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競馬回顧 2017年3回阪神

第58回宝塚記念(GⅠ)

サトノクラウン

+10kg。毛ヅヤは前走でも悪くなかったが、馬体回復したのが何より。今日は中身が有った。出脚云々よりも、枠番決定時から決まっていただろうキタサンブラックマーク。キタサンブラックが無理矢理ハナへ行けば別だが、好位待機なら今日はこれしか手がない。ピッタリ追走して、ペースが落ちそうになった向正面で煽り、キタサンブラックに息を入れさせない展開にしつつ、自身はそこから一旦引いて直線勝負。直線もしっかり伸びた。道悪巧者のイメージだが、記録上は稍重でも2分11秒4ならほぼ良馬場。前走で気になった登坂力も問題はなかった。昨年の有馬記念同様、キタサンブラックを潰す競馬が上手く行った感も有るのだが、馬が力を付けているのも間違いない。

ゴールドアクター

2人曳き。下見だけパシュファイヤー。-6kg。今日は更にスッキリ。絞り込んで来た。テンションもこれなら許容範囲。今日は好発。ただ、行く気はなく、枠は離れていてもこれも最初からキタサンブラックマークが頭に有った様な騎乗。サトノクラウンの内で並走。折り合いもスムーズだった。4角で外を回されるのを避けて、インでジッと我慢。前はスムーズに開いて良く伸びたが、あと一歩届かず。1,2着は勝ちに行った馬との差というだけで、馬は復活している。昨夏に馬を緩め過ぎたとのことで、ここ迄ツケが清算し切れない競馬が続いていたが、これなら今秋は楽しみに。

ミッキークイーン

+8kg。デビュー以来、最高体重だが、太い印象はない。テンションが高かったのは前走東京戦同様。ゲートは五分だったが、折り合いに専念して後方に近い位置。基本的にはサトノクラウンをマークする様な形だったが、レインボーラインが4角手前で動いた際に一旦脚を矯めて直線勝負。完璧に乗られたが、サトノクラウンには完全に突き放された3着。今日の内容だと案外感が残る。パンパンの良馬場だと決め手で何とかなるのかも知れないが、少し時計の掛かる馬場だと牡馬のパワーが勝る印象。

シャケトラ

前後肢にバンテージ。トモのボリューム感が目立つ。踏み込みもしっかり。ハナへ行く気はなかった様だが、シュヴァルグランの逃げに乗りつつ、少し出して2番手。ペース自体は大して速くなかったが、サトノクラウンに突かれたキタサンブラックが早目に動いて来る等、このレースにありがちな先行馬にとってキツい展開になった。最後は止まっていたものの、前に居た組では最先着の4着だから評価して良い。毎度述べている様に、こういう競馬は馬を強くする。今秋、勝てるかどうかは微妙としても、何処かでGⅠ連対迄は持って来れる筈。

レインボーライン

馬に集中力が有った。デキ自体は悪くないのだろうが、このメンバーに入ると少し力感に欠く。ゲートは出ているが、恐らく戦前からの決め打ちで後方待機。これはこれだが、序盤に少し掛かっていたのが勿体なかった。3角過ぎからキタサンブラックを目掛けて、サトノクラウンに蓋をする迄の位置迄押し上げているのだが、直線向いて雪崩込むのが精一杯。サトノクラウンは一瞬の内に抜け出していた。ただ、回り脚にステイゴールド産駒らしさは見せた気も。暮れの中山出走なら馬券に必ず付け足したい。

シュヴァルグラン

2人曳き。上積みが有ったかどうかは微妙だが、馬体の張りはまずまず。淡々と歩いており、何時ものこの馬。この距離だと出脚が苦しい筈だが、意外にも出脚が速い。更に外のシャケトラがキタサンブラックに抵抗している割にハナへ行く気がなく、押し出されてこの馬が逃げる形。1000m通過60.6秒のスロー、そのシャケトラがピッタリくっついていたとはいえ、粘れても良かったが、4角で既に手応えがなく、ズルズル後退。敗因は良く分からないが、乗り役の話では馬場を気にしたとのこと。

キタサンブラック

2人曳き。前肢にバンテージ。+6kg。流石に太い。歩様も、良い時はもっとスムーズ。例に依って好発。2200mだと出脚が微妙という面も有るが、それ以上にこの馬自身の出脚が足りず、シャケトラが壁になり、無理せず3番手から。ただ、壁なしの状態で少し力んでいた様にも見えた。向正面で一息入れようとした際にサトノクラウンに突かれたのも地味に痛かっただろう。4角回って、そこで余力なし。直線は無抵抗だった。複数要素が組み合わさらないとここ迄負けないのだが、一番の敗因は外枠。他馬、特に社台系の徹底マークを呼び込んでしまった。もっといえば出脚でケリを付けたかったところが、前走京都戦の激走で2200mの出脚が鍛錬出来ていなかったということになるのだが、これも勿論内枠なら問題はなかった。

第22回ユニコーンステークス(GⅢ)

サンライズノヴァ

前後肢にバンテージ。数字が有るだけ良く見せるが、まだ力が付き切っていない。歩様にも力強さが欲しい。出脚は有る筈だが、ゲートが若干分が悪かったことも有って、中段やや後方からジックリと。前が流れたことも有って、今日はこれが正解。道中から手応えが良かったが、直線もキレにキレた。午後3時前から本降りとなり、良馬場でも実質稍重の様な馬場だったが、この時計もまずまず速い。あとは距離と、同日1000万2着だったアディラート、同じく3着リヴェルティ、勿論エピカリスの3頭含めての能力比較ということになる。今日は乗り役が乗れていた印象も強く、前述3頭と比較するとやや分が悪い印象も。

ハルクンノテソーロ

2人曳き。まだ華奢だが、前走よりは少しフックラ。馬に活気が有るのは良かった。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。砂は被っても苦にしない様で、気にせずインを通って、直線向いた時点でサンライズソアの直後。ここで上手く捌いたのは大きかった。サンライズノヴァとは能力差有るだろうが、前走で負けたサンライズソアには先着。ゲート以外に競馬に注文が付かないのは強みで、兎に角器用。

サンライズソア

シープスキンノーズバンド。下見だけパシュファイヤー。前後肢にバンテージ。この馬にしては落ち着いている。馬体が増えたのも悪くない材料。ジワッと行かせて好位の外。気性面は怪しいとしても、砂を被らずに競馬出来る分にはスムーズ。リエノテソーロを目標に乗られて、その目論見は上手く行ったが、外から2頭。結果的に早かったかも。ただ、サンライズノヴァとは6馬身差。ハルクンノテソーロは前走で負かしているとしても、能力差が有りそう。馬装は気性対策の面も有るだろうが、手前も替わっていないにしても、追い出すと首が使えておらず、その分、見た目より伸びない嫌いが有る。次走乗り替わりだそうだが、作戦にミスはなかったとしても騎乗技術の問題は有るのだろう。

サンオークランド

前後肢にバンテージ。ドッシリと見せて馬に迫力が有る。歩様も力強い。芝での出脚がサッパリで後方から。ダートに入ってからは流れに乗れた。4角回ってサンライズノヴァの真後ろ。といっても外を回った為、最後方に近い位置で、サンライズノヴァとは追い出した直後の脚で差が有ったが、坂を上がってエンジンが掛かってからは強烈な伸びを見せた。実質競馬が終わった後としても、あと一歩で3着だった。見た目はそうでもないが、乗り役の話ではトモが緩いとのことで、今後はズブさを如何に解消するか。素材は良いだけに先々走って来ても不思議はない。

タガノカトレア

前肢にバンテージ。+8kg。もっと増えても良い位。ただ、それでも動きはキビキビ。芝での出脚が一番速かった位だが、テイエムヒッタマゲに叩かれて好位から。落ち着く迄は少し行きたがっていたが、3角手前で折り合いが付いた。坂下で前は潰して一旦は先頭。そこからは後続に突き放される一方だったが、それでも掲示板は確保。ズルズル行かなかったのは能力だろう。リエノテソーロに先着した事実も大きく、もう少し成長すれば牝馬ダート路線で手堅く稼ぐ存在となるだろう。

リエノテソーロ

前後肢にバンテージ。前走も抜群だったが、見た目には一緒かそれ以上。歩様も落ちていない。芝の出脚が速く、スッと好位。ハイペースは途中で気付いた様で、向正面半ばで引く形。それだけにもうちょっと踏ん張ってくれても良かったが、追ってサッパリだった。陣営は距離を言い訳にしていたが、今日の止まり方だと矯める競馬をした方が良さそう。1番人気の乗り替わりも良いことはない。

サマースプリントシリーズ第1戦 第24回函館スプリントステークス(GⅢ)

ジューヌエコール

前後肢にバンテージ。馬はこのメンバーでも上位だが、トモが甘い歩様。ただ、これでも春よりはマシ。無理矢理でも行こうと思えば行けた様な雰囲気だったが、無理せず一旦引く形。行き振り良く、3角で中段。4角は前を飛ばす2頭以外の好位勢が苦しくなる中、ここでも手応え充分に進出。最後もアッサリ突き抜けた。見た目には強かったが、とはいえ評価は微妙。トモの甘さが50kgと高速馬場で軽減された印象の方が強い。何よりハイペースの展開が向いた。トビに余裕が有って本格化すれば走って来そうだが、現状は過信禁物。次走が試金石となりそう。

キングハート

前肢にバンテージ。気配が地味というより、前肢の出が悪い印象。馬体はそんなに悪くないが。出脚が苦しく、スタート直後にかなり押して中段。道中もこのペースに付いて行くのがやっとだった。このレースは内枠で詰まった例が過去に多かったが、ハイペースで上手く捌けたのは大きかった。3角過ぎにジューヌエコールの手応えを見て、それに付いて行く形。直線は手前が替わらず一緒になってしまったが、斤量を考えたら勝ちに等しい内容。相当力を付けている。

エポワス

+6kg。馬体の張りが戻って来た。毛ヅヤも悪くない。出脚はキングハートより速かったが、センターより外の馬が速く、無理せず中段に控える形。枠が逆だったらキングハートの位置が取れていた可能性も有ったが、着狙いで乗る9歳馬としてはこれはこれ。矯めて乗られて直線に賭け、このペースに乗じて3着迄。函館は全て掲示板だが、馬場がこれだけ速くなっても結果が出るのだから本当の巧者といえる。下見の雰囲気が上向いていたことからも、水が合うということになるのだろう。

セイウンコウセイ

流石に馬振りは抜けている。歩様もこんなモノで、特に減点材料はない。シュウジがハナへ行って付いて行く形で2番手。ペースは速かったが、土曜日から高速馬場だったことも有って手応えは楽。相手を前と決めて積極的に仕掛けて行ったが、結果的には早過ぎた。明らかに賞金稼ぎの出走だったが、洋芝で時計が掛かる想定でこのレースを選択したのが裏目。人気を背負っていたことも有り、積極策も一概に責められず今日は仕方がない。これでも充分力は示したといえる内容。

イッテツ

前後肢にバンテージ。前を歩くエポワス同様、完全なスプリンター体型。馬体に張りが有って、気配も良かった。今日のメンバーだと出脚が苦しそうだったが、内の馬を叩いて好位から。ただ、追走が怪しく、3角手前辺りから置かれ掛かっていた。4角の手応えもサッパリに近かったが、その割には渋太く伸びている。輸送競馬だとイレ込む面も有って、信頼性に乏しいが、今日の競馬に関しては新味を見せたといえそう。

シュウジ

2人曳き。多少太く見せるとしても、これで走れる筈。出脚は一番速く、スッとハナ。直後にセイウンコウセイが迫っていたことも有って、前半600m32.2秒。コーナーの有る競馬に限定すれば史上最速に近いペース。流石にこれでは保たない。セイウンコウセイと枠が離れていたらまた結果は違っただろうが...。スピードは流石というところを見せたものの、完全な共倒れになってしまった。ただ、新潟の直線競馬だったらこれでハマりそう。出走なら大本命。

第34回エプソムカップ(GⅢ)

ダッシングブレイズ

馬体はこんなモノだが、歩様の硬さがなくなったのが何より。この馬にしてはゲートが速く、更にスタート直後は少し押していたが、引っ掛かりそうになって好位に控える形。結果的にこれが正解。その過程で内に潜る形となり、4角で逃げたマイネルハニーの直後。マイネルハニーが必要以上に外へ持ち出してくれたお陰で、先に仕掛けたマイネルミラノの内でもまだ馬場が良かった。昨年2月の落馬でケチが付いた馬で、基本的には差して来るイメージだが、ゲートを五分以上に出て好位で競馬出来たのは収穫。距離は使っていないだけで最初から問題なかった。

アストラエンブレム

2人曳き。下見が良く見せるのは一族の伝統。歩様にも力強さが有った。これも時々出遅れる馬だが、五分に出て2番手。出脚は甘く、押している分、掛かる場面も有ったが、直ぐに抑えが利いた。直線はマイネルハニーの直後で出来るだけ追い出しを我慢。ラスト400mの標識を待って追い出したが、ステッキに尻尾を振って抵抗。それでも伸びて更にマイネルハニーと馬体が併さってやっと本気を出した様な伸び方だった。能力は持っているが、気性面がどうしようもない。

マイネルハニー

前肢にバンテージ。寸の詰まった造りだが、その分迫力が有る。皮膚を薄く見せてデキ自体は間違いないく良い。好発。マイネルミラノの出脚が一息だったことも有り、スンナリハナへ。馬場の悪い内目4頭分程を避けての逃げ。直線も馬場の良いド真ん中へ。内からやられただけに外へ持ち出し過ぎたということにはなるのだが、とはいえ相手をアストラエンブレムと決めていた分も有るだろう。マイネルミラノの止まり方を見ても、内を回っていれば失速していた可能性も高く、これはこれで好騎乗。馬もデキがいいのだろうが、この乗り役も東京で先行馬に乗せると上手い。

クラリティシチー

前肢にバンテージ。数字の割に力感がないのが微妙だが、歩様はキビキビ。デキ自体は悪くない。少し出してアストラエンブレムに付いて行く形。アストラエンブレムは掛かっていたが、この馬は折り合いが付いていた。ただ、直線もアストラエンブレムとの1馬身差が最後迄詰まらずそのままだった。ラスト150m程で手前が替わっていた様に、基本的には東京の直線は長過ぎるタイプ。直線平坦か小回りでないと馬券に絡むのは難しい。

バーディーイーグル

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。多少腹回りがボテッと映るのは体型分も。キビキビ歩けており、馬に活気が有った。出脚は五分だったが、あまり行く気なく後方に近い位置。あれだけ逃げ馬に外へ張られると、後方待機組はどうしても苦しくなるのだが、ダッシングブレイズの後を追う様に伸びて来た。今日は全く人気がなかったが、先行力も有り、オープンでもメドが立つ内容。ブライアンズタイム産駒だけに少し時計が掛かる馬場も合う筈で、小回りコースなら一発有っても不思議はない。

第22回マーメイドステークス(GⅢ)

マキシマムドパリ

2人曳き。馬体はキッチリ出来ていたが、舌がハミを越してチャカついていた。出脚は有っても後方待機が最近のパターンだが、今日は無理に抑えず他馬の様子を見ながら好位の外。スローで行きたがる馬が多い中で、下見の気配に関係なくレースになると折り合いが付く。4角手前から前を捕まえに行って4角先頭。内外から他馬が追って来たが、終始1馬身弱のリードを守って押し切った。スローで展開が向いたというより、スローを見越して自力で勝利を掴み取りに行った形。レースに行ってロスがないのが何よりで、距離延長を苦にしないのが最大の武器。

クインズミラーグロ

今回からオーストラリアンブリンカー。前肢にバンテージ。馬体に張りが有って、ノンビリ歩けていたのが何より。手先のスナップも利いていた。前走福島戦の様に出遅れた訳ではないものの、出脚一息で押して何とか中段。押して行った分、少し掛かっていた様にも見えたが、想定の範囲。直線はビッシュと2回接触。最初の件は脚で弾いた様に見えたが、坂を上る際にちょっと外にモタれたのが2回目。堅実だが、今日の内容だと登坂力に疑問が残った。ただ、馬装を替えて首を使える様になっている。その結果が今迄の3着から2着になったともいえる。

アースライズ

前肢にバンテージ。一息入ったが、馬体に張りが有った。この時期なので毛ヅヤも良い。外の出方を窺いながら、急かすことなく中段。折り合いも付いて、最内枠を生かす競馬が出来た。4角でトーセンビクトリーに手応えがないのを確認して、これを外からパス。再びインへ突っ込んであと一歩だったが、ハナ差及ばず3着に。仕方がないとはいえ、4角で半馬身程ロスしており、仕掛け自体も少し早くなってしまった。上手く行けば2着有った競馬だが、勿論インに居た利も大きい。能力比較ではクインズミラーグロ以下と考えるのが妥当。

キンショーユキヒメ

トモに丸みが有ってまずまず。歩様は何時も独特。ゲートが微妙に悪く、後方に近い位置。スタート直後は引っ張り気味の追走だったが、1角過ぎに折り合いが付いた。4角手前から大外を進出して、良く伸びているが、今日の展開ではあと一歩届かず。1000万でアドマイヤリードと2回当たる等、強い相手と闘っているが、この馬自身もまだ1000万に使える馬。乗り役の話では少し時計が掛かって欲しいとのことだが、条件叶えば楽勝だろう。

ビッシュ

シープスキンノーズバンド。+6kg。数字以上に馬を大きく見せて、歩様も力強い。追い込み一手のイメージだが、積極的に乗られて中段から。行かせた分、多少行きたがるのは止むを得ないところ。4角を手応え抜群で回って勝ったかに見えたが、直線向いて直ぐと、坂下でクインズミラーグロと2回接触。1回目の接触で競馬を止めそうになっており、2回目でトドメを刺された。とはいえ、大きな不利とも思えず、良く分からない敗戦。気性面を疑うところ。

トーセンビクトリー

前後肢にバンテージ。-8kg。元々細身だが、それにしても細く映った。ジワッと行かせて好位のイン。中山戦と同じ形だが、かなり行きたがっていた。4角で既に手応えアラアラ。トップハンデが響いたにしても負け過ぎ。条件時代に勝っているとはいえ、2000mが微妙に長いかも。

第67回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

サトノアラジン

気配は地味なタイプだが、何時もよりは前向き。馬体は前走の時点で仕上がっており、そこからは平行線。ゲートは五分程度だったが、外枠で折り合いを意識しつつ中段やや後方から。それでも比較的外を回されていたが、直線も躊躇せず大外。ロゴタイプが4角で引き付けたことで、馬群が密集。結果的に後方待機でも届く展開になったのと、内がゴチャついたことでノビノビ走ったこの馬が突き抜けた。トビが大きいタイプで、前走の様に雨が降る等、一つ間違うと上手く行かないが、今日はやっと全能力を出し切れた。今後も展開一つ。

ロゴタイプ

2人曳き。遮眼革。前肢にバンテージ。脚元微妙だった時も有った様だが、下見の姿は高値安定。気配も前走よりは表に出している。最初から行く気だった様で、何が何でもの構えでハナ。最近は例外も少なくないが、外枠から行けばハイペースになるのは致し方ないところで、1000m通過57.1秒。特に最初の600mが33.9秒と速かった。4角で一旦後続を引き付け、直線向いて突き放した脚が今日は鮮やか。一旦は3馬身位リードが取れた。昨年は好位のモーリスが外へ張ったことで、展開有利となったが、今回は自らの脚力で得たモノ。最後は苦しくなったにせよ、所謂肉を切らせて骨を切る的レースは称賛しかない。ただ、他場でイマイチなところを見ると、馬券的には次走以降、手は出し辛い。

レッドファルクス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。前走は歩様が硬くてどうしようもなかったが、見違える様に良くなっていた。馬体も締まって一変していた。ゲートは出ているが、急かさず後方から。距離に不安は有って折り合い重視で乗られ、途中でグレーターロンドンに先を越されてもスルーしていた。直線は前が開く迄待つつもりだった様だが、ラスト400mで諦めてサトノアラジンの外へ。結果的に脚を矯めるだけ矯める形となり、良い脚を残せたが、あれで2着がなかったのは距離の限界なのだろう。ただ、前走の時点では、歩様面からとてもマイルが保つとは思えなかったことを考えれば良くここ迄持って来たともいえる。これなら今秋に待っている初中山も何とかなるかも。

グレーターロンドン

2人曳き。一息入っても、連勝馬らしい活気が有る。寸の詰まった体型だが、デキは文句なし。毎度ながら出遅れ1馬身不利。乗り役が替わって、何時もより積極的に乗られたことも有って、馬群の中でも行き振りが良かった。インを通って、3角過ぎに中段に取り付き、直線もラスト400mで進路が出来た。ただ、一旦は2番手かの勢いだっただけに、最後の最後で甘くなった感も有る。エアスピネルの項で後述する様に、積極的に乗られていなければ進路がなかった危険も有り、これはこれで仕方がない。馬のレベルが低かった時代ならまだしも、調教技術の進んだ現代競馬において、武器が一本だけでGⅠに勝つのは難しい。ただ、今回のサトノアラジンとて負け続けてやっと届いた。タイトル取れずに終わる馬の方が圧倒的に多いのだろうが、この馬にはまだ可能性が有る。

エアスピネル

2人曳き。前後肢にバンテージ。-8kg。馬体は絞ったと見て良さそう。今日は気配も良かった。ゲートは出ているが、折り合い重視で下げて一発狙う形。狙い通り、折り合いは付いた。ペースも流れて、これはこれで良かったが、一段前の馬に手頃な進路を全部取られてしまい、最内を狙ったら前が開かず、バラけたのはラスト200m手前。既に態勢決した後だった。そんな中でグレーターロンドンと似た様な位置に詰めているだけに、新味は見せたといえそうだが、とはいえそんな競馬しか出来ないのなら、別の対策を考えることになるのだろう。

第70回農林水産省賞典鳴尾記念 (GⅢ)

ステイインシアトル

-8kg。数字分だけ馬体が締まった。トモにボリューム感が有り、毛ヅヤも冴えていた。行けたら行こう位の気持ちだったと思うのだが、誰も行かずスンナリハナへ。スタート直後に躓いており、出脚が少し鈍ったのだが、それでも楽に行けた。1000m通過61.6秒は勿論スロー。流石に他の人気どころも少し早目に動いていたが、2番手ミュゼエイリアンが間に噛んでガード役となったことも有り、一杯一杯振り切った。スマートレイアーとの着差を考えると能力比較では負けていたが、先行力は何時の時代も有利には違いない。

スマートレイアー

前後肢にバンテージ。今回の方が馬体に張りが有る。一応は前走東京戦以上。道中は中段。出脚は有る馬だが、マイルの後ということも有るのか、少し掛かりそうになっており、序盤は引っ張り気味の追走。内に入れられる様な形にもならず、このスローで外を回されてしまったのは痛かった。4角もステイインシアトルに対し、間に2頭挟む形。首をグッと下げて、ダイナミックなフォームは今年に入ってから身に着けた走法だが、それでも届かなかったのは仕方がないところ。勝ち切るとなると、何かにやられているが、相手問わず堅実。

マイネルフロスト

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。多少歩様が怪しいのは毎度。馬体に張りが有った点は何より。出脚は決して速くないが、押して3番手。外にミュゼエイリアンが居て、ステイインシアトルの真後ろから。2角辺り迄は頭を上げて折り合いを欠く場面も有ったが、このスローで我慢させた甲斐は有った。ステイインシアトルにはあっさり突き放されており、伸びた印象はなかったが、何とか3着に粘り込んだ。前走新潟戦で述べた様に今年はデキが戻ってきているのが一番だが、これもスマートレイアー同様、重賞を勝つ決め手がない。

スズカデヴィアス

-10kg。集中して歩けていたが、歩様の力強さがもう少し。昔はハナへ行っていた馬だが、意外に出脚がなく、行く気もなさそうで後方から。当初はインに入れて折り合いを付ける形だったが、スローということも有って、3角手前辺りから何時でも動ける外へ持ち出し、早目に動いたが、最後はジリジリ。一息入っての-10kgや出脚のなさが良し悪し若干微妙では有るが、2000mなら重賞でも堅実に走るようになって来た。

スピリッツミノル

何時もより活気と馬体の張りが有った。元々気配に乏しい馬だけに、デビュー以来一番といっても過言ではない。好発。スタート直後から押していたが、この距離では出脚が足りず、中段から。とはいえ、このスローでオッツケ通しという様なことはなく、この馬にしては行き振りが良かった。追ってからは伸びずバテずとなったが、内を通った分、入着。鈍らは鈍らだが、幾らかマシになっている。海外へ連れて行くと面白いタイプ。

デニムアンドルビー

前後肢にバンテージ。+12kg。馬振りは流石というところで、踏み込みも抜群に深い。珍しく好発。無理に控えてもと、そのまま乗られて中段やや後方位の位置。ただ、道中も珍しく引っ掛かっていた。4角はスマートレイアーの直後。もう少し伸良かったが、坂の辺りで脚が鈍った。とはいえ、ちょっとでもスムーズさを欠くと走らないのは若い頃から一緒。調整に工夫は要るだろうが、馬に衰えはない。何処かで一発有る筈。