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競馬回顧 2018年5回阪神

第35回ホープフルステークス(GⅠ)

サートゥルナーリア

前後肢にバンテージ。+12kg。全て成長分。馬も世代トップクラスだが、この血統にしては落ち着いていた点が何より。好発。押し出される展開だけは避けたかっただろうが、何とか1角でコスモカレンドゥラが行ってくれて2番手から。そのコスモカレンドゥラを待っている間、2番手に収まってからも、折り合いは付いていた。向正面半ばからアドマイヤジャスタが動き、それに他馬も付いて来る形で、分厚くフタされる形となったが、坂下で脚力でコジ開けるとノーステッキで抜け出した。単純に性能が違った。この一族で能力の絶対値だけをいえばエピファネイアが最上位ということになるだろうが、リオンディーズも含めて、この一族に有り勝ちな気性面での不安がないのは大きい。今年は世代レベルが低そうなのも恵まれている。

アドマイヤジャスタ

2人曳き。前後肢にバンテージ。トモの迫力は有ったが、もう少し前肢がしっかりして来るとバランスが良くなりそう。ゲートは微妙に後手。今日はスタート直後から誰も行かない展開で、出脚が有るのかどうかは微妙だが、然程促さずとも最初から決め打ちのサートゥルナーリアをマークする策。1000m通過62.5秒と、今日はペースが遅く、前述した様に向正面で動いて行き、後続が付いて来る展開も絶好だったが、過怠金30,000円とはいえ、サートゥルナーリアに狭いところを割られてしまってはお手上げという外ない。

ニシノデイジー

前後肢にバンテージ。馬体の迫力だけならあくまで500万レベルながら、馬に活気がある。出脚は速い馬だが、スタート直後に引っ掛かりそうになっており、最初から押さえて好位のイン。ただ、サートゥルナーリアが包まれたことで、この馬は勝負どころで更に番手が下がったのは誤算だったか。サートゥルナーリアが抜けたところから、追い込んで来たが、実質的には競馬が終わった後だった。それでも気で走るタイプだけに、内枠からセコい競馬をした方が結果は出易いだろう。外枠時だった時が飛ばし頃。

コスモカレンドゥラ

2人曳き。数字はないが、背丈が低いだけでバランスの取れた造り。ただ、もう少し歩様がスムーズにならないと。好発のサートゥルナーリアを含めて、誰も行く気がなく、ならばとハナへ。サートゥルナーリアとの絡みも有って、スロー過ぎて後続が早目に来た感は有ったものの、この馬自身も突き放す脚がなかった。それでも何とか4着は確保。このメンバーなら上出来といえるだろう。ここ迄楽に行けることは中々ないだろうが、GⅢなら馬券圏内。

ブレイキングドーン

2人曳き。+6kg。トモの迫力はこのメンバーでも上位だが、寸が詰まったマイラー体型。チャカついていたのもマイナス。スタート直後から掛かっており、サートゥルナーリアマークというよりは、サートゥルナーリアを壁にして宥める形。向こう正面半ばでアドマイヤジャスタが動いて、連れて行って貰った形だが、4角では手応え有った様に見えたが、いざ追ってからが案外。特に登坂力がなかった。新馬ではアドマイヤジャスタを問題にしなかった馬だが、平坦の方が良いのかも。

第63回有馬記念(GⅠ)

ブラストワンピース

シープスキンノーズバンド。多少太く映るのは前走京都戦同様。歩様はしっかりしていた。ゲートは微妙に悪かった様に見えたが、出脚は有って、キセキに抵抗しつつ好位を確保。この馬場で外に馬を置くと厄介なところで外から来られない様にしつつ、サウンズオブアースを前に置いて折り合いを付けた。4角手前から自力で動く形はこのレース4勝目となる池添騎手のお得意のパターン。直線向いた段階でもキセキとはそれなりに差が有ったが、坂を上り切ったところで捕まえて、後続を振り切った。馬力は確かだが、器用さに欠ける面が有って、今日は外を回しても問題ない馬場と展開になったのは向いた。今後も常に圏内の馬ということにはなるが、勝てる条件が揃わないと脆く、取捨選択が難しい存在となる。「ずっと「GⅠを勝てる馬」と言い続けていたので、それをやっと証明できて本当に嬉しいです。真ん中の枠だったので、閉じ込められないように気をつけつつ、攻めた競馬をしたいと思っていました。スタートして少し出していってあの位置を取り、道中は上手に走れていました。前にいた馬は渋太いですし、後ろにレイデオロがいるのも分かっていましたが、残り600メートルあたりで仕掛けていきました。ブラストワンピース自身も一生懸命伸びてくれましたし、「頑張ってくれ」と思いながら追っていました。坂を登り終わったところで詰め寄られましたが、何とか凌いで頑張ってくれました。まだまだこれから成長すると思いますし、来年は古馬のチャンピオンとして頑張ってくれると思うので、また応援していただけたらと思います。 (池添騎手・週刊競馬ブック) 」

レイデオロ

2人曳き。+8kg。馬体は数字分だけフックラ見せる程度で大差ないが、今日は落ち着いていたのが何より。出たなりで内外の様子を窺いながら中段から。キセキに叩かれる展開は当然想定内だっただろうが、そのキセキが出遅れた影響で交わされるタイミングが少し後ろにズレたことで、ベストポジションより一段後ろからの競馬だったかも。ただ、ブラストワンピースが早目の競馬をしてくれたことはこの馬にとってラッキーだった筈で、序盤のロスとで差し引きゼロだろう。最後迄良く伸びているが、あと一歩が届かなかった。これで負けたら言い訳はない。ひょっとしたら若干距離が長いかも。ビワハヤヒデタイプで、隙はない反面、取り柄もないのも確かだが。

シュヴァルグラン

2人曳き。前走東京戦から本調子。良くなった印象もないが、高値安定。キセキとスタート直後に接触、ゲートを出た一瞬は半馬身位先行していたが、そのキセキが無理矢理行ったことで連られそうになり、出脚が使えずレイデオロマークに切り替える形。道中の折り合いは問題なかった。3〜4角でマトモにブラストワンピースを追い掛けたレイデオロに対し、こちらはコーナーで少し内目をセコく回って来たが、差は詰まらず。流石に後ろから抜き去るだけの脚はなかった。勝ちに行くならブラストワンピースの位置で攻める競馬がしたかったところだろう。

ミッキーロケット

デビュー以来、最高のデキ。歩様がスムーズに捌きつつ力強く、気配も良かった。好発。出脚も大分強化されており、楽に好位を確保。むしろキセキに連られそうになる位だった。1周目のホームで宥めて、一旦は前と5〜6馬身程差が有ったが、4角からオジュウチョウサンと一緒に追い上げ、外3頭に登坂力で交わされながらもキセキは何とか捕まえた。自力で行かざるを得ない厳しい展開だった割に良く頑張っている。何処かでもう一発有ってもおかしくない。

キセキ

前後肢にバンテージ。馬体はそれ程変化ないが、流石に歩様は落ちていた。出遅れ1馬身不利。そこから無理矢理ハナへ。道中は離して逃げたことでマイペースに持ち込めたが、この馬場で序盤に脚を使わされると中々踏ん張りが利かない。ゲートは運の問題も大きいが、歩様の硬さが出遅れの一因だったことも確かだろう。何かと使い分けを批判された今シーズンだが、現実として3戦は厳しいということ。立て直して改めて。

第13回阪神カップ(GⅡ)

ダイアナヘイロー

この時期の牝馬としては毛ヅヤが冴えていた。馬体、歩様も悪くない。好発切ってハナ。早々に隊列を決めたことで道中は楽が出来た。1000m57.5秒だけならソコソコ速いものの、序盤600mの34.8秒が大きかった。内回りにも関わらず、4角で絡まれなかった段階でほぼ勝負有り。ミスターメロディの猛追は有ったが、余裕を持って押し切った。今年は行き切れない競馬が多かった中で、前走京都戦で頑張って前に行ったことが出脚強化に繋がった。今後も如何に楽に行けるかがカギとなりそう。現状1200mだと厳しい印象も。

ミスターメロディ

相変わらずのイレ込み。馬は筋肉の付き方からシャープで、このメンバーでも垢抜けた印象。若干ゲートは悪かったが、積極的に乗られて好位のイン。掛かる馬でも、乗り役の腕っぷしで抑え込んだ。流石に4角でダイアナヘイローが楽をしているのに気付いた様で、積極的に追い掛けて行ったが、相手も突き放しに掛かって中々差が詰まらず、半馬身差迄迫るのがやっとだった。大分競馬が上手くなって来たことも確かだが、もっとリラックスして道中運べる様になるとベスト。現状では折角の素質を生かし切れていない。

スターオブペルシャ

オーストラリアンブリンカー。久し振りの阪神で多少物見は有ったが、馬体は大型馬らしい迫力が有る。これも微妙にゲートで安目を売ったが、内枠の馬が行ってくれて中段は確保。只管インで我慢して、4角で馬群が固まり、自然と番手が上がる形になったのも良かった。今日は外全滅の展開で能力云々ではない気もするのだが、中間にハードルを飛ばせた効果は有った様。餅つき競馬の阪神で藤沢和雄厩舎が穴を開けるのは平成初期から変わらず。

ダイメイフジ

+16kg。弛んでいるという程ではないが、明らかにボテッと映る。歩様はスムーズ。ゲート五分で好位直後。今季は1200mを2走した形だが、1400mでも折り合いは付いていた。ミスターメロディに好位を取られたとはいえ、追ってからが案外。坂を上る段階では楽々3着に見えたが、スターオブペルシャに捕まる有様だった。乗り役の話では緩い馬場が影響したとのことだが、太かった影響も大きいだろう。

ジュールポレール

もう少し歩様がスムーズになるとベスト。馬体はこんなモノ。ゲートは五分だったが、外枠以前に今日は道中の行き振りが悪かった。後方で流れに乗る迄に時間を要し、エンジン掛かってからは伸びているが、時既に遅し。出遅れたヒルノデイバローを別にして、上位4頭は内枠だけに今日はこれで良く追い込んでいる方。久々の1400mだけに仕方がなかった。

第70回朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ)

アドマイヤマーズ

2人曳き。今日も堪えが利いていた。数字はほぼ一緒だが、叩いた分、馬体にも張りが出た。前走京都戦は押し出されただけで、出脚が抜群に速いという訳ではなく、好位から。グランアレグリアは叩こうと思えば叩けた筈だが、グランアレグリアが有る程度行ってくれるならマーク策に出るのは想定に有った様。器用さは間違いないところで、早目にグランアレグリアを潰しに行ってそのまま押し切った。強かったというよりは競馬が上手かった印象。今日はメンバーも揃わなかった感が有り、再来週の中山戦組と当たった時が試金石。

クリノガウディ―

2人曳き。大物感はないが、この時期の2歳馬としては纏まっている。落ち着きも有った。好発。グランアレグリアに叩かれる形となったが、そのグランアレグリアが2番手へ行ってくれただけに楽々好位。ただ、道中は結構行きたがっていた。4角でもディープダイバーと接触。直線も手前が替わってフラフラだったが、それでも伸びて2着浮上。グランアレグリアの先導が有ったとはいえ、能力そのものは高い。ただ、4角の接触の件も手前の替え方が下手でバランスを崩したモノ。気性的な部分も含めて、この馬自身には課題も多い。

グランアレグリア

下見は最後方を周回。+6kg。少し余裕残し。イレ込みという点でも一番キツかった。ゲートが特別速かった訳ではないが、クリノガウディーの後ろだと競馬が組み立て辛くなるところで、叩いてハナ。ただ、そこでイッツクールに来られて引かざるを得ず、この馬も連られてしまった。隊列が落ち着いたのは3角。何とかコーナーで一息入れたものの、アドマイヤマーズに早目に来られて苦しくなった。負ける時はこんなモノ。イッツクールはともかく、アドマイヤマーズは意図的に狙った様だが、気性的弱点が突かれた形。それでも3着は確保。シェーングランツと二兎を追って両方逃した感は有るのだが、今日の敗戦で能力評価を落とす必要はない。

ファンタジスト

2人曳き。チャカつく。馬体ももう少し絞った方が良さそう。外枠を克服出来る迄の出脚はなく、好位直後。折り合いは付く馬で、壁がない分、多少行きたがった部分も有ったが、他馬と比べたら遥かにマシだった。直線はそれなりに伸びているが、前も同じだけ伸びており、差を詰める迄には至らず。これも器用さは有るが、パンチ力に欠く。勿論、今日は枠に殺された感も強い。このメンバーなら上位とも差のない能力は持っているといえるのだが。

ディープダイバー

前後肢にバンテージ。父ブラックタイドはディープインパクトより見栄えのする馬だったが、父をひと回り小さくした様な馬。出脚は相当速そうだったが、ハナへ行く気はなく好位から。これも比較的折り合いは付いていた方だが、コーナーでのモタれ方が酷く、マトモに回れていなかった。それを思えばまだ直線は真っ直ぐ走っていた方だが...。まだ500万に使える立場だが、折角の出脚を上手く行かせる様になればオープンでも通用する筈。

第4回ターコイズステークス(GⅢ)

ミスパンテール

大型馬だが、スカッとした造り。気配も良かった。大型馬だが、スカッとした造り。気配も良かった。好発のハーレムラインに抵抗しつつ、内の馬だけ叩いて好位直後のイン。一瞬だけ脚を使ったが、折り合いは付いて道中は流れに乗れた。カワキタエンカが1000m57.0秒と引っ張ったことで縦長の展開になったのも揉まれるリスクが減るという点で向いた。直線は少し前が詰まりそうになっていたが、先に抜け出そうとしていたリバティハイツとリナーテの間をコジ開けて来た。最後は上がりの掛かる展開で馬格もモノをいっただろう。昨年から3kg増での連覇は立派の一言。ただ、良績が冬場に集中。暫くは稼げるだろうが、ベスト条件といえる春の東京戦迄、デキを保たせるかどうかが鍵となる。

リバティハイツ

前後肢にバンテージ。数字の割に大きく見せる重戦車タイプだが、スプリンター。ゲートは五分程度だったが、積極的に乗られて好位から。イレ込むイメージの有る馬だが、出して行った割に、意外な程、折り合いは付いていた。正攻法で直線入口で先頭。ミスパンテールの目標にされてしまった感は有ったが、2着は確保。ミスパンテールとは2kg差有ったとはいえ、この競馬が出来れば先々明るい。能力面だけでなく、折り合いが付いてロスなく運べたという点を高く評価したい。

デンコウアンジュ

シープスキンノーズバンド。+6kg。数字はこれで良いが、もう少し歩様に力強さが欲しい。ゲートは一応五分だが、例に依って出脚がサッパリで後方から。道中は只管インを回って、直線は一瞬だけ外を狙おうとしていたフシも有ったが、結局内へ。良く伸びているが、進路を探しながらだっただけに、ところどころでアクセルを緩める場面が有った。中山のイン突きで中々突き抜けるのは難しいものの、惜しい3着。この辺りのメンバーなら展開一つ。ただ、若手や外国人騎手ならまた違っただろうが、今年イマイチ乗れていなかったベテラン騎手に突き抜けるのを期待するのは酷な話でも有る。

フロンテアクイーン

シープスキンノーズバンド。テンション高いのは何時ものこと。馬は大きく変わっていない。ゲートが少し悪く、カワキタエンカに叩かれる形となったが、それでも積極的に乗られて2番手から。そのカワキタエンカが結構なペースで飛ばし、結果的に吹かし過ぎた印象だが、直線入口で先頭に立ち、坂の途中迄は踏ん張っていた。乗り役はこれで指示通りとのことだが、杓子定規だった感は否めない。

ディメンシオン

2人曳き。-8kg。イレ込みがキツい。腹も多少巻き気味。ゲートは五分程度。外からハナへ行ったカワキタエンカに一瞬だけ抵抗する素振りを見せたが、マトモに引っ掛かってしまい、引っ張っている内に少し番手が下がって6番手辺りから。それでも何とか折り合いが付いたが、4角から直線に掛けて、少し外へフクれて内からの2頭にスペースをやってしまったのが勿体なかった。リナーテは結果的に先着出来たものの、ミスパンテールが勝ってしまった。この着差だけにスムーズなら 馬券圏内は有った筈。

第70回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ(GⅠ)

ダノンファンタジー

前後肢にバンテージ。迫力で勝負するタイプではないが、今年のメンバーだとこの馬でもトップクラス。とはいえ、小走りは歓迎しない。ゲートはむしろ速い位だったが、折り合いに専念して後方から。それでも道中は引っ張り切りの追走で、それ故大事に乗らざるを得ず、4角でクロノジェネシスに被されそうになっていたが、何とか脚でコジ開けて進路を確保すると、クロノジェネシスとの併せ馬を坂を上り切ってから突き放した。レース内容だけなら強い。ただ、一戦毎にテンションが上がってしまっている印象も。牝馬だけに良い傾向ではなく、今後は調教手腕が試される。

クロノジェネシス

数字はないが、バランスが取れてスカッとした造り。キビキビした歩様が好印象。出遅れ1馬身不利。更に外のタニノミッションに前をカットされ、更に出脚が鈍り、最後方から。それでも眼前にダノンファンタジーが居たことで競馬は組み立て易かっただろう。前述した様にダノンファンタジーの進路を潰すイメージで乗られたが、それでもコジ開けられて最後は追い負けた。相手に危うさは有るのは確かだが、今日の内容だけだと中々逆転迄は難しい印象も。ちょっとコーナリングが雑だった点も課題。

ビーチサンバ

増減なしだが、大分馬がしっかりして来た。歩様にも力強さが出て来た。ゲートを五分に出て中段から。全部ではないが、内外前に馬が居て、2歳牝馬としては気を遣う位置。それでも直線はダノンファンタジーの1馬身前だから悪い位置ではなかったが、追い出して内にモタれていた。真っ直ぐ走れていれば最低でも2着は有った内容。最初に外からステッキを入れていた乗り役も大概だが...。とはいえ、前走東京戦で負けたシェーングランツに先着した点は好印象。

シェーングランツ

-8kg。姉ソウルスターリングとは迫力で劣る。ただ、緩んだところがなく、現状のデキとしてはほぼ満点。出脚で負けている訳ではなかったが、周囲の馬が押していた為、控える策。ただ、中段辺りで運びたかったところが、外から次々と来られている間に結局はダノンファンタジーと同じ位置迄下げさせられ、直線も一瞬モタついている間に進路をなくしてダノンファンタジーの通った後を追うしかなかった。この馬自身も、もう少し反応が良くなると理想的だが、ソウルスターリングの淡泊さを考えると2歳時はこの位で丁度なのかも。現時点でも外枠なら馬券圏内有った筈で、今年のメンバーなら大差はないという評価にしておきたい。グランアレグリアと使い分けただけに何とかしたかったところだが。

プールヴィル

+10kg。数字のない馬だけに、馬体増は無条件でプラス。見た目にもトモにボリュームが出た。ただ、2歳牝馬だけにもう少し落ち着いて欲しいところ。出脚やゲートはシェーングランツの方が勝っていたが、押して好位のイン。出して行った割には折り合いも付いてスムーズに運べたが、坂下辺りでメイショウショウブに寄られて引っ張る場面が有ったのは痛かった。上位勢もそれぞれ失敗した部分が有るとはいえ、そこが抜けていれば際どくなっていただろう。上位4頭は何れも差す競馬でパターンが違うだけに何ともいえない部分は有るのだが、これも世代上位の一角ということはいえる。

第11回カペラステークス(GⅢ)

コパノキッキング

2人曳き。テンション高いのは何時ものこと。シャープな造りで、高値安定。元々ゲートは怪しい馬だが、ノボバカラがゲートでゴネて待たされたことも有って、出遅れ1馬身不利。押しても進んで行かず、行き脚が付いたのは3角過ぎ。4角大外へ持ち出し、この時点でも前とは軽く10馬身差が有ったが、矢の様な伸びで捕まえた。行けるときは行ける馬で、今日の出脚のなさは恐らく内枠で砂を被った故だろうが、先行するよりむしろこの形の方が確実。ブロードアピールの後継者になれるかも。

サイタスリーレッド

8月新潟戦以来だが、数字通りほぼ出来ていた。馬に活気が有った点も好感。好発。芝の部分での出脚はやや苦しかったが、ダートに入ってからもスピードが落ちず、ハナへ。直ぐ外のナンチンノンにはくっついて来られたが、4角で楽々振り切って完全に勝ちパターンだったが、コパノキッキングの脚が1頭違っていた。休み明けでも活気という点でむしろ良くなっており、これで負けたら相手を称える外ない。重賞で適当な条件が少ないという面は有るものの、直ぐにチャンスが回って来るだろう。

キタサンミカヅキ

2人曳き。何時ものこの馬。もう少し馬体に張りが有るとベストだが、年齢分も有るだろう。これもゲートで待たされた影響が有ったか、普段は遅れることのない馬が微妙に出負け。更に58kgを背負っていることも有って出脚も鈍く、中段から。とはいえ、前は固まって後ろはバラバラの展開となり、揉まれない形で競馬出来たのは大きかった。4角も自然と前が開き、ジワジワ伸びていたが、コパノキッキングには並ぶ間もなく交わされて3着止まり。基本はマーク屋というのか、競馬が上手いタイプで、今日の様な形だとワンパンチが足りない。

タテヤマ

ボテッと映るのは毎度。それを差し引けば特に悪い印象はない。サイタスリーレッド程ではなかったが、ソコソコ出脚が有って好位のイン。前2頭が飛ばしていたことで、揉まれなかった上に大して砂を被らずに競馬が出来た。直線も結構際どく踏ん張っていたのだが、右手前のままで走っていた分、一押しを欠いた感も。裏を返せば力量的にはそれ程差はない。初オープンだっただけに、今後はクラス慣れも見込め、馬券圏内にマークが必要。

ヴェンジェンス

+6kg。数字分だけ多少立派かも。それでも気配は悪くなく、充分走れる状態。ゲートは出ているが、出脚で差が有って後方から。それでも比較的早く流れに乗れていた。結果的に内が開いていただけに勿体なさは有るのだが、外を回して凡そコパノキッキングに対し、1馬身半遅れ程度の脚は使っている。相手はこのカテゴリー最強クラスだけに充分といえる内容。これも重賞初挑戦だっただけに、今後が楽しみに。

第54回中日新聞杯(GⅢ)

ギベオン

一息入ったが、毛ヅヤピカピカ。前走中山戦より明らかに馬が良くなった。2000mのメンバーだと流石に出脚が一枚上だが、折り合いに専念して中段から。外枠のマイスタイルが逃げる形になって、結構流れたが、バラけた位置で折り合いが付いたことが大きかった。4角も手応え充分で、追い出しを待つ余裕が有った位だったが、それでもラスト250mで抜けきってしまい、ソラを遣ってフワッとしたとしたところをショウナンバッハに強襲。ただ、後述する様に、そのショウナンバッハが早仕掛けだったことが救いとなり、再びエンジンを掛け直して差し返すだけの時間がギリギリ有った。戦前は距離がどうかと思ったが、単純に地力が違っていた。本来のマイルならGⅠ級。

ショウナンバッハ

遮眼革。+6kg。前走京都戦も決して悪い訳ではなかった。好調持続。ゲートが開いて直ぐ、外のメートルダールと接触したが、何とか踏ん張って五分のスタート。後方からの競馬では有ったが、何とか馬群には付いて行けた。ただ、ギベオンを目標にしたことは正解だったものの、3〜4角中間辺りから動いており、流石に早過ぎた印象も。一旦は完全に抜け切りながら差し返された。元々、左回りで少し時計の掛かる馬場は得意としているが、冬場の方がデキが良いことも有って、新潟戦3着以上には走った。敗戦は乗り役が責任を追うべき。馬は頑張っている。

ストロングタイタン

+36kg。流石に腹回りがボテッと映るが、数字程でもない。ゲート五分。出脚も悪くなかったが、この馬より外のスズカディープに叩かれる形となり、そこで手綱を引っ張って道中は少し掛かり気味だった。流石にギベオンとショウナンバッハには並ぶ間もなく交わされていたが、内にモタれるのを乗り役が必死で立て直しながら3着は確保した。大幅馬体増で機動力がなかっただけで良く走っている。ただ、基本的には右回りの方が良いだろう。

レイホーロマンス

ガサのない牝馬で下見からは手が出し辛いタイプだが、冬場を得意としているだけ有って、毛ヅヤが良い。この馬自身もゲートが悪かったが、ストロングタイタンを起点に、ショウナンバッハと接触してしまい、更に出脚が鈍り、後方から。そのまま腹を括って折り合いに専念して直線迄待ってから大外へ。良く追い込んでいるが、馬券圏内迄は至らず。ゲートをもう少しマトモに出ていれば際どくなっていただろう。一般論としては次走狙い目ということになるが、恐らく今回と同条件の限定戦で人気になりそう。ゲートがアテにならず、あくまで配当次第。

メートルダール

2人曳き。前後肢にバンテージ。馬体はこれ位で丁度。休み明けの割に張りも有ったが、もっとこの馬は煩い位がベスト。スタート直後に内へヨレてショウナンバッハと接触。これ自体は影響はなかったが、外枠の馬に叩かれて中段やや後方から。道中は序盤だけ行きたがっていたが、直ぐに折り合いは付いた。ただ、切れる脚がなく、ジリジリだった。機動力がなくなっており、休み明けの影響は有ったかも。

ジャパン・オータムインターナショナル 第19回チャンピオンズカップ(GⅠ)

ルヴァンスレーヴ

2人曳き。前肢にバンテージ。大分馬がしっかりして来た。現状で古馬から一枚落ちる程度の迫力。ただ、毛ヅヤが冴えて純粋にデキが良い。この馬自身もゲートを出たが、後続に差されないことを一番に、大事に乗られた。兎に角アンジュデジールを可愛がるだけ可愛がり、直線迄待ってからゴーサインを出してアッという間に突き抜けた。勿論、このメンバーで一番強いのは間違いないのだが、展開が楽過ぎて能力判定不能というレベル。ダートで3歳馬が古馬に勝つパターンは大抵時計勝負だが、良馬場で勝った点は好印象。故障しない限り、長く王者として君臨することになりそう。

ウェスタールンド

オーストラリアンブリンカー。取り立てて見栄えがすることもないが、高値安定。歩様がしっかりしていた。意外と出脚は有った気もしたが、今日は最初から最内強襲に拘る作戦。道中は離れたドン尻から。乗り役は中京1800mは最内が開くと信じて乗っていた様だが、スローでルヴァンスレーヴがコーナーで動かなかったことで、余計に馬群が横長になって捌き易くなった。勿論、  この馬自身もコーナーでの脚が速く、3〜4角中間でもシンガリだったが、直線入口では既にアンジュデジールの3馬身後方の位置。そこからルヴァンスレーヴが抜けたところを通って2着浮上。狭いところを苦にしない点を強調されるが、今日は出脚が有った点も案外大きかったのでは?

サンライズソア

パシュファイヤー。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+8kg。下見は最後方を周回。多少立派だが、ダートならこれでも。この馬としては落ち着いていたのが何より。この馬も出遅れた訳ではないものの、内の馬の方が速く、瞬時に諦めて好位から。折り合いも付いて、これはこれで良かった筈。坂を上る迄は一瞬勝ったかの勢いだったが、そこからが保たなかった。完全に底力の差を見せ付けられた格好。古馬の中ではチャンピオンクラスだが。

アンジュデジール

+6kg。もう少し柔らか味が出るのが理想だが、馬自体は前走京都戦以上。数字分だけ良く見せる。好発。出脚も有って、スッとハナ。1000m通過が61.9秒は良馬場ダートを考えても遅い。ルヴァンスレーヴが直後に付いていた為、他馬も競り掛けて来ず、ここ迄は楽が出来たが、直線向いて突き放そうとしたところで甘くなった。今日の展開で勝てない以上、牡馬とのパワー差が出たという外ない。

オメガパフューム

シープスキンノーズバンド。現状のデキが悪い訳ではないが、ここへ入ると迫力不足。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。道中の折り合いは問題がなかった。ただ、4角でウェスタールンドがスムーズにインを通って来れたのに対し、こちらは直線で少し待たされた。一瞬は絶望的位置だっただけに、これでも良く追い込んでいる方だろう。もっと筋肉が付いて来れば良くなる筈で、まだ成長の余地も残している。

第69回チャレンジカップ(GⅢ)

エアウィンザー

前後肢にバンテージ。デビュー当時からユッタリとした造り。大きく変わったことはない。好発。少し出して好位から。マルターズアポジーが大逃げとなり、前はバラけたが、馬群の先頭がマウントゴールドで2番手がこの馬。4角から仕掛けて、坂を上る前にマルターズアポジーを捕まえてあとは独走だった。これで4連勝。3歳時のモタつきが何だったのかと思わせる程。今日は相手が大概だが、この内容ならGⅠでも大崩れは考え辛い。来春の大阪杯が最大目標となるだろうが、通用する筈。

マウントゴールド

マトモに周回出来ないのは何時ものこと。とはいえ、馬体は数字の割に迫力が有る。出脚は有ったが、行きたい馬に行かせて好位から。前述した様に前はバラける展開となり、実質的にはハナを切っている様な格好。下見の気配の割に折り合いは付いていた。4角の回り脚で完全にエアウィンザーの後塵を拝したが、直線向いてからは渋太く脚を伸ばして2着は確保。ステイフーリッシュ、ダンビュライトに先着なら、例年の水準級は有るのだろう。今日はエアウィンザーが強過ぎただけ。

ステイフーリッシュ

2人曳き。ステイゴールド産駒らしい体型で、見た目は評価不能。テンション高いのも許容範囲。2000mだと他に速い馬が居て、中段。エアウィンザーをマークする様な格好で乗られたが、4角の回り脚が全く違っていた。相手はキングカメハメハ産駒で、こちらはステイゴールド産駒だけに、本来は逆となるところだが、道中は1馬身後方だったのが、直線入口で4馬身位置かれていた。ただ、今日はイン圧倒的有利だっただけに、外を回し馬券圏内迄持って来たことは高く評価したい。GⅠでは通用しないことは明らかだが、GⅢなら。

ダンビュライト

+14kg。競走除外明けだが、全く問題なし。数字は増えているが、太くも見せない。ゲート内の駐立が悪く、出遅れて後方から。道中は只管インを回って、今日の馬場状態ならこれはこれで良かったが、直線向いていざ追い出してから外にモタれており、最内が開いていたにも関わらず、マルターズアポジーの外へ行ってしまい、前が塞がる位置へ行ってしまった。ステイフーリッシュとは着差が着差だけに勿体ない。ただ、前走東京戦が競走除外だっただけでなく、今日もゲートでブツけて口を切っていたとのこと。気性的に糸が切れかけているのは気掛かり。

マイネルフロスト

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬体は悪くないが、歩様の硬さは相変わらず。この馬の出脚で好位から。道中はずっとエアウィンザーと前後する位置。直線向いて一瞬の反応はなかったが、ジリジリ。最近の中では一番マトモな内容。決め手がないので、中々勝たせて貰えないが、気性的に落ち着きが出て来たのが良い方向に向いている。

第52回スポーツニッポン賞ステイヤーズステークス(GⅡ)

リッジマン

元々小ぢんまりとした造りだが、この時期でもキッチリ出来ていた。気配も良かった。スタート直後に直ぐに内に寄せつつ、この馬の出脚で中段から。折り合いというよりはむしろズブい位の馬だが、今日は意外に行き振りが良かった。2周目向正面辺りからアドマイヤエイカンを相手と決めての進出。ラスト200mで抜け出して完勝だった。ハンデキャップホースのイメージも強かったが、別定戦で勝っただけに、それなりの評価が必要。尤も、アルバートの取り消しには大分水を差された感。

アドマイヤエイカン

この距離だけにもう一絞り有っても良さそうだが、歩様がパワフルで、デキ自体は上々。ジワッと行かせて好位。近年は意外と速くなるパターンも多かったが、今年はスロー。それでも、2周目の2角から前を狙う様な雰囲気で乗られており、もう少し大事乗られても良かった。乗り役の話では決め手勝負を嫌ったとのことだが、結果的にリッジマンの良い目標になった。2着死守したのは馬の底力。3000m超の経験がない中でこれだけ走れば文句なし。アルバートの後継者にはなれる。

モンドインテロ

オーストラリアンブリンカー。+6kg。馬体はこれでも良いが、もう少し歩様に力強さが有っても。多少ゲートが悪かったが、出脚でカバーして好位のイン。このペースで折り合いも付いていた。ただ、2周目4角でズブさを見せ、上位の7枠2頭に回り脚で置かれていたが、直線は盛り返してここ迄。基本的には東京向き。ただ、昨春戦の8着の様にスローの上がり勝負にならないのが条件。

マサハヤダイヤ

前後肢にバンテージ。-12kg。距離を意識して絞って来たか。歩様を含めて悪くない。ゲートは若干悪かったが、行く気もなく後方から。来れも最初から内へ寄せていた。今日の展開では少し前と離され過ぎた感も有るのだが、只管インを回って最後の直線でやっと追い付き、最後迄バテずに伸びて4着浮上。これもスタミナは持っている。ハービンジャー産駒だけに長丁場の東京向く筈で、ハンデ次第で狙い目に。

アルター

520kgでも胴長でスカッと見せる。歩様も伸びが有ってスムーズ。ジワッと行かせて中段から。被されると止める癖が有るとのことで、前に馬を置くことは有っても、外に置かない様に気を遣って乗られた。11番人気の馬が5着だから、力を出し切ったといえそうだが、伸びる様なことはなかった。流石に重賞だと決め手が足りない。