Sakura Archives

競馬回顧 2005年4回阪神・4回中山

スプリンターズステークス(GⅠ)

サイレントウィットネス

放馬の影響も有ったかも知れないが、数字が増えると歩様が窮屈になる傾向。ただ、スプリントならこれでもダメでは無いし、距離で仕上げを使い分けているのだろう。道中は好位。外のギャラントアローには譲ってジワッと乗る形。4角一瞬手応えが悪くなり掛けたし、例に依って右回りは手前を替えるのが遅く、ラスト100m迄内にモタれ気味だったが、替えてからの伸びは強烈。取り敢えず一番強い競馬はしているが、デュランダルの方が勢いが良く、もう少し時計の掛かる馬場なら危なかった。やはり右回りはアテに出来ないと見て良いだろう。京都へは行かないという話だが、万が一出て来る様なら嫌ってみたい。

デュランダル

-7kg。張りが無い様に見えるが、この造りになってから成績が安定。ただ、今日は珍しく馬場に入れてからが煩かった。今日もゲート自体は出ているが、出脚無く後方から。今日は4角から競馬が動いているので、そうは見えていないが、この辺りの行き脚はディープインパクト以上。コーナーでも自在に脚が使え、しかも良い脚が長くでは無く永く使えるのがこの馬の長所。その破壊力たるや凄まじいの一言。この話をするのも3年連続になるが、マイルでこその馬で、次走の京都戦は確勝級。それよりも東京2000mでディープインパクトやゼンノロブロイを最後方からブッこ抜くシーンを。

アドマイヤマックス

-16kg。細い訳では無いが、パッと見の造りがもう一つ。歩様も、この馬にしては珍しく硬い。武豊騎手が乗っている分を差し引いても元々はゲートに定評有る馬だが、今日は意図的にソロッと出した様で、無理せず中段やや後方から。集中力に難の有る馬で、4角迄前を壁にして、直線だけ外へ出すという理想的な競馬だったが、デュランダルとの決め手の差は如何ともし難かった。現状これが一杯。

マルカキセキ

初コースだが、今日は馬に集中力が有った。前のサイレントウィットネスの迫力を思えば...だが、毛ヅヤ,張り悪くない。ゲート良かったが、控えて中段から。バテて来た馬を捌きつつ、サイレントウィットネスをマークする策は悪くなかったが、相手が逆手前で内へモタれつつでもジワジワと離されてしまう。前走の阪神戦思えば遥かに良い内容で、下見の気配通りだったが、本質は平坦だろう。あとは下見の集中力が何処迄続くか。

キーンランドスワン

2人曳き。前走の阪神戦より歩様はスムーズ。ただ、もう一絞り欲しいのと、迫力という点で疑問。これも中段から。直線スムーズに外へ出して来たが、この馬右回り,左回り問わず手前を替えるのが下手。ただ、今日のデキで走るのだから、以前程坂は気にしなくて良いのは確か。

プレシャスカフェ

この馬にしては硬さもマシ。前走の函館戦より馬に中身が有る。今日も一瞬アオる形で出てヒヤッとしたのだが、上手く潜り込んで中段へ。良い感じで追走出来ていたし、直線向いて一瞬伸び掛かったのだが、逆手前のキーンランドスワンにすら交わされる始末。蛯名騎手に言わせるとノドが鳴るそう。今後は全て見送り。

カルストンライトオ

数字はこれでも良いが、毛ヅヤや馬体の張りが物足らない。外のギャラントアローが珍しく好発も、ダッシュ力の違いで、内ラチ沿いへ。前半3F32.9秒は平均に近いペース。4角で引き離して、入り口で2馬身差。乗り役も一瞬は夢を見ただろうが、今季はデキが無い分が最後止まってしまった。ただ、左回りに弱く、阪急杯,アイビスサマーダッシュ,スプリンターズステークス,そして香港スプリントと、実質勝てる可能性の有るレースが1年に4つしか無い馬。今年、ここ迄3走真っ当な状態で使えていないというのはどうなのか。

シーイズトウショウ

-30kg。調整失敗だろう。イレ込んでしまったし、何より細い。デキの無い馬の典型的競馬で、好位に居ても流れに乗り切れず、直線向いてズルズル。カルストンライトオとは違って、左回りも問題無い分、勝てるレース多いとはいえ、GⅠでこのデキは頂けない。

シリウスステークス(GⅢ)

ブルーコンコルド

良過ぎた前走の印象が強過ぎるのだが、もう少し歩様に柔らか味が欲しい以外は及第点。好発も、行きたい馬には譲って先団を眺めながらの競馬。ただ、今日は前走程の行き振りでは無かったし、姿勢が高いのも気になった。トップハンデで勝ったのだから力上位なのは当然だが、外枠でスムーズに競馬出来たのも事実。次走は願っても無い1400mのGⅠだが、もう少し下見の気配が上向かないと。

ミリオンベル

腹袋の有るタイプなのだろうが、もう一絞り有っても良さそうな造り。歩様も少し硬目。好発も、道中はブルーコンコルドをマーク。向正面で変なところに突っ込んでしまい狭いシーンも有ったが、それ以外はスムーズ。直線も、ブルーコンコルドに連れる形で伸びて来た。今日は展開利有って、ハンデ52kg。能力面の評価は差し控えたいが、1400mをこなしたのは収穫。

マイネルモルゲン

何時も通り気配を表に出し、前走の中山戦同様まずまずのデキ。ただ、歩様は今日の方が良い。ゲートアオり気味に出て中段やや後方から。4角も外に壁が出来てしまい、窮屈な競馬を強いられたが、それでもここ迄詰めて来るのだから地力は相当。芝だとワンペースの競馬を好むタイプで、今日の形では伸び切れないケース。その意味でも、今日の内容は評価して良いだろう。今後どうするのか知らないが、ダートに新天地を求めた方が良い。

サイレンスボーイ

一息入った形だが、判で押した様に全く同じ状態。歩様も最近はかなりマシになって来た。前走同様アオり気味だが、内のサイモンセッズを見ながらジワッと。乗り役があまり早く先頭に立ちたくなかったのか、馬が行きたがったのか、3〜4角中間でも抑えていた程だったが、直線向いてからは例に依って手前を替えずに伸び切れない。相変わらずの内容。

サンライズキング

造りはこの位で丁度。ただ、何時もよりは歩様が硬い気も。好発。控える策が悪いとは思わないのだが、3角手前で外からブルーコンコルドに来られた辺りから急に行き振りが悪くなってしまう。それでも5着に来るのだから地力は高いのだろうが、案外の内容。好走例が外枠に集中していて、砂を被るとダメ。

タイギャラント

2人曳き。もう少し歩様に伸びが欲しいのと、馬体の張りがイマイチ。中段やや後方の外目。前走の小倉戦の様に、元々が内々で器用さ生かすタイプだし、今日は珍しく手前を替えてくれなかった事も有るのだが、それにしてもエイシンチャンプに伸び負けたのだから不甲斐無い内容。ちょっと意外。

インタータイヨウ

シープスキンノーズバンド。+19kg。何時もよりは煩かったが、馬体の張りや造りが良く、かなり良い状態。歩様も今日はスムーズ。気合を付けて好位へ。道中も行き振り良くなかったが、それにしても伸びなかった。直線手前を替えないのは何時もの事で、敗因不明。

農林水産省賞典 札幌2歳ステークス(GⅢ)

アドマイヤムーン

2人曳き。馬体が締まって来たのが何より。削っても造りの良さ変わらず。躓く様な形で出たが、出ッパそのものは良く中段へ。1角辺り迄は行きたがっていたが、その後はスムーズ。3〜4角中間からマツリダゴッホのマクりに急かされる形で動いたが、手応え自体はこちらの方が余裕。ゲートで躓き、1角迄高脚を使いと、怪しい点は随所に有るが、今日は大外枠に救われた印象。今後は調教技量の勝負。

ディープエアー

+8kg。歩様が硬い。馬体の見栄えという点でも疑問。中段のイン。3〜4角から内目を捌く形で進出し、直線入り口でモエレジーニアスの直後。手前を替えるのが遅かった分、アドマイヤムーンとは差を付けられたが、スムーズならもう少し際どかっただろう。今日に限っていえば力を出し切れていない馬も多いが、見た目以上に能力が有る。

モエレジーニアス

-10kg。歩様が硬いのと、造りに薹が立って来た嫌いが。道中は好位。インで我慢する策も有った筈だが、1角で前に入って来たマイネジャーダが行きたがるのを無理に抑えていて、これの直後では位置取りが悪くなると判断したのか、外へ。切れる脚が無いので、早目の策は仕方が無いのだが、やはりこの形では距離経験が無い分がどうしても掛かり気味に。ただ、これらの点に、アドマイヤムーンらに早目来られた点も考慮すれば良く粘っている方だろう。距離も経験さえ積めば問題無い筈。

ナイトレセプション

造りは前走同様。ただ、今日の方がもう少し歩様の柔らか味が有った。外のニシノアンサーの出が良過ぎた事も有るのだが、この馬自身も出ッパイマイチで中段やや後方。ただ、終始外に出すシーンが無く、4角で前が開かずに位置取りが悪くなってしまったのが惜しい。エルコンドルパサー産駒らしく、細かいところでの不器用さが有って、今日も一瞬手前を替えるのが遅かった分、モエレジーニアスを捕まえ損ねているのだが、不本意な瞬発力勝負でここ迄来たのだから能力は相当。東京ならこの相手でも勝てていた筈。

トップオブサンデー

煩いのは前走同様。ただ、馬体は相変わらず良い。ゲートも良くなかったが、無理せず後方から。4角一番外へ出し、中々の伸び。前4頭と比較すると一枚落ちる様な印象も有るのだが、悪くない内容。

マツリダゴッホ

シープスキンノーズバンド。例に依って姿勢が高い。中段やや後方。ゲート悪かったが、外枠生かしてジワッと。例に依って3角からのマクり攻撃も、手の内バレバレで、内の馬が呼応して動いた分が苦しくなったのだが、とはいえバレバレだった分を差し引いても、4角既に手応えが無かったのは意外。単純に弱い。

フラムドパシオン

張りという点でもう一つなのだが、クロフネ産駒らしい雄大な造り。ゲート自体も良くなかったが、外のアドマイヤムーンにカットされる形で後方から。道中も大事に外を回っていたし、マツリダゴッホのマクりに乗る形は展開絶好に見えたが、直線向いて手前を替えずに伸び切れない。父クロフネは大マクりのジャパンカップダートがベストパフォーマンスだったが、この馬はコーナーでは動いてはいけないタイプなのだろう。東京向き。

神戸新聞杯(GⅡ)

ディープインパクト

2人曳き。数字こそ増減無いが、造りのバランスが良くなった。前走の東京戦よりイレ込みもマシに。アオる様な形で出て後方から。ラスト3Fから外へ出した時の行き脚が抜群で、坂下で既に先頭。デビュー以来、一番強さを感じさせなかった競馬が新馬の阪神2000mだったが、今日は逆にデビュー以来一番強い競馬だろう。下手に馬体増えて出て来ると、フォームのバランスが崩れて却ってダメになるケースが有るのだが、増減無しで造りが良くなってしまう辺りが厩舎技量。次走は京都だそうが、同じパターンの成功例デュランダルが無事な内に東京2000mで真っ向勝負を。

シックスセンス

2人曳き。-10kg。細い感じ全く無いし、元々良く見せる馬だという分を差し引いても、気配はメンバー中No.1。道中は中段の外。ディープインパクトより早目早目の立ち回りは陣営の想定通りの策なのだろうが、早目に動いているにも関わらずディープインパクトの行き脚が凄過ぎて4角手前で既に捕まっている始末。そうはいっても、こういう展開で2着確保するのも中々能力を要求される芸当。時計的にも優秀で、着順通りの評価を。

ローゼンクロイツ

+12kg。一枚重いにしても、馬の雰囲気は良くなっているが、歩様の力強さがもう一つ。中段のイン。安藤騎手、4角でディープインパクトとシックスセンスが動いた時に馬が連られそうになったのを一旦矯めてから追い出す策。2着狙いならこの策でも良いのだが、終いの脚は目立っていたにしても、結果が3着では今後が厳しい。以前を思えばトモの状態もマシになっているのだが、まだ本当では無く、現状シックスセンスとの差は認めなければならない。

マチカネキララ

2人曳き。もう少し歩様に柔らか味が欲しいのだが、ここでも馬振りは最上位。デキ自体も良さそう。1角〜向正面迄は中段。多少行きたがっていたが、3角辺りからは無理には抑えず徐々に前へ。結果的に前に居た分が早目に動かされた形で、終い止まったのは仕方無いのだが、似た様な競馬のシックスセンスよりは弱いにしても、競馬が違うローゼンクロイツとは着差程の差は無いという評価で良いだろう。競馬のレベルが上がれば上がる程、紛れの介在する余地が少なくなり、それ故競馬に無駄が有る馬、つまり多くのケースで経験の少ない馬が不利になるのだが、それでいてこれだけ走るのだから、それなりの評価は必要。権利が無く、自己条件では配当的妙味が無いのだが、格上へ使って来た時でも、一考の余地が。

アドマイヤジャパン

2人曳き。-6kg。春は一枚重かったという事だろう。この造りで丁度。ただ、前走の東京戦同様テンション高い。好位のイン。セコく立ち回って皐月賞同様の競馬だが、これで終い伸びないのだから、話にならない。余程良くならないと、これでは今季厳しい。

ストーミーカフェ

-10kg。スカッとした仕上がりというより、歩様の硬さも手伝って馬が荒んだ様な印象。戦前の予想通りハナへ。ただ、前走の東京戦とは違って、矯めの利かない突っ張った様な逃げ。4角で既に手応えが無く、如何にもデキの無い時の負け方。戦前は、ディープインパクトを負かせる競馬が出来るのはこの馬だけと思って期待したのだが、デキが無いのではどうしようも無い。

ヴァーミリアン

2人曳き。+6kg。馬体はこれで良いのだが、非力な歩様は相変わらず。中段のイン。これも多少行きたがる素振りを見せていたが、それ程とは思わなかっただけに、伸びなかったのは坂がダメだからだろう。2歳時はローゼンクロイツよりはまだこの馬の方が坂適性が有った筈だが、何時の間にかこれだけの差。「案外」というよりは「酷い」と言える域。

産経賞 オールカマー(GⅡ)

ホオキパウェーブ

2人曳き。前走の札幌戦同様、姿勢が高くて煩いのだが、毛ヅヤが良くなっていたし、歩様にスムーズさが有るだけでも。好発。好位の外でジワッと。前半1000m通過が64.9秒。超の付くスローでも折り合えたし、3角辺りからマクりに来たチャクラに一旦出られ掛かったが、4角で仕掛けた時の反応が抜群。あまり決め手の有るタイプでは無いだけに、着差こそ僅かだが、完勝といって良い内容。まだ本当では無いにしても、脚元が脚元で、現状仕方無いのだろう。前走とは違って今日は滑らない道悪で、これもこの馬には向いた印象、そういう意味ではベストの中山2200mでこれ以上無い条件だったが、そういうチャンスを確実にモノにして、賞金を加算出来たのが何より。これで漸く使いたいレースに全力投球出来る。

グラスボンバー

距離延長で何時もより煩いのは気掛かりだったが、馬に張りが有って、毛ヅヤが良く、デキが良い。中段のイン。もうちょっと行きたがるかと思ったが、スローで馬群が密集し、身動き一つ取れない状態。ただ、3角辺りから反応が悪くなり、置かれ掛かっていたが、行き脚付いてからは無理矢理狭いところをコジ開けて伸びて来た。これはデキが有るからこその芸当。坂を上がってホオキパウェーブにネジ伏せられた辺りに距離面での天井が見え隠れするのだが、そこだけ目を瞑れば好内容。本格化成った今だからこそマイルで見てみたい気も。

エルノヴァ

+8kg。例の歩様。多少立派過ぎる嫌いは有るが、緩んだところは全く無くデキ自体は絶好。出脚全く無く、無理矢理押していたが、それでも後方から。超スローのペースで4角一団。外に出していては間に合わない展開だったが、ホオキパウェーブが抜けた道を追い込んで来た。相変わらず良馬場なら牡馬相手でも堅実だが、今日の出脚の無さは重症級。東京ならとは思うが、中山でこれだとテンの速い競馬になった時が辛い。

チャクラ

2人引き。前走の新潟戦で指摘した歩様も多少マシに。馬体も型通りに良化。例に依って後方。これも一瞬の出脚が無く、スタート直後のポジション争いでやられてしまうのだが、向正面辺りから外へ出してジワジワ動く策。一瞬はホオキパウェーブより前に出ているのだが、各馬動いた時にはズブさを出して置かれてしまった。ただ、これは戦前から解っていた事で、中山2200mで勝とうというのが初めから無理な相談だった。最後詰めている様に目下のデキは本物。次走東京のディスタンス戦なら。

ヴィータローザ

-8kgは見た目気にならないとしてもイレ込みキツいし、近走は歩様が硬い。道中は中段。下見の暴れっぷりの割には折り合っていたが、逆に4角妙に手応え悪く、仕方無しに内へ潜り込んだが伸びなかった。超スローの特殊な競馬が2回続いたが、今季はそれ以前にデキが無い。

コイントス

多少硬いのは何時もの事。張りも有って、反動は感じられず。出負け。最後方から外へ出して、ジワッと2番手へ。次善策としては悪くない競馬だったが、今日はペースが遅過ぎた。自分で主導権握って競馬を造らないと辛い。

関西テレビ放送賞 ローズステークス(GⅡ)

エアメサイア

2人曳き。-8kgが何かの間違いと思える程馬体は目立つ。ただ、この歩様を力強いと受け取るか硬いととるかはかなり微妙。差し馬だから目立たないが、例に依ってゲートはメチャメチャ速い。道中は中段。インに入れたくなかった様だが、前半行きたがった為、前を壁にする形。その分、4角外へ出すロスが有り、馬場状態思えばラインクラフトとの差は絶望的に思えたが、1/2馬身差は立派。典型的なトライアルホースだが、距離延長を味方に出来るのは強み。

ラインクラフト

パッとしないといってもここなら上位なのだが、今日は歩様がワースト。道中は2番手で掛かり気味。4角待ち切れない感じでエイシンテンダーを交わし、直線向いてエアメサイアとは5馬身程差が有ったのだが、最後は行きたがった分の差。京都外回り2200mはまた別の話だが、京都内回り2000mをこなすだけならトライアルとしては文句無い内容。ただ、下見の気配はもう少し上向かないと。このままで勝てる程GⅠは甘くない。

ライラプス

2人曳き。エアメサイア同様-14kgは何かの間違いだろう、馬体目立つ。歩様もエアメサイアと似た様な感じだが、こちらの方が多少力強さが勝っている感。道中はエアメサイアをピッタリマーク。4角でエアメサイアが外へ出すのを見て、ガラ開きになったインを突く形。4着馬との差を思えば何処を通っても3着だっただろうが、前との差は如何ともし難い。結局春の勢力図のまま。

ヤマニンメルベイユ

-18kg。当日輸送で気負ったという事なのだろうが、トモの張りはかなり目立って、むしろ馬体充実。行き脚良く、逃げたエイシンテンダーの直後。ペースも遅かっただけに、絶好の競馬が出来たが、直線は決め手の差。上位馬がメチャメチャ強くて、この馬で水準級だと思うのだが、その水準級の馬が未勝利上がり。このレースに登録していたスマイルフォライフも未勝利で2000m2分を切る時計、今年の3歳牝馬は本当に層が厚い。

トーホウレビン

馬の造りもそうだが、気性が若い。抑えて後方から。直線向く迄インで我慢して直線何処を割るかの競馬だったが、ジョウノビクトリアに寄られる不利。ただ、それが無くても4着争い迄。これも上位とは差が有る。

エイシンテンダー

2人曳き。歩様が硬いし、馬自体が細い。戦前の予想通りにハナへ。4角ラインクラフトに早目に来られたというよりも、今日はデキが無くて止まった感じ。立て直し必須。

サンレイジャスパー

馬体は見栄えする方だろうが、それでもエアメサイアを思えば...だし、歩様も硬い。ダッシュ付かず後方から。道中揉まれていた様に見えたし、4角で置かれてしまった。穴人気していたが、案外の内容。

ラジオ日本賞 セントライト記念(GⅡ)

キングストレイル

2人曳き。良く仕上げた方だろうが、2歳時の頼りなさが多少残っている嫌いも。道中は中段。1角辺り迄は行きたがっていたが、そこからは折り合えたし、今日は意外な程にスムーズ。4角で包まれた時に手応えが無くなり掛けたのだが、直線バラけてからはこれまた意外な程に伸びた。まあ、以前よりは真面目に走っているとはいえ、変なところでズブさを出してみたり、追い出してから頭が上がった点もマイナス材料。次走は京都では無く、東京だそうだが、無難な選択だろう。

フサイチアウステル

毛ヅヤ冴え、デキは絶好。ただ、馬振りをいえばトモの盛り上がりがもう一つ。好位の外で2角迄は掛かり気味。それでも向正面では折り合えたし、正攻法の競馬が出来たが、最後はキングストレイルの決め手。そうはいってもクビ差なのだが、前半1000m通過が60.1秒でスローだっただけに、案外の内容。

ピサノパテック

2人曳き。デキ目立ったし、歩様の柔らかさも特筆モノ。ただ、如何せん煩い。これも好位のインで前半掛かり気味。抑え切れない手応えで4角前へ並び掛けた迄は良かったが、直線向いてからインへモタれ気味。今日の内容ではここらが距離的な天井だが、マイルなら。

アドマイヤフジ

+18kg。馬振りは元々定評。太い中に有ってもその片鱗は窺える。出負けして後方から。4角でも無理に外を回さず、届かないのを覚悟で直線だけ外へ。結果は4着止まりだが、終いの脚は一頭際立っていたし、動こうと思えば動けた様に見えたという事はズブさも解消されていると見て良いだろう。次走は当然絞れて来る筈で、強敵相手でも一考の余地。

マルブツライト

2人曳き。毛ヅヤ良かったし、歩様もスムーズ。馬振りでどうかだが、デキは良い。道中はキングストレイルと前後する位置。この馬も2角辺り迄行きたがっていたにせよ、この枠でもインで立ち回るセコい競馬が出来たのだが、坂下でカネサマンゲツとピサノパテックの間が開かず手綱を引くシーンが痛かった。最高の競馬で勝ちが無かった訳だから、そういう評価で良いだろうが、とはいえそれ程弱い馬では無いのは確か。現状でも準オープン通用の目は有るし、何より実績の無かった時計勝負でメドが立ったのが一番の収穫。

ニューヨークカフェ

-14kg。長距離仕様と言えなくも無いが、発汗目立ったし、張りももう一つ。中段やや後方。直線向いてからはスムーズだったが、追ってスパッとというタイプでは無いだけに、4角で行きたい時に包まれて動けなかったのが痛かった。色々言い訳分を考慮すれば、現状でもソコソコの馬だが、それ以前に今季はデキが無く、暫くは見送り。

スムースバリトン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。今季はトモに力強さが有るのだが、前走の札幌戦同様に馬体に迫力が無い。後方でジワッと競馬したかった筈だが、1角でトップガンジョーに内から張られる不利。直線向いて一瞬手前を替えるのが遅かった辺りは課題だが、小脚を要求される中山2200mが向かないのは戦前から見えていた話で、今日は無難に纏めた方だろう。次走は京都では無く東京だそうだが、ここは狙い目。

マイネルレコルト

2人曳き。休み明けの割には落ち着いているが、今春の中山戦同様姿勢が高い。馬体も成長が無いというよりデキが無い。注文付けて後方から。折り合い気にしての策が、今日は何故かスムーズ。結果的に4角大外へ回した分が届かなかっただけで、内容そのものは悪くないといえるのだが、下見の気配,道中の行き振りがもう一つな辺りが今季のデキの無さ。

コンラッド

2人曳き。遮眼革。前走の福島戦よりは気配表に出している点が好感持てるが、馬体のバランスが良いだけで、悪く言えば小じんまり。意表突いて中段のイン。今後を思えばこの策で良いのだが、全く伸びなかった。今日の経験を今後に生かす可能性を否定しないが、これも今季デキがもう一つ。余程良くならないと今後が厳しい。

トップガンジョー

2人曳き。テンション高いのは何時もの事。歩様の柔らかさも前走の福島戦同様。1角で思い切り膨れて審議対象になってしまったし、前半行きたがって、今日は競馬にならなかった。距離が長い。

セントウルステークス(GⅢ)

ゴールデンキャスト

最悪だった今春時では無いにしても、多少歩様が硬い。ただ、近走思うと毛ヅヤが良くなった。橋口調教師にアドバイスを貰ったという小牧騎手、ジワッと乗って好位。昨年よりデキが無い分が行き脚の無さに繋がっているのだが、今日はペースが遅かったし、ホーマンテキーラが思いの外伸びず、クビ差先着。今日は坂ダメダメ選手権なメンバーが揃ってしまった印象で、坂を苦にしなかったこの馬が勝ってしまっただけの話。次走は中山でGⅠ。昨年の方が遥かにデキは良かったが、その昨年ですら通用しなかった訳で、当然苦戦必至。

ホーマンテキーラ

気合も乗っていたし、相変わらず歩様に勢いが有る。ゲートの一瞬はギャラントアローだったが、相手に二の脚が無く、楽々ハナへ。前半3Fが33.9秒なら逃げ切って当然だと思うのだが、直線手前を替えずに伸び切れなかった。このデキで勝てないのだから、坂がダメなのだろう。平坦ならまだしも、坂の有るコースでは良くてオープン特別の馬。

マルカキセキ

この馬、何時もそうなのだが、曳き手に甘える仕草が多く、集中力が無い。デキは当然悪くないのだが、歩様も硬い方だし、馬体的にも上位とは思えず。ゲートは良かったが、無理せず中段。内目スムーズに捌いている筈だが、これも伸び切れない。手前はスムーズに替えていた分、ホーマンテキーラと比較して、余計に重症。坂の有るコースでは準オープンでも疑問。

ギャラントアロー

オーストラリアンブリンカー。今更ながら下見は何時も良い。ゲートは良かったが、二の脚が付かずに好位。恐らく、無茶すれば行けた様に思うし、そうしないとこの馬勝ち目が無いのだが、昨春の阪神戦がトラウマなのだろう。これは仕方が無いところ。まあ、その割には意外な程粘っていて、奇蹟への序章となる可能性はゼロでは無いが、限り無くゼロに近い。

キーンランドスワン

歩様が硬いし、一枚重い。馬体の張りという点でももう一つ。道中は好位の外。坂が苦手と何度か述べているが、以前よりはマシになっていて、今日はそれ以前に4角の手応えが悪過ぎた。高松宮記念は大分良くなっていたにせよ、基本線として今年はデキが無い。

ナイキアヘッド

-10kg。細い訳では無いが、今春を思うとデキもう一つだし、歩様が良くなかった。中段やや後方。道中の行き振りも悪かったが、4角で既にステッキが飛ぶ有様。案外の内容で、次走即変わり身となると疑問。

京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

マイネルモルゲン

-10kg。絞れたと見て良いだろうし、馬体の張りも落ちていない。歩様硬いのは何時も通り。好発も控えて好位。ピタッと折り合うという訳には流石に行かないが、それでも今日はまだ前に壁があった分宥めていた方。4角で外へ出し、直線向いてからもジワジワ伸びて最後はアタマ差。柴田善臣騎手、どちらかというとジワッと乗るタイプで、そういう意味でも鞍が合っているのだろう。歩様の硬い馬で、直前の降雨も良かった。

ニシノシタン

前走の新潟戦は一息入っていた分が意外にデキ物足りなかったが、今日の気配なら今春とほぼ同様。最内枠ミッドタウンが行く気無く、労せずハナへ。前半1000m通過57.2秒。直前の降雨で馬場悪化したが、単騎ならこのペースがベスト。最後は馬場の分で上がりが掛かってマイネルモルゲンに捕まったが、これは仕方が無いだろう。京王杯スプリングカップは落鉄の影響も有って止まったが、元々は折り合い自在の気性、次走の東京こそが狙い目。

ウインラディウス

シープスキンノーズバンド。前走の新潟戦も良かったが、今日も気配抜群。中段やや後方。道中の折り合いには問題無い馬だが、気持ちが続かない嫌いが有って、前走の新潟戦は競馬が単調過ぎた。逆に今日はニシノシタンが引っ張ってソコソコ流れてくれた分で、最後差し込めたという事になるのだが、直線向いてから暫く手前を替えなかったのが気掛かり。ハンデ背負って苦しかった分も有るだろうが、下見の印象程にはデキ良くないのかも。

パリブレスト

ここに入ると馬自体に差が有るが、馬体の張り良かったし、毛ヅヤも上々。これも中段やや後方。ちょっと行きたがっていたが、今日は開幕週の馬場で終始最内を立ち回ったのが正解。頭の高い走法で、末脚の持続性には難が有りそうだが、一瞬の脚を生かして入着。短距離の差し馬。

キネティクス

2人曳き。チャカついていたが、デキは良さそう。中段の外。4角、フォーカルポイントに先を越され、一瞬躊躇してから外へ立て直すロスが有ったが、その分脚が矯められて終いが切れた印象。これも末脚の持続性に難の有るタイプ。

アイルラヴァゲイン

雷鳴轟く土砂降りの中だったが、それにしても煩かった。ただ、スッキリし過ぎている嫌いが。好位追走も、ちょっと気持ちが入り過ぎている様な感じ。ハンデも見込まれ過ぎたが、道中力んでいた分も有って、直線向いて全く伸びず。マイルもダメでは無いだろうが、安定してという話になると1400m以下の方が。

シャイニンルビー

-8kg。これは前回が滞在競馬だった分。これを使ってどうかだが、今季は比較的デキが安定している。道中は中段のイン。4角で真っ先に手が動いていたし、今日は直前の雨に殺された形。前走の函館戦も土砂降りで、今季はツキが無さ過ぎる。

マイネルハーティー

+12kg。今日は単純に一枚重い。ゲート悪くなかったが、道中は離れた最後方。4角でも最後方から。ニュージーランドトロフィーと全く同じ上がりだが、届かなかったのは相手が強かった分。一枚重かっただけに、この分の良化は期待して良いが、本質は何等変わらぬまま。

フォーカルポイント

これでも前走の新潟戦よりはイレ込みマシ。デキも相変わらず絶好。道中は中段。これも完璧に折り合うとは行かないが、前走の新潟戦を思えば遥かにスムーズ。ただ、直線向いてから手前を替えずに伸び切れない。道悪が良くないのも確かだが、右回りも課題。

コスモサンビーム

元々気配を表に出す馬だが、前走の新潟戦を使って、その辺りも戻って来た。歩様も、硬いなりに伸びていて一応は許容範囲。道中は中段。行きたがったり、オッツケてみたりと競馬がどうもチグハグ。前走にしても、最後方から普段とは違う競馬。体調面は問題無い筈だが、気持ちが戻っていない。

朝日チャレンジカップ(GⅢ)

ワンモアチャッター

2人曳き。馬体の充実振りは相変わらずだが、ソロソロ歩様が落ちて来た。好位直後。前を壁にして折り合わせる策は当然だが、前半何度か頭を上げるシーン。ワンテンポ待ってから追い出し、終いは前走の小倉戦同様の伸び。折り合いの不安をデキでカバーしている現状で、デキさえ有ればGⅡ級のパフォーマンスは期待出来そうだが、歩様が落ちて来た辺りに暗雲が。次走、何処を使うのか知らないが、常識的には東京だろう。ならば尚更。

エリモハリアー

デキという点では函館時だが、前走の札幌戦よりは良かったし、何より歩様が良くなった。ゲートそう悪くなかったが、道中は無理せずに中段のイン。直線向いてから中々前が開かず、バラけたのは坂下辺りからだが、今日は直線向いて直ぐ手前を替えてくれたし、そんな中でもここ迄詰めて来た。今日は直線向いてからのスムーズさ欠いた分だけで、ここ数走指摘した手前も今日はちゃんと替えてくれたし、歩様も良化。このコース得意という事も有るのだろうが、文句の無い内容。

ツルマルヨカニセ

造りは例に依って良いが、どうも歩様が頼りない。中段やや後方。ボーンキングが早目に動いてくれた展開は良かったし、目標にしたボーンキングは捕まえたが、内から2頭。競馬は間違っていなかったが、内の馬に出られたのは仕方が無い。元々は苦手な部類だった阪神コース、今日は良く走っている方だろう。

ボーンキング

+12kg。一枚重いが、絞れれば今春の気配に戻りそう。中段の外。4角手前から一気に動いて、坂下で一瞬先頭に立ったが、結果的には早かった印象。とはいえ、一瞬の決め手勝負では分が悪く、この策はむしろ当然の策。休み明け緒戦の東京戦の様な競馬では休みボケが直らないのはコスモサンビームが示す通り。次走は狙い目。

セフティーエンペラ

悪くは無いが、良いとも思えなかったし、今季歩様が案外。好位のイン。逃げたビッグプラネットを自力で捕まえに行った訳でも無く、絶好の展開だったが、追って伸び切れなかった。こういう器用な競馬が向かないのは以前にも述べた通りだが、今日はそれを差し引いても展開が絶好過ぎた。道中のフォームも頭が上がり気味で、歩様の硬さが実戦で響いているのだろう。暫くは見送り。

サクラセンチュリー

馬体面は文句無いが、歩様が硬い。出負けしてしまい後方から。直線そのままインを突いたが、前走の様に置かれる様な事は無かったにしても、ジリっぽくなってしまった。2000mもデキが有ればまた違うのだろうが、今回は如何せん休み明け。本質的には長いところがベストの馬。

ビッグプラネット

2人曳き。この馬にしては大人しい方だし、キッチリ出来ていたが、例に依って歩様に伸びが無い。単騎で離しての逃げ。折り合っていた様に見えたが、3角辺りから余裕が無くなってそこ迄。気性的な問題では無く、単純に距離が長い印象。言い換えればマイルでも底力の勝負になると分が悪いという事。