Sakura Archives

競馬回顧 2005年2回中京・3回東京

中日スポーツ賞 ファルコンステークス(GⅢ)

カズサライン

前のシンボリグランが良過ぎるだけに目立たないが、使って確実に馬体締まって来た。道中は中段の外。シンボリグランをピッタリマークし、多少早目では有ったが、3〜4角中間から一緒に動いて行く形。この路線はシルクトゥルーパーやアイルラヴァゲインが最上位馬で、この馬もその次位は有るのだろうが、こういう馬場状態になると最後はやはり枠順がモノをいう。

フェリシア

2人曳き。もう少しフックラするのが理想だろうが、気合を大分内に溜められる様になって来た。中段やや後方のイン。外に仕掛けた馬が居て、出すに出せない展開だった事も有るが、そのままインを突く形。ただ、最内も全くダメでは無い馬場状態で、ここを通ると意外に有利。桜花賞はぶっつけで結果を出せなかったとはいえ、昨年暮れの中山戦でペニーホイッスルに完勝の馬、今年は牝馬のレベルが相対的に高い事を考慮すれば、力量的にも上位の存在だった。

シンボリグラン

+8kg。遮眼革。多少物見をするのは初コースで遮眼革という事だろう。多少重いにしても、馬振りは抜けていて、もうちょっと歩様がシャキッとすればオープンでもと思わせる馬。道中は中段。終始、カズサラインにマークされる形になり、中途半端に悪いところへ押し込められたし、遮眼革着用の馬で外に馬を置くのも良い筈が無かった。4角妙に手応えが悪かったのもあくまで道中の差。今日は相手に上手く乗られただけ。

ヒカルバローロ

+20kg。チャカつく。重いのは確かだろうが、張りが有って以前よりも良く見せる様になっている。ダッシュ付かず最後方から。4角も、トーホウレビンを弾きつつ大外へ。これもカズサライン同様、コーナーで加速が付いて余裕が有るだけに、手前を替えるのが遅いのだが、直線の脚は一番目立った。スプリントなら芝ダート問わず堅実。

テイエムチュラサン

曇天の栗毛で馬が緩く見えてしまう面は有るのだが、キビキビ歩く歩様は好感。大外枠からジワッと先行。3角迄は良い感じで行けていたが、カズサラインとシンボリグランが外からマクりに来て苦しくなってしまった、最後は内にモタれ気味になっていたが、京都でカズサラインに先着した様に、相変わらず良いスピードは有る。

マルブツブリザード

-6kg。絞れたのは良い傾向だろうが、歩様がワースト級に硬い。この枠で無理矢理にハナへ行ったが、ハナ切る迄に時間掛かったし、終始スピードの乗りが悪かった。案外な内容だが、この歩様だけにパンパンの良か柔らかい馬場以外はダメという事になるのだろう。

ケイアイフウジン

2人曳き。+12kg。減るよりは増えた方が良いのだろうが、今日は無駄肉が付いただけ。歩様も硬い。出来ればハナへ行きたかっただろうが、それも適わず好位止まり。それでも馬に勢いか経験が有れば話は別だが、休み明けでしかもこの馬場状態では厳しかった。そもそも人気になるのが間違い。

コパノフウジン

+10kg。馬体増の割に迫力が無いが、硬いのは何時も通りで、今日でもまだマシな方だろう。道中は中段。カズサラインとシンボリグランが外に居て、向正面で悪いところを通らされてしまった。直線、仕方無しにインへ行ったが、ここは今週一番伸びないところで、万事休す。今日は力を出し切っていない。

エプソムカップ(GⅢ)

スズノマーチ

2人曳き。造りは何時も良く見せて走らないタイプ。ただ、今日は珍しく気合が乗っていた点が何時もとは違う点。グランリーオに行かせて好位のイン。これでグランリーオ迄抑えてしまうと、この馬の位置取りが悪くなって、今年の東京はそういうシーンも多かったのだが、今日はグランリーオが仕事をしてくれた為、好位で流れに乗れた。まあ、今日は上げ膳据え膳で勝って下さいと言わんばかりの競馬。グランリーオとの着差がこの馬の現実だ。

グランリーオ

2人曳き。これも元々造りは良い馬だが、気配を内に秘め、歩様もスムーズ。好発切ってハナへ。ただ、3角手前辺りからブラックカフェが操縦不能になってハナへ行かれる形。まあ、外を回って折り合い面こそ問題無かったが、4角も外へ行ってしまい、早目に抜け切る形となって、目標にされてしまった点は誤算だっただろう。見た目的には良く頑張っているのだが、相手が追って甘いスズノマーチ。器用さは今後のローカル戦で強みとなるが、ノドの不安も有って、今日の湿気の多い状態が向いたという話も有り、今後もオープンとなると果たしてどうか。

ダイワレイダース

-18kg。細くは無いが、今日は他の馬が良過ぎて目立たない。中段のイン。直線向いてサイレントディールの外へ出した時には一瞬コレというシーンも有ったのだが、サイレントディールが思いの外伸びず、自力で追い込む形に。とはいえ、見た目細くなかったとはいえ、-18kgの造りでこの内容。相手が大概だったとしても悪くない内容。

サイレントディール

馬振りの良さは今更だが、それを差し引けば平均点のデキ。グランリーオに行かせて2番手。外枠からジワッと先行という、前走同様最高の競馬が出来ているのだが、追って全く弾けなかった。今日は勝てると思っただけに、案外の内容なのだが、道中落鉄していたとの事で、これを言い訳として使う外無さそう。

ボーンキング

2人曳き。3年1ヵ月振りで、多少煩い位で丁度。体高とトモの張りが目に付いた。無理せず後方から。直線も外へ大事に乗る形。今開催、重賞で4角あの位置から来た馬は、シーザリオ唯一頭で、殆ど勝ち負け不可能な位置だったが、エンジン掛かってからの脚には3年1ヵ月前以上の能力を感じさせてくれた。最早浦島太郎状態のこの馬だが、少なくともスズカマンボよりは遥かに強いだろう。

シャイニンルビー

昨秋の東京戦が一番良かった様に思うのだが、この馬にしては歩様に力強さも有って悪くない。道中は中段。正直、この距離は長いと思っていたのだが、今日は動くのも早目だったし、逃げたブラックカフェが外へ膨れ、更にその外を回る不利が有りながらこの着差。意外な程限定戦への出走が少ない馬だが、今のデキで限定戦なら確勝級。

トーセンダンディー

歩様もスムーズになって、馬体に張り。夏場迎えていよいよこの馬の季節。スタートして1F過ぎた辺りでアラタマインディに前を叩かれる形となって一瞬ムキになった以外は意外とスムーズ。4角でガチャガチャするシーンも有ったし、東京は直線が長すぎる分が、この着差だが、1800mを抑える競馬で折り合う様になったのは進境有ったといって良いだろう。小回りなら怖さが。

ウインクリューガー

以前はもっと大きく見せていた様に思うのだが、前のサイレントディールが良過ぎる分も有るだろう。歩様のキビキビ感が近走の特徴。抑えて中段。もっと前に行って、今日のサイレントディールの競馬をした方が持ち味が生きる様に思うのだが、前走の東京戦が1400mで、今日も折り合い欠き加減だっただけに、有る程度は止むを得ないところなのだろう。直線向いて一瞬は反応したが、坂で逆手前になってしまい、最後は完全に脚が上がってしまう形。力を出し切れていない。

カンファーベスト

2人曳き。多少テンション高いのはこの馬の癖。悪くない。多少ムキになりながら中段の外。4角外をマクり加減で進出したが、直線向いてズルズル。最後はフォームもバラバラ。敗因不明。

農林水産省賞典 安田記念(GⅠ)

アサクサデンエン

目の前を同じシングスピール産駒のローエングリンが歩いていたが、この馬の方が歩様・造り共に一枚上。今日のファンファーレの様にフライング気味のスタートと迄は行かないが、前走同様悪くないスタートから中段。直線向いてバランスオブゲームが前をカットする形になり、一瞬立て直すシーンも有ったのだが、却って脚が矯められた印象も。抜けて来る時の脚に強さを感じさせなかったと言えば嘘になるが、他馬がそれぞれに弱点を抱えていて、この馬だけにそれが無かったという事なのだろう。

スイープトウショウ

造りは少々悪くても走るタイプだが、落ち着いていたのが何より。例に依って多少ゲート悪いのだが、何時もよりはマシに出たし、外の馬が真っ直ぐ走っている隙を突いて上手く中段やや後方へ。直線外へ出して、一番外のテレグノシスとの追い比べだったが、逆手前でもがくテレグノシスとは対照的に、ここ迄伸びて来た。最後はあくまで自力で動いた馬と恵まれた馬の差。距離不適だったオークス2着の東京、たまたま使う機会が少なかったが、ここがベストコースか。

サイレントウィットネス

2人曳き。馬体云々よりも、前走の香港戦は妙に歩様が硬いのが気になったが、今日は意外とスムーズ。好発だったが、距離を嫌ったのだろう、ローエングリンに行かせて無理矢理にでも抑える策。ただ、それでも前走の経験が生きているのか、折り合い付いていたし、坂を上がってバランスオブゲームを振り切った時には乗り役も夢を見ただろうが、最後に外から2頭。Cコースを2週使ってAコースで施行する今のパターンになってから、直線向いてヨーイドンの競馬ばかりで、どうしても決め手勝負になるだけに、先行脚質では辛い。

ブリッシュラック

遮眼革。イレ込み。歩様も硬い。道中は後方の外。仕掛ける迄もモタれて矯正しながらの追走だったが、直線向いてからも中々手前を替えずにモタれ気味。それでもここ迄詰めて来るのだから能力は相当なのだろうが、左回りはダメ。

カンパニー

周回中、たまにトモが流れるのが気になったが、張りも有って造りはこの馬なりに上々。中段やや後方で、スイープトウショウと前後する位置。直線向いてからは追い負けという事になるのだが、上位3頭は真っ直ぐ走れていたとは対照的に、苦しがって逆手前になってしまう様な馬は、どうしても狭いスペースで一瞬の躊躇が有る。このコース設定はどうしても狭いところでの争いになるだけに、何より真っ直ぐ走れるのが重要で、それが出来ない馬には辛い。

テレグノシス

2人曳き。ゴツい香港調教馬の参戦の影響も有るのだが、今日はヤケにスカッと見せる。珍しく好発だったが、何時も通り後方へ。直線は来ているが、カンパニーの項で述べた様に、手前を替えるのが下手で真っ直ぐ走れない馬はどうしてもノビノビ走れない。昨年は道悪でバラけてくれたが、今年はそうは行かず一昨年と似た様な結果。馬場に殺されたとしか言い様が無い。

バランスオブゲーム

2人曳き。-8kgも、時期が違うだけに、太く見えず。ただ、この馬にしてはちょっと歩様が硬い。前走の中山戦とはペースが違うだけに、位置取りとすればこんなモノだろうが、6〜7番手の外。4角マクり気味に動き、坂下では一瞬先頭かというシーンも有ったのだが、坂を上がってそこ迄。見た目的には早く動き過ぎたという事にはなるのだが、田中勝春騎手、この馬の持ち味を生かすにはこれがベストの策で、何もせずに終わったダイワメジャーよりは余程評価出来る内容。

ダイワメジャー

ホライゾネット。2人曳き。歩様も以前を思えば良くなっているのだが、+8kgはやや疑問。好位のイン。とはいえ、器用な馬ならこれが絶好位だし、狭いながらも直線向いて割って来れるスペースも有ったのだが、追ってスパッという馬では無いだけに伸び切れない。まあ、サイレントウィットネスの項で述べている様にヨーイドンの競馬では辛いという事だろうが、ただそれは戦前から解っていた事。前走の中山戦の様な2番手から前を窺う競馬ならもう少し着は上だっただろう。内枠だけに策が限られて来る面も否定出来ないが、今日は乗り方が安直過ぎた。

ユニコーンステークス(GⅢ)

カネヒキリ

馬は勿論抜けているし、歩様もこんなモノ。ゲートが悪く、好位へ行くのに多少脚を使う形。ただ、それを差し引いても終始外からピッタリマークのプライドキムに気を遣っていた様に見えたし、直線向いての脚も余力が有ったにしても以前程では無かった。次走の大井戦も、中央勢には敵無しで、地方勢もプライドキムに歯が立たないのだから楽勝だとは思うのだが、外に馬一頭置くだけでこれだけ違うパフォーマンス。馬力に任せる手法は破綻した時が脆い上に、そうなる時期がダート馬は特に早く来る傾向、何とか今秋中には直しておかないと来年が無くなる。

アグネスジェダイ

遮眼革。小走りが入るが、以前よりマシだし、今日は歩様がスムーズ。この枠でも有り、戦前の予想通りハナへ。前走の園田戦でも、出遅れて途中からハナに立つ形ながら、それでも渋太かった様に、ハナさえ行ければ渋太いのだが、今日でもゲートの出自体はそれ程でも無かったし、3角で振り切る迄エイシンニーザンに突かれる形でも、カネヒキリを梃子摺らせるのだから能力は相当。とにかく最後迄勝負を投げないのが、この馬の良いところで、こういう馬は距離延びて更に良い。

ドンクール

相変わらず造りは目立たないが、気配を表に出し、この点は好感。ゲートは良かったが、無理には行かず中段の外。終始頭の高い走法なのは気になったが、それでもジワジワ来ていたし、ラスト50mの脚はこの馬が初めて見せた性能の高さだろう。今迄は並んでの勝負根性ばかりがクローズアップされていたが、数学的な性能も相当。トモに力が付いて頭の高い走法が少しでもマシになる様なら対カネヒキリ逆転も。

デイフラッシュ

シープスキンノーズバンド。この中間、短期放牧に出して-8kgだが、馬体の造りはパワフル。ゲートは多少悪い程度だったが、敢えて道中は最後方から。直線は思い切って大外へ持ち出したが、坂を上がってドンクールに2馬身差程度に迫ったところ迄。今の馬場状態で、この競馬でこの着差なら、一応は上々の部類。次走は自己条件だろうが、今年の3歳勢はいきなりから古馬でも太刀打ち出来る筈。

プライドキム

馬は大した事無いが、キビキビ歩いていて、気配上々。終始、カネヒキリをマーク。カネヒキリが外に馬を置く形になった事で、多少なりともカネヒキリのパフォーマンスにも影響している筈だが、この馬自身も余所行きの競馬をした事で、最後止まった印象。ただ、自分の競馬に徹していても、デイフラッシュに先着出来たかどうかといったレベル。2歳時はもう少しやれると思っていただけに失望。

シンメイレグルス

446kgだが、馬を大きく見せる。歩様も、伸びは無いのだが、以前を思うと硬さはマシに。道中は中段の外。行き振りが悪くて、多少オッツケ気味になっていたし、その分で直線苦しがって手前を替えるのも遅かった。今日は案外の内容だが、無理矢理言い訳探せば、左回りは前走でこなしただけに、距離短縮が裏目という事になるのだが...。

モエレアドミラル

前走の東京戦から歩様が伸びる様になっているが、もう一絞り欲しい。道中は中段。これもシンメイレグルス同様オッツケ気味になっていた。これももう少し距離が欲しいクチか。

東京優駿(GⅠ)

ディープインパクト

2人曳き。+4kgは良い傾向だが、今日はテンション上がり過ぎ。とにかく落ちない様にゲートをゆっくり出して後方のイン。3角から外へ出して徐々に進出、直線は大外へ。坂下では出し抜けのインティライミとは4〜5馬身差有った筈だが、上り切って捕らえて決勝線では5馬身差。最後止まった昨年のキングカメハメハとは違って、ラップ的にも終い迄伸びているのだが、そのキングカメハメハは超ハイペースをハイアーゲームに動かされての競馬。NHKマイルカップの後で既にピークを過ぎていただけに、まだそれでもキングカメハメハの方が上だろうと思うのだが、そう思わせてしまう程相手が弱過ぎるのが唯一辛いところ。今後は3冠や古馬よりも、キングカメハメハの様なファンの記憶の中の馬と闘っていく事になりそう。

インティライミ

2人曳き。前走の京都戦より歩様に柔らか味。ただ、もう少し馬を大きく見せて欲しい。縦長の展開になったが、好発切って、好位のイン。とにかく自在に乗れるのが強みで、出し抜け食らわした時は一瞬やったかに思えたが、ディープインパクトの決め手が凄過ぎた。とはいえ、前走の京都戦は抜け出すのが早くてソラを遣っていた事を思えば、今回それが無かっただけでも進歩。ダービー2着の称号だけでも無くは無いが、秋へ向けて得るモノも大きかっただろう。

シックスセンス

2人曳き。造りは元々定評有るところだが、+12kgで更に良化。これこそ厩舎技量。今日もディープインパクトマーク。とはいえ、流石にディープインパクトの様に大外へとは行かなかったが、馬群を割ってこの馬なりの伸び。ただ、左回りが初めてという事も有るのだが、手前を替えるのが遅かったし、替えてからの伸びが案外。どちらかといえば右回りの方が良さそう。

アドマイヤフジ

歩様が伸びていたし、前走の京都戦同様にまあまあのデキ。道中は中段から。まあ、例に依って一瞬がズブく、4角回り切る前にディープインパクトに抜かれている有様だが、そこから盛り返して来るのがこの馬の身上。坂下で逆手前になって4頭併せ馬の内から2頭目から、手前を戻してもう一伸び。悪い内容では無いが、こういう勝負どころでズブさを出す馬は最近中々勝ち切れなくなっている。

マイネルレコルト

2人曳き。前走の中山戦は下見で歩く時の姿勢が高かったが、今日は大分マシに。-8kgも、馬体が締まって良い方に受け取って良いだろう。ゲートは出ているが、注文を付ける形で最後方から。今日は珍しく折り合いがスムーズで、後藤騎手、直線は思い切って最内へ。左回りは手前を替えるのが下手な馬だが、それでももがきながらここ迄来た。イチかバチかの待機策で5着だから失敗の部類なのだろうが、今日は折り合い面の収穫が大きかった。

ニシノドコマデモ

暖かくなって良化した筈の歩様が落ちていたし、今日は集中力が無かった。道中はディープインパクトと前後する位置。ただ、相変わらずズブく、3角で既にステッキが入っていたし、そういうタイプだから4角も外へ回さざるを得なくなってしまった。最後は力で差し込んで来たが、2,3着馬が内を通って来ているだけにその差は大きかった。

ローゼンクロイツ

相変わらずトモが薄くて硬い歩様。皐月賞よりテンション高い馬が多い中、平行線なら落ち着いている方だが。これもディープインパクトマーク。行き脚の違いは仕方無いにしても、直線でディープインパクトの後方で繰り広げられていたアドマイヤフジ,ニシノドコマデモ,エイシンニーザンとの4頭併せ馬の中から真っ先に脱落。少なくともこの4頭の着順はそのまま能力差で、これは単純に力が足りなかったとしか言い様が無い。

アドマイヤジャパン

2人曳き。纏まりの無い造りは前走の中山戦同様だし、今日はイレ込み。道中は中段。競馬を覚えて器用に立ち回れる様になっていて、ディープインパクトの一歩手前で早目早目の競馬は間違っていない筈だが、直線向いて内へモタれて惨敗。デキの無さが全て。

ダンツキッチョウ

2人曳き。ブレーヴハートとは対照的に前走よりテンション高い。好位直後。完歩の小さい歩様で距離は課題なのだが、折り合っていただけに、案外の内容。レース後故障発症だそうで、これが原因としか。

金鯱賞(GⅠ)

タップダンスシチー

+6kg。悪い訳では無いが、良い時の迫力という点ではイマイチ。毎回述べている様にダッシュ力の無い逃げ馬、その意味で大外枠は却って絶好なのだが、今日もジワジワとハナへ。1000m通過が61.5秒のスローで逃げ、3F33.8秒で上がれば勝って当然だが、この馬の良さは肉を切らせて骨を絶つハイペースでの逃げ。まあ、勝てば何でも良いのだが、道中で楽を覚えた逃げ馬の転落は早いだけに...。

ヴィータローザ

+12kg。完歩の小さい歩様はこの馬の癖。柔らか味が有っただけに一応は許容範囲だし、張りも悪くない。最初から行く気無く後方から。マクッたスティルインラブを相手にせず、直線迄待ってインを突く策。上手く前が開いてくれた事も有るし、少頭数で前との差が比較的少なかったし、他の人気どころがタップダンスシチーを追い掛けて追っ掛けバテしてくれた事も有るのだが、最後の最後で2着に浮上。休み明けの方が却って走るのかも。

シルクフェイマス

2人曳き。姿勢が高かったのと、所作に余裕が無い。好発も、タップダンスシチーに行かせ好位。前走の京都戦とは違って折り合えていたが、内にモタれるのを矯正しながら追っていた。どちらかといえば左回りよりは右回りのタイプなのだろうが、それを差し引けば上々の内容。

アドマイヤグルーヴ

2人曳き。-8kg。馬体の張りという点ではMAXでは無いが、歩様が伸びていた。中段のイン。多少行きたがってはいたが、前走の京都戦よりはマシだし、何時もこんな感じ。4角の勢いが良く、一瞬コレというシーンも有ったのだが、追って案外。昨年と全く同じ内容で、同じ着順。今日はデキも言い訳になりそうだが、案外これが現実の力関係かも。

セフティーエンペラ

まあまあの気配。時々妙に悪く見えるケースも有るのだが、造りも上々。タップダンスシチーに食らい付いて行く様に2番手へ。4角の反応が他馬とはまるで違っていた割には良く頑張っていて、前走の様な新潟よりも小回りコースの方が向くのだろう。この馬にしてはまあまあの内容。

スティルインラブ

+8kg。馬が緩んでいた。道中は中段も、宥めるのに一苦労。待ち切れずといった感じで、3〜4角中間からマクりに動いたが、それで通用する相手では無かったという事だろう。とはいえ、近走を思うと積極的に乗れるだけでも良化ムード。牝馬限定戦なら。

優駿牝馬(GⅠ)

シーザリオ

2人曳き。デキは抜群だが、良過ぎて気負い気味。出負けし、外のエアメサイアにカットされる不利も有って、後方から。下見で気負っていた影響か、道中も気負っていたし、馬場が馬場。これで勝ち切るのだから力が違い過ぎるとしか言い様が無いだろう。レース後、福永騎手が自らミスを認めていたが、馬を気負わせた角居調教師も今日は戦犯。前々走の中山戦の際に述べた様に、連闘でダービーでもと思わせる史上最強クラスの牝馬だが、今後仕上げに気を遣いそう。

エアメサイア

2人曳き。多少余裕残しも、これは落ち着かせる為で、目論見通り。道中は中段。シーザリオを筆頭に折り合い欠く馬が多い中、前に馬を置かなくとも折り合えるのは、伊藤雄二調教師と武豊騎手のコンビならではだろう。直線向いて後続を引き付けてから追い出して、全てが上手く行ったが、最後にシーザリオ。今日は最高の仕上げと最高の競馬。着差こそクビだが、陣営は敗れて悔い無しだろう。

ディアデラノビア

2人曳き。テンション高く、イレ込みの域。ただ、この数字でも造りは上位。道中は中段。前走の東京戦は前に壁に無くとも折り合えたが、流石に2400mだとそうは行かないのか、デザーモ騎手、何が何でも前に馬を置く形。ただ、この馬の場合、良い脚が一瞬しか続かない点が今迄ネックだったが、今日は盛んに手前を替えながらもシーザリオに食い下がった。次走はシーザリオと共にアメリカ遠征だそうだが、一戦毎に内容良化の今ならワンツーも。

エイシンテンダー

この馬にしては歩様もスムーズ。誰も行かないと見るや否やハナへ。1000m通過63.1秒は、遅過ぎる迄のペースだが、各馬距離には不安の有るだけにこれは仕方無く、折り合いスムーズだった点を強調して良いだろう。まあ、例に依って手前を替えるのが遅いのだが、その割に良く頑張っていたし、毎回述べている様に武幸四郎騎手、東京でこういう競馬をさせると実に上手い。

ブリトン

欲言えばもう少し歩様に柔らか味が欲しいが、落ち着いていたのは何より。好位のイン。バラける位置。折り合えたのは何よりで、終始インで立ち回れる利も有ったが、最後は決め手の差。相手が強過ぎた。

ジェダイト

2人曳き。+8kg。まだ増えても良い造り。現状では最高に近いだろう。大外枠、ゲートはあくまで普通だったが、行き振り良く前へ。以前は1600mでも折り合い面怪しかった馬だが、今日はこれでもスムーズな方。追っての甘さがまだ解消されていない分がこの着順だが、折り合いに進境が有っただけでも今日は収穫。

ショウナンパントル

2人曳き。歩様は多少硬いが、造りも良くなったし、何より毛ヅヤが良化。中段の外。絶好の位置で折り合い、今日はデキも有っただけに、乗り役は一瞬夢を見ただろうが、4角で行き場が無くなったのが痛い。直線は逆手前ながら良く詰めていて、前走の阪神戦がフケだったというのはどうやら本当だった様。完全復活といって良く、あとは結果を出すだけ。

東海テレビ杯 東海ステークス(GⅡ)

サカラート

今季はずっとデキ良いが、今日は歩様に伸びが有った。距離に難の有る馬が距離を克服するには極端な競馬をする以外に無いのだが、短距離でもソコソコ追走出来る馬、スピードの違いでハナへ。ただ、ハナへ行ってみたら意外な程スムーズで、コーナー毎に差を広げて4角持ったままで勝負有り。こういうスピード優先の馬場状態も向いたのだろうが、秋山騎手、昨年は中京記念でメイショウキオウを逃がし切ってみたりと、中京コースで先行させると実に上手い。

スターキングマン

2人曳き。チャカついてはいたが、そこは森厩舎。ただ、もうちょっと毛ヅヤが良くても。外の馬が速く、後方から。ただ、終始内々を立ち回っていたにせよ、良い時の掛かる位の行き振りが戻って来たし、4角の脚は完全復調と行って良いだろう。どちらかといえば左回りも向くタイプ。

タイムパラドックス

毛ヅヤ・馬体の張り良かったし、歩様もこの馬にしては良い方。これも後方から。多少行きたがっていたのは、ダート戦だけに気にならないのだが、中京のこの馬場状態で外を回って勝てる程の能力差は無かったという事だろう。褒められはしないが、悪い内容では無い。

シロキタゴッドラン

太く見せるのは体型。張りは有っただけに、悪くは無い筈。決め打ちし後方から。マクるタイムパラドックスからワンテンポ遅らせる形で動いて行き、最後は結構良い脚なのだが、タイムパラドックスが届かないのだから、この馬もこの位置。とはいえ、今日はこの馬にしては動いている方だろう、こういう馬場も意外に向くのか。

クーリンガー

歩様が硬く、元々太く見せる馬が今日は更に太く見せる。ハナへ行くつもりだったのか、スタート直後は結構押していたが、サカラートのダッシュ力が良く、譲って好位のイン。まあ、4角手応え悪くなるのは何時もの事だが、この手の馬は、こういう馬場だと辛い。直線向いて手前も替えていなかったし、デキ自体も落ち気味。今日は最悪の条件が揃ってしまった。

ヒシアトラス

オーストラリアンブリンカー。造りは前走よりは良化も、馬っ気。元々そういうところの有る馬だが、今日はフワフワして重心の高いフォーム。4角向いての手応えも案外で、直線向いて逆手前。どちらかといえばパサパサのダートを好む馬では有るのだが、デキ落ちの方が要素としては大きいだろう。

農林水産省賞典 目黒記念(GⅡ)

オペラシチー

妙に小さく見せるのは、トモが甘いから。道中は好位。折り合い欠くケースもたまに有る馬だが、今日はスムーズ。最後詰められたのは、56.5kgがこの馬にとって過大評価だった分で、今日は勝ち切った事よりも、最内枠を活かし切った展開利を強調しておきたい。レコードだが、下見の印象通り、まだ本当では無い。

ウイングランツ

シープスキンノーズバンド。歩様に柔らか味が有ったし、造りも上々。道中は後方のイン。3角辺りから徐々に外へ出し、4角一番外へ。最後良く詰めてはいるが、唯でさえ位置取りの差が有ったのに、4角膨れていただけに、今日はスムーズなら勝てていただろう。54kgだったが、終わってみれば過小評価。

ダディーズドリーム

スカッと見せるのは良い傾向。道中は最後方から。3〜4角中間から徐々に進出し、直線向いてもスペースは有ったのだが、自身がモタれているのと、ウイングランツが壁になって追い辛いシーン。ウイングランツ同様、これもスムーズならと思わせる馬で、この馬も54kgは過小評価だったか。

エルノヴァ

多少姿勢高いが、この馬にしては歩様マシな方。道中はオペラシチーをマークの形。直線も、オペラシチーが抜けるのを待って併せ馬の形は造ったが、最後は追い負け。55kg背負って牡馬相手だと微妙に辛いという事なのだろうが、エリザベス女王杯3着は伊達では無かった。

チャクラ

この馬は歩様さえ良ければ力を出せる。中段のイン。前走の京都戦は前に壁が無く引っ掛かったが、今日はスムーズ。上手く外へ出せたし、一瞬伸び掛かっているのだが、ラスト1Fで逆手前になってしまい、そこからズルズル。この馬には時計が速過ぎたのか。

アクティブバイオ

今日は歩様に伸び。500kg切るのが理想にしても、造りも上々。出来るだけ前で競馬しようと前半からオッツケ気味。ただ、直線向いて伸びなかった辺りは、この馬も時計が速過ぎたか。