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競馬回顧 2005年2回小倉・2回新潟

函館2歳ステークス(GⅢ)

モエレジーニアス

数字こそ増減無しだが、馬体の締まりが良くなった。スナップが利いた歩様で如何にも芝向き。前走は引っ掛かってしまったが、遣り合う先行勢を見ながら今日は折り合えた。3〜4角中間辺りから後方のラッシュライフに動かされる展開で、インを立ち回った前走とは違って、楽な展開では無かったのだが、凌ぎ切ったのだからそれなりに強い。例年のこのレースと比較しても水準以上の馬。

ラッシュライフ

2人曳き。叩いて馬体締まって来たが、歩様が硬い。前走はハナ切っての押し切りだったが、道中は中段。3角辺りからモエレジーニアスを急かせる様にしてマクる競馬。終い迄詰めていて、今日は良い脚を長く使えている。この時期だけに、器の大きさは未知数だが、直線の長いコース向きで、良いレースの出来る馬。

アドマイヤカリブ

馬振りは断然なのだが、今日はテンションが高い。何が何でもの馬を行かせて絶好の位置取りだったが、返し馬同様、実戦でも行きたがった。直線向いても中々手前を替えず、直線伸び切れなかった。馬体の良さから力は有りそうだが、まだまだ。

アイアムエンジェル

多少煩い。ただ馬格の割にトモが薄く、その分歩様に非力な印象が。ゲートはそう速くなかったし、口を割って頭が高くとお世辞にも良いフォームでは無いのだが、それでも行き切れたのだから余程良いスピードが有るのだろう。4角でも、上位3頭に結構早目に来られていて、それでも何とか4着残すのだから、悪くない内容。母アイアムザウイナーの破天荒なスピードを良くも悪くも受け継いだ様。

アリババシチー

2人曳き。-8kgは絞れたモノだろう。馬振り悪くないが、欲言えばもう少し歩様に力強さが欲しい。ゲート入り梃子摺るが、出ッパは互角。前走同様に外からマクる競馬だが、コーナーを逆手前で回ってしまい、4角で外へ膨れ過ぎた。最後良い脚で来ていて、能力は有りそうだが、取り敢えずはコーナーを上手く回れない事には。

ラララウィンパル

+12kg。多少緩い嫌いも有るが、成長分も相当。何より歩様に伸びが有ったのが良い。3角手前迄は首だけ突っ込んでいたが、3角過ぎでアイアムエンジェルに行き切られる形。直線も家賃が高い様な止まり方で、馬体増も全く言い訳にならない。

リザーブカード

2人曳き。-8kgは絞れたモノだろう。ただ、もうちょっと歩様に柔らか味が欲しい。ゲートもアオッてしまったが、それにしても追走に汲々。最後もそう伸びている訳では無く、もう少しゆったりと行ける距離で改めて。

チアズガディス

2人曳き。落ち着いていたし、数字の割に造りも悪くない。テンのスピードの差でアイアムエンジェルに叩かれ、控える競馬。向正面から行き振り怪しかったが、3〜4角中間では既に脱落。今日は競馬になっていない。

関屋記念(GⅢ)

サイドワインダー

歩様もこの馬なりに許容範囲。馬体に張りが有ったのが何より。ゲート悪くなかったが、何時も通り後方から。直線は大外へ持ち出し、多少内にモタれる嫌いも有ったが、32.6秒の決め手。前走の小倉戦で完全復活は明白だったし、直線の長いコースに強いトニービン産駒、今日は勝って当然だが、この手の馬は年齢を経る程、適性が極端になる嫌いが。現状でもテレグノシス級は有る筈だが、秋にはコーナーでも自在に動けるデュランダルが京都で待ち構えていて、これに勝つのは至難の業。

ダイワメジャー

実戦では外していたが、下見ではホライゾネット着用。2人で曳いて1人を横に付ける3人体制。歩様に伸びが有ったのは好感持てるが、気配を言えば今春の中山戦だろう。この数字だとやや重く映る。行きたい馬には譲ってマイペースの好位。直線ラスト400mで実況の通り堂々先頭に立ち、押し切りそうな感じも有ったが、最後はサイドワインダーの決め手。戦前にも述べた様に、やはりベストは東京よりも中山なのだろうが、それ以前に、横山典弘騎手曰くノドが万全では無いそう。地力の高さは言う迄も無いのだが、GⅠとなると流石に厳しいのかも。

インセンティブガイ

+8kg。歩様が硬いが、馬体増は全て成長分。休ませてかなり良くなった。中段やや後方。直線、終始左手前だった分がモタれ気味だったが、逆に言えばそれでここ迄来るのだから力は相当。今日は前の2頭がGⅠ級だった分で、ローカルGⅢとしては中々のメンバー構成。もうちょっと歩様が良くなるのが理想だが、GⅢならメンバー次第でチャンスも。

ニューベリー

多少硬いのは何時もの事。造りは悪くない。本来はもうちょっと先行するタイプだが、今日は大外枠という事も有って中段から。時計勝負にはソコソコ強いのだが、良い脚が一瞬しか無く、結構脚の使いどころが難しい馬、その意味で直線の長い新潟は不向きに思えたのだが、今日は追ってからも中々渋太かった。力を付けている。

コスモサンビーム

もうちょっと馬体に張りが欲しいのだが、この馬にしては歩様もスムーズ。造りとしては出来ていた。挟まれる形で最後方から。直線一番外へ出したが、流石にサイドワインダーとは脚の差が有った。ただ、一昨年暮れの中山戦の様に、内々を器用に立ち回るのが本来の競馬。今日の競馬でこの差なら悪くないだろう。レース後、ハ行が見付かったそうで、この影響がどうかだが、やはりキングカメハメハの2着は伊達では無く、GⅡレベルは充分有る。

ケイアイガード

毛ヅヤ冴えデキ絶好。ただ、例に依って歩様に力強さが無い。中段の内目。ローカル開催はどうしても芝コースの使用頻度が高く、馬場が急速に悪化しがちだが、今年の新潟も例に漏れず、外を回した方が有利。そういう意味では、直線上手く外に出せているのだが、追い出して頭が上がるタイプの馬で、新潟は直線が長過ぎるのだろう。今日は条件が悪かった。

ウインラディウス

2人曳き。シープスキンノーズバンド。馬体絞れ更に良化。文句無しの気配。前走同様インを突く策。ただ、ケイアイガードの項で述べた様に、開幕週とは馬場状態が違っていたし、この馬、気持ちの続かない馬で直線の長いコースではマイルは長い。マイルなら中山か、東京なら1400m迄。

農林水産省賞典 函館記念(GⅢ)

エリモハリアー

2人曳き。-10kgは札幌からの輸送分との事だが、歩様が相変わらず。ただ、造りや毛ヅヤが良く、前走同様にデキは目立った。外枠勢に行きたい馬が多く、牽制している内に上手く好位へ潜り込む形。今日はこのスローで絶好の展開だったが、4角ブルートルネードがインを開けてくれないとみるや否や、外へ出した北村浩平騎手の判断も光った。内にササる嫌いが有るそうで、ラスト100m迄手前を替えない辺りにその片鱗も窺えたが、それでも真っ直ぐ走っていた辺りは目下のデキが本物だからだろう。ただ裏を返せば、勢いが無くなった時が試金石。この歩様から時計勝負も課題。

ブルートルネード

馬振り良かったが、歩様が硬い。1000m通過60.7秒。団子の展開で見た目にも遅かったが、小回りを考慮すると数字的にも遅い。ただ、小回りのこのパターンは切れる後続にやられる危険も大きいのだが、このペースにも関わらず上がり3F35.7秒とお世辞にも速いとはいえず、今日は切れる筈の後続が揃って不発。これでは凡戦の誹りは免れず、この馬の評価も高く出来ない。

ウイングランツ

シープスキンノーズバンド。-8kgも造りは大差無し。ただ、歩様のスムーズさという点では前走の東京戦の方が上。ゲートも良くなかったが、ダッシュ付かず後方から。スローを待ち切れずといった感じで、3〜4角中間からマクッて行ったが、前が楽をし過ぎている分とこの馬自身一瞬の決め手という点では分が悪いだけに、ここ迄。とはいえ、左手前で走っている時のフォームの怪しさから本質は左回りだろうし、今日は距離云々も言い訳に使って良いだろう。悪くない内容。

マチカネメニモミヨ

2人曳き。-14kg。細くは無いが、歩様は相変わらず。中段やや後方。戦前は折り合いを懸念していたのだが、意外にスムーズ。マクッたウイングランツを先に行かせての直線勝負だったが、この馬の能力的にここ迄が精一杯。失望というよりは最初から見えていた結果だが、本質はあくまでダート。ただ、そのダートもオープンとなると多少厳しいだろうが。

エアセレソン

2人曳き。チャカつく。デキは良さそうに見えたが、一枚重い。外から次々に来られて位置取りが悪くなったのが最初の誤算、ペースが遅くなったのが第二の誤算、そしてウイングランツにマクられる展開で、動くに動けなかったのが第三の誤算。元々良い脚を長く使うタイプで、小回りでスローというのは唯でさえ最悪の条件。一枚重かったが、それ以前の問題。

グランリーオ

2人曳き。良かった東京戦の気配を維持。ブルートルネードに誘導される形で2番手。ハナが理想に決まっているとしても、この形も悪くない筈だったが、追って案外。ノドの不安が有るだけに、前走の道悪で期待したのだが、道悪もダメとの事。良馬場前提馬がノドの不安とは痛し痒しで、もっと距離が短くないと厳しいのだろうが、追って切れる脚が有る訳でも無く、この点でも痛し痒し。

ワイルドスナイパー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。多少歩様の硬い嫌いは有ったが、許容範囲だったし、毛ヅヤ冴えて気配良さそう。好位の外。道中は抑え切れない程の手応えで、向正面ではこの馬が勝ちそうな雰囲気だったが、3〜4角中間から手応えが怪しくなって、直線も伸びず。歩様の悪いのは前走もそうだったので、それ程気にならなかったのだが、この手の馬は2走目の反動が出易いのも確か。敗因らしき敗因はこの辺りしか無く、今日のところは2走目の反動という事にしたい。

テレビ西日本賞 北九州記念(GⅢ)

メイショウカイドウ

-20kgは夏場仕様。中身も有る様に見えたし、小倉大賞典時とは違って落ち着いていた。中段のイン。小倉だとゲートもちゃんと出てくれるし、道中の行き振りも良過ぎる程。スパルタクスとツルマルヨカニセが動いた後を捌いて4角外へ出し、直線でツルマルヨカニセに並び掛けた時は脚色が全く違っていた。これで小倉3冠だそうだが、ゲートのスムーズさ、唯一やられる可能性の有ったヴィータローザの凡走も含めて相性の良さなのだろう。ただ、如何なる理由でも大幅馬体減は良い筈が無く、その上での好走という事で次走小倉記念は反動を案ずるパターン。まあ、恐らくは負けないだろうが、ハンデ戦でも有り、馬券上の妙味としては嫌ってみたいが。

ツルマルヨカニセ

トモもパンとして来た様に見えるのだが、今日は些か非力な歩様。従って、もっと行けないと思っていたのだが、ジワッと好位へ。ただ、スパルタクスが真っ先に動く展開で、展開絶好だったが、直線向いて手前を替え切れず伸びあぐねた。これで初めての重賞連対だが、今日はメイショウカイドウ以外の人気どころが走っておらず、その分を差し引くと不満の残る内容。並ぶ間も無く2馬身差は頂けない。

サイドワインダー

-12kg。絞れたと見て良いだろう。歩様は今更だが、休養前と比べて削っても馬体に迫力が有る。例に依って道中は後方。トニービン産駒で前の止まらない馬場状態、直線向いて良く伸びているのだが、前のメイショウカイドウと同じだけ伸びていて、道中の位置取りの差は如何ともし難かった。ただ、これは戦前から解っていた事。下見の気配,直線の伸びからもう完全復調といって良いだろう。次走は関屋記念だそうだが、ここは狙い目。

スパルタクス

覇気の無さも気になったが、それ以前に腹回りに余裕が。行き脚無さそうに見えたが、気合付けて2番手へ。この馬場だから、1000m通過58.2秒でもスローに近いペースなのだが、一向に来ない後続を意識せず3〜4角中間からステッキを入れて前を捕まえに行く形。結果的には直線勝負の切れる後続にやられてしまったが、人気薄だけにイチかバチのこの策は悪くなく、4着なら上々だろう。

ヴィータローザ

-12kg。その割には造り確かだし、歩様も良くなっているのだが、相変わらず下見で煩い。最悪でも中段へと思っていたが、行き振り悪くサイドワインダーと前後する位置。まあ、もう少し早く動くのが理想なのだろうが、サイドワインダーと同じタイミングで動いて、1馬身半差程伸び負け。案外の内容というよりは敗因不明。

チアズメッセージ

造りは上々も、近走は歩様が硬い。中段やや後方。4角ズブさを見せていたが、最後は盛り返す形。トモが甘いだけなら話は別だが、この歩様だと小回りは向かない。