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競馬回顧 2006年5回京都・4回東京

悠仁親王殿下御誕生慶祝天皇賞・秋(GⅠ)

ダイワメジャー

パシュファイヤー。何時もの様に2人で曳いてもう1人。最近歩様の硬さがマシになって来たが、今日はあまり感心出来なかった。勿論馬体そのものは勿論良いが。前走と違って各馬有る程度出ている筈だが、今日は出脚で勝ち取った2番手。道中、インティライミがソコソコのペースで飛ばしていたが、深追いせずに自分のタイミングで追い出す形。前走と違って、遊ぶところも無く、相手が来たら来ただけ伸びた印象。今日も圧勝。ただ、前半のペースの割に時計が平凡。次走京都戦も、自分の型へ持ち込めるかどうかがポイントとなるが、3回も連続して上手く行くとは思えなくて。

スウィフトカレント

2人曳き。+10kg。前走中山戦が冴えなかったが、幾らかはマシになった程度。あまり良くなった印象は無い。毛ヅヤは良いが、張りが欲しい。気配はこれで良いが。ゲート五分。出たなりで中段から。前走時にも述べた様に、これでも折り合い付く様になっている。馬場の悪い最内は避けていたが、それでも他馬よりは小回りして、上手く坂下でダイワメジャーに併せられたのが良かった。追い込み利かない展開で、今日は乗り役が上手く乗った分が大きいだろう。次走は何処へ行っても危険。

アドマイヤムーン

2人曳き。-6kg。毛ヅヤ抜群だが、この造りでここへ入ると貧弱に映る。道中はスイープトウショウをマーク。直線もスイープトウショウに併せに行ったのだが、入り口でそのスイープトウショウと接触してしまい、内へ進路を取り、前を捌いてここ迄。前が残る展開で今日は良く走っている方だろう。ここに来ての細化傾向はあまり感心しないのだが、一応メンバー中一番強い競馬をしている。

コスモバルク

2人曳き。気配抜群! 気負っているというより走る気を必死で堪えている印象。馬体もはち切れんばかり。生涯最高のデキ。もうちょっと前に行っても良かっただろうが、外からダイワメジャーが来て、枠なりに好位。直線も外を回って正攻法の競馬だが、手前が何度か替わっていて、直線が長過ぎた印象。ダイワメジャーの様に自分の型にハマれば良いのだろうが、そうで無いと東京は苦しいのだろう。インが利かない馬場というのもこの馬には辛い。

スイープトウショウ

-12kg。造りそのものは多少細い程度だが、馬に覇気が無い。今日はゲート五分。出脚も有るだけに、中段から。ただその道中、普段掛かる位で行く筈の馬が、今日はオッツケ気味。直線向いても一瞬インへモタれてアドマイヤムーンと接触し、坂上で逆手前になって伸びあぐねた。馬場入りゴネたり、ゲートを出なかったりと、色々有った馬だが、それでも終い伸びなかった事はこれ迄一度として無かった。今日はデビュー以来最悪の内容。下見で妙に大人しかったのも気になる。次走見送り。

ダンスインザムード

-6kg。少しでも絞れたのは良い傾向。その分テンションは上がり気味だが、3歳〜4歳春時の粗相は忘れて良いだろう。歩様面も問題無い。主張したインティライミに行かせて2番手。早目に動いたダイワメジャーの外へ出して追撃態勢造ったが、ラスト300mで逆手前になって伸びあぐねた。何回も述べているが、東京はベストコースでは無い。これ迄はイン有利の馬場で誤魔化して来ただけ。次走京都なら狙い目。

ハットトリック

叩いて一変。昨秋のデキに戻ったと見て良い。例に依ってゲートが遅いのだが、出脚で稼いで中段やや後方。最後伸びていない訳では無いが、どうしても一瞬モタつくその分伸びていない様に見えてしまう。ただ、次走京都は、坂の下りでモタつく癖をカバー出来るコース。デキも戻っていて穴で一考を。

毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

プリサイスマシーン

今年は最初から良い状態。一息入った分、前走阪神戦程では無いが、馬体に張りが有って、歩様もスムーズ。出脚に余裕が有り、内外の出方を窺いつつ、3角手前で引く形。引いてからも、ずっとメイショウボーラーにプレッシャーを掛け、直線は引き付けるだけ引き付けて前を最後に交わす競馬。馬が乗り易い分も有るだろうが、松岡騎手お見事の一言。言い換えれば今日は恵まれ過ぎ。次走危険。

シンボリグラン

毛ヅヤは最近こんなモノ。集中力有って、張りも悪くない。今日はゲート五分。プリサイスマシーンが行った直後。道中もずっとプリサイスマシーンを追い掛ける形。以前は1200mでも行きたがっていたが、折り合えた分、終いが残っていた印象。一息入れたのが良いガス抜きになっているのだろうが、この手の馬は使い込む毎に元に戻りがち。

アグネスラズベリ

+14kg。馬体増は元々が細手。毎回そうだが、雰囲気が地味。歩様も硬い。マイネサマンサ程では無いにせよ、出脚の良い馬で、好位のイン。道中多少気負っている様にも見えたが、直線馬場の悪い最内を避けて、この馬なりの伸び。器用さは有るが、この馬は何時もこの程度。少なくとも単勝で狙う馬では無い。

ステキシンスケクン

馬は確実に良い。ただ、落ち着いてはいたが、曳き手に甘える素振り。予想通りハナへ。ただ、もう少しメイショウボーラーに擦られるかと思ったのだが、殆ど労せずに行けた。ただ、その割に追ってからが案外。武豊騎手が逃げている以上、ペース配分は間違っていない筈だが、それでも瞬発力で見劣ったのは不満が残る。距離適性の幅が狭いのも有るが、フサイチリシャールが東京で負けた様に、この世代マイル路線のレベルが低い。

オレハマッテルゼ

+8kg。馬体回復して、毛ヅヤが良化。叩いて順当に良くなっている。急かさず馬任せに乗って、道中はプリサイスマシーンと前後する位置。4角では引っ張る位の手応えだったが、追ってからがジリ。今日のデキで競馬にならないのだから、あくまでスプリントの馬。

メイショウボーラー

+12kg。重いのは確かだが、緩んで見える程では無い。気合も乗っていて、走れなくは無い筈。意外に出脚が無く、無抵抗のままステキシンスケクンに行かれたが、それでも道中はスムーズ。プリサイスマシーンのマークで早目に動かされたにせよ、ステキシンスケクンに並び掛かったところで既に手応えが無かった。敗因不明。とにかく負け過ぎ。

インセンティブガイ

2人曳き。連闘。文句無しの気配。ただ、もう少し歩様にスムーズさが欲しい。半馬身程出負け。後方で折り合いを欠き、直線もサッパリ。今日は競馬になっていない。

東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

シーキングザベスト

今春でも馬自体は悪くなかったが、今日にしてもイレ込み気味。気性面が鍵の馬だけに、下見からは飛び付き辛かった。サンライズキングの出脚に乗って、好位で我慢させる形。ペースそのものも速くなかったが、そのサンライズキングの意識がフサイチリシャールに行って、その分も利いているだろう。ただ、最後は完全に脚が上がっていて、ここらが距離の天井。気性面脆い馬で、競馬を投げなかったのは収穫だが、これも外枠が利いているだけに。

サンライズバッカス

+4kg。休み明けになるが、集中力有って、馬体に張り。いきなりから満点に近い状態だが、ダート馬だけにもう少し馬を大きく見せて欲しい。ここがカネヒキリとの差。出脚でやられて中段。ずっと馬込みの中に居て、直線向いても暫く前が開かず、先団3頭と離れたのが痛かったが、それでもジワジワ来てここ迄。悪くない内容では有るが、一線級が川崎へ回った事を思えば勝って当然の相手。最悪だった今春の様な事は無いにしても、少なくとも昨秋からの上積みは無いだろう。次走2100mもこの馬には長い。

フィールドルージュ

2人曳き。皮膚を薄く見せ、馬に集中力。元々がオープンでも差の無い馬。出脚で置かれて後方。腹括って直線迄待って、ヒカルウイッシュにタイキエニグマとの併せ馬。上手く3頭で併さったのも有るが、この展開でしっかり差しているのだから評価して良い。2100mも問題無く、次走狙い目。

ヒカルウイッシュ

何より毛ヅヤが素晴らしい。張りも有って、如何にも連勝馬。これも出脚が無くて後方から。ずっとフィールドルージュと同じ位置に居たが、最後は伸び負け。フィールドルージュ、タイキエニグマとの3頭の差はそのまま能力差。

フサイチリシャール

2人曳き。この馬にしては歩様も良い方。気配も悪くない。サンライズキングに出脚で叩かれて好位から。一瞬行きたがったにせよ、直ぐに折り合いも付いたが、直線向いてサンライズキングとの間で狭いシーン。ここで暫く逡巡してしまった分、伸び切れなかった。今日に関してはこれが大きいが、出脚でサンライズキングにやられたのが不満。父クロフネとは違い、出脚で誤魔化して何処迄の馬だけに、それが通用しないのだから、話にならない。今後は余程相手関係恵まれないと。

タイキエニグマ

オーストラリアンブリンカー。相変わらず歩様にバネが利いていて、デキは絶好。出脚サッパリで最後方から。直線外を回して、フィールドルージュ、ヒカルウイッシュと併せる形になったが、この馬が一番伸びなかった。出脚は仕方が無いにしても、もう少し伸びて欲しかった。今日は失望の一戦。

菊花賞(GⅠ)

ソングオブウインド

+4kg。前走中京戦は重く見えたが、今日はそこ迄では無かった。相変わらず毛ヅヤ目立ち、何よりステップの軽さが素晴らしい。むしろゲート良かった位だが、出脚が有る方では無いので、無理せず最後方グループ。アドマイヤメインが良いペースで引っ張ってくれただけに、1周目の坂の下りを別にすれば、折り合い欠く馬も少なかったのだが、この馬も同様。2周目の下りで外へ出して徐々に進出。直線は大外。例に依って手前が替わるのが多少遅かったのだが、それでもドリームパスポートを競り落とした。何度か述べている様に、歩様の柔らかさが素晴らしく、身体の使い方が上手いタイプの馬。それが長距離適性を呼んでいるが、今日に関しては漁夫の利も。

ドリームパスポート

3000mを思うと気配を出し過ぎだが、デキは文句無し。道中はずっとメイショウサムソンをマーク。1周目の下りで行きたがったが、そこからは折り合い付いた。ただ、2周目の下りで一歩先に動いたメイショウサムソンには併せず、前走中京戦同様、直線は思い切って外へ。目論見は当たっていたが、更に外にはソングオブウインドが待っていた。今日は最高の競馬。ツキが無かった以外に無い。

アドマイヤメイン

2人曳き。+8kg。数字上は戻った形だが、腹回りはもう少しスッキリ見せても良い。ただ、毛ヅヤが良くて、皮膚を薄く見せ、デキ自体は良さそう。前走中京戦の轍を踏まぬ様、思い切っての大逃げ。1日にレコードが3回出る馬場で、乗り役も走破時計を逆算しての競馬。メイショウサムソンには影すら踏ませなかったし、一応は自分の型に持ち込んだが、外から2頭。距離以外に敗因が無い。

メイショウサムソン

2人曳き。+6kg。前走中京戦でも重たい様に見えただけに。ただ、毛ヅヤが良いので、状態面は確実に良い。例に依って出脚が速く、好位から。ただ、今日は1周目の坂の下りも含めて折り合いは付いた。アドマイヤメインが大逃げ打っているだけに、どうしても自力で捕まえに行かざるを得ないのだが、坂の下りで既に手応えが怪しかった。ここ3戦、何れも内枠で楽をして来た訳で、外枠の真っ向勝負ならこんなモノなのだが、それにしても負け過ぎ。この中間、折り合い面が頭に有ったか、先週一杯に追って、今週軽目にする牝馬の様な調整。3000mを走る造りでは無かったのも応えていそう。

アクシオン

2人曳き。もうちょっとトモの送りにスムーズさが欲しい。舌がハミを越していたのはご愛嬌として、デキは悪くないが。過去の競馬振りから前へ行くのかと思われたが、後方から。ただ、1角辺り迄は行きたがっていた。外へ回したソングオブウインドとは対照的に、4角インを突き、ジワジワ来てここ迄。勝ったソングオブウインドも後方から差しているだけに、今日は能力判定のしようが無いというのが正直なところ。次走改めて。

インテレット

パシュファイヤー。歩様もスムーズで、馬体的にも遜色無い。枠入駐立不良。半馬身程出負けして最後方から。道中はしっかり折り合えた。手応えが違うから仕方が無いのだが、ソングオブウインドが動いたのをワンテンポ待ってから外へ。毎回述べている様にトビの良さは光っているが、毎回結果がイマイチ。

マルカシェンク

2人曳き。叩いた分、前走東京戦より締まって見えるが、まだ頼りなさは有る。半馬身程出負け。引っ掛かったというより、スピードの違いで、一瞬好位へ顔を出したが、抑えて中段やや後方。折り合いは一応付いていた。スムーズに立ち回って、直線も前が開いていたが、追ってからがジリジリ。2回も骨折する様な馬に、3000mの時計勝負は厳しい。

トーホウアラン

骨折明けでブッツケ。張りが一息。主張したアドマイヤメインには譲ったが、枠を利して好位のイン。折り合い面怪しい馬だが、今日はしっかり折り合っていた。最後止まったのはデキの分だろう。叩いての変わり身待ち。

フサイチジャンク

2人曳き。毛ヅヤは目立つが、前走中山戦の際にも述べた様に、もう少し馬を大きく見せて欲しい。落ち着いていたのは良いのだが。1周目の下りで行きたがったが、それを上手く利して好位のイン。それ以外は折り合っていたし、最高の競馬が出来た筈だが、4角でアラアラ。距離も有るだろうが、展開が有っただけに負け過ぎ。毛ヅヤや元の造りが良過ぎて、下見で判断し辛い馬なのだが、意外にデキが無いのかも。

富士ステークス(GⅢ)

キネティクス

この馬にしては歩様もスムーズ。テンション高いのも何時もの事。毛ヅヤが良くて、今季初っ端の中山戦を別にすれば、今年は良い状態を維持出来ている。タニノマティーニとインセンティブガイに行かせて中段の外。向正面はそこ迄行き振り良いとは思わなかったが、3角過ぎからの手応えが抜群。ラスト200mでは、流石に手前が替わって苦しがっていたが、それでも凌ぎ切って快勝。今日は勝つべき2頭が競馬を失敗した分も有るが、今年何度か述べている様に、デキが有るのが大きい。ただ、揉まれ弱さが有るので、内枠の場合は嫌ってこそ。

エアシェイディ

迫力ではインセンティブガイだが、この馬なりのデキ。リラックスしていたのも良い傾向。ゲート自体も良くなかったが、タニノマティーニはともかく、ニューベリーの出脚が中途半端で、最後方に近い位置から。今開催は以前程イン一辺倒では無いにせよ、ずっと外を回され、4角も大外。良い脚で来てはいるが、一歩先に抜け出したキネティクスと並び掛かったところで脚色が一緒になってしまった。一応は悪くない内容だが、やられた相手がキネティクス。重賞タイトルが遠いのも宜なるかなといったところ。

スズカフェニックス

-4kg。悪くないが、目立たない。もうちょっと訴えるモノが欲しい。出脚有ったが、折り合いに専念して後方待機。ただ、4角変なところへ入ってしまい、直線暫くゴチャついていいて、フリーになったのはラスト200m。それを思えば終い良く詰めている方だろう。以前より、折り合いに進境が窺える点も評価して良いが、依然乗り役がビビりながら乗っている。このギャップが解消されればGⅠでも圏内。

ニューベリー

-8kg。馬は悪くないが、歩様が硬い。もっと出脚の有る馬だが、今日は意外に甘くて中段から。位置取りを除けば、道中スムーズでは有ったが、今日は外枠で真っ向勝負を強いられた。最後は決め手の差。今日はこれでも良く走っている方で、基本的に差しが利く馬場は向かない。時計関係無く、前が止まらない馬場で粘り込む馬。新装阪神辺りで行った行ったになった場合に一発。

カンファーベスト

2人曳き。遮眼革。気負い気味なのは何時もの事。毛ヅヤが良くてデキは文句無し。内枠の馬が行った事も有って、好位という訳には行かなかったが、中段馬群の中。内目があまり良くないのかも知れないが、それにしても追って伸びなかった。道中気負っていて、マイルですら気持ちが続かなくなって来たのだろう。次走以降全て見送り。

テレグノシス

歩様は何時も通り。戦前述べた様に、良くは無いが、悪くない程度。例に依って後方。これもスズカフェニックス同様、直線向いてからが苦しかったが、そのスズカフェニックスが際どく来ているだけに、案外の内容。前走時にズブさを見せていただけに、1Fの短縮が意外に応えていた分も有るだろうが、それにしても負け過ぎ。往時のデキが無いのだろう。

インセンティブガイ

今日は馬に集中力。馬体もしっかり。もうちょっとジックリ行きたかっただろうが、出脚が速いタニノマティーニが被せに来ず、中途半端にスペースが有った分、間に突っ込まざるを得なくなり好位のイン。今開催の東京はインが伸びず、元々がオーバーペースだった上に、悪いところへ閉じ込められた。今日は最悪に近い競馬で、仕方が無いといえばそうだが、負け過ぎは負け過ぎ。脚の使いどころの難しさが有りそう。

マイネルスケルツィ

歩様スムーズ。皮膚も薄く見せて、叩いて一変。ゲートは半馬身程遅れたが、メジロマイヤーが行き切ってくれた事も有って好位のイン。勿論、春とは馬場が違うのだが、それにしても追ってからがサッパリ。前走中山戦のデキで走らないならまだしも、今回このデキで走らないのは意外。この馬、結構強いと思っていたのだが、この世代が本当に弱い可能性も。

秋華賞(GⅠ)

カワカミプリンセス

+8kg。気配は抜群。馬体は充実といえば充実だが、多少重い気も。今日は好発。位置取り悪くならない様に、出脚利かせつつ、様子を窺って中段の外。3〜4角中間から動いた割に、4角意外にモタついていたが、直線は切れに切れた。陣営はテイエムオーシャンの成功体験からブッツケに拘った様だが、今日はそれ以前に他馬とは規格が違っていた。キングヘイロー産駒は皆そうだが、父と違って首の使い方が上手く、追っての脚がしっかりしているのが長所。ただ、今日もラスト100m辺りで手前が替わってしまっている。ここを直さないと牡馬相手では苦しい。

アサヒライジング

2人曳き。前々走東京戦と比較して+16kg。何時もテンション高いのだが、今日は更に高い。馬体は数字の割に変化無いが、ただ全体に緩い嫌いも。外の馬が行く気を見せていたが、出脚で牽制しつつ離れた4番手。前のペースは速いが、この馬で丁度平均ペース。道中しっかり折り合って、4角でも後続を引き付けて追い出し、抜け出すタイミングも完璧だったが、最後にカワカミプリンセス。二兎どころか、四兎を追い掛けて、全部逃した印象も有るが、戦前述べた様に前走米国戦で差しをマスターしたのが今日に活きている。

フサイチパンドラ

2人曳き。乗り役が乗ってからは流石に違うのだが、内目をトボトボ歩いて気配は地味。ただ、馬体は良い時のこの馬。出脚悪く無さそうで、様子を窺いながら中段のイン。4角ポケットにハマッた時には一瞬ヒヤッとしただろうが、そこをスムーズに捌いて、一応はロスの無い競馬。最後は決め手の差だろう。坂の有るコースの方が他馬が苦しむ分、有利に働く印象。

アドマイヤキッス

+6kg。歩様が伸びていて、下見だけならコレ。陣営が仕上げに自信を持つのも納得。出脚でやられて中段やや後方。アサヒライジング辺りがもっと早目に行けば違うのだろうが、これが4角迄大事乗った分、終い捕まらなかった印象。前々走の東京戦と同じ話になるが、位置取りのハンデを克服出来る程の性能差が無かったという事。力負けでは無いにせよ、一番人気の馬では無かった。

シェルズレイ

+8kg。例に依って下見だけ口籠とパシュファイヤー。もうちょっと馬を大きく見せて欲しいのだが、落ち着いているのは何より。出脚でハナも覗かせたが、トシザサンサンとコイウタが暴走気味に行って、3番手。このペースで最後迄頑張っていたのだから、強いという事になるのだが、血を切らせて骨を絶つこの戦法しか出来ない馬で、ハイペースだからこそ頑張りが利くという側面も。ただ、今日は道中比較的堪えが利いていた。下見でも、以前程イレ込まなくなり、ハナならGⅠでも。

キストゥヘヴン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。スクーリングしたとはいえ、初コースの分、多少物見していたが、小さいなりに造りは充実。戦前述べた様に追い込み馬の割に出脚が有って、中段のイン。行きたがるのを宥めながらでは有ったが、一応はスムーズな追走。4角、最内という訳では無いにせよ、スムーズに立ち回って、前も開いていた筈だが、追って案外。今日の京都はこのレースで内回り6レース目。レース中の外傷、マイルの差し馬で2000mでも微妙に長い分も有るだろうが、内目が悪くて馬格の無いこの馬には他馬以上に応えた可能性も。

府中牝馬ステークス(GⅢ)

デアリングハート

テンション高いが、これでも以前よりはマシ。とにかく馬体の充実振りが素晴らしい。ゲートも速かったが、出脚が抜群。ハナはエイシンテンダーに譲って、好位のインでしっかり折り合えた。直線抜ける脚も、中々力強くて、そして速かった。最後は際どくなったが、ただこれに関しては、1頭になった分というよりは、相手もそれだけ強いという事だろう。特にディアデラノビアは道中不利が有ってのモノで、これとは力量差有りそうだが、一応限定戦級なら最上位に近い。特に今年は限定戦メンバーに器用さ有る馬が少なく、次走この点でも優位。

サンレイジャスパー

馬は悪くないが、今日もトモの送りが硬い。積極的に出して中段の外。ディアデラノビアを意識してか、常にワンテンポ早目の立ち回り。スムーズに抜けたものの、直線半ばで逆手前になったが、ディアデラノビアが外から来てもう一踏ん張り。55kgを背負って好走したのは収穫だが、毎回の様に勝ち切れない競馬。

ディアデラノビア

1人で曳いている割に堪えていたし、叩いて更に上昇。出脚有って中段。ただ、3角辺りで外から次々来られて、4角では後方に近い位置。直線向いても、暫く前が開かず、今日は最悪の競馬でここ迄。苦しがって、坂を上った辺りで逆手前になってしまう馬が多い中、この馬は手前替わらず、真っ直ぐに駆けていた。繰り返しになるが、今季のデキは本物。だからこそ、負けていてはいけない競馬だったのだが...。

ウイングレット

2人曳き。+6kg。1年近く休養していたが、大方出来ていた。この馬も出脚の有るタイプで、一瞬はハナも覗かせたが、同馬主デアリングハートも居て、喧嘩出来ず、その直後で我慢させる形。休養前は気持ちが切れていたが、良い休養になったのだろう。今日は道中我慢が利いていた。直線は坂を上って逆手前になって止まったが、そういう問題では無くて、上位3頭とは性能の差だろう。引き続き限定戦なら上位の馬。

コスモマーベラス

例に依って歩様が硬い。馬体の張りもイマイチ。好位の外。掛かり気味になるのは何時もの事。器用さ身上の馬だが、インに入れるシーン無く、真っ向勝負となってしまってここ迄。GⅠ4着の馬だが、真っ向勝負ならこんなモノ。

ヤマニンシュクル

2人曳き。これでも悪くないが、良い時はもっと良く見せる馬。道中はディアデラノビアと前後する位置。従って、これも外から来られて位置取り悪くなったクチなのだが、それにしても直線伸びなかった。下見の印象通り、デキが無いと見るのが妥当。

デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

オースミダイドウ

2人曳き。馬振りは断然だが、レースに使う毎にテンション上がっているのは気掛かり。ここへ入ると出脚に差が有って、中段から。ただ、慣れない競馬で、道中は流石に行きたがっていたが、直線向いて前が開いてからは地力が違っていた。次走も同じ競馬なら苦しいが、今日の経験で次走は違う筈。また、この時期にこういう経験をさせられたのも大きい。

ローレルゲレイロ

2人曳き。+10kg。オーストラリアンブリンカー。馬体増は成長分も有ろう。集中力有って、下見では重心低くして歩いているのだが...。出脚でオースミダイドウを叩いて好位のイン。今日もスムーズに流れに乗れた。直線向いてからも一瞬の反応が良く、一旦は完全に抜け切っているのだが、例に依ってそこからが甘い。折り合い面に課題が無いのが距離への融通性を生んでいるが、頭の高い走法でも有り、距離延長が良い方に出る事は無い筈。

マルカハンニバル

前走新潟戦時に述べた様に、上位とは馬自体に差が有る。ゲートは甘かったが、出脚で中段のイン。ずっとインで立ち回って、直線切れるという印象では無かったものの、渋太く脚を伸ばしてここ迄。上とは性能差有るが、追ってしっかりしている分、相手なりに走れる。

クラウンプリンセス

-14kg。テンション高い。流石に腹は巻き上がり気味だが、それでもデキが有りそう。出ッパも半馬身程悪かったが、行く気も無く最後方。直線向いて一番外へ出し、一瞬内にモタれたのを立て直してからの伸びは強烈。当然、次走狙い目となるが、また馬体減の影響がどうか。今日のダメージは少なからず有る筈。

マイネルソリスト

2人曳き。馬振りはオースミダイドウと並んで最上位。デキ自体も有りそうだが、この中間攻め馬失敗した分が利いたのか、イレ込み気味。好発も、行きたい馬に行かせて好位から。外に馬に行かれて連られた分が有るにせよ、前半は掛かり気味。ただ、その割に4角での反応が悪く、伸びが止まるというよりは、追ってジリジリ。今日は経験の無さだろう。これもオースミダイドウ同様、次走以降何処迄変わるか。

ケイアイマイスキー

馬が貧弱に見える。前走中京戦にしてももう少しマトモだった筈だが。歩様も案外。出脚が甘いのか、スタート直後は押しているのだが、前走同様、そこからは行きたがって競馬がチグハグ。ワンペースでしか競馬が出来ないのだろう。追い込むか、無理矢理にでも先行するか、どちらかで無いと苦しい。

農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

スイープトウショウ

+6kg。毛ヅヤは良いが、張りが一息。ただ、デュランダルがそうだった様に、イレ込む馬はこういう仕上げが却って良い方に出るケースも。出負け気味も、内に入れて出脚で稼ぎ、インティライミの直後。超の付くスローペースだったが、インに居た分も有って、道中は堪えが利いていた。坂の下りは流石に行きたがったが、そこも我慢させて、実質300mの競馬。抜けて来る脚は、現役屈指のの速さだ。今日は競馬が完璧だったのと、相手が弱過ぎた分で、評価上げ辛いが、このペースでしっかり折り合って、末脚使える辺りは、今日の仕上げが正解だった証。ゲートの甘さを、今日の様に上手く誤魔化せれば、今季デキの無いディープインパクトなら9割方負かせる筈。

ファストタテヤマ

歩様に硬さは有るのだが、以前の非力な状況を思えば進化の過程。馬に張りが有ってデキの良さは一目瞭然。例に依って後方。折り合い不問の馬だし、下手に脚を使うと良い方に出ないので、このスローペースは望むところ。一足先に動いたアイポッパーに乗って、4角一番外へ。最後は手前を替えて良い脚で来たが、逆手前だった直線半ばで内にモタれたのが惜しい。ただ、このスローで外を回って2着ならかなりの好内容。東京は全てにおいて良い方に出ない筈だが、大穴なら。

トウショウナイト

今季は馬を大きく見せて張りが有る。気配そのものは地味だが、これも確実にデキが良い。出脚は無い馬だが、このペースだけに好位から。外を回ったのは枠順で仕方が無いが、4角一瞬モタついた際に、ストラタジェムに先を越されたのが痛い。最後クビ差だけに、今日はそれが無ければ2着は有っただろう。モタついた部分は別にして、今日は瞬発力勝負に対応出来たのは収穫。最近道悪で走れていないだけに、今なら良馬場の方が良いのかも。

ローゼンクロイツ

今年になって少しずつ非力さが解消してきた。少なくとも下見での減点材料は無い。出脚はマイソールサウンドだったが、馬と喧嘩するのを嫌ってハナへ。1000m通過64.1秒は未勝利でもまず無いスローペース。勝てば悪くない作戦だったが、小牧騎手は、2年前のダイタクバートラムでもハナへ行って失敗していて、このレース2回目。まあ、この馬自身ここを勝てる程の馬では無いので、仕方が無いのだが、少なくとも良い印象は無い。

ストラタジェム

この馬にしては歩様スムーズ。トモも張っていて見た目は悪くない。これも出脚無い馬だが、このペースで中段の外。折り合いは付いた。坂の下りでアイポッパーに促される形で早目に動いたが、そこからが甘い。追ってから頭が上がっていて、見た目が如何に良くても、デキが無い負け方。

アイポッパー

もうちょっと馬を大きく見せて欲しいが、張りが有ったし、何より毛ヅヤが良い。今春の様な事は無いだろう。ゲート悪かったが、外枠という事も有って、無理に引っ張らず中段から。ただ、結果的にずっと外を回されてダラダラ脚を使わされる形になって終いが伸びなかった。下見がどんなに良くても休み明け走らないタイプでも有り、今日は度外視出来る。

インティライミ

+6kg。気負っていたが、これは何時も通り。ただ、相変わらず造りが細い。出負け気味だったが、他に出脚の有る馬が居らず、好位のイン。このペースで行きたがっていたのは有る程度仕方が無いだろうが、それにしても追ってからが案外。瞬発力だけの問題では無い。仮に負けるにしても、粘る底力を見せて欲しかった。

毎日王冠(GⅡ)

ダイワメジャー

パシュファイヤー。何時もの様に2人で曳いてもう1人。歩様は何時もの事だが、悪い時は左右のバランスが崩れて来るので、今日はそれが無かっただけでも。ジャパンカップダートへ出て来ても見劣らない程、馬体も相変わらずパワフル。この枠で何処迄前へ行けるかがポイントだったが、出遅れた馬が4頭も居て、行きたい馬が少なかった事も有って、2番手。痺れる位の手応えはどの距離でも一緒。直線向いて坂下でダンスインザムードに前に出られ掛かったが、単に遊んでいた様で、楽に競り落とした。着差こそクビだが、圧勝といって良い内容。京都のスイープトウショウと並んで次走期待出来るが、一瞬遊んでしまう辺りが東京適性の無さ。東京はああいうところでモタつくのが致命傷になり易い。

ダンスインザムード

前々走の東京戦と比較して+22kg。元々が細手の馬でそこ迄では無いのだが、多少余裕残し。ただ、落ち着いているのは好感が持てる。出脚有る馬だが、無理せずに中段から。ただ、前に壁が無くて3角手前辺りから行きたがり出したのと、坂下でダイワメジャーと接触して、最後の踏ん張りが利かなかった。スピードとスタミナのバランスを言えば2000mの馬だが、如何せん気性がマイラー。このジレンマが無くなれば、牡馬相手でも勝てるのだが。

ローエングリン

前走中山戦の方がもう少し張りが有ったが、シルエットは一緒。今季はこの馬にしては歩様がスムーズなのが良い。もうちょっと位置取り後ろになるかと思ったが、内で4頭も出遅れてくれたのは大きく、中段から。ただ、道中はずっと行きたがっていて、その分最後に甘くなった印象。これもダンスインザムード同様、2000mの馬で気性がマイラーのクチ。

マルカシェンク

2人曳き。+10kg。まだ非力な印象有るが、これでも今春よりはずっと良い。出負けも、出脚で稼いで中段やや後方。普通に外を回ってここ迄、といった競馬だが、前の止まらない東京開幕週で、今日は良く差している方。何より出脚が有るのが大きい。坂下で一瞬モタついた点、ゲートの甘さ、そして一番肝心なスマート過ぎる馬体面、この3点を解消出来るなら、GⅠでも勝てる筈。

カンパニー

-8kg。細い。最近歩様の硬さも目に付く。毛ヅヤは良くて、デキそのものが有りそうだが、集中力という点でもイマイチ。サイドワインダーのゲートが何故か速く、これに付き合って下げている内に、後方に近い位置取りに。4角でも中途半端に外へ出したが、内へモタれて来る事が100%に近いテレグノシスの内へ併せて、一瞬狭いシーン。この馬、毎回の様に実戦でツキが無い。

テレグノシス

究極に見せた2年前程では無いにせよ、及第点はやれる状態。歩様はこんなモノ。例に依って後方。外へ回すのも何時も通りだが、今日は何時もの反応が無く、一端は更に外のサクラメガワンダーに出られ、そこから差し返す形。敏感過ぎるところの有る馬で、GⅠとなるとそれが裏目に出るケースも多かったのだが、下見で落ち着いていたし、今日は逆にズブく造って来たのだろう。これは本番で期待出来るパターン。ただ、最近は往時のパンチ力が無い。2年前にこれが出来ていれば...。

ハットトリック

全体に張りがもう一つ。休み明けから万全だった昨秋とは別馬。出負け。ただ、これも出脚が有るタイプで、カンパニーと前後する位置。これも、4角外へ回したが、直線はサッパリ。今春からデキ上昇傾向が窺えて、今季期待出来ると思ったのだが、これでは。

アサクサデンエン

2人曳き。歩様はスムーズだったが、張りが無い。今日はゲート出て、好位のインで最高の競馬。直線も前が開いていたのに、追って全く伸びず。東京も、一時期程イン有利では無いのだが、それにしても案外だった。次走、気配が極端に変わって来ない限りは見送り。