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競馬回顧 2018年3回阪神

第59回宝塚記念(GⅠ)

ミッキーロケット

トモがパンとして、歩様がしっかりして来たのが今年の特徴。毛ヅヤも悪くない。今日もゲート五分。出脚も大分付いて来ており、内の馬だけ叩いて好位直後。少し掛かる位の行き振りだったが、ソコソコペースが流れてインで前を壁に出来たことで何とか我慢させた。3角過ぎから外の出入りが激しくなる中、4角でスペースを見付けて直線入口で先頭。外からサトノダイヤモンド、更にワーザーが来たが、コース利も大きく振り切った。中央のG&8544#;勝利がテイエムオペラオー以来だった和田騎手がイン有利な馬場で枠番を生かして上手く乗ったということになるのだが、間違いなくこの馬も成長している。ただ、この馬の今後となると明らかにワーザーの方が強い競馬をしている。今日は物語の有る人間が勝ったという以外にない。

ワーザー

オーストラリアンブリンカー。-27kg。見た目にはそこ迄だが、多少腹回りは巻き気味。ゲート自体は出ているが、前付けに行ける程の出脚ではなく、後方迄下げてバラけた位置で追走。インを突く手も有ったが、内が開く展開にはならず、4角で見切りを付けて外へ。マクり合戦となって後から仕掛けた利は有るのだが、とはいえ4角で回り脚がかなり速かった。ここで勢いが付けられた分、直線も伸びた印象。今日は馬場が意外に乾いてイン有利だっただけに2着は仕方がないが、馬体減も考慮すれば文句なしに一番強い競馬。キタサンブラックが引退して、日本調教馬のレベルが落ちている感は有る。

ノーブルマーズ

シープスキンノーズバンド。良く言えばドッシリと見せるということになるが、多少ボテッとも映る。前走東京戦もそうだったが、毎回評価に迷う馬。もっと前に行きたかった様だが、ミッキーロケットとは出脚が違っており、中段のイン。ミッキーロケットの後を追う形ながら4角からの機動力に差が有り、登坂力で突き放された。ミッキーロケットとは能力差有るということになるが、とはいえこの馬の後方に居たステファノスが坂でバッタリ止まり、掲示板を外したことを考えると一定の評価が必要。この辺が時計の天井なのだろうが、少し時計の掛かる馬場が得意。

ヴィブロス

2人曳き。馬体中発表のないUAE戦を別にすればデビュー以来最高体重。馬に活気が有るのも何より。出たなりで乗られたが、サイモンラムセスに叩かれたのがマズかったか、妙に馬が行きたがってしまったのが痛かった。何とか折り合ったのは向正面に入った辺りで、道中ロスが有った分、直線もジリジリだった。ただ、あれだけ引っ掛かりながらズルズル行かなかっただけでも相当強い内容。秋は東京戦目標の様だが、大本命級。

ダンビュライト

+12kg。前走が香港戦で減っていただけで数字は回復分。特に緩んだところもなく、下見は減点材料はない。出脚は有る馬で好位から。ただ、外からサイモンラムセスが来るのは仕方がないにしても、内からストロングタイタンが張って来て一旦番手を下げる形。ペースが流れてこれはこれで悪くなかったが、隣にミッキーロケットが居てインを突けず、無駄に包まれただけになってしまい、結果的にワーザーの外へ。この馬自身、そこ迄機動力がないだけに伸び出したのは競馬が終わった後だった。内枠ならミッキーロケットの位置が取れていたと考えると、この枠が裏目。逆にいえばこの辺りのメンバーなら展開一つ。

サトノダイヤモンド

少し細い位の仕上がり。下見所の外をキビキビと周回して、気配もデキも有った。ゲートのタイミングが合わず、1馬身出遅れ。今日の展開なら後方からでも立ち回り一つだが、馬が行きたがったのをロクに宥めず、外へ出して中段。3角過ぎから進出して見せ場は造ったが、流石に直線は苦しくなった。馬の気性的に我慢が利いていないのかも知れないが、もう少し丁寧に乗らないと能力が分かり辛いところ。これで馬が終わったと片付けるのは可哀そう。

キセキ

前後肢にバンテージ。馬の迫力ではこれが断然。イレ込みも下見だと気にならない。出遅れ1馬身不利。最初からかなり力んでいたのは確かだが、それでもヴィブロスよりはマシ。想定よりは我慢してくれた方だろう。ただ、直線向いてインを突いたところ、前が開かず、結局外へ。ダンビュライト同様、競馬が終わった後。外枠が厳しかったのは間違いないが、もう少し距離が有った方が楽かも。ただ、そうすると折り合いの課題が出て来るのも確か。今後も厩舎技量が試される。

第23回ユニコーンステークス(GⅢ)

ルヴァンスレーヴ

-8kg。数字は絞れたモノ。気配上々。グレートタイム、リョウノテソーロがこのメンバーでは抜けている。半馬身程出負け。芝での出脚はサッパリだったが、ダートに入ってから行き脚が付き、3角で中段には取り付いていた。そこからも乗り役が余程自身を持っていた様で、コースロスも関係なく外を進出、ラスト400mで抜け出すと後は独走だった。オイデオイデの大楽勝で、単純に力が2,3枚違っていた。2歳時に好走したこの手の馬がコロッと負けることが有るのがこのレースだが、この馬は例外だった様。ただ、グレートタイムも含めてまだ馬に重量感がない。これが来ないと古馬相手では厳しい。特にこの馬の場合はゲートが弱点となるだけに尚更。

グレートタイム

前述した様に、このメンバーに入れば充分上級ということになるが、例年と比べればまだまだ。歩様はしっかりしていた。出遅れ1馬身不利。こちらは芝での出脚は有りそうだったが、内枠の分、行き切れず後方から。出来るだけ追い上げようとする意思は見せていたが、如何せん動くに動けない展開で、直線向いてからも右往左往。前が開いたラスト250mの段階ではルヴァンスレーヴが7〜8馬身前に居た。ルメール騎手にしては珍しい捌き損ねで、今日は馬の能力が救った2着。ただ、ゲートも含めてこれもルヴァンスレーヴと同様の課題は付き纏う。

エングローザー

パシュファイヤー。後肢にバンテージ。気性面もまだ幼いが、それ以上にトモの力が弱い。ゲート自体は出ているが、乗り役に行く気がなく後方待機。コーナーで多少掛かっていた様にも見えたが、それでもインで我慢。こちらも直線は内外で迷っているのだが、一旦外を狙ってバランスを崩しそうになり、そこからインに切り替えたところ、何とか開いてくれてここ迄。スムーズだったら2着有ったということにはなるのだが、グレートタイムはもっとスムーズさを欠いていた。アタマ差以上の力差は認めざるを得ないだろう。芝ならまだしも、ダートだと恐らくマイルは1F長い筈で、脚の使いどころにも難しさが有る。

ホウショウナウ

前後肢にバンテージ。完全な腰高体型。まだ馬が子供。好発。出脚も余裕有りそうだったが、内からセイウンクールガイが主張して2番手から。前走京都戦の様に前に馬が居れば違うのだろうが、そうではなかったことも有って向正面では少しハミを噛んでいた。左手前のまま線はルヴァンスレーヴに一瞬だけ抵抗、セイウンクールガイには一時3馬身程水を開けられていたが、我慢強く走って4着浮上。まだ馬が未完成な現状で良く頑張っている。成長すれば面白い存在となりそう。

セイウンクールガイ

前後肢にバンテージ。多少チャカつく。馬ももう少しボリューム感が有ると理想的。芝での出脚が若干甘かったが、押して300m程の地点でハナへ。1000m通過59.4秒だから極端に速い訳ではないが、行き切ってからペースが落とせただけで序盤に多少の無理は有っただろう。ラスト400mでルヴァンスレーヴに捕まった後も渋太く粘っており、100mでも2番手だったが、そこ殻が甘くなった。とはいえ、出脚がもう少し速ければ2着有った内容。砂を被るとサッパリとのことで行き切るしか手がない様だが、出脚強化さえ叶えば重賞も勝てる。

サマースプリントシリーズ第1戦 第25回函館スプリントステークス(GⅢ)

セイウンコウセイ

初めてのオーストラリアンブリンカー。勢いの有った昨春の方が良かったのも確かだが、皮膚を薄く見せてデキ自体は悪くなさそう。好発。とはいえ、57kgを背負って出脚はワンスインナムーンの方が速かったが、最内枠ということと、昨年前が詰まって負けている経緯も有り、頑張ってハナへ。馬場状態を勘案しても前半3F33秒1だから少し速かったということになるが、4角は手ごたえ充分。直線入口で突き放してヒルノデイバローの猛追を一杯一杯振り切った。昨年の借りを返した格好だが、次走以降となると若干の疑問も。同斤なら出脚に苦労することはないとしても、この馬だけが持つ武器がない。昨年中京戦の様にしたが渋ればまた違うのだろうが、良馬場となると今年の中京戦の様になってしまう。

ヒルノデイバロー

遮眼革。-10kg。元々良く見せる馬で過信は出来ないが、一息入っても好調を維持。今日はゲート五分。以前と比べると出脚も付いて来ており、中段は確保。とはいえ、道中のズブさは残っており、乗り役の手は結構動いていたが、4角で内のラインスピリットをブロックしつつ、外のライトフェアリーを弾いて直線の進路を確保。エンジンが掛かってからは際どく差を詰めている。道悪だとダメ、良馬場でも1分6秒台になってもダメ、更に出遅れ癖と、走る条件を整えてやる必要は有るが、全て揃えばちゃんと走ってくれる。デビュー当時はダートを走っており、脚元がパンとして芝に転向した形だが、厩舎技量を証明する様な馬。

ナックビーナス

デキ自体が悪い訳ではなさそうだが、少し馬がイラついている様にも見えた。出脚はワンスインナムーンの方が速かったが、ゲートを決めたことも有って3番手は確保。当然、逃げたセイウンコウセイを目標にしていた筈で、直線もジワジワ伸びているのだが、もうワンパンチがなかった。悪い内容ではないが、直線に坂が有るコースの方が明らかに良績を残している。中京戦3着の馬がこのメンバーでも3着というのは頂けない。平坦だとハナへ行かないと決め切れない。アドマイヤゴッド

遮眼革。シープスキンノーズバンド。下見では落ち着いており、淡々と歩けていた。馬は目立たないが、硬さも然程気にならない。行こうと思えば好位に取り付ける出脚は有る筈だが、枠を嫌ってか全く行く気がなく後方待機。4角迄出来るだけコースロスなく乗られて直線だけ外へ。前が開いたところがヒルノデイバローの2馬身後方では競馬が終わった後ということになるが、入着狙いの競馬としては上々だろう。重賞で勝ち負けという馬ではないとしても、オープン特別なら出番は充分。

タマモブリリアン

前肢にバンテージ。歩様に力強さを欠く面は有るが、スッキリ仕上がっており、ノビノビと歩けていた。一瞬の出脚は甘かったが、行き脚が付いてからはソコソコ速く、前が開いていたことも有って3角で好位。道中で脚を使ってしまった分、流石に直線は余力が残っていなかったが、内の馬場が良いことも有って何とか掲示板には踏ん張った。これが重賞では初の掲示板となるが、函館は走る。これもオープン特別なら面白い存在。

第35回エプソムカップ(GⅢ)

サトノアーサー

一回叩いて毛ヅヤが良くなった。マイラー体型は相変わらずだが。好発。大外枠だったが、そのまま行かせて好位の外。今日は午後から結構雨が降っていたが、外枠だったことで良いところを通ることが出来て、むしろ掛かる位の行き振りだった。直線もその手応えのまま馬場のド真ん中を抜け出してそのまま押し切った。今日は外枠と好発が良い方に出た。この馬自身も、道悪自体は上手くなくとも、前向きな気性でカバーしている。尤も、そういうタイプは良馬場のスローでアッサリ負けることも少なくない。今後も折り合い一つ。

ハクサンルドルフ

もう少し歩様が伸びると理想的だが、馬体は高値安定。ゲート自体も微妙に悪かったが、それ以上に出脚がサッパリで後方から。この馬場状態で、出来れば馬場の良い外に出したかった様だが、常にフタをされている状態で最後迄出せず終いだった。ラスト300mでも後方に近い位置だったが、それでも何とかスペースを見付けるとここ迄。もう少し上手く捌いていれば勝っていただろう。道悪には良績を残しており、有る意味順当な好走。東京も得意だが、逆にいえば今日は条件が揃い過ぎていた。

グリュイエール

2人曳き。前走が2年振りに出走しての勝利だったが、多少硬さは有ったか。とはいえ、この中堅は結構攻め馬が意欲的で、馬体は休養前よりむしろ良くなっていた。ゲートは速い方だったが、外から内外の様子を窺っている間に外から来たダイワキャグニーに前をカットされて手綱を引っ張る場面。ここで少し掛かってしまったのは痛かったか。元々ラチを頼るタイプで、馬場の良い外目を走らせる為だったとはいえ、ずっと内にモタれていた。特に決勝線手前ではサトノアーサーが居て、追えなくなってしまった。マトモなら2着有った内容。

サーブルオール

手先にスナップが利いている。垢抜けた造りで、重賞のこのメンバーでも上位。この馬としてはゲートを決めた方だが、例に依って出脚が甘く後方から。これもハクサンルドルフ同様、中々外に出せず、諦めて直線は内へ。一瞬反応して2番手迄有ったが、最後に甘くなった。古馬になってからは初めての重賞、しかも休み明けでこれだけ走れれば充分。血統からあまり時計が速くなるとどうかだが、広いコースなら今後もチャンスは続く。

エアアンセム

シープスキンノーズバンド。チャカつくのは毎度だが、馬体にキレが有ってデキは良さそう。その気になればもっと行ける馬だが、ダイワキャグニーをマークする形で後方に近い位置。下見の割に折り合いは付いていた。残念ながら、そのダイワキャグニーがサッパリで直線入口で諦めて外へ。それなりに伸びているが、今日の展開ではここ迄が一杯。ただ、4着サーブルオールとは2馬身半差。マークする相手を間違えていなくとも着順は変わらなかったか。

第23回マーメイドステークス(GⅢ)

アンドリエッテ

前後肢にバンテージ。見た目の割に走らない印象も有る馬だが、歩様の力強さは3歳時から変わらず。今に始まったことではないが、出脚が案外で後方のイン。1000m通過59.6秒と、逃げたトーセンビクトリーはソコソコ飛ばしていた一方で、4角で一息入れたことで馬群が凝縮する形となり、インに居たこの馬には自動的に差を詰められる絶好の展開。直線向いて見事に前も開いた。ただ、外にモタれて過怠金3万円を取られたのと、良い脚が一瞬しかなく、ワンブレスアウェイとはクビ差迄追い詰められた。脚の使いどころが相当難しそう。今日の様にハマれば良いが、その確率は相当低い。

ワンブレスアウェイ

2人曳き。馬体に強調点はないが、皮膚を薄く見せてデキ自体は悪くない。水平首で気配も悪くなかった。今日は珍しくゲート五分。そのまま中段。最内枠ということで勿論これもインに居たが、前からトーセンビクトリー、ミリッサ、この馬、アンドリエッテの順。ただ、4角でミリッサが抜け出すのを待ち切れず、少し外へ持ち出したのが今日は失敗。少し待たされている間に、アンドリエッテに内へ入られ、先に抜け出されてしまった。ただ、アンドリエッテが最後止まっているだけに差し切っても良い展開だったのも確か。この馬も大事に乗らないと競馬にならないタイプ。2000mは微妙に長い。

ミエノサクシード

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。馬体はそんなに悪くないが、完歩の小さい歩様。出脚は速い馬だが、急かさずジワッと行かせて好位から。2000mは一度使っただけで、経験がない分、序盤は掛かり気味。何とか向正面で宥め切ったかに見えたが、3〜4角中間で外から来られて動かざるを得ない展開になってしまった。上位2頭がインから来ているだけにワンブレスアウェイと2馬身差でもむしろこちらの方が評価は上。ハンデ差も有るだけに尚更。1800mでこの辺りのメンバーなら大本命クラス。

ヴァフラーム

遮眼革。+6kg。競走結果に影響が出る程ではないだろうが、多少緩く映る。ただ、歩様が硬いのは明らかにマイナス。スタート直後からあまり行く気がなく後方から。ただ、ところどころで行きたがっていた。3角過ぎに仕掛けたフェイズベロシティを一旦行かせてから大外へ。それなりに伸びているが、内にモタれていたのと舌がハミを越していた。真っ直ぐ走れていたら3着有った気もしないでもないが、前走東京で外にモタれており、右へ行ってしまうのはこの馬の癖。このままではオープンで通用しない。

ミリッサ

2人曳き。前後肢にバンテージ。物見をして姿勢が高くなっていたが、馬の迫力はこのメンバーに入ると上位。内の馬は叩いたが、外から数頭来て、好位のイン。折り合いも付いていた。アンドリエッテの項で述べた様に、インに居たこの馬にも展開上は悪くなかったということになるが、アンドリエッテとは全く脚が違っていた。そのアンドリエッテに多少寄られた面は有るのだが、それだけでは片付けられないやられ方。経験を積めばまた違うとしても、現状だと1F長い。

レイホーロマンス

小さいなりに纏まった造り。ただ、毎度のことながら歩様に伸びがない。今日はゲートを出た方だが、それでも他に速い馬が多く、後方から。これはこれだったが、4角で内にも外にも行けず、直線向いてからヴァフラームの外。これでは一手遅い。正月の中京戦でチャンスを掴んだ岩崎翼騎手だが、次走乗り替わりでも文句はいえないところ。

第68回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

モズアスコット

連闘。硬さは有ったが、これは元々。落ち着きが有ったのが何より。この馬としてはゲートを決めたが、例に依って出脚が一息で中段。更に3角進入時にゴチャついて、更に番手が下がり、腹を括って直線迄待機してインから。直線は眼前にスワーヴリチャードが居て、前でフラフラしていたが、ラスト300m辺りで外へヨレて進路が出来、そこからの決め手で突き抜けた。一瞬の決め手勝負になるとモタつく癖が悪い方に出るが、初の東京でペースも向いてタイトル奪取に繋がった。このレースの連闘Vは1989年バンブーメモリー以来ということだが、初東京という点も共通点。

アエロリット

2人曳き。シープスキンノーズバンド。下見は最後方を周回。牡馬相手でも馬は負けていない。前走よりむしろ迫力という点で良かった位。ゲートと出脚の差でレーヌミノルに叩かれる形となったが、この馬の出脚で好位は確保。ペースが流れて折り合いも付いていた。直線は逃げたウインガニオンも中々渋太かったが、ラスト300mで交わして先頭。ただ、そこで一瞬フワッとしてしまい、モズアスコットの強襲を許した。負けはしたものの、やはり時計勝負になれば強い。前走時に触れた様に開幕週なら勝っていたかも。

スワーヴリチャード

-10kg。馬体はこれでも良いが、妙に大人しかった。今日はゲート五分に出たことも有って、スッと流れに乗れた。3角で前をカットされた影響も有ったが、むしろ掛かる位の行き振り。直線向いて前も開いたが、フラフラ。トビが大きい分だけ止まっていないが、本来は左回りでこそのタイプだけに今日は明らかに走っていない。この中間、攻め馬強化しての馬体減だったが、結果的に裏目に出た格好。もっとレベルが上がれば別だが、今のメンバーで走るならマイル自体は大きな問題ではなさそうだが。

サトノアレス

+10kg。元々線の細い馬で、馬体増は歓迎。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。今日の展開ならペースが流れてこれはこれだったが、4角から外へ持ち出して、上位入線の3頭とは距離が出来てしまったのは痛かった。タラレバになるが、モズアスコットが勝っていることから、インを突いていればバラけて前が開いた確率も高い。ただ、この馬自身、ラスト150mで脚が上がった様にも見えた。勝つ時はインを突いた時ばかりで、良い脚が長く続かない面も有る。

サングレーザー

黒光りして毛ヅヤは良かったが、ちょっとトモの送りが硬い。半馬身程出負けしたが、積極的に乗られて中段から。ちょっと力んでいたのは致し方ないところ。直線で追い出しての反応は有ったが、ラスト250mでスワーヴリチャードに寄られ、その不利自体は大したことなかったものの、それをハネ返すだけの脚力がなかった。結果的に外枠がアダ。結果的には矯めた方が良かった気もするが、乗り役は先週これでダービージョッキーとなっただけに、チャレンジ精神を評価すべきだろう。馬にとってもこの位置で折り合える様になれば前進が見込める。

ペルシアンナイト

+8kg。馬体増は気にならず。踏み込みがしっかりしており、デキは問題はなかった。出遅れ1馬身不利も、直ぐに出してリカバーして中段から。多少掛かったが、前が壁になって馬も我慢してくれていた。ただ、直線向いて前が壁。最内は開いていたが、中途半端に外へ持ち出したのが裏目に出てしまった。ゲート五分なら前も詰まっていなかった筈で、ツキがなかった。

第71回農林水産省賞典鳴尾記念 (GⅢ)

ストロングタイタン

オーストラリアンブリンカー。数字の割に迫力が有るタイプではないが、下見の外を回って歩様に伸び。気配は文句なし。ゲート五分。少し出しつつ、1角で上手く内に潜って道中は5番手辺りから。基本的には折り合いの付く馬だが、悪い時は自分から止める癖が有り、インで馬を横に置いて気を抜かせない様に走れたのが良かった。道悪は一押し欠く面も有り、レコード決着の馬場になったのも向いた。今後も気分一つだが、今日は少頭数が幸いした感も。ローカル戦でフルゲートになる様だと脆さが出易い。

トリオンフ

2人曳き。前肢にバンテージ。新潟戦を叩いて良化。馬体に迫力が出て、歩様がしっかりして来た。気配もギリギリ堪えていた。出脚はあまり速い方ではなく中段から。大型馬故に小細工の利かないタイプで、2番枠だったが、最初から何時でも動ける外へ出していた。ノビノビ走らせて、4角では勝ったかの勢いだったが、ストロングタイタンに内をスクわれる格好に。とはいえ、この時計でインを突いた馬にやられるのは致し方ない面も有る。力は充分示した。

トリコロールブルー

2人曳き。-4kg。デキ自体は良いだろうが、テンション高い馬だけにこれ以上減って欲しくないところ。出脚は速くない方で今日もジックリと。目の前にトリオンフが居て、展開的には悪くなかった。勿論4角も一緒に動いて行ったが、付いて行けたのは坂下迄。そこからの脚にはパワー差が有った印象。前走は阪神で勝っているが、2000mだと登坂力の甘さが出るのかも。ベストは平坦か。

マルターズアポジー

もう少し落ち着いてくれた方がベストだろうが、馬体も含めて何時ものこの馬。出脚はヤマカツライデンも速かったが、主張してハナへ。単騎で後続を数馬身離しつつ1000m通過58.2秒。この馬のマイペースでは有るが、ちょっと道中は力んでいた様に見えた。コーナーも少し内にモタれていた。直線向いて突き放す場面は造ったが、坂下迄。何処かで2000mを使っていれば結果は変わっていただろうが、最近マイルを主体に使っていた悪影響が出てしまったか。逆にいえば次走は面白い存在に。

サトノノブレス

多少硬いのは何時ものことだが、今日は若干姿勢が高い。その分、トモが甘く映る。大外枠だったが、出して行って好位のイン。道中の折り合いは完璧に付いていた。直線もそれなりに粘っているが、これだけ時計が速いと厳しかった印象。ただ、坂を上って再び差を詰めており、気力自体は有りそう。何処かで一発有っても驚けない。