Sakura Archives

競馬回顧 2011年6回阪神・5回中山

第56回有馬記念(GⅠ)

オルフェーヴル

2人曳き。-4s。絞れるのは悪くない傾向。踏み込み力強い。乗り役が騎乗してからは煩くなったが、曳かれている間は意外に落ち着いていた点にも好感。ゲート悪いのは何時もの事。最初からスローで、となると内に入れざるを得ないのだが、向正面で外へ持ち出し、3角から徐々に進出。4角では既に前を射程圏に捉えて、最後は抑える余裕。このスローでかなり苦しい展開になったが、外でもコーナーを勢い付けて回って来れたのが最後の一伸びに繋がっている。ただ、それも馬が強いという前提が有って、馬を乗り役が信じてこそ。「イメージより後ろからの競馬となり、しかも流れはかなりのスロー。正直、キツい競馬でしたね。向正面で外へ出すことができたし、4角でスピードに乗り、そこから仕掛けると沈むようにハミを取って、捻じ伏せるような格好で勝つことができました。本当に強い、そのひと言ですね。まだまだ、馬は成長しているし、来年はさらに強いオルフェーヴルの強い姿をお見せすることができると思います。そして、最大目標の凱旋門賞に挑みたいと思います。 (池添騎手・週刊競馬ブック)」

エイシンフラッシュ

今日は満点。馬体の張りが文句なし。例に依って出脚は速いのだが、折り合いに専念して、前に行きたい馬を行かせて中段。このペースだと折り合いは怪しいが、前に馬を置けば我慢するタイプで、むしろこの位の方がこの馬は伸びる。直線、スムーズにヴィクトワールピサの左が開き、久々にこの馬の決め手を発揮した。スローの内枠でしっかり我慢させればこの馬はかなり強い。展開ハマるかどうかは時の運としても、こういう馬の方がむしろ欧州向きという気もしないでもない。

トゥザグローリー

+12s。馬体増も、馬が張っていた。今季は元々好調だったが、冬場の方が良いタイプなのだろう。好発。前付け狙っていたが、内から来られてこれを叩きに行くと引っ掛かりそうな気配が有り、結局は抑えている内に中段やや後方から。このロスは有ったにせよ、それでも今春京都戦の敗戦は意識に有っただろう。直線迄動ける場面がなく、直線も内を諦めてオルフェーヴルのところ迄出しての追い出し。頭の高い走法で、高いレベルで言えば良い脚が一瞬しかないのだが、それを上手く活かし切った。戦前にも述べた様に中山は走る。エイシンフラッシュと枠が逆なら着順も逆だっただろう。

ルーラーシップ

9割方出来ていた。もう少し歩様に力強さが来れば完璧。ゲート出たが、この枠で出脚が甘く後方から。オルフェーヴルとは回り脚が違うのだが、バラけた後方で自分のフォームを崩さずに走れた分、直線は伸びた。中山向きではないのでここ迄だが、力は見せている。ただ、現状の不器用振りでは無冠の帝王のままだろう。まだ海外の方が確率は高い。

トーセンジョーダン

2人曳き。馬体変わらず。歩様も落ちていない。出脚は速くないが、折り合いに不安のない強みで積極的に乗られて好位。その通りに折り合いは問題なかったが、直線向いて坂下辺り迄内にモタれ気味。コーナー回るのが下手なタイプの典型的症状。ただ、東京2戦で激走した後でも有り、もっとダメかと思っていたのだが、掲示板確保は立派。無事是名馬。体質が余程丈夫なのだろう。

ブエナビスタ

+6s。この時期の牝馬にしては毛ヅヤが冴えていた。もっとスカッと見せた方がこの馬らしいが、しっかり踏めていた。出脚が抜群に速い馬ではなく、少し押して好位。この影響も多少有るだろうが、幾らスローとはいえ、この馬にしては珍しく行きたがっていた。この厩舎らしく、道中ロスなく運んでこその馬で、こうなると牝馬のパワーの無さが出てしまう。直線は全く伸びず。精神的には前走東京戦で終わっていたか。

ヴィクトワールピサ

+12kg。バネの利いた歩様は素晴らしいが、馬体に張りがない。また出遅れたが、今年に入って一番マシ。押してブエナビスタの前へ。これも引っ掛かっており、向正面で昨年同様、前へ並び掛けて行ったのだが、そこでアーネストリーが抵抗した為、一旦引いての決め手勝負。この馬はこうなると案外脆い。これで引退だそうだが、この2走で晩節を汚した感は有るのは残念。

アーネストリー

今夏阪神戦と同じ数字だが、これでは少し太い。1周目4角で掛かりそうな雰囲気が有り、ならばとハナへ。ただ、初めて逃げる形になった影響なのか、1000m通過63.6秒は遅過ぎる。向正面でヴィクトワールピサが我慢し切れずに動き、それを突き放すのに脚を使ってしまい、これではむしろ決め手の有る馬の餌食になるだけ。逃げ馬はもっと飛ばして乗らないとダメ。

第28回ラジオNIKKEI杯2歳ステークス(GⅢ)

アダムスピーク

-8s。良く言えばスカッとだが、少し細い位の造り。ジワッと好位のイン。1000m通過が62.1秒。ペースとしては遅く、序盤から結構行きたがっていたのだが、スローでゴールドシップがマクりに行って、これに抵抗した他馬とは違い、4角でインで脚を矯める格好になったのが大きかった。ただ、坂下でマイネルエクレウスとグランデッツァの間が狭くなり、一瞬逡巡する場面。2歳馬だけにこれで怯んでも不思議ではないところだが、それを立て直して再び伸びたのは立派。大物感は感じないものの、センスが有って、良い決め手が有る。

ゴールドシップ

腹回りしっかりしており、数字通りに造って有る馬。歩様もキビキビ。出遅れ1馬身不利。勿論スローが一番大きい理由だが、後方のバラけた位置に居ながら掛かり気味だった事も有り、3角過ぎからマクる様に進出。4角では内からグランデッツァやトリップに抵抗されているのだが、それでも直線再加速して2着浮上。少し頭が高い点はマイナスながら、間違いなく一番強い競馬をしている。

グランデッツァ

一息入ったが、まずまず。多少の物見は初コースで仕方がないところ。ゲートは少し悪かったが、出脚で好位。このスローでも折り合いは付いていた。4角でゴールドシップのマクりを受けて立つ形となり、ここで脚を使っているものの、そのゴールドシップに差されたのは頂けない。前走札幌戦もそうだったが、道中から外へ逃げ加減。能力は有る筈だが、もう少しスムーズに競馬出来る様にならない事には。

トリップ

この中間、状態面に良い話がなかったが、悪くはない。歩様も気にならず。出脚悪くなかったが、あまり行く気なく中段から。これも折り合いは付いていた。前述した様に、ゴールドシップがマクりに来て、抵抗に行っている分は有るのだが、坂を上る脚でジワジワ離されてしまった。デキは問題なかった筈で、上位馬とは能力差有ると見たい。

ブライトライン

毛ヅヤの良さも有るが、馬振りは中々。スタート直後から馬が前向き過ぎた為、内へ入れて中段で折り合いに専念。それでも道中は力み加減。その分なのか、直線はジリジリと伸びた程度。上級フジキセキ産駒らしく、パワーは有りそうだが、この距離は少し長いだろう。

エネアド

シープスキンノーズバンド。背丈がないだけで、馬体の造り自体は悪くない。馬体も張っていた。フォームはディープインパクトだが、後方の外目でずっと行きたがっていた。3〜4角中間で一度ゴールドシップにマクられた後、一度立て直して二段マクりに来たハッピーウィークに飛び付いたが、そこ迄だった。まずは折り合いを何とかしない事には。

第49回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

フミノイマージン

2人曳き。トモのボリューム感は流石。文句なし。小回り意識して早目というよりは、行く気がない馬が多く、自然と中段やや後方辺りから。急かしていないので、折り合いは付いた。今の小倉は内も悪いのだが、それでも4角で内から7頭分程外を抜群の手応えで進出。今日はこの段階で勝負有り。最後詰められたのはあくまで早目に抜け切った分だろう。回り脚が速いので小回りがベストなのだろうが、トップハンデ背負い、自力で勝ちに行ってその通り勝ち切ったのは立派。力を付けている。

ブロードストリート

昨季は馬体細化に苦しんでいたが、今季は初っ端で回復していたのが良かった。デキ自体はずっと好調。間違っても出脚の速い方ではないが、押し気味にこれも中段やや後方。向正面ではフミノイマージンと並走の場面も有った。ただ、3〜4角中間から一気に動いて勝ちに行ったフミノイマージンとは対照的に少しズブさを見せていたが、直線向いてからの伸びは目立っていた。これでこのレースは連続2着だが、こちらは逆に広いコース向き。

コスモネモシン

皮膚を薄く見せて、今季はデキ抜群。今日に関してはイレ込みキツいが。折り合いが頭に有る様で、あまり行かせる気はなく、この馬の出脚で中段。終始内を回って、一旦は2番手の場面だったが、最後は内の馬場が悪い分と距離だろう。最近マイルは忙しい印象も有るのだが、2000mでは微妙に長く、勝ち切る場面は想像し辛い。近走堅実に走っている中でも、ベストは1800m。

レーヴディソール

緩いのが直らず。それに尽きる。ゲート五分に出たが、無理せず後方から。向正面迄は問題なかったが、3角での反応が鈍く、直線向いて1馬身前方に居たブロードストリートにも最後は突き放されていた。案外の内容。下見もそうだが、フォームが本来のモノではないのが一番気になるところ。全身使えていない様に見える。

シースナイプ

イレ込み目立ったが、トモは張っていた。格上挑戦でも馬は負けていない。出脚は速く、もっと前へ行ける馬だが、この枠で折り合い重視して中段から。3〜4角中間から外から進出して来たフミノイマージンに内から併せる形。この脚は中々悪くなかった。最後は決め手の差だが、今日は良い経験になったは筈。内枠引いて楽に先行出来る展開ならオープンでも足る。

ラフォルジュルネ

-4s。トモに丸みが有って、メリハリの利いた造り。最初から行く気なく最後方から。終いに賭ける競馬で、後方ながら4角の手応えは悪くなかったが、直線向いて一瞬内にモタれる場面。立て直してからは良く伸びていたが、このロスが少し惜しい。器用さが来れば重賞でも足る馬だが、そこが中々難しいところ。

第63回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

アルフレード

数字通りに見せているが、少し太く映る。トモ高気味なのが如何にもシンボリクリエエス産駒だが。出脚が速く、少し深追い気味に見えた位だったが、そこで宥めて好位に控える形。前半からソコソコ流れたが、4角でトウケイヘイローが動いて前にはキツい展開。これを好位のインで脚を矯められたのだから勝って下さいの競馬になった。時計が抜群に速く、過小評価も避けたいが、頭の高い走法でマイラーなのは間違いないところ。

マイネルロブスト

シープスキンノーズバンド。+8s。相変わらず腹回りはボテッと映る。スプリントから来た馬相手では出脚で勝てなかったが、アルフレードが前を深追いし、上手く好位のインに潜り込めた。あとはそのままアルフレードの後を追うだけ。ただ、坂を上る辺りの脚で少しアルフレードに突き放された感も。馬体が太い分だけ、機動力に欠けたが、逆に言えば力負けではない。

レオアクティブ

+8s。数字は回復分だが、相変わらずチャカつく。ゲート入り少しゴネながらも、五分に出たが、横山典弘騎手、この枠で先行策はキツいと読んで、後方で脚を矯める競馬。馬はかなり行きたがっていたが、前走東京戦で使える脚は一瞬なのは分かっており、直線でその決め手を活かし切っての3着。アルフレードも少し頭が高いのだが、この馬も天井向いた様な走法。ベストはスプリント戦。前走で触れた様にアテには出来ぬタイプだが、来年の新装中京1400m戦がとりあえずの目標になるのだろう。

トウケイヘイロー

馬体はまだ貧弱に映るが、しっかり踏めていた。出脚が速く、スタート直後は4頭並走だったが、無理せず一旦中段に控える形。ただ、途中迄は馬が我慢していたのだが、3角過ぎに抑え切れなくなり、4角先頭。かなり強引だった事を思えば今日は良く粘っている方だろう。力だけならアルフレードと五分に近い。

ダローネガ

相変わらず無駄肉のない造り。もう少し歩様が伸びると理想的だが。またゲート少し悪く後方から。外を徐々に上がって行ったが、脚もダラダラ使わされて直線伸びず。外枠がアダ。かといってレオアクティブの競馬では勝つ場面がなく、この辺りの判断は中々難しいのだが。

クラレント

落ち着いていたし、相変わらず馬体の張りは良い。痛恨の出遅れ。道中動ける場面がなく、直線だけの競馬になったが、最後は伸びていた。前々走京都戦で少し触れた様に元々中山向きの馬ではないのだが、今日はゲートが全て。

ハクサンムーン

馬は数字なり。もう少し歩様に柔らか味が出ると良いが...。また出遅れたが、スピードの違いでハナ。流石に速いが、GⅠでこれは無謀。スピードだけなら2歳No.1と言っても良い位だが、ゲートが悪いのは勿体無さ過ぎる。

第6回阪神カップ(GⅡ)

サンカルロ

+8s。数字は回復分。今日は馬を大きく見せる。間隔開けたのが正解だったか。今日はゲート五分も、無理せず中段やや後方から。万全ではないにせよ、折り合いも付いて道中上手く脚を矯めて、直線だけ外へ。内に居た馬が前を中々捌けない中、先に抜け出したグランプリボスを目標に一瞬の脚を活かし切って最後はハナ差。一瞬の脚を活かすという点では中山や阪神向きの馬。コンスタントに走れないのはこれが原因。

グランプリボス

前走京都戦思えば堪えていた。見た目のデキ自体は元々悪くない。若干出負け気味に中段。下見は堪えていたが、実戦行くと逆に掛かり気味の追走。4角もその手応えのまま進出し、直線も抜け出したが、早目に抜け過ぎた嫌いも有り、サンカルロの強襲を許してしまった。マトモならやはり馬力が違うといったところだろう。ただ、現状スプリンターと考えておいた方が良さそう。東京ならまだしも、特に京都のマイルが難しい。

フラガラッハ

良く見せるのは元々。その意味では変わらず。この馬にしたらこれでもまだマシな部類だが、出遅れ2馬身不利。最後方でずっと折り合いに専念して、直線だけ馬群の真ん中へ突っ込んでここ迄。今日はソコソコ流れた事も有り、上がりが掛かって久々にハマッた。最後マルセリーナを捕えたのは褒められて良い。今後もゲートと前半のペース次第に。

マルセリーナ

-4s。絞れるのは良い傾向。毛ヅヤもまだ維持出来ている。これも少し出負け気味。スタート直後から出脚が怪しく、道中掛かるどころか、少しオッツケ気味の追走。4角でグランプリボスの直後に付けて、サンカルロとの併せ馬だったが、アッサリ突き放されて、最後はフラガラッハにも捕まる始末。1400mが少し忙しいのだろうが、それにしてもだらしない。距離適性の幅が狭い。

シルポート

悪い時の硬さもなく、しっかり踏めていた。この相手では出脚が通用せず好位から。ハナへ行く形ではなかったが、計算上今日のペースはこの馬のペース。向いてからは決め手の差歴然だが、最後迄諦めずに走っていた。この形を期待してはダメだが、少しずつ馬が良い方に枯れて来た印象も。

ガルボ

馬体そのものは問題なさそう。少し歩様が硬いのもこの馬独特。出脚速く好位から。4角迄は良いのだが、直線向いて前が同時に止まって蓋されたのが痛かった。阪神はこのパターンが多いのだが、不完全燃焼。逆に言えば次走狙い目。

リアルインパクト

-6kg。少しチャカつき気味。毛ヅヤも落ち気味だが、馬体の張りは保っている。枠の利も有るが、出脚速くスッと好位。ソコソコ流れたとはいえ、ガルボ同様4角迄は折り合ってスムーズに運べていたが、直線向いてずっと前が開かず、捌いた時には競馬が終わっていた。今日は競馬にならず。

リディル

馬体は決して悪くないが、今日も少し歩様が硬い。出脚は大して速くなかったが、掛かり気味に好位。ただ、3角で直ぐ前に居たクレバートウショウが故障し、落馬寸前の不利。直線入口で先頭に立ち、格好は付けたが、このアクシデントは如何にも大き過ぎた。ただ、外枠の時に掛かる癖が出てしまったのは残念。馬券的には取捨選択の難しい馬。

第63回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

ジョワドヴィーヴル

2人曳き。初コースで、物見激しい。歩様もヒョロヒョロ。出たなりで中段やや後方。この姉妹、というよりは厩舎技量なのだろうが、手綱を持っているだけで折り合えるのは強み。直線だけ外へ持ち出し、暫くは反応鈍かったが、エンジン掛かって坂を上る脚が他馬とは桁が違っていた。馬体の貧弱さは気になるものの、真打ち登場といったところだろう。厩舎技量という点では折り合い面だけではなく、全身バネのフットワークも素晴らしい。馬を鍛える事が上手い調教師は多いとしても、走法を教える調教師は未だかつて存在しないと思っていたのだが、松田博資調教師はもしかしたらそれが出来ているとすら思える程、この厩舎はフォームに無駄がない馬が多い。

アイムユアーズ

相変わらずトモに張りがない。下見からは絶対に手が出ない馬。ゲート少し悪かったが、少し出して好位。出した分、行きたがる場面も有ったが、前付けから内へ潜り込んでからは折り合いも付いた。直線向いてバラける迄暫く待たされ、坂下からの追い出しはこのスローだけに少し遅れた感も有ったが、それでも渋太く伸びて2着浮上。向正面での雰囲気では直線失速必至の雰囲気だった事を思えば今日は悪くない内容。地味ながら勝負強い。

サウンドオブハート

2人曳き。輸送有って落ち着いていた点には好感も、馬体は一息入って余裕残し。好発切って好位。序盤は馬群の外で少し行きたがっていた様に見えた。3角で折り合いは付いたものの、基本的に馬は前向き、4角で先頭に並び掛けて先頭に立たんかの場面で、ジョワドヴィーヴルが一気に駆け抜けていた。最後は早目に動いた分、2着も逃してしまった。ただ、これはあくまで外枠の分。戦前、この馬が1番人気だったのは解せぬところだったが、1戦1勝のジョワドヴィーヴルは別にすれば格好は付けている。

イチオクノホシ

2人曳き。テンション高いのは元々。輸送有ってこれなら許容範囲だろう。ただ、馬体にメリハリを欠く。好発も、序盤行き振りが良くなくて、ジワジワ下がって4角で中段やや後方。直線向いた段階ではジョワドヴィーヴルの内から併せる格好になったが、脚が違い過ぎた。とはいえ、この馬もそれなりに伸びてはいる。恐らく重賞でも通用する脚は有るのだろう。次走インパクト薄で人気なくなるなら積極的に狙ってみたい。

アンチュラス

例に依って馬体はバランス取れている。毛ヅヤも悪くない。エイシンキンチェムとは出ッパに差が有り、無理せず中段のイン。所々で行きたがっていて、道中リズムが悪かったのだが、それでも内からジワジワは来ている。前走京都戦は少しズブい印象が有り、阪神マイルは悪くないと思ったが、この辺りがキャリアの浅い馬の難しいところ。だからこそジョワドヴィーヴルは凄いという事にはなるのだが...。

エピセアローム

+10s。もっと増えても良い位。馬としては成長している。ゲート少し悪かったが、外で思い切り引っ掛かって好位に居たサウンドオブハートに並び掛けて行く位の行き振り。外へ逃げる面は見せず、この点はクリア出来たが、折り合いを欠いてしまっては話にならない。能力は有る筈で、改めて。

ラシンティランテ

馬体には成長途上感有るが、歩様が中々力強い。出脚が速く、今日はそのまま行かせる形。好位に居た組は行きたがっていた馬が多かったのだが、これも例外には非ず。ただ、直線止まるのが早過ぎる。攻め馬が抜群に動いた影響で人気になっていたが、実戦行くとそこ迄ではない様。現状はもう少し短い距離の方が良さそう。

第4回カペラステークス(GⅢ)

ケイアイガーベラ

-12kg。スカッと見せて好気配。引退はレース後決めたそうだが、メイチに仕上げた雰囲気。好発。クリスタルボーイが何が何でもの構えで行って2番手。今日は4角の手応えが抜群だった。直線手前が替わらなかったが、それでも後続を2馬身半突き放して快勝。前回の重賞勝ちも8枠だったが、揉まれたり、内から無理矢理先行して脚を使うと脆い反面、外枠からジワッと揉まれずに行ける展開なら強い。ただ、前述した様にこれで繁殖に上がるとの事。この手の馬はクズを出さないケースが多く、馬主孝行出来る馬を出してくれそう。

ティアップワイルド

+8s。この時期にしては毛ヅヤが良く、数字も回復分。中山1200mは内で包まれると悲惨だが、逃げ馬の直後をレディルージュに取られて3列目から。坂下で既に先頭に立っていたケイアイガーベラとは5馬身程の差有り、この段階では圏外だったが、馬群を捌いてからの伸びが中々。能力と砂を被っても怯まない根性は示したが、内枠では出脚が少し辛い印象。これも外からジワッと運んだ方が良いタイプ。

タイセイレジェンド

-10kg。遮眼革。まだ腹回りボテッと映る。歩様が伸びないのもマイナス。この歩様では当然の様に芝での出脚が一息だったが、押してティアップワイルドと同じグループ。馬群の一番外に居て、早目早目の立ち回り。外枠で初の1200m戦にもそれなりに対応出来たが、気持ち良く行き過ぎた分、最後甘くなった。ただ、これで1200mが問題ないとは言い難い。あくまで外枠で出脚の無さが上手く誤魔化せただけ。

レディルージュ

遮眼革。前駆の勝った造りはこの馬独特だが、今日は少しテンション高い。好発。出脚も速かったが、クリスタルボーイが主張してこの直後。砂を被るのは仕方がないにしても、ほぼ最高の競馬が出来た筈だが、追って甘い。芝だと時計勝負の方が良さそうな印象も有ったが、ダートでは時計に限界の有るタイプなのかも。

セイクリムズン

メリハリの利いた造りで、状態面に問題はなかった。出脚はティアップワイルドより少し分が良い位だったが、この枠で行き切れず3列目グループから。ただ、直線向いてティアップワイルドとは伸びが全く違っていた。案外の内容だが、昨年も坂下でモタつく癖は見せており、1400mなら内枠で器用さ活かす競馬が良いとしても、1200mだと外枠から4角勢い付けて行った方が良さそう。前述した昨年もスムーズに運べた利が大きかった。

第47回中日新聞杯(GⅢ)

コスモファントム

この馬は少し太く見せる位で丁度。昨冬の雰囲気は有る。ハナへ行ける出脚だが、無理せず好位直後。前に行って内を取るイメージで乗られていた。4角で少しズブさを見せ、ステッキ飛んでいたが、外から被せに来たゲシュタルトを脚で弾いて進路を確保。追い比べに持ち込んで地力を活かした。何故か全く人気がなかったが、昨年の2着馬。勝って何等不思議はない。ただ、これからはハンデとの闘いが待っている。まだGⅡで通用する馬でもなく。

ゲシュタルト

毛ヅヤ一息だが、気配自体は中々。この馬の出アシで中段。ただ、追い込み一手ではキツいと判断したか、早目に外へ持ち出し、3角過ぎから早目に動いたダノンバラードを追っての進出。ペースを読んで上手く乗られたが、コスモファントムにスペース与えたのは失敗だっただろう。最後は追い負けての2着に。矯めればもっとスパッと切れそうな印象も有り、ベストは広いコース。逆に言えば今日の好走は目下のデキの良さを示したと言えよう。

ダノンバラード

踏み込み浅いのはマイナスだが、馬体はシャープ。スタート直後は引っ掛かりそうになっていたが、外枠の行きたい馬に行かせて一度立て直して中段。外回してもそれ程問題無い馬場状態にはなっていたが、早目に動かざるを得ない展開になり、3角過ぎからの進出。一旦は先頭に立ったが、外からコスモファントムに来られた際には抵抗する力が残っていなかった。展開考えれば強い内容だが、それ以上でもない。あくまでこの相手で五分の馬。

エクスペディション

2人曳き。連勝馬らしい馬体の張り。少しテンション高いのも何時も通り。スタート直後から馬が怒った様に首を上げていたが、1角過ぎに落ち着いて中段。そこからはコースロスなく運んで問題無い様に見えたが、4角でズブさを見せて置かれる場面。最後はそれなりに差して来ているが、そこがオープンの壁という事なのだろう。この経験は今後に活きて来るだろうが、暫くは様子見。

マイネルスターリー

馬体の張りが少し甘い。毛ヅヤも一息。ゲートは出ていたが、例に依って行く気なく後方から。これも比較的コースロスなく回したクチ。4角の手応えも決して悪くなく、ジワジワ来ているが、元々がスパッと切れるタイプではなく、上位3頭と似た様な脚色だった。決め手で甘い面は有るが、ローカル重賞なら圏内の馬。

エーシンジーライン

一息入れても歩様はキビキビ。キッチリ出来ていた。勿論出脚は速いのだが、内からオースミスパークが主張して無理せず2番手。ペース自体は極端に速いという訳ではなかったが、ダノンバラードが早仕掛けして、締まった流れになったのが先行馬には辛かった。能力そのものはここでも差はない。今後も展開一つ。

ユニバーサルバンク

-6kg。馬体に問題はないが、右後肢が出て来ない。元々出脚が鈍く映ったが、スタート直後にエクスペディションと接触、更に鈍って中段から。スペースもなかったが、4角の反応も一息で、伸び出したのは競馬が終わった後。下見通りデキ落ちが響いたと見たい。

ジャパン・オータムインターナショナル 第12回ジャパンカップダート(GⅠ)

トランセンド

歩様か少し硬いのは何時も通り。太目感さえなければ力は出せる馬。出脚が最近怪しく、1角審議対象となって際どくなったが、押して押して何とかハナへ。ペースは遅かったものの、その分序盤は内へモタれつつ掛かり気味だった。逃げ方としてはかなり不格好だったが、早目に来たエスポワールシチーを問題にせず、直線向いて振り切って2馬身差の快勝。外枠で2番手の競馬なら負けていた可能性も有ったが、無理してでも行き切ったのが大きい。今後も行けるかどうか、それが全てという事になろう。

ワンダーアキュート

+14kg。少しチャカつくのは元々。少し太く映るが、好調時はこれ位の見た目で、これがベストなのだろう。スタート直後に落馬寸前の躓く不利が有り、後方から。諦めて内へ入れて、終始コースロスの無い様に追走。4角では動ける場面がなく、実質直線のみの競馬に。トランセンドが逃げると好位勢が追っ掛けバテ起こすのは昨年触れた通り、従って評価が難しいのだが、今日のところは腹括った乗り役と、この馬の状態が完璧に戻った事。この2点だけを評価しておきたい。

エスポワールシチー

前走京都戦よりは馬体に張り。ただ、ダートの馬にしては重量感がない。出脚は決して悪くなく、枠の利考慮すればハナへ行けた筈だが、トランセンドの勢いに負けて2番手。それでも3角からトランセンドにプレッシャー掛けて行ったが、直線向いてからは相手の渋太さが一枚上だった。最後は追っ掛けバテの形になりながら、内から来たラヴェリータは振り切ったが、更にワンダーアキュートが来て、二の矢が撃てず。直線の粘り云々よりも、乗り役が2番手からの競馬で満足しているのでは話にならない。この枠を貰って今日はファンに失礼。

ラヴェリータ

これが引退レース。馬体に張りが有って、最後もキッチリ仕上げて来た。スタート直後に躓いたが、立て直して好位のイン。上手く流れに乗れた。4角も手応え充分だったが、トランセンドに付き合っていては追っ掛けバテするのは確実で、直線向いてからの追い出し。上手く乗られて、一旦はエスポワールシチーを交わしたかに見えたが、差し返されて4着。これが引退レース、もう1年使えそうな気もするが、牝馬だけにこれはこれで良いのだろう。

ダノンカモン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。落ち着いていたし、馬体にも迫力。出脚は速いが、折り合いに専念して中段。今日は狙い通り折り合いも付いていた。3角から外を徐々に進出、強気に乗られたが、最後に甘くなって内へモタれてしまった。この相手で1800mの真っ向勝負となるとボロが出るが、GⅢや交流戦なら距離も何とか保ちそう。これもこの馬が地力強化している証。

テスタマッタ

+6s。少し太いだろう。決め手勝負の馬で、ダートでもキッチリ仕上げた方が結果が出るタイプ。アオり気味に出て後方。ただ、ペースの落ちた向正面で思い切り引っ掛かっていた。4角でダノンカモンの直後に取り付いて見せ場は造ったが、そこ迄。毎回折り合いを欠く場面が有り、力を出し切れていない競馬ばかり。能力的には遜色ない筈で、ちょっと勿体ない。

第64回農林水産省賞典鳴尾記念(GⅢ)

レッドデイヴィス

+20s。ほぼ出来ていた。馬体の迫力はここでも最上位の存在で、歩様も力強い。本来は出脚の速いタイプだが、休み明け故か、行き脚付かず後方から。3角から徐々に番手を上げ、直線も大外から。坂を上る脚で一気に決着を付け、最後ショウナンマイティの追撃も一杯一杯振り切った。マトモならここでも力量上位とはいえ、開幕週の大外枠でこのロングシュートはお見事。やはりこの馬はGⅠ級。

ショウナンマイティ

2人曳き。毛ヅヤピカピカ。馬体は中々の迫力だが、少しイレ気味。ゲート出ているが、例に依って行く気なく後方から。道中は内に居て、直線だけ外へ持ち出す形に。何時もこの位の脚は使っているのだが、レッドデイヴィスが少し早目に動いて、前を掃除してくれた分の2着。イマイチというキャラクタ性には何等変わりがない。

サダムパテック

2人曳き。馬体の張り等、万全ではなさそうだが、一応は及第点。行きたい馬に行かせて好位でマイペース。この距離なら折り合いも付いていた様に見えた。直線向いた段階では楽勝かに思えたが、坂を上がる脚が鈍く、最後にはショウナンマイティにも交わされ3着に。案外感の残る内容。ただ、坂を上がって差し返す素振り。この馬、良い根性を持っている。菊花賞好走馬にこのパターンが多いのも戦前に触れた通りで、立て直して改めて。

フレールジャック

2人曳き。-8s。毛ヅヤピカピカも、馬体減はマイナス材料。出脚速そうだったが、今日は中段で折り合いに専念。ただ、3角過ぎ迄ずっと力んでいて、強気にも乗れず直線向いて少し前が壁になる場面。スローの決め手勝負となって、本来の決め手が出せなくなっている状況で、これは痛かった。終わってみれば、戦前懸念した通り、前走京都戦で行かせたのが裏目に。折り合いさえスムーズならGⅠでも足る筈だが。

ヒットジャポット

トモの造りはしっかり。この相手で上位とは言わないが、遜色のない馬体。ゲート少し悪かったが、出脚で挽回して中段。4角サダムパテックに並び掛けて行ったが、坂を上る脚で真っ先に脱落。3歳馬の上位4頭はGⅠでも勝ち負けになる馬。実質初重賞挑戦 (2歳時はにJpnⅠ挑戦が有る) でこれだけ走れれば上等。

第45回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

マイネルキッツ

遮眼革。+8s。馬体の張りは年齢分だろうが、歩様はキビキビ。出脚一息も押して中段。スローの割には出入りの激しい競馬になったが、ナムラクレセント等が先に動いたのを見て、2周目3角手前からの進出。最近はズブさばかりが目立つが、今日は2周目4角を先頭で回って来た段階で勝負有り。他馬とは手応えが違っていた。不良馬場で時計は平凡だが、ディスタンス戦で一番大事な乗り易さを活かし切った。道悪も、距離等のそれ以外の条件が向かないケースが多いだけで、基本的には得意。

イグアス

寸の詰まった造りで、ステイヤーには見えないが...。ただ、下見では淡々と歩いており、気性が良いのだろう。出たなりで無理せず中段の内目。スムーズに折り合えていた。2周目向正面で一旦先に仕掛けたマイネルキッツを目標にナムラクレセントと一緒に上がっていったが、この辺りの回り脚はマイネルキッツの方が上。直線向いてからは最後迄諦めずに伸びているが、4角での差が大きかった。勿論、3歳馬という事を考慮すれば大健闘。これも長距離で乗り易さを活かすタイプ。

トウカイトリック

今日は歩様がマトモ。曳き手を引っ張る様に周回しており、気配も良かった。アオる2馬身不利。道中は離れた最後方に居たが、2周目向正面から徐々に内を進出、4角で一瞬詰まる場面が有り、ここで乗り役も勝ちは諦めただろうが、直線も上手く外に持ち出し、一追い毎に伸びて3着浮上。マクりに行った馬が多く、上がりが掛かったのも良かっただろう。こちらは逆に乗り易さがサッパリのクチ。ハンドリングがもう少し良ければGⅠ馬だったのだろう。相当丈夫な体幹を持っている筈で、本当はこういう馬を種馬にすると面白いのだが、現状では生産界に余裕がないのが...。

ピエナファタスト

地味な気配が長距離向き。馬体も数字なりにまとまっていた。行く気もなさそうだったが、元々ゲートが少し悪い馬で後方から。勝負どころでズブさを見せていたが、マクり合戦の大外。ただ、被されると脆い様で、苦し紛れの選択だった様。ズブい分、最後迄バテずに走っていた。レースが特殊で、能力面の評価が難しいところだが、来春東京戦も連下級の評価は要りそう。

ナムラクレセント

少しチャカつくのは許容範囲。ただ、腹回りがボテッと映った。完調とは言えぬ。出遅れ1馬身不利。出遅れ分を挽回するのに脚を使い、道中もところどころで力む場面が有った。2周目向正面からボレアスと一緒に進出、良い雰囲気で上がって行けた様に見えたが、直線入口で脱落し、最後は掲示板を確保するのがやっと。折り合い万全とは行かない馬で、中山3600mとなると難しい面も有るのだが、もっと前で闘っていたら話は違った筈。出遅れが一番痛かった。

ビートブラック

引き続き好調。馬体の張り悪くない。戦前は先行したいとの話も有ったが、外枠から良い勢いで来られ、この馬自身折り合いが怪しい事も有り、中段から。道中は内に居てコースロス無く運べたが、追って反応する場面がなかった。これも前に行かないとダメなタイプ。気性的なムラが有る。