Sakura Archives

競馬回顧 2013年4回京都

第148回天皇賞・秋(GⅠ)

ジャスタウェイ

2人曳き。馬体が大きく変わったという訳ではないが、今日は落ち着いていた。今日はゲート五分に出て中段。福永騎手が騎乗した際には毎回出遅れていたが、今日はこれが何よりだった。ジェンティルドンナが先行し、馬群が前で固まる中、その直後でジックリと乗られ、400mで仕掛けた時の反応が抜群。一瞬で先頭に並び掛け、終わってみれば5馬身差。圧勝だった。前走後に何処かで勝ち癖が付けばと触れたが、今日は正攻法で充分のパフォーマンス。今秋に関しては何処へ行っても条件が悪化する為、厳しくなるが、来春辺りUAEや香港遠征でも面白い。馬主はハーツクライ好きで知られているが、4歳秋に本格化したのも父をなぞる。この点も望外の喜びだっただろう。

ジェンティルドンナ

2人曳き。デキ自体は大差ないが、阪神戦より歩様が良くなった。好発。ただ、右隣がトウケイヘイローで抵抗せざるを得ず、結果的に2番手から。1000m通過が58.4秒ならハイペースではないが、この馬が先行したことで各馬が早目早目。向正面では一瞬掛かる場面も有った。単純なペースの問題というよりも、馬群が前に傾いた点で厳しくなった。坂上で先頭に立ったが、直ぐ傍にはジャスタウェイ。ほぼ無抵抗だったが、地力で2着は確保した。今日は枠順が仇。これで力を示したと見て良い。次走、エピファネイアが出走だと話は別だが、それ以外には先着出来る筈。

エイシンフラッシュ

前後肢にバンテージ。典型的な切れる中距離馬。迫力でどうかだが、相変わらずのグッドルッキングホース。毛ヅヤもピカピカだった。出脚は速い馬だが、自分のスペースを確保しつつ、中段やや前。今日の展開ならもう一歩後ろでも良かったがコースロスなく乗られたのは良かった。ただ、直線向いて前が壁になり、外へ持ち出した際にはジャスタウェイが抜け切っていた。内を突く競馬は毎回上手くは行かない。前走の様なスローなら良かったのだが、内枠だけにあれ以上下げる訳にも行かなかったところで、今日は仕方がない面も。

アンコイルド

変わらず毛ヅヤが冴えていた。歩様も前走京都戦よりはマシ。この枠だが、積極的に乗られて先行馬群に付いて行く形。4角でジェンティルドンナの直後。そこからの脚は流石に歯が立たなかったが、それでも最後迄バテず3着のエイシンフラッシュとクビ差に踏ん張った。今日は高い評価が出来る4着。スタミナを見せた。中京へ向かう様だが、ここは人気になるとして、中山で狙ってみたい馬。

コディーノ

-8kg。馬体は例に依って小ぢんまりだが、下見所の大外をキビキビ歩いている点には好感。少し出した影響で向正面迄少し掛かっていたが、これも先行馬群の中。アンコイルドの直ぐ内に居た。コースロスなく乗られており、一瞬伸び掛かっているのだが、そこ迄。良い脚が長く使えなかった。結局はマイラー。それをいえばジャスタウェイもマイラーなのだが、折り合いや決め手ではやはり差が有るところ。この相手で確実に勝ち負け持って来るには、もう一成長欲しい。

ヴェルデグリーン

2人曳き。馬体は変わらないが、前走中山戦より気配が良かった。この枠でも有り、後方でジックリと。ずっと外回されたが、スムーズには回って来た。もうチョイ伸びて欲しかったところだが、左回りはこんなモノ。中山直行とのことで、次走改めて。

トウケイヘイロー

前肢にバンテージ。前走札幌戦にデキ落ち気配も感じたのだが、間隔開けて再上昇。ゲートはジェンティルドンナの方が速かったが、戦前の想定通りハナ。1000m通過が58.4秒なら、文句は言えないが、ジェンティルドンナにピッタリマークされては厳しい。ただ、直線交わされてからは無抵抗だった。掲示板確保なら褒められるのだが...。コーナー4回の競馬なら2000mでも良いが、恐らく東京ではちょっと長いだろう。次走未定だが、中山なら。

トーセンジョーダン

2人曳き。-18kg。気配文句なし。馬体も絞れて、更に良化。出脚が怪しかったが、少し出して中段。エイシンフラッシュと同じ位置に居て、ペース的には一昨年と同じイメージで運べている筈だが、追ってサッパリ。前走札幌戦のデキから今年はやれるかと思ったが、案外だった。次走、余程変わって来ないことには。

第56回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

コパノリチャード

前後肢にバンテージ。一人で曳けている様に落ち着いていた。馬も文句なし。全体の雰囲気なら、明らかに1頭抜けていた。ゲート少し悪かったが、押して並び掛けて来たテイエムオオタカも制してハナへ。従って、序盤にロスが有ったのだが、エーシントップが出遅れたこともあり、道中のペースが上がらず1000m通過が58.0秒。4角を持ったままで回って来て、内ラチ沿いへ寄せた際に、2馬身リードが出来たところで勝負有り。前走阪神戦が1600mにも関わらず1000m通過が56.8秒。それを考えれば今日は楽だっただろう。脆さも有るが、勝つ時は強い馬。常に全面的信頼を置ける馬ではないものの、ダイタクヘリオスの生まれ変わりだと考えれば、今回の様な美味しい馬券になる日がその内来るだろう。

ダイワマッジョーレ

キリッとした馬体で、ほぼ出来ていた。9割のデキ。出たなりで好位。ペースが上がらず、結構引っ掛かる馬も多かったが、折り合いピタリ。道中はそれ程外を回っていないのだが、直線だけ馬場の良い外へ持ち出し、ジワジワ伸びてここ迄。1400mは多少短いのだが、こういうペースならむしろ器用さが生きる。言い換えれば、前走東京戦から、マイルの真っ向勝負には若干の疑問符が付くのだが。

サダムパテック

+6kg。休み明けだが、これも一応は出来ていた。ダイワマッジョーレの9割とは言わないが、8割のデキは有る。半馬身程出遅れたが、効能でジックリと。前に壁は有ったが、壁がなくても恐らく折り合いは付いていた。直線は前も開いたが、メンバー中、最速の上がりでここ迄。着差が着差だけに、位置取りがもう一歩前なら2着だった。戦前は道悪がサッパリだという話も有ったが、パワーは有る筈で、こういう馬場は他馬が苦しむ分だけ有利。勿論、ディフェンディングチャンピオンとして出走する次走も圏内。

レッドオーヴァル

前後肢にバンテージ。+10kg。多少気負っていたのが減点材料だが、馬体増は良い傾向。深追いは避け、中段で折り合いに専念。1800mの後だが、このスローで少し行きたがっていた。それでも内をスムーズに捌いているのだが、斤量利が有っても、この馬場では伸びを欠くのは止むを得ないところ。この馬場なら外枠の方が良かった。ただ、それでも古馬相手にこれだけやれたのは、復調を裏付ける。2走目にして下見で気負い出したので使い詰めも良くないだろうが、大事に使っていけば何処かで大仕事も。

マジンプロスパー

+6kg。ちょっと太く映る。満点はやれない。好発。出脚も速かったが、コパノリチャードが主張する展開がミエミエだっただけに、無理せず好位の外。得意の外枠でスムーズに運べており、4角の手応えも悪くなかったが、いざ追ってからが案外。こういう馬場も苦にしない筈だが、今日は解せぬ負け方。理由を敢えて探せば、太い影響が響いたか、オープンになってからの良績が坂の有る阪神,中京に集中。時計面にもちょっと天井が有りそうな気もするが。

グランプリボス

攻め馬走らなかったのが嫌われていたが、見た目には変わらず。出たなりで中段の外。途中、エーシントップに先を越される場面も有ったが、折り合いも問題なく付いていた。スローで外を回され過ぎた分は有るのだが、それでもこの相手なら力が違う筈。伸びる気配が全くなかった。今日は案外過ぎる内容。ヤル気失くした時はサッパリになるのは何時ものことだが、これでは次走以降手が出し辛い。

サンカルロ

-8kg。歩様キビキビ。目標は阪神戦だろうが、復調の過程には有りそう。この馬にしてはゲートを出た方だが、例に依って後方から。グランプリボスを目の前に置いて、そのまま外を回って来ただけだが、今日の展開では少し差を詰めるのが一杯だった。ただ、外枠でダメなのは毎度だが、外枠でも恐らく勝つ気が有れば内に潜る競馬をして来る筈。阪神戦で改めて。

第74回菊花賞(GⅠ)

エピファネイア

前後肢にバンテージ。雨上がりにしては発汗が怪しかったが、下見は何時も落ち着いている。馬体は説明不要。好発。積極的に乗られて3番手。折り合いは1周目の坂の下りで掛かったが、それ以外はほぼスムーズ。逃げ馬が2頭で通常なら大逃げになる形だが、終始積極的に付いて行った。ただ、それでも4角は持ったまま。直線は1頭脚が違っていた。圧勝だった。道悪も恐らく悪くなかったが、下手に馬込みに入れるよりも、前が見える位置で競馬した方が良さそう。今日はマニュアルが出来たのが何より。次走、東京,中山で両睨みだが、どちらへ行っても本命。

サトノノブレス

前後肢にバンテージ。+6kg。前走阪神戦もそうだったが、ここでも馬振り上位。スタート直後に出してエピファネイアの位置迄取り付き、そこで内に潜って折り合わせる形。何時もの岩田騎手らしい乗り方。上手く運んだが、最後はバンデを交わして2着確保がやっと。バンデがかなり苦しい競馬になっていたことを思えば評価はし辛い。次走人気なら消してこそ妙味。

バンデ

馬が子供。テンション高いのもこの距離でマイナス。ネコタイショウの方が内枠だったが、何が何でもの構えでハナ。ネコタイショウがずっと絡んで来た上に、エピファネイア以下の後続も離れずに付いて来ており、結構キツい競馬。ネコタイショウこそ向正面で消えたものの、エピファネイアが千切る展開も辛かっただろう。その上での3着は大健闘。前走から厳しいかに思われたが、他も大概だったか。

ラストインパクト

まだ良化の余地を残す馬体。その割にはしっかり踏めているが。好発。前に壁がない形でも厭わず、早目早目。この枠とエピファネイアの位置取りからこれでも良かったと思うが、序盤は流石に少し力んでいたのと、上位馬はコースロスなく回していた分が最後に出た。ただ、道悪自体は相当上手そう。決め手には欠くが、スタミナも有りそうで、これを覚えておけば何処かで良い馬券になるだろう。

ケイアイチョウサン

2人曳き。ちょこまか歩くのは何時ものこと。良くも悪くも変わらず。ゲートも少し悪かったが、無理せず中段から。これはこれで良いが、勝負どころでネコタイショウが下がって来た際に、捌き損ねて位置取りが悪くなってしまった。もう少し近くに居れば面白かったが、逆にいえば今日はこのロスが全て。今後3000mを走ることはないだろうが、小回りのハンデ重賞なら常に圏内の馬。

ユールシンギング

2人曳き。今日もよく見せたが...。ただ、前走中山戦を考えると気配が死に過ぎ。最初から行き振りが悪く、時々ノメる場面。勝負どころも汲々だった。道悪が余程下手なのだろう。参考外。

第16回サウジアラビアロイヤルカップ富士ステークス(GⅢ)

ダノンシャーク

2人曳き。前後肢にバンテージ。-12kg。馬体減が良いことはないだろうが、トモに張りが有って、ディープインパクト産駒っぽい造り。外から来られて揉まれたが、何とか堪えて、自分のスペースは確保して好位。直線はそのまま向いた時には前が開いており、坂を上がる迄左手前だったが、そこで右手前に替えてもう一伸び。この相手では力が一枚上。完勝だった。ただ、2着がリアルインパクト。この馬の評価が上がる内容でもなかった。

リアルインパクト

+8kg。あまり良く見せないが...。デキがない様な緩さを感じる。ガルボがハナへ行き、それに連れる形で2番手。スローでも特に労せず折り合いは付く馬で、この馬の理想とする揉まれずに直線迄持って来れた。58kgと現状のデキならこれで一杯だが、スローも有り、2着には残せた。ただ、これ以上もない。

シャイニープリンス

スカッとした造りで数字の割には重量感に欠ける。キビキビ歩けているのは好感持てるが。二の脚で内の3頭を制し、ガルボに行かせて好位のイン。窮屈には走っていたが、スローでベストの形。直線は前にガルボ、右にブレイズアトレイルで中々スペースがなかったが、開いてから一瞬鋭い脚を使って3着浮上。もう少し、早く開いていれば2着も有った。上手く乗られたが、間違いなくブレイズアトレイルよりは強い。オープン特別は何とかなりそう。

リルダヴァル

+4kg。ちょっとボテッと映る。走れなくもないが、完調でもなさそう。シャイニープリンスに叩かれる形になって中段のイン。直線はダノンシャークの直後。良い形になって、ノビノビ走れてここ迄。このスローでは一手遅いのだが、この馬としてはそれなりの脚を使っている。デキがない割にはまずまずの内容。

ブレイズアトレイル

テンションの高さは個性の範疇だが、ちょっと馬が軽い。迫力不足。道中はシャイニープリンスと並走。折り合いも付いて、直線も追い比べの形になったが、一旦はシャイニープリンスを閉じ込めて先行しながらも最後に甘くなった。要は決め手不足。ここ迄3連勝でオープン迄上り詰めたが、あまり速い上がりは歓迎しないか。

第61回府中牝馬ステークス(GⅡ)

ホエールキャプチャ

歩様のダイナミックさが一際目を引いた。デキ一変。出遅れの常連だが、デキが良いとゲートも出るのか、すんなり好位から。逃げたコスモネモシンのペースが1000m63.8秒と新馬戦の様なスローペースで流れに乗ったのが勝因。坂下で手応え充分に並び掛け、もがく後続を後目にそのまま押し切った。スローの凡戦だが、見た目には完勝。ジェンティルドンナを別にして、古馬では一線級のところは示したが、メイショウマンボを負かす迫力も感じず。次走は2,3着争いの1頭になりそうだが。

ドナウブルー

前後肢にバンテージ。-6kg。何か張りが一息に映る。満点はやれない。好発。出脚も速かったが、ハナへ行く気はなかった様で無理矢理引っ張って、頭を上げる場面。向正面半ば辺り迄はかなり引っ掛かっていたが、外からホエールキャプチャが来た際に付いて行けず一旦は置かれる場面。ズルズル行ってもおかしくないところから再び加速しての2着。気性面で一瞬嫌気を出したのか。良く分からない内容。乗り役の話ではホエールキャプチャの進出に馬が驚いたとのことだが...。

スイートサルサ

2人曳き。腹の線が少し弱いのだが、気配は良かった。ゲートは速かったが、無理せず好位で折り合いに専念。勿論、このペースでは宥めるのに懸命だったが、他馬と比較すれば前に馬が置けた分だけ折り合っていた方。直線はドナウブルーの内から併せて、最後迄接戦だったが、斤量差が生きる上がり勝負で負けたのは頂けない。まだ古馬相手では少し厳しい印象。もう少し成長が欲しい。

マイネイサベル

前肢にバンテージ。いきなりから出来ていた。歩様もしっかり踏めていた。ゲートは速かったが、中段で折り合い重視。前に馬が居らず、多少引っ掛かるのは止むを得ないところ。元々、決め手勝負でも厳しい面が有り、この馬としては脚を使っているものの、ここ迄。今日はペースが不向き。ただ、コスモネモシンの逃げだけに勿体なさも残るのだが。

コスモネモシン

前後肢にバンテージ。馬体は前走新潟戦と変わらず。好発。誰も行く気がなかったことも有り、ハナ。これはこれで良いが、今日はあまりにもスロー過ぎた。この馬は仕方がないにしても、渋太さを生かす実質同馬主のマイネイサベル迄潰してしまった感が有る。ただ、デビュー以来、初めての逃げ。乗り役の問題というよりは、馬に戸惑いが有った可能性も否めないところ。

アロマティコ

少し太い気もするが、歩様にバネ。例に依ってあまり行く気なく後方から。馬群の中に居て、多少の接触は有っただろうが、折り合いは比較的マシだった様に見えた。ただ、こういうスローでは本当に伸び出すのはバラけてから。これでも良く追い込んでいる方だろう。今日は参考外。

ハナズゴール

+6kg。トモが張っていて、この馬はこれで十分。ただ、チャカついていた。出たなりで中段。道中はところどころで力んでいた。それでも、直線向いて前は開いており、良い形で持って来れた筈だが、追って案外。結果的にチャカついていたのがこの超スローでマイナスに出たか。馬格がないので、スムーズに持って来れないと他馬以上に厳しい面も有るのだが。

第18回秋華賞(GⅠ)

メイショウマンボ

叩いて順当に良化。イレ込みが直ったのも何より。ゲートを五分に出て中段やや後方から。多少外を回されるのは仕方がないところだが、ソコソコ流れて縦長の展開になったのと、折り合いは付いていた。あとは追い出しのタイミングだけしくじらない様、デニムアンドルビーを待ってからの追い出し。直線もしっかりした脚色で快勝。戦前はスローで外枠になった時が課題だったが、この流れになれば力は一枚上。次走、京都2200m外回りも更に良い筈。

スマートレイアー

2人曳き。前後肢にバンテージ。少しスクウェアな造り。基本はマイラー。ゲート内で暴れたところを開けられ、出遅れ1馬身不利。この枠で出遅れたら後方から行く以外になく、腹を括って待機。ただ、目の前にデニムアンドルビーが居たのはまだ競馬がし易かったか。これを目標に外を追い上げ、大接戦の2着争いを制した。トビが大きいので、京都2000mは向かないと思っていたが、出遅れて結果的に器用さの要求されない競馬に持ち込めた。ただ、これ以上距離が延びるのはマイナス。京都2200mは案外微妙。

リラコサージュ

-12kg。良くも悪くもこじんまり。出脚は速い馬だが、外からヴィーナストリックが行ったことも有り、中段から。最内には潜れなかったが、外を動いた人気馬からワンテンポ仕掛けを遅らせ、メイショウマンボの直後からジワジワ脚を使ってここ迄。前走阪神戦は道悪で惨敗だったが、今春の中山戦で述べた様に、"走る,曲がる,止まる"といった基本的なことがキッチリ出来ているのが混戦で生きた。

デニムアンドルビー

前後肢にバンテージ。毛ヅヤも冴えていて、今日もまあまあ。出遅れは毎度で後方から。結果的にはもっと大事に乗った方が良かったということになるのだが、3角過ぎから動いて行って、終い迄脚が残せなかった。結局、このコースに適性がなかったことになるが、これでGⅠは2連敗。勝ち切る底力が足らない。

リボントリコロール

シープスキンノーズバンド。馬体の張りは有ったが、少しテンション高い。道中はデニムアンドルビーと前後する位置。道中は上手く内へ潜り込んでいたが、直線は思い切って大外。スマートレイアーの後では一手遅いのだが、逆手前のまま良く追い込んでいる。母リボンアートはスプリンターだったが、距離もこなせそう。先々化けるかも。

トーセンソレイユ

2人曳き。-12kg。馬体も絞れ、今日は完璧。気配も抜群だった。少し出し気味に中段。外から早目に来た馬が多かった関係で、4角で内に包まる格好。コースロスはないのだが、少し待たされたのが痛かった。ただ、これもメイショウマンボの前には結局は迫力不足。良くて2着争いの1頭だったか。

第64回毎日王冠(GⅡ)

エイシンフラッシュ

前肢にバンテージ。迫力はない馬だが、歩様に硬さがないのは何より。好発。出脚も速い馬だが、クラレントに少し抵抗しつつ、好位のイン。無理矢理馬群へ入れた方が良い程、折り合いが課題の馬だが、バラけた位置でも折り合いが付いていた。スローで流れ、この馬としてはペースも向いた。4角迄スムーズに持って来ればあとは馬の問題。上がり32.8秒の脚でキッチリ前を捕えて快勝。連覇へ向けて視界良好といいたいところだが、今日は展開がこの上なくハマった。次走も展開次第。

ジャスタウェイ

-8kg。前走新潟戦が太かった。それ以外は何時ものこの馬。この馬にしてはゲートはマシ。中段でエイシンフラッシュを直ぐ前に見ながらこの馬としてはベストの競馬。勿論、エイシンフラッシュが内で楽をしていた分も有るのだが、直線向いて一瞬の反応が甘く、ここでスッと引き放されたのが痛い。坂を上がってからは良く追い詰めているのだが...。勝ち切れない馬は何か理由が有る。ただ、福永騎手にしても、柴田善臣騎手にしても、教科書通りのタイプ。一発ギャンブル騎乗で勝ち癖付けると変わって来そうだが。

クラレント

例に依ってフックラした造り。歩様の甘さがマシになって本格化。出脚利かせて、エイシンフラッシュを制してハナ。スローに落として狙い通りの競馬は出来た筈。直線も一旦はレッドスパーダに先行させながら差し返しており、根性も見せたが、上位2頭の決め手はそれ以上だった。もう少し飛ばしていればアワヤという場面が有ったかも知れないが、何れにしても一線級の馬ではないのは確か。

レッドスパーダ

遮眼革。-6kg。馬体は前走新潟戦と似た様なモノだが、今日は気合が乗っていた。外からジワッと2番手。これも出脚は速い方で、この馬としては理想的な競馬が出来た。ただ、一旦はクラレントをクビ程交わしながら差し返されて4着。上位2頭はともかく、クラレントに先着出来ないのはダラしないところ。距離面も多少は有るだろうが、藤沢和雄厩舎独特の淡泊さが有る。

ダークシャドウ

オーストラリアンブリンカー。ちょっと緩い。歩様が少し硬いのもマイナス。中段のインで折り合いに専念。位置取りとしては少し後ろになったが、それよりも今日は追い出しての反応が悪かった。坂を上がってからは脚を使っている。休み明けの影響なのか、血統が出て来ているのか、何れにしてもズブくなっている。今日は展開面も大きく、距離が延びる分には悪くなさそうだが。

ショウナンマイティ

2人曳き。-18kg。前走は腹回りがボテッと映っただけに、見た目はこっちの方が良いが、馬場入りの際に矢鱈発汗していたのは気になった。ゲート悪いのは何時ものこと。折り合いが多少怪しいのは何時ものことで、この馬としては悪くない立ち回り。ただ、上がり32.8秒でも、ダークシャドウに伸び負けたのは確か。微妙ながら案外感が残った。

コディーノ

+18kg。数字は回復分。休ませてむしろ馬は良くなっている。出遅れ1馬身不利。今日はこれが全て。4角も大外へ持ち出してしまい、このスローでは手も足も出ず。参考外といえば参考外。ゲートさえ五分なら巻き返す余地は有りそう。配当面でも面白い存在。

第48回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

ヒットザターゲット

-8kg。気配は悪くなかったが、馬はイマイチ。ゲートは五分に出て、この馬の出脚で中段。序盤は頭を上げて行きたがる場面も有ったが、とにかく折り合いに専念。坂を下り切って、直線も少し待たされたのだが、それも構わず大外へ。ゴールドシップに少しでも付き合った馬は全て討ち死にしており、脚を矯められたのが大きい。2月に小倉で述べた通り、平坦で一瞬の脚を生かす馬。今日は展開が向いた。

アンコイルド

2人曳き。毛ヅヤピカピカ。左トモの出が若干甘い気もしたが、馬体の張りは目立った。ゲートも少し悪かったが、距離面も有って後方から。折り合いは付いていた。4角迄は上手く乗られたが、直線向いて追い出した際に、ヒットザターゲットの外を狙い、そこが開かず、再び内へ。この分が勿体なかった。着差が着差だけに勝って可能性も有った。前走函館戦は道悪、今回は高速馬場と異なる条件で結果を出したのは立派。

トーセンラー

少しチャカつくが、デキ自体はいい。キリッとした馬体。後方で折り合いに専念。ただ、ゴールドシップがいきなり中段に取り付き、これを意識して早目早目。ゴールドシップに負けるならともかく、それ以外には絶対に勝たなければならない競馬だった筈だが、結果的に末脚を徒にしてしまい、伸びを欠いた。ゴールドシップの凡走を読むのは中々難しいところでは有るが、今日は千載一遇のチャンスだった。勿体ない。

アドマイヤラクティ

馬体充実。馬ははち切れんばかり。好位のイン。折り合いも付いて流れに乗れた。ヴィルシーナが下がって来て、4角で1馬身分番手を下げるロスは有ったのだが、もう少し伸びても良さそうなところ。どうもこの馬エンジンの掛かりが遅い。もっと距離が有った方が良さそう。次走東京2500mだそうだが、こちらの方が条件的には向く。

ゴールドシップ

2人曳き。歩様が力強い。馬体の張りも有って、いきなりから満点に近い。例に依って出遅れも、押して押して中段。勿論、早目早目だが、3角で手応えが怪しくなっていた。手応えが怪しいのは毎度のこととはいえ、要は決め手負け。最後の最後で伸び掛かっていたのも確か。この馬にとって京都の時計勝負はこういうことも珍しくない。出たなりで後ろから行った方が後続が変に早目の競馬になる分、良い様な気がするのだが、単勝1.2倍でそのギャンブルも中々難しいだろう。やはりこの馬こそロンシャン向き。取って付けた様に来年は遠征との話も出て来たが、この辺が個人馬主の辛さ。

トゥザグローリー

前後肢にバンテージ。数字は増減なしだが、それなりに出来ていた。少なくとも昨秋初っ端と同じ状態には有る。ゲートは少し悪かったが、中段やや後方で馬群の中に入れて折り合わせる形。完璧ではなかったが、ほぼ狙い通りの競馬は出来た筈。直線も前が開いて一瞬はコレという場面。見せ場は造った。京都や東京ならこんなモノで、一応は完全復活。有馬記念出走ならまた狙い目に。

ヴィルシーナ

+16kg。前後肢にバンテージ。馬の迫力では負けるが、キビキビ歩けていて、この馬としては悪くない。2400mなら出脚は断然で、スンナリハナ。ただ、3角手前からニューダイナスティに来られ、牡馬相手でこの展開は苦しい。それでも直線は一瞬盛り返す場面。根本的にはこの距離は長いのだが、一応は及第点やれる。勝ち味に遅く、単勝はどうかだが、馬券には絡んで来そう。

第48回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

ホウライアキコ

2人曳き。今日も細く映る。テンションの高さも前走小倉戦と同程度。戦前は折り合いを不安視されたが、出脚は抜群に速かったものの、3番手で前に馬が居なくてもキッチリ折り合っていた。直線も入り口で先頭に立つと1分33秒2のレコードで押し切った。完勝。馬が見栄えしないので、高評価し辛いのだが、今日は強かった。恐らくは乗り役とも鞍が合っている。但し、走法からこれ以上の距離延長は歓迎出来ない。

アトム

2人曳き。前肢にバンテージ。ここでも馬は断然。落ち着いていたのも好感。ゲートも少し悪かったが、馬群の中に入れて折り合いに専念。直線も入り口で多少逡巡する場面は有ったが、前が開いてからは良く伸びている。トビのダイナミックさではホウライアキコとは別次元。上手くやれば走って来そうだが。

ピークトラム

変わらずスカッと見せている。脚が長いのが特徴。ゲートは出ているが、折り合い重視で後方から。ただ、ところどころで行きたがっており、3〜4角中間の頂上で思い切り引っ張る場面。4角は大外しか行き場がなくなってしまった。直線は伸びてはいるが、右手前。まずはロスのない競馬が出来る様にならないと。

アグネスドリーム

2人曳き。前後肢にバンテージ。森厩舎らしいバランスの取れた馬。出脚はホウライアキコの方が速かったが、この枠でも有りハナへ。ただ、下見の時はそうでもないのだが、レースに行くと頭が高い。今日はスピードで負けているので、仕方がないのだが、全身使える様になるともう少し走れても良さそう。現状はダート。

プライマリーコード

前肢にバンテージ。悪い馬ではないが、まだ線が細い。ゲートは悪くなかったが、折り合いに専念して後方。しかし、直ぐに掛かってしまい、持って行かれる様に好位へ。前に馬が居る分、まだ格好は付いたが、あれだけ道中でロスが有るとキツい。まずは折り合い。