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競馬回顧 2018年4回京都

第158回天皇賞・秋(GⅠ)

レイデオロ

2人曳き。中間一頓挫は有ったが、見た目には影響なかった。馬体に張りが有って、テンション高いのも何時も通り。ゲートを五分に出て、出たなりで中段。マカヒキと接触したスワーヴリチャードを避けられたのはこれ以上ない幸い。バラけた位置で流れに乗れた。締まったペースになったことで、直線向いて早目に手が動いた馬が多い中、この馬だけが追い出しを待てる余裕が有った。スパッと切れた印象ではないのだが、力でネジ伏せた。戦前はスローで決め手負けする懸念は有ったが、地力勝負の展開となったことで能力の絶対値を証明した形。次走、中山戦へ向かう様だが、勿論本命級。

サングレーザー

-12kg。良し悪し別にして、数字分だけ馬はスカッと映る。前走札幌戦で気になった左後肢の踏み込みの甘さが解消。前走札幌戦で2000mをこなしているとはいえ、距離に不安が有って急かして行く訳に行かず中段やや後方から。レイデオロをマークする形。直線向いて余裕の有ったレイデオロとは違い、こちらは直線向いた段階で苦しそうだったが、それでも最後迄伸びて来た。とはいえ、保たせたのは乗り役の腕という気もしないでもない。次走は香港遠征となる様だが、要は乗り役次第。

キセキ

前後肢にバンテージ。-8kg。叩いて更に良化。皮膚を薄く見せて、毛ヅヤが更に良くなった。戦前からの決め打ちだったのだろうが、この外枠でも積極的に乗られてハナへ。1000m59.4秒。悪い時は引っ掛かる馬だが、出来るだけワンランプの競馬に持ち込んだこと、無論逃げたことも奏功して折り合いも付いた。最後は上位2頭との能力差ということになるのだろうが、渋太く踏ん張っていた。自分のパターンが分かったのが最大の収穫。とはいえ、今日は先行馬不在の組み合わせには恵まれた感も有り、出脚がないので競られた時がどうか。

アルアイン

-6kg。マイラー体型だが、馬体は充実。歩様も力強い。このメンバーなら出脚は一番速い位で、スッと2番手。直ぐ内の2頭が出遅れたことで、より楽になった。ただ、直線向いてキセキが中々捕まらず、モタついている間に2頭に外からやられてしまった。まだ坂を上った辺りで左手前になってからの方が踏ん張っていた印象。今日の段階では力負けということになるが、基本的には直線の短い右回りコースの方が誤魔化しが利く感も。

ミッキーロケット

キッチリ出来ていた。悪い時は硬さが目立った馬だが、今日は歩様もスムーズ。意外に好発。キセキに有る程度付いて行って好位のイン。上手く流れに乗れた。直線はレイデオロに抵抗出来なかったが、ジワジワ伸びていた。完璧に乗って、この程度という印象も有るのだが、上位4頭とは違って休み明けというのは良い訳になるだろう。道中、舌がずっとハミを越していただけに、これが解消するだけでも大分違う筈。

マカヒキ

-12kg。前後肢にバンテージ。間違いなく前走札幌戦以上。もう少し力強さが来れば尚良しだったが。出ッパも悪かったが、内へヨレて同じく出遅れたスワーヴリチャードと接触。そのまま後方から。道中は折り合っていた様に見えたが、中々エンジンが掛からず最後の最後に伸びて来た。もっとスローで馬群が密集してくれた方が良かったのだろうが、前との距離が開き過ぎてしまった。次走2400mは若干長い印象も有ったが、これならむしろ距離が延びた方が良さそう。次走でダメなら見限るが。

第7回アルテミスステークス(GⅢ)

シェーングランツ

このメンバーだと馬が一枚上。もう少し落ち着いてくれるとベストだが、トモに迫力が有る。半馬身出遅れて後方から。1000m通過が58.7秒、過去6回と比較して最速だった様にこの時期のマイル戦としては流れたが、その割に道中は馬群が密集。躊躇なく大外へ持ち出されると1頭違う脚だった。フォームや末脚等、レースでの迫力という点では姉・ソウルスターリングの方が有ったということになるのだが、例年の水準級は充分だろう。充分GⅠでも通用する筈。あとは姉の様に気象的な淡泊さが出なければ。

ビーチサンバ

+2kg。減るよりはマシだが、もっと増えても良い位。トモの送りが少し硬い。これも1馬身出遅れて後方から。出脚自体も有るのだろうが、外枠も手伝って上手くカバー出来て中段から。馬群の外に居た割には道中も我慢して走れていた。直線向いて直ぐに仕掛け、ラスト300mで先頭。流石に早仕掛けだった感は有るのだが、2着は悠々確保した。無論、勝つに越したことはないが、賞金を確保出来たのは大きい。更にいえば、1戦1勝の馬が重賞で好走するだけでも立派な上に、前走阪神の新馬はスローだったにも関わらず、今日はペース上がって結果を出せた点も好印象。先々走って来そう。

エールヴォア

前肢にバンテージ。500kgの馬だが、まだ造りが華奢。筋肉が付けば大化けしそうだが、もう20kg増えるのがベスト。今日はゲート五分。先行争いが激化したことも有って、直ぐに引いて中段から。基本的に折り合いは付いていた。3角で前の馬が下がって来て手綱を引っ張る場面も有ったが、その後も健気に走っていた。直線は、4角でビーチサンバに先に仕掛けられる形となり、その後追い。前と同じだけ伸びているが、交わす迄には至らず。もうワンパンチ欲しい印象も有るが、追い込み有利の展開となっただけに、仕方がない面も。馬力強化されれば通用しそう。

ウインゼノビア

水平首で2歳馬としては淡々と歩けていた。大物感はないが、しっかりした造り。好発も、先行激化を避けて好位直後。前走札幌戦は途中からハナへ行ったが、今日は外枠だっただけにこれで正解。道中は折り合いが付いて、直線は内にモタれながら伸びて来たが、外から3頭に交わされて4着がやっとだった。前走札幌戦とは相手が違うとはいえ、もう少しやれても良さそうだが、ラチを頼る面は有るのかも。内枠で改めて。

トスアップ

背丈が低いだけで、数字の割には良く出来ている。ただ、テンションが高い。ゲートは出たが、他に速い馬が居て好位のイン。コーナーでペースが落ちた際に少し行きたがっていた。直線は中々スペースがない中で、馬格のなさが幸いしてバラけてから脚を使ってここ迄。出来ればもっと落ち着いて欲しいところだが、これも1戦1勝だけに充分といえる内容。500万なら通用。

第61回毎日放送賞スワンステークス(GⅡ)

ロードクエスト

2人曳き。今季の最初から馬は元々悪くなかったが、今日は気配が良かった。その分、歩様も力強く映る。出遅れ1馬身不利。そのまま後方。眼前に居たモズアスコットをマークする形。モズアスコットが追い出しのタイミングを間違えた様には見えず、ラスト100mで前を捕まえたのだが、更にそこからこの馬がハナ差交わしていた。お見事という外ない。近走は行かせて中途半端な結果に終わっていたが、出遅れて腹を括ったのが良い方に出た。尤も、これは本来のパターンであくまで原点回帰。次走、これだと厳しいのも確かだが、武器は一つ手に入れた。

モズアスコット

+10kg。シルエットはほぼ出来ているが、腹回りが多少緩い。歩様の硬さは許容範囲。この馬としてはゲートを出ているが、例に依って後方から。頭数が少なかったことで、それ程外を回されずに済んだ。4角での手応えも悪くなく、直線も伸びているが、追い出してからは結構内にモタれていたのが痛かった。最後はハナ差負けだけに、真っ直ぐ走れていれば勝っていただろう。ただ、今日は+10kgが良い訳になる。絞れれば巻き返せる筈だが、この厩舎は一流馬でも時折サッパリとなるシーズンが有り、若干微妙な面も。

グァンチャーレ

-6kg。5月以来の実践だが、むしろ休養前よりシャープ。いきなりからほぼ完璧に出来ていた。出脚は結構速かったが、内外の出方を窺いながら、上手く中段のインへ潜り込めた。1400mだと流れに乗れない印象も有った中で、この自在性は意外な印象も。多少内目は悪そうだったが、直線もインから一瞬突き抜けている。最後は甘くなったものの、何とか3着は確保した。もう少し雨が降っていれば際どくなっていただろう。3歳時は人気の割に走らなかった馬だが、漸く本格化してきた感。

ベステンダンク

+6kg。もう少し歩様が伸びると理想的だが、硬さはなく、馬体も充実していた。ゲートが開く寸前に突っ掛けてベストの出ッパではなかったが、一応はゲート五分。ただこれで出脚が鈍り、逃げの手を諦めて好位から。レーヌミノルがソコソコ飛ばしたとはいえ、スムーズに流れに乗れた。直線向いても一瞬は勝ったかの勢いだったが、追ってからがトビが大きい割にジリジリだった。渋太いのは確かだが、現状は坂が有った方が他馬が苦しむ分、有利に働く印象。平坦だと決め手負けする。

コウエイタケル

通常の遮眼革とは逆になる前面に透明なカバー。腹回りがボテッと映るのは前走阪神戦同様。好発。好位の外。流れにも乗れて正攻法の競馬。直線は決め手の差という以外にないが、ジワジワ伸びて何とか入着。重賞だとワンパンチが足りないものの、近走堅実に走っている。オープン特別なら何とかなりそう。

第79回菊花賞(GⅠ)

フィエールマン

シャープな造り。歩様に力感を欠くのは毎度だが、動き自体はしなやか。スタート直後から出して行った馬が多かった中で、急かさない様に、かといってあまりに後方になり過ぎない様に乗られて中段から。2角迄を出来るだけコースロスなく回して、しかしスローを読んで向正面で少し外へ出して番手を上げ、2周目4角で前段グループの直後。直線で前が開く迄待って追い出されると一気に突き抜けた。ファストタテヤマがかつてそうだったが、この手の緩いタイプはこのレースで穴を開けることがしばしば有る。馬のリズムを最優先に、丁寧に乗っていた乗り役の手腕も見事。

エタリオウ

2人曳き。遮眼革。距離を別にすればツル首で気配絶好。伸びやかな歩様は相変わらず。馬体も充実していた。この馬としてはゲートを出た方だが、例に依って後方からだが、これもスローを嫌って1周目のホームで番手を上げて、この時点で中段に取り付いていた。2周目3角でフィエールマンの手応えに気付いてフタをしたのも間違っていないが、直線半ばで先頭に立ちながら内から差されてハナ差2着。道中で多少行きたがった等、細かいミスがなければ勝っていた。一番強い競馬はしている。古馬相手でも好勝負出来そう。

ユーキャンスマイル

まだ微妙に甘いが、これでも大分トモがパンとして来た。首でリズムを取った歩き方で、馬体に柔軟性が有りそうなのは好感。行きたい馬に行かせつつ、中段のイン。1周目の坂の下りで行きたがった以外はスムーズ。2周目3角過ぎから下がって来た馬を捌きつつ、直線入口でエタリオウの直後。フィエールマンと一緒に伸びて来たが、決め手はフィエールマンの方が上だった。とはいえ、春は内にモタれていた馬が真っ直ぐ走れるようになっただけでも収穫。まだ準オープンに使える馬だが、重賞でも充分通用する。

ブラストワンピース

シープスキンノーズバンド。太く見せた前走新潟戦から増減なしだが、些か締まった印象。ただ、3000mを考えるともっと絞った方がベストだっただろう。ゲートはまずまず出ているが、出脚がなくて中段やや後方から。内に入れられない馬で、1周目のホームで既に外へ持ち出していたが、結果的にエタリオウをマークする形となり。これはこれで悪くない形だったか。ただ、直線向いてエタリオウとは決め手の差が違い過ぎた。能力で見劣るとは思えず、やはり3000mは向いていない印象。適性が有れば別だが、新潟2000mからの転戦も結果的に裏目と出た。

グローリーヴェイズ

2人曳き。前肢にバンテージ。馬体は数字の割に大きく見せていたが、少し煩い。序盤はかなり行きたがっていたが、前を壁にしつつ、バラける位置迄下げて漸く折り合いが付いた。基本的にはエタリオウを追い掛けたブラストワンピースを更に追う形。ソコソコ伸びているが、前を交わす迄には至らず。今日の展開で大外枠だと作戦は限られて来るだけに、これで仕方がないところ。

第21回富士ステークス(GⅢ)

ロジクライ

シープスキンノーズバンド。少し物見をして、姿勢は高かったが、馬体にはキレが有った。毛ヅヤも上々。この馬も出脚は速かったが、更に好発のマルターズアポジーに行かせて2番手から。1000m通過が57.4秒とマルターズアポジーらしいペースで逃げており、決して楽ではなかった筈だが、少し早目に仕掛けてそのまま押し切った。特にラスト100mで左手前に替えてから良く伸びていた。ただ、見た目は圧勝だが、1分31秒7の時計でもスピードが有るというよりは持続力に長けている印象も。京都で時計が速くなるのは歓迎だろうが、ペースがハマるかどうかが鍵となりそう。決め手勝負になると厳しいかも。

ワントゥワン

小ぢんまりと見せるのは何時ものこと。この馬としては歩様もスムーズに捌けていた。前走中山戦よりはゲートを出たが、例に依って後方から。道中は比較的内で脚を矯めて、4角から外へ持ち出して直線大外。これだけ時計が速くなると外ブン回しはキツい筈だが、ラスト250m辺りで左手前となりながらも良く伸びた。レッドアヴァンセを捕まえたのはゴール前寸前だったが、2着は確保した。ペース次第でロジクライは逆転出来るだろうが、今年は結構使い詰めで来ており、斤量にやや敏感な印象も有り、微妙な面も。

レッドアヴァンセ

前後肢にバンテージ。+10kg。減るよりは増えた方が良いが、馬自体は前走の方が迫力有った。ジワッと行かせて好位の外。ただ、これ以上出して行く訳には行かず、更にペルシアンナイトにネジ込まれたことも有り、コーナーで外を回されている間に自然と番手が下がってしまったのが痛かった。直線で伸びてはいるが、最後の最後に甘くなった。ワントゥワンの様にメリハリの有る競馬なら別だが、この時計で外枠からダラダラ乗ってしまうとこうなるのは仕方がないところ。少なくとも馬は悪くない。次走狙い目。

エアスピネル

2人曳き。前後肢にバンテージ。落ち着いていて、気配に問題が有った訳ではないが、若干馬体に張りを欠く。時々出遅れる馬だが、今日は五分に出て好位のイン。少し3角でゴチャつく場面も有った。直線向いても少し待たされる場面が有り、最後はそれなりに伸びているが、ここ迄。時計勝負で雑になった部分が積み重なっての4着止まり。武豊騎手がジャンダルムと被ってしまい、福永騎手になったが、鞍が合っていない印象。

ペルシアンナイト

-6kg。休み明けとしては充分過ぎる位、馬はキッチリ出来ていた。微妙に出遅れたが、出して行って好位から。前述した様に、レッドアヴァンセをブロックする様な格好。ただ、出した分、少し力んでいた。直線向いてからもラスト400m程で前が壁になり、マトモに手綱を引っ張る場面が有った。59kgだけにこういったブレーキを掛ける様なことが有ると競馬にならない。これでも良く頑張っている方だろう。3歳時は些か甘い印象も有った馬だが、間違いなく強くなっている。

第23回秋華賞(GⅠ)

アーモンドアイ

2人曳き。+14kg。シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。中間一頓挫が有って、やはり馬体も完璧に造って来た訳ではなさそう。微妙な緩さが有り、満点はやれない。ゲート内で煩く、若干ゲートは分が悪く、中段やや後方から。乗り役は馬の力に絶対的自信が有った様で、一度として内に入れることはなく、4角も大外。直線向いた段階で、ミッキーチャームとは10馬身以上の差が有った筈だが、ほぼ直線半ばで勝負有りという脚勢。圧勝だった。古馬を含めて、牡馬が若干低調なことを思えば現役最強ということになりそうだが、ちょっとずつ馬が煩くなっている点は気掛かり。ゲート内が酷いことになっており、何時か事故が起こりそうな気もしないでもない。

ミッキーチャーム

前後肢にバンテージ。テンション上がり過ぎる傾向の馬だが、何とか堪えてくれていた。このメンバーで馬が見栄えするという訳ではないが、歩様にバネが有った。好発。1馬身抜けた。外枠だったが、1角手前で先行争いに決着を付け、そのままハナへ。1000m通過が59.6秒、特に3F目が12.7秒と一息付けたのは大きかった筈。あとは12秒を僅かに切るペースで逃げて、直線向いた段階で2番手と3馬身差。マトモなら楽勝といえるパターンだったが、最後にアーモンドアイ。これで負けたら勝ち馬を称える外ないだろう。とはいえ、今日は好発でハナ争いを起こさせなかった分も大きかった。後手に回っても競馬は出来るだろうが、毎回述べている様に、逃げ馬は序盤で如何に楽が出来るかどうかが最大の鍵となる。

カンタービレ

前後肢にバンテージ。高値安定。前走阪神戦も430kg台の馬とは思えない力強さが有ったが、今日もそのまま。ただ、少し気負っていたのは気になった。ゲートで若干後手に回ったことも有って、今日は後方で折り合いに専念。アーモンドアイをマークする様な形だったが、それでも結構力む場面が有った。4角からはアーモンドアイの後追いとなり、こうなると勝ちはないのだが、外枠だったらもう少しスムーズに追い上げられた気も。上手く立ち回っていれば2着有ったかもという内容。直線入口でアーモンドアイに離され過ぎてしまった感は有った。ただ、恐らく2000mの距離は長い中、しかもいきなりの待機策でちゃんと伸びて来た点は評価すべき。

サラキア

前肢にバンテージ。馬は悪くない。硬さが有ったのは前走阪神戦同様。毎度のことながら出遅れ。今日はまだ出た方だろう。脚を使った分、少し行きたがったが、直ぐ内に寄せて中段位置は確保出来た。ただ、4角で前がバラけていた割にモタついた感。ラッキーライラックが外にフクれて、無駄に外を回されたのも痛かった。直線向いてからは伸びているが、ジリジリだった。アーモンドアイはともかく、まさかカンタービレに後ろから差されるとは想定外だっただろう。戦前は期待を集めた馬だが、まだ鍛錬不足。

ラテュロス

2人曳き。前後肢にバンテージ。例に依って細い印象はない。毛ヅヤも冴えていたが、トモが甘そうなのも相変わらず。ゲート五分。掛からない程度に出して好位から。バラけた位置でスムーズな競馬は出来たが、これもジリジリだった。スムーズな競馬という点では位置取りの差こそ有れ、ミッキーチャームと同程度に上手く運べた筈。まだこのメンバーで戦うには力不足。勿論、自己条件の1000万なら通用するだろうが。

第66回アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス(GⅡ)

ディアドラ

2人曳き。前肢にバンテージ。首でリズムを取ってパワフルな馬体。歩様もしっかりしていた。ゲートは出たが、先行争いが結構激しくなり、一旦引いて最後方から。G&$8544;馬ということで、2kg余分に背負わされていたことも有って、大事に乗られた。残り2Fでもまだ後方で、追い出しを出来るだけ我慢。エンジンが掛かったのはラスト1Fだったが、左手前で突き抜けた。1000m通過58.2秒だから、決してスローだった訳ではないが、それでも上がり32.3秒は究極に近い。あくまで香港戦が目標ながら、中1週の天皇賞に登録が有るのだが、出走して来る様なら本命級の扱い。

リスグラシュー

+12kg。数字分だけ馬がパワーアップ。2歳時から頑張って走っていた馬だが、更に成長している。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。折り合いも付いて、前さえ捕まえればという雰囲気で、フロンテアクイーンとの併せ馬となりながら、実際にラスト100mで捕まえているのだが、そこからディアドラに差されたのだから相手に脱帽するしかない。1800mがこなせないという訳ではないが、現状だと1600mがベストかも。尤も、最大の問題は、矢鱈外枠が多いツキの部分ということになるのだろうが。

フロンテアクイーン

2人曳き。+14kg。前走札幌戦から馬体回復した形だが、腹回りは多少緩い。悪いと直ぐに硬くなる歩様は気にならないが。スタート直後は先行争いに首だけ突っ込んでいたが、外から寄られて引かされる形となり、中段から。盤石ではないが、この馬としては折り合いは付いていた。直線向いて少し外へ持ち出し、リスグラシューとの併せ馬となったのは良い形だったが、僅かに競り負け。上がり32秒台の決着で、流石に仕方がないところ。とはいえ、重賞で5戦連続2着の記録こそ途絶えたものの、相変わらず堅実。以前より折り合いが付く様になっている点も好感。

ジュールポレール

+8kg。休み明けとしてはほぼ出来ていたが、若干メリハリに欠く感も。歩様が硬いのは元々。出脚は速かったが、カワキタエンカに叩かれる形となり、中段待機。向正面ではフロンテアクイーンと並走。同じ56kgでも、ディアドラは矯めに矯めたが、こちらは4角から早目に前を捕まえに行く形。やりたい競馬は出来たが、あと一歩が甘かった。とはいえ、今日は明らかにデキが甘いのと、元々こういった上がり勝負は歓迎しない中で、良く走っている。4着でも、前走がフロックでなかったことは充分証明出来た。

クロコスミア

数字の割にもっと良く見せていた馬で、今日は馬に硬さが有って論外。最内枠で、ハナへ行っても良い位の気持ちだっただろうが、カワキタエンカが主張して2番手から。カワキタエンカはそれなりに飛ばす中、折り合いを大事にしている間に前と差が開き、この馬の位置で1000m通過が1分を僅かに切るペース。スムーズな競馬は出来たが、結果的に決め手の有る馬の餌食になった感も有る。番手に引っ張る際に結構ムキになっていただけに仕方がないのだが、もう少しカワキタエンカを突いても良かったかも。

第53回農林水産省賞典京都大賞典(GⅡ)

サトノダイヤモンド

今春も馬自体はそれ程問題なかったが、今日は活気が有った。歩様も力強い。元々出脚は速い方ではないが、一旦後方迄下げてからまず外へ持ち出す形。シュヴァルグランをマークするイメージで乗られた。4角の坂の下りを利してシュヴァルグランに並び掛け、直線入口ではほぼ飲み込んでいたが、その勢いで大逃げのウインテンダネスも捕まえてそのまま押し切った。ケチの付け様がない。一時期走らなかったのは気性的問題だったのだろうが、今日は気迫溢れる競馬で、次走も本命級。

レッドジェノヴァ

毛ヅヤピカピカ。気配も絶好。ただ、このメンバーでは若干馬の迫力で差が有るのと、もう少し歩様に柔らか味が有ると理想的。出脚は有る馬で、少し行きたがるのを宥めつつ好位のイン。坂の下りでマクりに行った馬が多かった中で、内に居たこの馬は動くに動けず、ほぼ最後方迄下げざるを得ない形となったが、直線向いて前がバラけてから追い出すと、サトノダイヤモンドに半馬身差迄迫ったものの、交わす迄には至らなかった。結果的に軽量を生かした格好で、今日の内容だと 底力勝負では分が悪そう。尤も、次走は京都の限定戦とのことで、そこなら圏内。

アルバート

年齢を経ており、特に何か変わったことはないが、季節が良い分だけ、毛ヅヤは冴えている。この距離で流石に出脚は通用せず後方から。勿論、折り合いは問題ない馬で、シュヴァルグランをマークするサトノダイヤモンドを更にマークする形。切れるという印象ではなかったが、最後迄バテない強みを生かして3着浮上。モレイラ騎手だと見た目以上に馬が動くということも大きいのだろうが、スタミナを生かす形は出来た。次走未定だが、取り敢えず4連覇が懸かる中山戦は大本命となる。

シュヴァルグラン

2人曳き。馬体はほぼ出来ていたが、今日は何時も以上に発汗が目立つ。好発も、前にケントオー、全体では5番手辺りで折り合いを付ける形。ただ、ウインテンダネスが大逃げの形となり、人気を背負っていたことも有って、3〜4角中間から自力で捕まえにに行く形。単勝1番人気としての責任有る乗り方では有ったが、ウインテンダネスを捕まえる前にサトノダイヤモンドに交わされていたのは頂けない。今日は明らかに評価が下がる敗戦。尤も、休み明けはサッパリのレベルで走らない。更にボウマン騎手以外では案外といった印象も有り、条件が揃わなければこんなモノなのだろう。

ブレスジャーニー

多少テンション高いのは何時ものこと。スッキリ見せてデキに問題はない。毎回ではないが、ゲートをマトモに出ないのは血統故で、後方から。行きたがるのも許容範囲。道中はアルバートと並走していたが、仕掛けはアルバートよりワンテンポ遅らせるイメージ。それでも最後は追い負けた。ディスタンス戦でも我慢して走ってくれているが、基本的には2000m辺りの方が良さそう。あとは相手関係の問題。今日でも頭数が少ないので入着出来たが、2000mだと頭数も揃い易く、中々簡単には勝たせて貰えない。

第69回毎日王冠(GⅡ)

アエロリット

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。下見は最後方を周回。500kgを超える数字通りの迫力。歩様もしっかりしていた。得意の好発。出脚も抜群に速かった。今日はステファノスに少し抵抗されたが、それでも向正面で振り切ってハナ。1000m59.0秒なら、序盤擦られたことを考えれば楽に行かせて貰えた方だろう。直線も後続を突き放すイメージではなかったが、相手が来たら来ただけ伸びて何処迄行っても追い付けない様な雰囲気だった。時計もソコソコ速く、文句なしの内容。毎回述べている様に、基本的には開幕週かコース替わり限定の馬で、今日は条件が揃い過ぎた感は有るのだが、次走京都戦を目指すとのことで、ここはコース替わり初週と再度条件は満たす。

ステルヴィオ

2人曳き。+6kg。毛ヅヤピカピカでデキは文句なし。ただ、マイラー寄りの体型で、多少チャカついていた。出脚は速かったが、行きたい馬に行かせている間に自然と番手が下がって中段から。下見で煩かった影響も有って、折り合いに専念する形。内にサトノアーサーが居て、コーナーで外を回されたのが若干痛かったが、直線向いても追い出しを出来るだけ待って、追い出したのはラスト400m辺りから。アエロリットには届かなかったものの、そこからの反応は1頭違っていた。見た目のインパクトは別にして、評価が難しい印象も。一瞬の脚は確かに鋭かったものの、ここ迄矯める必要が有るなら距離は1800mが限界。2000mを保たせるにはもう少し落ち着きが欲しい。

キセキ

前後肢にバンテージ。+10kg。今春も馬自体に問題はなかったが、多少歩様に柔らか味が出た程度で、今日も見た目はそれ程変わらない。ただ、落ち着いていたのが何より。出脚はお世辞にも速くない筈だが、最内枠を生かす形で、促して好位のイン。距離短縮ということも有ったか、意外に流れに乗れた。直線向く前からアエロリットを捕まえに行く、早目のイメージで乗られたが、伸びてはいるものの、最後は鋭さ負けした格好。ただ、これも次走に繋がるかどうかは何とも。フォームが硬くなっており、これだと距離が保たない。かといって1800,2000mで勝ち切れる瞬発力が有る訳でもなく、現状だと取り柄がない状態。

ステファノス

馬体に迫力が有るというタイプではないが、歩様に力強さが有って、この馬としては上々。珍しく積極的に乗られて、アエロリットに暫く抵抗。2角進入時に引いて好位から。余計なことをしている割には折り合いも付いていた。直線は早目に動いたキセキとの併せ馬。相手が早仕掛け、しかも適条件ではなかっただけに何が何でも捕まえたかったところだが、競り負けてしまったのは頂けない。今日はデキも有っただけに、今後は全て見送り。

ケイアイノーテック

+10kg。ほぼ出来ていた。古馬相手でも馬も負けていない。首でリズムを取って気配も良好。今日はゲート五分。キセキよりは出脚が速かったが、キセキが促していた為、これを行かせる形で中段から。道中も折り合いが付いて問題が有る様に見えなかったが、ステルヴィオには並ぶ間もなく交わされてしまった。今日の展開ならせめてキセキとステファノスの2頭は捕まえたかったところ。トビが大きいものの、一瞬の脚がない。

第4回サウジアラビアロイヤルカップ(GⅢ)

グランアレグリア

2人曳き。+18kg。見た目上はほぼ成長分。もう少し歩様が伸びると理想的なのと、落ち着きは欲しい。出遅れ1馬身不利。直後にドゴールの外へ持ち出した際に行きたがり、2番手へ。ただ、ここで何とか我慢してくれたのは大きかったか。持ったままで坂下で逃げるトーラスジェミニを捕まえて先頭。追い出しを出来る限り我慢して、気を抜かない様にステッキを入れていたが、あとは独走。終わってみれば3馬身半差。休み明けででどうかと思ったが、性能そのものが違った。ここまで重賞に出走した現2歳世代の中では一番強い競馬。とはいえ、出遅れて行きたがった点、今日の馬場で1分34秒を切れなかった時計、所々に疑問は残る。

ドゴール

イレ込む。ただ、馬は小さいなりに良く出来ている。見た目の筋肉量自体はこのメンバーでもNo.1。グランアレグリア程ではないが、1馬身近い出遅れ。外に持ち出して引っ掛かったグランアレグリアに連られそうになっていたが、1F程で我慢してくれた。距離に不安が有るとのことで、直線向く迄、徒に動かず、最後に脚を使うイメージで2着浮上。ただ、グランアレグリアがブッちぎる展開がハマッた感も有る。短距離の差し馬としての素質は有りそうだが、マイルで微妙ということになると今後が難しい。

アマーティ

2人曳き。前肢にバンテージ。寸が詰まったマイラー体型。歩様が窮屈なのがマイナス。出脚はこのメンバーの中では速そうだったが、外の出方を窺いながら3番手。基本的にはグランアレグリアをマークするイメージで乗られた。道中は折り合いが付いて、直線向いても手応えは有りそうだったが、坂で左手前になって上れていなかったのが痛かった。上り切ってからはそれなりの脚を使えているが、前とは途方もない差が付いてしまっていた。母アマファソンもどちらかといえば平坦で走った馬で血統由来のモノも有るだろうが、まずは登坂力を付けないことには。

ドラウプニル

チャカつく面は有ったが、歩様に伸びが有って、バネを感じさせる馬体。枠の並びも悪かった気がするのだが、折り合い重視で乗ろうとして、内外の馬に譲る際に力んでしまった。外に馬を置かない位置迄下げてやっと折り合いが付いたが、序盤のロスは大き過ぎた様で、直線はジリジリ。今日は最後迄止まっていないだけでも良しとする競馬。今日は経験不足が出た格好。性能そのものは高い。

シャドウエンペラー

前肢にバンテージ。この時期の2歳馬としては完成度が高い。スカッとした造りで、歩様にブレがない。ゲートは出たが、出脚がサッパリで後方から。直線は馬群を割る形で、フォームは中々力強いものの、それが推進力に繋がっていない。見た目はかなり走りそうなのだが、どうも中身が伴っていない様。