Sakura Archives

競馬回顧 2007年1回阪神・2回中山

阪神大賞典(GⅡ)

アイポッパー

+6kg。休養前と変わらずデキは良い。何より歩様が伸びているのが特筆出来る。出脚甘い馬だが、この外枠が良かった様で、中段で何時でも動ける位置に。ずっと行きたがっていたドリームパスポートが1角辺りで前へ行き、結果的にマークする形。見応えの有る競馬、というよりはスローで差が付かなかっただけという気もしないでも無いが、そのドリームパスポートを最後の最後で競り落とした。今日は折り合い面の差が全てと言っても良いだろう。能力的にはドリームパスポートの方が上。

ドリームパスポート

この馬にしては落ち着いていた方だが...。ただ、馬体は良い時の雰囲気に戻って来た。出負け。好位置取ろうと出したが、逆に行きたがって途中からは無理せず好位。喧嘩するのを嫌って、2周目3〜4角中間では先頭。一瞬は押し切りそうな感じも有ったのだが、最後にアイポッパー。道中のロスを思えば、今日は底力を見せた一戦。何度も述べている様に、本質はあくまでマイラーなのだが、戦前に膿が出たのも良かった。チャンスは続く。

トウカイトリック

手先のスナップが利いている。今季は本当にデキが良い。ゲートも悪かったが、出脚で差が有って中段やや後方。折り合い不安の無い馬で、過不足無く立ち回っているが、最後が詰め切れなかった。戦前は「頼りないGⅠ常連組」というフレーズも用いたが、この辺りとはまだ微妙に差が有る様。

デルタブルース

+8kg。見た目はこの方が良いのだが...。好発。押してはいたが、出脚も良い馬で一瞬はハナへ。マイソールサウンドが主張したとはいえ、好位で良い形になった筈だが、3角辺りから置かれ出して苦しくなった。最後また盛り返しているだけに、余計に惜しい内容。何度か述べている様に、この位の数字だと機動力が無くなる。

アマノブレイブリー

-8kg。前走が重かった。馬が張っていて、この馬なりにデキは良い。好発。主張した馬が居て好位から。2周目向正面で少し行きたがって、3〜4角中間は待ち切れずに動き、一旦はアイポッパーより出ているのだが、そこからが器の差。今日はこれでも頑張っている方。

フジテレビ賞スプリングステークス(JpnⅡ)

フライングアップル

ここへ入れば馬自体が抜けている。多少緩い気もしないでも無いが、毛ヅヤも上々。ゲートを出ているが、出脚が無くて最後方から。腹を括ってずっとインを立ち回り、直線捌いて快勝。一線級とは差が有る筈だが、それでもここでは力が違った印象。この馬が強いというよりは、今日は2着以下が話にならないという評価をしたい。時計も平凡。

マイネルシーガル

シープスキンノーズバンド。多少気負っているが、馬体は結構目立つ。好発。出脚も良いが、エーシンピーシーを気にせず積極的に乗られて2番手。1角迄が距離の無い中山1800m、外枠の馬が先行するとオーバーペースになりがちだが、59.9秒ならそこ迄速くは無いだろう。それだけに僅差でも差されたのは不満が残る。これ迄割と強い競馬をして来た馬だが、このカテゴリーは関東馬の層が薄い。

エーシンピーシー

+8kg。シープスキンノーズバンド。脚長の馬で、華奢に映る嫌いも有るが、そういう意味では増えて出て来たのは良い材料。スタート直後に外からマイネルシーガルが来たが、これを牽制しつつ好位。インに収まって、スムーズに立ち回ったが、4角少しズブさを見せたのと、直線手前が替わるのが遅く、モタついたのが痛い。無論、そこが大きいのだが、最後はそれなりの脚で詰めていて、マイネルシーガルとはそれ程力量差無いと見て良い。

ショウワモダン

全体に馬が薄い印象。集中力も無い。出脚そこ迄良い馬では無いが、押してハナ。ペースこそ1000m通過59.9秒と速くないが、前半マイネルシーガルにビッシリ競られ、その分道中余裕が無かった。走法的にも頭が高く、まだ力が付き切っていない現状。社台ブランドとはいえ、地味な血統の馬では有るが、ポテンシャルは高い。

スクリーンヒーロー

シープスキンノーズバンド。トモが薄く、歩様に力が無い。出脚はこの馬が一番良かったが、控えて好位から。立ち回り的には悪くなかったが、4角外へ回した時にちょっとモタつき加減。コーナリングが甘いのだろう。最後は良い脚で差しているだけに、余計に勿体無かった。フライングアップルの項で述べた様に、時計が遅く、高い評価は出来ないのだが、芝でもやれるのは確か。

サンツェッペリン

この中間、一頓挫有ったとの事だが、トモの充実振りは相変わらず。見た目にはむしろ良い方。ゲートは速いが、前走時に述べた様に、出脚が抜群という馬では無い。ただ、それでも普通なら好位に居られた筈だが、外から来られている間に位置取りが悪くなった上、道中の手応えももう一つだった。もうちょっとやれて良い馬。見た目には影響無かったが、中身が無かったのか...。

フェラーリピサ

体型は確かにダート馬だが、歩様に硬さも無いのはせめてもの救い。ゲート少し悪かったが、外枠の馬が行った分、連られる形で好位。その分、前半リズムを崩したが、折り合ってからはスムーズ。4角で先頭に並び掛け、一瞬やったかのシーン有ったが、追って案外。フォーム自体はそんなに悪くない筈だが、あれで伸びない辺りはダート馬なのだろう。

フラワーカップ(JpnⅢ)

ショウナンタレント

2人曳き。シープスキンノーズバンド。細身の馬だが、この馬としてはしっかりした造り。ゲート悪かったが、誰も行かなかった事も有ってハナ。ゲートの分、ハナ切る迄に脚を使っているが、1000m通過61.0秒で相殺された。ハナへ行かないと折り合い欠きそうな雰囲気が有るので行かせているのだろうが、行かせればスムーズに競馬が出来るという事なのだろう。出脚もそこ迄速いとは思えず、ゲートも含めて展開面がカギ。馬装通りに頭の高い走法から距離も課題に。

ホクレレ

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤ絶好。メリハリの利いた造りで、馬も悪くない。これも少しゲート悪かった。外枠で各馬好位置取ろうとしていた事も有って、結局は中段で控える形になったが、出脚はこの馬が一番速い。道中ずっと外を回されたのはこのスローでかなりキツかった筈だが、それでも良く伸びてここ迄。着差有るが、一番強い競馬をしたと見て良い。出脚が有るのが最大の武器。強敵相手でも何処かで一発。

クロコレーヌ

+6kg。テンション高いが、増えて出てきたのは良い傾向。ゲートは出ているが、出脚に余裕が無く控えざるを得なくなって中段。そこで少しゴチャついてリズムを崩したが、2角辺りからはスムーズ。インを立ち回った利が有ったにせよ、悪くない内容。自己条件なら確勝級。

アルコセニョーラ

数字は無いが、手先が軽く、トモは充実。ただ、テンション高い。出脚有りそうだったが、下げて後方から徐々に進出する形。突っ込んで来たのは実質競馬が終わった後だが、今日は展開も有った。出脚も有って自在な競馬が可能なタイプ。何故か控える競馬が多いが、自己条件で素直に先行策なら。

マイネルーチェ

2人曳き。馬に集中力。毛ヅヤも悪くなく、デキとしてはかなり良い方。好発も、出脚が甘くて後方から。道中少しリズムが悪い様な雰囲気も有ったが、これも展開を思えば差して来ている。出脚は課題になるが、下見通り復調気配。

報知杯フィリーズレビュー(JpnⅡ)

アストンマーチャン

2人曳き。+6kg。気合乗り過ぎ。馬体も一枚重いが、これはトライアルで当然の仕上げ。好発。出脚も凄まじく速いが、それを宥めて好位。ただ、宥めようとしたところでアマノチェリーランに来られたのはかなり痛かった。無論、折り合い面万全とは言えぬが、その分を差し引けば及第点やれる。強さは今更述べる迄も無いだろう。戦前はマイルに自信が無いからこちらを使って来たと述べたが、ウオッカが今季緒戦案外で、この内容。本番はこちらが中心に。

アマノチェリーラン

シープスキンノーズバンド。踏み込みしっかり。このメンバー、アストンマーチャンを除けば、馬振りの平凡な馬が多いのだが、その中では平均以上。出脚甘いが、アストンマーチャンが控えようとしたのを嫌って、思い切って越す形で2番手へ。アストンマーチャンが折り合いの為に馬群と離し気味に乗っていたのも有ろう。ただ、その嫌がらせの割に、直線アストンマーチャンが追い出しを我慢していて、今日はその分の2着。出脚の甘さも含めて、能力面での評価はどうか。

ハギノルチェーレ

以前にも述べた様に、もう少し歩様に伸びが欲しい。造りは悪くないが。出脚無かったが、アストンマーチャンマークの馬が多く、中段で枠なりの競馬。ただ、結果的にマークしていた組が早目にバテ、直線アストンマーチャンを通った後を抜ける形になった。ただ、マイルでもまだ短いタイプの馬。その分、エンジンの掛かりが遅い。真価は東京迄お預けになりそう。

ヒカルアモーレ

-8kg。前走京都戦が太かった。ただ、もうちょっと覇気を出して欲しい。乗り役の腰が落ちて出負けも、出脚でカバーして中段のイン。直線、外へ出して最後良い脚だったが、前の展開になったのと、ハギノルチェーレに上手く立ち回られて、権利を逃した。芝でも問題無く、自己条件なら確勝級。

クーヴェルチュール

シープスキンノーズバンド。この馬にしては堪えている方。毛ヅヤも悪くない。出脚速かったが、下げて中段。ずっとアストンマーチャンをマークする形で競馬が出来たが、伸びは案外。ただ、前走中山戦で競馬を投げていた事を思えば、今日は手前も替えていて、競馬にはなっていた。根本はスプリンター。1200mで改めて。

ルミナスハーバー

+6kg。休養前でもそこ迄細くは無かったが、攻め緩めての数字だけに、歩様が頼りない。好位のイン。直線も、前が開いて一瞬伸び掛かったのだが、そこで止まってしまった。デキ以外に敗因が無い。

ローレル競馬場賞中山牝馬ステークス(GⅢ)

マイネサマンサ

叩いて毛ヅヤが良化。トモの送りは硬いのだが、この馬にしては手先が軽い。例に依ってゲートと出脚が速いのだが、そこを抑える形。ただ、そこへウイングレットに入られ、最悪の展開に。ただ、今日はこの馬にしては折り合っていて、4角捌いて直線は今迄に無い伸びを見せた。力は有る馬で、この相手なら勝って当然とはいえ、過程が意外過ぎる。歩様面から道悪が良かった分も。このパターンは次が無いのが基本線になるが、これで引退との事。

ウイングレット

前走京都戦同様馬が張っている。集中力も有った。好発。出脚の良い馬だが、折り合いを意識して控えるあまり、外から一気に来られて中段に。ただ、道中は結構行きたがっていた。最後は力で差しているが、マイネサマンサの様な意地の一発がそう有る訳でも無く、この競馬は本質では無い。ただこの馬も今日が引退レースとの事。中々珍しいパターン。

ヤマニンメルベイユ

一息入った形だが、腹回りはしっかり。いきなりから走れる状態。出脚も有る馬だが、押してハナへ。ペースは遅いにしても、キープクワイエットにピッタリマークされ、見た目よりは楽では無かった筈だが、そうは言っても中山道悪は逃げるのが鉄則。直線手前が替わらなかったが、一旦は突き放すシーンも造ってアワヤのシーン。好騎乗。

ピアチェヴォーレ

毛ヅヤ目立つ。馬振りには疑問も有るが、スナップが利いていて、デキは悪くない。ヤマニンメルベイユの逃げに乗って好位。直線も伸びずバテずでここ迄。この馬に道悪適性が有ったというよりは、前半の展開がこの馬に向いた印象。

キストゥヘヴン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。毛ヅヤ悪くなく、造りもこの馬なりに及第点。ゲート出ているが、前走東京戦で出して失敗した影響も有ったか、下げて後方から。ずっとインを立ち回り、一応は捌いた方だと思うのだが、最後差し場が無かったのが痛い。この辺りが差し馬の辛さなのだろうが、開いていれば勝っていた可能性も有った。結構堅実。

アサヒライジング

2人曳き。下見の雰囲気は抜けてNo.1。気配含めて文句無し。出負けも、出脚で好位。直線スペースは有って、形は造った筈だがそこからがサッパリ。内外前に馬を置く競馬が初めてだった事も有るが、ゲート悪かった事も含めて道悪が良くないのだろう。デキは有るので良馬場で改めて。

中日スポーツ賞ファルコンステークス(JpnⅢ)

アドマイヤホクト

寸の詰まった造りで如何にもスプリンター。この中間、攻め馬失敗したとの話も有ったが、手先も柔らかくその影響は無さそう。出脚で包まれない位置迄出して引く形。矯めた分、前とは差が有ったが、直線向いてアッサリ。今日はこの矯めと出脚が光った。低レベルと囁かれる現状では有るが、現役見渡して古馬でもこれが出来る馬は居ない。世代交代の萌芽が出て来た。

カノヤザクラ

2人曳き。多少テンション高いが、スプリント戦だけに許容範囲。馬体も、もう少し締まって欲しいのだが、馬振りそのものは悪くない。出脚無さそうだったが、叩いたサクラゼウスが行き切ってくれたのが今日は大きかった。4角ではアドマイヤホクトの直後。直線ジワジワ来て2着は確保。ただ、後述する様にサクラゼウスに展開が無かった。能力差は無いか、むしろ下だろう。恐らくは次走GⅠになるので、何れにしても人気にならないだろうが、仮令スプリント戦へ出て来たとしても危険。

サクラゼウス

+8kg。馬体増だが、前走が輸送で減っていただけに、戻った形。もっと筋肉が付いても良い。出脚でハナ。ただ、手応えを言えばアドマイヤホクトやエーシンエスヴィーの方に余裕が有って、その分の無理が終いに祟った印象。直線苦しがって手前も替わらなかった。今日は蛇に睨まれた蛙。相手が悪かったが、スプリンターとしてのタレントは有りそう。

ダノンムロー

+8kg。多少余裕の有る造りだが、馬振りそのものは最上位。イレ込み気味なのはともかく、歩様が硬いのがどうか。出脚が無くて後方。武豊騎手、もうちょっとタイトに回りたかった筈だが、ニシノマオが邪魔になって4角大外へ。この辺りのタイミングも悪かった。最後は一応来ているが、左回りでも手前が替わるのが遅かったのは課題。出脚が無いだけに中京1200mも辛い。

ワールドハンター

ダートで勝って来た馬だが、歩様に硬さも無く、スカッとした造りから、見た目は芝向き。ゲートも悪かったが、出脚サッパリ。ただ、行き脚が付いてからは今度は掛かり気味。ダノンムローを追い掛ける様に4角大外。これも手前が替わらなかったのだが、それでもトビの大きさは目に付いた。ダートで勝ち上がった馬だが、芝でも問題無い様子。右回りで距離延長して来た時が狙い目。

報知杯弥生賞(JpnⅡ)

アドマイヤオーラ

2人曳き。前走時に馬が良くなっているとは述べたが、元々が大した事無い。歩様に硬さが有ったのもマイナス材料。ただ、毛ヅヤは抜群。出脚有りそうだったが、控えて中段。前が早目に動く中、何時でも動ける位置に置いて、何時ゴーサインを出すかだけの競馬。今日は展開がズバリだった。余裕は有ったが、1戦1勝のココナッツパンチに詰められ、阪神では勝ったり負けたりのダイワスカーレットがウオッカに完敗。次走は危険な人気馬に。

ココナッツパンチ

2人曳き。-8kg。多少寸の詰まった馬だが、トモに厚みが有る点は好感。ただ、もう少し絞れても良いだろう。前半少し行きたがるのを宥めて後方。4角大外を追い上げ、今日は坂下迄の脚が速かった。アドマイヤオーラの方には余裕が有った様にも見えたが、道中のロスを思うと結構強い内容。昨年はインテレットにこの表現を使ったが、東の秘密兵器級の扱いは必要。

ドリームジャーニー

2人曳き。イレ込みが心配だったが、この馬にしては堪えている方。毛ヅヤも上々。行く気も無かっただろうが、出脚で差が有って後方から。これも前半は掛かり気味だったが、この位なら想定の範囲内だろう。勝負どころからはアドマイヤオーラを追い掛ける様にしての競馬になったが、坂下で内外から挟み撃ちになったのが痛かった。ただ、今日はそれが無くても3着だっただろう。前走時にも述べた様に、そこ迄強い馬では無い。

メイショウレガーロ

シープスキンノーズバンド。今日は下見からテンション高い。馬振りは相変わらず良いが。これも行きたがっていたが、我慢させて後方。道中ずっとインを立ち回り、直線狭いところを割る形。一瞬は2着というシーンも有ったが、坂を上がって止まってしまった。上とは微妙に能力差有る。

サムライタイガース

もう少し張りが出て来ると文句無しだが、馬の造りはここでも最上位。出脚利かせて勢い良く行ったが、内のインパーフェクトが譲らず、2番手で控える形。この分、行きたがっていた上に、3角手前からノワールシチーに動かされる展開になって、競馬がチグハグになってしまった。瞬発力勝負にも課題が有るのかも知れぬが、それ以前に展開面が大きい。次走狙い目。

トヨタ賞中京記念(GⅢ)

ローゼンクロイツ

1回使って馬体に張り。気配も上々。歩様もこの馬にしてはスムーズ。出脚利かせつつ中段。道中は枠なりにインに居たが、前が止まり出した向正面半ばから外へ出して追撃体勢。一旦はシルクネクサスが抜けたが、直線半ばで捕まえてレコード勝ち。時計を別にすれば昨年のマチカネオーラを見ている様な競馬になった。そのレコードに関しては、馬場状態も有って過大評価出来ないが、戦前述べた様に、良馬場が大前提の馬というのは間違い無いだろう。まあ、良馬場でもGⅡ級では無いが、このレベルなら力量上位。

シルクネクサス

-6kg。今季は歩様がスムーズなのが大きい。トモに張りも有る。道中は中段。これも早目に何時でも動ける位置に出して、3角手前からマクりに行った。ローゼンクロイツにはアッサリやられていて、早過ぎた感も強いのだが、逆の見方をすれば前走中山戦よりは評価出来る内容。ローカル重賞なら展開一つ。

フォルテベリーニ

例に依って馬振り目立つ。気配は地味だが、馬体の張りも有る。出脚無くて中段やや後方。後方の組が早目に動く中、それらを行かせてから差し場を探す形。ゴール前の脚は目立っていたが、最後は皆が止まり掛かっていて、実質大勢決まった後。この競馬が出来る様になった事自体は収穫だが、過大評価はどうか。

ワンモアチャッター

2人曳き。気配抜群。馬体の雰囲気も良く、絶好調に近い。出脚はともかく、前走小倉戦程では無いにせよ、ゲート悪くて後方から。ただこれは、乗り役に言わせると故意との事。勝負どころは外へ回さず、インを突いたが、バテて来る馬を多少捌き損ねてしまったのが痛い。この馬の場合は道悪も良くないとはいえ、時計が速過ぎるだけに、こういう脚質の馬は何処かで無理をせざるを得ない。

マチカネオーラ

-6kg。絞れて来たのは良いが、まだまだ造りが緩慢。歩様も頼りない印象が有り、今季はデキが無い。無理に出さず後方から。ローゼンクロイツのマクり追い掛ける形になったが、3角で一瞬モタついた事も有り、そこ迄伸びなかった。勝負どころで置かれた事も含めて、デキに原因を求めるのが妥当だろう。

トウショウパワーズ

-8kg。馬体減関係無く、元々が細身に映る馬。トモの造りも以前を思えば良くなっているのだが、基本的には非力なタイプ。出脚で差が有って中段やや後方。向正面で外へ出し、ローゼンクロイツと一緒にマクって行ったが、直線は中々手前が変わらず伸びを欠いた。前走京都戦が特にそうだったが、トモが甘くて、流れに乗る迄のフォームがバラバラ。そういう意味でテンから忙しい小回りは向かない。今日は人気にしたファンが間違い。

サンバレンティン

+4kg。増えて出て来たのは良い傾向だが、全体に造りが緩い。例に依って出脚が無く最後方から。道中も追走に汲々としていて、エンジン掛かるのが遅過ぎた。福島で重賞勝ちの馬だが、基本的には広いコース向き。

コンゴウリキシオー

2人曳き。多少余裕が有る様にも映るが、集中力有って、デキ自体は良い。外枠だったが、無理に抑える事無く途中からハナへ行ったが、1000m通過57.3秒では速過ぎたし、シルクネクサス辺りが早目に動いて来たのも痛かった。トップハンデという事も有り、どうしても早目早目になるのだが、今日は仕方が無かろう。デキは有りそうなので、次走改めて。

テイエムプリキュア

+8kg。遮眼革。多少煩いが、この馬の場合はこれ位で丁度。攻め強化しての馬体増も好感。戦前の予想通り、出脚利かせてハナ。ただ、2角手前でコンゴウリキシオーとスズノマーチが来て最悪の展開に。時計も速過ぎたが、今日は展開が全てだろう。戦前述べた様に、今季はデキと出脚が有る。今後もチャンスは続く。

チューリップ賞(JpnⅢ)

ウオッカ

馬振りそのものは良いのだが、今日は張りがひと息。歩様ももう少し。好発。出脚も有る馬だが、この枠でも有り、内の様子を窺いながらの競馬。4角で前へ並び掛け、直線ダイワスカーレットとの一騎打ちを競り落とした。着差以上に余裕が有り、バケモノ級という評価は変えなくて良いと思うのだが、今日は姿勢が高く、手前の替え方も雑。気持ちが前に来過ぎているのも気になった。今日は下見の印象が悪かったので、しっかり仕上げればまた違って来る可能性も高いが、波乱ムードが多少なりとも出て来たのは確かだ。

ダイワスカーレット

2人曳き。この時期の牝馬としては雄大な馬体。下見では落ち着いていた。恐らくは次善策なのだろうが、馬と喧嘩するのを嫌ってハナへ。ハミが抜けて、という訳には行かなかった様だが、この馬にしては一応宥めた方だろう。ただ、最後はウオッカに余裕を持って競り落とされた。3着以下とは6馬身差だが、そのウオッカが万全では無かっただけに、課題は残る。

レインダンス

数字の割に造りが華奢。その分なのか歩様に力が無い。好発。行く気は無かった様で、好位で我慢させたかったのだろうが、内のザリーヌも同じ事を考えていたのか、この2頭の兼ね合いが付かず、マトモに揉まれ込んでしまった。4角でもちょっとガチャガチャするシーン。直線も行き場を無くし、坂下迄何も出来ず、外へ立て直されてからここ迄来た。ウオッカとダイワスカーレットは折り合い面を別にすれば不利無く運んでいる訳で、少なくとも6馬身後方の馬では無いだろう。下見の印象は成長途上という事になるのだが、展開有れば本番でも怖さが。

アロープラネット

-6kg。数字思えば細くないが、これも歩様が非力。タガノグラマラスが行って、これに乗る形で好位。上手く運んでいるが、4角ではウオッカに脚の差で出られてしまった。直線も伸びずバテずといった印象。レインダンスとは違い、これは額面通りにとって良い。次走自己条件でも危険。

ローブデコルテ

相手が悪いだけで、例年なら上位の馬。トモに張りが有って。歩様もスムーズ。出脚は悪くなく、好位の内目。そんなに悪い騎乗では無かった筈で、一旦は楽々3着だったのに、坂上で止まってしまった。意外な敗戦。走っていない。

夕刊フジ賞オーシャンステークス(JpnⅢ)

アイルラヴァゲイン

ホライゾネット。例に依ってテンション高いが、暖かくなって毛ヅヤが良化。1枠2頭が出遅れ。外枠の馬が行ってスムーズに好位のイン。前に馬を置いた分、折り合いも付いた。内から叩き出されて、最後は余裕が有った。圧倒的に内有利の馬場で、1番人気の馬が一番良い展開になった印象。斤量恵まれ、中山走る事も有り、ちょっと評価し辛い。

サチノスイーティー

2人曳き。前走京都戦で述べたギスギス感は有るが、仕草に我慢が利いていた。好発。吉田隼人騎手、ここが上手かったのだが、出脚でクビだけ突っ込んでおいて好位へ引く形。スムーズに立ち回って、この枠としては理想的な競馬が出来たが、絶好枠から完璧な競馬をした馬が1頭。今日は仕方が無い。状態面はあまり感心しないのだが、前走でも僅差の競馬が出来ていた様に、オープンでも差の無い馬。

シルヴァーゼット

-10kg。絞れて良化。集中力も有った。何が何でもの構えでハナへ行ったが、サチノスイーティーの方が出脚に余裕が有る分、どうしても余計な負荷が掛かる。ハナへ行ってからはスムーズだったが、終い甘くなったのはその分だろう。ただ、先週から何度も述べている様に、今開催は圧倒的にインが有利。過大評価は禁物。

スピニングノワール

-10kg。数字は絞れた形。この馬にしては左右のバランスが有る分、歩様もマシ。出脚で差が有って後方から。ずっと枠なりに走っていたが、直線も間を割って来る形。前とは結構差有ったが、後方待機組では最先着。出脚の無さに泣かされるケースは今後も続くとしても、それなりに評価して良い。

リキアイタイカン

馬体張りや気配は悪くないが、歩様が硬い。これも出脚が無く後方から。外枠だったが、腹を括ってインを突いた分ここ迄来た。良く走っているといえばそうだが、単なる着狙いだろう。

ビーナスライン

+8kg。攻め強化しての馬体増。勿論、悪くないのだが、前走京都戦で述べた様に良い時はもっと良く見せていた。出負けして後方。直線伸び掛かってはいたが、坂下で前が詰まって逡巡したのが痛い。これが無ければスピニングノワールとは差の無い競馬になっていただろう。現状のスプリントなら上位の馬だが、揉まれ弱いという話も有り、この辺りは課題になって来る。

タマモホットプレイ

今季は所作に柔軟性が有る。落ち着いていて、好調キープ。出脚で差が有って中段やや後方。乗り役の言う通り、4角の手応えが妙に悪かったのは確かだが、ここ2走はインを突いた好騎乗も目立っていた。コース適性云々も大きいとはいえ、それ以前に元々がこの程度という気も。

阪急杯(GⅢ)

プリサイスマシーン

馬体は変わらず良く見せるが、今日は多少歩様が硬い。安藤騎手に言わせると次走中京戦を意識したとの事だが、出した出脚がニシノデューとは全く違っていた。好位のインで我慢させ、直線は馬場の真ん中。最後はこのロスの分、同着にされた印象で、結果は同着でもエイシンドーバーよりはワンランク上の競馬。器用さ身上で、前走時に大して強くないとは述べたが、あくまで高いレベルの話。

エイシンドーバー

歩様に頼りなさは有るが、馬体は良く見せる。前走小倉戦がデキ落ち気配だったが、現状維持は出来た。好発。出脚良かったが、外枠の馬が来て、これらに行かせての競馬。4角上手く捌いて、一旦は抜けているのだが、最後にプリサイスマシーン。今日で引退の湯浅調教師の事も有ったか、道中完璧に運んでいるだけに、勝ち切らないと値打ちが無い。下見はそうでも無かったが、デキ落ちはデキ落ち。

スズカフェニックス

前走東京戦もそうだった様に、微妙に緩い。気配はこれで良いのだが。ゲートは出たが、下げて後方。インを突く選択肢も有った筈だが、結局直線は大外。一番強い競馬をしているが、前走時に述べた様に、この競馬しか出来ないのだろう。ただ、中京1200mの方が一発狙うには却って迷い無く乗れる分良さそう。次走狙い目。

キンシャサノキセキ

2人曳き。雰囲気がそこ迄では無いにせよ、下見は落ち着いているのだが...。出負けして後方も、道中は行きたがっていた。最後差してはいるが、道中ロスしている分、伸びが甘い。まあ、馬の問題も有るのだが、それよりも今季のペリエ騎手はとにかく乗れていない。

シンボリグラン

歩様悪くなく、気配も良いのだが、馬体がパッとしない。タニノマティーニが期待通り行ってくれたが、この馬の出脚が無く、インセンティブガイに割って入られ、位置取り悪くなって後方に近い位置。最後それなりに差して来てはいるが、ここへ入ると決め手で差が有るだけに、位置取りの差が出てしまう。どちらかの脚がもう少し有れば。

スーパーホーネット

2人曳き。陣営が妙に強気だったが、成る程と思わせる気配。ただ、もう少し歩様に伸びが欲しい。タニノマティーニに叩かれまいとテンに仕掛けたが、これが裏目に出て馬が行きたがってしまい2番手。終いが甘くなったのはその分だろう。騎乗ミス。

タニノマティーニ

2人曳き。気負っていたが、悪い時の硬さが取れて来たのが良い。例に依ってゲートと出脚が速く好位のイン。まあ、ニシノデューが何が何でもの構えで押していた分が有るにせよ、本来はもっと速い馬。今日の結果だけをいえば相手関係だが、この馬の場合は出走するだけで、展開がガラッと変わるだけに、出脚の衰えは意識しておきたい。

コスモシンドラー

-6kg。少しでも絞れたのは良い傾向だが、まだ重い。頑張って押していたが、やはり出脚が無くて、中段やや後方。直線外へ出したが、思ったより伸びない。戦前は期待したが、力量不足。

中山記念(GⅡ)

ローエングリン

トモの送りに硬さは残るが、手先のスナップが利く様になったのが大きい。馬は例に依って見栄えする上、最近はイレ込まなくなった。好発。1馬身抜けていた。戦前は控える予定だった筈だが、こうなれば行く一手。道中ずっと単騎だったし、シャドウゲイト程度のマクりならこの馬の方が上。開幕週で逃げ圧倒的有利の馬場状態も利して押し切った。絶対に前が速くならない中山1800mで、あれだけ楽に先手取れれば押し切って当然。前走阪神戦はイマイチ内容が良くなかったが、今日は馬場状態も有って、能力判定不能というのが正直なところ。毎回あのゲートなら話は別だが...。

エアシェイディ

気配は地味だが、馬体は確実に良化。張りが出て来た。ゲートは出たが、下げて後方。ソコソコ馬群がバラけていたとはいえ、3角から何時でも動ける位置迄出して、直線は一番外。ローエングリンが同厩舎という部分も有るが、何の躊躇も無かった下げ方といい、マクりに行かないところを見ると、末脚の持続性に課題が有るのは間違い無いだろう。毎回人気になる事も有って、馬券的に扱い辛い馬。

ダンスインザモア

シープスキンノーズバンド。姿勢が高いからそう見えるのだろうが、腹袋の割にトモが薄い。大きく出遅れ。最後方から、エアシェイディを追う様に直線一気。これもデビュー当時から使える脚が一瞬だった馬。少なくともエアシェイディより強いと思えない以上、2戦続けての好走でもという事になるのだが、以前はそれすら無かったのも確か。単はどうかだが、連勝式なら警戒は要るのだろう。

シャドウゲイト

確かにデキは良いのだろうが、テンション高いのと、歩様が硬い。ゲートむしろ悪かった位だが、出脚で好位。多少行きたがっていた事も有って、前走同様早目に前を捕らえに行ったが、並ぶシーンすら無く、坂上で2頭に差されての4着。前走はあくまで奇襲。妙に人気になっていたが、良馬場なら良くも悪くもこの程度。

グレイトジャーニー

昨秋から絶好調を維持。ただ、相変わらず馬を大きく見せない。出脚で差が有って中段やや後方。枠なりにインを立ち回ったが、追っての伸びは案外だった。最近ゲートは出る様になっているのだが、それだけに却って物足りなさが残る。前走東京戦の様に、追い込みに徹してもあまり冴えず、単純に弱いという外無い。

ブライトトゥモロー

歩様や張りは良い方だが、昨秋はもっと重量感が有った。出脚は甘いが、1角迄が距離の無い中山1800m、枠の利で中段を確保。その意味で、今日は注文通りに運べた筈だが、オープンではちょっと馬が足らない。あと、極端な脚質の馬が上位を占めた形になったが、これはあくまでたまたま。

マルカシェンク

-6kg。歩様も伸びていて、デキは決して悪くない。昨秋から下見と成績が反比例している。好位のイン。過不足無く運べた筈だが、追って案外。下見の印象とは違って、疲れが有るのだろう。

アーリントンカップ(JpnⅢ)

トーセンキャプテン

使われてかなり馬体が締まって来た。これなら。ゲートでエーシンエスヴィーが1馬身抜けたが、出脚で出して好位のイン。出した分、一瞬行きたがる素振りを見せたが、直ぐに折り合いも付いた。直線坂下で逆手前になってモタつき、ローレルゲレイロに一旦は出られたのだが、左手前に替えてもう一伸び。前走京都戦は出脚が無い様に見えたのだが、折り合い自在で出せる強みが有って相殺出来ている。ただ、それでもローレルゲレイロと五分の競馬。勝負根性は買うが、程度は知れているだろう。

ローレルゲレイロ

2人曳き。毛ヅヤが良く、馬振りも良い。歩様は、力強いといえばそうだが、微妙に硬さも。戦前に「センター枠に先行馬が多く、それ程外枠苦にならないだろう」と述べた様に、この枠にしてはそれ程外を回されずに済んだが、道中行きたがっていてリズムが悪かった。直線も口向きの悪さを見せ、一旦は交わしているのに、トーセンキャプテンに差し返された。乗り役が下手といえばそれ迄なのだが、それにしても甘い。脚の使いどころに難しさが有る。

マイネルレーニア

2人曳き。馬自体は良いのだが、歩様が硬い。戦前のコメント通りにハナ。ただ、意外に出脚が甘く、道中もトーホウラムセスに並ばれ、単騎とは行かなかった。ペース自体は速くなくても楽な競馬では無かっただろう。最後はその分の差だが、出脚の無さで悪い展開を呼び込んでいる面も。

スズカライアン

2人曳き。気難しさが有る様だが、単勝万馬券の馬では無い。出脚が甘く中段のイン。ずっと内を回って来ただけだが、マイネルレーニアとは際どい競馬。インを回って来ただけに、次走人気になる様だと話は別だが、自己条件なら差は無い筈。

コンティネント

2人曳き。まだ全体に造りが華奢。これも出脚が無くて中段。武豊騎手、外を回っては勝てないと踏んだ様で、直線も差し場を探す形。捌いては来たが、あくまで未勝利上がりの馬といった印象。

トーホウラムセス

2人曳き。大型馬の割に歩様が頼りない。気配は抜群なのだが。マイネルレーニアが何が何でもの構えで行ったが、出脚はこの馬の方が余裕有って、好位の外。ただ、ここで我慢出来れば良かったのだが、初めての控える競馬でそれが出来なかったのが痛い。現状ハナがベスト。