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競馬回顧 2009年5回阪神・5回中山

第54回有馬記念(GⅠ)

ドリームジャーニー

2人曳き。トモの張り抜群。デビュー以来一番の状態。例に依って出遅れ。腹括って後方で折り合いに専念。デュランダル,スイープトウショウ等、何故かこの手の馬に乗る事が多い池添騎手、この辺りは手馴れたモノだろう。例に依って4角の回り脚が抜群に速く、外を進出して4角で好位。リーチザクラウンが造ったハイペースも向いたが、中山適性で一番優っていたという事だろう。戦前は回避馬続出だったが、東京だけが競馬ではなく、中山には中山の競馬が有る。この多様性が日本競馬の強み。「皆さんに感謝しています。レースの展開によって乗り方を変えようと思っていたんですが、レースも流れていたので、まずは後方でジッと我慢して向正面で考えようと思いました。引っ掛かる馬なので、折り合いにだけ気をつけて、何戦もコンビを組んでいるので、直線だけは絶対に伸びてくれると信じていました。勢いが違ったし、直線は全部交わせると思いましたね。この秋一番いい状態で、牧場の方や厩舎スタッフ、僕を載せてくれたオーナー、皆さんに感謝したいですね。ファンの皆さんの声援も後押しになりました。春のグランプリを取って、秋も絶対に取ると自分にプレッシャーをかけて追い込んできたので、いい結果を出せて本当に嬉しいです。ドリームジャーニーにもありがとうといいたいですね。(池添騎手・週刊競馬ブック)」

ブエナビスタ

-8kg。数字は輸送分だろう。トモの張りは維持出来ており、今季の好調キープ。以前に述べた様に出脚自体は来ており、今日は積極策。好位直後で流れに乗った。ただ、リーチザクラウンも速いが、1番人気馬が前に行けば各馬も早目早目。これらは振り切って、格の違いを見せたが、違う競馬をしたドリームジャーニーが飛んで来てしまった。今季一連の運の無さを象徴する様な競馬。海外遠征との話も有る様だが、年が開けて改めて期待したい。

エアシェイディ

多少毛ヅヤが落ちて来たが、昨年に本格化してからは高値安定。ゲート出ているが、最近は出脚が鈍っていて後方から。目の前のドリームジャーニーに連れて動き、そのドリームジャーニーには突き放されたが、寸前でフォゲッタブルを交わし、3着浮上。戦前述べた様に、冬場の中山は走る。これだけGⅠで善戦しながらほぼ2年勝てていないが、来年9歳で重賞制覇の場面は充分。

フォゲッタブル

スカッとした造りだが、以前思えば馬はしっかり。出脚は負けていない筈だが、この枠でも有り、後方から。何時でも動ける外目を追走し、3角過ぎからマツリダゴッホを目標に進出、坂下でドリームジャーニーに交わされても暫く頑張っていたが、坂を上がって力尽きた。今日のところは現状の力量差だが、ここに来ての成長急。

マイネルキッツ

2人曳き。遮眼革。まだ良い時の張りに欠ける。中段やや後方のイン。フォゲッタブルと一緒に動いて、4角好位。しかし、ここからが無かった。中山得意の馬ではないが、現状のデキの差も大きいだろう。まずデキが戻らぬ事には。

セイウンワンダー

2人曳き。デキ自体は間違い無く良いが、相当太い。折り合いに専念して後方から。内へ入れて徐々に進出、4角で好位。内の馬場もそれなりに悪いとはいえ、コースロス無く立ち回っている割に直線が案外。少なくともフォゲッタブルよりは強い筈で、今日は太目が祟ったと見たいが...。

第26回ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(JpnⅢ)

ヴィクトワールピサ

+8kg。少し余裕残しだが、馬振り断然。見栄えは古馬含めてもトップクラスだろう。5年に1頭レベルの馬。好発。出脚も有りそうだが、道中は中段やや後方。最初からバラける位置迄下げて、それから外へ。従って道中はずっと外回っての競馬。距離損は相当有ろう。着差こそ僅かだが、手応えにはまだ余裕。ほぼ楽勝だろう。戦前述べたトビの高さも印象的だった。今後は古馬相手でも全て本命となるべき馬。

コスモファントム

馬は筋骨隆々だが、体型は短距離志向。チャカつく気性も短距離向きだろう。ダートの短距離で下ろしたのも頷ける。ゲートも速かったが、出脚も速くスッと2番手。下見の気性の割に道中しっかり折り合えていた。4角先頭、一旦は完全に抜け切ったが、最後にヴィクトワールピサ。下見でチャカついていた割にレースセンスが良い馬。今後テンションさえ上がらなければ、これも重賞は充分勝てる馬。

ダノンシャンティ

2人曳き。イレ込みキツい。馬もまだ緩い。出たなりで中段のイン。少し行きたがる場面も有ったが、内々立ち回ってそれなりの競馬が出来た。内を回っている以上、能力検定という面では疑問の余地も有るが、1戦1勝の馬にこれが出来ただけでも収穫。馬も未だ良くなる余地が有り、今後の成長次第では。

ヒルノダムール

毛ヅヤや張りが良く、現状のデキはかなり良い筈だが、まだ線が細い。手先のスナップも利いているが、成長待ち。ゲートをスムーズに出ず、中段やや後方。道中は過不足無かったが、4角でかなり待たされる場面。今日はその分の4着。直線、手前が替わっていればという話は有るが、伸び自体は中々だった。

アドマイヤテンクウ

骨格しっかりしており、ヴィクトワールピサを別にすればここでも馬は上位。ただ、気性が若い。出遅れて後方から。腹括ってずっとイン狙い。意外にスムーズに来れて、数字上はメンバー中最速の上がりだが、馬自身がもうチョイといった印象。現状は上位と差。

第4回阪神カップ(GⅢ)

キンシャサノキセキ

+8kg。気配抜群。多少太いが、デキ自体は文句無し。アオる2馬身不利。腹括って後方で折り合いに専念。3角過ぎからマクりに行って、4角で好位。直線もそのまま押し切った。スタート直後にエイシンタイガーが内へ斜行。序盤からかなりゴチャつく展開で、直線も内が密集してマトモに追えない馬が多数。出遅れが却って良い方に出た。今迄、追って手応えより伸びないケースが殆どだったが、今回はこの点でも良かった。ただ、現代競馬でこのパターンばかりで良い筈は無い。馬券的には嫌って妙味有りの馬に。

プレミアムボックス

今季は歩様の硬さがマシ。悪くないデキ。ゲート五分も下げて後方から。先にキンシャサノキセキが動き、これを追う形での進出。ただ、4角で内からサンカルロに併せられて、これとの併せ馬。サンカルロに進路をやらなければ同着は無かった訳だが、それなりには伸びている。テンから一気の馬は別だが、イマドキ1200mの差し馬は1400m位なら楽にこなす。

サンカルロ

馬が小さく映る。まだ本物とは呼べぬ。出遅れ1馬身不利。出脚も鈍く後方から。4角で一瞬行き場を無くしたが、上手く外へ持ち出してプレミアムボックスと併せ馬。直線、手前が替わっておらず内へモタれ気味だったが、脚は使っている。ただ、以前に述べた様にこの馬を高く評価しておらず、展開面も大きかった筈だが。

ドラゴンファング

少し硬い歩様は何時も通り。トモの張り目立ち、デキは上々。押してハナ。結果的に道中ゴチャつかず運べた。ペース的に若干無理目の先行策だった分、坂を上がって甘くなったが、行き切って大正解だった。もう少し出脚が来て楽に行ける様なら重賞でも。

ショウナンカザン

少し硬さは有るが、皮膚が薄くデキ自体は良い。内からジワッと先行。外差し決着だが、好位のインで折り合って、見た目の展開上は絶好に。ただ、坂を上がっての脚が甘い。距離はこなせる筈だが、平坦向き?

スズカコーズウェイ

-6kg。絞れて来たのは良い傾向。歩様にも伸び。出脚が微妙に鈍く、スタート直後は好位グループに居たが、外からエイシンタイガーが斜行して、控えざるを得ない形に。それでもインをセコく回る策は予定通りだったが、直線向いてからも右往左往。消化不良の競馬に。

第61回朝日杯フューチュリティステークス(JpnⅠ)

ローズキングダム

この一族独特のトモの甘さは残る。馬体は小さいながら纏まっているが。出たなりで中段。上手くバラけて外を回されずに済んだ。4角で手応え充分。直線向いて抜け出す脚が圧倒的に速かった。戦前はもっと混戦かと思ったが、力量上位を示す競馬。あとは馬格の無さが今度へ向けて悪い方に出なければ。

エイシンアポロン

+4kg。少し太い。毛ヅヤが冴えていて、デキ自体は良かったが。出脚は有る馬だが、内からツルマルジュピターが出て来て、これに行かせてからの競馬。折り合ってスムーズな立ち回りが出来た。直線向いて坂下で先頭に立つ策も予定通りだっただろうが、外からローズキングダムの決め手。後続はチギッたが...。現状は決め手で差が有る。

ダイワバーバリアン

ここでも馬は上位だが、もう少し歩様に伸びが欲しい。スタート直後に乗り役の腰が落ちる場面も有ったが、スッと好位。ダッシャーゴーゴーとツルマルジュピターが行きたがって2番手上がった際に、この馬も連られそうになっていた。その後も少し力んでの追走。その分、一瞬の切れが無かった感。現状は上位と差。

ガルボ

2人曳き。トモの張りや毛ヅヤは良かったが、これも若干歩様が硬い。好発も、直後にヨレて、出脚が付かず中段。それでも矯めの利いた競馬は出来ていた。直線外へ持ち出して悪くない伸び。500万なら楽勝級。

ニシノメイゲツ

トモが付いて来ない。イレ込みも目立つ。出遅れ1馬身不利。後方で、4角無理に動かず直線だけ大外へ。良く伸びているが、競馬が終わった後。ただ、四肢を目一杯伸ばすフォームには好感が持てる。本格化すれば相当なところ迄行ける馬。

トーセンファントム

2人曳き。少し歩様が硬い。馬はNo.1だが。後方の外で折り合いに専念。外からマクりに動いたが、そこ迄。レース後故障が判明し、これで引退との事。馬は良かっただけに、勿体無い事に...。

第47回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

リトルアマポーラ

毛ヅヤは怪しくなって来たが、歩様は相変わらずしっかり。デキ自体は悪くない筈。出脚は無い馬だが、出して2番手。これでも折り合いは付く馬で、あとは追い出すタイミングだけ。行かせるとスパッとは切れないのだが、これはこれで妙な渋太さが有り、着差以上に余裕が有った。戦前はトップハンデがどうかと思ったが、一応は完勝。限定戦は1400m〜1800mの競馬が多く、それ故に中々厳しい面も有る馬だが、逆に年に1回の適条件を大事に乗り過ぎて落としただけに、ここで存在感示せたのは大きい。

ブラボーデイジー

2人曳き。+8kg。数字は全く気にならない。しっかりした歩様も強調出来る。出脚が速く、スンナリハナ。リトルアマポーラが競り掛けて来る筈も無く、1000m通過61.5秒はスロー。リトルアマポーラには最後捕まったが、一杯一杯粘り込んで2着は確保。ただ、追い出し暫くしたら天井向いていた辺りは距離に限界有りそう。

メイショウベルーガ

オーストラリアンブリンカー。バネを感じさせる歩様。馬体もこんなモノ。出遅れ1馬身不利。出脚も鈍い馬だが、内枠勢に先行馬が多く、押して何とか中段から。それでも4角上手く捌いてこの馬としては最高の競馬。最後は前が止まらなかっただけ。これもGⅠ好走馬の地力を示した格好。

ヒカルアマランサス

+2kg。ここらが適正体重。毛ヅヤは時期的な面も。使い込んで少し歩様が落ちて来たが、今季は間違い無く本格化。アオる1馬身不利も、出脚は速いのでスッと好位。ただ、4角で若干待たされる場面。一瞬は良い脚を見せたが、そこからは脚色が一緒位に。このスローだけに、もう一つ前の位置で競馬したかったところ。上位3頭が何れもこの馬よりハンデ背負っており、その辺りの能力比較は微妙だが、馬はオープンでも足りる。

ニシノブルームーン

前駆の発達した馬体だが、トモの張りも悪くない。大外枠でも有り、無理せず中段やや後方。小回りのフルゲートでずっと外回される最悪の展開に。外枠勢では最先着だった事を思えば良く走っている。次走狙い目に。

第61回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(JpnⅠ)

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+4kg。デキだけならコレ。トモも迫力満点。ゲート入りゴネた割に出ッパ速かったが、無理せず中段。3角進入時はかなり外回されそうな雰囲気だったが、上手くバラけて徐々に内へ。逃げたジュエルオブナイルが4角外へフクれ、この外に居た好位勢が更に外を回される形。ここでインを突いた馬で1〜4着。今日はそれだけの競馬だが、その4頭の中では決め手の違いが有った。ただ、時計が圧倒的に遅い。中間降雨有ったにせよ、一応は良馬場だけに...。

アニメイトバイオ

2人曳き。まだ馬が緩い。歩様も非力に映る。今日はゲート五分。出脚が怪しいが、押して中段。その分序盤は少し行きたがっていた。アパパネの項で述べた様に、ジュエルオブナイルが好位勢を外へ引き連れて、ガラ開きのインから。伸びているが、アパパネとは一瞬の決め手で差が有った。この辺りは現状のデキの差。鍛え直して春に改めて。

ベストクルーズ

馬は数字通りで地味だが、歩様に柔らか味。出負けしたが、出脚でカバーして中段。ただ、これも結果的に展開が向いた。好位に居たら外回らされて伸び切れなかった筈。ただ、これも決め手が足りない。基本的には好位で器用さ活かしてナンボの馬。

ラナンキュラス

2人曳き。トモの造りは中々。馬体の張りも悪くない。出負け気味も、直ぐに内へ潜って中段。この競馬自体は前走京都戦の競馬が活きているが、ノメる場面が有った。直線それなりには伸びているが...。現状は上位3頭とは差が有ると見ておいた方が無難。

シンメイフジ

2人曳き。気配は抜群。デキも良い筈だが、成長が案外。何の為に待機したのか...。アパパネがゲートゴネた影響有ったのか、出遅れて後方から。ただまあ、元々、前に行くつもりは無かった筈で、この競馬で良いのだが、4角無駄に外回される展開に。戦前、乗り役が相当自信持っていた様だが、展開思えば良く差している。この馬とタガノエリザベートを世代最上位と見ておいた方が馬券的に良い思いが出来そう。

タガノエリザベート

数字が有るのは見た目上で有利。特に減点すべきところも見当たらず。例に依って道中は最後方待機。4角大外からシンメイフジと併せ馬。今日は展開も悪く、メンバー中最速で上がって負けたのだから仕方が無いだろう。シンメイフジの項で述べた様に、世代最上位と見たい。

第2回カペラステークス(GⅠ)

ミリオンディスク

デキ自体は悪くない様な気もするが、もっと馬を大きく見せて欲しい。出たなりが好位の内目。4角の手応えは悪くなく、直線も狭いところをコジ開けて来た。見た目は快勝だが、あの位置取りは出脚負けした結果。1分8秒台が期待出来た馬場で、この時計も遅い。他馬が走っていないと見た方が無難。

ダイワディライト

もう少し歩様に力強さが欲しい。そこが来れば重賞常連級に。芝での出脚はアイルラヴァゲインに分が有って当然だが、スッと2番手。4角もほぼ持ったままで回って来たが、直線が案外。時計勝負で強い方ではないのは確かだが...。これでデビュー以来13戦連続1番人気の馬だが、次走は蹴飛ばして妙味。

グランドラッチ

落ち着いていた点に好感。この数字でもバランス取れた造り。出脚は結構速い方だったが、無理せず中段。ただ、4角の手応えが今日は抜群。最後は内外の差で差し届かなかったが、オープンでも充分通用するところは見せた。距離も、今日の競馬なら1400mでも行ける筈。

アウトクラトール

一息入った影響は感じるが、ほぼ出来ていた。好発も、内から併されて好位に引く形。まあ、然程ペースが速くなかった影響も有ったとはいえ、むしろ逆に行きたがっていた。その分、直線最後に失速。逆に言えば良いスピードが有る。思い切って行かせる競馬も一考を。

アイルラヴァゲイン

オーストラリアンブリンカー,パシュファイヤー。-8kg。この距離でも、あれだけテンション高いと減点材料になるが、絞れた上に、デキ自体も良い。流石に芝での出脚は一番速く、楽々ハナ。このお陰で、道中もオープンとしては比較的遅いペースで行けた。ただ逆に言えば、もう少し粘って欲しかったところ。芝でもこの程度の馬と言えばそれ迄なのだが...。

ワイルドワンダー

叩いて順当に良化。こちらは全盛期と遜色無い。芝での出脚がサッパリで、道中は後方に近い位置。内で行き場が無く、殆ど追えていない。1200mでは仕方無し。

第45回中日新聞杯(GⅢ)

アーネストリー

+6kg。皮膚の薄さが有って、デキ自体は良かったが、少し太い様にも見える。出脚は速い筈だが、それを宥める様に好位のイン。4角の手応えは抜群。ドリームサンデーに直線突き放されて、見た目にはヒヤッとしたが、乗り役には余裕が有った筈。1頭だけ敢然と追い込んで完勝。力が一枚違った感。今更ながらGⅡレベルは充分の馬。結果的にはハンデも恵まれていた。

ドリームサンデー

この時期にしては毛ヅヤが良い。馬体にも迫力。一息入った割にはほぼ完璧。この枠でも有り、迷わずハナ。1000m通過58.4秒は後続にもそれなりに脚を使わせる絶妙なペース。直線向いて後続を突き放して、一瞬はやったかの場面だったが、最後にアーネストリー。手前が替わらなかったのは痛かったが、地力の一旦は見せた。この時計で走れたのも収穫。

チョウカイファイト

若干非力な歩様。造りにもメリハリを欠く。出脚が鈍い上に1角行き場を無くして後方から。道中ひたすらインに拘って、4角最後方になっていたが、そこを捌いて直線一瞬の脚。ただ、最後は止まり掛かって、トーセンジョーダンに差されそうになっていた。この距離は微妙に長い。

トーセンジョーダン

遮眼革。馬に集中力が無かった。馬のデキが悪いとは思わないが、歩様にも硬さが。この枠で無理せず最後方から。外国人ジョッキーが外回す筈も無く、馬群縫って進出しようとしていたが、行き場無く、仕方無しに内へ。まあ、お世辞にもスムーズに捌いたとは言い難いのだが、最後は一番良い脚を使っており、能力の一端は見せている。

レオマイスター

+14kg。数字上は少し太い筈だが、然程気にならず。デキが良いのだろう。この馬の出脚で中段のインからだが、向正面で掛かり気味の場面。4角の手応えは悪い様に見えなかったが、直線向いて伸びを欠いた。この馬自身の決め手が甘いのも確かだが...。

ミッキーパンプキン

目下絶好調。トモが張って歩様が力強い。春とは別馬。好発。出脚も速い馬だが、最近結果が出ている待機策。ただ、勝負どころで行き場が無く、4角では絶望的な位置。それなりには伸びているが、今日は展開向かず。ただ、間違い無く馬は本格化した。何処かでホームラン狙える。

ナカヤマフェスタ

+8kg。太目感無く、馬体に張り。成長分も有ると見て良さそう。出脚悪くなく、好位直後。向正面でアーネストリーの外迄押し上げて、この辺りの位置取り自体は悪くなかったが、ずっと手応えが悪かった。ハンデが見込まれ過ぎていたとはいえ、案外の内容。デキ?

ジャパン・オータムインターナショナル第10回ジャパンカップダート(GⅠ)

エスポワールシチー

ダート馬としてはスッキリした造りだが、この馬としては重量感が出て来た。完全に本格化。昨冬に課題と述べた出脚が良化し、殆ど急かさずに1角迄逃げ込んでハナ。逃げ馬の最内枠は案外やり辛いモノだが、ここで隊列決めたのが大きい。1000m通過が60.7秒。GⅠとしては遅い部類。マコトスパルビエロのマクりも中途半端で、ほぼワンラップの逃げが打てた。直線向いて後続突き放し、オイデオイデの大楽勝。戦前は展開面微妙に思えたが、出脚で自分に有利な展開に持ち込んだ。これが出来ればもう本物。交流戦はともかく、スピード勝負の中央GⅠならほぼ無敵。

シルクメビウス

中1週続き。歩様は一応許容範囲。少し馬が細く映ったが、数字は減っておらず現状維持。ゲートは出ているが、出脚でやられて後方。外で何時でも動ける位置に居て、3〜4角、メイショウトウコンの進出に合わせての動き。好位勢が追っ掛けバテする展開に乗じてここ迄。ただ、そのメイショウトウコン辺りとは伸びが全く違っていた。同じ競馬が出来た組では一番伸びている。春シーズンはまだ馬が若い印象も有ったが、ここに来ての成長急。

ゴールデンチケット

今季初っ端は細い位だったが、ここに来てそれが解消。行く気無かったとも思うが、出脚差が有って中段から。道中は折り合ってスムーズな追走。ただ、マコトスパルビエロやメイショウトウコンが動いた際に付いて行かず、直線迄待ってからの追い出し。最後は良く伸びて馬券圏内迄来たが、追っ掛けバテの展開で、あくまで競馬が終わった後。この馬自身のデキが良い方向に向かっていたのは間違い無いが、今日はそれ以上でも無くて。

サクセスブロッケン

下見でパシュファイヤー。520kgの馬にしてはスカッとした造り。テンションも相変わらず高い。出脚で負ける馬ではないが、折り合い面も有り、エスポワールシチーに行かせ好位から。その折り合いは、怪しいながらも前走東京戦よりは遥かにマシ。一応は我慢が利いた。直線入り口で突き放したエスポワールシチーはともかく、好位勢の中では2馬身程抜け出しており、2着有ったかの態勢だったが、坂で甘くなった。何度も述べている様に、調教が気性面に意識が行くと、肝心の肉体面が疎かになる。現状は1F長い。

アドマイヤスバル

バネは感じさせないが、歩様に柔らか味。馬もバランス取れた造り。出脚は負けていなかったが、枠の差でサクセスブロッケンの直後から。3角迄はスムーズに追走出来ていたが、そこからが若干置かれ気味。追っ掛けバテの展開でここ迄来たが、本来なら致命傷になっていた。現状は力量差有るが、これが良い経験になれば。

ワンダーアキュート

+14kg。テンション高いのは気にならないが、少し緩く映る。この枠だが、積極的に乗られて好位へ。ずっと外を回された上に、外からマコトスパルビエロが飛んで来る最悪の展開に。それを思えば6着は良く堪えている方だ。今年の3歳馬はレベルが高いが相場だが、それに加えてタレント性豊かな馬が多いのもポイント。これだけ若い内から個性がクッキリ表れているのは珍しい現象だろう。裏を返せば、全馬を一律の基準で測るのは中々難しい面も有るのだが、総合力では3歳最強。

ヴァーミリアン

+9kg。デキだけは文句無し。ただ昨年同様少し太い。ゲートには不安も有る馬だが、昨年出遅れた轍を踏まぬ様、今日は気合のスタート。出脚では少し分が悪いにせよ、中段でそれなりの競馬は出来ていた。ただ、4角で置かれてしまったのが痛い。競艇的に言えばスピード負け。

スーニ

2人曳き。距離面無視すれば気配抜群。馬体も筋骨隆々だが、造りがスプリンター。折り合いに専念して後方から。ただ、それでも2角辺り迄マトモに行きたがっていた。その割には大きく負けた訳ではないのだが、完全にスプリンターになったのだろう。

第62回農林水産省賞典鳴尾記念(GⅢ)

アクシオン

大型馬のサンデーサイレンス産駒らしい造り。以前気になったトモの送りも良くなった。出脚は負けていなかったが、この枠でも有り中段から。上手くバラけた位置で、無駄に外を回る事無く、手応え充分の追走。直線も普通に差して突き抜けた。単純に力が違った感。内から差せる様になればGⅠでも。

スマートギア

シープスキンノーズバンド。+6kg。馬は前走東京戦と然程変わらず。前走東京戦の轍を踏まぬ様、何時もの後方待機策。逃げた馬が34.0秒で上がるペースで、かなり苦しい展開だったが、32.8秒の脚。結局この馬にはこの競馬しかない。今日はそれが分かっただけでも収穫。

ナムラクレセント

この歩様なら許容範囲。毛ヅヤも良かった。道中は好位直後の外。例に依って頭が高い走法で、こういう直線の長いコースでの追い比べは若干分が悪い。初めてスマートギアに負けた格好だが、とどのつまり人気が無い方が先着しているだけ。

イコピコ

キビキビ歩けていて、今季一連の状態を維持。少し出して好位から。道中、少し行きたがっていた様にも見えた。3F33.8秒で上がっているから止まった訳ではないのだが、この馬これ以上の脚が使えない。器用さ身上の馬で、この点は現代競馬で有利だが、絶対能力には疑問。

レッドスパーダ

毛ヅヤは良かったが、この数字では太い。気合付けてハナ。阪神1800mはコース形態から極端なペースになり易いが、1000m通過61.2秒ちスローの逃げ。ただ、今日は結果的にこれが微妙な着順を招いた。スローに落とし過ぎて鋭さ負けした感が強い。

サンライズマックス

2人曳き。皮膚の薄さが印象的。間違い無くデキは良かった。行かせて2番手。折り合い付いていた。上がり3F33.8秒。まあ、大きく負けている訳ではないのだが、結果的に行かせ過ぎた感。ただ、この競馬もしておかないと後々辛くなる。今日は捨てレースと考えたい。

第43回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

フォゲッタブル

歩様に伸び。ただ、馬はまだまだ細身。出たなりで無理せず中段。この超スローでも内でスムーズに折り合っていた。当然、各馬早目の仕掛けだが、ワンテンポ待っての仕掛けから、直線向いて外のハギノジョイフルを自力で弾いて進路を確保。瞬発力で差し切った。折り合い付いて終い切れる平成世代のステイヤーだが、このタイプが意外に脆いのは周知の通り。前走京都戦でも述べた様に、もう少し成長が欲しい。

ゴールデンメイン

前を歩くマサライトとは対照的に、バランスの取れた造り。歩様も悪くない。マサライトの先行策に乗り2番手。1000m通過が65.9秒、2000mが133.0秒と、13秒台のラップがダラダラ続く流れに乗っての立ち回り。今日は展開利をフルに活かした。今年、特に今季は高齢馬の活躍が目立つが、これも経験が活きた感。

モンテクリスエス

2人曳き。-2kg。数字が有るので見栄えするが、もっと絞れねば。この馬の出脚で後方の外目。2周目4角で、更に外から来たエーシンダードマンの内へ併せての動きだが、道中外を回らされた分と展開でここ迄。逆に言えば良く差している。この辺の相手なら力量上位。

トウカイトリック

馬体はそれなりだが、トモには丸み。毛ヅヤが意外に良く、今季は歩様も悪くない。これも出脚の甘いタイプで、後方から。道中インを回る策は悪くなかったが、直ぐ外に居たブレーブハートがずっと邪魔に。その分、仕掛けが遅れてしまった。以前思えばコーナーの脚は速くなっているのだが...。

マサライト

腹回りがボテッと映る割にトモが薄く、バランスが悪い。押してハナ。ゴールデンメインの項で述べた様に、単騎の超スローで行けた。まあ、これでこの着だから力量差も相当なのだが、陣営としては満足なのだろう。