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競馬回顧 2009年2回京都・1回東京

第26回フェブラリーステークス(GⅠ)

サクセスブロッケン

2人曳き。+7s。馬体増がトモの張りに繋がっているのは良い傾向。以前思えばだが、歩様もマシになった。ただテンション高く返し馬出来ず。フェラーリピサの方が出脚が速く、これに抵抗して少し掛かり気味。ただ、意外にアッサリとフェラーリピサが引いてくれて直ぐにスムーズに。道中はカジノドライヴと徹底マーク。直線向いて一瞬突き放されたが、内田博幸騎手が必死で追って最後に逆転。結果的にこの馬が一番馬場適性で優った印象。後述する乗り役の世代交代の問題は別にして、少なくとも馬が世代交代という論調はどうか。勿論、時計の掛かる馬場程経験が活きて来る、言い換えればスピード優先の馬場程若い馬が有利という面は有るのだが。

カジノドライヴ

+10s。シープスキンノーズバンド。この中間はここ目標という調整ではなかった筈で、馬体増は一般論としてはマイナスだが、見た目には重量感が出て来て好感が持てる。出脚は一番速かった位だが、エスポワールシチーを叩くのは得策ではなく2番手から。道中はガッチリ抑えての追走。直線向いても後続来る迄追い出しを我慢していた位だが、エスポワールシチーは捕まえたにせよ、その割には追って伸びていない。馬の問題は当然無視出来ないが、あの手応えで追い負けるのだから安藤勝己騎手も衰えたと言わざるを得ない。

カネヒキリ

止め絵は文句無し。ただ、歩様に少し硬さも。昔から芝スタートは下手だが、出脚と枠の利でカバーして好位のイン。道中は雰囲気良かったが、直線向いてカジノドライヴの手応えが1頭目立っていて、直線はジワジワと伸びた印象。要は一瞬の脚が無かった。中央に限れば渋った高速馬場は3歳春以来。弱点を突かれた格好。見た目は問題無かったとしても、戦前述べた様に今日は状態面万全ではなかった筈。良く走っている。

エスポワールシチー

-6kg。馬体減は余り良くない傾向。前走京都戦よりはイレ込みマシだったが。芝スタートという部分も有ったにせよ、この距離だと楽には行けないが、何とかハナ。外枠のカジノドライヴの方が余程速かったが、カジノドライヴが2番手に引いて、道中はスローの単騎。直線向いて一気に突き放す策も見事決まったかに見えたが、ラスト200mで掴まった。以前に述べた様に時計の速い馬場は得意だが、出脚と馬力が課題。

フェラーリピサ

ここへ入ると少し馬に差が有る。上位馬はバランスが良い。出脚速かったが、この枠でも有り、無理せず引いて好位直後。直線向いてサクセスブロッケンに並ぶ迄のシーンは造ったが、そこからの脚で差。枠も遠いのだが、枠と位置取りが入れ替わってもカジノドライヴが勝ってサクセスブロッケンが2着になるだけで、この馬の5着は変わらなかっただろう。現状は力負け。

ヴァーミリアン

毛ヅヤが良いので目立たないが、この数字では重目に映る。気配は抜群だが。ゲート少し悪いのは何時もの事。出脚利かせて中段から。追い出して一瞬の反応が悪いのは何時もの事だが、最後は手前も替わらずかなり苦しそうだった。上位馬は皆前に居て、カネヒキリを別にすれば時計勝負で強いクチ。馬体が絞れず機動力が落ちている状態だけに余計に痛かった。力負けではない。

第44回デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)

ディアジーナ

トモ高気味だが、歩様しっかり。1馬身好発。出脚も有りそうだったが、グローリールピナスに行かせて2番手。直線向いても中々手前が替わらずフラフラだったが、ラスト100mで右手前になって後続を突き放した。ただ、好発のスローで展開向いたのと、最後もミクロコスモスへ過怠金10,000円分の幅寄せが利いた。一応ブエナビスタを除いた2番手グループの一角だとは思うが、現状それ以上の評価もどうか。

ダノンベルベール

2人曳き。シープスキンノーズバンド。テンション高いのがマイナスだが、馬はしっかり。トモの甘さがマシになった。冬毛は仕方無い。好位でジワッと。3角手前でインに納まって最高の競馬になった筈が、ディアジーナがフラついて、グローリールピナスとの間が中々開かず、ラスト100m迄付き合う形になったのが痛い。競馬では勝っている。前述した様にトモの甘さが無くなって、出脚が良化。ブエナビスタの尻尾は見えた。

エイブルインレース

2人曳き。-12kg。造りにメリハリ欲しい気もするが、数字上の見た目はこれ位で丁度。これが一番出脚速そうだったが、カイテキプリンが外から行って好位から。ただ、着差は僅かでも、2着のダノンベルベール,4着のミクロコスモスに不利。最後は苦しがって逆手前になっていた。現状は決め手不足。

ミクロコスモス

寸が詰まって距離面微妙だが、大分重量感が出て来た。一完歩目が遅く、少し仕掛けたら掛かり気味に好位直後。ただ、直線はフラつくディアジーナに掻き乱されて殆ど追えず。まあ、この馬自身も向正面で過怠金70,000円分の粗相が有るのだが、それにしても運が無かった。最後は2着が無いならと追うのを諦めていたが、それも当然だろう。賞金加算出来なかったのが本当に痛い。

アンジュアイル

2人曳き。シープスキンノーズバンド。姿勢が高く、トモが甘そう。出脚サッパリで後方から。道中ジッと我慢していて、直線もインから。頭の高い走法だが、このスローでこれだけ差を詰めれば上出来だろう。本格化すれば化ける可能性も。

第102回京都記念(GⅡ)

アサクサキングス

2人曳き。+10kg。毛ヅヤは良かったが、多少太いだろう。少し出したが、出たなりで好位から。3〜4角中間の坂の頂点からスパート。サクラメガワンダーがこの馬を目標の競馬で、何度か馬がサボりそうになっていたのをハミを掛け直しつつの追い比べ。これ位の上がりがやっとの馬なので、時計の掛かる馬場も良かった。「直線が平坦の京都」というよりは、「坂の下りを利してスパート出来る京都」が合う。

サクラメガワンダー

2人曳き。舌を出して集中力散漫。ただ、昨季から馬体が充実。以前は牝馬の様な気性で、良い遊びが出来たとも言える。このメンバーなら出脚は一番速い位の馬だが、この距離で折り合いに専念し好位直後。アサクサキングスマークの競馬で、相手が早目ならこちらも連れての進出。最後は併せられると相手に分が有るという事になるのだが、それなりに神経使っての競馬になっていたのも確か。戦前にも述べた様に、この距離は本格化してこなせる様になっただけで、ベストは1600,1800m。

ヴィクトリー

パシュファイヤー。叩いて幾らかでもマシに。張りが出て来た。歩様も以前思えばスムーズになって来たが。今日はゲート五分。出脚サッパリになった馬だが、出してハナ。こういう馬場状態だが、逃げ馬の鉄則,ラチ沿い通っての逃げ。直線もそのままインへ。外2頭にやられはしたが良く粘っている。慣れればの条件付で、恐らくはダートの方が走るだろうが、今から使うには遅過ぎる。今更ながらデビュー当時の暴走が無ければもう少しやれた筈だったのに...。

カワカミプリンセス

2人曳き。少し緩い様にも見えるが、毛ヅヤが悪い影響も有ろう。一応は及第点。前走中山戦の後で控えるかと思ったのだが、横山典弘騎手、果敢に好位から。道中は折り合っていたが、アサクサキングスの早仕掛けに付いて行かず、結果的に競馬が後手に。ただ、これは決め手身上の馬だけに仕方無いところ。最後はジワジワ来ており、力は見せた。

タスカータソルテ

2人曳き。テンション高い。まだ馬が軽いというのが第一印象。まだトモも甘い。乗り役の判断で最後方から。直線もインから少し伸びた程度だが、それよりも道中の行き振りがサッパリ。まだ本当ではなさそう。

マンハッタンスカイ

-6kg。良く見せる馬で、何とも言えない部分は有るのだが、恐らくはデキ一息。減るのは悪くない傾向だが、中身が無くなっていた様に見えた。押していたが、馬場が悪いスタンド前のインという事も有ったのか、イマイチ出脚が鈍くヴィクトリーに叩かれて2番手。アサクサキングスに早目に来られて唯でさえ苦しいところに、このデキでは粘りが利かない。最後はバテバテ。

第59回ダイヤモンドステークス(GⅢ)

モンテクリスエス

2人曳き。この距離でどうかという話は有るが、馬振り目立つ。デビュー当時から数字は変わっていない馬だが、見た目は違って来た。出遅れ2馬身不利も、少し出して中段やや後方から。余計な挙動が有った分、序盤は行きたがっていたが、1周目決勝線上ではスムーズに。2周目3角手前でハギノジョイフル等が一気に動いて行く展開を我関せず直線迄待ってからの仕掛け。早仕掛けの連中は暴走の部類で、今日は普通に乗ったら展開がハマッた形。デビュー当時からの期待馬が重賞制覇で一気にスター街道...と迄は行かないと思うが、誰も居なくなって、オウケンブルースリがNo.1になりそうな今年のディスタンス路線。かなり低調な印象も強く、京都戦は連下級の扱いが必要。

ブレーブハート

馬体は張りが有ってしっかり。毛ヅヤも上々。何時も通り後方で折り合いに専念。2周目3角手前からビービーファルコン,ハギノジョイフル,更にエイシンダードマンが動いて行ったが、早目に外へ持ち出して、何時でも動ける位置に。直線向いて、内から併せに来たモンテクリスエスを押さえ込んで、一旦先頭に立っているのだが、立て直したモンテクリスエスに差された。恐らくは距離が長いのだろうが、この路線手薄で競馬になった形。

スノークラッシャー

背丈が無いだけで、馬体そのものは悪くない。出遅れて1馬身不利。道中は中段やや後方。特にインに拘っていた様には見えなかったが、3〜4角の手応えが一息で付いて行けず、結果的にインから。ただ、エンジン掛かってからの脚は中々しっかりしていた。距離の適性は高そう。

ベンチャーナイン

2人曳き。気配上々。やはりこの位の数字がベスト体重。例に依って下げて後方から。前々走中山戦同様、コースロス無く回って直線だけの競馬。モンテクリスエスの後を追い掛けて、1馬身差で坂上から暫く食い下がっていたが、ラスト1Fで力尽き、スノークラッシャーにも掴まって4着。折り合いに不安が無いのと、前述した様にこの路線はレベルが低いので着が拾えているが、弱いし距離も長い。

ゴーウィズウィンド

-8kg。絞れたと見て良い。張りが有って、デキ上々。一昨年辺りから出脚が鈍り出して、今日も結構押しているのに中段確保がやっとの出脚。それでも道中は折り合いが付くのと、マクりに来た馬の影響は受けない位置に居て、末脚が残せた。福島のマクり合戦でも堪えていた様にスタミナは定評有った馬、上がりも掛かって入着。

エイシンダードマン

-8kg。馬体は元々見栄えするタイプ。3歳時と比較して、歩様に力強さが出た。道中は中段やや後方。ただ、調教師の指示だったそうだが、例の3頭が動くのに連れて行ってしまった。幾ら決め手が無いといっても、勝ったモンテクリスエスですら36秒台の上がり。東京の長距離戦なら決め手が無くても競馬になる。最低の競馬。

フローテーション

相変わらずダラダラ感は有るのだが、前々走中山戦辺りから歩様だけはキビキビ。出して好位も、途中から行きたがってハナへ行く形。まあ、道中の折り合いも怪しかったが、今日は鉄砲玉が飛んで来て余計に痛い展開に。直線はズルズル。ただ、東京の長距離戦はこの手のダラダラタイプには向かない。重厚感有るタイプの方が強い。

第49回きさらぎ賞(GⅢ)

リーチザクラウン

-4kg。また馬体減。良い傾向ではないが、前走阪神戦よりメリハリは有って、落ち着いていたのはせめてもの救い。スペシャルウィークに似て来た。戦前は抑える競馬がしたいという話だったが、誰も行かずスピードの違いでハナ。道中は意外に我慢が利いていて、直線外へ持ち出せたのはそれだけ余裕が有ったという事だろう。3馬身半差は、スペシャルウィークが勝った時の同じ着差で、しかもこのレースの最大着差だそうだが、取り敢えず軌道修正は出来た形。

リクエストソング

毛ヅヤピカピカ。ただ、まだ線が細い。出脚も鈍かったが、行き場も無く後方から。ただ今日は、中段辺りがゴチャついていて、これが結果的に正解。馬場の悪い内目だったが、脚が矯っている分、しっかり伸びた。大本命決着だが、あくまで展開一本。戦前述べた様にそんなに強い馬ではないと思うのだが...。

エンブリオ

デキだけならコレ。ただ、歩様が付いて来ない。これも出脚が無く後方から。4角、スズノハミルトンの挙動がおかしくなり、これを待っていたら、ワンテンポ仕掛けが遅れてしまったのだが、結果的に脚が残っていて決勝線寸前で3着へ。正直、良く分からない競馬に。

ベストメンバー

2人曳き。テンション高く、トモが薄い。ゲートは悪かったが、ジワッと中段。ただ、一番馬群が固まっているところで無駄に外を回され過ぎたのと、多少掛かり気味。その分、最後が甘くなった。乗り方や折り合い面、問題は有るが、馬自身の能力としてはリクエストソングとも五分。

キタサンガイセン

-2kg。削ってみたら、まだ中身が無かったといったところ。出負けも出して中段。内へヨレて審議対象になったスズノハミルトンも悪いのだが、ハナへ行ったリーチザクラウンが遅く、後続が追い付いてしまい、そこで行き場が無くなりゴチャつく場面。ただ、一番不利がキツかったのはハイローラー。この馬の不利はそこ迄ではなかっただけに、もう少し伸びても良かった。リーチザクラウン以外はほぼ横一線だろうが、まだ完成途上。

第43回共同通信杯(GⅢ)

ブレイクランアウト

2人曳き。シープスキンノーズバンド。気配は良いが、まだトモが薄い。好発も出脚無く中段のイン。前走中山戦が早仕掛けで失敗しているので、今日は脚を矯める策。他馬よりワンテンポ待っての追い出しで、インから直線突き抜けた。武豊騎手、流石に同じ轍は踏まなかったが、前々走東京戦で述べた様に、脚の使いどころに難しさが有る。同日同条件の準オープンより時計速く、数字上は優秀だが、後述する様にトーセンジョーダンに不利。過大評価は危険。

トーセンジョーダン

馬振りも上位だが、何よりデキが良い。毛ヅヤピカピカ。気配も表に出す様になって来た。フレンドケントには叩かれたが、出脚利かせて好位のイン。ただ、勝ちに行って早目の進出、しかも暫くモタついている間に外から来たマッハヴェロシティと前でフラつくシングンレジェンドに挟まれる有様。この馬自身も、ジャングルポケット産駒らしい不器用さが有るのは確かだが、今日は勝てた競馬。

トップカミング

2人曳き。これも気配は良いが、歩様に力が無い。ゲート出たが、下げて中段。道中コースロス無く立ち回っているが、4角の手応えでブレイクランアウトと差。トーセンジョーダンもそうだが、ここでモタついているので、乗り役がインで我慢出来ず、4角外へ持ち出そうとしてしまう。終いはジワジワ伸びていてこの着差。勿体無いの一言。勿論、この馬自身ももう少し体質強化が必要なのだが。

マッハヴェロシティ

変わらず馬振り上々。歩様も問題無し。好発。好位の外で少し掛かり気味。ヒシポジションが3角で故障したが、他馬が内から避けて行く中、この馬だけが外から避ける形。元々行きたがっている中で、早目早目の競馬に。坂を上がって一旦は先頭に立つ場面は有ったが、そこで脚が上がってしまった。これもトップカミング同様、まだ馬力が足らない印象は有るのだが、今日は仕方無い一戦。ここでも充分通用。

シェーンヴァルト

パシュファイヤー。重心はかなり下がって来たが、まだトモが甘い。出遅れて後方。道中は行きたがっていた。直線だけ外へ持ち出したが、手前が替わらずジリジリ。まだ完成途上。

第14回シルクロードステークス(GⅢ)

アーバンストリート

2人曳き。チャカつく。芦毛で毛ヅヤは分からぬが、手先の軽さと馬体の張りは有った。外枠勢に叩かれる展開が戦前から見えていて、出方が難しい印象も有ったのだが、一回後方迄引いて、直線だけ外へ。中京巧者の印象強かったが、追ってもしっかり伸びた。中京を連闘で使った後で状態心配していたのだが、デキも良かった。こういう荒れた良馬場も合う。

ソルジャーズソング

+6kg。少し太い様にも映るが、歩様しっかり。ゲート少し悪かったが、この馬にしてはこれでもマシ。出脚自体は悪くなく、中段やや後方から。枠なりにインを回って、狭いところを割って良く伸びた。外伸び傾向がかなり出ていたが、こういう馬場も苦にしないというべきか、時計の掛かる馬場も向いていそう。

モルトグランデ

小さく纏まった馬体。歩様にも伸びが有り、デキは良い。出脚は悪くなさそうだったが、ゲート少し分が悪く、外枠勢に叩かれて中段から。直線向いてスプリングソングの直後。これでスプリングソングが伸びてくれれば文句無しの展開になるところだが、そのスプリングソングがサッパリ。目に見える不利ではないのだが、このロスは案外痛い。低レベルの一戦だが、差の無い馬。

ヘイローフジ

寸の詰まった造りだが、馬体に厚み。ただ、歩様が少し硬い。ゲートはむしろ速かった位だが、出脚サッパリで後方から。最初から外へ出して4角大外。滅多に前が止まらない京都1200m。今日の展開で4着は騎乗ミスに近い。この馬自身の回り脚も無い。

サープラスシンガー

前走もそうだったが、少し太い。戦前の予想通りハナ。ただ、この枠から「楽に」ハナ切る出脚は無いので、序盤にロスが有る。一応、単騎の形は造って、それなりに粘っていたが、元々時計に限界の有るタイプで、一踏張りが利かず。真面目には走っているが、これがこの馬の限界。底は案外浅い。

スプリングソング

馬体はこれで良いが、歩様が硬い。出負けを無理矢理出して好位確保。ただ、サープラスシンガーに並び掛ける場面すら造れずズルズル。今日は競馬になっていない。能力は有るが、時々ゲートが悪いのがネック。歩様が落ちていたのもゲートに影響しているだろう。

ウエスタンダンサー

牝馬ながらしっかりした腹回り。ただ、これも歩様が落ち気味。出たなりで好位直後。4角で前が壁になる場面も有ったにせよ、上手くインに潜ってそれなりの競馬だった筈だが、追ってサッパリ。外伸び馬場だったにせよ、ソルジャーズソングが内から来ていて、全く駄目という事も無かった。デキ?

第43回小倉大賞典(GⅢ)

サンライズマックス

2人曳き。+8kg。多少太いにせよ、馬は出来ている。トモの張りが昨春辺りから来て本格化。好発。出脚は人並以下だが、枠の利で好位直後。出した分折り合いピタリとは行かないが、横山典弘騎手、追い込み馬を先行させるお得意の騎乗で、今日はこの段階でほぼ勝ちが確定。道中はインに居て3〜4角中間でヤマニンキングリーが一瞬先に動いたが、前が壁にならない様に乗って直線勝負。良馬場の平坦なら格上の決め手が有る。横山典騎手は、レース後の勝利騎手インタビューが矢鱈嬉しそうだったが、今日は有る程度成算有っての西下だったのだろう。

ヤマニンキングリー

+10kg。これも太いが、張りは有って今季好調。少し出して中段。1番人気でも有り、少し早目の進出。直線はミヤビランベリとレッツゴーキリシマの間を狙ったのだが、ここをサンライズマックスに入られて、レッツゴーキリシマの外へ行く形になったのが結果的に痛かった。1番人気の競馬はしているが、着差が着差だけに惜しい。

ミヤビランベリ

今日は落ち着いていた。張りが出て来たのも良い傾向。出脚は一番速く、一旦はハナも、フサイチアウステルが何が何でもで行って2番手。折り合って次善策としては最高の競馬が出来た。理想を言えば自分でペース造って上がり35秒台の競馬にしたかったところだが、先着2頭は格上馬。この展開でレッツゴーキリシマを抑え込んだだけでも充分評価出来る。

レッツゴーキリシマ

馬体は文句無しだが、歩様にまだ硬さが有る。出脚がイマイチ無かった様に見えたが、一応好位から。道中はしっかり折り合ってミヤビランベリを目標に理想的な競馬が出来たが、結局最後迄交わせず。歩様の問題も有るが、追って切れる馬ではないだけに、これもハナがベストか。

マストビートゥルー

-8kg。デキ自体は良さそうだが、少し細い。スタート直後は挟まれそうになっていたが、出して中段。道中はずっとヤマニンキングリーを追っての競馬で、ヤマニンキングリーと同じ脚は使えている。前走中京戦は人気薄での勝利だったが、ハンデ差込とはいえ、力はオープンでも通用。

第23回根岸ステークス(GⅢ)

フェラーリピサ

この中間、色々大変だった様だが、見た目には問題無し。少し散漫な面は有ったが、これは元々。好発。中距離主体の馬で、この距離の出脚となると厳しい面も有った筈だが、外から来たダンツキッスイに連られた以外は、好位で流れに乗れた。直線も持ったままで先頭。セントラルコーストが意外に渋太かったが、これを競り落とし、最後差して来たヒシカツリーダーを押さえ込んだところがゴール。何といっても東京1400mのレコードホルダー。ここなら格が違った感。ただ、次走GⅠとなると決め手の差が有る。良くて3着の馬。

ヒシカツリーダー

毛ヅヤ冴えていてデキ自体は良い。ただ、少し太い様にも映る。その気になれば行ける出脚も有りそうだが、下げて後方。最初から外へ持ち出す事を意識しての競馬。ラスト1Fで逆手前になっていたが、それでも脚勢衰えずここ迄。ただ手前が替わる辺りは距離は1400m迄という事だろう。次走、人気にもならないとは思うが、軽視したい。

セントラルコースト

少しイラつき気味だが、骨格のしっかりした馬。逆に言えばまだ成長の余地が有る。ダンツキッスイが主張して途中から行かせる形になったが、出脚速く2番手。道中は掛かり気味になっていた程で、スピードは相当だ。直線向いてもフェラーリピサ相手に渋太く食い下がっていた。ダンツキッスイさえ居なければ勝っていた可能性も有った。ゲート出る様になって本格化。

アドマイヤスバル

-14kg。数字自体は絞れたと見て良いが、歩様に力が無い。スタート直後にかなり押していたが、出脚が鈍くて漸く中段。外からそれなりには伸びているが、ヒシカツリーダーとは脚の差がかなり有った。毎回、関東の重賞でソコソコ人気になっているが、実力がこの程度。重賞で勝ち切る力は無い。

バンブーエール

休み明けになるが、緩んだところも無く、充実した馬体。歩様にも硬さ無し。59kg背負って無理しなかった分も有るが、ハナには拘らず好位から。ただ、直線も伸びずバテずで雪崩れ込んだだけ。今日は仕方無し。これで次走変わる筈。

ビクトリーテツニー

2人曳き。この時期にしては上々の毛ヅヤ。前走中山戦の状態はキープ。道中は中段に居て、インをついたが前が開かず。前走中山戦後に述べた事は一応注意したいが、今日に限れば参考外。

第44回京都牝馬ステークス(GⅢ)

チェレブリタ

2人曳き。チャカついていたが、集中力は有った。デキが良いのは前走中京戦の際に強調した通り。出脚も無い馬だが、行く気も無く後方から。最初から外を回す気は無かった様で、枠なりに直線もインへ。こういう馬場で前が詰まる心配は無いのだが、しっかり伸びて抜け出した。ただ、この時計なら誰でも走れる。前走時に述べた荒れ馬場への適性で勝った印象も。

レインダンス

この中では重量感有る造り。ただ、近走同様張りがイマイチで、デキが良い様には見えない。出脚有る筈だが、行く気無く後方から。直線外へ持ち出し、決勝線寸前でザレマを捕まえて2着浮上。距離短縮で差しに回って台頭するのは良く有るパターン。これがキッカケになればとも思うが、如何せんデキが無い。メンバー恵まれた感が強くて。

ザレマ

ノビノビ歩けていて、毛ヅヤも悪くない。一息入ったが、デキには問題無し。出してハナのつもりが、カレイジャスミンの方が速く、これに行かせて2番手。ただ出した分、道中行きたがっていた。直線入り口で先頭に立ち、それなりには粘っているが、今日は仕方無いところ。相手関係云々は有るが、今日は言い訳が有る。

テンイムホウ

毛ヅヤ自体は冴えぬが、皮膚を薄く見せてデキは悪くない。ただ、少し細いのと歩様が硬い。出脚良く、ジワッと好位のイン。ザレマとは対照的に折り合って流れに乗った。差し馬台頭の展開では有ったが、ペース自体は然程速くなく、これで粘れぬのだから決め手が無い。オープンではキツい。

オディール

2人曳き。集中力に欠く面は有るのだが、フックラしてまずまずのデキ。戦前は毛ヅヤが悲惨との報道も有ったが、これ位なら問題無し。出脚は有る筈だが、戦前の報道通り、待機策。道中はインに居て、直線は内目から。それなりには伸びているが、ジリッぽい。今日は千載一遇のチャンスと思われただけに、次走以降は全て見送り。

第59回東京新聞杯(GⅢ)

アブソリュート

小じんまりと纏まっている馬体。目立つ馬ではない。ゲート五分も、出脚がイマイチで中段やや後方で折り合いに専念。内外に馬を置かない位置で追走し、直線だけ外へ。4角の手応えも良かったが、追ってもその通りにしっかり伸びた。これでマイルは4戦4勝だが、キャプテンベガに詰められている程度に詰められている様に、所詮関東レベル。道悪なので余計に過大評価は避けたいところ。GⅠ馬も居た中、今日でも5番人気は穴人気の部類だろう。何よりもこの手の馬は新聞屋にとってネタにし易い。今後は人気先行しそう。

キャプテンベガ

馬体はまだ良くなる余地を残しているが、今日は歩様がしっかり。出遅れて後方から。近走セコい競馬を志向してゴチャつくパターンが多く、今日はスムーズさ第一の競馬。枠なりに外へ出したら、4角丁度目の前にアブソリュートが居て、これを追い掛ける形に。最後迄1馬身差が詰まらなかったが、この馬の能力からすれば良く走っている方。道悪はサッパリだと思っていたのだが、今日は前が止まる展開も良かった。レベルの高い2000mから来た組が穴を開けるのは昨年から散見されるパターン。

スマイルジャック

2人曳き。下見は堪えが利いている。この中間、陣営から太目残りを懸念されていたが、太いというよりは多少緩い印象。毛ヅヤは良いが。出脚は有る筈だが、ショウナンアルバを行かせて中段のイン。今日は折り合い付いていたが、直線最内を狙って前が壁。そこから立て直すロスが今日は痛かった。最後は皆の脚が上がっていた場面とはいえ、一頭違う脚だっただけに惜しい。何れにしても力は有る。道悪こなすのは戦前述べた通りで、今後も折り合い一つ。

リザーブカード

下見だけパシュファイヤー。造りにメリハリが無く、集中力を欠く。良い様には見えないが。出脚が無く自然と後方から。外目を捌く形でそれなりには伸びているが、似た様な位置にスマイルジャックが居ただけに物足りなさが有る。所詮は関東のGⅢ級。

ゲイルスパーキー

踏み込みしっかり。500kg越える馬にしてはまだ軽過ぎる嫌いは有るが、これでも大分良くなって来た方。半馬身出負けも、出脚でカバーして中段。追い出して伸び案外というよりは内にモタれている。乗り役に言わせると左回りが駄目との事で、回り替わって改めて。

タマモサポート

近況と変わらず。良い状態で平行線。出脚速く、好位で折り合いに専念。直線、持ったままで先頭には立ったが、そこからが無かった。それでも先行勢では最先着。この馬場で一番人気にする方が間違いだが、一番人気の競馬はしている。

マルカシェンク

-8kg。見た目には決して悪くない。出遅れ。後方待機から外へ持ち出したが、全く伸びず。こういう馬場は駄目なのは戦前から分かっていた事だが、この馬が出遅れるのはデキ落ちのサイン。次走は軽視。

ローレルゲレイロ

2人曳き。気配は上々。ただ、良い時の重量感に欠く。出脚抜群に速くハナ。ただ、何時もなら離して行ける筈が行き脚が無く、サイレントプライドに競られていた。馬場はこなせると思っていたが、この内容は馬場以外に敗因が無い。