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競馬回顧 2009年4回京都・4回東京

第140回天皇賞・秋(GⅠ)

カンパニー

歩様のスムーズさを言えば前走の方が良かったが、それでもこの馬としてはかなり良い方。皮膚の薄さも印象的。珍しく好発。この馬の出脚で中段。2角進入時に一瞬ウオッカと併走する場面で、ウオッカより前を確保出来たのも大きかった。枠なりにインを回って、4角の手応えでスクリーンヒーローが抜け出すと確信し、その直後。この辺りの捌きも完璧。今年は東京戦辺りから馬が充実。得意の決め手勝負で歯車が上手く噛み合った。ただ次走京都戦は一番人気が必至。特別なウィークポイントが有る訳ではないのだが、蹴飛ばしてこそ。根拠は無いが、それが競馬。

スクリーンヒーロー

2人曳き。遮眼革,シープスキンノーズバンド。+12kg。数字は回復分。多少張りが無いのは休み明けだろうが、一応は及第点。歩様もスムーズだった。好発。出脚も抜群に速く、ヨレる危険の有るコスモバルクを叩きつつ、行きたい馬に行かせて好位のイン。首を下げた走法がタイキブリザードを思い出させてくれたが、タイキブリザード同様この手のスローを前々で誤魔化すのが上手い。次走は連覇懸かって必要以上に売れるのでともかく、暮れの中山戦なら。

ウオッカ

叩いて馬体に張り。この中間は不安説が流れていたが、文句無しの状態。例に依ってゲート速いが、今日は最初から折り合いに専念。ただ、内をアドマイヤフジとカンパニーに入られ、下げざるを得ず後方に近い位置。懸案の折り合いも決して万全ではなかった。直線向いても前述2頭が邪魔で内を突かざるを得なくなったが、これが開かず切り返すロス。それでも一瞬物凄い脚を使っているのだが、最後の最後で逆に甘くなった。今日は乗り役のミス。これを「完敗」と馬の所為にするのは可哀相。ただ、馬自身が止まったのも確か。マイラー色が濃くなって来た。

オウケンブルースリ

-8kg。数字分減った様に見えるが、決して悪くない。落ち着きの無い気性は相変わらずとしても、今季はデキが有る。出遅れて後方から。道中は折り合いが付いていた。このスローで無理に外回さない策は決して間違いではないのだが、直線前が中々開かず、多少のロスも。ただ、直線向いて最大1馬身以上差が有ったシンゲンを捕らえた点は高く評価しておきたい。適距離の次走は本命視。

シンゲン

パシュファイヤー,シープスキンノーズバンド。トモの張り目立ち、デキは生涯最高。イレ込む馬にとってGⅠは下見所の中に関係者が居るのが気になるのだが、良くも悪くも普段通り。出脚は決して悪くない馬だが、折り合い面も有って中段。ただ、気を遣って乗れば引っ掛かる事は無い馬。このスローが向かなかったという側面は別にして、立ち回りはスムーズだったが、前述した様に最後オウケンブルースリに掴まった点が案外。レース後骨折判明したそうで、一応これを言い訳にしておくが、GⅠ経験の差が最後に出た印象も。

第52回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

キンシャサノキセキ

右側だけの遮眼革。気性面怪しい部分は有るが、デキ自体は前走中山戦から悪くなかった。出脚は速い馬だが、出すと引っ掛かるので、ジワッと乗って好位。それでも道中は引っ張り切りでの追走。直線は外から先に抜け出したアーリーロブストをネジ伏せた。戦前述べた様に、ここなら地力が違った感。ただ、道中の手応え程には伸びていない。この点がずっと変わらぬこの馬のジレンマ。次走マイルで用無しに。

アーリーロブスト

2人曳き。気性面で幼さは感じたが、馬体の成長は有った。デキとしても良い状態。ただ、寸詰まり気味。マイラーだろう。出脚利かせて一瞬はハナも、マイネルレーニアに行かせて2番手。マイネルレーニアが内枠から逃げているので、ペースが速くならず前の競馬に。最後は専門職との差が出たが、出脚が速く折り合いが付き、オールラウンダーの競馬は出来ている。

マルカフェニックス

2人曳き。漸くの適条件だが、毛ヅヤが落ちて来た。好発も、この枠で下げざるを得ず中段から。3角過ぎに行きたがる場面が有ったのも若干痛かったが、それよりも今日は展開だろう。この馬としてはそれなりの脚は使っている。1400mなら力量上位を思わせる内容だったが、乗り役が言う通り、だからこそ結果が欲しかった。痛い3着。

ショウナンカザン

地味だが、バランスの取れた造り。キビキビ歩いていてデキは良かった。出脚が速く、スッと好位のイン。内が必ず開く京都外回り。最内突いてそれなりに頑張っているが、ここ迄。上位とは力量差が感じたが、器用さは前走中山戦で証明済み。昇級即の重賞入着馬は、オープン特別で人気背負って負けるケースが多いのだが、この馬は信頼して良さそう。

スズカコーズウェイ

+8kg。少し太いが、一応は走れる状態。毛ヅヤや気配は問題無し。この馬なりの出脚でジワッと好位直後。乗り易さ一本の馬で立ち回りはスムーズだったが、直線上がりの競馬になった事を差し引いても若干の負け過ぎ感が有る。スローの競馬はとかく批判され易いが、この辺りの微妙な部分が分かり易くなる側面も。前走阪神戦は1200mで度外視としても、前々走東京戦も案外だった感は有った。58kgでカンカン泣きしている気も。

フィフスペトル

2人曳き。+8kg。気の良い馬でいきなりからでも出来ていた。出遅れ気味も、この枠とこの馬の出脚で中段。それでも4角迄の立ち回りは悪くなかったが、4角で他馬と接触する不利が痛かった。まあ、この程度の不利はハネ除けて欲しいところでは有るのだが...。

第70回菊花賞(GⅠ)

スリーロールス

首を水平に保ち、ディスタンスを走る気配。皮膚の薄さも感じたが、馬体が目立つとは...。好発。行きたい馬に行かせて好位のイン。競馬は複雑に見えて、たった一つのファクタで勝てる時も有るのだが、今日がそのパターン。好発とこの枠で、労せずこの位置が取れたのが大きい。隊列決まる迄は頭上がる場面も有ったが、あとはスムーズ。2周目4角でヤマニンウイスカーが早目に動いたが、ワンテンポ待っての追い出し。これも結果的には好判断だったか。直線はターフビジョンに驚いたのか、大きく外にヨレたが、それでも内からフォゲッタブルが来てもう一伸び。終わってみればダンスインザダーク産駒のワンツー。適性は感じたが、能力検定では微妙なところも有る。

フォゲッタブル

+8kg。これも毛ヅヤが冴えてデキは良かった。のんびりした気性も好感持てたが、馬はまだまだ。出脚は甘い様にも感じたが、内が開いていて中段のイン。2角でシェーンヴァルトが行きたがり、ここでスリーロールスの直後。これを見ての立ち回りで、直線スリーロールスが先に抜け出し、外へヨレたのを確認して内へ。ただ、併せてからはスリーロールスの方に余裕が有った。この辺は位置取りだけではない馬の差が有る。前走中山戦後に述べた様に、先々は走って来るとしても、現状ではイマイチ感も。

セイウンワンダー

2人曳き。気性はこの馬とすればこんなモノ。ただ、距離適性無視すれば馬は抜群。見栄えだけなら現役トップクラス。ゲート五分も、枠なりに中段。課題の折り合い面は、力んではいたにせよ、上手く前に馬を置けた事も有って、一応我慢が利いていた。前の2頭とほぼ同じ脚では有ったが、それなりに伸びて3着は確保。不適条件で底力は見せた。適距離なら古馬相手のGⅠでも勝てる。

イコピコ

馬は強調出来ぬが、落ち着いていて、歩様が伸びている点に好感。スタート直後に躓いた上に、この枠でこの乗り役。後方からの競馬に。まあ、折り合いは付く馬だが、序盤に位置取り悪くしてしまったのが全て。矯めると切れるのでここ迄は来れるのだが、序盤がスムーズだったと仮定しても、行かせて切れるかは微妙。前走阪神戦も位置取りとしては中段だったが、前の馬が引っ掛かっていてこの馬はマイペースだった。

リーチザクラウン

2人曳き。+8kg。満点はやれぬが、攻め馬やっての馬体回復。合格点はやれる。気配も落ち着き充分。戦前の想定通りにハナ。ただ、内に居たアントニオバローズの方が行く構えを見せていて、これをパスして行った分がオーバーペース。セイウンスカイの様に、3角迄には単騎になっていないとスムーズには行けない。結果、1000m通過が1分を切るペース。ただ、それでもバタッと止まっていない点は好感が持てる。これもセイウンワンダー同様、底力は充分に感じさせた競馬。

ヤマニンウイスカー

胴長でスカッとした造り。父マンハッタンカフェと比較するのは酷にせよ、この距離ならベストの造り。ただ、気性面に若さを覗かせていた。前走とは違い、積極的に乗られて好位から。乗り役に言わせるとスリーロールスの位置が欲しかったそうで、結果的にここを取られて脚を使っただけに。道中も微妙に行きたがっており、2周目4角も待ち切れずに早仕掛け。馬の造りはステイヤーだが、気性に課題。逆に言えば歯車噛み合えば化ける可能性も。

ナカヤマフェスタ

2人曳き。前走中山戦の相手なら抜けた存在だが、ここへ入ると馬は互角程度。この枠でこの展開。中段がやっと。道中の折り合いはスムーズだったが、外をずっと回されて2周目4角、先団に取り付く脚すら無かった。まあ、負け過ぎ感も有るのだが、今日の展開では良く分からないというのが正直な印象。

アンライバルド

2人曳き。テンション高いが、マイル戦なら馬は文句無し。好発。いきなりから行きたがっていたが、1周目4角で躓くアクシデント。ただ、これで意外に折り合いが付いた。それで負けたのだから距離が長いのだろう。ただ、セイウンワンダーとは今季明らかに差を付けられた。次走距離短縮で人気になるだろうが、思い切って嫌ってみる手も。

第12回サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス(GⅢ)

アブソリュート

+8kg。取り敢えずデキは戻った。コンパクトに纏まって如何にも切れ者。出遅れ1馬身不利も、押して中段。直線暫く前が開かず、多少捌くのに手間取った面はあるが、道中は上手く内を立ち回った。今春に同条件で重賞勝った時が道悪。今日も良馬場ながら時計は決して速くなく、この点も味方した印象。ただ、今週の東京は圧倒的な外差し馬場。内が有利とは必ずしも言えない点は考慮したい。無論、前述の今春東京戦で述べた様に、低レベルの関東オープンならといったイメージも有るのだが。

マルカシェンク

遮眼革。-10kg。今季初っ端の新潟戦で述べた様に最初から決して悪くなかった。歩様も許容範囲。出遅れ3馬身不利。道中は無理に追い掛けず、そのまま最後方で折り合いに専念。今日は腹を括った騎乗がこの馬場で活きた。外差し馬場とはいえ、良い脚を長く使っている。ただ、かつてはGⅠでもソコソコ人気になった馬だが、現状では京都金杯辺りでも掲示板下位級だろう。この馬が力量上位に見える状況、アブソリュートの項の続きになるが、関東のオープン戦は層が薄い。

マイケルバローズ

前走新潟戦からデキの良さは目に付いていた。皮膚が薄く、この馬にしては歩様がスムーズ。ゲートは出ているが、例に依って後方から。これも外から伸びて来たクチだが、4角の段階で更に後ろのマルカシェンクに一旦出られていて、立て直すロスは有った。勿論、ブービー人気の馬がこれだけ走れば充分という事にはなるのだが、少なくともマルカシェンクに先着していた可能性は有った。惜しい競馬。

リザーブカード

パシュファイヤー。皮膚の薄さが有って、今日は馬に集中力。この馬なりの出脚で中段やや後方。直線は外も詰まっており内へ行ったのだが、追い出して一旦前が詰まって再び伸びた印象。3着とはハナ差で痛恨の競馬だが、この辺りは多少なりともロスが有った。ただ、東京マイルの穴馬としてはマイケルバローズ同様お馴染みの存在。

ザレマ

+14kg。元々が造りにメリハリの無い馬。断言は出来ぬが、数字通り太いのだろう。この枠で一歩後方にはなっているが、ジワッと好位から。分かり易く言えばこの馬の正攻法。それなりには走っているが、正攻法ならこの着順も良く有るパターン。毎回述べている様にこの馬に対する見解としては決め手不足という事になるが、それでも僅差の5着。先週の限定戦スキップは却って正解だっただろう。要は関西牝馬>関東牡馬だ。

ストロングガルーダ

2人曳き。+6kg。青鹿毛で判り難いが、ほぼ出来ていた。気配も表に出して、いきなりから走れる状態。スタート直後に躓いたが、大した事は無し。好位で流れに乗ってスムーズな立ち回りだが、直線もう一伸びが無かった。フットワークは悪くなく、この馬評価しているのだが、今日は案外。距離延びた方が良いのは確かだが...。

レッドスパーダ

+22kg。全部が太いとは言わないが、多少立派過ぎる。出脚利かせて3番手のイン。この競馬が今日はベストにならない馬場状態だが、それにしても伸びていない。ストロングガルーダとは違ってこの馬は春から評価していないのだが、今日のところは太目が祟ったと見たい。

第14回秋華賞(GⅠ)

レッドディザイア

-14kg。馬体も締まったが、気配もシャキッと。この馬としてはゲート出た方。有る程度先行したかった筈だが、ブエナビスタが自分より下げたのを確認して、中段の印で収まる格好。この辺りはエンジン吹かしながらの挙動で、序盤は多少行きたがっていた。4角仕掛けず捌いて、直線前を空け、ラスト200mで先頭。相変わらず左手前の伸びが甘いのだが、ラスト4完歩を右手前にしてもう一伸び。今日は、内容関係無く勝つか負けるかそれだけの競馬だが、やはり比べ馬では分が悪い。

ブロードストリート

チャカつくのは許容範囲。トモの張りは変わらず悪くなく、前走阪神戦の状態は維持。ゲートを横に出て、出遅れ。後方でブエナビスタマークの格好。そのブエナビスタが外回さないのを確認してこの馬もインへ。ただ、レッドディザイアが仕掛けを我慢し、それに焦ったブエナビスタが一瞬外へ持ち出す素振りを見せ、そこで挟まる不利。結果的には痛かったが、仕方が無いところも有ろう。小回りのハイペース向きの馬ではない筈だが、乗り役もそれに対応する乗り方が出来ていたし、馬も頑張っている。ただ、運が無かった。それだけの事。

ブエナビスタ

例に依って馬は目立たないが、しっかり踏めている。以前と違い出脚は来ているが、下げて中段やや後方。ただ前述した様に、4角内で手応え充分に矯めているレッドディザイアを目の当たりにして、乗り役が焦った。この分の降着。最後は凄い脚を使っており、能力は最上位。2走不適条件が続いているが、次走、外回りで巻き返しを。

クーデグレイス

+6kg。馬体の張りを言えば前走阪神戦の方が良かったかも。ただ、歩様の力強さは中々。戦前はヴィーヴァヴォドカが控えるという話も有ったのだが、出脚で勝ったこれが行き、ワイドサファイアが暴走して離れた3番手。この馬自身は折り合って行けたが、もっとゆっくり行きたかったのは本音だろう。最後はその分差し馬が届いた感。まだ1000万条件の身。暫くは何処へ使っても人気になりそうだが、古馬相手のGⅢでも。

ミクロコスモス

馬も良くなっているが、歩様もこれなら問題無し。出遅れたが、恐らくは故意。折り合いに専念して後方2番手。最初から外回す気は無く、気楽に乗ってイン強襲策。4角ブロードストリートが受けた不利の影響は然程ではなかったが、直線ブロードストリートに前をカットされる不利が。とはいえ、ブロードストリートに一瞬の脚が有って、この馬には無かったからといえばそれ迄の話。以前より競馬にはなっているが、重賞入着級なのは変わらず。

第57回府中牝馬ステークス(GⅢ)

ムードインディゴ

-12kg。硬さは無かったが、明らかに細い。中段位には行ける出脚の有る馬だが、決め打ちの待機策。ペース自体は然程速くないが、2角でゴチャついて先行馬には辛い展開。直線迄待ってからの追い出しで、今迄に無い決め手を見せた。軽さが瞬発力に繋がっており、反動案ずるケースだが、本職のベッラレイアを寄せ付けなかった点は評価したい。

ベッラレイア

馬振りで上は居るが、今日は手先にバネ。これも例に依って最後方から。ただ、直線迄待ったムードインディゴとは違い、4角大外。伸びているが、この辺りの捌きの差は大きかった。乗り役に言わせると「怖がりなので馬群を避けた」との事だが、結果的に千載一遇のチャンスを逃した格好。

レジネッタ

腹が巻き気味。ただ、近走思えば毛ヅヤが良化。ゲート出ているが、下げて後方から。ベッラレイアの一歩前での立ち回りで、これも4角大外。ベッラレイアには完全に伸び負けた。この馬自体は状態面上向いているが、能力が重賞では足りぬ。デキが戻ればと思ったが、今後は全て用無しだろう。

ビエナビーナス

気配と毛ヅヤは良かった。デキは良い。ただ、馬は貧弱。これも後方から。直線一瞬は2着の場面も有ったが、坂を上がって苦しくなったのか、手前が替わってそこからが伸びず。前走札幌戦は内枠利しての先行策が、今日も差しに徹して正解と、中々良い位置に居る。性能自体は重賞級ではない筈だが、器用さ有る点は強調出来る。

リトルアマポーラ

特別強調すべき点も無いが、決して悪くない。前述した様に2角で先行勢ゴチャつく場面有ったが、外枠で関係無し。好位でこの距離のこの馬としては積極的な競馬。ただ、外からカワカミプリンセスが来て一瞬連られる場面。まあ、それを差し引いても負け過ぎ感は有るのだが、一応先行勢では最先着。力を見せた内容。ただ、このままではジリ貧が見えている。デビュー当時の様に、一度ギャンブルで待機策取るのも一つの手。

カワカミプリンセス

2人曳き。+8kg。牝馬相手なら断然の存在。気性面も一応許容範囲。少しゲートが悪く、良い位置取りに行こうとしたら行きたがってしまった。坂下で先頭の場面は造ったが、坂の上りで止まった。横山典弘騎手と言えどもミスは有る。今日は仕方無し。

第44回デイリー杯2歳ステークス(JpnⅡ)

リディル

2人曳き。気負って歩様が分かり辛いのだが、トモに力が無い様に見える。ゲートが少し悪く、中段から。向正面は、然程行き振り良い様には見えなかったが、乗り役は自信持って4角大外。この辺の反応は確かに良かったし、直線もその通りに切れた。文句無しの内容。戦前は1勝馬の中では互角、人気でどうかと思ったが、確かにモノが違った感。行き振りの悪さも、距離延長で生きて来そう。本格化すればかなりの線迄行ける。

エイシンアポロン

腹回りもしっかりしており、馬振り中々。もう少しトモに力強さが来れば大物級。ゲートも出たが、枠の利と出脚で2番手。道中は少し行きたがる位の行き振り。直線入り口で先頭に立ち、ラスト100m迄先頭だったが、最後にリディル。もう少し折り合いがスムーズに、そしてもう少し瞬発力が来ればJpnⅠでも足りる馬に。まあ、それが中々難しいのだろうが...。

ダノンパッション

-12kg。前走札幌戦が太目で、多少細い程度。ただ、迫力は感じない。大きく出遅れて最後方。道中行きたがるのを無理に抑えず、4角で中段のイン。ここ迄大分脚を使っているので、勝ち切る迄では無かったが、直線もそれなりの伸び。ただ、札幌戦は完敗の内容。当該週の3レースで新潟組が一番ハイレベルに思えたが、この結果。札幌組をもう一度見直しておきたい。

ダイワバーバリアン

馬振りは上位。ただ、完成度低く、若干歩様が甘い。出脚悪くなく、ジワッと好位。最初は行きたがっていたが、直ぐにスムーズに。ただ、4角のコーナリングが下手。京都外回りは下りで惰性付けて行くのが基本線。スローで上がりが速いだけに、立て直してからの追い出しではジリッぽく映る。逆に言えば性能差で負けた訳ではない。ここからは調教技量。

ラブグランデー

数字通りで馬体は地味だが、毛ヅヤが良かった。折り合い付けて中段。インで脚を矯めて4角迄な立ち回り。直線も一瞬抜け出さんかの場面だったが、そこからが無かった。競馬は上手いが、能力不足。

フローライゼ

前走新潟戦もそうだったが、太目に映る。トモの甘さも変わらず。出遅れ。ただ、外枠で行きたがって中段。それでもフットワークはパワフルなのだが、追い出して内にモタれていた。初の右回りが応えた?

第60回毎日王冠(GⅡ)

カンパニー

今春初っ端の中山戦とは雲泥の差。歩様がスムーズだったのが大きい。毛ヅヤもここ数年の中で一番冴えていた。出脚は怪しいが、出して中段。大外ブン回した今春の東京戦とは対照的に、インで脚を矯める最高の競馬。目標をウオッカ1頭に絞って追い出し、最後は1馬身差。馬のデキも抜群だったが、やらかす乗り役がやらかした感。次は無いのが競馬の常套だが、今季一連の競馬を見ていて、デキの怪しい馬が目立つ。対照的にこの馬のデキが良い点は強調しておきたい。

ウオッカ

多少緩いのは確かだが、トモの力強さが更に増した。ゲートで半馬身抜けて、尚且つ出脚が速く、自然とハナ。1000m通過が59.9秒だから、昨年より遥かに我慢が利いていた。上がりも33.8で上がっているだけに、差されて止む無しだ。馬も乗り役も100%の競馬が出来ている。やられたのはあくまで展開の綾。これで乗り役批判は勘違いも甚だしい。次走、引っ張る馬が1頭居るだけで変わる筈。

ハイアーゲーム

-10kg。元々が一瞬の決め手を生かす馬。消耗度を別にすれば軽い方が瞬発力は出る。雰囲気も悪くない。ゲートが少し悪く後方。手応え良く追走して直線は大外。内にかなりモタれていたが、それでも伸びは一番目立った。一時は3400m戦も走らされたが、ベストの条件で良く頑張った。あのヨレヨレ振りから少頭数も向いた感が。

ナムラクレセント

相変わらずトモの甘い歩様。近況行きたがる癖が有るので、この枠でも有り、スッと2番手。ウオッカとは内外離して折り合い付けようとしていたが、ウオッカが楽になっただけ。最後は決め手負けして、ハイアーゲームにも捕まった。折り合い面ももう少し改善されて欲しいが、体質強化が先決。

サンライズマックス

2人曳き。多少馬体の張りが多少怪しい。例に依って後方から。4角外へ回したハイアーゲームとは対照的に内を通って来たが、全く伸びず。デキ?

スマイルジャック

2人曳き。手先の撓りでウオッカと差。前走新潟戦と比較しても多少劣る。多少行きたがっていたが、これは許容範囲。直線向いてハイアーゲームに寄られる場面有ったが、抵抗すら出来なかった。期待外れの内容。

ヤマニンキングリー

この数字では細い。気配は良いが。出脚は有るのでスッと好位。器用さ身上の馬で、上手く立ち回れているのだが、直線案外。これもデキが無さそう。

第44回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

オウケンブルースリ

気性面は相変わらず。ただ、デキは確実に良くなっている。ヨレヨレながらゲートは五分に出ているが、後方馬群の中。向正面で何時でも動ける外へ持ち出したが、コーナーで動ける脚は無いので、直線迄待ってからの追い出し。相変わらず頭は高いが、フォームに力強さは有った。完勝。この相手では格が違った。競馬は直っていないが、パワーアップはしている印象。春とは一変した状態面の良さも強調出来る。東京2400mで父系3代出走は勿論、シンボリルドルフ-トウカイテイオーに次ぐ、父子2代制覇の場面も。

スマートギア

シープスキンノーズバンド。若干トモが甘い様な歩様。馬体はこんなモノだが。出遅れて後方から。4角オウケンブルースリが動かないので、この馬も直線迄待ってから。直線、左手前の脚では一瞬届かない様に見えたが、直ぐに右手前に替えてからの伸びが強烈。相手なりの馬で、GⅠでも堅実に走れるのは春に証明している通り。今年の東京は差せる馬場。3連勝式の押さえには要る。

トーセンキャプテン

少し緩い様にも映る。決して良いとは思えぬ。歩様や気配は問題無いが。出脚は速くなく何が何でもの馬が行って中段から。ラチ沿いではなかったが、内で脚を矯めての追い出し。開幕週の教科書通りに乗った感。最後は鋭さ負けだが、マイルで重賞を勝った3歳時から器用さは見せていた。叩いても良化スローに見える点はどうかだが、GⅢレベルなら勝ち負け出来る。

ジャガーメイル

キビキビ歩けていてデキは文句無し。ただ馬振りで劣る。1番人気の馬ではない。出たなりで後方に近い位置。勝ったオウケンブルースリの一歩前だから展開的には絶好だが、完全な伸び負け。地力の差が出たとしか言い様の無いやられ方。ただ、重賞未勝利の馬。この相手ならこんなモノだろう。

モンテクリスエス

オーストラリアンブリンカー。2人曳き。+6kg。馬に張りは有ったが、増えて良い事は無い。積極的に乗られて道中は中段。ただまあ、直線は瞬発力不足。とにかく絞れぬ事には。

マイネルキッツ

遮眼革。馬体もそうだが、まだ馬体も本来のモノではない。中段やや後方で、これも展開悪くなかった筈だが、直線向いてからがサッパリ。今日のところはデキの問題。

トーホウアラン

叩いて順当に良化。メンバー中、一番良く見えた。道中行きたがるのを宥めての追走。4角並び掛けるところ迄だった。昨年の覇者だが、この距離だと多少誤魔化しが要る。真っ向勝負出来るスタミナは無さそう。次走東京戦出走出来るかどうか微妙だが、距離短縮を味方に巻き返す場面も。