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競馬回顧 2006年3回中京・4回中山

スプリンターズステークス(GⅠ)

テイクオーバーターゲット

シープスキンノーズバンド。+6kg。多少重目だが、迫力はこの馬とサイレントウィットネスで圧倒。歩様も前走中京戦よりスムーズさが有りながら力強い。外のサイレントウィットネスの方がゲートが速く、前走の二の舞になりそうなムードも有ったが、メイショウボーラーが引いて、4角手前ではラチを頼れた。前半3F32.8秒で行っているのに、4角引っ張りの手応え。直線は難無く突き放した。今日は完勝。日本調教馬の遠征の際に、ノウハウの話が毎回出て来るが、外国調教馬の日本遠征に対しても同じ事が言えそう。特に受け入れる側のノウハウが相当上がっている様に思える。逆に、今年の凱旋門賞も欧州馬に勝たれたが、案外受け入れる側のノウハウに問題が有るのかも。

メイショウボーラー

良い時の集中力が出て来た。トモに張りも有って、完全に戻ったと見て良い。ゲート入り梃子摺った割に好発。一瞬はこの馬がハナへ行くかと思わせたが、無理せず引いてテイクオーバーターゲットとサイレントウィットネスに行かせる形。上手く番手にハマッて、直線テイクオーバーターゲットには突き放されたが、2着争いは凌ぎ切った。デキが戻ればこんなモノだが、真っ当でも芝ではGⅠに届かなかった馬。テイクオーバーターゲットとの差がこの馬の限界を示している。

タガノバスティーユ

腹袋有って太く見せるのは体型。馬体に張りが出て来たのが大きい。出脚サッパリで最後方から。コーナリングも甘く、4角更に置かれて、仕方無しに最内へ。ただこの馬、中京戦の際に述べた様に脚は持っているのだが、それでもGⅠで器用さ無い馬が来てしまう程、今年は本当にレベルが低い。このレース、今年から国際GⅠに格付けされたそうだが、先達はもっとハイレベルな競馬をしていた。

サイレントウィットネス

2人曳き。迫力は感じるが、昨年はもっと凄みが有った。数字的に見て20kg分位は重い状態で迫力を欠くのだから、デキが無いと見るのが妥当。歩様が中途半端にスムーズだったのも良くない傾向。昨年は硬さを感じる位の力強さが有った。好発。ずっとテイクオーバーターゲットに併せての競馬だったが、直線伸びを欠いた。手前が替わらないのは昨年もそうで、デキが無かったという一言に尽きる。

ベンバウン

シープスキンノーズバンド。張りも有って、スプリントを走る外国調教馬にしては歩様もスムーズ。出脚で差が有って、3頭雁行でやり合うのを眺めながらの競馬。直線向いてメイショウボーラーとサイレントウィットネスとの間を割ろうという展開では有ったが、そこからがジリジリ。この馬の力は出し切っただろう。上位とは差が有る。

チアフルスマイル

今日は歩様がスムーズ。毛ヅヤがピカピカで、絶好調をアピール。外枠も有るのだが、スプリントでも意外に行けて中段から。外からそれなりに伸びているが、今日は相手が強くてここ迄。これも上位とは能力差有るし、何より大外枠で2回も勝てる程、最近の競馬は甘くない。

シーイズトウショウ

-4kg。多少硬さは有るが、まだトモに丸みも有って、昨年を思えば遥かにマシ。ジワッと好位。4角外へ出した時には手応え有る様に見えたが、坂でバッタリ。過去に、もっと酷いデキで走った事も有る馬で、牝馬の割にデキに対する許容範囲が広い馬なのだが、とにかく坂に弱い。それで無くても、サマースプリントシリーズが目標だった馬だけに、今日はあくまで余興。期待する方が無理。

ビーナスライン

2人曳き。歩様面の良化は無かったが、気配地味ながら集中力が有った。中京戦スキップが正解。今日はゲート出て中段から。メイショウボーラーのトラブルでゲート最後入れになり、この馬に追い風吹いていたのに、4角で中途半端に外へ出そうとして、そこをタガノバスティーユにスクわれた。無茶苦茶手応え良かった訳では無いにせよ、今の中山で最初から最内なら3着は有った筈。折角の最内枠を無駄にしてしまった。

シリウスステークス(GⅢ)

メイショウバトラー

+24kg。前走佐賀戦は結構気負っていたが、今日は落ち着いていた。馬もスカッと見せて、戻っただけ。例に依って出脚は速いが、最内のトラストスターのゲートが良かったのと、サンライズキングが押して行った為、これらを行かせてトラストスターの直後。このレベルの馬がこの位置を楽に取れると、他馬に勝ち目は無い。ただ、4角で例の粗相。見た目は圧勝だが、力を出し切れていない馬も何頭か居て、過大評価はどうか。

ツムジカゼ

2人曳き。元々オープン級の馬だが、手術の効果で攻め馬しっかり出来るのだろう、張りが更に上昇。もうちょっと出脚が有るかと思ったが、オープンではそこ迄では無かった様で、1角では中段やや後方。ハンデ戦で小回り中京、3角過ぎから競馬が動く中、最内ずっと回って、4角のアクシデントも尻目にここ迄。戦前は期待したが、今日は評価出来ない2着。出脚が無いのが一番痛い。次走人気なら良いお客さんに。

キネティクス

今春デキ目立った割に、前走中山戦はそこ迄でも無かったが、叩いて順当に良化。ただ、ここへ入ると馬が小さく見える。出脚は甘そうだが、出して中段。小回り意識して各馬早目に動く中、無理せず直線迄待ってから外へ出して、ここ迄。最後の脚は割と目立っていたが、前述した様にアクシデントが有って、本来なら勝ちパターンの馬が何頭か。デキが良いので、この位やれても不思議は無いのだが、これも過大評価は危険。

セフティーエンペラ

歩様が硬い。ただ、チャカついていたのも良い方に解釈すれば元気の良さの表れだし、皮膚の薄さが目立つ。行かないだけで、出脚に余裕も有って中段から。4角外回った時の脚も悪くなく、一瞬は2着もというシーンが有った程。最後は止まったにせよ、自力で動いての結果だけに、今日は内容の有る4着。勿論、中央重賞で通用するレベルでは無いが、コーナーで速く、交流重賞ならチャンス。

オースミヘネシー

2人曳き。勿論、上とは差が有るが、張りが有って、デキ自体は良い。砂を被ったのを嫌ったのか、頭が高くて出脚は無かったが、枠順で上手く誤魔化して中段のイン。大事乗れた分、手応え良く運べたが、4角で不利。あれが無ければ2着有っただろうが、ただ今日は良い位置に居た事自体がマグレ。次走は却って危険。

ワンダーハヤブサ

+21kg。馬体増も問題だが、歩様の硬さが一番のネック。大穴開けた京都戦程のデキには無い。積極的に乗られたが、外のモエレトレジャーに喧嘩を売られて苦しい展開。4角手応え怪しいのは何時もの事だが、サンライズキングに当てられてトドメを刺されてしまった。レースだけなら参考外にしても良いが、デキが無く次走も苦しい。

サンライズキング

2人曳き。気配抜群! 馬体も目立って絶好調。出脚良く2番手。前半は掛かり気味だった割りに、3角過ぎには既に手応えが怪しかった。不利は有ったが、本来なら不利を食らう位置に居てはいけない馬だろう。下見は悪くなくても、ああいうレコード駆けの後は反動が出易いモノ。

農林水産省賞典札幌2歳ステークス(GⅢ)

ナムラマース

2人曳き。何より気配が良く、集中力が有った。トモの張りも目立つ。出そうとはしているが、出脚が無くて中段から。3〜4角辺りの手応えも悪かったが、それでいて直線はしっかり。微妙に右前脚が外へ投げ出し気味なのが不器用さに繋がっているが、回転の速さでは無く、全身使った飛距離で勝負するディープインパクトを彷彿とさせる走法。確実に化け物級。ただ、乗り役はそこらを理解出来ている様には見えず、恐らくは持て余すか壊すかのどちらかで終わるだろうが、少々持て余しても並のGⅠ級は有る。

アドマイヤヘッド

2人曳き。馬体締まって、歩様にバネ。これも気配が良い。出脚イマイチだったが、コーナーワークで誤魔化して好位のイン。一応は折り合えたし、最終週迄馬場の良かった札幌で、最高の競馬が出来たが、最後にナムラマース。器用さは有るが、次元が違い過ぎた。

イクスキューズ

イラついている様に見えるのと、もう少し歩様にスムーズさが欲しい。抑えても喧嘩するだけと見て1角過ぎでハナへ。まあ、多少ムキになっている様にも見えたのだが、行かせてもこれだから、行かせ正解だっただろう。直線も最後迄諦めずに走っていて、一応は能力の一端を示したが、現状1800mは長い。

フサイチオフトラ

2人曳き。-6kg。まだ重い様にも見えるが、張りが有って迫力は充分。出脚は一番だったが、行きたい馬に行かせて好位から。これもナムラマース同様、勝負どころで手応え悪かったのと、直線手前が替わらずジリジリ。ただ、着差が着差で、手前さえ替わっていれば2着は有っただろう。惜しい内容。

ガルヴァニック

+12kg。今日に関しては重いが、これを筋肉にせねばならない日が何時か来るだけに。道中は中段。4角そこ迄手応え良くなかったし、直線も前とは差が有った。力量差相当有る。

神戸新聞杯(GⅡ)

ドリームパスポート

戦前は骨折明けで云々というガセネタも有ったが、やはりここ目標にキッチリ仕上げて来た。成長度で甘いが、瞬発力で勝負する馬はこんなモノ。戦前述べた様に、差し馬の割には出脚の有る馬。掛かり気味では有ったが、中段から。メイショウサムソンを目標に動いたが、メイショウサムソンが前を意識した分、内に寄り過ぎたのと、この馬自身も一瞬手前が替わらず、外にヨレ、そこで内外開いたところを並ぶ間も無く差し切った。今日は持ち味を存分に生かした競馬。戦前述べた様に菊花賞へ行くそうだが、これは距離が長いにしても、マイルならGⅠでも勝てる筈。

メイショウサムソン

2人曳き。+10kg。前走の東京戦に今回と、何故か左回りへ来ると落ち着いている傾向。まあ、多少重いだろうが、毛ヅヤが良くて硬さが無く、トライアルとすれば充分及第点。当然フサイチリシャールの方が出脚が良く、これに一旦は譲ったが、馬が行きたがって再びフサイチリシャールの前に出る形。3〜4角中間で外へ出し、早目に動いてダービー同様の策に出たが、最後は内外離れた位置から飛んで来たドリームパスポート。小回り2000mはどうしてもこういうパターンが有るだけに、今日は仕方が有るまい。ただ、1角と4角、そして決勝線手前で3件の粗相。ダービー馬で無ければ合わせ技一本だった気もするのだが。

ソングオブウインド

+8kg。相変わらず歩様が柔らかい。これもメイショウサムソン同様多少重いのだが、トライアルだけに許容範囲。例に依って出脚がそこ迄良い馬では無いのだが、1角ゴチャついたのを尻目に2番手へ。追ってからは割としっかりした馬で、今日はこれが大きい。とはいえ、アドマイヤメインをメイショウサムソンが潰してくれただけに、実質4着なのだが、フサイチリシャールに不利が有ったとはいえ、競り合いに負けなかったのは立派。折り合い面は心配無い馬で、再度この策が出来るなら圏内。

フサイチリシャール

2人曳き。+10kg。例に依って歩様がもう少し伸びて欲しいのだが、悪くない範囲。落ち着いていて、気持ちの切れた様なところが無かっただけでも。出脚は現役トップ級の馬だが、この距離だとどうしても無理が出来ないので、来られれば付き合い切れない。決勝線手前でもメイショウサムソンに寄られ、今春の中山戦もそうだった様に、今日も他馬に振り回されてしまった形だが、ただそれでもソングオブウインドとの叩き合いにやられたのは不満が残る。ベストのマイルで自分の競馬に徹した方が。

トップオブサンデー

気配抜群! 馬振りで少し差が有るが、デキそのものはメンバー中抜けたNo.1。出脚サッパリで最後方から。4角も無理に外を回さず、直線馬群を割ってここ迄。今日は上がりの競馬で、これだけ詰めれば上出来だろう。500万勝ったばかりだが、GⅢなら圏内の馬。

アドマイヤメイン

-6kg。これはこれでスッキリと見せて良い状態。成長云々も、元々の馬の形が良いので、あまり気にならない。出脚の有る馬が結構居て、行き切れずに3番手。多少行きたがっていたが、近走逃げていただけに、これは慣れの問題も有るだろう。それでも4角では何とかなりそうな感じも有ったが、メイショウサムソンがタイトに回ってパッチンを食らう形。ただそれでも、最後迄諦めずに走っていたし、今日は割り切って良いだろう。次走も当然圏内。

タマモサポート

2人曳き。皮膚を薄く見せて、デキは良さそう。ただ、本当の上位馬と比較すると馬自体に差が有る。ジワッと出方を窺っていたが、1角でメイショウサムソンが外へ出て来て、ソングオブウインドとの間でパッチン。これで全く流れに乗れずに終わってしまった。今日は参考外。

産経賞オールカマー(GⅡ)

バランスオブゲーム

悪い時の硬さも無く、馬振りの良さが目立つ。出脚でコスモバルクを叩き、ハナはメジロマントルに譲って、自分のパターン。前半1000m通過が61.5秒のスロー。今日はこの位置にハマッたのが最大の勝因と同時に、これが楽に出来るから、この馬は息が長い。ベストは平坦の馬で、坂になると行き振りが鈍るのだが、前半の貯金でギリギリ凌ぎ切った。ただ、以前は良馬場でももう少し強く、今日の競馬なら1馬身は突き放して欲しかった。確実に衰えは来ている。

コスモバルク

何回か述べているが、以前より堪えが利いているのが良い。歩様に硬さも無く、4歳時を思うと数段上のデキ。出脚でコスモバルクに叩かれ、そこをヴィータローザに突かれて、中段のイン。以前と違って、折り合い面の不安は無いが、ここで外した分、4角では絶望的に近い位置取りになってしまった。ずっとインを立ち回っていたとはいえ、騎乗ミスが有ってハナ差なのだから、今日は今年の充実振りを再認識させた一戦。ディープインパクトとハーツクライが居ない東京戦なら主役級。

ディアデラノビア

煩いのは何時も通りだが、トモに張りが有って、これも歩様がスムーズ。ゲートを普通に出ているだけでも、デキの良さが解る。折り合いに気を付けつつ、中段の外。まあ、流石にこの距離だと掛かり加減になるが、下手に折り合う様なら、伸びないタイプだろう。向正面でインに入れ、4角狭いところにも怯まず押し上げてここ迄。戦前述べた様に、今季は期待出来る一頭。京都は勿論、東京でも面白い。

スウィフトカレント

落ち着いていて決して悪くないのだが、良い時はもっと良く見せていた気が。イマイチ物足りなさが残る。例に依って後方。4角、一旦外へ出そうとするが、出し切れずに馬群の真ん中から叩き出される形。展開考えれば良く走っているのだが、変に折り合っている辺りは、絶好調とは言い難い。もう一ついえば、仮令デキの無さ故の副産物でも、折り合い付く以上はもう少し前に行く競馬を。

エアシェイディ

2人曳き。見た目は悪くない程度。ただ、この馬の場合は気性面が課題。道中はディアデラノビアと前後する位置。ただ、ディアデラノビアはインに入れたのに対して、普通に外を回って、普通に回ってしまい、一工夫が有った上位4頭とは差が出てしまった。ただ、今日は外枠で仕方が無い面も有ろう。1番人気にした方が間違い。

メジロマントル

首を伸ばして如何にも気分良さそう。トウカイテイオーに似たバネを感じさせる歩様。出脚良くハナへ。バランスオブゲームの項で述べた様に、スローに落としてマイペース。最後は決め手の差だが、今後ハンデ戦を有利に闘う上でも、ここは走ってはいけない競馬。デキの良さは一目瞭然。何処かで一発。

エルムステークス(GⅢ)

ヒシアトラス

悪い時は細く映るが、今日は充実した造り。一息入れた効果は有りそう。好発。出脚ではサカラートより分が良そうだったが、無理する必要も無く2番手。終始、抜群の手応えで追走。直線、早目に抜け出してそのまま押し切った。中京戦が気持ちの切れた状態で、リフレッシュの効果が有ったという事だろう。ただ、中京戦と迄は行かないにしても、気持ちが切れた敗戦はしばしば有って、常に全幅の信頼をという馬では無い。

ジンクライシス

-8kg。スカッと見せて歩様もスムーズ。出脚で一瞬はハナも有ったが、無理せず好位から。元々、行き振りの良過ぎる馬だが、今日も引っ張り切りの手応えで追走。4角で捌き損ねて仕掛けが遅れたが、そこで脚が矯まった分切れた。ただ、ベストはマイルの左回り。今日も直線手前が替わるのが遅い。まあ、道営馬で東京に出て来るかどうかは微妙だが、次走東京なら狙い目。

オーガストバイオ

今日は歩様スムーズ。馬体も充実。出脚の良い馬では無く、道中は中段のイン。4角、馬群の切れ目を探して、脚の有ったトーセンブライトと脚の無くなったタガノゲルニカの間へ。まあ、道中上手く運んだ分も有るのだが、トーセンブライトを負かしたのだから評価して良いだろう。時計の速いダートも得意。

トーセンブライト

以前は一線級相手だと馬体で見劣ったのだが、最近は差が無くなって来た。本格化したと見て良い。行きたい馬に行かせて好位から。この馬にしては折り合っていた方だと思うのだが、直線手前が替わらず甘い。今ならこの相手でもと思うだけに、時計に天井が有るか、ベストが左回りかのどちらかだろう。札幌実績有る馬だが、多分にメンバー恵まれていた面も。

ヒカルウイッシュ

前走が大幅増だったが、これは成長分。ダートならこれ位で丁度。スタート直後、作戦を迷っていたように見えたが、1角で一瞬ゴチャ付いた事も有って後方。ただ、道中も外へ出すのかインを突くのかで中途半端に乗って、仕方無しにインを突く形。まあ、前とは差が有り、スムーズでもとは思うが、乗り役の優柔不断さばかりが目立った。

サカラート

+9kg。数字とは別にもう少し大きく見せて欲しいのだが、元々がこういうタイプ。歩様に硬さも無く、一応は及第点。出脚はヒシアトラスの方が余裕有ったが、枠の分引くに引けずハナへ。それでも向正面辺り迄は良かったが、そこからはヒシアトラスに早目早目の競馬をされて苦しくなった。ただ、それにしても直線止まり過ぎの嫌い。見た目悪くなかったが、意外にデキが無いのか。

ワイルドワンダー

瞬発力で勝負するタイプで、造りはこんなモノ。ただ、毛ヅヤと気配が良く絶好調。中段の外。折り合っていたといえば聞こえは良いが、切れる馬だけに、もっと道中ギラギラした感じが欲しかった。3角では既にアラアラに近い状態。敗因不明。

パーソナルラッシュ

遮眼革。オーストラリアンブリンカー。集中力有って、状態面悪くなさそうだが。下見は全くアテにならないタイプ。ゲートが悪くて、出脚も無く、後方。こうなるとこの馬はダメ。

関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

アドマイヤキッス

+4kg。意外な程に馬の形が良かった。成長有りそう。気配の地味さは相変わらずだが。出脚良い馬では無いので、無理に行く事はせず、内の出方を窺いつつ、巧く捌いて1角では中段のイン。今日はこれが第一の武豊マジック。徐々に番手を上げて4角無理やりでもフサイチパンドラのインへ突っ込んだのが第二のマジック。勿論、乗り易さが有るからこれが出来るのだろうが、完璧な騎乗。あまりに完璧過ぎて能力判定不能。他馬とは1秒上がりが違うだけに、それなりの評価は必要だが、まだ半信半疑。

シェルズレイ

パシュファイヤー。下見では口籠着用。クロフネ産駒だから当然といえば当然だが、ダート馬の歩様。馬体は松田国英厩舎仕様。1角辺り迄は堪えて追走出来ていたが、我慢し切れず2角でブッ放して大逃げの形。ただ、これでマイペースになった分、折り合いは付いただけに、これはこれでといったところ。最後はアドマイヤキッスが完璧に乗った分。この競馬は次走京都でも有効策となるが、ただ手の内はバレた。

フサイチパンドラ

今春はデキの無さに泣かされたが、歩様もスムーズ。決して悪くない筈。出脚良く2番手。2角でシェルズレイが行った時に多少連られたが、それ以外は折り合いスムーズ。一応は自分の競馬が出来た筈だが、4角でアドマイヤキッスに内をスクわれたのが痛い。まあ、それが無くても着差が着差なだけに、不満は残るのだが、元々自分から止める面が有って、見た目それ程でも無い事象が意外に応えていそう。追い出してから頭が上がってしまう辺りに、片鱗が出ていた。ちょっと今日は評価が難しい。

ニシノフジムスメ

2人曳き。気配も良いが、馬振りが良い。シェルズレイを別にすればメンバー中No.1。ジワッと出して好位の外。4角で多少手応え悪くなった分、直線もジリだったが、ずっと外を回された分も大きいだろう。出来れば権利欲しかったところだろうが、競馬には及第点やれる。

ソリッドプラチナム

+6kg。もうちょっと歩様に伸びが欲しい。ただ、この数字の割には馬体充実。例に依って後方。これも4角外へ回した分、突っ込み切れなかったが、直線伸び掛かったところで手前が替わったのも痛かった。左回りは良くないかも。

ラジオ日本賞セントライト記念(GⅡ)

トーセンシャナオー

-20kg。造りが華奢。馬に気持ちが有りそうなのが唯一マトモだった点。好発。ニシノアンサーが行って、トウショウシロッコとの番手争いを出脚で制して、2番手。今日はここにハマッたのが大きい。中山2200mは、元々上がりの掛かり易いプラットフォームでは有るが、今日に関しては、勿論4角でのアクシデントの影響も有っただろう。平均的に流れたとはいえ、道中一番楽な競馬をしている馬が、上がり3F36.0秒では不満。出脚の良さが武器になる可能性が有るだけに、次走用無しと迄は断言出来ないが、一応は消極的買いポジションに。

トウショウシロッコ

もう少し歩様に柔らか味が欲しいのだが、これは何時も通り。ちょっと細身に見せる造りも相変わらず。ゲートにはムラが有る様だが、ニシノアンサーに叩かれながらも、出して行ってトーセンシャナオーの直後。出脚はトーセンシャナオーの方に分が良さそうだったが、こちらは折り合いに不安有って、無理出来なかった部分有るだけに、これは仕方が無い。とはいえ、好位のインで悪くない競馬だったが、4角での反応が悪かったのと、相変わらず右回りは直線手前が替わらない。福島戦の際に述べた様に、古馬相手でも準オープンなら圏内の馬だが、ベストは左回り。

ミストラルクルーズ

+4kg。ただ、それ以上に重く映る。ゲートも悪かったが、出脚も甘く後方から。ずっとインで我慢。後方から良く差しているという見方も有るが、4角ゴチャつく位に馬群が密集していて、前との差がそれなりに無くなっていたことを思えば甘い。坂に弱いのかも。

テンシノゴールド

曳き手に甘える素振りを見せ、馬自体も凡庸。出脚悪く無さそうだったが、抑えて後方。4角迄はインに居て、外へ出そうとしたところでアクシデント。これを避けて、メンバー中唯一外から追い込んだのだから悪くない内容。相手関係は無視出来ないが、見た目以上に強い。

キストゥヘヴン

+20kg。シープスキンノーズバンド。多少物見もしつつ、ユッタリと。周りが皆牡馬という状況を思えば、意外に出来る事では無い。ガサの無い牝馬にありがちな歩様の硬さも無く、ひと夏越して順当に良化。中段のインで行きたがるのを宥めながら。ただ、これも4角ゴチャついた不利が痛い。今日は良く走っている方。京都で突っ込み切れない可能性は有るが、次走本命に出来る。

フサイチジャンク

2人曳き。もうちょっと大きく見せてもとは思うが、ここへ入ると馬が違い過ぎる。本来は出脚の有る馬だが、一完歩目が遅くて、後方から。掛かる寸前の行き振りで、道中は悪くなかったが、4角での不利が全て。次走当然巻き返しと行きたいところだが、ここ3戦、力を出し切れておらず、ツキに見放されている印象。武豊騎手をアドマイヤムーンに取られた辺りからボタンの掛け違えが。

インテレット

2人曳き。気配抜群。2200m走る馬にしては気負い過ぎだが、この馬はこれで良い。馬体そのものはそれ程でも無いのだが、歩様にバネを感じさせる。潜り掛かったところをゲート切られて出遅れ。しかも、この馬場で外を回って早目早目に動いてしまう最悪の騎乗。今日はこれで勝てという方が無理な相談。ただそれでも走法が本物の相。次走狙い目。

ミレニアムウイング

パシュファイヤー。気合は良かった。体高が有って、化けそうな雰囲気は有るが、調整途上、ゲートはむしろ悪い位だったが、積極的に出して行って2番手へ。ここ迄に結構脚を使っているとはいえ、4角既にアラアラの手応え。直線は殆ど追っていないので、着差程はやられていないのだが、不満は残る。

サマースプリントシリーズセントウルステークス(GⅡ)

シーイズトウショウ

-10kg。極端には細くないが、テンション高い。ただ、この馬に限らず、土砂降りになったのも影響しているだろう。出脚はウインレジェンドより良かった位だが、そのウインレジェンドが無理矢理行ってくれて、内の馬との喧嘩を眺めるだけの競馬。3〜4角中間から動き出して、直線も余裕タップリに突き抜けて快勝。これで負けろという方が無理の有る展開。馬場の急速な悪化も大外枠のこの馬には願ったり叶ったり。直線手前も替えなかった位に楽だった。今日はウインレジェンドと雨に感謝。ただ、次走中山は当然圏外。

テイクオーバーターゲット

シープスキンノーズバンド。スプリント戦に出て来る外国調教馬は歩様の硬い馬が多いのだが、この馬も独特の歩様。もう少し左が伸びて欲しい。ただ、馬体そのものは断然。外国調教馬の作戦コメントはアテにならないが相場だが、珍しく作戦通りに出して2番手。4角手前でコスモフォーチュンが来ても相手せず、自分のタイミングで追い出して、パターンにはハマッている筈だが、外からシーイズトウショウ。手前を替えるのが遅く、この辺りは左回り経験の無さ。詰められたのも59kgと雨を言い訳にして良いだろう。更にトリッキーな中山でどうかだが、これさえクリア出来れば差の無い存在。

ネイティヴハート

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-16kg。元々がこの位の数字。この馬にしては歩様にスムーズさが有るのが良い。外枠の馬が極端な競馬をしてくれて、外に馬を置く形にならず中段でスムーズな追走。今日はシーイズトウショウに付いて回っただけ。一時期よりデキが有るのと、左回りが上手い分でここ迄だが、以前にも述べた様に、この馬が頑張っているというよりは、今のスプリント界の低調振りを浮き彫りに。

リミットレスビッド

2人曳き。もうちょっと歩様に伸びが欲しい。馬体は悪くないが。スタート直後は、出脚で外の出方を窺っていたが、控えてシーイズトウショウと前後する位置。4角も何の不利も無く捌いて、それでいてこの差。これだけ評価出来ない4着も珍しい程に弱い。

マルカキセキ

見た目は決して悪くないが、前走の小倉戦もそれでいて走らなかった。半馬身程出負けして後方から。4角でも最後方に居たが、最内突いてここ迄。今日は悪くない内容。見た目の割に案外で、評価が難しかった馬だが、今後は額面通りの評価で良さそう。

ウインレジェンド

-8kg。例に依って下見から騎乗。ただ、川田騎手が10R騎乗の為、別の関係者が乗っていたが。馬体減も、細くなった印象は無い。出脚はシーイズトウショウの方が余裕有ったが、無理矢理ハナへ。内にも出脚の有る馬が居て、オーバーペースになってしまった。今日は参考外。

リボンアート

-2kg。馬体に張りも有って、デキ自体は悪くない。ゲートは出たが、出脚が甘く後方から。それでもジワジワ押し上げて4角では中段に付け射程圏に居たが、追って伸びない。まあ、あまり道悪上手い方では無いので、惨敗そのものは気にならないが、頭が高いのが気になるところ。馬体の見た目はこれで良いのだが、微妙にバランスが変わってしまっているのかも。絞れる迄狙うのは手控えたい。

京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

ステキシンスケクン

返し馬は相変わらずだが、下見は落ち着いていた。馬体も、休み明けを叩いて順当に良化。ストーミーカフェがゲート失敗した事も有って、労せずハナへ。前半1000m通過が56.7秒と速いが、単騎で行って、馬場が馬場。アドマイヤカリブと接戦の馬で、能力面は元々定評有ったが、当時より実戦に行っての集中力が出て来たのも良い傾向。この辺りは、1000mを使った効果も有っただろう。ただ、頭が高いので、東京よりは中山向き。

カンファーベスト

+12kg。2人で曳いている分も有るのだが、更に集中力出た。馬体増も張りが有って、それ程気にならない。出脚は悪くなかったが、外から来られている内に位置取り悪くなって中段やや後方。決勝線手前で内にモタれて些か行儀が悪かったが、4角ゴチャついた事を思えば今日は良く詰めている。ただ、折り合いに課題が有ってマイルへ回って来た馬。今はまだ、馬が慣れていないのと、デキが有って堪えているが、このパターンは案外続かないケースも多い。まだ暫くは問題無いにしても、3〜4走後辺りで真価が問われる。

マイネルスケルツィ

+6kg。前走の東京戦を思えば歩様はマシ。ただ、この数字の割に迫力不足。出脚で前ヅケして2番手。外枠としては最善の競馬だが、折り合い課題の馬で、ずっと気負って走っていた分、坂で失速。まあ、内枠で折り合えばまた違った結果も望めそうだが、それとは別にデキが無さそうなのは気掛かり。

ローエングリン

馬体は元々悪くなかったが、歩様が良化。しかも、今日は馬の気持ちが違っていた。気配一変。最近は控える競馬。まあ、本来は中段辺りで、と思っていただろうが、外の馬が積極的に動いて、後方から。直線はゴチャついていた内を避けて大外へ。瞬発力というタイプでは無いだけに、時計勝負を歓迎しない筈だが、今日は納得の内容。人気になりがちな馬で、妙味は無いのだが、通常なら次走狙い目となるところ。

マイネルモルゲン

歩様は、この馬にしてはといった程度。ただ、微妙にギスギスした様に映る。意外にデキが無いかも。道中は中段。掛かり気味だが、これは何時も通り。前のマイネルスケルツィが進路を造って4角スムーズに捌き、絶好の展開だったが、伸び切れない。一切言い訳出来ない敗戦。

マイネサマンサ

悪い時の典型的な歩様。馬体も良いとは言い難い。内のスクールボーイだけは叩いて、好位で控える策。展開絶好だったが、直線伸びなかった。中山マイルでここに居たら、勝たない限りは評価出来ない。

ペールギュント

歩様が最大の焦点となる馬だが、今日もイマイチ。デキ自体は確実に良いのだが。今日も出負け気味だったが、多少出して行って中段の外。4角でインに入れ、多少捌き損ねた部分も有るのだが、バラけてからも案外。歩様硬くても、伸びる脚は有る筈で、今日は出して行ったのが裏目に出たか。こういう競馬は、次走の作戦が判り易く、確実に狙えるところなのだが、どうしても歩様がネックに。

フォーカルポイント

2人曳き。+10kg。気負うのは何時も通り。発汗と毛ヅヤの良さで眩しい位の馬体だが、多少緩い気も。マイネサマンサの直後を取れれば勝機有った筈だが、出負けして後方から。4角外へ出そうにも出せず、今日は競馬になっていない。このレース、マトモに能力を出し切れた馬が少なく、次走狙い目となる馬が多いのだが、この馬の場合は人気でも。

インセンティブガイ

+8kg。毛ヅヤ上々。気配も良いが、歩様が硬い。ゲートは甘かったが、引っ掛かって前へ。ただ、そこからは折り合っていたのだが、前半のロスを考慮しても、直線サッパリだった。東京も大概の馬だが、中山の方 がポカが多い。今日はその位しか敗因が無い。

朝日チャレンジカップ(GⅢ)

トリリオンカット

もう少し歩様が伸びて欲しいのだが、馬体はここに入っても差の無い存在。戦前に多少触れたが、コンゴウリキシオーは前半無駄な脚を使わされ、メジロマイヤーは距離が長く、この後に続く馬が俄然有利になる競馬。出脚でツルマルヨカニセを制して、これが出来た。馬場が良過ぎて、時計が速いから、余計に他馬はキツかっただろう。今日はそれにハマッただけ。能力の問題では無い。時計面を買われて、次走面白い位に人気になるだろうが、再度同じ競馬が出来ない限り、100%勝ちは無い。

コンゴウリキシオー

馬が見栄えするのは何時も通り。歩様もスムーズだったが、前走の小倉戦同様に発汗の跡。戦前に述べた通り、内枠に出脚の有る馬が揃い、前半梃子摺るシーンは想定出来たが、佐藤哲三騎手、最初から織り込んで、ジワッと行って2角で漸くハナへ。勿論、馬場も味方したが、乗り役も上手く乗って、馬も寸前迄粘っていた。悪くない内容。今日は地力見せた一戦。

ケイアイガード

多少硬さは有るが、一応は良化有った。馬に気持ちが入ったのも評価出来る。この馬自身もゲート悪かったし、ブラックタイドに叩かれて後方から。ずっと前が壁で動けず、4角でも最後方に近い位置に居たが、それで居てここ迄詰めて来た。相手関係からこの位は走って不思議は無い馬だが、内容そのものは濃い。追って伸びる感じが出て来たのも好感。次走注目。

スズカフェニックス

集中力有ったが、ここへ入ると馬が足らない。大外枠という事で、前ヅケ動くか、最後方からイン変わりか、何れにしても極端な手に出て来るのは予想出来たが、ゲートをジワッと出して最後方から。これも行き場無く4角でも最後方だったが、直線伸びてここ迄。一瞬の脚はケイアイガードに分が有りそうだが、相手は準GⅡレベル。まだ準オープンの馬だが、前走札幌の自己条件を負けたのが不思議な位。

ツルマルヨカニセ

大分トモがパンとして来た。毛ヅヤも良化して、休養明け初っ端を思えば雲泥の差。トリリオンカットの項で述べた様に、出脚で叩かれてトリリオンカットの直後。直線、手前が替わらず、トリリオンカットの位置でも勝ち負け迄はどうかだが、複勝圏内は有った筈。枠が内だっただけに、余計に勿体無い。

ブラックタイド

-12kg。もうちょっと大きく見せて欲しいのと、トモが甘い印象。休養前は気にならなかった部分だけに、まだ本当では無いのだろう。ケイアイガードは叩いたが、エイシンニーザンに叩かれて後方。外を早目に動く意志は見せていたが、ジワジワと来ただけ。もうちょっとピリッとしたところが欲しい。