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競馬回顧 2011年3回阪神・3回東京5日目以降

第28回エプソムカップ(GⅢ)

ダークシャドウ

オーストラリアンブリンカー。+16s。馬体は一応回復分。戦前は状態面に関して良い話が無かったが、そこ迄悪い印象は無かった。少なくとも全てに減点材料は無い。今日はゲート五分。外から来た馬に連られそうになる場面も有ったが、好位で一応はスムーズな競馬。直線ラスト400mでダンツホウテイとアロマカフェの間を割ってそこからは独走。早く抜け出し過ぎて遊んでいた位だったが、ここで前走阪神戦で述べたオーストラリアンブリンカーが利いている。前々走から道悪も上手い。

エーブチェアマン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。研ぎ澄まされた印象は有った。走られて納得の気配。例に依って出脚が無く後方から。3角手前で少し掛かる場面も有ったが、何とか宥めて直線だけ大外へ。前走同様スパッと切れたが、2着確保の態勢になってからは脚が上がり気味。良い脚が長く続かない印象は有る。ダークシャドウが千切って好位勢追っ掛けバテの展開になった事も有り、次走過大評価はどうか。

セイクリッドバレー

引き続き上々。元々骨格のしっかりした馬だが、今日も馬体に張り。ゲートは出たが。外から来られている間に後方。しかも、3角手前で前がゴチャついて引っ張る場面も有った。直線も馬群の間を狙ったが、前が壁になり、エーブチェアマンやアニメイトバイオを行かせての大外はあまりにもロスが大き過ぎた。今日は何か一つが良い方に向くだけで2着は有った。この内容なら今日はむしろ馬を讃えたい。

キャプテンベガ

トモの甘さが未だ直らぬが、スッキリとした馬体。最近出脚が鈍いのだが、好位確保しようと出したのが今日は裏目。かなり行きたがっており、一旦落ち着いた筈が4角でも再び掛かっていた。それでも東京1800mはベストの条件で、内からジワジワ伸びているのだが、序盤のロスが大き過ぎた分、2着が確保出来ず。乗り役も反省していた様だが、今日は騎乗ミス。

ミッキーパンプキン

もう少し馬体に張りが欲しい。イマイチ感の残る仕上げ。出遅れたが、出して中段。その気になった馬に任せ、4角で3番手。終始外を回り、雑な競馬だった割には大きく負けていない。デキはともかく、力はここでも差はない馬。

ダンツホウテイ

馬体は最近のこの馬としてはこんなモノだが、少し煩い。それも何時も通りと言えばそうなのだが。馬場を嫌ってかハナ。鞍上同士での決着は付いていたが、内から掛かったハンソデバンドが抵抗する形になり、3角で落ち着いたところをアロマカフェに来られるペース以上に嫌な展開に。道悪がダメなのは戦績から間違いないが、今日は策が裏目に出た印象が強い。

アニメイトバイオ

増減無しも叩いて良化。馬体に張りが出て来た。枠も遠かったが、出脚も速い方ではなく中段やや後方。直線も外から。伸びていない訳ではないが、ジリジリだった。この馬場で牝馬の56sは楽ではなかったのだろう。決め手身上の馬だけに余計に辛かったところ。

スズジュピター

2人曳き。今日はトモの送りが硬過ぎる。元々がこういう馬としても、これではダメ。積極的に乗られて好位。出して行っても折り合いは付いていた。直線も最内を狙い、ダークシャドウの後を狙ったが、伸び案外。モタついていた間に進路も無くなってしまった。オープンでは少し壁が有る様。

第47回CBC賞(GⅢ)

ダッシャーゴーゴー

-12kg。今季太さが目立ち、減った事自体は良いのだが、何か違う印象。中身が無い? 内に先行馬多く、無理せず中段。少し行きたがる位の行き振りで終始手応え抜群、今日は外から伸びる馬が少ない中、坂を上る脚が速かった。完勝。58.5kg背負ってこの競馬なら文句無しだ。だからこそ前走が勿体無いという話にはなるのだが、一方で少し掛かる癖が有り、乗り難しさは有りそう。ジョーカプチーノとはその点が違う部分。

ヘッドライナー

2人曳き。シープスキンノーズバンド。最後方を周回。デキ自体は前走京都戦辺りから本調子。その前走とは変わらずだが。この馬にしては押していたが、スンナリハナ。競り掛けて来る馬も居らず、600m通過33.8秒ならかなり上手く運べた方だろう。直線向いても一旦は突き放す場面迄造ったが、坂をダッシャーゴーゴーの決め手に屈した。戦前期待した通り、今日の相手なら粘って当然だが、坂を上るのは得意でない様。格は否定しないが、今日はその分の差も。

タマモナイスプレイ

オーストラリアンブリンカー。馬体の張りが多少甘いが、休み明け思えばまずまず。歩様にも硬さはない。勿論出脚はヘッドライナーだが、押して押して抵抗。好位のインは確保して流れに乗った。4角でも手応え充分。決め手で甘い分、ジリジリだったが、最後迄バテずにヘッドライナーにはクビ差。マイル戦だったが、昨年もこの時期の阪神戦で大穴開けており、少し渋った時の阪神は合う。前兄タマモホットプレイよりは晩生だったが、ほぼ同じ馬になって来た。

グランプリエンゼル

馬体の雰囲気は悪くなかったが、歩様が硬い。少し疲れが残っていたのだろう。スタート直後は内の出方を窺っていたが、内枠に速い馬が多く、そのまま外回るのはマズいと判断して中段に控える形。コースロス無く回って来れたが、直線でタマモナイスプレイとヘッドライナーの間が開いた筈が再度無くなってしまい、3着逃した格好に。惜しい競馬になってしまった。ただ、今日の歩様はデキ落ちのサイン。一般的に使い詰めで歩様が硬くなって来た場合、硬くなったそのレースでは何とかなっても次が苦しい。今日のレースで次走狙い目にするのは危険。

エーシンホワイティ

馬体は良く見えた。右後肢の出が若干甘いのだが、スナップの利いた歩様で大きな減点材料とは言えず。珍しくゲート五分。それでも出脚は速い方ではないのだが、引いて中段。4角でも手応えあって、ダッシャーゴーゴーの直後を狙ったが、その直ぐ内に居たシゲルキョクチョウが急に下がって来てブレーキ掛ける場面が痛恨だった。これも3着争いは出来ていた筈。まあ、だから競馬は前が有利という事にもなるのだが...。

アーバニティ

首で曳き手を引っ張る様な周回。馬体も悪くないが、気配が良かった。出脚は悪くない馬だが、スプリント戦は矯めた方が結果が良い馬で、今日も後方で控える策。3角迄は引っ張り切りの手応えだったが、3〜4角中間から急に折り合いが付き、追い出したら逆に案外だった。乗り役の話では馬場を気にしたとの話だが、何れにしても道悪は案外。前走京都戦より馬場がマシだった分、まだ走れていたが。

ツルマルレオン

+4kg。メリハリが無く、少し太く映る。3歳馬で鍛えてこれを実にして行く段階なのだろうが。出遅れ1馬身不利。向正面では行き振り悪そうな一方で、3角では少し引っ張ったりと道中がチグハグに見えた。4角外から押し上げて行ったが、直線は全く伸びず。外が利かない馬場状態も有ったが、ハンデ差有るだけにイマイチ感は残る。道悪も向かない印象。

スカイノダン

+4s。元々良く見せる馬だが、休み明けながらほぼ出来ていた。この枠でも有り、無理せず中段やや後方。外が全滅の馬場状態だが、もう少し伸びてくれても良かった。ベストは平坦なのだろう。

2011年アジアマイルチャレンジ第4戦 第61回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

リアルインパクト

叩き3走目、馬体の張りは良くなったが、古馬相手では未完成感が目立つ。前走出遅れたが、今日は五分。出脚は外のスプリンター2頭 (ビービーガルダン,ジョーカプチーノ) が速いのだが、積極的に乗られて好位。これで折り合っていたのが乗り役の手腕だが、ジョーカプチーノの項で述べる様に、結果的に一番良い位置で追走出来た。坂を上がってそのジョーカプチーノを競り落とし、最後はストロングリターンに詰められたが、まだ力が付き切っていない馬だけに、斤量が余計に利く。全てが上手く行った印象。本物になるのは早くて今秋、来年迄掛かっても何等不思議は無い。現状ではカンカン泣きしそう。

ストロングリターン

緩んだところが一切無く、叩いて更に上昇。完璧。ゲートも若干怪しかったが、出脚も鈍く中段やや後方。少しコーナリングが下手だったが、前走同様直線迄待ってからの勝負。最後の最後迄、脚を使える馬で、ラスト100mでアパパネを競り落としてから突き放した1馬身が立派。前述の通り斤量差も有るが、出脚が有ってもう一つ前で競馬出来れば勝っていた。準オープンながら前々走阪神戦で58s背負って勝っていたのも結果的に大きかった様。これは59sで勝っての参戦だった昨年のショウワモダンにも通じる部分が有る。ただ、コーナリングの問題は有り、今秋京都でどうかだが...。

スマイルジャック

2人曳き。-6s。デキは昨年だろうが、馬体絞ってメイチの仕上げ。ただ、近況イレ込まなくなったので思い通りの仕上げが出来る面も。半馬身程出遅れたが、最近折り合いは付くので、少し出して中段やや後方。ただ、直線向いて内外で迷ってから大外へ持ち出す形。前がビービーガルダンとコスモセンサー、実際内は詰まっていただけに、これが次善手だったのだが、サンカルロを行かせてからでは二手遅い。ストロングリターンの枠ならまた競馬が替わっていたのだろうが、勿体無い競馬に。

クレバートウショウ

例に依って少しトモの甘い歩様だが、デキ自体は前走以上。出脚は例に依って速いが、控えて好位。少し序盤力んでいたのは仕方が無いところだが、何とか我慢させて、直線向いてからでも絶好の手応え。ただ、シルポートとジョーカプチーノの間でポケットにハマったのが痛い。シルポートが止まる迄、かなり待たされてしまった。特に最後ジョーカプチーノを捕まえる程の脚が残っていただけに、余計に惜しい印象が有る。逆に言えば馬は力を付けている。器用さ活かせば今秋京都戦はチャンス。

ジョーカプチーノ

+6s。また馬体増。当然ボテッと映った。右前深管を過去にやっているとはいえ、GⅠでこの仕上げは厩舎技量を疑わざるを得ない。2着だったが、前走シルポートに事実上逃げ切られており、外枠で無理したくないところでも擦りに行かざるを得ず2番手。直線向いてからも早々に潰しに行き、狙いは当たったが、対シルポートで脚を使い過ぎてしまった。結果的にその直後に居たリアルインパクトやクレバートウショウが絶好の展開に。そのクレバートウショウに最後差された点には案外感も有るのだが、これに関しては太い影響も有ろう。今秋はまず中山戦だが、マイルは全く問題無く、京都での巻き返しも期待したい。

アパパネ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。+8s。数字通り、腹回りが少し緩い。意外に出脚は有ったが、無理せず中段。昨春は折り合いに課題も有ったが、今は昔。スムーズに折り合っていた。直線向いても、リアルインパクトの直後から不利無く運べたが、ジリジリとしか脚を使えなかった。この馬の場合、GⅠを目一杯走っての中2週ではこんなモノなのだろう。逆に、目標としたレースは確実に仕留めており、今日の敗戦はむしろ厩舎技量の高さを証明した格好。今秋、牝馬限定GⅠ完全制覇はほぼ確実。

シルポート

相変わらず腹回りが緩い。今季良い様に見せないのは散々述べた通り。戦前の想定通りハナ。出脚の無い馬が悪いのだが、押してハナへ立ったところでジョーカプチーノに来られ、600m通過時点で前走より1秒以上速いペース。直線向いてからもジョーカプチーノのマークが厳しく、坂を上がって苦しくなった。出脚が圧倒的に速ければ別だが、この馬の出脚では相手の出方に左右されるのは仕方が無いところ。

ダノンヨーヨー

叩いて順当に良化。馬体の張りが戻って来た。出遅れ1馬身不利。今日の展開で後方から大外ブン回しはキツいのだが、途中迄は伸びていたにも関わらず、最後は苦しくなったか内にモタれていた。ただ、モタれる癖は3歳時から。出遅れが無ければまた別だが、それを跳ね除けるだけの地力は無いという事なのだろう。

エーシンフォワード

2人曳き。馬に集中力。馬体は前走と変わらずも、もう少し重量感は欲しい。戦前、陣営は大外枠を嘆いていたが、一発狙って最後方迄下げての競馬。直線向いての反応も良く、リーチザクラウンとコスモセンサーの間を狙ったが、そこで挟まれる不利。東京は直線が長過ぎる嫌いは有り、馬券圏内はどうかだが、残念な競馬になってしまった。これも秋に改めて。

第16回ユニコーンステークス (GⅢ)

アイアムアクトレス

落ち着いていた。牝馬にしてはしっかりした造り。少し硬い歩様は、ダートで許容範囲。出脚でスッと好位。折り合いも付き、スムーズな追走が出来た。直線向いて、少し追い出しを我慢させ、エーシンブランに並ばれる格好になったが、今日はここからの脚が速かった。アッサリ突き放して、一気に2馬身程のリード。ただ、最後グレープブランデーに詰められたのは、抜け出して直ぐ手前が替わって内にモタれていた影響が有る。この点に関してはデビュー戦から改善されていない。出脚と決め手は評価出来るのだが...。

クレープブランデー

オーストラリアンブリンカー。-8s。今日は少し細いが、骨格のしっかりした馬。この世代はディープインパクト産駒やステイゴールド産駒が頂点だから世代最上位に近い。ゲートが少し悪く後方から。前走京都戦も遮眼革着用しており、馬具を色々試しているが、道中は首が使えず少し頭が高い。それでも4角大外からここ迄差し込んで来れれば力量上位は間違い無いところ。ただ、今日の馬体減は頂けない。輸送に弱いそうで、特にダートはあちこち遠征せざるを得ないだけに。

ボレアス

-2s。トモに丸みを残し、そこ迄細い印象は無いが、また馬体減。良い傾向ではない。ゲートは出ているが、出脚が鈍く、押して何とか中段。スロー嫌ってマクり加減に動いたが、4角でユウキマリアッチと接触する場面。これは少し勿体無かった。それでも直線伸びているが、最後に甘くなって2着が確保出来ず。勝ちに行く競馬をしている影響が有るとはいえ、詰めの甘さは付き纏う。それでも馬体回復なら多少は違う筈で、一度立て直した方が良さそう。

タイセイファントム

-8s。そこ迄細い印象は無い。仕草は子供だったが、毛ヅヤも良く、デキ自体は上々。出脚の速い方ではないだろうが、少し出して中段。コーナーを上手く立ち回り、直線も労せず外へ持ち出せたが、ボレアスにアッサリ交わされてしまった。砂を被っても気にせず、乗り易さは有りそうな馬だが、決め手では差が有る。距離も器用さでこなしているだけで、少し長いだろう。

オメガスカイツリー

まだ少し緩いが、ダート向きの重量感が有る。歩様もバネが利いていた。出遅れ1馬身不利。出脚も鈍く最後方から。枠なりに最内をコトコト回って来たが、追い出したら完全に天井向いていた。前とは差が有ったにせよ、それで5着なら悪い内容ではない。競馬を覚えて来ればオープンでも足る馬に。

タマモブラウン

気配は文句無し。トモに重量感も有り、如何にもダート馬。これも出遅れ1馬身不利。後方から最内を通り、直線もラチ沿いから。少し捌き損ねる場面も有ったが、それ以前に距離が短過ぎた印象。戦前期待した通り、能力は有る。

エーシンブラン

チャカつく。馬体にパワフルな印象は無く、ダートはベストではなさそう。ハナへ行く手も有った筈だが、内から主張した馬も居て、好位に控える形。前走園田戦思えば折り合っており、いったんは抜け出す場面も造ったが、そこ迄だった。前走とは相手も違ったが、57sも比較上苦しかった様。

ビッグロマンス

オーストラリアンブリンカー。馬が緩んでいる。テンションも高く、今日は下見で圏外。押しても全く進んで行かず後方から。直線も含め、ずっと手応えが悪かった。砂を被った経験は有る馬で、デキに敗因求める外無く。