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競馬回顧 2017年5回京都

第62回京阪杯(GⅢ)

ネロ

+11kg。前後肢にバンテージ。数字が増えた分だけ馬体の張りが増している様にも見えるが、毛ヅヤが冴えず、デキが良いとは思えず。斤量と年齢で明らかに以前より出脚が鈍っているのだが、何が何でもの構えでハナへ。見た目には強引に行き切った様に見えたが、前半3F34.3秒だから極端なハイペースという訳でもなく、この強引さに後続が騙された格好。マクりに出たフィドゥーシアの失速も手伝って一杯一杯粘り込んで連覇達成。これがJRA初重賞制覇となった吉原寛人騎手だが、絶妙のペースで残した。

ビップライブリー

-4kg。集中力を欠いていたのは感心しないが、馬体に張りが有ってデキは悪くない。ゲートは五位程度だったが、出脚には余裕が有ってジワッと好位。3角過ぎに少し手綱を引っ張る場面も有ったが、1400mばかりを使っていた割には行き振りが良かった。追い出してからも伸びているが、真っ直ぐ走れなかったのは着差が着差だけに勿体ないところ。この雰囲気なら現状は1200mの方が良いかも。今日は乗り役も半信半疑だっただろうが、もっと攻めた乗り方でも問題ない筈。

イッテツ

2人曳き。前後肢にバンテージ。多少煩いが、単純にデキ自体が良い。皮膚を薄く見せて、歩様にもバネが有った。この馬としては珍しく半馬身程後手。そのまま後方から。今日は割り切って直線も大外へ。4角の時点で目の前にアットザシーサイドが邪魔になって、微妙にロスしているのだが、脚をしっかり矯めて馬場の良い外へ持ち出したことも有って、1頭違う脚で伸びて来た。惜しい3着。何かが変わるだけで勝っていただろう。56kgで走れたのも好印象で、今後も展開一つ。

フィドゥーシア

2人曳き。-6kg。馬体の張り一息。歩様も硬さが出ており、明らかにデキ落ち。この馬の出脚で好位の外。セイウンコウセイがもう少し行ってくれれば良かったが、逃げたのが同馬主のネロということで無理をせず、想定よりは一段後ろとなったか。それでも4角の手応えは抜群で、外を回って一旦は勝ったかの勢いだったが、直線半ばで失速。ネロにも差し返されて4着に。デキの問題も大きいだろうが、1200mだともう少し大事に乗る必要は有りそう。その点では1000mの方が気楽に乗れる。

ダイシンサンダー

水平首で気配悪くなく、特に減点材料はない。歩様が悪くないのも何より。あまり行く気なく中段やや後方から。ロスなくインに潜り込めた。直線も伸びているが、追い出して少しモタついた後に伸び出した様にも見えた。特に今日は捌きながらの競馬だっただけに尚のこと勿体ない印象。この馬自身は1200mでもこなせるということになるが、ベストは1400m。

ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 第37回ジャパンカップ(GⅠ)

シュヴァルグラン

2人曳き。前走京都戦と比較して腹回りが締まって来た。毛ヅヤも冴えていた。時々ゲートを失敗する馬だが、今日は好発。流石に出脚はキタサンブラックに利が有ったが、少しだけ抵抗しておいて好位のイン。折り合い面も問題なく、ここ迄が完璧だったが、直線向いてからもスムーズに外に持ち出せたのは更に大きかった。この馬自身もスパッと切れる感じではなかったものの、前を行くキタサンブラックが若干モタついたところを捕まえ、最後迄ジワジワ伸びて初GⅠ制覇。勿論、圏内の馬では有るが、あまりにも上手く行き過ぎて能力判定不能。正直、上積みが有ったとも考え辛いが、以前より出脚が来ており、競馬が上手くなっているということはいえる。

レイデオロ

2人曳き。+8kg。馬体増でも一切緩んだところがなかった。皮膚を薄く見せて研ぎ澄まされた馬体。テンションの高さも許容範囲。半馬身程出遅れて中段やや後方から。最初から掛かり気味になっており、恐らくは出遅れていなくとも似た様な位置だっただろう。結果的に内も開いていたが、乗り役は手応えに自信が有った様で直線は外へ。シュヴァルグランが完璧に運んだ分、届かなかったが、キタサンブラックを捕まえただけでも大したモノ。一番強い競馬をしている。ただ、体質が弱い様で、中山戦を回避して来年に備えるとのこと。そういう状態だと今後の成長という面で疑問符は付く。

キタサンブラック

2人曳き。前肢にバンテージ。馬のデキ自体にケチを付ける部分はないが、この数字だと多少立派過ぎるのは確か。今日はゲートを決めてハナ。一瞬だけシュヴァルグランとギニョールに抵抗されたが、大した影響ではなかった。1000m通過60.2秒も狙い通りのペースで、序に2000m通過1分59秒9迄も完璧だったが、直線向いてから中々手前が替わらず、何時も程は突き放せなかったのが痛かった。ラスト200mでやっと右手前となったが、この段階では後続の勢いが違っていた。力で負けた訳ではないが、東京だとこういった瞬発力勝負で取り溢すのは致し方ないところ。落鉄とのことで尚更だっただろう。中山で改めて。勿論、出来れば一雨来て欲しいところ。

マカヒキ

2人曳き。馬に活気が有った。現状のデキとしては満点だが、もう少し迫力が有っても。出脚の速い方ではないが、少し出して中段やや後方から。ただ、下の悪い馬場を気にしていたとのことで、道中の手応えがもう一つ。直線で外へ持ち出そうとした際にラストインパクトと接触してしまったのも結構痛かった。それでいて4着なら悪くないともいえるが、前とは4馬身離されており、多少この距離は長いのかも。やはり前走を道悪で落とす格好になったのが...。

アイダホ

2人曳き。流石に馬体は劣るが、毛ヅヤが良くて、歩様が伸びていた。テンションは高い。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。キタサンブラックが逃げたことで、後続の意識は早目早目ということになるのだが、我関せずでジックリ乗られて直線も馬場の良い大外へ。恐らく最初から入着狙いだっただろうと思うのだが、しっかり脚が矯められた分、最後迄脚を使って掲示板を確保。名門厩舎が日本に合う馬を連れて来たという見方も出来るが、それ以上に今年は日本馬が低調だったというのが正しいところだろう。

第4回ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)

グレイル

前後肢にバンテージ。変わらず上々。バランスの取れた造りで完成度が高い。内の様子を窺いつつ、中段から。タイムフライヤーをマークする形。ジックリ乗られたことも有るが、最初から折り合いが付いていた。4角もタイムフライヤーが動いたのを確認してからの進出、狙い通りの騎乗が出来たが、追い出して首が使えていないのと、直線は右手前のまま。4角の雰囲気なら楽勝の展開だったにも関わらずアタマ差止まりだった。今年の2歳重賞の勝ち馬はそれなりに評価出来る馬が多かった中で、この馬は明らかにダメ。見た目は良くても柔軟性がなさそう。課題が解決する迄は見送りが賢明。

タイムフライヤー

2人曳き。前後肢にバンテージ。静止画だけならこのメンバーでは上位だが、動かすとトモの甘さが一目瞭然。出たなりなら中段辺りの出脚だったが、ランリーナに交わされるのを嫌ったのか、少し出して3番手。その分、序盤は噛んでしまったのが痛かった。そこからは正攻法の競馬をしており、一旦は突き放す場面迄造ったものの、追い比べで僅かに競り落とされた。内容からは実質的な勝ち馬で、今日は乗り役のミス。ただ、この馬自身も成長が欲しいところ。歩様に力強さが来ればクラシックでも好走期待出来るが。

ケイティクレバー

前後肢にバンテージ。-4kg。寸詰まりの体型だが、毛ヅヤはデキ自体は悪くなさそう。歩様もしっかりしていた。一瞬アイトーンが先行したい構えを見せたものの、この馬の方が出脚に余裕が有ったのと枠の利も有ってハナへ。1角からは単騎だった。序盤の擦られたロスは微妙に痛かったにせよ、それでも1000m通過61.7秒だからスローには持ち込めた。直線は突き放す迄の場面がなく、決め手の差という以外にないが、それでも4着に2馬身半差だから悪い内容ではない。前走から行かなかった時が多少怪しいものの、行き切れば500万は楽勝レベル。

アイトーン

2人曳き。-6kg。シャープな造りで手を出したくなるシルエットだが、気負っていたのがマイナス。決め打ちでハナを狙ったが、内からケイティクレバーに主張されて引かざるを得ない形。序盤はその分、行きたがっていたが、前と距離を取ってからはスムーズに走っていた。3角手前から再び前と差を詰め、4角で並走迄持ち込んだものの、外からタイムフライヤーに交わされると、直線半ばで脚が上がり、前述の通りケイティクレバーとの2馬身半差はそのまま能力差だろう。未勝利即で重賞だっただけに同情の余地は有るのだが、今日の内容だけだと500万でも足りない。

シスターフラッグ

前肢にバンテージ。この時期の490kg台の馬でかなり大きいが、厚ぼったさがないのは何より。馬に集中力も有って気配は良かった。出脚がなさそうで、最初から内に入れて後方から。道中もズブい位の行き振りで、何とか4角迄は食らい付いてグレイルと近い位置に居たものの、そこからの脚が違っていた。現状だと500万でも論外だが、もっと距離は有っても良さそう。新馬の後は毎回重賞にブツけているが、限定戦のダート替わりが狙い目。

ジャパン・オータムインターナショナル 第34回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

ペルシアンナイト

+12kg。数字が増えた分、馬体の張りが増した。気合も乗っており、上昇度では一番だっただろう。好発。ウインガニオンが行ってくれるなら違う選択肢も有ったのだろうが、行かなかったことで待機策を選択。ただ、ゲートを出ていた利は大きく、割と早い段階で内に入れることが出来た。ずっと我慢させて、4角でも動かず直線迄待ってから進路を探す形となったが、例年より荒れた馬場のお陰で、馬群がバラけてくれたのが良い方に向いた。エアスピネルとサングレーザーの間から一瞬の脚を生かし切った。大外枠から勝つならこれしかないという様な競馬。あまりに鮮やか過ぎて能力判定が難しい程。春の実績と前走東京戦の内容から馬場さえ乾けばこれ位やれても不思議はのだが。

エアスピネル

2人曳き。前後肢にバンテージ。歩様にバネが有った。馬体も充実しており、ケチの付け様がない。微妙に出負けしたが、少し押して中段から。馬群の中に居たことも有ったが、意外な程折り合いが付いていた。追い出してからの反応も軽快で、ラスト200mで先頭。遂にやったかの場面だったが、結果的に早かった様でペルシアンナイトの強襲を許してしまった。競馬には勝ったが、勝負に負けた格好。ベストのマイルで折り合い面も問題なく、完璧に運べた。相手が120%の競馬をしたと思う外ない。結果的に乗り替わりも運が逃げて行く方に出た気もしないでもない。次走未定だが、この手の馬が海外遠征で初タイトルを掴んで来るのは近年良く有るパターン。

サングレーザー

+6kg。現状は馬体が増えてくれるだけで歓迎材料。まだまだ華奢だが、毛ヅヤは冴えて、現状のデキは良い。最初から行く気がなく後方のイン。1400mからの参戦だったが、折り合いは付いていた。直線もやや強引ながらも思い切って外へ。馬場の良いところへ持ち出す作戦は間違いではなかったと思うのだが、エアスピネルとの間にペルシアンナイトを入れてしまったのは痛かった。ペルシアンナイトが居なければエアスピネルが勝って、この馬が2着だった競馬。多少非力なところが有って、出来るだけ馬場の良い外へ出したい気持ちも良く分かるのだが、馬がヨレて必要以上に外へ行ってしまっていた。

レーヌミノル

-6kg。気配は地味。毛ヅヤも落ちて来ており、悪く見せるのだが、張りそのものは悪くない。好発も、内のマルターズアポジーを待って好位で折り合いを付ける策。ペースがソコソコ流れたことも有るが、上手く流れに乗れた。追い出して一瞬の脚は外のエアスピネルの方が速かったが、交わされながらも渋太く踏ん張っていた。今日は1,3着馬のギャンブルが当たった感も有り、正攻法の競馬としてはエアスピネルに次ぐ2着。春の阪神戦もこういった馬場で、少し時計の掛かる馬場は向いているのだろうが、強い内容といえる。気が早い話だが、来春ヴィクトリアマイルの本命候補。

イスラボニータ

気配が薄いのは年齢として、デキに問題はなさそう。前走東京戦も悪くなかっただけに、上積みはなかったのだろうが。ゲートは五分。何故か今日は結構馬が行きたがっており、馬を前に置いて折り合いを意識しつつ中段やや後方から。これはこれだったが、道中結構揉まれる場面が有った。特に直線入口でウインガニオンと接触したのは結構痛い不利だっただろう。その段階で目標にしていたエアスピネルとは3馬身程離れてしまい、更に目の前にサングレーザーが持ち出して来たことも有って、競馬が終わってしまった。今日は3歳馬が上位に来る競馬だっただけに、機動力の差は有ったのだろうが、不完全燃焼なのは確か。

レッドファルクス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。今日は悪い時のこの馬。馬体の張りがなくなって、歩様も落ちていた。出たなりで中段やや後方で折り合いに専念。馬群の内目で不利もなく運べた。直線もそれなりに伸びているが、最後の最後で甘くなった印象。道悪自体はこなせるが、時計の掛かる馬場でスタミナを求められる形になったのが痛かった様。デキ落ち気配も有っただけに立て直して来年改めて。

第22回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅢ)

ワグネリアン

2人曳き。後肢にバンテージ。チャカついていたのがどうかだが、トモのボリューム感が瞬発力の源泉。ゲートは出ているが、最初から抑えて後方、といっても5番手から。7頭立てにも関わらず、逃げたコスモイグナーツとケワロスが突いて意外な程のハイペースになったことも有って、それなりに我慢して走ってくれていた。4角も抑えきれない手ごたえで回って、残り300m辺りで先頭。更に3馬身突き放した。完勝といえる内容。馬主の集大成の様な血統の馬だが、確かに良い決め手を持っている。ここ迄2歳重賞を走った馬の中では真打クラス。あとは折り合いだろう。現状では2000mでギリギリ。2400mが保つとは思えないが。

ルーカス

馬体は増減なしだが、前走札幌戦よりは大分しっかりして来た。背丈が高いのも成長の余地を感じさせる。ただ、初コースということも有って、結構物見していた。出脚がサッパリで最後方から。引っかかる馬ではなく、そのままワグネリアンをマークする様な形で競馬を進めたが、追ってからの反応が全然違っていた。それでも何とか2着は確保。取り敢えず賞金を確保出来たのは何よりだっただろう。尤も、今日の内容でクラシックに間に合うかどうかは微妙。先々は走って来るだろうが、もっと成長が欲しい。

シャルルマーニュ

2人曳き。気配は何とか堪えていた。重量感が有って馬は悪くない。歩様も軽やか。出脚が速く、スッと3番手。序盤は多少行きたがっていたが、向正面に入って直ぐに折り合いも付いた。直線もワグネリアンとは一瞬の脚が違っていたものの、渋太くジワジワ伸びていた。前走程ではないにしても、今日も少し時計の掛かる馬場だったが、こういう馬場も向いているのだろう。中々賞金が加算出来ないのはツラいところだが、ハイペースを前で受けて頑張っていた点も好印象で、500万なら楽勝級。

カフジバンガード

煩い馬が多い中で、落ち着いていたのは好感持てるが、馬体にメリハリを欠く。最初から折り合いに専念して、前3頭と大きく離れた4番手から。追い出しを直線迄待って、ワグネリアンと暫く併せ馬になっていたが、直ぐに脱落。明らかに決め手の差が有った。後方有利の展開だっただけに今日は評価が下がる一戦。前走の様に道悪になったほうが向いている。

ゴールドギア

2人曳き。前肢にバンテージ。テンション高いのが多少マイナス。馬体はマイラー体型ながら纏まっている。ゲートが開いた時に乗り役の腰が落ちて、出遅れ。そのまま後方を回ってここまで。前走は鮮やかだったが、流石にこのメンバーだと全く歯が立たなかった。とはいえ、前走は結構フラついていたにも関わらず今回はそれなりに真っ直ぐ走っていた。確実に馬が良くなっているともいえる。

ジャパン・オータムインターナショナル 第42回エリザベス女王杯(GⅠ)

モズカッチャン

2人曳き。今日も落ち着いていた。毛ヅヤや馬体の張りも変わらず良く、前走の状態を維持。内からクインズミラーグロとクロコスミアが行き、更に外から数頭来て、その直後から。この馬は5番枠だったが、恐らく本気を出せば3番枠のトーセンビクトリーも出脚が速い馬だが、距離不安も有って引いてくれた形。出脚を殆ど使っていないのと、この馬自身が内々立ち回るのを得意としていることも有って、好位のインで折り合う理想的な競馬が出来た。全馬が伸びている中で、この馬もスパッと切れる印象ではなかったが、クロコスミアが最後の最後に甘くなったところで差し込んでクビ差V。このレースはラキシス,ヌーヴォレコルトの2013年から4年連続1,2着の差がクビだそうだが、やはりそれだけスローで流れているのだろう。前走時にも触れたが、器用さが有るのが現代競馬で強みとなっている。

クロコスミア

+4kg。また馬体増だが、勿論これは良い傾向。歩様も推進力が有って、前走東京戦も良かったが、高値安定。出脚は一番速かったが、最内枠からクインズミラーグロが何が何でもの構えで行って2番手。2角辺り迄は力んでいたが、そこからは落ち着いて1000m通過62.0秒のスロー。そこからもペースが上がらず、実質的には3角下りからの勝負。4角でクインズミラーグロを交わして、直線入口で先頭。内ラチ沿いへ寄せて一旦は後続を1馬身ほど突き放す場面も有ったが、ラスト150m辺りから苦しくなった。惜しい2着。一回でもこの距離を使っていれば勝っていたかも。成長しているとはいえ、これも真っ向勝負で勝てる程の馬ではない筈だが、前述した様にやはりこのレースは先行馬有利。

ミッキークイーン

-6kg。休み明けだけにあまり減って欲しくないのだが、前走阪神戦はデビュー以来最高体重。気配も有って、細い印象はない。最初から掛かりそうになっており、行く気なく抑えて中段やや後方から。ソロッと乗って何とか我慢してくれたが、内に入れる場面が一度としてなかったのは結構痛かっただろう。直線も外へ行くしかなく、馬場のド真ん中に持ち出して矢の様な伸び。4角で近くに居た馬は軒並み二桁着順だったことを考えれば圧倒的に強い競馬をしている。強いていえばもう少し前で競馬出来る様になれば勝っていたということになるのだが、春はスケジュール上、マイルを走らざるを得ず、致し方ない面も。

マキシマムドパリ

腹回りがスッキリとし過ぎているが、一応は許容範囲。多少煩いのも何時ものこと。ゲートをマトモに出た場合は有る程度決めていたのだろうが、外枠からでも押して積極的に乗られて3番手。折り合いは付く馬で、スムーズに流れに乗れていた。直線向いてもジワジワ伸びているが、どちらかといえば坂の有るコースの方が良績を残しており、平坦の決め手勝負では分が悪かった印象。とはいえ、12番人気単勝万馬券の馬だけに大健闘の4着。やはり長いところに距離適性が有るのは強み。

ヴィブロス

2人曳き。昨秋とは別馬。馬体が成長して、全体にパワーアップしている。直ぐ内のマキシマムドパリが行ってくれたことも有って、付いて行って4番手。マキシマムドパリとの比較では出脚は明らかに速く、楽に好位が確保出来た様にも見えたが、道中は結構掛かっていた。モズカッチャンに最内を取られた影響も多少有っただろう。直線は思う様に伸びてくれなかったが、それでも何とか掲示板を確保した辺りに地力の一旦を覗かせた気も。距離への経験不足が出ただけで、示したパフォーマンスとしては悪いモノではない。

第52回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

ジャンダルム

2人曳き。前のフロンティアと比較すると完成度が低いが、歩様に力強さが有った。出遅れ1馬身不利。といっても少頭数で、大したロスではなく挽回して中段やや後方から。少し出した分、序盤は少し掛かったが、それでも前を壁にしてからは折り合えていた。インで脚を矯めて、内から一気に突き抜けた。抜け切ってからフラついたのは遊んでいたからだろう。父系由来なのか、ビリーヴの仔にしては距離への融通性が有りそう。今日の様に出遅れて急かすとどうかだが、ゲートさえ五分なら2000m迄は何とか我慢してくれそう。尤も、今日はメガリージョンの故障で競馬が壊れた感も有る。能力評価は次走改めて。

カツジ

新馬から馬は見栄えがしていた。多少マイラー気味の体型だが、馬体をドッシリ見せる。ゲートを五分に出てスッと好位。メガリージョンが目の前で故障したが、外に居たこの馬は大きな影響ではなかっただろう。壁がない状態でも折り合いも付いていた。直線も早目先頭に立って、この時点では何とかなったかに見えたが、そこから外へモタれてしまったのが痛い。その分、ジャンダルムの強襲を許してしまった。能力は持っているのだろうが、今日のところは若さが出た格好。

ケイアイノーテック

前後肢にバンテージ。+22kg。多少緩いのだが、太くはない。完全に成長分。もう少し歩様に力強さが来れば理想的。あまり出脚は速そうではないが、中段は確保。これもメガリージョンは上手く避けられた。道中スムーズに運んで、追ってからも中々ダイナミックなトビで走っているのだが、今日のところは回転数が足りずスパッと切れる印象ではなかった。馬体は成長しているが、回転数が足りないタイプは芝で苦労するケースが多い。次走が試金石。

フロンティア

前後肢にバンテージ。+6kg。毛ヅヤが冴えて、筋肉の輪郭もクッキリ。馬自体を大きく見せて、所作もダイナミック。ジワッと好位から。ただ、メガリージョンが暴走気味にハナへ行き、それに連られて引っ掛かったのと、そのメガリージョンが故障して手綱を引っ張り、馬自身も怯む場面が有った。それでも4角の雰囲気は悪くなく、もう少し伸びてくれても良かったが、今日は競馬になっていない。これでこの馬の能力を判断するのは流石に可哀相。次走改めて。

ナムラアッパレ

トモに張りが有って、馬自体のポテンシャルは持っていそうだが、冬毛が目立っていたのと気性面が幼いのがマイナス。ゲートは五分。出脚もソコソコ速そうだったが、折り合い重視で中段やや後方から。その点では上手く行っているが、直線は伸び案外。頭数が少なかった分の入着。この380万円はオイシイ賞金となったが、現状では500万条件も厳しいだろう。

第22回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

インカンテーション

前後肢にバンテージ。-8kg。絞れて良い時のこの馬。元々良く見せる方だが、抜群に良く見せた。高齢になって出脚が強化された馬で、ベストウォーリアの先行策に乗ってスッと好位。3角過ぎから手応えが抜群で、ほぼ持ったままでベストウォーリアに並び掛け、あまりに早く抜け出して、むしろ遊んでしまった様に見えた程だったが、サンライズソアが来てもう一伸び。人気薄だったが、完勝といえる内容。次走へ向けて、GⅠでペースが上がると切れ味の有る後続にやられる可能性も有るが、今日の様に落ち着いた流れになれば有力。勿論1800mも問題はない。

サンライズソア

パシュファイヤー。オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。-6kg。下見は最後方を周回。例に依ってテンション高いのだが、同世代、同馬主のサンライズノヴァよりは馬自体が明らかに良い。出脚が速く、最初はハナだったが、同じく速かったベストウォーリアに3角手前から譲って番手のイン。セコい競馬は出来たが、インカンテーションが追い出しを待ったことで、直線向いてからの進路が暫く開かなかったのは微妙に痛かった。前が開いたのはラスト300m程で、そこから猛追しているが、インカンテーションも余裕を残しており、2着止まり。乗り役がレース後コメントしていた様に、今日の結果だけをいえば行き切った方が良かったのだろうが、とはいえ気性面に問題が有ることを考えればこういった競馬を勉強しておくのも悪くない筈。今後へ繋がる内容。

アキトクレッセント

集中力散漫だが、馬自体は悪くない。馬体の張り、歩様共問題はない。芝での出脚はお世辞にも速いとはいえないが、最初は中段辺りに居たのが徐々に前へ行って4角でインカンテーションの直後。それでいて折り合いも付いていた。最近は1400mばかりを走っていただけに、意外な印象すら有った程。直線向いてからも手応えが残っており、少し待っていた位だったが、一瞬の脚がサンライズソアとは全く違っており、何とか3着に残した形。重賞だとワンパンチ足りないと見るのが妥当。1400mなら2着は有っても不思議はないが。

ノンコノユメ

前後肢にバンテージ。セン馬にしては、馬体のしなやかさがない。皮膚を薄く見せて、デキ自体は悪くなさそうだが。ゲートは出たが、出脚がなく最後方から。これ自体は何時ものことだが、道中の行き振りが悪そうで、少し早目に押し上げて行ったが、良い時の勢いではなかった。特に不利はなく、比較的コースロスも軽微で済んだだけに、せめて3着は欲しかった印象。一応休み明けが言い訳になるが、3歳時の迫力がないのも確か。

カフジテイク

前後肢にバンテージ。多少歩様が硬いのは何時ものこと。全部が及第点有った。今日もゲート五分。芝での出脚も意外な程有ったが、何時も通り下げて後方から。向正面ではノンコノユメより前に居たが、ノンコノユメが先に仕掛けて、後から追う形。これで自分の競馬だが、全体の上がりが35秒台になってしまうと出番はない。展開に泣いただけで、一応は力を出した形。

ベストウォーリア

前後肢にバンテージ。ボテッと映るのは毎度。気配が乏しいのも最近の傾向。芝の出脚は一番速く、ジワッと先行。暫くはサンライズソアと並走していたが、3角手前辺りからハナ。1000m通過1分ジャストだから遅い方だが、見た目にも楽に運んでいたにも関わらず直線はダラしなかった。最近のパターン通りならこれでも走れる筈だが、休み明けとなると中々上手く行かない部分も有るのだろう。次走はもう少しピリッとして欲しいところ。

第8回みやこステークス(GⅢ)

テイエムジンソク

テンション高いが、毛ヅヤが冴えていた。馬体もバランスが取れた造りで、前走札幌戦からの軌道修正は出来た様。出脚は有る馬だが、流石に大外枠では遠く、サルサディオーネが逃げ、モンドクラッセ、アスカノロマンが続いての4番手から。モンドクラッセがサルサディオーネを突いており、全体に締まった流れ。それを好位で追走する絶好の形になった。前がバラけて、コースロスが殆どなかったのも救われたといえるだろう。4角手前で前を潰して、直線は独走だった。JBCクラシックと同週の開催ということで、若干メンバーが手薄だったが、今日の内容そのものにはケチを付けるところがない。次走中京戦も圏内だが、相手関係だけでなく、ここ迄23戦して左回りを一度として走っていない点が多少ネック。

ルールソヴァール

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前肢に通常のバンテージ、後肢に球節のみのバンテージ。ガッシリとした体型。歩様も力強さが有った。出脚は悪い訳ではないが、テイエムジンソクの方が速く、一旦は叩かれる形となり、テイエムジンソクをマークする格好。テイエムジンソクがブッちぎる展開で、競馬としては上手く行ったといえるだろう。ただ、ずっと乗り役が口を外へ向けており、要は内にモタれていた。前走東京戦から遮眼革を着用しており、その前走は強かったが、今回は右回りで上手く行かなかった気もしないでもない。そんな中でも最後迄テイエムジンソクを追い掛けており、能力は間違いなく持っているが、今後へ向けて工夫が要る。

キングズガード

少し煩かったが、はち切れんばかりの造りで、デキは文句なし。ダートスタートだと、出脚はまだマシだが、それでも行く気なく最後方から。それでも1800mは微妙に長い様で、少し掛かっていた様に見えた。直線は伸びているが、実質的には競馬が終わった後だった。馬券になったとはいえ、これで1800mをこなしたとは言い難い。あくまでテイエムジンソクがちぎる展開がハマッただけ。ベストは1400mだろう。

タムロミラクル

多少小走りも有ったが、馬体は充実している。完歩の大きい歩様にも好感。枠も遠かったが、出脚も速い訳ではなく中段やや後方から。勝負どころで少し内に包まれる形だったが、結果的にこれが良かったかも。直線半ばで後ろの組はほぼ脚が上がっており、追える乗り役が追いまくったこの馬が4着に浮上した格好。何れにしても能力で持って来た様な内容ではない。実績が示す通り、交流戦で馬券圏内有るかどうかの馬。

モルトベーネ

ダートの良馬場では手が出し辛い程だが、軽い造りは何時ものこと。それでも毛ヅヤが冴えてデキ自体は良い。乗り役の話ではサルサディオーネの好発に驚いてしまったとのことだが、出遅れて後方から。道中も変に行きたがってリズムが悪かった。外へ持ち出してからはジワジワ伸びているが、キングズガードにはほぼ並ぶ間もなく交わされており、お世辞にも威張れたモノではない。

エピカリス

+8kg。多少太いかも。前肢が勝ち過ぎた様な体型で、相変わらず非力に映る。出脚が通用せず、後方に近い位置。道中も外を回った分が有るにせよ、行き振りが宜しくなかった。3角過ぎからマクりに出て、多少見せ場は有ったが、直線はサッパリだった。完敗といえる内容。1年先輩のラニも低迷しているが、ダート馬が3歳時に遠征するとその後が良い方に出ないことが殆ど。これだけ海外遠征が盛んになっている時代に、この点だけは昔から。

第55回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

スワーヴリチャード

+10kg。元々胴長の馬だが、それ程太くは見せない。成長は有りそう。初距離ということも有るが、意外な程出脚が良く、スッと中段のイン。むしろ少し掛かる位の行き振りだった。道中只管ジッとして、直線も前が開く迄待ってインから。スムーズに開いたにせよ、一瞬で突き抜けて2馬身1/2差は強い。時計もまずまず速く、圧勝といえる内容。このレースを3歳馬が制したのはタイキエルドラドの1997年以来だそうだが、タイキエルドラドは55kgで制していたのに対し、こちらは56kg。この点も値打ちが有る。次走も東京戦となる様だが、この行き振りなら2400mも良い方に出そうで、面白い存在に。

ソールインパクト

前後肢にバンテージ。毛ヅヤが冴えて、歩様も極端に悪くない。下見での減点材料はない。出脚は有ったが、行きたい馬に行かせて好位から。セダブリランテスとスワーヴリチャードの間位に居た。折り合いも付いて正攻法で乗られ、スワーヴリチャードとは一瞬の脚が違ったものの、手応え通りに伸びて2着確保。中々トビが大きく、最後もそれ程脚が上がっていない。軽ハンデを生かして積極的に乗られたのが奏功した形。馬自身も、トビの大きさを生かして持続力で勝負するタイプ。

セダブリランテス

-10kg。数字は減ったが、それでも見栄えがする。歩様もしっかりしており、基礎体力が有るタイプ。好発。出脚も速いのだが、ハナへ行く気はなく抑えて好位のイン。そんな形でもスムーズに折り合えていた点も好感が持てた。4角迄は完璧だったが、いざ追い出すとジリジリ。スワーヴリチャードとは2kg差有っただけに尚のことダラしなさが目に付いた。尤も、ここ迄3戦3勝ながら1800mしか走っておらず、いきなりの2500mで経験の差が出た気もしないでもない。追い出しのところでモタついただけで、最後は盛り返していた。今日は言い訳が有る3着。基本的には体力が有るだけにどんな距離でも対応出来る筈で、先々明るい。

アルバート

-6kg。小ぢんまりとは映るが、ステイヤーだけにこんなモノ。毛ヅヤはピカピカで冬場の方が良いタイプ。この距離だと出脚が速い方ではなく、出たなりで中段待機。勿論折り合いは付く馬で、道中は問題なく、直線向いてからの勢いも3着は有りそうな雰囲気だったが、最後に甘くなった様に見えた。ハンデ58.5kgは実績上仕方がないのだが、流石に厳しくなって来た上に、この馬自身も上がり目がない。57kgで出走出来る次走中山戦は何とかなったとしても、先々は厳しい。

カレンミロティック

前後肢にバンテージ。馬体は不調時でもそれ程悪く見せなかったがのだが、歩様がマシになったのが大きい。最悪は脱した。その気になればハナへ行ける筈だが、セダブリランテスが好発だったことも有り、行く気はなくマイネルサージュを押し出しての2番手。ただ、ペースの主導権を握っていたのはこちらの方で、向正面から少し突き気味にペースを上げさせ、自分の競馬が出来た。流石に東京は直線が長過ぎた気もしないでもないが、この内容ならほぼ完全復活。来年、天皇賞に出て来る様なら再度の一発も。

第53回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

タワーオブロンドン

+4kg。重厚感が有って、このメンバーだと馬振りが一枚上。尤も、スプリンター寄りの造りでは有るが。好発も、行きたい馬に行かせて中段。多少行きたがっていた感は有ったが、コントロールの利く範囲。前々走札幌戦で早仕掛けで失敗したことから、前走阪神戦が矯めて乗られ、今日も仕掛けをワンテンポ遅らせていたが、エンジン掛かってからは他馬とは別次元の脚だった。圧勝といえる内容。今日の内容なら何回やっても同じ結果となるだろうが、次走阪神マイルとなると末脚の持続性のなさが裏目に出る危険も。ハマれば突き抜けるとしても、乗り方に工夫が要る。

カシアス

2人曳き。-14kg。数字が減った分だけ迫力がなくなったが、これはこれでスッキリ。気配も許容範囲。ゲートで微妙に安目を売っている割に、出脚が抜群に速く、引っ張り切りで好位。最初は壁がなかったが、3角辺りから壁が造れたのは折り合い面で大きかっただろう。ただ、コーナーを逆手前で回ってしまい、外にフクれ気味。直線は逆に内に切れ込みながらだったが、何とか2着は確保。次走、馬券的にこの馬を積極的に買う程ではないとしても、上手く乗ればマイル迄は誤魔化せそう。近年の函館組としては上級。

アサクサゲンキ

前肢にバンテージ。落ち着いていた。寸が詰まった体型の割に歩様に硬さはない。1200mでも通用する出脚が有る馬だが、ジワッと行かせて好位の外。カシアスとは対照的に壁がない競馬を強いられたが、多少力んでいたにせよ、競馬にはなっていた。4角を手応え充分に回って、一旦は先頭。そこから踏ん張り切れなかったにせよ、カシアスとの1/2馬身差は道中の運び方の差でしかない。こちらは小倉戦の内容が評価し辛いモノだったが、この内容ならほぼ互角といって良い。

ピースユニヴァース

前肢にバンテージ。成長すれば化けそうな雰囲気は有るが、所謂キ甲が抜けていない状態で、まだ馬の造りが若い。出遅れも有ったが、乗り役に急かす気がなく離れた最後方から。4角迄コースロスなく回って、直線は開いたところから。結構良い脚を長く使っている。馬群の中で競馬した前走は引っ掛かっており、まだ難しさは残っているが、馬体が成長するだけでも大分違う筈。2年以内に複数重賞を勝っていても不思議はない。

ニシノウララ

2人曳き。イラつくこともなく、集中して歩けていた。歩様も悪くないが、馬は薄い。出脚は速かったが、行く気がなく、タイセイプライドに行かせて、その番手から。比較的折り合いも付いて上手く乗られたが、近くに居たカシアスとは一瞬の脚が違っており、そこでモタついた様な感じになってしまった。最後迄ジワジワ伸びているのも確かだが、今日のところはパンチ力不足。前走中山戦の500万4着が現状の能力。

トーセンアンバー

前後肢にバンテージ。-8kg。少し腹回りが寂しくなった。イレ込んでいたのもマイナス。ゲート内でもテンションが高く、出遅れ1馬身不利。道中も結構行きたがっていた。今日は競馬にならず。気性面の成長が先決。

第22回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

ベルーガ

前後肢にバンテージ。落ち着いていて、馬体の造り上位。歩様の力強さも特筆モノ。ゲートは出ているが、行く気もなく後方から。後述する様にスローで行きたがっていた馬も多い中で、しっかり折り合えていた。今日は前の展開だったが、それでも大外一気で突き抜けた。単純に馬が強かった。追って重心が下がり、全身が使える走法にも好感が持てる。あとは距離が延びてどうか。今日のレース内容だけなら特に問題ないのだが、キンシャサノキセキ産駒だけにマイルでギリギリといったところ。次走阪神戦もアッサリでも不思議はないが、何処にも居なくても不思議はない。

コーディエライト

-6kg。丸みが有ってコロンとした体型。従って馬体減は然程気にならないが、イレ込んでいた。出ッパ自体はアマルフィコーストの方が速かったが、出脚が抜群に速く楽にハナ。1000m通過59.4秒だから大して速いペースではなく、道中はそれで居て後続に1馬身のリードを保って競馬が出来た。直線向いてからも一旦は突き放す脚を見せており、最後こそベルーガに屈したものの、一杯一杯2着は粘り切った。恵まれた感は有るが、この出脚は武器になる。あとはイレ込みが今後どうなるか。そもそもゲート内が喧しく出遅れの危険も少なくない。気性面で距離の融通性も変わって来るだろう。

アマルフィコースト

2人曳き。前後肢にバンテージ。+6kg。バランスの取れた馬体は見栄えがするが、これも気負っていた。好発も、馬を前に置ける位置迄下げて中段から。前走中京戦はそうでもなかったが、今日は明らかに行きたがっており、それ故に位置取りを悪くしてしまった格好。馬を前に置いてからは何とか我慢していた。大外へ回したベルーガとは対照的に出来るだけコースロスなくと、立ち回りも上手かったのだが、後一歩が届かなかった。ベルーガとはスケールの違いを見せ付けられ、更に賞金も加算出来ずと結構痛い敗戦。

スズカフェラリー

前肢にバンテージ。420kgの割には造りのしっかりした馬だが、とはいえマイナス体重は歓迎しない。テンション高いのもマイナス。ゲート内でジッと出来ず、出遅れ1馬身不利。最後方から運んでいただけ有って、道中は比較的リラックスして走れていた。直線はベルーガの後を追う様に伸びてここ迄。このスローで評価が難しいのだが、オープンでも通用する脚は持っているということはいえる。あとはゲートを五分に出て、周囲に馬が居た時の折り合い面がどうか。馬体減もネックになって来るだろう。

モズスーパーフレア

一息入った割には出来ていた。もう少し落ち着いてくれれば理想的だが。出脚は有る筈の馬だが、今後へ向けて控える競馬を教えたい様で好位のイン。とはいえ、極端に引っ掛かっている様には見えず、スローの中で番手のインだから展開としては絶好の形。ただ、直線向いて200mも走らず手前が替わって伸びあぐねた。単騎で行けばまた違う可能性も有るが、今日の内容だと距離が長い。