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競馬回顧 2015年3回京都

第129回農林水産省賞典目黒記念(GⅡ)

ヒットザターゲット

-10kg。相変わらず馬体の張りは一息だが、絞れた分だけマシになったか。歩様や毛ヅヤも上向いた。ゲート自体は速かったが、そこからの出脚がなく中段から。序盤は少しオッツケていた様にも見えた程だったが、向正面行った辺りから行き振りが良くなり、坂を上って前が開くと一気に突き抜けた。意外に人気がなかったが、この馬自身好走時が内枠に集中しており、ダービーで1番枠が2着と伏線は色々有った。57kgなら勝って当然。

レコンダイト

-6kg。毛ヅヤだけは悪くないが、他は冴えない。強いていえば歩様に少し力感が有る程度。少し出して好位直後のイン。上手く流れに乗って、内から一旦は抜け出しているのだが、ヒットザターゲットの決め手が一枚上だった。距離自体はこなせるだろうが、2500mの経験がなく、勝ちに行った影響も有ろう。この内容ならチャンスは続く。

ファタモルガーナ

前肢にバンテージ。少し間隔が開いたが、キッチリ出来ていた。造りにメリハリが利いていて、如何にもステイヤー。何時も通り、ジワッと先行。ただ、向正面辺りから少し行き振りが怪しく、3角辺りから押し通し。3000m超が2走続いた影響は有ったか。その分伸びを欠いた印象。内容そのものは悪くないが、何処かで一回使っていれば結果が違った。

メイショウカドマツ

シープスキンノーズバンド。デキだけならコレ。血管が浮いていて、柔軟性の有る動き。気配の良さも目に付いた。外枠だったが思い切ってハナへ。ただ、スタート直後に接触して行っている為、頭を上げて少し掛かっていた。この相手でも逃げ切れる力は有る馬だが、東京2500mでこの手のロスが有ると厳しい。今日は良く粘った4着。これも重賞制覇は順番の問題。

トラストワン

シープスキンノーズバンド。この距離にしては少しチャカついているが、馬体の迫力は有った。ハナへ行っても良さそうな雰囲気だったが、外から主張する馬が2頭居て3番手から。流れには乗れていた筈だが、メイショウカドマツにもむしろ突き離され気味。重賞ではまだ家賃が高い。

第82回東京優駿(GⅠ)

ドゥラメンテ

前走中山戦と変わらず。まだ成長の余地は有るが、歩様の力強さが出たのは大きい。外枠の馬に来られて連られるケースも考えられたが、上手くやり過ごしつつ中段やや前。前から6〜7番手だったから、いわゆる"ダービーポジション"。折り合いもまずまず付いていた。4角回った際に少し内に切れ込み、素行の悪さも見せていたが、それでも向き切ってからは1頭脚が違っていた。ラスト300m手前で逆手前になる等、他にも細かい課題は有るが、それでも実況の通り「難なく抜け出して」ダービーレコード。ただ、父キングカメハメハは、圧倒的破壊力を感じさせる馬で、その域ではないのも確か。父越えを果たすなら、成長する迄、つまりまずは無事に古馬迄走り抜けるのが最大目標となる。

サトノラーゼン

2人曳き。元々そういうタイプだが、この雰囲気でチャカつくのはやむを得ないところ。ただ、馬体を大きく見せる。出たなりでジワッと中段。岩田騎手で最内枠となれば、戦法は唯一つ。直線向いた際に内に進路がなく、少し外へ持ち出した際にドゥラメンテと併せ馬になり、理想的な形になったが、一瞬並んだだけでアッサリ突き離された。コース利を考慮すれば実質3着。それでも前走京都戦の内容は感心出来なかっただけに、成長しているのは間違いない。

サトノクラウン

2人曳き。-4kg。馬体減は感心しないが、銭型浮いてデキ自体は良い。一歩一歩が力強い。あまり行く気がなかった様で、中段やや後方から。道中はバラけた位置でコースロスなく進めたが、4角で大外に行かざるを得なかったのが大きなロスになってしまった。全身を使ったダイナミックな走法で、良く伸びている。血統から距離延長は歓迎しないという話は有り、それが響いたという向きも有るが、この時計でも有り、それ以上にコースロスの方が大きいだろう。

リアルスティール

2人曳き。少し気負い気味なのは前走中山戦同様。完歩の小さい歩様で、馬も完成途上。ゲートが開いた段階では、ドゥラメンテに対してハナを覗かせており、これよりは前に行く選択肢も有った筈だが頭を上げて引っ掛かりそうな気配も有り、控える形。狙い通り、折り合いは付いてくれた。ずっとドゥラメンテをマークして、負けるにしても直線は並走位に持って行きたかっただろうが、アッサリ突き離されてしまった。完敗の4着。ただ、レース後に故障が判明。

コメート

毛ヅヤピカピカ。スカッとしてメリハリの利いた造りだが、迫力はない。出脚が速く、内のサトノクラウンを叩いて好位のイン。前で折り合いも付いており、少しペースが速かった以外は理想的な競馬が出来た。前を掴まえる前にドゥラメンテに交わされているが、それでも前に居た組では最先着。重賞でも足りる。

第76回優駿牝馬(GⅠ)

ミッキークイーン

+4kg。増えたのは好材料。緩んだところもない。毛ヅヤも悪くない。行きたい馬に行かせて中段やや後方。無理していない分、ルージュバックより折り合いが付いていた。クルミナルとルージュバックの間で突っ込んだ方が勝負としてはシビアだが、4角で手応えに自信が有った様でそのまま外へ。その通り、キッチリ掴まえた。ただ、後述する様にルージュバックが失敗した分が大きい。秋に改めてルージュバックを倒したい。

ルージュバック

2人曳き。+6kg。これも馬体増は歓迎のクチだが、馬体の張りが落ちていない。外厩で相当やって来た様。ゲート五分。前走阪神戦よりは積極的に乗られて中段の外。兎に角不利だけ食らわない様に何時でも動ける位置に居たが、仕掛けている分、序盤は掛かり気味。坂をさがって先頭に立ち、形は造ったが、余所行きの競馬だけに何かにやられるのは仕方がないところか。ラスト150mで左手前になってしまい、苦しくなった。それでも王者の競馬は出来た。世代最上位は疑う余地がない。

クルミナル

-10kg。馬体減が良いとは思わないが、元々の造りが重厚。前走阪神戦を考えたら落ち着いているのも何より。ゲート入りに梃子摺って約3分遅延。出遅れた上に出脚もサッパリだったが、無理矢理仕掛けてルージュバックの直後。1〜2角中段辺り迄は怪しかったが、その後は意外な程折り合いが付いていた。それでもルージュバック目標で捕まれられなかったのだから言い訳がない。見た目はともかく、馬体減が響いたか。

アースライズ

毛ヅヤ冴える。無駄肉がなく、馬は良く見せた。何となく仕草に集中力がないが。急かすことなく、この馬の出脚で中段から。1角で多少行きたがった以外は、上手く我慢して走っていた。4角でミッキークイーンの直後だからワンテンポ遅かった気はするのだが、ジリジリ伸びて入着。距離が延びて新味が出たという見方も出来るが、ただこの馬は偶数番枠。クルミナルがゲート入りにゴネて、奇数番枠の馬がかなり待たされた影響も有り、この4着を過信するのもどうか。

アンドリエッテ

前後肢にバンテージ。一歩一歩が力強い。馬体増も好感が持てる。乗り役の話ではゲートで待たされた影響だそうだが、スタートして進んで行かず後方から。道中も少しオッツケ気味だった。それだけに直線一伸びを欠いたのは仕方がないところ。ツキがなかった。

レッツゴードンキ

-6kg。数字分だけ迫力がなくなった。ハナへ行くかと思ったが、下見で何かに驚いてチャカついてみたり、ゲートで待たされたり、これもレース前から厄日だったが、スタートしてもシングウィズジョイに叩かれて控える形。これではどうしても行きたがってしまう。直線も一瞬反応しただけ。

第22回平安ステークス(GⅢ)

インカンテーション

前後肢にバンテージ。+10kg。馬体増だが、厚ぼったい感じがなくなった。推進力の有る歩様。休養前よりむしろ良くなっている。アスカノロマンの出脚が速かったが、あまり行く気がなく、1角手前で6〜7頭の雁行になってしまい、それならと思い切ってハナへ。前開催でアジアエクスプレスがマークされてクリノスターオーに差されたが、今日も同じ形になりながら4角抜群の手応えで突き離した。見た目は単なる逃げ切り勝ちだが、完勝といって良い。道中の機動力が出て来たのは大きい。マイルで決め手負けする場面は有るだろうが、中距離ならホッコータルマエ相手でも通用する筈。

クリノスターオー

2人曳き。遮眼革。前後肢にバンテージ。馬体増は元々が大きいだけに気にならない。チャカつくのも何時ものこと。前走阪神戦同様、出脚は速いが、ハナへは行く気がなく2番手から。大名マークで理想的な競馬が出来た。ただ、4角ではかつて程ではなかったものの、少し手応えが悪くなっており、その分伸び切れなかった印象。2着は確保しただけに悪い内容ではないのだが、インカンテーション以下という評価にはなる。

ローマンレジェンド

前のクリノスターオーには迫力負けしていたが、まずまず。出脚が甘くて行き切れないが、前走阪神戦よりは積極的に乗られて中段やや前。今日は不利なく回って来れた。4角でアジアエクスプレスの直後でジリジリ伸びて3着浮上。この差なら斤量差の範疇にして良いが、迫力に欠くのも確か。

ナムラビクター

シープスキンノーズバンド。馬は変わらず迫力が有る。集中して歩けていたのも何より。スタートして直ぐアスカノロマンに行かれ、中段から。以前は被されたらサッパリの馬だったが、最近の内容通り、馬は競馬を投げずに走っていた。今日は展開で4着になっただけ。

アジアエクスプレス

完歩の小さい歩様。毛ヅヤが一息だが、大きくは変わらず。前走阪神戦の借りを返すべく、今日はクリノスターオーをマークする形。4角の手応えもクリノスターオーより良かった筈だが、直線は案外。距離に敗因を求める外なさそう。

第10回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

ストレイトガール

2人曳き。馬体全体に張りが有り、馬を大きく見せる。歩様は相変わらず硬いが。好発。ジワッと先行。器用さ身上のスプリンターで時計勝負の馬場になればこっちのモノ。直線向いて、前と7〜8馬身は有った筈だが、1頭だけ違う脚で追い込んで来た。東京マイルは底力勝負とはいわれるが、それは有る程度のメンバーレベルが有ってこそ。今回はハープスター、ホエールキャプチャの回避でレベルが低下しており、一点突破のレースになる下地は見えていた。

ケイアイエレガント

+10kg。ちょっと太いかも。毛ヅヤや馬体の張りは良かったが。ミナレットが何が何でもの構えで行って2番手。有る程度飛ばしてくれたお蔭で、前のミナレットとも数馬身、この馬の後方も更に数馬身離れる形で、実質的な単騎で行けた。1頭だとまだしも、クィーンスプマンテ―テイエムプリキュアで決まった2009年エリザベス女王杯など、2頭で行く形は案外両方とも残り易い。そしてミナレットとの1馬身3/4差がこの馬の能力。

ミナレット

2人曳き。前後肢にバンテージ。脚が短いので不格好なだけで、デキは良さそう。歩様も力強い。好発。大外枠とこの乗り役で迷わずハナへ。長距離戦ならまだしも、マイル戦で坂下迄後続に数馬身離していたケースは最近の重賞では稀。気持ち良く行ったというレベル以前の問題だった。外枠から行くとハイペースになり易いというのは何度も述べている通りで、この馬以外の乗り役にもその頭は有った筈だが、ゲートを決めて不利分を消したのが大きかった。

レッドリヴェール

後肢にバンテージ。-6kg。見た目は許容範囲だが、減って良いことはない。この馬にしてはゲートも出た方で好位のイン。折り合いも付いており、良い位置に居たが、追って伸び切れなかった。戦前は人気になっていたが、ストレイトガールにこれだけ差を付けられてしまった以上、言い訳がない。まだ、良くなっていないとみるのが妥当だろう。

カフェブリリアント

2人曳き。稀に硬い時が有るが、今日はキビキビ。トモの張りも有った。前走阪神戦の様には行かず、出たなりで中段から。4角回ってストレイトガールの直後、追ってから一瞬の反応が悪かった様に見えたが、エンジン掛かってからはそれなりの脚で伸びている。能力そのものはそれ程差はないだろうが、今日のところは経験の差。

ヌーヴォデコルト

2人曳き。前肢にバンテージ。少し気負っていたが、減点材料という程ではない。迫力はないが、緩んだところもなく、デキに問題はない。この枠で深追い出来ず、ジワッと中段。少し行きたがっている様にも見えた。直線は追ってジリジリ。切れる脚がなかった。マイルに対応出来ていないのは明らか。昨年のヴィルシーナは1400mからの転戦だったが、この馬は1800m、しかも中山からと、臨戦過程もマズかったかも。

ディアデラマドレ

前後肢にバンテージ。叩いて更に上昇。馬が1頭違っていた。角居厩舎らしく、ここ目標に文句なし。出遅れ1馬身不利。後方で脚を矯める外なく、ジックリと。東京だけに直線迄待ってから追い出すのは間違っていないが、この展開だけにもう少し勢いを付けて回って来るか、何処かで少し動いておきたかったところ。最後はこの馬の脚で詰めているが、どうしようもなかった。

第60回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

サクラゴスペル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。変わらず好調。踏み込みも柔らか味が有る。好発。内の馬が行って、折り合いを意識しつつ中段やや前。基本的には器用さ一本のタイプで、馬を前に置けたものの、馬群の外でも折り合いが付いたのは大きかっただろう。しかし、今日はそれだけ。前が詰まっていた馬も多く、能力云々を論ずるレースではない。

ヴァンセンヌ

前肢にバンテージ。大型馬で見栄えがする。一息入ったが、毛ヅヤが良くて、歩様キビキビ。ゲートは出ているが、後方で折り合いに専念。4角回ってサクラゴスペルの直後に出て来て、一追い毎に伸びて来た。初の1400mがどうかと思ったが、スローで楽に追走出来たのは大きかっただろう。外枠もノビノビ走れるという点で良い方に向いた。

オメガヴェンデッタ

前肢にバンテージ。下見は最後方を周回していたが、むしろボケッとしていた。毛ヅヤも一息だが、筋肉が浮いており、馬体そのものは悪くない。ダンスアミーガが行って、それに連動する形で2番手。スローで殆どの馬が掛かっていたが、この馬も少し行きたがっていた。スロー過ぎて最後は差された格好だが、前に居た組では最先着。この相手でいきなりこれだけやれれば重賞でも足りる。

ブレイズアトレイル

-8kg。歩様は相変わらず硬いが、絞れたと見て良さそう。押しても出脚は鈍そうだったが、4枠2頭が行ってくれたことも有り、好位へ。4角回って前と2馬身差と、充分射程圏内だったが、前が掴まえ切れず後ろにも差された。これで負けたら言い訳なし。ヴァンセンヌ同様、初の1400mだったが、こういうパターンの多い馬で、要は決め手不足。

ダンスアミーガ

気配は悪くないが、発汗の跡が気になった。歩様も小ぢんまり。ゲートも出たが、思い切ってハナへ。楽に行けたというより、スロー過ぎてこの馬自身が行きたがっていた。戦績からこのメンバーではどう乗っても難しかっただろうが、もう少し飛ばしていた方が確率は高かっただろう。

ダイワマッジョーレ

昨年辺りから力強さが出て来た。デキに関しては文句なし。出遅れ1馬身不利。少し出して行ったが、あまり行けず後方から。上位馬の様に4角で外に馬が居ない位置ならまだ良かったが、それも叶わず直線は進路を探しながらの追い込み。これでも良く差を詰めた方だろう。今日は仕方がない。

ダンスディレクター

この馬としてはイレ込みもマシ。寸が詰まって完全なスプリンター。半馬身程出負けしたが、それでもこの馬としては出た方。枠の利と出脚でカバーして中段には取り付いていた。直線向いて、坂下辺りで一瞬最内が開いたように見えたが、そこを突き切れず前が塞がってしまい、最後迄追えないままだった。これも不可抗力。

第20回NHKマイルカップ(GⅠ)

クラリティスカイ

変わらず歩様がキビキビ。完全なマイラーの造りだが、水平首で気配も良かった。出脚は速いタイプだが、人気背負ってハナへ行く理由はなく、好位で控える形。前走中山戦の後でかなり行きたがっていたが、この枠に救われたか。何とか前を壁にして我慢させていた。直線向いてもスムーズに前が開き、余裕を持って差し切った。ただ、良馬場だっただけに1分32秒台が想定されていたが、1分33秒5。1000m通過が59.3秒とスローとなった面も大きい。現代的といえば現代的なマイラーだが。

アルビアーノ

2人曳き。牝馬でも馬はむしろ上位だが、歩様が硬い。レンイングランドが行ってその2番手から。間違っても下見からは器用なタイプに見えないのだが、レースに行って出脚が速くピタッと折り合いが付く。直線向く迄余計なことをせず、坂下で一気に交わして先頭。差されたのは「流石に東京の直線は長かった」ということになろうが、現状の完成度でこれだけやれれば充分。歩様が良くなれば大化けする可能性も。

ミュゼスルタン

2人曳き。シープスキンノーズバンド。下見は最後方を周回。-6kg。もう少し絞れるのがベスト。だが、叩いて気合が乗って来た。ゲートも有るが、この馬の出脚で中段やや後方から。スローで宥め気味だったが、これた他馬も似た様なモノ。ただ、このスローではどうしようもない。軽く外へ持ち出すだけでも半馬身近いロスになっており、ハイペースなら突き抜けていた。力は見せたといえそう。

アヴニールマルシェ

オーストラリアンブリンカー。一息入った影響なのか、全体に緩い。今迄のこの馬では最低のデキ。この馬としてはこれでもマシだが、半馬身程出負けして、後方に近い位置。ここでジッとするしかなく、4角で中途半端な位置に押し込まれてしまい、直線は進路を探しながら。ラスト200mでも、まだ前に10頭は居た様に見えたが、ここ迄追い込んで来た。ダービー回避だそうだが、このメンバーでは一番底力を感じさせる内容。

グランシルク

2人曳き。前肢にバンテージ。寸の詰まったマイラー体型。気配絶好。アヴニールマルシェよりはゲートも出て中段から。前走中山戦が出遅れただけにこれは大きかった筈。4角回ってクラリティスカイの直後で、展開は悪くなかった筈だが、伸び切れなかった。更に苦しい位置だったアヴニールマルシェに差されたのは頂けない。故障も考えられる様な伸びなさ加減。向正面で最低2回は躓く様な場面が有り、馬場の穴に脚を取られて嫌気を差した可能性も有るが。

第37回新潟大賞典(GⅢ)

ダコール

今季は2走目迄太かっただけで、基本的にはデキが良い。3走目の小倉戦から絞れて本調子。例に依って前へ行く脚はないが、それでも内の馬が殆ど行ってくれたことも有り、上手く中段に潜り込めた。直線は外の進路がなく、ラスト300mで腹を括って内目へ。これが正解だった。上手く一瞬の脚を生かして快勝。重賞未勝利のままハンデだけが重くなっていたが、やっと手が届いた。

ナカヤマナイト

気配は地味だが、暖かくなって歩様が良化。出脚でスッと好位。久し振りの日本での騎乗となるリサ・オールプレス騎手、少し持って行かれそうになっていたが、何とかパッションダンスを前に置いて宥める形。直線は一旦抜け出しているのだが、今日の展開で内からやられたら仕方がないところ。実績馬が久々の快走。もう少し折り合いが付いていれば、直線の粘りが違った可能性も有るのだが、乗り役は責められないだろう。

アルフレード

前肢にバンテージ。少し腹回りが緩いが、トモには張りが有った。ほぼ出来ている。ゲートも悪かったが、この距離で行く気もなく後方から。外も進路がなかったが、それだけにインを突くのも狙い通り。ダコールも32秒台で上がっており、3着は仕方がないが、良く伸びている。ただ、これで距離にメドが立ったというのは早計。正攻法で乗れる様になって初めてこなしたと言える。

アーデント

前後肢にバンテージ。芦毛だが、毛ヅヤが良い。しっかり踏めていたのも何より。出脚はサッパリだったが、そこからが速く、スッとハナへ。途中から行っているので他馬も競り掛けに来ず、後続を離した単騎で4角を回って来れた。馬場の良い真ん中へ持ち出し、思う通りに乗れた。ただ、逃げ馬がこういう形になるとどうしても何かにやられてしまうのは仕方がないところ。最後は差し返す様な素振りも見せており、この馬自身は良く走っている。

ラングレー

+8kg。毛ヅヤは良いが、全体に緩い。好位のインで正攻法。少し行きたがる位の好手応え。直線で皆が内を開けていた様に馬場は悪いのだろうが、中々外へ持ち出せず、ラスト300m辺り迄待たされてしまった。ダコールは一瞬の脚が有ったので勝てたが、この馬の場合は、ジワジワ脚を使うタイプで一瞬の脚がないだけに結果もこうなってしまう。今日は騎乗ミス以外の何モノでもない。

第63回京都新聞杯(GⅡ)

サトノラーゼン

数字の割には大きく見せるが、かなりチャカつく。好発も、急かさず流れに乗って、前から4〜5番手。下見の割にレースでは折り合いが付いており、直線も渋太く伸びて後続の追撃を振り切った。立ち回りの上手さは評価出来るが、このペースでこの位置ならもう少し突き抜けてくれないと値打ちがない。例年の勝ち馬の中でも最低クラス。

ポルトドートウィユ

前後肢にバンテージ。血統馬らしい垢抜けた馬体。踏み込みも力強い。これも急かさず中段から。この血統だけに多少力んでいる部分は有るが、折り合っていた方だろう。トビが大きいのと内目に進路がなさそうだったことも有り、直線は少し外目へ。その点も上手く行ったが、もう一伸びがなかった。良馬場の方が良いのは間違いないが、まだ本当ではない。

アルバートドッグ

もう少し全体に筋肉が付けばベストだが、長距離適性の有りそうな馬体。出脚は五分だが、外枠で深追いを避けて中段から。上手く内に潜ることが出来た。ただ、ポルトドートウィユが外へ持ち出しており、この馬は更にその外へ。序盤から内外で右往左往したのは地味に痛かったかも。着差が着差だけに最後の我慢比べで耐え切れなかった。上位2頭が評価出来ず、程度走れているが、少なくとも力負けではない。

トーセンバジル

スカッとした造り。ディープインパクト産駒だけに馬体は悪くないが、他馬と比較して発汗が多いのはマイナス。これも出脚を使わず、後方に近い位置。ただ、どうもところどころで流れに乗れていない。序盤は行きたがっていたし、坂の下りではオッツケ気味。インベタで際どいところ迄来ているが、突き抜けないのはリズムが悪いから。ディープインパクト産駒には時々こういうタイプが居る。

ダノンリバティ

デキ自体は問題ないが、筋肉量豊富な馬体で、基本はマイラー。ゲートを出たことも有り、出脚を利かせて好位へ。直線は最内へ潜って伸びそうで伸びない。追うと頭が上がっており、その点でも距離に限界が有りそう。

スピリッツミノル

2人曳き。気配上々。馬体にも迫力が有る。好発。それでも出脚が苦しく、ステッキを入れてハナへ。単騎で行っているが、この距離でもこれで出脚がないと厳しい。スタミナが有るのは間違いないのだが...。逃げないと脆いだけに、もっと距離を延ばした方が良さそう。

第151回天皇賞・春(GⅠ)

ゴールドシップ

2人曳き。遮眼革。シープスキンノーズバンド。馬体の見た目は悪くないが、下見では分からないタイプ。今日は何時もに増して気配が地味。ゲート入り梃子摺る。約3分の遅延。今日はゲートも出たが、出脚がサッパリで最後方から。1周目のホームで外へ持ち出し、ペースが緩む決勝線通過後辺りから徐々に前へ。2周目3角で好位に取り付き、直線向いて無理矢理カレンミロティックを掴まえると、直線も何とか凌ぎ切った。着差はクビ差だが、自力でモギ取った結果だけに完勝。勿論、こんな手が毎回使える筈もないのだが。

フェイムゲーム

2人曳き。前後肢にバンテージ。軽目の造りで如何にもステイヤー。手先のスナップが利いている。推してもあまり進んで行かなかったが、何とかネジ込んで中段。ずっと外に馬が居て、恐らく途中でマークの対象になった筈のゴールドシップは遥か前方になってしまったが、直線で何とか進路を確保すると一気に追い込んで来た。内外離れた関係で、ラスト100m位で一瞬フワッとする場面も有り、あれがなければ勝っていたかも。ただ、ライスシャワーとステージチャンプの1995年と同様、長距離は自力で動かないと勝ちはない。当時もハナ差で乗り役は間違ってガッツポーズした程だったが、そういう風に競馬は出来ている。

カレンミロティック

前後肢にバンテージ。叩いて締まって来た。前走阪神戦は80点だったが、今日なら満点。クリールカイザーがハナを主張して、その直後から。折り合いも付いて上手く運んだが、クリールカイザーでは長距離適性がなく坂の下りで後退。ここで先頭に立たされたのはキツかったが、一旦は後続を突き離して見せ場タップリの内容。ステイヤーではないが、器用さ一本で距離をこなしている。

ラストインパクト

歩様キビキビ。デキは高値安定。出ッパ自体はゴールドシップより悪く、1周目3角では後方に近い位置。ひたすら内を回ってジワジワ来ているが、カレンミロティックが掴まえられない辺りは距離に限界が有りそう。前走阪神戦は相手に不利も有って先着したが、マトモならこれが実力ということ。

ネオブラックダイヤ

シープスキンノーズバンド。レース直前迄パシュファイヤー。+8kg。落ち着いているのは良いが、数字分だけ緩い。出脚がゴールドシップ以上、カレンミロティック以下で中段から。これも内に居て、ゴールドシップの影響が少なかったクチ。直線は馬群を割って伸びているが、流石にホッコーブレーヴより上とは考え辛い。内枠の利を生かし切った形。

キズナ

2人曳き。気配上々。相変わらず立派過ぎる嫌いは有るが、毛ヅヤも冴えている。例に依って後方から。内に入れる気は全くなく、1番人気らしく強気の競馬。2周目4角で中段辺りに取り付いて、昨年同様の形だったが、そこからがサッパリ。故障ではないとのことで、やはり仏国遠征仕様が裏目に出たとみたい。

第22回テレビ東京杯青葉賞(GⅡ)

レーヴミストラル

途中から2人曳き。腹も巻き気味だが、変わらず非力な歩様。ゲートは少し悪かったが、この一族にしては出脚が有って中段から。比較的外に居たが、折り合いに問題がないのは厩舎技量。直線も素直に外へ持ち出して、一番長く脚を使った分の勝利。道中も含めて外を回っただけに力が一枚違った様な競馬。今年が最後のダービーとなる松田博資厩舎らしい馬で、決め手だけなら足りるかも。あとは本番の馬場状態。出来れば軽い馬場でやりたいところ。

タンタアレグリア

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。馬体は纏まっているが、もう少しトモの送りに柔らか味が出れば。好発もあまり行く気がなく好位。ラチ沿いではなく、馬群の中で少し窮屈な競馬を強いられたが、上手く捌いて4角では好位。少し外へ持ち出して上位3頭の併せ馬の内へ。一旦は先行しつつも、直ぐに外に出られ、ヴェラヴァルスターを差し返したところがゴールだった。レーヴミストラルとは決め手の差を認めざるを得ないだろう。

ヴェラヴァルスター

2人曳き。一息入ってまだ毛ヅヤが一息。腹回りもボテッと映る。及第点以下。これもジックリと乗られて中段やや後方。4角でタンタアレグリアの直後に付いて、3頭併せの真ん中。古馬ならこれが良い方に向く可能性も有るが、3歳馬だけに一番キツい形だったか。一旦は2番手かに思われたが、最後に脱落。休み明けだった影響も大きく、先々走って来そう。

ブラックバゴ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。胴長のステイヤ―タイプ。しかし、この馬としてはかなりマシになったとはいえ、チャカついている。最内枠だったが、急かさず折り合いんび専念して中段やや後方。それでも引っ掛かっていた。そんな中でも直線は際どいところ迄差を詰めている。進歩はないが、能力は間違いなくNo.1。

ミュゼダルタニアン

前後肢にバンテージ。スカッと見せる。物見が激しい。好発。行く気で行って内枠の馬は全部叩いたが、更に外から来て好位に控える形。折り合いは少し力んでいた程度。直線向いて一瞬の脚が速く、内から完全に抜け切っているのだが、外から一気に来られてしまった。現状の決め手の差は有るだろうが、自分で競馬を造っただけに悪くない内容。成長すればオープンでも。

第50回サンケイスポーツ賞フローラステークス(GⅡ)

シングウィズジョイ

2人曳き。前後肢にバンテージ。-6kg。毛ヅヤが良くて、気配も悪くない。コンパクトに纏まった造り。ゲートも速かったが、積極的に乗られてハナへ。直後にグリシーヌシチーが行ったが、東京2000mを外枠から無理に行ったモノで、これは実質無関係。折り合いも向正面では少し力んでいたが、コーナーでは息が入っていた。直線入口でグリシーヌシチーを掴まえると、後続の追撃も振り切った。ダイワメジャー産駒の典型の様な勝ち方。器用さは有りそうで3歳牝馬相手なら何とかなってしまう可能性も有るのだが、一般論では距離延長はマイナス。

ディアマイダーリン

後肢にバンテージ。-8kg。少しチャカつく。減っていいことはないが、馬体にしなやかさが有った。出脚はシングウィズジョイと1馬身位違っていたが、枠の並びを生かし、その直後へ。上手く内へ入れられたが、シングウィズジョイ以上に掛かっていた。直線でジワジワ伸びているが、最後はその分。現時点での完成度の差も否定出来ないところ。

マキシムドパリ

前後肢にバンテージ。-18kg。落ち着いていたのがせめてもの救いだが、腹は巻いている。ゲートは出ているが、武豊騎手らしく折り合いに専念して中段から。上位の3枠2頭を見ながら、前が開く迄待って追い出すと一瞬の脚を生かしてここ迄。馬体減がなければもう少し強気に乗れただろうが、今日の状態ではこれで仕方がないところ。

ウインアキレア

-8kg。マキシムドパリ同様、これも少し細く映ったが、落ち着いていた。出ッパが半馬身程分が悪く、中段やや前に居たマキシムドパリに付いて行く形。ただ、この位置では流石に内の進路を全て取られており、進路を探すロスは有った。勝ち馬と0.2秒差ならその範疇だろう。折り合いも付いて、末脚もしっかりしたタイプとオークス向き。権利がないので、500万から再出発となるが、重賞は勝てる。

エバーシャルマン

全体に馬が薄い。チャカついているのもマイナス。真ん中で出方が難しくなり、中段に控える形。特に不利はなかったが、上位が全て内に居た馬で、今日は展開がなかった。上位馬と大差はなさそう。

第46回読売マイラーズカップ(GⅡ)

レッドアリオン

相変わらず歩様は怪しいが、スカッとした造り。少なくとも良くはなっていない。好発切って好位。珍しくゲートを出てくれたのが今日は大きかった。スローでかなり宥めながらの追走だったが、直線はジワジワ伸びて先着。尤も、見た目にはジワジワながら上がり3Fは32.9。この展開が向いた面は否めない。平場1000万の最終レースも同条件だったが、それより時計が遅い様では能力判定不能。器用さは有るので、スローなら強いのは間違いないのだが...。

サンライズメジャー

前後肢にバンテージ。少し緩いのは確かだが、しっかり踏めており、デキ自体は及第点。出脚も速かったが、控えると中途半端な位置になりそうで、思い切って3年前の500万戦以来となるハナへ。人気どころに差し馬が多く、各馬牽制していたことも有り、この馬場で1000m通過が59.4秒は超の付くスロー。これで勝てなかったら自身の問題。勿論休み明けの影響も大きいだろうが。

フィエロ

馬は抜けた最上位。毛ヅヤもピカピカで、デキもデビュー以来一番良かった。出遅れの範疇ではないが、外から来られて一旦下げる形に。時計勝負で最内を只管突くしかなく、しかし、フルーキーと同じ狙いになってしまい、ブレーキを掛ける場面が有ったのが痛かった。位置取りと直線で二重の不利が有りながらこの差だから能力は抜けている。次走は本命。ただ、それよりも岩田騎手の騎乗は危なっかしいのが気になった。勝負に拘る姿勢は評価出来るが、今日も一つ間違えば大事故だった。

エキストラエンド

前後肢にバンテージ。大分暖かくなったが、今季は意外に長持ち。これもこの馬にしては出た方で、何とかネジ込んで好位直後。道中は過不足なく行けたが、この馬場で外を回しての決め手勝負ではキツいところ。出来ればインを突きたかった。

フルーキー

前後肢にバンテージ。発汗はこの陽気だけに仕方がないところか。迫力はないが、緩んだところがない。出脚は速くない方だが、上手く潜って何とか中段は確保。直後に居たフィエロと同じ位置を狙って、この馬には不利がなかったが、フィエロにやられたのだから単純に決め手負け。ただ、少し掛かっていたのも確か。この点が直らないと重賞では勝てない。

ディアデラマドレ

前後肢にバンテージ。目標は次走だが、完璧に出来ている。ゲートをポコンと出て最後方から。直線も大外ではどうしようもない。上がり31.9は新潟を除けば史上最速。