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競馬回顧 2009年4回阪神・4回中山

第43回スプリンターズステークス(GⅠ)

ローレルゲレイロ

オーストラリアンブリンカー。中2週で一変は疑問だったが、歩様だけはスムーズに。好発。出脚は戻っていないが、何が何でもの構えでハナ。出脚で勝っていたアルティマトゥーレが早目に引いてくれて前半3Fが32.9秒。追っても頭が上がりかなり苦しいところだったが、乾き掛けの良馬場つまり差せない馬場で1cm差凌ぎ切った。乗り役の気迫勝ち。余談だが、今春の中京戦も13番枠。ちなみに父の中京戦も13番枠。そして父は13番枠でこのレース3着。13番枠には妙な縁が有る。

ビービーガルダン

遮眼革。前走札幌戦の段階で既に出来ていた。輸送分絞れたが、変わらずデキ上々。出脚悪くなく好位から。今日はモタつく場面も無く、4角で前へ並び掛けたが、直線手前が替わらず。1cm差に敗因を求める事はナンセンスに近いのだが、結果的にこの分の差。時計が無い分の辛さは有ろう。ただ、前走札幌戦でも述べた様に狙いとなるのはマイル戦。次走以降も注目。

カノヤザクラ

2人曳き。元々大して良くなかった筈だが、思ったよりデキ落ちが無い。出遅れて後方から。外回る羽目になって、この馬場では余計に苦しい展開だった筈だが、坂を上がってからのもう一押しが有った。この辺りはデキが有るからだろう。シーイズトウショウの様にサマーシリーズを狙うとその後がボロボロというケースが多いのだが、3走目一杯使ってもヘコたれなかったのだから立派。

アイルラヴァゲイン

若干太いが、毛ヅヤは冴えていた。一応は走れる状態。意外に出脚が速く、スッと好位。ビービーガルダンが早目に仕掛け、直線向いてはこの直後。ここからの脚で突き放されたが、GⅠで4着なら充分。復調気配。ただまあ、実質中山限定の馬。暮れには中山1200mの番組が無く、苦しいところ。

アルティマトゥーレ

落ち着いていて、歩様もキビキビ。下見は問題無し。ゲートで微妙に後手踏んでいるが、それでも出脚は抜群に速く2番手から。4角迄は問題無かったが、4角アーバニティが居て外に出せず、改めて狙ったインも一瞬開かずで馬が諦めてしまった。馬にこういう経験が無いのが痛かった。間違い無く無くスピードは現役No.1。来春の中京戦で改めて。

第13回シリウスステークス(GⅢ)

ワンダーアキュート

2人曳き。気配抜群! 立派過ぎる位の造り。馬体だけなら既に兄以上。好発。出して好位の外。馬群の切れ目が出来たところでインへ入れ、直線も最内から。力強い足取りで後続を突き放して3馬身差。新潟戦を反省しての小細工だったが、結果的には不要だった。とにかく強い内容。馬振りが良いので、使い減りしなさそうな点も買える。ただ、今日は2000mで誰も先行しないところを強気に乗っての先行策。出脚自体が速い訳ではない点に注意。

ダークメッセージ

オーストラリアンブリンカー。元々がダート馬ではないので、トモが薄いのは気にならず。芝ならバランス取れた造り。芝スタートで出脚負けはなく中段から。4角外回ったが、芝でも差せる瞬発力でここ迄。芝スタートで流れに乗れるコース形態自体も向いているが、下が渋ったのも向いた。今日は最高の条件が揃っただけ。

ゴールデンチケット

状態云々より、まず細い。馬体回復しなかったのが痛い。トシナギサを行かせて2番手。4角の手応えは悪くなかったが、内からワンダーアキュートにあっさりやられてしまった。まあ、その割には最後止まっていないという見方も出来るのだが、内容的には完敗。繰り返しになるが、もっと馬体が増えぬ事には。

エプソムアーロン

-16kg。馬振りは平凡だが、絞れた分良化。出遅れて挟まれてで後方から。腹括ってインに入れ、直線もインから。一瞬伸び掛かった様にも見えたが、そこからが無かった。距離が長い。

ワンダースピード

2人曳き。歩様に力が無い。鍛錬不足。出すだけ出しつつ、行きたい馬に行かせて好位直後。直線向いてスペース自体は有ったが、斤量背負っての時計勝負。元々がパサパサのダートを好むこの馬にとっては厳しかった。ただ、力負けではない。良馬場ならこの斤量でも。

第55回産経賞オールカマー(GⅡ)

マツリダゴッホ

シープスキンノーズバンド。増減無しも、叩いた分良化。ギスギス感がマシになっていた。往時の出脚は無いが、この枠で内が誰も行かないと見てハナへ。出し抜け気味に行ったのが今日は正着手。道中のペースが大して速くなかった割に、離し逃げ。得意の回り脚で4角突き放し、直線はオイデオイデの楽勝だった。これで同一重賞3連覇になったが、裏を返せばはここしか走れる条件が無いという事。暮れの中山戦が大目標になるが、出脚が落ちて序盤をスムーズに運べぬ危険が高く、そうなれば昨年の展開が待っている。昨年も全く同じ事を述べたが、各馬牽制してその気なら楽に行ける東京戦こそが狙い目。

ドリームジャーニー

2人曳き。この馬の場合は背丈が低いだけ。トモがしっかりしている点が一番のセールスポイント。出遅れて後方から。59kg背負って流石にという事で、少しずつでも番手を上げて行ったが、ここ迄。最善手は打てているが、今日は仕方無しだろう。ただ、59kg背負ってシンゲンをネジ伏せた辺りが底力。ただ、東京はこの馬にとって難しい面も。

シンゲン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+12kg。多少太い気もしたが、前走東京戦が-10kgでの出走。減るよりは増えた方が良い。イレ込みもこの程度なら許容範囲。中段のイン。下見で気負っても実戦に行けば折り合いは付く。4角内を捌いて、直線はドリームジャーニーとの併せ馬。相手の渋太さが一枚上手だったが、中山でこれだけ走れば充分。やはりGⅠでも足りる馬。

トウショウシロッコ

馬体は決して悪くないが、もう少し歩様がしっかりして欲しい。道中は後方の外。ずっと外回されて、良い立ち回りが出来たとはいい難い筈だが、その割には伸びている。依然中山2200mは掲示板を外していない。正直、適性が有ると思えないのだが、結果は出ている。

マンハッタンスカイ

オーストラリアンブリンカー。数字の割にトモが薄くて、歩様も甘い。その気ならハナへ行けた筈だが、様子窺っている内に、マツリダゴッホに行かれて結局は好位から。道中は過不足無いにせよ、直線は切れ負け。結果的に消極的過ぎた感も有るが、掲示板に載って賞金は銜えて来た。馬主としてはこれで充分のだろう。

第57回神戸新聞杯(JpnⅡ)

イコピコ

首でリズムを取って落ち着いていた。馬体は然程目立たぬが、バランス取れている。出たなりで二分戦後方組の先頭。前団組に行きたがる馬が多い中、折り合いピタリ。向正面で勝ったと思えた程。直線向いて何処へ持ち出すかでかなり逡巡有った筈だが、結局一番外へ出して33秒台の脚。前走福島戦時に述べた様に、器用さ身上の馬で、今日はそれが生きた。ただ、能力的にJpnⅠ級とは思えぬ。まあ、春の実績馬が何れも大概なのも確かなのだが...。

リーチザクラウン

2人曳き。-18kg。前々走中山戦以上、前走東京戦以下。数字程は細くない。戦前の想定通りハナ。折り合い云々をいえばこれが一番手っ取り早い策。この点は目論見通りに運び、4角後続を引き付けての追い出し。好位勢は振り切ったが、外からイコピコ。自分の競馬は出来ていて、ラチ外の馬にやられた格好。フォーム乱れず止まっていないだけに、一応は仕方無し。ただ今日の馬体減が良い方に出る事は無いだろう。今後の調整が難しい。

セイウンワンダー

2人曳き。妙に馬が緩い。一週間前が妙に細かったが、数字だけ戻した格好。珍しく好発。ただ、道中かなり行きたがっていた。前に居た分、アンライバルドには先着出来たが、リーチザクラウンに並び掛けたところ迄で、イコピコには無抵抗。今日は調整の失敗も有った筈だが、基本はマイラーだろう。ただ、JpnⅠとなると何故か折り合っている。次走京都戦も強ち...。

アンライバルド

2人曳き。引っ掛かったので結果的には気負い過ぎという事になるのだが、気配は抜群。馬体も迫力充分だが、マイラーのそれ。先行馬群の内目。前を壁にして折り合い付けたかったところだが、それでも行きたがって今日は殆ど競馬にならず。ただ、それでも一瞬は伸び掛かる場面造った辺りに底力。3000mは無理だが、マイルならGⅠ楽勝の場面も。

トップカミング

2人曳き。毛ヅヤは良いが、馬体に締まりが無く、トモも甘い。前団に居た組では一番これが折り合っていた。今日の上がりの速い展開で、絶好だった筈だが、この負け方。単なる力負け。

アプレザンレーヴ

+24kg。恐らくは太いだろうが、適正体重になると細く映りそう。とどのつまりは未完成。好位のイン。これも折り合いは付いていた方。前の馬がフラついていた影響は有ったが、この馬自身も伸びていない。レース後故障も判明し。

第14回エルムステークス(GⅢ)

マチカネニホンバレ

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤピカピカでデキは抜群。ただ、一流ダート馬に有る重厚さに欠ける。ゲートを真っ直ぐに出ず、そのままなら後方からになりそうだったが、押して2番手。この出脚は速かった。ウォータクティクスの取消でスローで流れて、先行有利の新潟。展開絶好だったが、内からネイキッドに迫られて直線は双方必死の併せ馬。何とか競り勝ったが、それ以前にコーナーを締めて回らない乗り役が駄目。ネイキッド1頭ならともかく、クリールパッションにも入られそうになっていた。今日は馬に助けられた格好。ただ、この厩舎らしい淡白さも有った馬だが、この粘りは評価出来る。馬体成長すれば一線級とも戦えそう。

ネイキッド

デキは良さそうだったが、馬自体は然程目立たず。出脚良かったが、控えて好位直後。4角で逃げたトシナギサの直後、トシナギサとマチカネニホンバレの間が開いて、直線マチカネニホンバレとの併せ馬。最後競り負けたのは馬の器の差だが、この器用さは買える。戦前はこの競馬をトーセンブライトに期待したのだが、トーセンブライトの後継者位にはなれそう。

クリールパッション

皮膚を薄く見せる点は好感。ただ、腹回りがボテッと映る。出脚悪くなく、ジワッと出して、好位直後。丁度ネイキッドと前後する位置。直線はネイキッドと同じところを狙い、一瞬は入り掛かったが、乗り役に言わせるとそこで馬が怯んでしまったとの事。それが無くても3着だっただろうが、いきなりのオープン挑戦だけに上等の内容。この相手でも通じる。

トランセンド

-4kg。相手が古馬になった影響も有るが、前走以上に馬が細く映る。例に依って出脚が速く好位から。前走からそういう面は有ったが、序盤かなり行きたがっていた。直線も然程伸びず、前走から1.9秒も遅い時計でのゴール。1角で外へフクれる場面も有り、状態面万全ではなかったのだろう。まだ完成途上の馬だけに、一戦毎の消耗が他馬より激しい。

ナムラハンター

馬体の造り悪くなく、デキは上々。ただ、芝馬の様なスナップ。ジャンプする様に出て出遅れ。前有利の新潟で致命的な不利だったが、早目にマクッてここ迄。後方に居た組では最先着だから上々。ただ、道中クビを使わない走法。見た目は芝馬だが、走法は確かにダート。

アロンダイト

2人曳き。もっと煩くても良い位。絞れて馬振りは流石。何時もより前での競馬。この枠でずっと外を回される展開は仕方無しだが、それでもと積極的にマクッて行った。左回りならとは思ったが、せめてナムラハンターには先着して欲しかったところ。

第63回ラジオ日本賞セントライト記念(JpnⅡ)

ナカヤマフェスタ

2人曳き。数字は無いが、馬振りでNo.1。緩んだところも無く、いきなりから95点はやれる。この枠だが、積極的に乗られて好位直後。道中ずっと外を回され、しかも4角マクりに行く、かなり強引な競馬。近年の中山は距離を問わず、外回っては厳しい筈だが、久々に見た自力駆け。この相手なら圧倒的能力差が有ると見て良い。阪神組の方がレベルとしては遥かに上だが、次走も圏内。

セイクリッドバレー

チャカつきは許容範囲。まだ馬体には成長の余地を残しているが、しっかり踏めており、緒戦としては悪くない状態。少し出して好位。序盤多少行きたがる面も有ったが、ナカヤマフェスタの一歩前での競馬。4角でマクりに来たナカヤマフェスタに付き合わず、内で一回脚を矯めてからの追い出し。序盤行きたがった以外は上手く乗られているが、最後は地力の差。距離をこなしたのは収穫だが、それ以上でもなくて。

フォゲッタブル

馬体に迫力が無く、若干踏み込み甘い気もするが、落ち着いている点は好感。出脚鈍かったが、立て直してナカヤマフェスタを見ながらの競馬。ひたすらナカヤマフェスタをマークして、直線も外から。全身使ったフォームには好感持てたが、まだ決め手で差が有る。先々は走って来るとしても、次走は出走するだけになりそう。

アドマイヤメジャー

コンパクトに纏まった馬体。ただ、それ以上の馬でもない。ゲートを真っ直ぐに出ず、後方から。道中も結構行きたがっていた。直線それなりに追い込んでいるが、最後は位置取りの差。乗り役の話通り、ゲートで落ち着きが無いのも気になった。気性面に課題。

ヒカルマイステージ

2人曳き。バランスは取れて毛ヅヤは良いが、まだ全体に緩い。ゲートも速かったが、意外な先行策。ただ、マトモにブレイクナインを追い掛けてしまい、ナカヤマフェスタの良い目標に。慣れぬ競馬で止むを得ぬ面も。

マッハヴェロシティ

+12kg。ナカヤマフェスタと馬は双璧だったが、若干重い。ただ、トモの甘さが幾らかでもマシに。出ッパが怪しかったが、大外枠だけにスムーズに立て直し、ナカヤマフェスタをマーク。フォゲッタブル同様の徹底マーク策は間違っていないが、追ってからが甘い。小脚の利くタイプではなく、バラける東京向きの馬という事になるが、似た様な事はナカヤマフェスタにも言えた事。現状の天井。

第27回関西テレビ放送賞ローズステークス(GⅡ)

ブロードストリート

テンション高目。腹回り少し寂しいが、トモの張りは決して悪くない。好発も、控えて枠なりの中段。ソコソコ流れたにも関わらず、道中掛かり気味。直線向いて、坂下で前が開き、そこからは一気だった。瞬発力は春から定評有ったが、この距離でそれを存分に発揮。このペースでも、脚を矯めてメリハリ付ける競馬が出来たのも大きいだろう。逆に言えば、距離が延びるのとローカルハンデ重賞的展開になり易い京都2000mに替わるのはマイナス。次走は8割方馬券圏外と見たが。

レッドディザイア

+10kg。少し余裕残しの造りだが、馬振りは断然。権利有る馬の休み明けとしては完璧。例に依ってゲートが怪しく、中段やや後方。折り合いは付く馬で、4角迄はこの馬のパターンだったが、外からミクロコスモスにマクられて、立て直す羽目になり、一手ロス。乗り役も慌てていたのか、馬に苦しいところが有ったのか、直線坂を上がる際に右手前になり、その分内にモタれ気味。これだけ時計が速くなったのもこの馬には誤算だった。とはいえ、一応地力上位を示した競馬。ペース問わず走れる辺り、次走も上位評価出来るが、ゲートと出脚の怪しさは相変わらず。何時かボロが出そう。

クーデグレイス

-14kg。前走札幌戦が一枚重目の状態。緩んだところが無くなって、馬振りも中々。メモリーパフィアには叩かれる形になったが、立て直して2番手。前述した様にソコソコペースも速かったが、折り合いスムーズ。直線向いてスッと抜け出し、一瞬はやったかの場面だったが、坂を上り切る寸前に右手前になって息切れ。それでも充分の内容。ハイペースで先行して粘りが利く点が何より。小回り平坦に替わって次走本命にする手も。

ミクロコスモス

馬体は悪くないが、まだ手先だけで歩いている。出遅れて後方。大事に乗る分には今季は折り合いスムーズ。イチかバチかで4角手前からマクッて行ったが、先団に取り付いたところ迄。そこからはジリジリだった。色々あの手この手で乗られているが、結局は4着が限界の馬。

ボンバルリーナ

2人曳き。横の比較では上位だが、この厩舎の馬がこれでは駄目。ゲート若干後手を踏み、中段やや後方。それでも道中はブロードストリートの直後で展開とすれば悪くなかったが、前が詰まるのを嫌って直線外へ。権利が有ればこれで良いが、権利が無いだけに、ギャンブルに行っても良かったか。何れにしても1勝馬がこれだけ走れば上等過ぎる位。相手なりに走れるタイプ。1000万でも通用。

ワイドサファイア

落ち着いているのは良い傾向。ただ、成長に欠く嫌いも。2馬身近く出遅れたが、仕掛けて中段のイン。直線も内を狙ったが、ずっと前が壁となり、競馬にならず。参考外。

ワンカラット

+12kg。決して太くない。キビキビ歩けていて、成長も有りそう。道中は中段の外。ただ、このペースでもかなり行きたがっていた。直線向いてもジリジリ。距離?

ジェルミナル

+6kg。数字は増えているが、腹回りが巻き気味。細いだけで成長は有る筈。出脚が速く、ジワッと好位。ただ、直線向いてからがサッパリ。ただ、一週間前に攻め馬をスキップ。自分で自分の脚をブツけたとの話も。下見も決して良く見えなかっただけに、順調なら巻き返しも。

ヒカルアマランサス

+32kg。休養前が細化傾向にあったとはいえ、成長分も相当。良い馬になって来た。好位で流れに乗ったが、ワイドサファイヤ同様前が壁。次走は抽選になるだろうが、成長力は買える。出られれば大穴で一考。

第54回京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)

ザレマ

-12kg。前走札幌戦が一枚重い状態。デキ自体は然程変わっていない筈だが、絞れた分が上積み。好発。近走出脚が鈍っている気もしたが、少し出して教科書通りに好位のイン。折り合いは付く馬で、今日はここで最低馬券圏内は約束されていた。4角もサイレントプライドとマイネルスケルツィが抜けて、外へ持ち出すタイミングも完璧。悲願の初重賞だが、全てが上手く行った。時計も上がりも馬場状態勘案すれば決して速くない。決して詰めの甘さが解消された訳ではなく、今の中山はこれしか勝てないという悪い見本だ。

アップドラフト

皮膚を薄く見せてデキは良い筈だが、腹回りはボテッと映る。所作に硬さを感じるのもマイナス。出脚は然程負けている訳ではないが、馬場状態意識して行きたい馬が多く、これを嫌って控えた結果、中段のイン。丁度ザレマの直後が取れて絶好の展開に。ただ、ハンデが軽かった割にジワジワとしか伸びていない印象。他が走っていない気も。

マイネルスケルツィ

馬は変わらず。今季は歩様に硬さが無いのが良い。内の出方を窺いながらジワッと好位の外。この枠でほぼ理想通りの競馬だが、結果的にザレマの進路を造って、アップドラフトにも差されてしまった。ハンデ分は有るが、もうワンテンポ待てば着順は違っていた。

ケイアイライジン

まだ古馬と比較するのは酷。ここへ入ると全体に華奢。スタート直後に躓いて後方。インを回った利とこの馬場の割に上がりが掛かった利は有るとはいえ、直線向いてからの伸びは中々だった。土曜日のブレイクランアウトもそうだが、今年の3歳馬は結構レベルが高い。

サイレントプライド

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-10kg。馬はこんなモノと思うが、イレ込みキツい。斤量分なのか、出脚は分が悪い位だったが、積極的に乗られて2番手。それでも4角迄は問題無かったが、マイネルスケルツィの早仕掛けで苦しくなってしまった。ただまあ、元々が58kgに見合う実力の馬ではないのも確か。精々GⅢ2,3着レベルの馬。

ヒカルオオゾラ

2人曳き。-14kg。馬の形が良い馬。それで細く見えるのだから、相当なのだろう。ただ、毛ヅヤは文句無し。気配も我慢していた範疇。1馬身出遅れも。押して好位直後。ただ、元々折り合いに不安の有る馬が、体調が万全では無いと来て更に悪い方に出てしまった。今日は競馬にならず。参考外。

サマースプリントシリーズ第5戦第23回セントウルステークス(GⅡ)

アルティマトゥーレ

メンコやバンテージだけではなく、後ろ蹴り確認用のリボン迄、紫で統一した派手な馬装だったが、馬も負けていない。今日は良い方のこの馬。道中は好位の外で引っ張り切りの手応え。この馬自身も出脚は速いが、コスモベルが行って更に楽な展開に。4角での手応えが他馬とは違い過ぎた。直線2馬身半は楽勝に近い。前走道悪で若干伸びを欠いたが、良馬場で本領発揮。コスモベルの先導は大きかったとはいえ、この枠で勝てたのも大きいだろう。戦前は世代交代出来ていないと述べてしまったが、新星現れた。

スリープレスナイト

+22kg。一見は然程太い様に見えないが、全体に余裕が有る。出脚で負けて8枠2頭を見ながらの競馬。それでも外から追撃態勢造ったが、アルティマトゥーレには更に差を付けられてしまった。57kg背負って余裕残しの馬体、一応は及第点やれる内容。ただ、スプリントは勢い有る馬が有利。この路線、チャンプになる迄はレース数豊富だが、チャンプになった途端に使えるレースが年間4つしか無くなる。しかも、厳寒期と夏場に調整しなければならず、4レース使う事すら難しい。次走中山戦は対抗止まりの扱いが妥当。

コスモベル

+6kg。造りにメリハリ欲しいのは確かだが、手先の柔らかさは目に付いた。この枠だが、押して何が何でもの構えで行ったところをローレルゲレイロが抵抗して2番手。この形はあまり良くない上に、4角手応え充分のアルティマトゥーレ。直線ズルズル行っても仕方が無い場面を差の無い3着に。今春辺りはサープラスシンガー辺りとも差の有る競馬だったが、今日の競馬なら文句無し。GⅢなら手の届く位置に。

カノヤザクラ

2人曳き。今日も馬は堪えていた方。馬体も迫力充分。今日は若干出負け。外から来られて位置取り悪くなり、しかも4角で行き場を無くして更に競馬が後手に。最後意地で差し込んでサマースプリントシリーズのチャンプは防衛出来たが、内容自体は消化不良。この馬のゲートは出てみないと分からないところが辛い。

マルカフェニックス

-8kg。順当に絞れて良化。トモのボリュームも有り、悪くない状態。これもゲート後手踏んでいたが、出して中段。4角外回して、最後それなりに伸びているが、前との差が然程詰まっていない。ベストは前が止まる1400m。ただ、何時もそれなりの競馬が出来ている。乗り方一つで何とかなると思うのだが...。

スズカコーズウェイ

少し緩いが、バランス取れた造りで、一応は走れる状態。歩様もしっかり。出脚が意外に負けていなかったが、引いて好位直後。立ち回りは上手い馬で、今日も過不足無い競馬が出来ているが、直線向いてからが案外。休み明け応えた?

ローレルゲレイロ

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。馬は集中して歩いていたが、左トモの送りが少し甘い。戦前の想定通りハナ。ただ、完全に出脚でやられていた。4角でアラアラ。斤量は言い訳になるが、今季はデキも怪しい。

第60回朝日チャレンジカップ(GⅢ)

キャプテントゥーレ

2人曳き。長期休養明け2走目で反動心配するパターンだが、歩様に硬さが無かったのが何より。馬体も絞れて更に良化。好発。出脚も速かったが、コスモプラチナが主張して好位のイン。ここで折り合って、4角外へ持ち出し、直線は更に外から来たブレイクランアウトとの併せ馬。一旦は出られた様にも見えたが、差し返して最後はクビ差。前走新潟戦からそうだったが、直線向いてからの粘りが有る。完全復活というよりは、勝負根性の点で復帰前の状態を越えた。ただ、前走,今回と下が緩い馬場状態。脚元怪しい馬だけにこれは有り難かっただろう。パンパンの良馬場でどうなるか。

ブレイクランアウト

2人曳き。シープスキンノーズバンド。春より落ち着いていたのは良い傾向。ただ、今日は馬にギスギス感も。恐らくは、骨格は成長しているのだろうが、調整の失敗で細い状態。意外に出脚は速そうだが、折り合いに専念して中段。普通に馬群の外目を乗っていただけだが、その折り合いもスムーズ。4角での反応が若干悪い気もしたが、直線向いてからは加速。キャプテントゥーレとのマッチレース。一旦は先行したところを最後差し返されたが、休み明けでの併せ馬は古馬でも辛いモノ。元々が排気量勝負の馬だけに尚更だっただろう。充分に力は見せた一戦。

トーホウアラン

2人曳き。+8kg。一応馬の形は出来ている。ただ、まだ鍛錬不足。トモが若干甘い。ゲートも少し悪かったが、出脚も鈍く、中段やや後方。道中はコースロス無く運べていたが、今日のスローで2頭先に抜けられる展開になると辛い。もう一つ前の競馬なら際どくなっていた筈。何れにしても下見では万全と思えなかった長期休養明けでこれだけ走れれば上等。次走京都で連覇の場面も。

テイエムアンコール

トモが薄く、馬自体はここへ入ると差。ただ、芦毛にも関わらず毛ヅヤが抜群。デキは良い。例に依って出脚が無く中段やや後方。4角の反応が悪く、直線入口では包まれる格好になったが、これを捌いて直線はそれなりの伸び。スロー思えば良く差を詰めている方だろう。追い込み一手の割に今迄人気でしか勝っていないが、これは基本性能の高さ故だろう。本質は大駆けタイプ。広いコースの道悪で一発狙える。

サンライズベガ

馬自体は変わらず。今日は馬の雰囲気が前走新潟戦より良かった気も。外から積極的に乗られて好位。直線向いてからが甘くなったが、今日はアドマイヤベガ産駒の道悪という点が大きい上に、元々が真っ向勝負の馬ではない。前走は上手く立ち回ったが、元々は詰めの甘いタイプ。重賞なら良くも悪くもこの程度。

モンテクリスエス

+6kg。オーストラリアンブリンカー。多少太いだろうが、毛ヅヤは上々。この厩舎らしいシルエットにはなっている。ゲート五分でこの枠ならもう少し行けるかと思ったが、結局は後方から。内からジワジワ伸びていて、大きく負けている訳ではないが、位置取りと決め手の差は如何ともし難い。デキは有るのでこれを叩いて絞れれば。