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競馬回顧 2007年3回阪神・2回福島

プロキオンステークス(GⅢ)

ワイルドワンダー

目下絶好調。全てが完璧。例に依って後方から。芝での出脚が無く押していたのはともかく、道中も折り合いというよりは逆に勝負どころでの手応えが悪かった程だったが、それでも差し切った。差し切ったのは、前が競った展開や相手関係を思えば当然なのだが、道中の手応えの悪さは今迄に無いパターン。2着リミットレスビッドに後述する不利が有り、能力五分と見るなら苦しい部分も有るのだが、これが良い方に向けばGⅠでも。

リミットレスビッド

+12kg。数字は戻った形。100%とは思わないが、悪くは無い。芝の出脚が速いのだが、それを好位置キープに使って中段。ただ、4角でアンクルリーサムが外へ膨れて弾かれる不利が痛い。勢い付いたところだっただけにあれが無ければ際どい競馬になっていた。58kgを背負ってデキ万全では無い状況で今日のパフォーマンスは立派。少なくとも衰えは無い。

ドンクール

+8kg。気持ち重い様にも映るが、造りにメリハリが有って悪くない。スタート直後に結構押していたが、出脚で差が有って中段。枠なりにインを回り、スムーズに捌いているが、最後は決め手の差。ただ、サンライズキングが行き切ってくれて出脚の甘さの割に前へ付けられた面も。1400mは基本的に短い。

メイショウサライ

久々になるが、スカッとした造り。ダートを走る馬にしては細い気もするが、出来ていた。例に依って後方。道中はワイルドワンダーを見ながらの競馬。そのワイルドワンダーの手応えが4角時点では悪く、ここ迄は付いて来たが、直線からの脚が違っていた。今日は外枠有利の展開を付いて回っただけだが、1年以上休養していた事を思えば充分に及第点。

ツムジカゼ

遮眼革。-10kg。歩様に硬さは有るが、休養前より馬体は良化。出脚サッパリで後方。腹括ってインを突き、伸び掛かったのだが、交わす迄には至らず。距離も微妙に短いのだが、この形はこの馬の得意パターンでも有り、案外といえば案外。もう1走見たい。

サンライズキング

-14kg。馬体減は気にならないが、造りが万全では無い。ただ、歩様が伸びていたのは良い傾向。内枠でも有りハナへ行きたかった筈だが、キングスゾーンの出脚が速く、これより前に行くのに脚を使い、更にトシザヘネシーが何が何でもで行ってオーバーペース。競ってはいないが、最悪に近い展開。次走狙い目。

オフィサー

歩様硬く、馬体も緩く映る。出遅れて最後方。直線もサッパリだった。今季はデキが無い。

サマー2000シリーズ七夕賞(GⅢ)

サンバレンティン

毛ヅヤピカピカ。昨秋は成績の割に状態面感心しなかったが、大分持ち直して来た。最初から出す気は無かった様に見えたが、後方から。それだけに、その気になれば外へ出す事も可能だった筈だが、割り切ってインへ。近回りの分も有るが、この辺りの脚が有るのは荒れ馬場を苦にしないからだろう。ただ、近走デキと展開が無かっただけで、ここでは力量上位。この6番人気は馬鹿にされ過ぎ。

アドマイヤモナーク

近走出脚が無くて突っ込み切れなかっただけで、今季は最初からデキが良かった。歩様もこの馬にしてはマシ。道中は最後方。2角辺り迄は内ラチ沿いを走っていたが、向正面で馬場の良い外へ出して直線も大外から。良く伸びたが、この馬もここへ入れば力が上。ただ、今日は出脚の要らない展開になった面も。出脚の無さは常に課題。

ユメノシルシ

もう少し歩様に伸びが来れば。張りが有って悪くは無いが、馬振りでどうか。無理はしなかったが、出脚で好位。馬場の良いところを通って正攻法。競馬そのものは間違っていないが、実力上位馬がギャンブルしていただけに仕方が無かろう。ハンデ少し見込まれ加減だった事を思えば上出来。

ヴィータローザ

歩様は相変わらずだが、今季デキ自体はずっと良い。出脚も無い馬だが、最初から行く気無く、一旦下げてから外へ。結果的に大事に乗りすぎたという事になるのだが、更に後方に居たアドマイヤモナークにやられたのも事実。このカテゴリーでは上位の馬だが、あくまで上位というだけで馬券的には狙い辛いタイプ。

ニホンピロキース

2人曳き。シープスキンノーズバンド。落ち着いていたのは何より。毛ヅヤ,張り良く、デキは良い。ストーミーカフェに行かせて離れた2番手。外から来たアクレイムに絡まれた事も有るのだが、前半掛かり気味。その分待ち切れず、勝負どころで我慢が出来なかった。サンバレンティンはともかく、2着アドマイヤモナークとは僅差だが、基本的には2000mは長い。

ラジオNIKKEI賞(JpnⅢ)

ロックドゥカンブ

大分馬体が締まって来た。気性面の怪しさは覗かせるが、半年遅れの分を考慮すれば上等。この馬自身も出脚良かったが、マイネルランページの先行策に乗って好位の外。道中のペース無関係に、小回りの荒れ馬場は各馬早目の仕掛けになりがちで、結果直線一気というパターンも多いのだが、3〜4角中間で先頭に立たされたこの馬が最後迄堪え切った。ハンデが利いているにしても好内容。ただ、馬が北半球産に大分追い付いて来たのも確か。ここらが天井になる可能性も高い。

スクリーンヒーロー

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤ悪くなく、デキ自体は問題無い。歩様の硬さがダート馬という事になるのだが、頼りない歩様をしていた以前を思えば進歩している。出脚は良かったが、マイネルランページに叩かれ中段。荒れ馬場気にせず内目を通っていた。4角でステッキが盛んに飛んで手応え悪かったのだが、その割には直線しっかり伸びて来た。メンバー低調で何とも言えぬ部分は有るのだが、こういう荒れ馬場を苦にしないタイプなのは間違い無いだろう。

イクスキューズ

-4kg。多少細いのは確かだが、前走東京戦でイレ込んでいた事を思えば、堪えが利いているだけでも。ハンデの分も有るが、出脚でやられて前半は中段やや後方。これもインに居て、前が開いている隙に、3角では既に好位。4角外へ出し切れず直線もインを突かざるを得なくなった分は有るのだが、この馬場で牝馬の56kgは如何にもキツい。直線甘くなったのは仕方が無かろう。一応は悪くない内容。

バブルウイズアラン

デキ自体は確実に良いが、イレ込み気味。大外枠でも有り、無理はしなかったが、出して行って好位。4角イクスキューズが外へ出そうとして来たのを上手くブロックしているが、トビが大きい分スパッと切れる脚が無い。従って小回り向きでは無いのだが、大外枠は良かっただろう。新潟で是非一度。

トーセンアーチャー

もう一絞り有った方が良さそう。現状は重量感有る様に見せるのだが、削ってもまだ良く見せるかとなると微妙。大きく出遅れ。直線外へ回してここ迄。あの出遅れで5着なら上等だが、荒れ馬場ならではといった感も。正攻法だと甘い気もするのだが。

クランエンブレム

トモの張り良く、変わらず馬は見栄えする。歩様もこの馬にしてはマシ。好位のイン。荒れ馬場で無ければ絶好の展開という事になるのだが、直線伸びなかった。敗因不明。荒れ馬場の影響?

サマースプリントシリーズ函館スプリントステークス(JpnⅢ)

アグネスラズベリ

何度か述べている様に、今季は歩様に硬さが無いのが良い。馬体にも張りが有る。出脚が無いので頑張って押した分、少し掛かったのだが、内枠でまだ矯めが利いた。直線も最内。例に依って頭が高いのだが、今年は比較的時計の速い函館コース、外を回ると苦しく、その分もこの馬には良い方向に向いた。ただ、前走中京戦時に述べた様に、1400mの方が競馬し易いのは間違い無い。

サープラスシンガー

+8kg。馬振り最上位。多少太い分も有るにしても、緩んだところも無く、一息入った事を思えば完璧に近い。例に依って一瞬の出脚だけならタニノマティーニが速いのだが、そこからの脚でハナへ。斤量も利いているが、今のスプリント戦でここで2馬身抜けられる脚の有る馬は確実に残る。ただそれだけに勝たなければ値打ちが無いという側面も。アグネスラズベリも弱い馬では無いが、ちょっと評価が難しい。

ブラックバースピン

2人曳き。例に依って馬は見栄えするが、もう少し歩様に伸びが来れば。今日は好発。前述した様にタニノマティーニの出脚が速く、これに乗る形で好位。4角早目に動いて来たが、上位2頭が内枠で楽をしている分、届かなかった。前走中京戦は馬場状態が特殊で微妙な面も有ったが、今日は悪くない3着。GⅠだけ別路線組に持って行かれる最近のスプリント戦線、あくまで規格の範囲内の馬では有るが、GⅡ以下なら上位。

ワイルドシャウト

オーストラリアンブリンカー。1年休んでいた馬だが、その割には大人しい。馬体はそこ迄悪くないが。好発。出脚良く、逃げたサープラスシンガーの番手が取れた。ただそれだけに、追っての甘さが気になるところだが、今日は一応休み明けが言い訳に出来る。次走改めて。

タマモホットプレイ

今年は年明けから良い状態をキープ出来ていた。毛ヅヤ良く、馬が張っている。気配も上々。出脚で差が有って後方。ずっとアグネスラズベリに対して後手を踏まされる形に。直線の決め手でも差が有った。京都とのコース相性も有るが、この馬の出走する京都戦は毎回メンバーに恵まれている気も。

アドマイヤホクト

良い時はもっとトモに張りが有った。今日は立体感が無いというかスクウェア過ぎる。この馬も出脚は良い方だが、タニノマティーニが速く、前半押して2番手。従って、その分の無理は有るのだが、それにしても直線はサッパリだった。ノドが鳴るそうだが、この手の馬は調教から加減が有る筈で、徐々に性能が落ちて来る傾向。手術なり抜本的対策を採らない限りは厳しい。

ビーナスライン

張りがもう一つ。歩様にももう少し柔らか味が欲しい。少なくとも万全とは。例に依って後方から。上位馬が皆内を回っていたとはいえ、直線全く伸びず。デキ以外に敗因が無い。

宝塚記念(GⅠ)

アドマイヤムーン

2人曳き。+8kg。前走香港戦がイマイチだったが、完璧では無いにせよ、数字の分重量感が来た。出脚が無いだけに位置取り難しいところだったが、やはり内外から行かれて中段やや後方。馬場を嫌って外へ出したところにメイショウサムソンが居て、結果的にマークする形に。直線追い比べに持ち込み、相手も渋太かったのだが、最後は力でネジ伏せた。今年に入って競馬が変わって来たとは戦前に述べたが、追い比べでは相手に一日の長が有ると思っていただけに、今日は大収穫の一戦。この馬場をこなしたのも本格化を窺わせる。

メイショウサムソン

2人曳き。太く見せるのは体型も有るのだが、張りという点でももう一つ。前走京都戦程では無さそう。ローエングリンのゲートが速く、これに叩かれる形で中段になったが、内目が悪い馬場を思えば悪くない位置取り。前に居たカワカミプリンセスが動いてくれて、これを目掛けて展開的にも絶好になった筈だが、乗り役はもう少し我慢させたかった様で、結果的に早漏になった。乗り易さ自体は有っても、決め脚の無さから自力で動かざるを得ず、そういう意味での乗り難しさが有る馬。このレベルの相手になると毎回上手くとは行かない。

ポップロック

+8kg。元々がこの位。ただ、前走東京戦でも重厚さは有って、今回も変わらず。張りが有るのが何より。ゲートも少し悪かったが、出脚も無くて後方。これもならばと最初から外へ出し、ずっとアドマイヤムーンを見る形での競馬。良い形になったと思ったが、坂下からの脚が違っていた。最後は3着を確保するのがやっと。中距離での出脚も課題になるが、それ以前に上位2頭とは差が有りそう。

アドマイヤフジ

前走東京戦にしても馬体は悪くなかった。叩いた分、毛ヅヤも上向いて、歩様もマシに。これも後方から。道中はインに居たが、直線だけ外に持ち出し、4角回ってポップロックの内から併せる形。前走ハンデ込みであれだけ差が有ったポップロックとの差を同斤でここ迄詰めた。復調気配アリアリの内容。この後使うところが無いのが残念だが、秋にまた改めて。

ファストタテヤマ

一時期またデキを落としていたが、歩様がスムーズになって来た。馬体は多少緩い様な気もするのだが、そこは年齢なのだろう。例に依って後方から。道中はポップロックを追い掛ける形。内外で馬場の良し悪しが有るとはいえ、コーナーでも置かれずに付いて行けたのは収穫。流石に坂で甘くなった分ここ迄に終わったが、単なる着狙いでは片付けられない内容。

カワカミプリンセス

2人曳き。馬体に張りを欠く。イラついていたのも気になった。出脚というよりは、馬が行く気になっての先行策。それでも行きたい馬に行かせてからは折り合い付いたが、良い位置に居過ぎて、早目に動かざるを得なかった。流石にこの相手で4角先頭では無理が有る。ただこの形に持ち込めただけでも進歩を認めて良い。全盛期のスイープトウショウの様な牡馬相手でもという規格の馬では無いが、限定戦なら変わらず上位。

ウオッカ

ここへ入っても馬は見劣らない。毛ヅヤも良く、歩様も問題無し。落ち着いているのも良い傾向。道中は中段。1周丸々行きたがっていたが、4角馬群捌いて一旦は抜け出さんかのシーンを造ったのだから立派。ただ、このパターンは反動が出易い。ここから先は厩舎技量で馬に恩返ししないと。

ダイワメジャー

何時も通り2人で曳いてもう1人。-16kg。骨格が良いので目立たないが、ギスギス感が出て来た。何時も通り好位から。行きたがるのはこの距離故止むを得ぬが、外に馬を置くと良くない馬で、今日はマトモに揉まれ込んでしまった。馬体減も応えているだろうが、それ以前に自分のパターンに持ち込めなかった分が大きい。参考外。

スウィフトカレント

2人曳き。仕草に堪えが利いていた。張りも有って、デキ自体は良い。後方からは何時も通りだが、道中の行き振りも悪く、こういう馬場は全くダメ。これも参考外。

マーメイドステークス(GⅢ)

ディアチャンス

-12kg。前走中京戦が一枚重い状態。緩んだところが無くなり、気配も良い。出脚は一番速かった位だが、控えて中段。向正面でインに潜り込み、前の馬が早目に動いて前走と同じく絶好の展開に。今日は勝って下さいの競馬になった。折り合い面スムーズだった事も大きいが、ハンデ戦でも有り、馬への評価よりも、今年不調だった乗り役の復調振りへ注目を。

サンレイジャスパー

馬体や毛ヅヤには問題無いのだが、歩様が窮屈。1馬身出遅れも、気合を付けて中段やや後方。外を回されているとはいえ、何時も通り勝負どころの手応えが悪かったのだが、前崩れの展開でバテない強みを生かせた。限定戦はスローになり易く、中々展開が向かないのだが、この距離なら差は無い。

ソリッドプラチナム

意外にデキが良かった1頭。馬格の無い馬だが、馬を大きく見せていて、張りも充分。ゲート出ているが、例に依って後方から。道中はインに居て、直線迄待ってから外へ。坂が有るコースでもこの脚が使えたのは収穫だが、前述した様に今日は展開面も大きい。今季デキが有るので、一発の怖さは有るのだが、脚質から今後もアテに出来ず。

シェルズレイ

2人曳き。+10kg。下見では落ち着いていた。多少姿勢が高いのは気になったが、歩様面力強く悪くない。出脚そこ迄速くないが、二の脚で大逃げ。1000m通過58.0秒は、馬場状態考慮すれば極端なオーバーペースでは無いにせよ、11秒台半ばのラップがずっと続き、息が入らなかった。ただ、大きくやられている訳では無く、1600m通過が93.8秒、1800m通過が106.3秒。これで走れるならオープンでも何とかなる筈で、2000mなら厳しいとしても、距離短縮なら。

スプリングドリュー

-6kg。馬体減というより、元々が華奢な造り。歩様もしっかり。これも後方から。ソリッドプラチナムと一緒に外へ持ち出したが、そのソリッドプラチナムには完全に伸び負け。ハンデ差2kgしか無くてこの差は頂けない。力負け。

コスモマーベラス

前走東京戦はそこ迄悪いとは思わなかったのだが、今日は妙に張りが無い。この距離でも有り、大事に乗られて後方のイン。多少力んで走っていた分も有るのだが、4角ディアチャンスの直後に居たにも関わらず、全く伸びなかった。ハンデも有るが、デキも原因だろう。

ライラプス

+12kg。歩様面スムーズなのは好感が持てるが、多少余裕が。流石にシェルズレイと喧嘩する訳には行かず、ゲートを遅目に出して、道中はディアチャンスと前後する位置。ただ、掛かり気味になっていた事も有って、待ち切れず早目に動いて追っ掛けバテ。一枚重かった分も有るのだが、今日は競馬の失敗。