにも関わらず伸びて来た辺りは偏に能力の高さだろう。大井は何故か走らないが、それ以外は堅実。

アドマイヤドン

+6kg。珍しく緩く見えた。出遅れ1秒不利。影が踏めている程度の出遅れは良いが、あれだけ離されてしまうと、馬が前を追い掛けてしまう為、安藤騎手の無理やりオッツケる策で正解。とはいえ、ここ迄追い込んで来るのは力の成せる技なのだが、今迄スカッと見せていた馬が緩く見せる様になったのは気掛かり。年齢を経ると馬自身にヤル気が薄れてきてしまう傾向が有り、この馬もどうやらそのパターン。ソロソロ見限り時。

ピットファイター

-8kg。数字は目論見通りでも、イレ込んでしまっては。中段の外。イレ込んでいた割には折り合い付いていたが、追い出してからが逆手前。重馬場で勝った武蔵野ステークスが1.35.4で、今回が1.35.3。時計的にここらが天井か。

カフェオリンポス

-6kg。文句無い造り。中段馬群の中も、追い出してサッパリ。これも時計面に限界が有るタイプなのだろうが、時計の遅い前走にしても不甲斐無いやられ方。成長が無い。

パーソナルラッシュ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。悪くは無いが、エルムステークス時はこれ以上だった。中段やや後方も、全く動けず。とにかく、昨年のユニコーンステークス1,3,4着馬が出走して、一頭とも掲示板に載れなかったのは情けない限り。逆に後が続かないと揶揄される事も多かったNHKマイルカップ組が1,2着で、これは考え方を改めなければならない。

ユートピア

遮眼革。見栄えする方では無いが、今日はキビキビ歩いて気配抜群。返し馬での落ち着き振りもメイショウボーラーとは対照的。アドマイヤドンの陰に隠れてはいたが、これも出遅れ。自分の型に持ち込めないとダメなタイプで、今日は参考外。まあ、せっかくのデキだっただけに勿体無いといえば勿体無いが...。

農林水産省賞典 京都記念(GⅡ)

ナリタセンチュリー

2人曳き。+6kg。前走は気配そのものが薄かったが、今日は雰囲気が良くなった。道中は馬任せで後方。終始馬込みへ入れての競馬で、悪いところも通らされていた筈だが、乗り慣れた田島裕和騎手、この馬がこういう馬場を然程苦にしないのも解っていたのだろう、各馬が外へ回す中、無理に外へ出さずインを突く形。このレース、戦前に述べた様に、道悪を得意としない馬が多かっただけに、能力の指標とはなり辛いのだが、田島裕和騎手が乗って勝ったのだから物語としてはこれで良かったのだろう。

トウショウナイト

意外に雰囲気が良い。ちょっと硬目の歩様もこういう馬場向き。道中は中段。外枠だが、この馬も道中はインで、皆が外へ持ち出す中、馬場の真ん中を伸びて来た。ここ迄馬場が悪くなると、流石に巧拙がモノをいう印象。

ヒシミラクル

+12kg。雨降りの芦毛で気配判り辛いが、毛ヅヤ・張りは良さそうも一枚重いといったところ。これも中段のイン。2200mは流石に短いのだろう、4角は置かれていたが、大してガサの無い馬が60kgを背負っての道悪でこの根性。「相手が馬場を〜」云々を度外視しても、充分賞賛に値するだろう。有馬記念時に「後は結果を出すだけ」と述べたが、いきなりからこの内容。天皇賞はほぼ当確。

マイソールサウンド

+2kg。張りは良いのだが、もう一絞りがベスト。中段も、こちらは外から。4角も、包まれまいと積極的にマクッて行ったが、伸び案外。結果的には乗り手のイメージ程内が悪くなかったという事だろう。騎乗ミスいえばそうなるか。

ファストタテヤマ

結果が出ていないだけで、今季はずっとデキが良い。例に依って後方だが、マイソールサウンドを追い掛けるイメージで、何時もよりは早目。菊花賞でも、多少渋い馬場だったし、こういう馬場は案外苦にしないのだろう。尤も、今季デキが有るからこそ走るのだが。

アクティブバイオ

+10kg。折角のデキもこれだけ太くては。ゲート良かっただけに、行かせる策も有った様に思うが、道中はオッツケ気味。ただ、この馬の場合は、馬場を全く苦にしないだけに、外へ回していてはダメ。思い切ってインを突いて欲しかった。

ダイタクバートラム

+6kg。如何にも目標は先という造り。走れない程では無いにしても、多少緩い。道中は離れた最後方。坂の下りで仕掛けた時も反応が悪かったし、今日は馬場が全て。

シルクフェイマス

2人曳き。見栄えしないのは何時もの事とはいえ、今日は薄過ぎる。好位のイン。こういう馬場は経験すら無いのだが、それでも前半から積極的に乗っていたし、一旦は先頭を窺うかというシーン。結果は惨敗も、この積極策は次に繋がるだろう。人気馬とはかく有るべき的乗り方で、四位騎手、これは褒められて良い。

デイリー杯 クイーンカップ(GⅢ)

ライラプス

2人曳き。何時もの造り。ただ、使う毎に歩様が落ちているのが気掛かり。ダッシュ良かったが、行きたい馬に行かせて好位のイン。土日合わせて芝で行われた8レースの内、4勝の武豊騎手、東京の道悪はインが有利という事をこれでもかと見せ付けられたが、このレースもインでひたすら我慢し、追い出したのはラスト1F。鍛えているだけの事は有ってこういう馬場も得意なのだろうが、今日はそれ以前に乗り役の好騎乗。

ジョウノビクトリア

前走時にも述べたが、もうちょっとトモの送りに力が欲しい。出負けして後方。ただ、こういう咄嗟のアクシデントに強い横山典弘騎手、腹括って乗れていたし、前走でも指摘した様にこういう馬場も強い。また、ライラプスの項で述べた様に東京の道悪はインが有利。その中で外を回って追い込んだこの馬が一番強い競馬をしたのは疑う余地の無いところだろう。あとは良馬場でどうかだけ。

ラドランファーマ

多少トモが薄いのは確かだが、一息入った割には毛ヅヤ・張り悪くない。好位で折り合って正攻法。最後は1,2着馬が奇襲に徹した分、正直者が馬鹿を見た形になってしまったが、少なくとも休養前より馬は良化。順調に行けさえすれば結果は何れ出せるだろうが、賞金を上積み出来なかった点は気掛かり。

パーフェクトマッチ

2人曳き。トモが甘い。中段の外。前の馬が掛かって行っていただけに、連られそうにはなっていたが、何とか宥め切った。追い出して伸び切れなかったのは現状の能力だが、下見の気配を思えば良く走っている方。トモの甘さが解消されればオープンでも。

ビコーグレイス

2人曳き。全く人気無かったが、ここへ入っても互角以上。ゲート五分も、注文を付けて後方から。4角も思い切って外へ出したが、坂下で逆手前になってしまった分が伸び切れず。とはいえ、前述した様に内が有利な馬場状態。良く走っている。

ショウナンパントル

2人曳き。+12kg。フックラ見せているが、イマドキ「フックラ」ではダメ。中段の外も、道悪以前に引っ掛かって競馬にならず。全く競馬になっていない。

きさらぎ賞(GⅢ)

コンゴウリキシオー

まだ多少緩いところは有るが、前走と比較すれば雲泥の差。気配一変! マキハタサーメットが主張した事も有り、無理には行かず好位から。2番手からの京都戦でも折り合い付いていただけに、この策でも競馬は成立するのだが、今日はそれよりも陣営が本気で仕上げた上昇度が最後救った形。ただ、今日は年が明けてからの3歳限定重賞で最低のメンバー。ディープインパクトに0.7秒差の馬だが、目下の上昇度を加味しても0.5秒程度の差は有りそう。

マキハタサーメット

2人曳き。気配有ったが、トモが甘い。距離を考慮して控える策も考えられたが、素直に逃げの手。どちらかと言えば頭の高い走法で、その意味では距離に限界が有りそうだが、初距離の割には折り合いスムーズで、これが2着に残れた最大の要因。ただ、ほぼ1000m直線が続く京都1800mで、1000m通過が61.5秒は如何にもスロー。このペースで逃げられた事自体は収穫なのだが、仮令ハナ差でもこの相手で勝たない事には先が無い。

アドマイヤフジ

まだ絞れる造り。これで重賞を勝とうというのは流石に甘過ぎる。位置取り構わず折り合いに専念。ただ、坂上からの反応が悪く、置かれ掛けていたし、エンジン掛かってからも伸びそうで伸び切れない。まだ本気で仕上げてないだけに、現状止むを得ない面も有るのだが、それを差し引いても物足りなさが残る。

シックスセンス

2人曳き。-8kg。多少萎んだ嫌いも有るが、悪くない造り。多少出ッパ悪く、後方から。2歳時とは違い、実戦での課題は殆ど無くなっている様に思うのだが、その割には案外の内容。今迄色々言い訳探してみたが、結局のところは実力不足。今後は見送り。

テイエムヒットベ

2人曳き。テンション高くて判り辛いが、馬体の印象の割にトモが甘い。この馬がハナへ行くという戦前の予想も有ったが、無理せず2番手。ただ、この馬のこの策はやはりダメで、どうしても前を追い掛けてしまう。逃げないと競馬にならないタイプ。

レジェンダロッサ

このレース、トモが甘い馬が多いのだが、この馬がワースト。デキも良くなさそうだが、それ以前の問題。道中は中段。坂上から手応え悪かったが、直線向いても全く伸びず。この一族、本格化する迄はどうしてもこうなるのだが、それにしても甘過ぎる。暫くというレベルの話では無さそう。

シンメイレグルス

思ったよりは歩様マシだが、硬い事は硬いし、返し馬で下を気にする素振り。全く競馬にならず芝はダメ。

ダイヤモンドステークス(GⅢ)

ウイングランツ

シープスキンノーズバンド。気配ギュンギュンな馬に目が行くのだが、歩様スムーズだし、長距離の馬という雰囲気。道中後方も、2周目から動く強気の競馬。松岡騎手、多少行儀が悪く、審議対象になったのはご愛嬌だが、それにしても良い脚を長く使っている。自己条件だと人気背負うだけに動き辛く、それがスローで裏目に出ていたが、この競馬で正解が出た。今日はハンデ差も有っただけに一線級との相手関係は今後を待ちたいが、それにしてもダンスインザダーク産駒はディスタンス戦で無類の強さ。

ハイフレンドトライ

2人曳き。もうちょっとメリハリ利かせた造りでも良いが、歩様の柔らかさがハイアーゲームと対照的。中段で終始インに固執する競馬。東京のディスタンス戦はこの策がやたらとハマるのだが、この馬もインから一瞬の脚。他にも不利の有った馬は居るが、コイントスの内か外かで立て直す際に逆手前にさえならなければ、ウイングランツには先着出来ていた筈。惜しい内容。

チャクラ

悪い時の歩様が完全に消えたし、馬体に張り。こんなに良いこの馬を見たのは初めて。ゲート悪くなかったが、意図的に下げ後方。3角から徐々に動いて行ったウイングランツとは対照的に直線迄待った策が今日は裏目。軽量馬が早目に動いて止まらなかったし、直線狭くなるシーンも。1周目4角辺りでは中段に居たし、下げた策も結果的に良くなかった。57.5kgは見込まれた様に思えたが、今日は乗り方一つで勝てた競馬。

ハイアーゲーム

左側だけの遮眼革。昨秋の酷い歩様では無いのだが、硬いのは確か。ただそれよりも、良い時の張りや毛ヅヤが無い。最近のこの馬にしては出ている方だが、多少ゲート悪く、後方から。ハイペースの有馬記念の後で、多少折り合い怪しかったとはいえ、一応スムーズな範囲だったし、直線だけ外へ出すこの馬の競馬は出来ただろう。伸び掛かって、最後逆手前で失速したのは距離の分だろうが、このデキを思うと悲観迄はしなくて良い内容。それよりもまずは体質強化を。

ラヴァリージェニオ

見た目悪くないが、トモに力が無い分が休み明け。道中は中段。多少宥めるシーンも有ったが、それはこの距離だけに止むを得ないところ。また、バルジュー騎手、直線向いて前が壁になっていたのを開いていたインへ突っ込んだのも好判断だったが、ここ迄。毎回何故か左回りは一枚落ちのパフォーマンス。ダメな理由は無いのだが、成績が伴わない。

グラスポジション

結果はムラだが、デキはずっと安定。スタート直後にハイフレンドトライに寄られ、2周目3角でウイングランツを起点とした不利。あまり器用なタイプでは無いだけに、こうなると辛い。ベストの条件だったが、今日は参考外。

コイントス

歩様が相変わらず硬い。前走同様の逃げの手も、スマートストリームと終始並び合う形。幾らペースが遅くても、こうなるとどうしようも無い。この馬も参考外。

タニノエタニティ

2人曳き。気合を表に出し、デキだけを言えばコレ。ゲート良くなかったが、外枠で前に壁が無く好位へ。今日はデキが良過ぎる嫌いも有っただけに、結果済し崩しに脚を使わされてしまった。昨年3着馬で、今日は勝機だったが、枠順に殺された。

シルクロードステークス(GⅢ)

プレシャスカフェ

馬は良かったが、歩様が悪かった時に逆戻り。道中は中段。ギャラントアローが控えた為、そんなにペースは速くならなかったが、内回りでも無理には動かず矯めて直線一気。58kg背負っているだけに、どうしても早く動きたくなるのだが、蛯名騎手、決め手には自信持っているのだろう。京都の内回りで終いに徹した分、着差こそ僅かだが、圧勝といって良い内容。

ギャラントアロー

オーストラリアンブリンカー。欲を言えばもう少し締まって欲しいのだが、今日は他馬のデキが悪く、相対的に良く見える。ゲート良かったが、無理せず3番手から。終始外に馬を置かずに競馬出来たのが良かったのだろうが、追って伸びるイメージが出て来たのは収穫。ただ、今日は右回りにも関わらず直線逆手前。まあ、左回りでも良い時はその点関係無かっただけに、気にしなくても良いかも知れないが。

トップパシコ

何時もの事とはいえ、歩様が硬い。ゲートはギャラントアローも、二の脚利かせてハナへ。前半3F通過が33.9秒、このクラスにしては遅いし、単騎で行けた事も有ってここ迄我慢が利いた。ハンデ戦で、53kgで、京都内回り、そして単騎と今日は条件揃っていた印象。こういうレースすると、自己条件で人気になり易いが、この手の馬は次走嫌ってこそ。

リミットレスビッド

変わらず見栄えするし、デキは良さそう。道中は2番手。普段は矯めて競馬しているだけに、今日は余所行きの競馬を強いられた分が伸び切れない。特にプレシャスカフェが自分の競馬に徹していて、この差は対照的。ただ、その割にはバタッと止まっていないのも確か。徐々にクラス慣れしてきた印象も有ったが、レース後故障が判明したとの事。

ドリームカムカム

シープスキンノーズバンド。多少緩い嫌いが有るのと、歩様が硬い。枠順に依って自在に競馬するタイプだが、今日は内枠だけに有る程度前へ。ただこの馬、オープン特別が精一杯なのか、重賞となるともうワンパンチが無い。勝ち切るには何か策が要る。

ゴールデンキャスト

歩様・毛ヅヤ・馬体の張り、全てダメ。唯一気合だけが良かった。中段の外。直線それなりに来てはいるが、今迄行けていた馬が行けなくなっている段階で既に話にならない。唯一良い気合で走っている現状だが、こういう事が続くと馬にダメージが残る嫌いも。夏場になればと何度か述べて来たが、好い加減休ませないと肝心な時期に良くならないケースも。

ナイキアヘッド

多少歩様が頼りないが、馬体は絞れた。気合付けて好位のイン。安藤騎手、かなり色気持って乗っていた様に見えたが、4角で例の不利。前走の負け方からハンデ恵まれただけに期待したのだが、これでは。

キーンランドスワン

2人曳き。相変わらず馬が緩い。中段のイン。ただ、これもナイキアヘッド同様に例の不利。デキが無いだけに、来ていたかどうかは微妙なのだが、ツキが無かった。

共同通信杯(GⅢ)

ストーミーカフェ

2人曳き。一息入った形だが、前走よりは締まって見えた。ゲートそれ程速い訳ではないが、二の脚が速く単騎。最初の3F位は多少なりとも行きたがっていて、陣営が言う程気性面の問題がクリアになったとは思わないのだが、それでもそこからがスムーズだったし、今日は追い出しを相当我慢して、デビュー以来初めて見せた伸びるイメージ。58kgは、逃げるタイプの馬だけに応え辛く、58kgを背負って勝ったから強いと判断するのは早計なのだが、競馬の内容は確かに強かった。皐月賞はほぼ当確。

ダイワアプセット

歩様はスムーズだったが...。道中は中段。東京走るエルコンドルパサー産駒で、逃げるサイレンススズカを父がただ一頭バテずに追い掛けた毎日王冠を思い出させてくれたが、残念ながらレース後故障発症で予後不良との事。

マルカジーク

華奢に見えるのは何時もの事。ただ、多少歩様落ち気味。近走ズブくなっているのか、前半は追走に汲々。直線だけで伸びては来たが、どうも距離が短い印象。ただ、この手のサンデーサイレンス産駒は調教技量を要求する傾向で、あまり実績の無い北橋厩舎、果たしてどうか。

ニシノドコマデモ

+14kgは良い方に取れるが、今日はテンション高かった。イーグルカフェを彷彿とさせる出遅れ。そのイーグルカフェもそうだが、あれだけ出遅れてしまうと、どうしても前を追い掛け気味になってしまう。横山典弘騎手、ゲートだけが敗因では無いと述べている様だが、あくまで道中力んだ分だろう。出遅れさえ無ければ競馬になった筈。

ロードマジェスティ

見栄えするし、デキも良い筈。道中は4番手。2,3番手がダラしなかった事も有るが、かなり強気に動いていったが、坂を上がって止まってしまった。ただ、これは現状の力の差。今日は仕方が無い。

小倉大賞典(GⅢ)

メイショウカイドウ

小倉は落ち着いている事が多いのだが、今日はそうでも無かった。中段やや後方。今日は気負っている分折り合いに専念し、丁度昨夏に北九州記念でやられたダイタクバートラムのイメージで乗られた。下見で気負っていただけに、小倉との相性の良さを説明する際に使われていた「当日輸送が無い事」が機能していない様にも思えたのだが、この相性の良さはコース形態等も有るのだろう。今日は実に強かった。

セフティーエンペラ

多少煩かったが、デキは持ち直した様。道中は中段。メイショウカイドウよりワンテンポ早目の競馬だったが、最後はメイショウカイドウの力が一枚上。ただ、相変わらず平坦なら堅実。一時落ち掛けたデキがまた上向いて来ただけに、次走も怖い。

エイシンチャンプ

-8kg。まだ絞れる造りも、確実に良化。好位の外。早目早目の立ち回りで上手く乗っているが、例に依って決め手の差。ただ、この馬もデキは上向き。展開さえ向けば勝ち切るシーンが有って良いし、ダートへ新天地を求めるのも良いと思うのだが。

エーティーダイオー

造りは良かったが、中京戦を思うと歩様が硬い。中段馬群の中。前の馬が外へ回す中、ワンテンポ待ってインを狙った古川吉洋騎手の策は実にお見事で、一旦は抜け切っているのだが、そこ迄。今開催は400万馬券が話題となったが、あの時の馬場なら大金星も有っただろう。まあ、そういう馬場ならこんな展開にはならないと言えばそうなのだが。

メイショウドメニカ

休み明けだが、キッチリ出来ていた。アオッて後方から。直線だけ外へ回したが、それなりの伸び。今年で8歳だが、依然健在。56kgで福島記念を勝った馬が、今回56kg。力が落ちていないだけに、この点も魅力。

京都牝馬ステークス(GⅢ)

アズマサンダース

2人曳き。今日は珍しく気合が乗っていた。歩様は今更だが、雰囲気も有った。中段やや後方。藤岡騎手、阪神で折り合い欠いた轍を踏まぬ様、前に馬を置いて宥める形。直線、向いて全くロス無く外へ出せたのも有るのだが、この馬がデビュー以来初めて本気で走った。その証拠が手前を替えずにヨレての審議だろう。今日は気配が有ったからこその脚で、この脚をコンスタントに使うのは無理だろうが、藤岡騎手、こういう千載一遇のチャンスをモノに出来ただけでも凄い事。

ウイングレット

今日も一人で。もうちょっと迫力が欲しいが、それをやると馬が気負うのだろう。道中は2番手。前に壁が無かった割には我慢が利いているが、それでも多少行きたがっている分がアズマサンダースとの差。それなりには来ているが、ここ迄上がりが速くなると厳しい。

エリモピクシー

+6kg。充実の今季だったが、一枚重い。中段の外。理想とする外に馬を置かない形は出来たが、このスローで多少行きたがっていたのと、根本的に決め手の甘いタイプ。決勝線手前でアズマサンダースに前をカットされる形にはなったが、これが無くても2着有るかどうかといったレベルで、審議結果は仕方無かろう。千載一遇のチャンスという意味ではアズマサンダース以上だった筈だが、ツキの無い馬は何処までいってもツキが無い。

メイショウオスカル

+6kgは良い方に出ている様。ただ、トモの甘さは相変わらず。好位のインも、折り合いを欠き加減。決め手の無さは割と知られたところで、今日の流れでは仕方無い面も有るだろうが、ただその割には良く詰めていた。アズマサンダースの様に何か新しい策を採れば変わって良い。

チャペルコンサート

+12kg。この方が見栄えはする。好位の外で、ガッチリ抑える形。直線向いた時に手応えタップリで一瞬コレというシーンも有ったのだが、例に依って追ってからが甘い。何時も通りの内容。

ヘヴンリーロマンス

遮眼革。+4kg。今日は馬が緩んでいた。中段やや後方。この馬なりに伸びてはいるが、前が止まらないのと、この馬自身56kgを背負っていて一瞬の反応の差が出てしまった。戦前指摘した通り、力が抜けている訳ではないという事になるが、と同時に展開一つで勝ち負けになる馬なのも確か。

東京新聞杯(GⅢ)

ハットトリック

変わらず馬体充実。気持ちも相当入っていた。例に依って後方。スローになって、最後は決め手の違いで差し切る形。前走内容から能力の絶対値に疑問を感じていたのだが、今日は悪くない内容。デュランダル相手に勝てるかどうかとなると、まだ微妙な面も有るのだが、門前払いは出来なくなった。

キネティクス

テンション高いが、東京へ来た時は何時もこんな感じ。ただ、今日は前走とは違ってスカッと見せる。スタート良かったが、無理せず控えて中段。瞬発力勝負で対ハットトリックは分が悪く、その意味で早目に動く策は正解だったが、直線半ばで逆手前になってしまい、内へモタれ気味。2走前の東京戦はインから一瞬の脚を生かす形だったが、前走でも指摘した様に、真っ向勝負で乗り切れるだけの持続性が今後の課題。

グレイトジャーニー

トモの甘さも以前を思えば遥かにマシだし、今日は毛ヅヤが冴えていた。思い切ってハナへ。普段逃げ慣れてない馬の策だけにスローになるのは止むを得ないところだが、元々が平均ペースを雪崩れ込むタイプだけに、最後は鋭さ負け。とはいえ、今季はデキが絶好。ペースさえ合えばオープンでも。

アサクサデンエン

準オープンの中だと明らかに上位に見えるが、この中へ入るとスカッとし過ぎる嫌いが。後方のインから直線だけ外へ。器用さ身上で、この策自体は悪くなかったが、前に逆手前でフラフラのキネティクス。まあ、これが無かったところで着が変わったかどうかは微妙だが、もっと馬場が良くてインが伸びる馬場状態なら別の策がハマッていた可能性は有るだろう。今日はオープンで真っ向勝負になってしまった分が苦しかったが、ちょっと足らないだけで、セコい策が利く馬場状態なら通用して良い。

アルビレオ

歩様に多少頼りなさは残るが、気配は絶好。道中はハットトリックをマーク。ただこれも、キネティクス同様直線半ばで逆手前になってしまい伸び切れない。別定戦では少し差が有りそう。

メテオバースト

一息入って多少緩い。スタート直後はハナを覗かせていたが、グレイトジャーニーに譲って2番手。前半多少行きたがっていた様に見えたのも有るのだが、それにしても追ってからが案外。流石にここ迄弱い馬とは思えず、デキに原因を求めた方が良さそう。

ウインラディウス

下見は落ち着いていたが。2番手の外。道中が一生懸命過ぎるタイプの馬で、こういうスローは向かないのだが、直線向いてからが酷過ぎる。力が落ちているのかも。

根岸ステークス(GⅢ)

メイショウボーラー

歩様が落ち加減も、相変わらず馬の造りが良い。外から被せられた時を懸念していたが、誰もコスりに行かずスンナリハナへ。前走ガーネットステークスの600m通過が32.9秒だっただけに、今回の35.0秒はあまりに楽な流れで、オイデオイデの大楽勝。前走の強さが今回の展開を呼び込んだといえばそれ迄だが、今日は能力の指針にはなり様の無い結果になってしまった。まあ、唯一収穫が有るとすれば、前走とのペースの違いにも難無く対応出来た事。尤も、次走更に1F延びてマイル戦となるだけに、この部分は結構大きいのだが。

ハードクリスタル

スカッと見せていたし、気合も表に出して好気配。道中は好位のイン。折り合いに難の有るタイプとはいえ、一息入れる前が2100m戦だっただけに、距離を案じていたのだが、スローで追走楽に。元々決め手に定評有る馬、前を壁にして折り合いも付き、こうなると決め手が生きる。勝ったメイショウボーラーとは差が有ったが、直線インから一瞬の脚。今日は競馬にならなかった馬も少なからず居て、能力的には「辛うじてオープン級」といったところだろうが、タレント性はそれなりに有りそう。

エコルプレイス

この馬にしては歩様が硬い。ゲート良かったが、ジワッと好位の外。近走行き切ると4角で競馬を投げるケースが多く、その意味で今日の策は有る程度予測出来たのだが、松永騎手、今日は上手く乗った方で、スムーズに折り合っていたし、久々に伸びるイメージが有った。ただ、これで勝ち切るのは中々難しく、あくまで逃げが本職だろう。当欄で常に絶賛し続けた松田国英厩舎だが、管理馬の気性面のコントロールが課題。

ストロングブラッド

オーストラリアンブリンカー。多少チャカついてはいたが、デキは絶好。こんなに良いこの馬を見るのは初めて。後方に近い位置取り。4角の手応えも良く、それなりに伸びているが、手前を替えていない分がイマイチ。ただ、右回りはそんな素振りも無いだけに、ただ単に左回りが合わないだけだろう。このデキは、交流重賞は勿論、中央でも一発有って良い。

サミーミラクル

歩様スムーズ。多少重い様にも見えるが、そこはダートのスプリント戦。出は良かったが、無理せず中段。砂を被っても全くにしないだけに、この策は間違いでは無いのだが、ラスト1Fで馬群を割ろうとした際に寄られる不利。とはいえ、それが無くても3着有るかどうかのレベル、一線級とは言えない。

カフェオリンポス

究極を言えば昨春の方が皮膚を薄く見せていた。中段馬群の中。直線向いた時の反応の悪さは58kgと600m距離短縮の分だろうが、それにしても手前を替えるのが遅かったし、替えてからの伸びも案外。本当に良いと思った時しか走らないタイプの様で、デキにナーヴァス過ぎる嫌いが。

トップオブワールド

エルムステークス時が酷いデキで、暫く良くなりそうに見えなかった程だが、漸く良いデキと言えるレベル迄良化して来た。道中はカフェオリンポスと前後する位置。ただ、これも4角の反応が悪かった。距離が短いのは確かだろうが、それにしてもやられ過ぎ。強い世代のユニコーンステークス勝ち馬だった筈だが、強いのはパーソナルラッシュ唯一頭。

アグネスウイング

歩様はこんなモノ。見た目には悪くない筈。道中は2番手。直線向いた時に手前を替えないのは相変わらずだが、それにして伸びなかった。デキは悪くなさそうで、気持ちが抜けているのかも。

シャドウスケイプ

究極に良かった昨夏程では無いにしても、気配悪くない。最近ゲート良かったが、今日は出遅れ。昨年より一枚上のメンバー構成で、こうなると流石に厳しい。まずゲートを五分に出ない事には。