Sakura Archives

競馬回顧 2013年2回阪神

第73回皐月賞(GⅠ)

ロゴタイプ

前肢にバンテージ。毛ヅヤピカピカ。完成度が高い。コパノリチャードに叩かれる位置だが、上手くやり過ごして中段。折り合い面では死角の少ない馬だが、インに潜れたのも大きかっただろう。今日は結構流れたが、3角過ぎから再び速くなるのがGⅠ。中間で外へ持ち出し、先行したエピファネイアを力でネジ伏せた。後述する各馬にも粗相は有るのだが、強い内容。下見通り、上昇度の差を見せ付けた。

エピファネイア

前後肢にバンテージ。-8kg。ここでも馬のスケールは一枚上だが、ロゴタイプとは完成度で差。ゲートをソロッと出して中段。ただ、2角辺り迄はかなり引っ掛かっていた。それ以降も、ところどころで行きたがっており、今日も厳しいかに思えたが、坂下で一旦は先頭。ロゴタイプにはやられたものの、底力は見せた。以前から散々述べている様に、気性面がおかしくなると調教が鍛錬に向かなくなる。生涯獲得賞金ではロゴタイプより上になるだろうとは思うが、次走だけをいえば状況は厳しくなった。昨年のディープブリランテの様な神に魅入られた騎乗でないと...。

コディーノ

-6kg。狙い通り絞れて来た。前走より落ち着いていた点も何より。これもやや掛かっていたが、ジワッと行かせて好位。少なくともエピファネイアよりはマシだった。上位2頭よりは内目を回り、セコい競馬に徹したが、並ぶ迄持って行けずの3着。この時計勝負は絶好だった筈だが、今日はダラしなさばかりが目に付いた。現状は成長力に欠く。尤も、横山典弘騎手がインを突くのは馬に自信のない時なのだが。

カミノタサハラ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。馬体は悪くないが、明らかに左後肢の送りが硬い。ゲートは五分だが、直後に一瞬だけ前のめりになる様な形となり、ダッシュが付かず後方から。折り合い面には何の問題もない馬で、4角で少し膨れたコースロス以外はスムーズな競馬だったが、伸びは一息。レース後エビが発症したそうだが、壊れそうな場面は多々有った。

タマモベストプレイ

2人曳き。ここに来て歩様がマシになっている。この血統では殻を破った感も。逆に出脚は鈍ったのか、押しても全く進んで行かず後方のイン。今日の展開では4角では上位5〜6頭を除いて、脚が上がっていたが、そこを捌いてカミノタサハラに内から併せてここ迄。この馬のポテンシャルでこれだけ走れば上等。上手く行けばサダムパテック級にはなれる。

メイケイペガスター

2人曳き。下見は落ち着いていた。馬体も目を引く。出遅れというよりは、決め打ちの最後方待機策。狙い通り折り合いは付いたが、その割には伸び案外。折り合っても2000mは長そう。

第18回アンタレスステークス(GⅢ)

ホッコータルマエ

前肢にバンテージ。デキ自体は良いが、ダート馬にしては馬が軽過ぎる。出脚は速かったが、無理せず行きたい馬に行かせてからの競馬。ニホンピロアワーズを眺めながら運んで4角で仕掛けここで"勝負有り"かに見えたが、相手も意外に渋太かった。近走の交流戦はともかく、突き抜ける馬ではないだけに、これはこれ。今日は人気を背負って中央で勝ち切ったことを評価したい。

ニホンピロアワーズ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。いきなりから出来ていた。積極的に乗られて2番手。左後ろからバーディバーディがチラチラさせており、少し力む場面も。4角の雰囲気ではホッコータルマエに並び掛けられた時にはズルズル行きそうな雰囲気も有った程だが、そこを堪えて3/4馬身差。斤量差も有るだけに、良く頑張った2着だろう。弱点は弱点として競馬するしかないが、大分対処策は見えて来た。

ハートビートソング

-6kg。前後肢にバンテージ。少しでも絞れたのは良い傾向。この馬の出脚で中段やや後方から。出脚は知れていそうだが、この枠で少し押して中段。向こう正面でホッコータルマエと並走、先に仕掛けたホッコータルマエを追い掛ける様に動いて行ったが、直線向いて突き放された。ただ、今日は上位2頭が強い。阪神2000mでしか競馬にならなかった馬だが、ダート馬にはなれたか。

ソリタリーキング

+15kg。前後肢にバンテージ。数字は回復分だが、中身には疑問。今日はゲート悪く後方から。余り勝つ気がなかったのか、直線はインから。ジワジワ伸びているが、ここ迄。今日の内容だけでは何とも評価し辛い。あくまで目標は次ということなのだろうが。

ナイスミーチュー

若干鶏脚気味だが、馬には迫力が有る。ダッシュ利かせて好位のイン。馬格の割に完歩の小さいタイプで出脚は速い。砂は被っているにせよ、内でスムーズな競馬が出来た。4角で上位2頭の一騎打ちムードになったが、一旦矯める形となり、この点でも展開は向いている。最後は力量差以外の何物でもないだろう。重賞では複勝有るかどうかの馬。

第73回桜花賞(GⅠ)

アユサン

2人曳き。-12kg。気配は良かったが、少し腹が巻き気味。ゲートは五分。出脚も負けていなかったが、行きたい馬に行かせて好位。直線向いて少し前が壁になったが、脚が有るからコジ開けて来れる。一旦レッドオーヴァルに出られる場面も有ったが、最後のもう一伸び利かせてV。完勝。外枠に泣かされる等、不運続きの馬だったが、大舞台で漸くマトモな競馬が出来た。コーナリングの悪さも、今日の馬場状態なら問題はなかった。ベストの左回りで更に良さが生きて来そう。あとは馬体維持。

レッドオーヴァル

+4kg。少しでも増えるのは良い傾向。例に依って行く気なく後方から。中段グループがかなり固まっていたが、それらとは離したのが今日は正解。馬群の固まったところに居てはコースロスだけでなく、精神的なロスも大きい。直線だけ外へ持ち出して良く伸びているが、良い脚が長く続かないのか、この馬場ではパワーが足りないのか、坂を上って甘くなった。東京に替わるのはプラスだが、距離延長。微妙な面は残す。

プリンセスジャック

シープスキンノーズバンド。パワーの有りそうな馬体。確かにゴールデンジャック。落ち着いていたのも何より。出脚が怪しく、控える形となったが、中段馬群でもインに居たのが正解。4角や直線はともかく、3角迄は内目の馬場も悪くなく、上手く脚が矯められた。4角から外へ持ち出し、スパッとは行かないにしてもジワジワ伸びて3着。馬場は向いたが、この形でも折り合ったのは収穫。これなら距離は保つ。

クロフネサプライズ

2人曳き。-8kg。仕草は堪えていた様にも見えたが、これも少し細かった。スタート直後に内枠の馬が前に居た段階で先行する気は然程なかったのだろうが、思い切り掛かってしまった。対策として馬場の外へ持ち出して馬群から離したが、これも効果が薄く、行かせて4角先頭。これではキツい。力は見せた4着だろう。次走も折り合い一つ。

ローブティサージュ

-12kg。細く見せない。歩様も元に戻っていた。出脚が速く、ジワッと好位。道中はアユサンの1つ前から。ただ、4角でゴチャついたのが痛かった。馬場の悪い内目へ押し込められ、直線は走り辛いのかフラフラだった。逆にいえばツキがなかった割には良く走っている。次走も圏内。

トーセンソレイユ

2人曳き。-4kg。この数字でも流石といえる馬体だが、やはり減るのは良い傾向ではない。出遅れ1馬身不利。今日の展開ならこれでも悪くないが、外に居たレッドオーヴァルには並ぶまもなく行かれてしまった。良発表でも1分35秒で決まる馬場ではちょっと辛かったか。

第31回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

エーシントップ

-10kg。筋肉が落ちずに無駄肉が取れて来た。確実に良くなっている。内枠の馬が何頭か行ってその外から。基本的には折り合いに難の有る馬だが、今日はスムーズだった。この手の馬は競りになれば厳しい筈だが、最後の一踏ん張りは道中で矯めが利いた分だろう。この内容なら不安は払拭。あとは東京での決め手の問題。少なくとも東京向きではない。

レッドアリオン

トモのボリューム感は有る。腹袋もしっかり。直ぐ内のラヴネヴァーダイズとストーミングスターが先行。ゲートは少し悪かったが、出脚も速い為、難なく好位のインが確保出来た。馬場状態が少し悪いから内も開くのだろうが、一瞬抜け出したが、最後にソラを遣ったか、馬場なのか、寸前で甘くなった。惜しい内容。重賞勝てる力は持っている。

ストーミングスター

前肢にバンテージ。毛ヅヤはまずまずだが、少し線が細い。出脚は抜群だったが、内からラヴネヴァーダイズが主張して2番手。ベストはハナとしても、初芝としては充分流れに乗れた。3着止まりだったのは経験も有るだろうが、とはいえ僅差の競馬。良く走っている。次走云々は別にして、馬がパンとすれば走って来そう。

プルムラブルガリス

-8kg。まだ腹回りがボテッと映る。スタート直後に行き場がなく、自然と後方に。外へ回す余裕もなく、仕方なしにインを突いたが、今日のペースでは競馬が終わっていた。決め手は持っている。今日は並びの関係で後方からの競馬を余儀なくされただけで、出脚も決して悪くない筈。

カシノピカチュウ

前肢にバンテージ。増減なしだが、大分馬体が締まって来た。理想はもう一段前での競馬だが、内でスムーズに運んだ割には伸びがもう一つだった。今日の展開ならこの内容では評価出来ない。守備範囲では有るとしても、ベスト1400mか。

ゴットフリート

前肢にバンテージ。少し馬が軽い様にも見えるが、気合乗りは良い。出遅れ。出脚も付かず後方から。4角手前から外へ持ち出して追い上げたが、徒に脚を使っただけだった。今日は競馬にならず。参考外。

第56回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

サウンドオブハート

2人曳き。数字は昨年と一緒だが、馬はしっかりして来た。好発も控えて中段。4角を手応え充分に回り、正攻法で押し切った。この雨なので外を回ったのが結果的に良かった可能性も有るのだが、コースロスを考えれば強い内容。前に壁がなくても折り合えた点も収穫だろう。限定戦では上位の存在。

イチオクノホシ

少しトモの甘い歩様だが、ここに来て馬体の成長が有る。押しても大して進んで行かず自然と後方から。バラけた位置で4角迄はコースロスを最小限に留め、4角で大外。サウンドオブハートには届かなかったが、良く伸びている。最後はペースの問題も大きいだろう。滑る馬場で他馬が苦しむ分だけ馬場状態も向いたか。

クィーンズバーン

昨年の方が良かった気もするが、それなりに出来ている。出脚が速く、スッとハナへ。ディフェンディングチャンピオンとのことで、昨年よりは早目に来られているが、それでも4角迄は単騎。スムーズな競馬が出来た。坂を上がる途中迄は押し切り態勢だったが、最後に8枠2頭。直前に土砂降りとなったことを思えば、昨年のパフォーマンスは見せている。

ハナズゴール

-4kg。減るのは良い傾向ではないが、見た目には細くない。例に依って後方から。外で決まる馬場状態で、4角の位置取りも悪くなかったが、追って案外。イチオクノホシの様に馬格がそれなりに有れば別だが、数字のない馬にとってはややキツい馬場だったか。東京なら巻き返せる。

マコトナワラタナ

この数字にしてはトモの造りは悪くないが、ややテンションが高い。出遅れ1馬身不利。後方からイチオクノホシを目標に運んでここ迄。1400mで競馬になったのは収穫だが、馬場状態に殺された馬も多く、それ以上の評価もどうか。

フミノイマージン

2人曳き。+12kg。数字は回復分。トモの筋肉も浮いて、絶好調時のデキに戻った。後方の内目。3角迄はイチオクノホシと並走しており、今日の馬場だとコース利というよりは内に押し込められた感が強い。直線は実質競馬が終わってから外へ持ち出す形になったが、最後は伸びている。馬場が味方しなかったとはいえ、この馬の力は見せた。次走本命視。

第45回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

トウケイヘイロー

前肢にバンテージ。首を水平に保ち、気配は上々。トモの張りも目立つ。決して出が良かった訳ではないが、ファイアーフロートの先行策に乗って2番手。この段階で13番枠の不利が消滅。4角では引っ張り切りの手応えで、あとは追い出すタイミングだけだった。ソコソコ流れて時計の速い馬場も、前に居た組には有利に働いただろう。ただ、ダイワマッジョーレにかなり詰められたのは、追い出して外にモタれっ放しだった為。4角で行きたがる癖は2歳時から改善されていないのだが、能力面での進境は著しい。あとは気性と素行の問題。

ダイワマッジョーレ

推進力を感じさせる歩様。単にデキが良いというよりは、気配が良かった。ゲートが少し悪かったが、押して中段。基本的には中山向きではない馬で、このペースにオッツケ気味だった。向正面で外へ持ち出し、直線は大外。この点もこの馬のスタイルだろう。直線は良く伸びているが、トウケイヘイローが前で理想的な競馬をしていた。馬は頑張っており、東京なら逆転の期待も当然。

ダイワファルコン

前肢にバンテージ。まだ腹回りが少しボテッと映る。気合乗りは良くなっていたが。出脚は速い方だが、内から行った馬も多く、中段やや前目から。直線もジワジワ伸びているが、3着がやっとだった。能力的に圧倒出来る部分が有る訳ではなく、器用さ身上の馬。少し外を回されたのと、位置取りの影響は大きかっただろう。ハンデ差も有るが、器用さ以上がない。

オセアニアボス

遮眼革。毛ヅヤがピカピカ。多少煩いが、この馬はこれ位の方が走る。ゲートが悪いのは毎度で後方から。これも毎度だが、馬群を全く苦にしない馬で、今日もインを突く形。上手く内も開いて展開上はハマったが、これで4着は少し物足りなさも残る。見た目には悪くなかったが、連闘の影響は少し有ったかも。

ガルボ

前肢にバンテージ。毛ヅヤが良く、好調キープ。好発。一瞬はハナを覗かせたが、行きたい馬に行かせて好位。折り合いも付いて理想的な競馬が出来た。4角でトウケイヘイローの外へ持ち出したのが失敗といえば失敗だが、並ぶ迄持って行けておらず、このペースでこのハンデでは流石に厳しかったか。この馬としてはスローの方が。

ドナウブルー

前後肢にバンテージ。数字はこれで良いが、若干馬体の張りが甘い。内からジワッと好位。最初から外へ持ち出していたのは陣営の指示だったそうだが、4角で既に苦しくなっていた。これもハンデが応えている。数字のない牝馬に56kgはキツい。

第57回産経大阪杯(GⅡ)

オルフェーヴル

2人曳き。トモの筋肉が他馬とはケタ違い。落ち着いていたのも何より。ゲートは五分も、一旦下げてから外へ。ペースも遅かったが、来たるべきゴールドシップとの対決も意識に有るのか、少し早目のスパート。4角での回り脚は何時もと変わらぬ脚だった。直線もアッサリ抜け出して、最後は抑える余裕。時計は平凡だが、内容的には圧勝だった。この相手でこれだけの差が付くなら、能力減はない。ただ、出来れば天皇賞は回避して欲しいところ。昨年の馬場状態は異常過ぎた。ああいった馬場が興行面でマイナスになることは関係者も理解して欲しい。

ショウナンマイティ

2人曳き。+6kg。前走京都戦の直前が悲惨だったが、今回は順調。馬体の張りが違っていた。折り合いに専念して後方2番手。今日はバラけた位置迄下げたこともあり、スムーズだった。昨年がそうだった様に、少しコーナーでの脚が鈍いのだが、直線向いてからはしっかり。オルフェーヴルとは脚の差が有ったが、この馬も昨年と同等のパフォーマンスは示せた。東京へ向かう様だが、今年の手薄ならマイル路線なら断然の存在。

エイシンフラッシュ

前肢にバンテージ。馬は出来ていた。あと気配の問題。出脚は速い馬だが、兄が乗った天皇賞が矯めて正解。今日も矯めて中段から。ただそれでも、少し掛かっていたのは確か。4角で自然と前が開き、展開上はスムーズな競馬が出来ているが、2着欲しかったところが、寸前で差されて3着に。他場でも惜しい競馬は見せる様になっているが、やはりベストは東京。

トウカイパラダイス

前後肢にバンテージ。+10kg。前を歩くオルフェーヴルと比較するのは酷だが、スカッとして緩みのない馬体。好発。最内からコパノジングーがハナへ行っての2番手。この一で流れに乗って4角先頭。オルフェーヴルはともかく、エイシンフラッシュにも坂を上る迄食い下がっていたが、そこ迄。流石に力量差を見せ付けられたか。だが、今日の経験は生きて来る筈。

ダークシャドウ

オーストラリアンブリンカー。-10kg。細くは見せないが、昨秋の筋肉が少しなくなっている。内からジワッと好位。折り合いも付いていて、この馬のベストかどうかはともかく、セコい競馬は出来た。今日は休み明けを言い訳にするが、負け過ぎ感が有ったのも確か。次走楽観視とは行かない。

ヴィルシーナ

2人曳き。前後肢にバンテージ。流石に迫力では負けるが、キッチリ出来ていた。積極的に乗られて好位。1角で躓いたが、この相手だけに痛かっただろう。4角でオルフェーヴルにマクられて、展開的にも厳しくなった。6着でもズルズル行かなかった点は評価したい。限定戦なら。

グローバルスプリントチャレンジ第2戦 第43回高松宮記念(GⅠ)

ロードカナロア

筋肉のボリューム感はこの相手でも一枚上。出脚の速さで食っている馬だが、珍しくゲートで後手。有る程度矯めて行く競馬が最近のパターンとはいえ、これは想定外だっただろう。ペースが上がらなかったことも有って、3角迄は少し掛かり気味だった。4角回って、中段の外目。坂下で自然と前が開き、そこからは一気だった。完勝。今日は展開関係なく、単に力が違った。国内では敵なし。何処かでBlack Caviarと対戦してくれれば競馬ファンとしては嬉しいが。

ドリームバレンチノ

今日も馬体に張りが有る。好調持続。ロードカナロアマークで、中段やや後方。負かしに行くならもう少し奇策を採るべきだったのだろうが、素直に乗った感。ただ、直線はずっと左手前。その分、伸びあぐねた感も有る。それでも着差は賞金に影響しないところで、キッチリ2着を確保した辺りは流石。これ以上を望むなら何か取り柄が欲しいところだが。

ハクサンムーン

2人曳き。鞍下から発汗。それでもこの馬にしては落ち着いている。馬も昨秋より良くなっている。メモリアルイヤーの方が出ッパは明らかに速かったが、出脚でサッとハナへ。戦前は出脚の速いロードカナロアにアオられるかと思っていたのだが、ロードカナロアがゲートを失敗。この馬にとってはこの点で楽になった。メモリアルイヤーも競り掛けて来ず、600m通過34.3秒のほぼスロー。4角を単騎で回り、この形ならこの馬の渋太さがフルに生かせる。最後、2着欲しかったところだが、今の中京では先行馬は圧倒的に不利。これで充分の内容。中山なら一発有って良い。

サクラゴスペル

2人曳き。シープスキンノーズバンド。パシュファイヤー。馬体に重量感はないのだが、馬が張っている。ジワッと好位の外。前に壁がなくてこのペース、少し掛かり気味だったかも。4角は抑え切れない雰囲気だったが、坂を上がって甘くなった。それでもこの差なら力量差は殆どない。ロードカナロアも昨年の3着は経験不足が露呈した形で、この馬も化ける余地は有る。

ダッシャーゴーゴー

オーストラリアンブリンカー。前肢にバンテージ。デキは悪くないが、この数字ではやはり太い。出たなりで中段から。最近は外枠でも折り合いに苦労しないイメージだったが、少し掛かっていた。直線も手前が替わらず。掛かったのは初オーストラリアンブリンカーだと思うのだが、今日に関しては裏目。

サンカルロ

-10kg。狙い通り絞れて来た。硬さもなく、まずまず。出遅れて外から来られ最後方から。ただ、今日の展開で4角大外では競馬にならない。脚は使っているが...。展開に左右されるのは仕方がないところ。

エピセアローム

前後肢にバンテージ。この時期にしては毛ヅヤが良い。前走阪神戦から出来ていた。逃げ馬の直後が理想だったが、意外に出脚が甘く、一段後ろから。前に居たのはマジンプロスパーだったが、坂を上る時に右往左往。最後は戦意喪失した様な止まり方だった。内が意外に伸びない馬場状態も有るのだが、今日は競馬にならず。

第20回マーチステークス(GⅢ)

グランドシチー

+10kg。太くは見せず。毛ヅヤも冴えていた。戦前は「中段から」という指示を出していた様だが、この枠とこの馬の出脚で後方からの競馬。1000m通過辺りから徐々に進出。4角で前にフレイムオブピースが居て、この外を回すのは流石に無謀と、ここでワンテンポ待ったのが正解。ジワジワ追い詰めて、最後にハナ差。もう少し腕力の有る騎手が乗れば変わって来そうだが、それは別の話として、今日に関してはバーディバーディがかなり地力勝負の展開に持ち込んだのが良かった。中山は強い。

バーディバーディ

前肢にバンテージ。500kgを超えると太く映るが、硬さはマシになっている。戦前からの決め打ちだったのだろうが、押して押してハナ。道中もキップの良い逃げを打ち、4角で突き放し、坂下で後続とは5馬身程の差が有ったが、最後に中山天皇のグランドシチー。能力がない馬ではないが、ズブ過ぎるのがネック。

フレイムオブピース

-8kg。小走り入る面も有ったが、スカッとした造り。瞬発力身上のダート馬らしい造り。毎度のことながら出遅れ1馬身不利。後方から行く馬にとって最内枠は面倒だが、バーディバーディが引っ張って、上手く1角で外へ持ち出せた。あとは動くタイミング一つだったが、どちらかといえばこういう力の要る馬場は向かないタイプ。坂下辺りから内へモタれ気味になり苦しくなった。

グラッツィア

前後肢にバンテージ。歩様が伸びないのは何時ものこと。腹袋の大きいタイプだが、緩んだ印象はない。出脚は負けていないが、あまり行く気なく中段の外。4角手前から外を進出して、正攻法の競馬。坂下で2番手グループの先頭に立った迄は良かったが、そこから脚が続かなかった。器用さは有る馬だが、今日は真っ向勝負の展開。こうなると底力の差が出る。

ドラゴンフォルテ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。一歩一歩が力強い。少し押して中段やや後方。ただ、フレイムオブピースやグランドシチーが外へ持ち出して早目に動く中、内に居たこの馬はそれが出来ず直線勝負の形。軽ハンデでこの人気ならこの競馬でも間違っていないのだが、今日の展開では一手遅かった。走法自体は力強いが、直線は右手前のまま。この辺りも改善点になるだろう。

ジョヴァンニ

気配は文句なし。ダートのこの相手ではもう少し重量感も欲しいが、デキは絶好。内からバーディバーディにハナを奪われ好位の外。スムーズに運べている様にも見えたが、4角で既に苦しくなっていた。内枠から行き切っていれば違うだろうが、初重賞挑戦で自分の形を崩されては厳しい。

第61回日経賞(GⅡ)

フェノーメノ

2人曳き。前肢にバンテージ。トモに筋肉が付いて、昨秋より馬が良くなっている。7枠のネコパンチが大逃げ、これに少し付いて行くだけで行こうと思えば行けた筈だが、無理せず中段から。1周目4角で荒れた内目を嫌って、外を回す馬が多い中、内へ入れて馬群の先頭へ浮上。3角手前からマイネルキッツがスパートし、これを目標に進出、直線向いて左手前に替わってからの脚は1頭違っていた。完勝。当初、天皇賞はプランになかったそうだが、確かにこの内容ならスタミナも感じさせた。仮に現在出否未定のオルフェーヴルが天皇賞回避すれば、サンデーレーシングとしては余程自信が有ると見て良いだろう。

カポーティスター

皮膚を薄く見せてデキの良さは伝わって来る。歩様も力強い。ゲートが少し怪しかったが、押して好位確保。マイネルキッツがあまりにも早く動いた為、フェノーメノの強さばかりが目立ったが、この馬もしっかり2着は確保。規格という点では差が有るとしても、器用さは見せた。目黒記念やアルゼンチン共和国杯といったところでは十分主役。

ムスカテール

2人曳き。前肢にバンテージ。-14kg。毛ヅヤは良くなったが、ちょこまか歩く歩様は相変わらず。ゲートは五分に出ているが、折り合いに専念して自然と後方に。フェノーメノを目標に動いて、手応えの割には渋太く、4角で一旦追い付く場面も有ったが、そこからは底力の差が出た形。直線向いて内にモタれていた辺り、左回りの馬だろう。これも東京の重賞で改めて。

タッチミーノット

馬はあまり目立たないが、首でリズムを取って気配は良かった。荒れ馬場が得意でないとのことで、最初から外へ持ち出しており、フェノーメノを筆頭にそこから内へ入った馬が多く、更に外を回される格好になってしまった。横山典弘騎手は考えた末の策だろうが、結果的に上手く行かなかった感。中山がベストの馬ではなく、こういう小細工をするなら東京の方が良い。

マイネルキッツ

馬体には年齢も感じるところ。造りに厚ぼったさは有る。スタート直後は中段やや後方。向正面迄はインに入れ、3角手前から積極的に動いて、3〜4角中間でネコパンチを吸収。この馬も入口でカポーティスターに飲まれたが、掲示板は確保。現状のこの馬としてはこれがベスト。レースを造った方が他馬が苦しむ分だけ有利。

オーシャンブルー

2人曳き。流石にイレ込み過ぎ。馬体はこれで良いが。急かさず後方でジックリと。少し掛かっていたが、馬群がバラけているところに居て、下見の雰囲気を思えば許容範囲。マイネルキッツを起点としたマクり合戦に付いて行こうとしていたが、全く付いて行けず、直線もサッパリだった。前走思えば負け過ぎ。今季はデキがない。

トランスワープ

-12kg。この馬の何時もの気配。数字も絞れたモノ。道中は中段。1周目の4角でタッチミーノットが外へ持ち出し、この馬はその直後で連られて外を回されていた。その関係も有って結構行きたがっており、2周目4角はイチかバチかでインに飛び込んだが、今日の馬場では更に着順悪くしただけだった。勿論、イン突きしてなくても馬券圏内なかっただろう。全てはタッチミーノットがの所為。

第60回毎日杯(GⅢ)

キズナ

トモのボリューム感は最上位。使い詰めだが、デキ落ちもなさそう。出脚も速い馬ではないが、折り合いに専念して後方から。馬場状態を考慮しても結構流れたのはシメシメだっただろう。直線で躊躇なく外へ持ち出して一気の伸び。格が違った感も有った。前走中山戦で失敗した為、皐月賞はスキップだそうだが、この勝ち方なら東京向き。序に京都戦も使わない方が良い様な気もするが。

ガイヤースヴェルト

-6kg。バランスは悪くないが、まだ馬が軽い。ゲート少し悪かったが、出脚で好位。4角で少し押しており、どうかと思ったが、直線向いてからの反応は軽快。キズナとは決め手の差が有ったにせよ、しっかり伸びて2着。キズナがトップの馬という訳ではないだけに、今日の差では何処かで重賞勝つのがやっとといったレベルだが、成長の余地も残す馬体。今後の変わり身は期待出来る。

バッドボーイ

+8kg。この位が数字としては丁度。しっかり踏めていた。外のタイセイウインディの方が出脚は速く、2番手から。向正面では少し気負っている様にも見えた。4角でラブリーデイが外から早目に進出、それに抵抗する形で進出したが、追ってから天井向いた様な走法で伸びあぐねた。内回りや中山ならまだ良いだろうが、外回りでは誤魔化しが利かない。

テイエムイナズマ

-8kg。少し気負っていたが、迫力有る馬体は目に付いた。最近の待機策を止め、少し出して、中段のイン。ただ、掛かっており、4角は待ち切れずに外へ持ち出し進出。近走思えば走っているが、決して良い内容ではない。デイリー杯2歳ステークスはムチャクチャな競馬でも強かっただけに案外。

コメットシーカー

-6kg。毛ヅヤは悪くないが、馬体に実が入っていない。あまり急かさず中段やや後方から。前に馬を置いたのは折り合いを付ける為だろうが、その点は目論見通り行っていた。4角外を回さず、直線でキズナの内へ併せようという意図は間違っていないが、脚が違い過ぎて併せ馬にもならなかった。力差が有り過ぎる。