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競馬回顧 2018年1回阪神

第67回フジテレビ賞スプリングステークス(GⅡ)

ステルヴィオ

2人曳き。トモにボリューム感が有って、迫力が増した。気配も相変わらず文句なし。出脚は速い方ではなく、中段やや後方辺りから。折り合いは付いていたというより、むしろ流れに乗る迄に少し手間取っていた程。4角でもまだ中段だったが、追ってからが良い瞬発力が有り、ハナ差捕まえた。コスモイグナーツが直線入口で突き放す形となり、好位のエポカドーロに絶好の形となったが、それをハナ差でも捕まえたのだから優秀な内容。距離もこれなら問題ないということになるが、序盤で流れに乗るのに手間取った点は若干気掛かり。次走は両極端に触れ易く、自在性が有るに越したことはない。今日が良い経験となれば良いが。

エポカドーロ

2人曳き。寸が詰まったマイラー体型。歩様に硬さはなく、落ち着いていた。好発。出脚もハナへ行ける程速かったが、コスモイグナーツが大逃げを打ち、離れた2番手で折り合いを付ける形。4角で馬場の良い外に持ち出し、坂下で交わして先頭。一瞬やったかの場面だったが、最後ステルヴィオの強襲に屈した。勝ったステルヴィオを称えるべきか、今年2着が矢鱈多い鞍上の不運さを嘆くべきか微妙だが、何れにしても器用さを見せたのは次走へ向けて収穫。06年3着のドリームパスポートタイプ。

マイネルファンロン

大物感はないが、バランスが取れてスカッとした馬体。歩様にも柔らかみが有った。大外のライトカラカゼに抵抗しつつ、好位の外。急かした所為も有るのか、道中は前に壁がなく、少し引っ張り気味の追走。エボガドーロを目標に乗られ、4角の手応えは決して良くなかったが、直線も渋太く脚を伸ばして権利は確保。次走で勝ち負けになる様なことはないだろうが、2000m辺りのローカル重賞ならしっかり仕事をしてくれそうなタイプ。馬体から丈夫そうな印象も有り、一口馬主で持つなら理想的な馬。

バールドバイ

皮膚を薄く見せて、垢抜けた造りだが、まだ多少緩いのと、テンションが高い。出たなりで中段やや後方のイン。内目は相当悪い筈だが、然程苦にせず走っていた。4角で下がって来た前の馬を捌いて、再び直線はインへ。3着とは惜しいハナ差。着差が着差だけに痛恨となったが、未勝利上がりとしては充分といえる内容。前走東京戦も強かったが、馬場の良否を問わないのも強みで、レースセンスも持っている。500万なら楽勝レベル。

レノヴァール

前後肢にバンテージ。数字の割に迫力がないが、歩様が伸びていた点に好感。首でリズムを取って気配も良かった。デビュー以来、初めての出遅れ。好位に付ける予定だった様で、スタート直後は少し急かしているのだが、目の前にステルヴィオとルーカスが居てマーク戦に切り替える形。道中少し行きたがっていた割に、4角での反応が悪かったが、直線はジワジワ伸びて来た。下見通り、完歩の大きい歩様でコーナリングや馬場が悪いとモタつく様だが、素質そのものは高い。古馬になって大化けするかも。

第66回阪神大賞典(GⅡ)

レインボーライン

2人曳き。+10kg。今ならこれ位がベストかも。トモに力強さがないのは毎度。出たなりで折り合いに専念して後方に近い位置から。内ラチ沿いへ寄せて、コースロスなく乗られた。本来は後方に居たアルバートの仕掛けに合わせたかったところだろうが、アルバートが動かない為、待ち切れずに2周目3〜4角中間から動いて行く形。直線向いて内にモタれる面は有ったが、坂下で先頭に立つとそのまま押し切った。人気2頭が競馬を失敗した面は有ったが、完勝。昨年GⅠで大敗しなかった能力をここで生かせた。ただ、今日は少頭数がこの馬に味方した感も有る。次走京都戦で最も求められるのは前で折り合える能力。

サトノクロニクル

3000mにしては少し気合が入り過ぎていた感も有ったが、馬は大分成長して来た。一歩一歩が力強くなった。出脚はまずまず有りそうだったが、内外からの気配を瞬時に察知して直ぐに控え、中段やや後方から。道中はシホウに交わされる場面も有ったが、折り合いはしっかり付いていた。2周目4角手前からレインボーラインに抵抗しつつ進出。手応えは明らかにレインボーラインの方が良く、直線入口で既に出られていたが、最後は盛り返している。前々走辺りから大分馬もレース内容も良くなっているのだが、レインボーラインとは機動力の差を見せ付けられた格好。GⅠともなるとレインボーラインですら疑問符が付く状況で、この馬は更にワンランク落ちる評価。

クリンチャー

馬のデキ自体は高値安定。気配も比較的落ち着いていた。出たなりで好位から。この馬の外に居たヤマカツライデンとムイトオブリガードが押して先行。少し連られる様に行きたがっていた。1周目の決勝線を過ぎた辺りで折り合いが付き、直線は外から来たレインボーラインにはほぼ無抵抗だったものの、何とか3着は確保。乗り役の話では馬が2周の競馬だと理解していなかったとのことで、評価の難しい内容だが、気持ちで走るタイプで噛み合わないとこんなモノ。やはり、3000mが微妙に長いということはいえるだろう。尤も、こんなモノといっても3着。能力を示したともいえる。

アルバート

抜群に良く見せるという訳ではないが、何時ものこの馬。特に減点材料はない。外枠ということも有って、急かさず後方から。折り合いには課題のない馬で道中は何の問題もなく運べた。2周目4角から先に動いたレインボーラインを目標にしたが、並ぶどころか離される一方だった。G&8545;以下の3000m超戦で特段不利がなく負けたのは初めて。テン乗りが裏目に出た可能性も高く、結果的にはもう少し積極的に乗っても良かったということになるのだが、見た目だけならかなり評価が下がる敗戦。

カレンミロティック

前後肢にバンテージ。全盛期の様な馬体の張りは望めないが、最悪だった時の歩様からは脱している。この馬にしてはゲートがゆっくりで好位直後から。折り合い面は心配ない馬だが、2周目4角手前から手応えが怪しくなって置かれそうになっていた。直線向いて馬群がバラけてからは脚を使っているが、この馬としてはやはりもっと前で戦いたかったところ。今日はゲートで失敗しているとはいえ、若干出脚も鈍り加減で、次走京都戦は枠順の助けを借りて何処迄前へ行けるかが鍵となる。

第32回フラワーカップ(GⅢ)

カンタービレ

-6kg。前後肢にバンテージ。-6kg。これ以上、減って欲しくないところだが、歩様が実にスムーズ。可動領域が広い。ゲートは決して速くなかったが、少し促してモルフェオルフェの先行策に乗る形で好位。道中は多少引っ張り気味の追走。内外前に馬が居て、精神的に楽な位置ではなかったが、馬は我慢して走ってくれていた。直線だけ外へ持ち出すと追い出して直ぐの反応はイマイチだったものの、トーセンブレスが外から来ると相手に併せて伸びた。根性が有って、中々勝負強い上に、ディープインパクトらしさも持っている。次走、東京戦迄待機する形になりそうだが、折り合いさえ付けば面白い存在に。

トーセンブレス

2人曳き。前後肢にバンテージ。数字なりに馬の造りは悪くないが、歩様が硬いと迄は行かないにせよ、完歩の小さい歩様。出遅れ1馬身不利。一瞬引っ掛かりそうになったことも有り、そのまま後方。急かさなかったことで折り合いは付いていた。3〜4角中間辺りから外を動く意志は見せていたものの、中々エンジンが掛からずファストライフに内から張られる格好。絶望的な形だったが、それでもここ迄伸びて来た。カンタービレとは立ち回りの差も有り、今日は評価出来る2着。尤も、前走阪神戦から特に馬が良くなった印象もないだけに、単にメンバーレベルが低いという可能性も高いが。

ノームコア

+14kg。数字分だけ馬がしっかりした格好。歩様にも非力な印象はない。序に気配も良かった。スタート直後に内外から挟まれて出脚が鈍ったが、1番枠のメサルティムと叩きに行く形で2番手へ。モルフェオルフェの逃げが1000m通過61.5秒とスローで、待ち切れずに進出。上位2頭とは決め手の差が有ったものの、渋太く脚を伸ばした。序盤がスムーズだったらもっと際どくなっていただろう。半年の休み明けでこれだけ走れば文句なし。ただ、多少コーナリングが下手で、外にフクれ気味だった。ベストは左回りかも。

ウスベニノキミ

-10kg。極端に細い印象はないが、少し腹が巻き気味。ただ、毛ヅヤは冴えていた。ゲートは五分に出ているが、急かすと引っ掛かるとのことで、行く気なく後方から。コーナーでも徒に動かず、そのままインへ。前が開いてそれなりに伸びているが、明らかな入着狙いの競馬で評価し辛い4着。次走500万で人気になる様なら嫌ってみたいところ。

ファストライフ

毛ヅヤは一息でも、馬体は430kg台なりに纏まっているが、少しチャカついていた。大外のカラリエーヴァに叩かれる形では有ったが、何とか中段は確保。4角手前でステッキが飛んでおり、かなりズブそうだったが、何とかトーセンブレスの内へネジ込んで直線へ。追ってからもジワジワと最後迄諦めずに伸びている。基本的には広いコース向きだろうが、500万なら何とかなりそうな内容。

第32回中日スポーツ賞ファルコンステークス(GⅢ)

ミスターメロディ

後肢にバンテージ。馬体に迫力が有るというタイプではないが、手先にバネを感じさせる歩様。出脚が速くスッと好位。前に壁がない時は行きたがっていたが、前に馬を置いてからは折り合いが付いた。4角手前からダークリパルサーに進路を潰されない様に進出。少し早目の仕掛けだったが、直線に向いて坂を上り切って前を捕まえるとそのまま押し切った。初芝だったが、単純に強い内容。スプリント戦なら間違いなく世代最強といえる存在で、右回り、ダートでも問題はない点も強み。あとはマイルでどうか。こればかりはやってみないと。

アサクサゲンキ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+8kg。数字分だけ馬がパワーアップしている。トモのボリューム感が増した。1400mなら流石に出脚は一枚上だが、折り合い重視で乗られて3列目のインから。それでも多少行きたがっていたが、直線で外に持ち出されると瞬時には反応出来なかったものの、坂を上り切った辺りから脚を使ってここ迄。ただ、これで1400mをこなしたとはいい難い面も。馬の絶対能力でここ迄持って来ただけで、工夫して乗れば何とかなるといった程度。

フロンティア

前後肢にバンテージ。+8kg。体型も有るが、腹回りが数字分だけ立派。この馬の出脚で中段から。初の1400mということで流れに乗る迄に少し手間取っていたことも有って、マトモに揉まれ込むキツい展開になった。直線はアサクサゲンキの外へ持ち出して、同タイムクビ差。スムーズなら勝っていただろう。前走阪神戦の凡走が不可解だったが、重賞でも足りる能力は持っている。ちなみにアサクサゲンキと枠が逆なら、この馬の出脚でもアサクサゲンキの位置が確保出来ており、結果は違った筈。今日はこの枠順1個の差に泣いた印象も強い。

アンブロジオ

前後肢にバンテージ。小走りは気になる程ではなかったが、まだ馬が緩い。出脚も速かったが、積極的に乗られて2番手。直線は外へ持ち出したかった様で、上位馬やタイセイサミットを行かせてから外へ。追って直ぐに反応出来なかったものの、ジワジワ伸びて来た。そのままインを突かなかったのが理由不明だが、恐らくは馬場状態の問題なのだろう。決め手に磨きを掛けないとオープンでは勝ち切れないが、前走東京戦の時計だけは走っており、堅実なのも確か。

モズスーパーフレア

骨格自体は素晴らしい馬だが、これ以上は減って欲しくないところ。気配面でももう少し落ち着いて欲しい。枠も恵まれたが、出脚が抜群に速く、スッとハナへ。1000m通過59.1秒とマイペースの逃げが打てた。坂を上がって失速したが、見せ場充分の内容。この競馬で止まった以上、1400mは1F長いということにもなるが、このスピードなら今後も楽しみが持てる。

第52回報知杯フィリーズレビュー(GⅡ)

リバティハイツ

前後肢にバンテージ。-8kg。トモに張りが有って、腹回りも決して細くない。歩様もしっかりしていた。好発も、ジックリ乗られて好位から。出脚を使っていないことも有るのか、折り合いは付いていたが、4角で包まれた上に直線で空馬も絡んで少し嫌な形となったが、ジワジワ伸びて前に出切ったところがゴールだった。前走京都戦でもズブさを感じた位だっただけに、マイルに伸びるのはプラスといえるが、今日は100回やれば100回違った結果が出る様なメンバー構成でアテにはし辛い。

アンコールプリュ

小さいなりにバランスの取れた造り。落ち着いていた点にも好感が持てる。出遅れ2馬身不利。後方2番手から。3角からジワジワ動きつつも、出来る限りコースロスなく乗りたいという意図は感じられたが、空馬が邪魔になって内を突けず、リバティハイツの外へ。良い脚は使っているものの、内回りではこれが一杯だった。勝ち負けは展開の綾ということになるが、前走中京戦も出遅れており、重賞で勝ち切るにはゲートがネック。

デルニエオール

410kgの馬だが、見た目にももっと増えて欲しい。3歳牝馬だけにこれ以上はテンションも上がって欲しくないところ。ゲートは出負け気味だったが、出脚で中段は確保。4角で団子の展開となり、インに居た利は大きかっただろう。馬群もスムーズに捌いて、坂を上り切って一旦は抜け切ったのだが最後に2頭。惜しい3着。少し行きたがっていたとはいえ、立ち回りが上手かったこと以外は評価し辛い内容だが、陣営にとっては権利が取れたのが何より。

アンヴァル

2人曳き。短距離向きの体型だが、キビキビした歩様で、デキは悪くない。デルニエオール以上に出遅れて中段やや後方のインから。道中の行き振りはむしろズブい位に見えたのは、初めて内に包まれたからとのことだが、直線向いてからはしっかり反応してここ迄。道中スムーズなら際どくなっていた。この内容ならマイルも問題なさそう。賞金面は足りており、4着でも問題ないところで、次走このレースから狙うならこの馬かも。

ギンコイエレジー

見た目はこのメンバーでも遜色ないが、非力な歩様はマイナス。好発。出脚が強力に速いという訳ではないが、少し促して好位から。道中もオッツケ気味で、4角の雰囲気ならズルズル行ってもおかしくなかったが、粘りに粘った。もっと距離が延びた方が良さそう。2000mでの一発に注意したい。

第54回金鯱賞(GⅡ)

スワーヴリチャード

+10kg。9割の仕上げ。精神面では出来ていたが、馬体の張りで満点はやれない。今日はゲートを決めて好位の外。2000mを意識して仕上げた部分も有ったのだろうが、序盤は結構力んでいた。外国人騎手に有り勝ちな乗り方で、向正面迄行って少し手綱を緩めて2番手。ここでやっと折り合いが付いた。坂下から追い出して上り切って先頭に立ち、そのまま押し切った。レースとしては完勝だが、追い出して内にモタれており、前走中山戦の課題が解決したとはいい難い。今日の結果で人気になる様ならむしろ危険な存在となりそう。

サトノノブレス

遮眼革。緩んだところがなく、キッチリ出来ていた。歩様も力強い。出脚はサトノダイヤモンドの方が速かったが、戦前想定通り、気合を付けてハナへ。1000m通過63.0秒のスロー。スワーヴリチャードが掻き回した感は有ったが、この馬を叩いてしまうとサトノダイヤモンドの餌食となるところで、それがこの馬に味方した。今日はそれ以上ではないが、今年はキタサンブラックが引退して、逃げ馬にとっては絶好の時期ともいえる。出脚が甘い点は気になるものの、楽に行ける形になれば侮れない。

サトノダイヤモンド

数字は国内最終戦の昨春京都戦と変わらないが、見た目は緩い。前述した様に出脚は速かったが、ジックリ乗られて中段から。折り合いは元々問題ない馬で、スムーズに運べた。少し追い出してからの反応が鈍かったのは致し方ないところで、最後はこの馬の脚を使って差を詰めている。出来れば見栄えの面で2着が欲しかったところだろうが、試走としてはこれで上等。長いところよりも、2000mの方が向いているのも間違いなく、叩いた上積みも見込めば次走は逆転へ。

ヤマカツエース

+12kg。馬にヤル気は有りそうだったが、如何せん太い。特に腹回りがボテッとしていた。この馬の出脚で好位のイン。枠順からサトノノブレスの番手が欲しかったところで、スワーヴリチャードに途中から入られる形では有ったが、ほぼ狙い通りの競馬が出来た。ただ、少し太かった今日の状態で上がり勝負になるとキツい。この馬自身、33秒台の脚を使った経験がないだけに尚更だった。逆にいえば悲観する内容ではない。これも次走は昨年3着だった阪神戦ということになるが、同等の働きは期待出来る。

ダッシングブレイズ

2人曳き。馬体に張りが有って、抜群に良く見せたが、今日はイレ込んでいた。何時もより積極的に乗られて好位から。多少力んでいたのはこのスローで仕方がないところで、この馬としてはむしろ我慢して走っていた方だろう。直線もそれなりに食い下がっている。重賞を勝てる能力は持っており、今春なら新潟戦辺りに出て来た時が狙い目に。

第36回ローレル競馬場賞中山牝馬ステークス(GⅢ)

カワキタエンカ

前後肢にバンテージ。-8kg。これ以上は減って欲しくないところだが、気配自体は良かった。出脚の速い馬も結構居たメンバー構成だったが、1角迄の205mで決着を付けてハナへ。早々に隊列を決めたことで1000m通過61.3秒のスローに落とせた。道中は2番手に1馬身のリードを維持しながら、4角で少し引き付けて再び直線入口で突き放すと、辛くもそのリードを守り切った。古馬に対してハンデが恵まれていた感が有ったのも思い切って行けた要因だろうが、中山1800mの外枠でも行き切れた出脚は見事という外ない。今後も自分の競馬に持ち込めさえすればチャンスは続く。

フロンテアクイーン

シープスキンノーズバンド。小走り入っていたが、皮膚を薄く見せて馬自体は活況。出脚が抜群に速いという訳ではないが、少し仕掛けたら行き脚が付いて3番手へ。急かした分だけ一瞬行きたがったが、直ぐに折り合いも付いた。内目の馬場は悪いとはいえ、コースロスなくセコい競馬が出来た。4角でカワキタエンカの直後に取り付き、ここ迄来たら何とかしたかったところだったが、こちらが伸びればその分だけ相手も伸びた様な格好になり、2着止まり。これで4戦連続で2着。基本的には詰めが甘いということになるが、前走、今回と敗れた相手は4歳馬だけに、世代格差も少なからず有るのだろう。

レイホーロマンス

遮眼革。-12kg。見た目には細くない。歩様も硬さがなく、実にスムーズ。ゲートにムラが有る馬だが、今日も半馬身程出遅れ。挽回出来る隊形でもなく後方から。スローの展開だが、3角過ぎから外を徐々に動いて、4角から一気に進出。それでも各馬も動いているところで直線向いた段階ではコーナーワークの差も有って後方だったが、良い脚を長く使ってここ迄。馬体が減っていただけに途中で止まる方が当然といえる状況だった中で頑張っている。馬体さえ増えればGⅠでも馬券圏内有りそう。

トーセンビクトリー

前後肢にバンテージ。-8kg。歩様がマシになった点が成長している部分だが、数字が減って全体にギスギスしていた。好発。その気になればハナへ行ける出脚も有る筈だが、56kgも有って積極的とは行かず、中段やや前から。理想は逃げ馬の番手が欲しかったところ。4角で馬場の良い外へ持ち出そうとして進路がなく、右往左往したのもマズかった。全部がスムーズなら2着争い迄有ったのだろうが、元々荒れ馬場は得意といえず、また非力なだけに斤量を背負わされるのも歓迎しない。

ブラックオニキス

2人曳き。気配良好。歩様に硬さもなく、小さいなりに纏まっている。カワキタエンカには叩かれる形となったが、立て直してトーセンビクトリーと並走する形。折り合いは付いていた。4角手前からステッキが飛んでいたが、伸びたという訳ではないにしても、中々止まらず掲示板は確保。兎に角渋太い。馬券に絡む訳ではないが、実に馬主孝行。

第55回報知杯弥生賞(GⅡ)

ダノンプレミアム

前後肢にバンテージ。+8kg。チャカついていたが、大分馬体はユッタリと見せる様になって来た。好発。出脚も速かったが、ハナへ行く気はなかった様で、サンリヴァルに行かせての2番手から。半ば無理矢理だったが、2番手になってからは何とか我慢して走れていた。後続を意識しつつ、3角過ぎから前との差を詰め、4角は馬場の良い外を選ぶ余裕も有った。あとは後続が来たら来ただけ伸びて完勝といえる内容。2歳No.1として貫録を示したということになるが、ハナへ押し出されていたらどうなっていたか、また、好位でも外を回された際にどうか等、次走へ向けて不安要素は少なからず残った。2,3着馬も充分例年のクラシック級だが、同系統の馬という点にも助けられた感も有る。アッサリでもおかしくないが、何処にもいなくても不思議はない。

ワグネリアン

2人曳き。後肢にバンテージ。テンションは高いが、軽やかなステップ。とはいえ、馬体はマイラーのそれ。休み明けの馬体減も歓迎材料ではない。ゲート自体は出るが、例に依って折り合い重視で乗られて中段やや後方から。道中はこれも我慢して走れていた。ジャンダルム程スムーズではないが、ダノンプレミアムよりはマシといった程度。それよりも4角でステッキが飛んでいた様に、妙に反応が悪かった。直線に向いてからも暫くエンジンが掛からなかったが、最後に脚を使って2着浮上。最後の脚だけなら一番良い脚だった。エンジンの掛かりが悪いのがこの馬の癖なのか、今回だけの現象なのか分からないが、この乗り役だけに次走中山で勝ち切る場面は想像し辛い。

ジャンダルム

-10kg。前走が太かった。これ位で丁度だが、これもマイラー色が強い。出脚で内の馬を叩いて中段。上位3頭の中では一番折り合いが付いていた。賞金面で余裕が有るだけに、少し早いのは承知だっただろうが、ダノンプレミアムを自力で捕まえに行く形。直線向いた段階では2着かに見えたが、坂を上る途中から甘くなってしまい、最後は3着確保がやっとだった。上位とは底力の差を見せ付けられた格好。ただ、競馬の上手さでは上位2頭よりも上。多頭数になると器用さが生きて来そう。

サンリヴァル

+10kg。馬体に迫力が有って、歩様も力強い。完成度の高い馬。むしろ出遅れ気味だったが、大外枠でも有り、リカバリーが容易でハナへ。恐らく大逃げも予定通りだった筈で、それでいて後続が付いて来ず、1000m通過61.5秒も狙い通りだっただろう。ダノンプレミアムの追い出しは少し早かったが、馬場の良いところを選んで4角で外へ持ち出してくれた点もこの馬を可愛がる形になったが、あと一歩が踏ん張り切れなかった。ほぼ首の上げ下げだけとはいえ、痛恨の4着に。とはいえ、賞金的にはボーダー上で、例年なら何とか出られる筈。この機動力は脅威となる。

リビーリング

2人曳き。シープスキンノーズバンド。馬体は垢抜けているが、姿勢が高い。少しテンションが高いのもマイナス。出脚はジャンダルムの方が速かったが、ダノンプレミアムを意識して3番手から。出している分、序盤だけ行きたがったが、あとはスムーズ。セコく立ち回って少しでも上の着をといった乗り方だったが、伸びずバテず。とはいえ、今日は相手が強過ぎただけ。前走東京戦からも500万なら楽々通用する筈。

第13回夕刊フジ杯オーシャンステークス(GⅢ)

キングハート

前肢にバンテージ。+6kg。多少腹回りがボテッと映る程度。緩んだところはなく、デキ自体は良い。この馬の出脚で好位の外。直ぐ外のネロに叩かれる格好では有ったが、それ程番手を下げずにやり過ごすことが出来た。直線もあくまでジワジワ。ソラを遣う面が有る様で、最初はレーヌミノルに併せて、逃げるネロを捕まえたところがゴールだった。これが悲願の初重賞制覇。ソラを遣う以外にもスパッと切れる脚がない為、中々勝ち切るのが難しいタイプだが、少し時計が掛かる馬場と、ネロに叩かれながらも序盤の位置取りを悪くしなかったのが勝因。馬自体は昨夏函館戦辺りから通用する力を見せており、今後も展開一つ。

ナックビーナス

毎度のことながら、歩様が硬くて手が出し辛い馬。とはいえ、馬体の迫力は最近の中でも一番。スタート直後に躓いたが、出脚でカバーして中段やや前辺りから。4角からはキングハートを目標に、内の馬を締め込むイメージで乗られた。その分、この馬としては仕掛けが早くなった感は有るのだが、最後迄脚を使って2着。中山だと他場以上に立ち回りが上手いのが長所。ゲートで失敗しなければ勝っていたのだろう。次走はほぼ圏外だけに勿体ないといえば勿体ない。

ダイメイフジ

2人曳き。-8kg。馬体はこれ位で丁度だが、歩様が少し硬いのは気になった。あまり出脚が速い方ではなく、中段辺り。ただ、200m程走って、この馬の居た辺りがゴチャつき、一旦下げざるを得ない形に。4角も外へ行くしかなく、ほぼ絶望的な位置からここ迄追い込んで来た。レース内容としては一番強い内容。センター枠がアダとなった形だが、根本的問題として出脚が有ればこんなに位置取りを悪くしてない。今後は序盤を如何にロスなく運ぶかが鍵となる。

ネロ

前後肢にバンテージ。-4kg。前走京都戦よりよく見せた。馬体に張りが有って、歩様も悪くなかった。好発。出脚が抜群に速いという訳ではないが、前走が徹底先行に拘って先行しており、今日もハナへ。前半3F33.5秒。極端なハイペースという訳ではないにせよ、仕掛けている分、少し速くなったが、4角を単騎で回ってラスト50m迄先頭。そこからの一踏ん張りがなかったが、惜しい4着だった。内外の馬場差がなければ際どくなっていただろう。今後も単騎で行かせて貰えるかどうかがポイントとなるが、今日でもかなりマークは甘かった。何処かでもう一発有っても良い。

ビップライブリー

+6kg。下見は最後方を周回。イレ混んでいるという程ではなかった。馬体も無駄肉がなくシャープ。ゲートも速かったが、出脚も遜色なく、ジワッと行かせて好位のイン。内の馬場は悪いとはいえ、4角迄の立ち回りとしては上手く行ったが、そこからキングハートとナックビーナスが次々と壁になって、外へ持ち出せなくなってしまった。最後は差を詰めているだけに勿体ない内容。勿論、この馬自身も俊敏に反応出来ていれば結果は違ったといった面も有る。やはり1400mがベスト。

第25回チューリップ賞(GⅡ)

ラッキーライラック

前後肢にバンテージ。+10kg。微妙に太い程度。休み明けとしてはほぼ満点。バネを感じさせる歩様にも好感が持てる。好発。一瞬は3頭雁行だったが、サヤカチャンとカレンシリエージョが主張して、抵抗する理由はなく3番手で折り合いを付ける形。馬体だけでなく、気性的にもドッシリとした馬で、前と少し離れた位置でもリラックスして走れていた。4角から徐々に差を詰め、坂下で前を捕まえると後続を寄せ付けずに押し切った。抜け出してからもステッキが飛んでいた点には賛否有るが、この時期に楽を覚えさせるとそれはそれで苦労するのも確か。現状は色々馬に余裕が有りそうで、そうで有るなら目一杯追っておくのは悪いことではない。

マウレア

-8kg。トモの筋肉の付き方は悪くないが、腹回りはギリギリ。ただ、攻め強化した分、歩様がマシになった。枠の並びから最初からの決め打ちだっただろうが、ラッキーライラックをマークして4番手。序盤だけ力んでいたが、意外に折り合いが付いていた。リリーノーブルに対し、出来るだけセコく回って、対リリーノーブルで追い出しを待ったのか、一瞬は前に出られているのだが、追い比べで何とか2着に。次走だけなら3着でも良かったが、賞金面を考えると大きいクビ差となった。尤も、この馬体細化は本番へ向けて最悪のパターン。次走凡走するだけならまだしも、後々尾を引くケースも少なからず。

リリーノーブル

前走から馬振りが一変しており、世代上位の馬に成長。ただ、今日は気配が乏しい。ボケッとしていた。こちらもラッキーライラックを意識した競馬。少し出した分か、外枠の影響か、結構力んで走っていた。マウレアと一緒にラッキーライラックを追い掛けて行ったが、並ぶシーンすら造れず、一旦は交わしていた筈のマウレアに差し返されて3着に。折り合いが付いていればマウレアにやられることはないとも考えられるが、今日のパフォーマンスだけなら若干評価が下がる敗戦。馬は良いので、次走へ向けて攻め強化出来る点も大きな上積みとして期待出来るが。

サラキア

前後肢にバンテージ。-6kg。細いのは確かだが、如何にも瞬発力の有りそうなディープインパクト産駒といった歩様。ゲート内で下がったところで開いてしまい2馬身以上の出遅れ。それでも直ぐに馬群に取り付いており、取り付いた位置で折り合いを付けて、直線は回って来た位置を真っ直ぐに伸びて来た。前も33秒台前半で上がっているだけに、届かないのは仕方がないところで、出遅れ分を差し引けば2,3着馬とは同等のパフォーマンス。ただ、権利取りに失敗したのは痛いところ。次走自己条件とのことだが、東上する為にも必勝態勢で臨む一戦に。

レッドランディーニ

前後肢にバンテージ。-6kg。胴長でそれ程細い印象はないが、歩様に力強さが欲しい。微妙に出遅れて後方から。ただ、出脚が遅いという訳ではなさそう。直線はサラキアとの併せ馬。一旦はサラキアより前に出ているのだが、この馬は手前が替わっておらず、最後の決め手で見劣った。とはいえ、これも500万なら何とかなりそうだが、これが2戦目のサラキアと違って使い込んでいる点がネック。馬体が減っていることからもこれからの上積みは期待し辛いのでは?

第92回農林水産省賞典中山記念(GⅡ)

ウインブライト

多少トモの送りに力強さを欠くが、馬体には迫力が有る。好発も、外の行きたい馬に行かせて好位から。ペースの割にマルターズアポジーが大逃げの形となったが、離れた位置でマイペース。4角手前からアエロリットを出させないイメージでかなり早目に動いたが、坂下でそのアエロリットを捕まえ、更に坂を上り切ってマルターズアポジーも交わした。中々強い内容。東京だと怪しい面も有るが、小回りだと回り脚と器用さがフルに発揮出来る。次走阪神戦は微妙な条件だが、今日のメンバーでこれだけ走れれば軽視は出来ない。好走出来る様だと先々が明るくなる。

アエロリット

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+18kg。マイラー色が強くなった感も有るが、見た目にはこれ位有った方が迫力が有る。気配もマイラーのそれ。馬がその気になっており、マルターズアポジーを追い掛ける様に2番手。道中はまだしも、1角過ぎ辺り迄は結構馬がムキになっていた。4角でも敢えてマルターズアポジーを追い掛けず、ウインブライトの進出を待ってから追い出そうとしたが、右回りは若干機動力が怪しい面も有る上に、想定より早くウインブライトが早目に来て一瞬進路をなくす場面。牝馬だけに戦意喪失でもおかしくないところから盛り返している。余程の勝負根性がないと出来ない芸当。東京戦を目標にする様だが、今のところはリスグラシューとの一騎打ちが濃厚。

マルターズアポジー

これ位の数字の方が実績は残しているが、見た目は多少立派。テンション高いのも相変わらず。マイネルハニーが出遅れてくれたことも有り、この馬の出脚で労せずハナへ。見た目は大逃げだったが、1000m通過59.2秒だからこの馬としてはマイペース。4角で少し引き付けて直線向いた段階ではやったかの気配だったが、あと一踏ん張りが利かず。首の上げ下げとはいえ、アエロリットには先着したかった競馬。特に出脚が鈍っている様なこともなく、自分の競馬にさえ持ち込めば毎回見せ場を造ってくれるが、少し相手が強くなると勝たせては貰えない。

サクラアンプルール

下見は最後方を周回。活気が有る馬が多かった中で、気配は地味。馬体は悪くないが。最内のマイネルサージュだけ叩いて中段、といっても5番手だが。勝負どころからはウインブライトを目標にするイメージで乗られたが、伸びあぐねた。昨年2着だけにもうチョイ伸びてくれても良かった。一息入っていても見た目は悪くなかっただけに、デキの問題ではない筈。前走のダメージ出なければ良いが...。

ペルシアンナイト

-6kg。仕草,気配,歩様はこれで悪くないが、数字分だけ馬が萎んだ様にも見える。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。3〜4角は皆が動いており、中々追い付けない展開。最後は来ているが、ここ迄が一杯だった。前走京都戦の様にハマれば良いが、そうでないとこんなモノ。

第62回阪急杯(GⅢ)

ダイアナヘイロー

2人曳き。-8kg。馬体はこれでも良いが、テンションが少し上がり気味。好発。大方の予想はニシノラッシュが逃げる形で、実際そうなりそうだったのだが、ニシノラッシュがマイペースに落とそうとしたところで思い切ってハナへ。ここで少し脚は使っているが、この馬のペースに持ち込めたのが大きかった。4角迄単騎で回って直線入口ではそこ迄突き放せなかったが、好位勢が揃って不発に終わったことも有り、一杯一杯逃げ切った。下見のテンションから好位追走では力んで伸び切れなかった可能性が高く、躊躇なしに行ったのが大正解。能力云々を評価する競馬ではないが、これで福島信晴厩舎は解散とのことで、有終の美を飾った格好。

モズアスコット

この馬にしては落ち着いているが、相変わらずトモの送りが硬い。積極的だった前走と違い、今日は中段やや後方で折り合いに専念。直線向いても後方に近い位置だったが、このスローの中であと一歩迄迫る伸びだった。枠と展開、どちらかが変わるだけでも勝っていた筈で、惜しい2着。ただ、今日でも少し掛かり気味。マルタンガール着用していることから、何かフォームにロスが有る筈で、この馬自身もまだまだ解決すべき課題は残している。それらが解決出来ればGⅠ迄有っても不思議はない。

レッドファルクス

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。多少緩いが、休み明けとしては許容範囲。。歩様の硬さもこの馬としては悪くない程度。この馬としてはゲートを出た方で、1400mだけに出脚も少し余裕が有ったが、内枠がアダとなり後方から。直線向いてから外に出したとはいえ、今日の展開でモズアスコットの外では流石に一手遅い。毎回休み明けの度に、デキがイマイチを報道されて人気を落としているが、今日の状態でもこれだけ走れるのだから馬自身は然程苦にしていない。あくまで展開の綾。次走人気になるだろうが、やはり本命にせざるを得ない。

ニシノラッシュ

前肢にバンテージ。水平首で気配良好。馬体も充実しており、踏み込みも力強い。ゲートは五分程度だったが、出脚で出切ってハナ。ただ、ペースを落とそうとした直後にダイアナヘイローに来られて2番手で折り合いを付ける形。これはこれでスムーズな競馬が出来た。直線も労せず捌いて、一瞬は勝ったかの場面だったが、登坂力がなくてダイアナヘイローが捕まらず、更に外から2頭にも交わされて4着に。ベストはハナなのだろうが、今日の内容だと1400mが1F長いか、重賞では足らないか、何れにしても評価が下がる敗戦。

ペイシャフェリシタ

前後肢にバンテージ。胴長の体型で多少腹が巻き気味だが、トモの造りはしっかりしている。出来るだけ出脚は使わない様にしつつも、行けるだけ行かせて中段のイン。直線だけ少し外へ持ち出して進路を確保し、モズアスコットと一緒に伸びて来たが、坂を上る途中から甘くなった。やはりベストは1200mということになるのだろうが、馬自体はこのメンバーでも足りそう。