Sakura Archives

競馬回顧 2007年2回小倉・2回新潟

関屋記念(GⅢ)

カンパニー

この馬にしては落ち着いている方。馬体の緩みも無く、休み明けを考慮せずともほぼ完璧。出脚で差が有って中段やや後方。福永騎手、馬の力を信じて最初から外へ出し、直線も大外で一頭別次元の競馬。戦前に述べた様に、レースの失敗が多い馬で、不利さえ無ければ圧勝は当然だが、余りに強過ぎる勝ち方は不器用さの裏返しという気も。兄レニングラードは条件戦を新潟で圧勝し、東京でヨレヨレになりながら重賞勝ち。この馬の場合は血統背景も有るだけに、今後が却って不安。

シンボリグラン

今季は毛ヅヤが良い。手先のスナップが利いていて、歩様も実にスムーズ。前半、外枠で少し行きたがる素振りも有ったが、この馬のマイル戦にしてはスムーズな方。直線はカンパニーが強過ぎて目立たなかったが、ズブズブになりがちな展開の中を2着確保したのだから評価出来る内容。今後へ向けては、時々気持ちが切れる時が有るので、それが維持出来るかどうか。

マイケルバローズ

チャカつく馬が多い中、気配は地味。ただ、馬は数字通りに重量感有る造り。ゲート出ているが、下げて最後方。直線一番外へ持ち出して、半ば入着狙いの競馬でここ迄。矯めると切れるのは確かだが、オープンでこれでは連対は厳しい。

カンファーベスト

-16kg。この数字でも好走例有り、極端には細くない。落ち着いていたのも悪くない傾向。枠なりに中段の外。折り合いは付いていたが、直線意外に伸びなかった。昨年とは相手が違うといえばそれ迄だが、もう少し伸びても良かった。どうも外枠時になると競馬を投げる癖が有る。

ストーミーカフェ

大分ギスギス感が消えて来て、気持ちにも余裕が。ゲートはダイワバンディットだったが、二の脚でハナへ。道中は比較的楽に行けたとはいえ、最後は新潟の直線が長過ぎる分だろうが、下見も含めて道中の感じが良くなって来たのは評価出来る。そろそろ馬券圏内に。

アンブロワーズ

2人曳き。多少重い様な気もするが、それ位に充実して映る。ただ、今日はテンション高過ぎ。出脚も良く、好位のイン。下見のチャカつき具合を思えば、スムーズに競馬出来ているが、新潟も大分内が伸びなくなって来た。カンパニーやシンボリグランはGⅠでも好走実績が有って、その辺りの力関係も否定出来ないのだが、限定戦なら展開一つの馬。

函館2歳ステークス(JpnⅢ)

ハートオブクィーン

毛ヅヤ絶好。バランス取れていて歩様もしっかり。大物感は無いが、完成度は高い。好発。内から2頭行かせて好位の外。4角でハミを掛け直す場面も有ったが、逆に言えばこの馬場でそれだけ楽に追走出来ていたという事。直線も、他馬が全く伸びない中、追えば追うだけ伸びた。完勝。勿論、馬場は有るが、ダートがダメで芝向きなのだろう。少なくとも下見では断然だった。

ジョイフルスマイル

もう少し手先の軽さが来ると文句無しだが、トモに厚みが有ったのは良い傾向。ゲート出ているが、出脚サッパリで後方から。直線一番外へ出して、通常なら掲示板有るかどうかの伸びなのだが、この馬場で他馬が止まったのと、距離適性が上に有った分ここ迄。歩様から道悪も向く。

イイデケンシン

2人曳き、まだ全体に緩い。絞ればソコソコの馬だと思うが。速くは無いにせよ、付いて行く脚は有った筈だが、腹括って最後方から。4角も思い切って最内回って伸び掛かったのだが、最後の最後で止まった。作戦は間違っていないが、能力差で止まったのか馬場で止まったのかは何とも...。

ホウザン

2人曳き。これもまだ馬が出来ていない。ゲートが悪かったが、徐々に馬群を縫って前へ。最後は伸びずバテず。ハートオブクィーンは正攻法だが、それ以外の2頭は奇襲なので、正攻法の競馬としては及第点。完成度が低い分、パワーの要る馬場が余計に応えている筈だが、道中の雰囲気からは道悪もこなせそう。

アポロフェニックス

小さく纏まっている印象。歩様にも伸びが欲しい。外からジワッと中段。ハートオブクィーン同様、これも4角でハミを掛け直していたが、外を回ったにしてもこちらは逆に置かれていた。最後はジワジワ来たが、ジョイフルスマイルと併せ馬になった分も利いていただろう。今日の一戦だけでは評価し辛い。

エイブルベガ

+4kg。2人曳き。前走でも重いという話になっていた事を思えば今日は論外。ただ、削って良くなりそうという訳でも無さそう。乗り役に言わせると、馬場でノメッたとの事だが、出負け。道中も無理やり押し上げたものの、4角では既にアラアラ。戦前は一番人気に推されていたが、前走は相手関係も大きく、下見の雰囲気、そしてアドマイヤベガ産駒の道悪と、今日は走る要素が最初から無かった。

サマー2000シリーズ農林水産省賞典小倉記念(JpnⅢ)

サンレイジャスパー

前走阪神戦同様、馬体は悪くないが、歩様が伸びない。今日はゲート五分。ただ、出脚が無くて後方の内目。前走外を回され過ぎた事も有って、ずっと内を回って直線だけ外へ。1頭だけ違う脚で、見た目には切れに切れたが、元々は良い脚を長く使うタイプで瞬発力身上というタイプでも無い。今日は他馬が走っていない印象も有るだけに。

ニホンピロキース

2人曳き。シープスキンノーズバンド。最近はイレ込まなくなった。デキ自体もずっと良い。折り合い課題の馬だが、気合を付けて逃げたニルヴァーナの直後。前走福島戦と違って、前に馬が置けた分が大きいのだが、折り合いそれなりに付いた。最後はサンレイジャスパーの決め手にやられたが、4角捌いて勝ちパターンには持ち込んだ。デキの成せる技としても、2000mで折り合い付く様になったのは収穫。良い方に馬が枯れて来た。

アラタマサモンズ

シープスキンノーズバンド。馬振りで差が有るが、トモの張り悪くなく、一応は及第点。2番手でガッチリ押さえて4角迄競り掛けられる事無くそのままの態勢で直線迄。外から来たニホンピロキースは切れるタイプでは無く、その分併せ馬が長く続き一踏ん張りが利いた。決め手は課題になるが、競って渋太そうなのが良い。

ニルヴァーナ

オープンへ入るとトモが薄い。歩様も力強さに欠く。出脚利かせてハナ。アラタマサモンズにずっとマークされていた分も有るが、1000m通過59.7秒だからペースは大して速くなく、やはり決め手は今後も課題になりそう。戦前は期待したが、ハンデ戦とはいえ、この2番人気も流石にやり過ぎ。

ヴィータローザ

下見は落ち着いてさえいれば上等。歩様もこの馬にしては悪くない。押して中段の外。道中は問題無いのだが、勝負どころでの反応が悪く、モタつく時間が有ったのが痛い。最後はジリジリでも来ている。一瞬の脚が無いので、小回りよりは新潟の方が良い馬だが、この相手でこの程度だから程度が知れている。

スウィフトカレント

2人曳き。悪くないが、もっと馬体にキレが有る時の方が走る。出遅れて後方→スローを嫌って向正面で中段へ。昨年にしてももっとペースが速かったにも関わらず、かなり行きたがっていたが、今年はそれが無かった。直線も全く伸びず。デキに敗因を求める以外に無い。

メイショウカイドウ

-10kg。元々が増減の激しい馬だが、筋肉の付きが悪い。デキが無い。ゲートさえ出れば出脚は有る馬だが、今日はそのゲートが悪く後方から。道中は後方の外で行きたがるのをひたすら引っ張るだけの競馬になってしまった。今後の良化が見込み辛いデキの無さだが、今日は競馬も出来ていない。

サマー2000シリーズ農林水産省賞典函館記念(JpnⅢ)

エリモハリアー

歩様が硬いのは元々だが、これでもこの馬にしてはマシな方。ガサが無い分、馬体は目立たぬが、気配に集中力が有った。内外から出脚でやられて後方。腹括ってインを回り、4角では中段迄位置取り稼いでいたが、それにしても終いは切れた。馬場適性は当然だが、状態面戻っていたのも大きい。昨年から夏場は北海道で乗る様になった武幸四郎騎手、今開催は追い込みに徹して結果を出すケースが多い。

ロフティーエイム

キビキビ歩けていて、気配の目立った一頭。マイソールサウンドには叩かれたが、インへ潜り、内枠2頭が行ってくれて好位。直線それなりに頑張っているが、頭の高い走法の分、追ってからが甘い。勿論、この相手でこれなら大健闘という事になるのだが、決め手の無さは限定戦で不利に働く。

サクラメガワンダー

2人曳き。+12kg。今季はデキが無かったが、それなりに復調ムード。出脚良い馬だが、マイソールサウンドに叩かれたのと、折り合い課題有るので、無理が出来ず中段やや後方。3角辺りからはずっとエリモハリアーの後追いの形。従ってエリモハリアーとは五分の内容。今日は枠順に泣いただけ。前述した様にデキは戻っている。

アドマイヤフジ

+8kg。完璧では無いが、前走阪神戦辺りから馬は良くなっている。道中はナムラマースと併走。少し掛かっていたが、このペースを思えば堪えている範囲。道中も全く動きなく進んでいたが、マイソールサウンドを掴まえるのに梃子摺っている様では話にならない。非力なタイプで馬場が合わなかった可能性も有るが、案外。

マイソールサウンド

-6kg。悪い時とは違って、歩様に硬さが無いのが良い。徹底先行タイプが1頭でも居ると別だが、誰も行かなかった事も有ってハナへ。途中ナムラマースに絡まれるシーンも有ったが、それ以上に今日はペースが遅かった。それだけにこれで逃げ切れなかった流石に衰えが有りそう。人気薄でも前へ行く馬だけに、穴党にとってはつい押さえたくなるタイプの馬だが、今日のデキでこれなら今後は完全に用無しだろう。

ナムラマース

2人曳き。もう少し柔らか味が有っても良いが、力強さは有った。馬体も悪くない。例に依って出脚が無いのだが、出して行って2番手。ペースを上げる意味が有ったのか、3角手前で一旦先頭に立つシーンも有ったが、基本的には折り合い面も問題無かった。直線向いても手応え充分だったが、内ラチ沿いが開かずそこ迄。最悪の展開に。ただ、小回りを出して行って対応出来たのは収穫。尤も、この相手でこのハンデなら力が違い過ぎるのだが。

シルクネクサス

2人曳き。滞在では落ち着いている。トモの張りも目立ち、デキだけならコレ。折り合いに専念して後方から。スローを嫌って早目に動いて行ったが、4角大外では厳しい。今日は展開が全て。

マチカネキララ

-12kg。字面は絞れたという事になるのだが、数字の割には華奢に映る。トモの送りも甘い。道中はロフティーエイムと前後する位置。折り合いも付いていたのに、4角では既にアラアラ。デキが無いにしても、負け過ぎ。

サマースプリントシリーズアイビスサマーダッシュ(JpnⅢ)

サンアディユ

鉄砲巧者だが、下見は何時も物静かなタイプ。馬体の張りは良かったが、元々そういう馬とはいえ歩様が硬い。出遅れて後方。道中追走自体は問題無かったが、今日は前崩れの展開に乗じただけ。結果的には鉄砲での強さを発揮したという形になるのだが、これもあくまでたまたまだろう。今日は能力判定不能。

ナカヤマパラダイス

2人曳き。造り上々。スプリント戦の割には大人しい馬が多かったが、気配を表に出していたのも好感。出脚で差が有った分、暫くはジョイフルハートとアイルラヴァゲインが壁に。前走中京戦は割と強い内容だったが、今日はこれで結果的に脚が矯まった分も。圏内の馬では有るが、次走人気になるならどうか?

クーヴェルチュール

シープスキンノーズバンド。もう少し重量感有っても良いが、落ち着いていたのは何より。出脚速く、徐々に馬場の外目へ。ただ、ジョイフルハートが早目に止まり、ラスト400m辺りで先頭に立たされたのは如何にも辛かった。このレース、近年斤量がモノを言っていて、その部分で割引は必要だが、今日は良く走っている方。次走注目。

アイルラヴァゲイン

ホライゾネットを付けて来たが、逆にテンション高く裏目に出たかも。一時期毛ヅヤ我悪かったのが持ち直して来ただけに、デキ自体は良さそうだが。好発。流石にジョイフルハートとは出脚で差が有ったとはいえ、絶好の展開に持ち込めた筈だったが、前述した様にジョイフルハートが早目に止まり、逆に苦しくなってしまった。今日は展開だが、近走は堅実。馬を前に置けば矯めも利く様になっており、スズカフェニックスがスプリント戦に回らないとなればこの秋の主役クラス。

サチノスイーティー

一息入ったが、今年は最初からデキが良かった。出脚で先行集団。500mで既にステッキが入っていたが、同じく前に居たクーヴェルチュールとは差が有ったとはいえ、それなりには粘っている。そのクーヴェルチュールとは斤量差も利いているだろう。やはり目下のデキは本物。

ジョイフルハート

-16kg。数字上はこれで丁度という事になるのだが、腹が巻き上がり気味の割に張りが無く状態面に疑問。出脚でハナ。ただ、アイルラヴァゲインのゲートが速かったにせよ、ラチ沿いへ行く迄の出脚では無かった。道中の失速の早さは然程問題では無く、56kgに軽くなったにも関わらず出脚が戻ってこないのが一番の課題。単純に衰えて来た。