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競馬回顧 2016年2回小倉

サマー2000シリーズ第5戦 第52回農林水産省賞典新潟記念(GⅢ)

アデイインザライフ

数字通り、パワフルな馬体。歩様にも重苦しさはない。最初から行く気なく、自分のペースを守って後方から。直線も迷いなく一番大外。メイショウナルトがブッ飛ばした上に内目が悪く、展開も向いたが、力任せの競馬で勝ったのだから文句なし。横山典弘騎手はこれでJRA全10場制覇だが、最近のセコい競馬ではなく、若い頃の思い切った競馬で決めた。尤も、ロンギングダンサーやベルーフの項で後述する様に見えないところでテクも発揮しているのだが。今夏何度か述べている様に、今年は全体にレベルが低いのだが、馬格の有り過ぎる馬が東京で勝った例は少ない。流行りの母父サクラバクシンオーはスピード対応への助けとなりそうだが。

アルバートドッグ

気配絶好。馬体に緩んだところがなく、歩様も力強い。これも全く急かす気はなく後方に近い位置。スムーズだったが、内回りとの合流地点辺りで既にアデイインザライフとの勢いが違っていた。ハンデ差も大きいが、4角で馬群の薄い位置に居たアデイインザライフと違い、馬群の厚いところでコーナーの内外も有っただろう。今後は東京戦直行だそうだが、58kgを背負ったのも東京へ向けて良い予行演習となったのでは? あとは疲労のの問題で、東京2000mの適性という点ではアデイインザライフより上。

ロンギングダンサー

遮眼革。毛ヅヤ冴える。集中力に欠く面は有るが、馬体は悪くない。1馬身程出遅れて後方から。これはこれだったが、4角でアデイインザライフに被されて後手に回ったのが痛かった。ベルーフとは4kg差有ってのハナ差だけに能力差はそれなりに有りそうだが、昨年4着だった様に、新潟で脚を矯めるとそれなりに堅実。但し、他場ではサッパリに近く、暫く出番はなさそうだが。

ベルーフ

この馬にしては落ち着いている。馬体は特に目立たないが、歩様もしっかりしていた。最内枠ということも有り、最初から腹を括って最後方から。直線向いて馬群を割れる様な気配ではなく、アデイインザライフの直後へ。アデイインザライフが絶妙のタイミングで動いており、ロンギングダンサー同様、こうなると一手遅い。アデイインザライフとは似た様な脚を使っている。最内枠が裏目に出ただけで、斤量差も考慮すれば勝ちに等しいパフォーマンスはしていると見て良い。

ルミナスウォリアー

首の上げ下げして、少し煩い。その分、キビキビ歩いている様な気もしないでもないが。これも行く気なく後方から。上手く脚を矯めてこの馬としては良く伸びている。今日の展開で大外一気の組にやられたのは仕方がないところだろう。隣に居たファントムライトに先着した点も高評価。下見は相変わらずだが、以前より折り合いも付く様になっており、時計勝負にもソコソコ対応出来る点も強調しておきたい。

第36回小倉2歳ステークス(GⅢ)

レーヌミノル

戦前は攻め馬やり過ぎとの話も有ったが、歩様を見る限り、それ程気にならない。むしろ馬体の緩さの方がマイナス。出脚はそれ程速くなかったが、二の脚が速く2番手へ。単純に絶対スピードが違っていた様で、3角過ぎから押さえ切れない手応えで進出。4角手前で先頭に立つと、あとはオイデオイデの大楽勝だった。同日500万が1分07秒9と馬場状態も良化していたとはいえ、1分08秒0もまずまず速い。マトモに追っていれば7秒台だっただろう。下見からは手が出し辛い馬だが、スピードは過去の覇者の中でもトップクラス。昨年のシュウジと同様の評価が出来る。

ダイイチターミナル

420kgの馬だが、トモに迫力が有る。特に動いていると中々ダイナミック。隣のビーカーリー程ではないが、少し出負けして中段から。どうも内にモタれていた様で乗り役はしきりに馬の口を外へ向けていた。要はマトモに走っていないのだが、レーヌミノルがブッちぎる展開で内がバラけたのが奏功。時計勝負となり、外が全滅となったのも良かったか。前走福島戦はそんな素振りがなかっただけに何ともいえないのだが、乗り役の話では他馬を気にしていたとのこと。

カシノマスト

これも418kgとしては出来ているが、少し頭が高い。出脚はまずまず有りそうで、レーヌミノルに付いて行く形で好位から。4角でもステッキを入れて勝ちに行く様な競馬。流石に力尽きたが、今開催4回目の出走でこれだけ走れば馬は文句なしに頑張っている。九州産で関東馬という不思議な馬だが、500万なら楽勝レベル。

キョウヘイ

これも小さい馬だが、皮膚を薄く見せてデキ自体が良さそう。出脚が付かず、後方から。3角からも少し手応えが怪しく、4角では天井向いた様な状態だったが、外に持ち出されると絶望的な位置から良く追い込んでいる。もう少し競馬が上手くなればオープンでも通用する筈。

シゲルベンガルトラ

馬を大きく見せるタイプ。ただ、440kgの馬で、多少トモが薄い。その分、歩様にも力がない。ジワッと行かせて好位直後。ただ、勝負どころでの手応えが悪く、2馬身程置かれたのが痛かった。直線向いてからは伸びている。前走はそういった気配ではなかったが、前走と似た様な時計で走っており、これがこの馬の天井。

第51回農林水産省賞典札幌2歳ステークス(GⅢ)

トラスト

2人曳き。滞在させて落ち着いていた。馬体に大物感はないが、筋肉が浮いて現時点での完成度が高い。好発。戦前の想定だったタガノアシュラがゲートで失敗したことも有り、そのままハナへ。1000m通過61.6秒とスロー。2番手のジャコマルが4角で脱落したのもこの馬には絶好の展開になった。追い出して多少フラフラしていた様にも見えたが、乗り役に言わせると物見していたとのこと。馬には余裕が有った。恵まれた面も多分に有りそうだが、このあと中央転厩とのこと。賞金を持ってジックリ調整出来るのは大きい。明らかに無理が祟って故障したプレイアンドリアルの二の舞は避けたい。

ブラックオニキス

小さい割に良く出来ているが、歩様に硬さが有った。これも好発。大外枠で限界は有ったが、好位は確保。少し出している分、1角辺りでは行きたがっていたが、馬場に脚を取られていたとのことで3角辺りからむしろオッツケ気味。それを考えたら直線は良く頑張っているといえるだろう。トラストとは0.4秒差付けられたが、競馬の内容を考えれば差は僅か。

アドマイヤウイナー

2人曳き。-8kg。絞れたのは良い傾向。水平首で淡々と歩いていた。ゲートは少し悪かったが、外枠で立て直す余裕が有り、中段位置は確保。道中は折り合いも付いて、上手く運べていた様に見えたが、いざ追ってジリジリ。4角の手応えの割には頑張っている気もするが、400kgソコソコのブラックオニキスの方がもっとキツかった筈で、今日は評価が下がる内容だった。調教師の話ではもう少し距離が有った方が良いとのことだが...。

エトルディーニュ

2人曳き。馬体は落ちた印象はないが、前走と比較すると少し歩様が落ちた。外のブラックオニクスに抵抗しつつ好位のイン。上手く流れに乗ったが、一旦は2番手の場面が有りながら追って案外。今日の内容だと上位とは差が有るが、前走からコンマ01秒早いだけでほぼ同じ時計。これが現状の力だろう。

フラワープレミア

2人曳き。-6kg。少し気負っていた。馬体ももう10kg増えた方が無難。トラストの直ぐ外だったことも有り、上手く利用して中段のイン。エトルディーニュの直後に居た。ただ、4角で少し前と離されたのと、直線で一旦立て直す場面も有った。出脚に注文が付くが、2着馬以下とはそれ程能力差なさそう。

第36回新潟2歳ステークス(GⅢ)

ヴゼットジョリー

前後肢にバンテージ。トモが薄く、歩様に全く力が入っていない。好発も引いて中段。外から行かれた際に連られそうになっていたが、馬を前に置いて何とか宥めた。直線向いた時の手応えが抜群で、追い出して多少モタつく場面は有ったものの、エンジン掛かってからは決め手が違っていた。下見からはどうかと思ったが、スローで瞬発力一本の競馬となって誤魔化しが利いた格好。このレースを牝馬が制したのはハープスター以来とのことで期待は大きいのだろうが、今後どうなるかは成長待ちということになる。

オーバースペック

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。血統通り、ダート馬の様な体型。重量感は有る。出遅れ1馬身不利。腹括って最後方からジックリと。直線大外へ持ち出して、切れている印象はないのだが、ジワジワ伸びてここ迄。このレースはダート血統に好走例が多いそうだが、結局のところは新潟の600mを超える直線でちゃんと最後迄脚が使える体力が有る馬はダート馬に限られるということなのだろう。逆にいえばこれで芝向きと判断するのは早計。ダート転向時が馬券上の狙い目に。

イブキ

2人曳き。奥行は微妙だが、完成度高い。馬体に緩んだところが一切なく、デキ自体が良い。好発もアピールバイオが主張して好位に引く形。道中は宥めるのに懸命だった。そのアピールバイオが直線向いて直ぐ外へ持ち出したところで一気に先頭。この形は新潟外回りでは早漏だと思うのだが、一杯一杯粘り込んでの3着。ただ、トビが大きく、恐らく馬の決め手がないのを乗り役が理解した上での早仕掛けだった筈。引っ掛かっていたことも考慮すれば、この馬としては最良の結果では?

アピールバイオ

少し気負っていた。馬体も若いが、歩様に力がないのがマイナス。戦前からの決め打ちだったのか、押してハナ。ただ、ハナへ立ったと見るや、直ぐに抑えていた。馬場状態の問題が有るとはいえ、逃げた馬が内を開けるとロクなことはないのだが、案の定、内に入られた上に外からの強襲を許す形。尤も、その中でサンライズソアは差し返しており、今日はこれで現状の実力ということになるだろう。少なくとも、乗り役に非はない。今年デビューの木幡巧也騎手だが、ソツがなくて追える。

キャスパリーグ

シャープな造りで、しっかり踏めていた。ジワッと行かせて好位から。序盤だけ少し掛かり気味。そのあとは宥めて不利なく運べたが、差せる瞬発力がなかった。今日のところは上位馬と能力の差が有る。

サマースプリントシリーズ第5戦 第11回キーンランドカップ(GⅢ)

ブランボヌール

2人曳き。+20kg。前走東京戦はガレていたが、回復分だけでなく、成長も有りそう。毛ヅヤも冴えていた。内の出方を窺いながら好位で折り合いを付ける形。4角手前から手が動いていたが、コーナーの脚はそれ程速いとは思わせなかったものの、直線向いてからが切れに切れた。追い出したら重心がグッと沈んだ点にも好感が持てる。この手のタイプは広いコース向きという気もするのだが、体重の変化を見る限り、長距離輸送は歓迎しない様。馬体維持が今後の課題となる。特に次走の中山は輸送が難しい。

シュウジ

2人曳き。+6kg。良し悪しは別にして馬体が増えるとスプリンターらしくなる。落ち着いているのは間違いなく良い傾向だが。ゲートが少し悪かったが、出脚利かせてハナへ。少し仕掛けている分、引っ張る位の行き振りだった。スピードに任せて直線入口で突き放し、一瞬はやったかに見えたが、ブランボヌールに捕まって2着。今日はゲートを失敗したのが最後に応えたとはいえ、2戦続けての2着は少し見栄えが悪いところ。ただ、力は間違いなく持っている。この脚質も馬券買う立場とすれば心強い。

レッツゴードンキ

少しテンション高いのは何時ものこと。ただ、これも善し悪し別だが、スッキリ見せていた。油断すると引っ掛かる馬で、折り合いに専念して中段やや後方から。600m通過34.1秒とペースが上がらなかったことも有り、実際のところ今日も多少怪しかったが、外枠で気分良く行けたのは大きかっただろう。この形では勝ちがないのだが、最後迄脚は使って自分の力は出し切った3着。本質はスプリンターではない。マイル以上で折り合いが付かないのが悪いだけ。

ソルヴェイグ

+6kg。キビキビ歩けていた。馬体が増えたのも好感。スタートして暫くシュウジに付いて行ったが、1F程で引いて好位直後。これはこれで良かったが、4角でブランボヌールの内に居て、フタされたのが痛かった。外がダメならと内を突いたが、これだと一手後手。パワーのあるシュウジの様な馬か、外回れれば問題はなかったのだが、先週の土砂降りで内の馬場が多少傷んでおり、牝馬にとっては少しキツかった面も有るだろう。何れにしても馬は頑張っている。前走函館戦は最高に運んだが、そう毎回上手くは行かない。

ナックビーナス

全体に緩慢。歩様にも力がない。好発も、シュウジを叩く気はなかった様で、好位から。4角の手応えは悪くなく、2番手に居たアクティブミノルを交わした際には馬券圏内に見えたが、追ってからの伸びが甘い。下見通り、まだ本当ではなかったのだろう。ただ、斤量利も大きいとはいえ、掲示板5頭の内、4頭が3歳馬。やはり今年のレベルは高い。

サマー2000シリーズ第4戦 第52回札幌記念(GⅡ)

ネオリアリズム

2人曳き。-18kg。狙い通り絞れて来た。気合も乗っていた。出脚も速かったが、有る程度決め打ちのハナ。発表は稍重だったが、直前に土砂降りとなり、実質的にはそれよりワンランク以上悪い馬場になっていた。その中での1000m通過59.9秒はまずまず速かったのだが、そこから一気にペースを落としたのが終いの伸びに繋がった。4角でもがく後続を突き放してモーリスに並ばせず逃げ切った。勿論、今日は奇襲がハマったのが大きいが、それ以外のメンバーなら力差はなかった。こういう馬場も上手いのだろう。

モーリス

馬体の張りは前走東京戦以上。悪くはなさそう。ゲートは出ているが、前に馬が居ない状態で引っ掛かりそうになっており、中段やや後方に下げ、馬を置いて折り合いを付ける形。そこからは流れに乗れていた。3角過ぎから外を回って追い上げ、馬は頑張っているのだが、この馬場で前に1頭残られるのは仕方がないところでも有る。距離の問題ではなく、秋は東京戦を目指す様だが、あとはツキだけ。ただ、折り合いは意識しないとマズいタイプで、余り相手が弱いとこの手の奇襲にやられる確率が高くなる面は有る。東京戦なら余程大丈夫とは思うが、小倉戦が象徴的だった様に今年はレベルが怪しい。

レインボーライン

+10kg。少し緩い気もするが、3歳馬だけに増える分には歓迎。スタート直後は前に付いて行くかどうか、少し迷っていた様に見えたが、一旦引いてモーリスマークに切り替える形。3角過ぎからモーリスの挙動に乗って動いて行って、最後の脚勢はモーリス以上だった。惜しい3着。今迄マイルに使っていた馬がいきなり菊花賞というのは些か流石に図々しい気もするが、初の2000mで折り合いが付いたのは大きい。毎回意外に人気にならない点も隠れたセールスポイント。

ヌーヴォレコルト

前肢にバンテージ。-14kg。明らかに張りがない。歩様にも力強さを欠く。好発。出脚もあまり速い方ではないが、行きたい馬に行かせて好位のイン。乗り役は替わったが、最内枠ということも有り、昨年の中山記念のイメージでインを立ち回る策。道悪はこなす筈だが、4角で手応えが怪しくなっており、直線も大して伸びず。今年初戦の阪神戦からそうだったが、今年は馬体重に関係なくデキがない。

ヤマカツエース

前肢にバンテージ。-10kg。大きく外を回って周回。これ位で丁度。500kgを超えると太い。この馬にしては出脚が怪しい気もしたが、促して好位から。丁度ヌーヴォレコルトと並走する形。何時もと違い、道悪の影響が有るのか、少し行き振りが悪かった。勝負どころでも一旦はヌーヴォレコルトより前に出ているのだが、差し返されて5着に。福島の重馬場で重賞を勝っており、道悪自体はこなす筈で、今日は案外の内容。ヌーヴォレコルトとの実績差を考えるとこんなモノかも知れないが...。

サマースプリントシリーズ第4戦 第51回テレビ西日本賞北九州記念(GⅢ)

バクシンテイオー

オーストラリアンブリンカー。前を歩くオウノミチのスピードが遅く、歩き辛そうにしていたが、何時ものイレ込みはマシ。馬体の張りが有って、踏み込みも力強い。ゲートは出ているが、全く行く気なく後方待機。3角からオウノミチが動いてくれて、そこに付いて行く形。少頭数だったことも有るが、外を回ったにしては比較的コースロスなく回って来れた。1分08秒5で決まる展開もこの馬には絶好だったか。ベルカントを除けばあとは横一線のレースで今日は後方待機に賭けたのが正解。前走福島戦が久々の1200mだったが、これも今回へ向けて良い方に出た。ただ、今年の夏競馬はこういった極端な低レベルレースがチラホラ。一昨年の秋競馬は初重賞がGⅠという馬が多かったが、今年も条件上がりに持って行かれる可能性も。

ベルカント

2人曳き。前後肢にバンテージ。ちょっと細いかも。歩様も少し硬くなっていた。ゲートで微妙に安目を売ったが、仕掛けて好位。そこで折り合って道中は問題なさそうに見えた。直線入口で先頭に立って、何とかなったかに見えたが、外からバクシンテイオーの大駆けに屈し2着。ただ、前述した様にこの馬場で1分8秒台半ばの決着は遅い。ハンデが重くなっているとはいえ、昨年程は走っていないと見るのが妥当だろう。昨年は取消が有って消耗が少なかったが、今年は輸送込みでマトモに3走したのはキツかった。

オウノミチ

+6kg。デキ自体は良さそう。ただ、トモの薄さがこの馬の限界を示す。アオる様に出て、1馬身の出遅れ。少し促して中段やや後方から。道中そんなに手応えが良い様に見えなかったが、3角から積極的に出て行く形。外からのバクシンテイオーにはやられたが、最後迄止まっておらず3着は確保。この低レベルレースの中では一番強い競馬をしている。今日は出遅れて、最初に慌てたのが失敗だったか。

ジャストドゥイング

少し気負っていたが、スプリント戦なら許容範囲。体型もスプリンター。

ベルルミエール

シープスキンノーズバンド。返し馬はそうでもなかったが、下見は少しイラついていた様にも見えた。馬体は緩んだところもなく、問題はないのだが。

サマーマイルシリーズ第2戦 第51回関屋記念(GⅢ)

ヤングマンパワー

シープスキンノーズバンド。+12kg。太く見せず、まずまず。強調点もないのだが。新潟外回りにしては珍しく向正面で出入りの激しい展開。最初から少し行きたがっていた様に見えたが、更にレッドアリオンが外から行って少し連られそうになっていた。従って、状況としてはかなり厳しかった筈だが、前を行くダノンリバティをネジ伏せる様に差し切った。気性面を上手くコントロールした乗り役の腕が一番大きいが、馬自身もこのメンバーへ入ると力が一枚上だったか。

ダノンリバティ

落ち着いている。踏み込みも力強く、下見の雰囲気は上々。最初はピークトラムがハナだったが、直ぐにロサギガンティアが行って、それに付いて行く形。ロサギガンティアが追い出しを我慢しており、この馬もそれを待って追い出す形。上手く乗られたが、あと一歩だった。前走中京戦はジリジリだったが、今日は前で脚を矯めてしっかり伸びてくれたのが収穫。阪神では勝っており、坂の問題ではなさそうだが、昨年はレパードステークスで2着、その後オープン特別で勝利が有り、芝ダート問わず、何故か新潟は相性が良い。

マジックタイム

前肢にバンテージ。-8kg。決して良くは見せないが、何時ものこの馬。歩様もこんなモノ。何時ものことだが、微妙に出負けして後方から。人気を背負っている以上、下手に動く訳にも行かず直線勝負。伸びているが、一瞬モタついたのと、前も33秒台で上がっており、今日はこれが精一杯。時計勝負は対応出来るタイプでも、どちらかといえば平均的に流れて欲しいクチ。決め手勝負になる新潟よりは小回りの方が向いている。

ダンスアミーガ

今季は単純にデキが良い。多少太く見せるのもそれだけ馬体の中身が詰まっているから。ゲートを決めて好位のイン。前走中京もそうだったが、上手く流れに乗っている。直線は何かにやられているので見栄えは悪いものの、際どいところ迄持ち込んでいる。前走は不利が有ったとしても、新潟だと決め手負けするので、東京でインを突くか小回りの方が馬券に絡む確率は高そう。毎回人気にならない点も有る意味セールスポイント。

ロサギガンティア

この馬にしては落ち着いている。軽い造りは昔から。今日はゲート五分。積極的に乗られて2番手。前のレッドアリオンは飛ばしてくれて、これはこれで良い形に持ち込めた。追い出しも待っている位だったが、いざ追ってからが一息だった。乗り役は気性面を敗因に挙げていた様で、確かにそういった淡泊な部分が有るのは間違いないが、上位2頭は4歳馬。年齢を経て時計勝負は歓迎しなくなった面も大きい。

第21回エルムステークス(GⅢ)

リッカルド

シープスキンノーズバンド。毛ヅヤは悪くなさそうだったが、スカッとした造り。ゲートでロワジャルダンにやられたことも有り、一旦立て直して中段。揉まれず、上手い位置で追走出来た。3角過ぎか外を徐々に進出。逃げるモンドクラッセはクリノスターオーとの闘いにスタミナと神経を消耗させており、立て直す余裕を与えず一気に交わしたのが正解だった。ただ、最後はクリノスターオーに差し返されそうになっており、今日は能力比べで勝ったというよりは漁夫の利を得ただけといった印象の方が強い。

クリノスターオー

2人曳き。前後肢にバンテージ。何時ものこの馬。軽い造りながら、歩様が力強い。押していたが、モンドクラッセの先行策に乗る形で2番手へ。相手はモンドクラッセと決め付けて終始マークする形。4角の手応えが悪いのは何時ものことだが、小回り1700mとなると余計にそれが目立つ。その間にリッカルドに先を越されてしまったのが痛かった。直線向いてからは差し返しているのだが、この条件は少し忙しい印象。前走が京都1900mだった影響も有ったか。一昨年が5着、昨年が4着、今年が2着と力を付けているのも間違いないのだが、悪癖は相変わらず。

モンドグラッセ

相変わらず数字の割に馬を大きく見せないタイプ。馬は張っている様に見えるが。好発。出脚を利かせてハナへ。1000m通過61.2秒なら数字上は決して速くないのだが、クリノスターオーにずっとマークされていた。ペースを落とそうとするところでクリノスターオーが横に並び掛けて来る等、実際はかなりキツい流れ。4角は先頭で回って来たが、リッカルドに抵抗する脚がなかった。乗り替わりも三浦騎手とこの馬の相性を考えると良くなかっただろう。クリノスターオーと枠が内外逆だったら、この展開になっておらず、今日は全てが悪い方に。

ロワジャルダン

前後肢にバンテージ。メリハリの利いた馬体。下見は問題ないが...。ゲートは出ているが、外の方が勢いが良く好位から。その後ろに居たリッカルドが勝っている訳で、悪い位置ではなかった筈だが、追って案外。4角では前が壁になっていたとはいえ、少し待つ位に見えたにも関わらず伸びなかった。自分から動いて行く形の方が良さそう。尤も、そのパターンで何かにやられてしまうことも多いのだが。

ヒラボクプリンス

2人曳き。前肢にバンテージ。-8kg。500kgでも走る馬だが、この位の方が良く見せる。筋肉が浮いてデキは文句なし。出脚というよりは少し促しつつ、外の2頭に行かせて好位のイン。ただ、道中の手応えがお世辞にも良いとは言えず、4角でモタついている間にロワジャルダンに入られて引っ張る場面が有った。そこからはズルズル。5着に粘れたのは後続が差して来なかっただけ。もう少し距離が有った方が追走は楽になりそう。

第8回レパードステークス(GⅢ)

グレンツェント

前後肢にバンテージ。相変わらず数字の割に纏まった馬体。出脚は余裕有りそうだったが、無理せず5番手あたりから。向正面は少し掛かり気味。それでも何とか宥めて直線で外に持ち出されると1頭脚が違っていた。何時もよりは前目の競馬だったが、恐らく相手をケイティブレイブと決めていたのだろう。例に依って乗り役の判断が冴えていた。尤も、この馬より3馬身前にゴールドドリームとストロングバローズが君臨する。今日の時計は馬場状態を考慮すればソコソコ速いのだが、今年は上には上が居る。

ケイティブレイブ

後肢にバンテージ。腹回りが太く映るが、緩んではないので体型も有ろう。パワフルダート馬といった風情。内のヨシオも速そうだったが、出脚で制してハナへ。1000m通過60.7秒だからソコソコ飛ばしての逃げ。後続とはずっと3馬身程のリードを取っており、直線向いた段階ではセーフティリードに見えたが、1頭グレンツェントの決め手が違っていた。惜しい内容。ただ、今日は最高の競馬だった筈で、これで負けるとなると決め手不足は深刻。交流戦なら何とかなるだろうが、中央だと中々勝たせて貰えないだろう。

レガーロ

前後肢にバンテージ。シープスキンノーズバンド。+6kg。毛ヅヤや馬体の張りは悪くない。但し、マイラー体型。中途半端に砂を被るよりはと、一旦最後方に下げる形。そこから外へ出して、向正面で中段。道中ずっと脚を使わされたが、最後までバテずに3着浮上。ただ、シープスキンノーズバンド着用しても、追い出してエンジンが掛かるとグッと重心が沈んだ様にも見えた。枠順と展開に殺された感も有り、能力は持っている。

ピットボス

前後肢にバンテージ。馬自体に厚みが有る。重戦車の様相。出脚は多少苦しい様にも見えたが、押して2番手。ただ、道中の手応えが余り良くなく、3角過ぎから押し通し。その割には良く粘っていたということもいえるのだが、小倉のクランモンタナの様なことはなく、最後は力尽きた格好。上位とは能力差、特にスピード差が大きい。

エネスク

前肢にバンテージ。発汗目立つが、このメンバーでもトモのボリューム感は上位。ただ、レガーロ同様、これも寸詰まり。この馬にしてはゲートは出たとはいえ、横と比較して若干分が悪かったが、ヨシオを叩いて好位から。ただ、これもい勝負どころで手応えが悪く、追走に骨を折る様な状態。止まってはいないが、前と離され過ぎ。唯一収穫が有るとすれば、前走福島戦と含めて2走ちゃんとゲートを出た点。

サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第52回小倉記念(GⅢ)

クランモンタナ

-6kg。スカッと見せる。毛ヅヤも冴えており、下見での減点材料はなかった。メイショウナルトに外から叩かれる形となったが、立て直して2番手。メイショウナルトの逃げは1000m1分を超えるスローだったが、道中追い通しで向正面で既にステッキが飛んでいた程。今日はこの手応えに後続が騙された格好。兎に角ズブい馬で、直線で先頭に立っても止まらない。後続の仕掛け遅れも有ってギリギリ粘り込んだ。2分丁度は1000万条件レベルでも楽に出せる時計で、今日は全てが上手く行ったとしかいい様がない。100回やって1回有るかないかの結果。

ベルーフ

休養前よりむしろ良かった。気配も良かったし、歩様も力強い。ゲートも大して良くなかったが、引っ掛かりそうな気配を出しており、急かさず後方から。スローで皆動いている中で、4角の回り脚が速く、ダコールを締め切れれば良かったが、微妙に残してしまい、更にマーティンボロが直線入口で外にモタれて弾かれる形。全部で1馬身半は損しており、マトモなら勝っていた。前述した様に今日は運が悪かったと思う外ないが、競馬の下手さは見え隠れ。

エキストラエンド

前後肢にバンテージ。-6kg。この馬のこの時期にしては毛ヅヤが悪くない。歩様もしっかりしていた。2000mならもう少し出脚が速いイメージだったが、今日は余り進んで行かず後方に近い位置。例に依ってインを只管回り、最後に脚を使って3着浮上。マーティンボロの粗相が有って進路が出来たのが大きかった。出脚の鈍さから適性が変わって来ているのだろう。毎回述べている様に、年齢を経た適性の変化は衰えのサインということにもなるのだが。

ダコール

高値安定。馬体に張りが有った。大分背負い慣れて来た58kgだが、やはり出脚への影響が大きく、外枠でも有り、後方からジックリと。これはこれだったが、直線向いて例の不利が痛恨だった。これも要は斤量の問題で、背負いながら一回ブレーキが掛かってしまうとそこからの挽回が利かない。繰り返しになるが、今日は勝ち馬にツキが有った以外にない。

マーティンボロ

前肢にバンテージ。最近は良く見せる。上昇一途。出脚は微妙だったが、少し押して好位直後。流れには乗れており、4角で前を射程圏に捉えたが、外にモタれてしまい伸び切れず。案外の内容。舌がハミを越しており、気性的に本気で走っていない様子も。乗り役が外からステッキを入れていたのもマズかっただろうが...。

サマースプリントシリーズ第3戦 第16回アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

ベルカント

2人曳き。前後肢にバンテージ。前走中京戦辺りから軌道に乗って来た。馬体の張りが良くて、気配も良かった。好発。出脚は有りそうだったが、ネロに寄せる形で2番手。500m辺りでの手応えが抜群で、1000m戦でも追い出しを待つ余裕が有った。ラスト300m辺りから追い出し、ラスト200mでハナを覗かせてからが相手も渋太かったが、首の上げ下げを制した。戦前、このレースは斤量で結果が変わり易いと述べたが、1kg増での連覇は見事。ただ、次走小倉戦のことで、ハンデはちょっと懸念材料。

ネロ

前後肢にバンテージ。このメンバーに入ると馬は上位だが、少し歩様が硬く映った。これも好発。出脚も速く、外ラチ沿いをスッとハナ。ただ、500m程走った辺りでは既にベルカントとは手応えが違っていた。ラチを頼る戦法から、ベルカントを相手に切り替えてからは渋太かったが、着差はアタマ差でも完敗に近い内容だった。牝馬相手に1kg差とこちらが条件有利だったことも有り、ちょっと今日は評価が下がる敗戦。尤も、恐らくデキが万全ではなかった筈で、歩様が良くなれば変わる可能性も充分。あれだけの手応えの差が有りながらアタマ差に留めた辺りに救いを見出したい。

プリンセスムーン

前後肢にバンテージ。歩様が伸びていた。馬体も締まっていた。上位2頭を別にすれば出脚は速い方で、2頭の直後から。道中はファンデルワールスが上手く壁になってくれたお陰で上手く脚が矯められた感も有った。結果的に前との差は詰まらなかったが、最後迄脚は使えている。勝ち負けは能力差としても、やはり1000m戦の適性は持っている。

アットウィル

前後肢にバンテージ。トボトボ歩いていたが、デキ自体はまずまず。直千競馬は初めてという影響もあったか、スタート直後からダッシュ乗りに差が有って後方に近い位置取り。それでもラスト400m程でエンジンが掛かってからは上位とも遜色ない脚を使っている。この手の競馬で適性が有るかどうか判断するのは難しいのだが、前走の福島戦がハンデ54kgで4着。今回別定戦だっただけにオープン特別なら馬券になりそう。

ローズミラクル

前後肢にバンテージ。水平首で気配は上々。ただ、多少立派に映るのも確か。1000m戦はもっとスカッとした方が走る。出脚はベルカントと差が有ったが、押して基本的にはベルカントのペースに付いて行く形。道中は間に5枠2頭が噛んでいたのはあまり影響なかった筈。しかし、ラスト200mで一気に脚色が鈍った。外枠だったらもう少し違った可能性も有るが、上位とは能力差有る。

第64回北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)

マコトプリジャール

400kg丁度だったが、細い印象はない。カリカリしていないのも何より。今日もゲートを決めた。押して内の馬を叩いて好位のイン。1000m通過が61.5秒だからむしろ遅い方だが、意外にリラヴァティの手が早く動いており、上手く内で脚を矯めていた利が大きかった。ただ、何故か全く人気はなかったものの、前走福島でシャルールに先着しており、当然といえば当然の勝利。チェッキーノ回避で古馬だけの一戦となったが、牡馬相手に闘っているトップクラスを別にすれば、この路線は能力差は殆どない。馬格のない馬だけにレース間隔を開けたのも良い方に向いた様。

シャルール

前後肢にバンテージ。+10kg。このメンバーだと馬が上位。多少気負っていたが。好発。リラヴァティの先行策に少し抵抗しつつ2番手。前述した様にペース自体は大して速くないものの、叩かれる時に少しムキになっていたか。落ち着いたのが2角過ぎだった。ただ、リラヴァティが早々に崩れ、4角手前で先頭。マコトプリジャール以外の後続は突き放しているのだが、追い比べで僅かに見劣りアタマ差先着を許した。これでマコトプリジャールに2戦2敗。力負けではないのは明らかながら、格好の悪い形に。

ダンツキャンサー

前肢にバンテージ。デキ自体はあまり関心しない。馬体の張りが甘い様に映った。もう少し前で競馬したかっただろうが、マコトプリジャールに叩かれ、そのマコトプリジャールが抑えてしまった為中段から。揉まれ弱いイメージも有ったが、折り合いも付いて普通に走れていた。前とかなり離されてしまっており、使える脚には限界が有るが、この馬なりにジワジワ伸びてここ迄。上手く走れたこと自体は評価するものの、スローで開幕週の馬場だったというのは大きいだろう。

レッドリヴェール

何時ものこの馬。歩様にも硬さはない。ゲート出てからが進んで行かず、一旦は後方。ただ、道中はずっと押していたことで、久々に馬の気合が入った様で最後の最後に伸びて来た。正直、お世辞にも上手いとは思えないティータン騎手、特にゲートでしくじる場面が多いのだが、腕力は有る様で今日はそれが良い方に出た。これが今後良い方に出る確率は低いが、気性面で走っていないことが分かっただけでも収穫。

テルメディカラカラ

+16kg。多少立派だが、動き自体はダイナミック。出遅れ1馬身不利も、直ぐ内のマコトプリジャールが行ってくれたことで、スペースは有り、押してネジ込んで好位直後。だが、道中が行きたがっていたのも確かで、その分伸びを欠いた印象。乗り役は距離の所為にしていたが、ちゃんとゲートを出て、ソロッと行かせれば折り合いは付いていた可能性も有った。今日の敗戦で1800mを見限るのは早い。