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競馬回顧 2020年2回阪神

第80回皐月賞(GⅠ)

コントレイル

毛色で得している部分も有るが、毛ヅヤがピカピカ。ただ、成長はない。前走時点でそれなりに良くなっていたが、そこから4ヶ月経っても平行線。スタートして急かす気はなさそうで、中段辺りからの競馬を想定していた様だが、馬場を気にしたとのことで進んで行かず、更に外から次々と来られ、トドメに1角で接触する場面。序盤は踏んだり蹴ったりの展開で後方から。向正面迄は外に壁が有り、インを通っていたが、3角に漸く外へ持ち出すタイミングが有り、4角手前から一気に進出。サトノフラッグも回り脚の速い馬で、ちょっと抵抗されたことで余計に外を回されているのだが、それをネジ伏せた上で、直線はサリオスを猛追して捕まえた。無茶苦茶強い。今日のダメージは一応案ずるところだが、他は平地100m競走のところを1頭だけ110mハードルを走って勝った様な能力差が有る。

サリオス

2人曳き。馬は迫力有るが、例に依って多少腹回りがボテッと映ったのも確か。歩様にも硬さが有ったのも毎度。出脚は直ぐ外のウインカーネリアンの方が速かったが、抵抗しつつ好位を確保。馬場状態を考慮すれば1000m59.8秒は少し流れたが、馬にパワーが有るので荒れ馬場も関係なく、内目を通って進出。直線も内から2頭目から。抜け出してから外へ持ち出し、コントレイルとの一騎打ちだったが、坂を上がってネジ伏せられた。最高に運んだが、直線で手前が替わらなかった。デキの甘さが出たか、距離が長かったか。勿論、これも例年の水準級以上なのは間違いないが。

ガロアクリーク

馬体は前走と変わらずでそれなりに悪くなかったが、下見から首が使えていない。ただ、今日は歩様が明らかに良くなったのは好材料。最初からあまり行く気はなく、中団やや後方で折り合いに専念。馬群の外だったことも有るが、道中の行き振りは良かった。勿論、コントレイルとは回り脚で差が有ったが、渋太く脚を伸ばしてきた。首を使うのが下手な馬で、追い出すと更に頭が上がって不格好なのだが、それでも走るのだから立派。最終的にはマイルが主戦場になるだろうが、この時期とはいえ、2000mでも走れるのは能力の証明。

ウインカーネリアン

シープスキンノーズバンド。これでも大分マシになったが、まだ姿勢が高い。馬体そのものは悪くないが、姿勢の分、歩様に力強さを欠く。出脚が速く、決勝線通過時は先頭だったが、外から逃げ宣言のキメラヴェリテが行って2番手から。前述した様にペースはソコソコ流れたが、キメラヴェリテがしっかり引っ張ってくれた分、後続のマクりがここ迄届く展開にはならず、自分のタイミングで追い出すことが出来た。直線でコントレイルやサリオスとは脚が違ったのは仕方がないところとしても、3着は死守したかったところだが、500万上がりの馬がここ迄やれれば充分だろう。この内容ならオープンでも足りる。

サトノフラッグ

シープスキンノーズバンド。一歩一歩の脚取りが抜群に力強い。馬体も緩んだところがなく、前走以上。コントレイル程はゴチャつかなかったが、外の馬に行かせて出たなりの中段辺り。今日の展開なら絶好の形だったが、4角の回り脚でコントレイルにやられ、そこからは雪崩込んだだけだった。少なくとも前走より走っておらず、完全に精神的に屈服した様な負け方。順調に使えているので、次走東京戦もデキに問題はなく臨める筈だが、かなり厳しくなった。

ダーリントンホール

2人曳き。-10kg。前走東京戦で重賞を勝っているが、一枚太い状態で、これ位が現状のベスト。毛ヅヤも冴えて、気配も上々。デキはケチの付け様がない。この馬自身もゲートが悪かったが、更にキメラヴェリテに寄られて後方から。そこで腹を括って、最初から外へ持ち出してノビノビ走らせていた。ただ、トビが大きいので回り脚がなく、他馬との兼ね合いで余計に外を回されてしまった。6着でも直線は良く盛り返した方だろう。現状だと東京の方が良さそうで、次走狙い目に。

第25回アンタレスステークス(GⅢ)

ウェスタールンド

オーストラリアンブリンカー。これで走れていることも確かだが、見た目に年齢的な緩さは感じるところ。ただ、手先に柔らか味も有って、良くも悪くも枯れている印象。最近は意外とゲートを決めていることが多く、今日も例外ではなかったが、行く気はなく後方から。砂を被っても全く問題はなく、道中は内でも外でも行ける馬だが、今日は余程手応えに確信が有ったか、4角手前から動き出して躊躇なく外へ。この回り脚が抜群に速かった。直線入口で前と2〜3馬身差迄押し上げて来ており、坂を上り切った辺りで抜け出して勝負有り。今日のメンバーだとどう乗っても勝てた様な力量差が有りそう。意外にこれが初重賞制覇とのことだが、相当強い。

アナザートゥルース

遮眼革。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。馬体はこんなモノだが、もうちょっとしっかり踏んで欲しいところ。トモの送りがバラついていた。ゲートは出ているのだが、本来はもう少し行き振りのいい馬だった筈が意外と進んで行かず、結構オッツケて漸く好位から。その分、序盤は力む場面が有った。向正面で折り合いが付き、58kgを背負っていたことも有って、少し早目の立ち回り。ウェスタールンドにはほぼ無抵抗だったものの、僅差の2着争いを凌ぎ切った。昨年は56kgでのVだったが、今年は58kgでこの内容なら勝ちに等しい。これでも強くなった。

クリンチャー

前走中山戦と大きくは変わらず。皮膚を薄く見せて、毛ヅヤが良かった。歩様も悪くなく、この馬としては活気も有った。少し滑る様な出ッパになり、一瞬出脚が鈍ったが、何とか立て直して好位から。基本的にはアナザートゥルースに付いて行く形で乗られた。基本的には上手く運べたが、4角でウェスタールンドに回り脚でやられ、一瞬怯んだ様な形になってしまったのが痛かった。直線は良く盛り返しており、最後は単なる首の上げ下げで負けただけだが、勿体ない競馬になった。ただ、これもダートに転向して堅実に走っており、充実著しい。

リワードアンヴァル

前肢にバンテージ。。このメンバーに入ると馬の迫力は上位。歩様にも力強さが有って、下見だけなら飛び付きたくなる馬。好発。外のメイショウワザシの逃げに有る程度抵抗して好位3〜4番手から。相手をベストタッチダウンと決めていた様で、只管フタをしていたが、そのベストタッチダウンが4角で手応えが怪しくなり、直線入口で先頭。今日の馬場で1000m通過61.1秒だからそこ迄速いという訳ではかったのだが、タイミングが早くなってしまった分、最後の粘りを欠いた。これも好内容。特にこの馬の場合はまだ4歳で、伸びシロは大きい。

コマビショウ

毛ヅヤは悪くなく、馬体はこれでいいが、トモの送りが硬い。下見で歩いているだけでも、全然前に進んで行かない。ゲートは分がいい方だったが、出脚は速くなく何とか中段から。ただ、好位グループが固まって、その直後のポケットが確保出来ており、展開としてはわりぃまぁっやが。ウェスタールンドにマクられて、直線で進路が暫くなかったのが痛恨だった。それさえなければもう少し際どくなっていた可能性も有るが。出脚がないのは余程の決め手がない限り、ダートでは苦しい。

第29回アーリントンカップ(GⅢ)

タイセイビジョン

2人曳き。+10kg。元々はシャープに見せていた馬だが、大分しっかりして来た。多少物見は有ったが、無観客で仕方がないところ。出ッパは分がいい位だったが、全く行く気がなく後方から。最初から位置取りよりも馬群の中へ入れたかったとのことだが、むしろ悪い形にしてしまった様に見えた。ただ、今日は1000m57.6秒と流れた割に4角の馬群が京都外回りの様に横へ広がったことで、前との距離が自然と縮まり、思い切ってインを突いて抜け出した。これが次走どう出るかはなんともいえないところだが、能力上位は証明出来た。取り敢えず胸は張って東京へ。

ギルテッドミラー

前肢にバンテージ。テンションの上がり易い馬だが、今日は落ち着いていた。現状は手先だけで歩いている印象で、もう少ししっかり踏めるとベストだが、馬体はヒケを取っていない。ゲートを五分に出て、この馬の出脚で中段から。馬群の外では有ったが、出来る限り、距離損を少なくして、前のロードベイリーフを壁にして折り合いを付ける形。追ってからは外へヨレる場面も有り、結構苦しそうだったが、それでも何とか2着は確保。今後へ向けて折り合いが付いたことと、賞金を加算出来たのは大きい。

プリンスリターン

-4kg。もうちょっと腹回りが絞れるとベストだろうが、馬は張っている。歩様に硬さもなく、気配も悪くない。ジワッと行かせて好位から。今日は最初からペースが速く、何とか我慢させたかったところだが、3角過ぎからロードベイリーフに来られて馬がソノ気になってしまい、抑えが利かなくなってしまった。唯でさえ流れたのに、最悪の形になってしまったが、最後迄渋太く粘っていた。今日の方が展開としては苦しいが、前走京都戦より真っ直ぐ走れる様になったのは収穫。次走も有力だが、まずは乗り替わりが条件。2走続けて下手を打ったのは頂けない。

ボンオムトゥック

前後肢にバンテージ。柔軟性の有る馬体。踏み込みも問題なさそう。気配も活気が有って、まずまず。ゲートで微妙に安目を売ったが、少し出して中段から。道中の折り合いは全く問題がなかった。ただ、直線は一瞬の反応が悪く、最後迄伸びているのだが、ジリジリで4着迄。乗り役はゲートの失敗を悔いていたが、現状は確かに行かせた方が無難だろう。器用さは有りそうで、慣れれば変わって来る可能性も高いが。

トリプルエース

-8kg。数字は絞れたとみていいが、もうちょっと鍛える必要も有りそう。スカッと見せるが、ところどころが薄い。これもゲートで後手に回ったが、出して行って好位から。出した分、道中は少し行きたがっていた。直線はインを突いて、一瞬オッという反応だったが、坂を上り切れなかった。能力的にはそこ迄差はない筈だが、まずは五分にゲートを出ないことには。

第80回桜花賞(GⅠ)

デアリングタクト

後肢にバンテージ。馬体をフックラ見せて、このメンバーでも馬は負けていない。強いていえば微妙な歩様の硬さが気になる程度。この馬としてはゲートを決めた方だが、急かせる様なことはなく、出た位置でジックリと。この馬場で中途半端なことはせず、直線も躊躇なく大外へ。坂を上る途中で、右手前になり、この馬とて決して楽ではなかった筈だが、1頭だけ脚が違った。単純に強い。折り合いに不安がなく、ゲート以外に注文はないだけに、次走東京戦も最有力。ただ、今日のダメージは相当デカい。歩様の硬い部分の有る馬で、状態面は一応注視したいところ。

レシステンシア

前後肢にバンテージ。-6kg。迫力充分の馬だが、数字分だけシャープになった。馬に集中力が有った点も好感。武豊騎手といえども、テン乗りの分、何時ものスタートではなく、ジワッと行かせて2番手から。これだけ雨が降ると無理に行く訳にも行かず、馬の手応えに任せて4角から前に並び掛けて行く形。坂を上り切ってスマイルカナを交わし切ったところで余力がなくなった。何時の時代も先行馬がラチを頼れないと何かにやられるのは仕方がないところ。強い競馬をしている。次走は現状で未定だが、自分の競馬が出来るかどうかだろう。この手の馬、増してこの時期に距離云々はナンセンス。

スマイルカナ

前肢にバンテージ。416kgの馬体にしては馬を大きく見せる。毛ヅヤも冴えて、デキに問題はないが、周回を重ねる毎に煩くなっていた。戦前の宣言通り、ハナへ。レシステンシアがそこ迄速くなかったことも幸いして、楽に行けた。レシステンシアの状況を考えれば、道中のマークがキツいのは仕方がないところ。1000m通過58.0秒も、馬場状態を考慮すれば相当速かったが、後続がデアリングタクト以外、差して来ず、何とか3着に踏ん張った。前走阪神戦も行けずに引っ掛かっていた割に0.5秒差とボロ負けしておらず、結構能力は高い。ただ、もう少し出脚が有ると楽。今日は枠の並びが味方した。

クラヴァシュドール

2人曳き。前後肢にバンテージ。-4kg。もっと馬体が増えて欲しいところ。毎度のことながら気負っていた点もマイナス。少し出して行って好位。序盤で番手を上げた馬が多かったことと、3角で挟まれる様な格好になり、後方に近い位置。特に3角の不利は痛かった。4角で後方のイン。道悪では最悪の形だったが、その中でも渋太く伸びて来た。スムーズなら3着は有っただろう。ここ迄の戦績は明らかに一線級と差が有る内容なのだが、今日はまずまず強い競馬。手堅いが、ハーツクライ産駒で、3歳時はこんなモノのままかも。化けるとすれば古馬になってから。恐らくその場合は、リスグラシューの様に馬体重に表れる筈。

ミヤマザクラ

+6kg。少し間隔は開いたが、緩んだところはなく、キッチリ仕上げて来た。歩様の力強さも特筆モノ。出脚は有る筈だが、少し出して行って好位。この段階で既に怪しかったが、3角から急に手応えが悪くなり、追走だけで汲々。もっと本来は行き振りのいい馬だが、馬場を相当気にした様で、何度も鞍上がハミを掛け直していた。直線も全く伸びなかったが、かといって止まっている訳でもなく、今日は地力の一端で勝ち取った5着。距離は苦にしない筈で、東京経験も大きく次走は巻き返し濃厚。

サンクテュエール

垢抜けた馬体で、歩様もしっかり踏めていた。ただ、今日のメンバーだと馬体の重量感や迫力で見劣る。ゲートを決め手好位のイン。道悪で馬群がバラけ気味だったことも有るが、特に馬場を気にしている様子はなかった。ただ、追い出してからは伸びずバテず。要はパワー差の問題が道悪でクローズアップされた形。このままでは距離延長もいい方に出るとは思えず、鍛え直す必要が有る。

マルターズディオサ

前走と違って落ち着いていたのが何より。馬体に張りが有って、前走も決して悪くなかったが、叩いて更に良くなっていた。出脚が速く、スッと好位。ただ、しばらくしてマトモに引っ掛かっていた。この馬場で引っ掛かってしまったら勝ち目はなく、直線はバッタリ。ただ、見方を変えれば、この馬場で掛かるのはパワーアップの証ともいえるだろう。明らかに今年に入って馬が良くなっている。

第38回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

ルフトシュトローム

2人曳き。後肢にバンテージ。まだ成長途上という印象だが、骨格自体はバランスが取れている。毛ヅヤも良かった。一完歩目も遅かったが、出脚も速くなさそうで、押しても後方から。4角手前から手応え充分に進出。4角でシーズンズギフトが弾いたコウソクスピードにパチンコされる場面も有ったが、最後迄しっかりとした脚取りで差し切った。単純に強かった。能力だけをいえば、GⅠでも通用ということになるが、ここまで中山マイルで3戦3勝で、東京で走った経験がない。それでもマトモに走れば勝ち負けだろうが、出脚がないのでアテにし辛い面は残る。

シーズンズギフト

良く見せる馬が少ないメンバーだったが、迫力が有るという感じはない。歩様ももうちょっとスムーズに捌いて欲しいところ。これもゲートが悪かったが、頭を上げて引っ掛かっており、馬群へ入れて、敢えて走り辛くして我慢させる形。3角過ぎからは上手く走れていた。前述した様に4角で粗相は有り、乗り役は戒告を受けたが、それでも直線は一旦抜け出す場面。最後は思いの外、抜け出すのが早くなったのと、序盤に引っ掛かった分だろう。その後放牧へ出しており、東京戦は使わない可能性も有るとのことだが、これも能力は高い。

ウイングレイテスト

後肢にバンテージ。腹回りがボテッとしているのは毎度だが、これが絞れるに越したことはない。馬に活気が有って気配は良かったが。外の馬に出遅れた馬が多かったが、その中ではマシな方。道中はルフトシュトロームと並走。4角で例の不利が有り、大外に居たこの馬は一番飛ばされてしまったが、それでもルフトシュトロームよりも追い出して直ぐの脚勢が勝っていた程。恐らく最後は決め手の差で、少なくとも脚が上がった様には見えなかったが、突き放されてしまった。堅実は堅実だが、33秒台の脚がなく、絞れた方がべスト。

アブソルティスモ

横から見るか限りでは、500kgを感じさせない馬だが、それだけ幅が有る。歩様にもブレがなく、完成度が高い。前走中京戦で出遅れた馬だが、今日は五分。ゲートさえ決めれば出脚はソコソコ有って、有る程度出して行ったら、上手くポケットに収まった。直線は開いていた前が塞がって、最内へ切り替える場面も有ったが、それでも進路は確保出来た。それで不利の有った3着ウイングレイテストと2馬身半差と考えると、もうちょっと頑張って欲しかった感も有る。重賞だとワンパンチ足りない印象。

ソウルトレイン

前肢にバンテージ。まだまだ全体に力が付き切っていない。歩様も手先だけで歩いており、踏み込みがサッパリ。ゲートを決め、出脚も速そうだったが、内枠の馬が行ったことも有って、深追いは避けて好位4〜5番手辺り。道中の手応えは決していい様には見えなかったが、積極的に前を追い掛けて行き、手応えの割には良く踏ん張っている。馬は鍛え直してからということになるが、根性は有りそう。ここからは厩舎技量が問われる。上手く行けば大化けも。

第63回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

サウンドキアラ

今年に入って充実著しい。トモにボリューム感が有り、重戦車の様な造りで、見た目そのままの力強さが有る。落ち着きが有ったのも何より。枠の利も有ったが、好発を切って出脚も速く、行きたい馬に行かせて、好位から。ただ、1400mからの転戦で、少し力んでいたことも有り、ガッチリ押さえている間に番手が下がり、4角ではほぼ中段。それでも我慢した甲斐は有り、坂下で進路を確保すると、しっかりした脚取りで抜け出し、後続を寄せ付けなかった。坂が戦前は不安視されたが、流石に今の充実振りだと関係なかった。次走も勿論圏内だが、あとはデキの問題と1分31秒台で走れるかどうか。時計はこなせそうな気もするが、今年既に3走目でGⅠを狙うには何処か1走余計だった感は有る。

スカーレットカラー

前肢にバンテージ。+16kg。馬体にメリハリがなく、全体に緩い。気配に乏しいのは何時ものことだが。一瞬、滑ったか沈む込む形になり、ダッシュが付かず後方から。腹を括って後方でそのままジックリと。直線向いても只管我慢、坂の辺りで少し狭くなったが、半ば脚でコジ開けて2着浮上。好位でも競馬は出来る馬だが、近走の傾向から矯めた方が結果は残せている。何かと現代競馬で不利な追い込みだが、距離の融通性が利くというメリットを生かした形。次走も有力だが、高速決着には疑問も残る。

ディメンシオン

-10kg。前走京都戦が太かった。大幅馬体増の馬が多い中で、キッチリ絞って来た。多少煩いのは何時ものこと。出脚が抜群に速いという訳ではなさそうだが、内の馬を叩きつつ、トロワゼトワルに行かせて番手から。追い出しを出来る限り我慢して、トロワゼトワルを交わしたのは内回りとの合流地点を過ぎてから。その後の脚はサウンドキアラと違っていたが、ラスト数10mでスカーレットカラーに捕まってしまい惜しい3着。好位で流れに乗れれば渋太いが、出脚が足りないので、中々スムーズに行かない面は有る。今日はサウンドキアラが引いてくれたこととトロワゼトワルより内枠だったことがいい方に出た。

ビーチサンバ

季節が変わったことも有るが、毛ヅヤが良くなった。馬体そのものは前走も問題はなく、気配も問題なかった。一瞬の出脚はマイルでは厳しく、少し出して中段から。それでもサウンドキアラの直後だから悪い位置ではないのだが、追ってからの反応も鈍く、兎に角ジリジリだった。前走で1400mを使った効果に期待したが、その甲斐はなかった様で、現状だとマイルは忙しい。ピリッとするにはもう少し経験が必要。

ダノンファンタジー

前後肢にバンテージ。+22kg。元々スマートの馬がドッシリ見せる様になったのはいい傾向。従って、成長分も有るだろうが、腹回りを見る限り、10kgは重い。出脚は抜群に速い馬だが、馬体増の影響が有るのか、この馬としては進んで行かず、何とか好位というレベル。追ってからももっと俊敏な馬がジリジリで、坂を上って止まった。トライアル仕様と考えればこれで仕方がないところ。馬体絞って改めて。

第64回大阪杯(GⅠ)

ラッキーライラック

前後肢にバンテージ。馬自体は元々牡馬相手でも負けていない。前走中山戦より馬体に張りが出て来た。歩様にも手先のバネが利いて、力強さが有る。例に依って出脚が速く、内4頭を叩きつつ、外の行きたい馬に行かせて3番手。後述するが、前2頭がやり合う展開になり、唯でさえ絶好の形となったが、4角、直線入口とジッと我慢して坂下で自然とバラけてから追い出して一瞬の脚を生かし切った。3歳時はアーモンドアイに屈して以降、詰めの甘さばかりが目立っていたが、昨秋から別馬になっている。次走未定とのことだが、マイルは短く、このご時世で海外遠征にも行けずで、阪神戦迄使うところがない。流石に阪神戦は相手が強く連下止まりとなりそうで、秋迄状態を維持出来るかどうかがポイントとなる。

クロノジェネシス

-6kg。最近の中ではスッキリとした仕上げ。ここ目標に磨きを掛けた印象。多少チャカ付くは毎度。ゲートは宜しくない方だったが、大外枠で立て直しも直ぐに利いて好位から。少し出して行った割には折り合いも付いていた。外に居た点も何時でも動けるという点で鞍上としては安心感が有っただろうが、外から進出して来たブラストワンピースに抵抗しつつ動いて、直線もジワジワ伸びているのだが、ラッキーライラックの方が一瞬の決め手が上だった。無論、内外の差も大きく、枠が替わればという話になるのだが、とはいえ現状でこの馬に馬群を捌く能力がないのも確か。能力は牡馬相手でも充分足りるが、今後は現代競馬への適性を身に着ける必要が有る。

ダノンキングリー

2人曳き。前後肢にバンテージ。前走中山戦が余裕残しの造りだったが、ちゃんと馬を締めて来た。歩様に問題なく、気配も上々。出脚は速い馬で、好発決めたラッキーライラックに付いて行ったところ、ラッキーライラックが内の馬を叩いた段階で引いて、押し出される形でハナへ。1000m通過60.4秒は、これだけ見ればスローだが、更に外に居たジナンボーがピタリとくっついて来たことで、息の入り辛い流れになった。普段逃げない馬だけに、ペースも上げられずこうなるとキツい。クロノジェネシスには良く粘っていたが、一瞬の決め手でラッキーライラックに抵抗出来なかった。昨秋の京都戦を考えれば遥かに好内容といえるが、どうも本番で弱い。兎に角ツキが欲しいところ。

カデナ

+12kg。ベストの馬体重ではないだろうが、元々細身の馬で、ちょっとフックラ見せる位で丁度。落ち着いていて、悪い時は悲惨なことになる歩様も問題なかった。最初から行く気もなかっただろうが、一完歩目から遅く、後方から。道中は何が有っても内ラチ沿いから離れず、他馬が追い上げて行く場面でも動かず、イチかバチかで直線も最内へ。幸いに前も開いて惜しい4着。今日はギャンブルが上手く行っただけだが、それでも4着かというところ。最悪は脱したが、GⅢレベルの馬。

ワグネリアン

2人曳き。+8kg。緩んだところがなく、馬体充実。生涯で一番良く見せる。ツル首で気配も抜群に良かった。ラッキーライラックに出脚の違いで叩かれてしまい、その直後。中段辺りから。道中は少し力む場面も有った。結果的にラッキーライラックにベストポジションを取られてしまったということにはなるのだが、逆にいえば進路は有ったともいえる。更に後方に居たカデナにもやられており、かなり案外感の残る敗戦。休み明けは毎回何となく走りが甘いことも確かだが...。

ブラストワンピース

2人曳き。シープスキンノーズバンド。-4kg。今日は目一杯仕上げて来た。数字以上にシャープに作り込まれていた。2000mでは出脚が苦しく、後方に近い位置。早い段階で外へ持ち出していた。ペースは遅く、当然自分から追い上げて行ったが、4角で好位に取り付いた迄は良かったものの、直線は内にモタれてマトモに追えなかった。このメンバーなら力は上位だろうが、今日は馬場と展開が向かず。不器用なだけに注文は多い。

第52回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

クルーガー

前後肢にバンテージ。叩いて順当に良化。毛ヅヤと馬体の張りが良かった。この点は年齢を感じさせない。活気も有った。好発。一瞬の出脚はなさそうだったが、少し出して行き脚が付き、好位から。ただ、1F過ぎから結構行った馬が多く、道中は6〜7番手で引っ張り気味の追走。4角でインへ潜り込めたのも大きかった。直線は少し外へ持ち出されると力強い脚取りで前を捕まえて、後続に2馬身差。これで4年振りの重賞制覇となったが、相変わらず強さを感じさせる馬ではないものの、競馬が上手い。特に時計の速い馬場で少し流れる展開になると走る。

ボンセルヴィーソ

前後肢にバンテージ。元々良く見せるタイプの馬だが、今季は高値安定。歩様も維持出来ている。これも好発。ただ、前走が深追いして失敗しており、今日は大事に乗られ、クルーガーと前後する位置。恐らく昔と比較して回り脚も速くなっているのだろうが、最後に脚を残すイメージで乗られ2着。尤も、これだけ矯めても最後は脚が上がりそうになっていた。以前は準オープンでも取り溢していたが、脚の使いどころが兎に角難しい。

レイエンダ

遮眼革。発汗は目立つが、その点は結果と一致しないタイプ。ただ、皮膚を薄く見せて、毛ヅヤが良かった。デキ自体は最近の中では一番いい。内枠の馬に好発を決めた馬が多く、相対的に出負けして中段から。外にプリモシーンは居たが、前後に馬が居なかったのが良かった。4角でクルーガーの直後。ただ、直線で最初から前が開いていた割に、他馬を気にしたのか一瞬の反応が悪く、ボンセルヴィーソに届かなかった。デキは間違いなくいいと思うのだが、気を遣う部分が多過ぎる。今日はその点を踏まえてスムーズに運べた方で、大分好走パターンも掴めて来たこともまた確かだが、東京の方が条件は揃え易い。

ケイアイノーテック

前後肢にバンテージ。今日は歩様スムーズで力強い。3歳時はスマートな印象の馬だったが、大分古馬らしくなって来た。ゲーも微妙に悪かったが、例に依って出脚がなく後方から。回り脚はお世辞にも速い方ではないが、4角手前から外を進出。直線は大外。外から差して来た馬の中では1頭脚が違ったが、既に競馬が終わった後だった。中山でも走れないことはないが、基本的には不器用なタイプで東京向き。このメンバーで東京マイルなら勝ち負けに持ち込めたということはいえるのだが、東京マイルだと今度は相手が強くなる。残り数年の現役中に1,2回ハマればいいところだろう。

プリモシーン

2人曳き。馬体の張りは悪くないが、前走東京戦と比較して今日は歩様が硬い。その分、姿勢も高い。内枠の馬が速く、出たなりで中段から。前述した様に、道中はレイエンダの外から。ただ、その1頭分外が今日は痛かったかも。56kgを背負っていたことも有って、4角を自力で追い上げる形となり、直線も前走の脚は使えずジリジリだった。以前程、斤量には敏感でなくなっているが、それでも軽いに越したことはない。その点で55kgとなる次走東京戦は巻き返しが濃厚といえるだろう。あとは今日のデキがイマイチ感心しなかったので、カギは状態面。

第27回マーチステークス(GⅢ)

スワーヴアラミス

前後肢にバンテージ。ダート馬としては所作がしなやか。バランスの取れた馬体で、毛ヅヤも良かった。本来は出ッパの速い馬だが、2日延期になった影響が有ったとのことで微妙に出遅れて、無理矢理の先行策。道中はまだしも、内にモタれていた様で、勝負どころの手応えも怪しかったが、クリンチャーに並ばれても最後迄渋太く抜かせなかった。競馬は出遅れが祟って力任せになったが、今日は馬の底力が救ってくれた。これが須貝厩舎としては初のダート重賞制覇とのことだが、本来は競馬の上手い馬で、一気にGⅠ迄決めたいところ。

クリンチャー

芝で不振だった時もデキが悪い印象はなかったが、今日も決して悪くない。今皮膚を薄く見せて、馬体にも張りが有る。前走阪神戦からダートだが、ダートスタートは初めてということで一完歩目で躓く不利が有り、後方から。芝で走っていた時から根性一本で走る馬で、4角の回り脚は1頭違っていた。直線入口でスワーヴアラミスとの併せ馬。一旦は前に出そうになっていたが、最後はスワーヴアラミスに差し返された。この馬も出ッパは痛かったが、スワーヴアラミスも失敗しており、完敗ということになるのだが、トップハンデで見込まれた中でこれだけ走れば上等。まだまだ稼げる。

レピアーウィット

パシュファイヤー。-10kg。もっと絞ってもいい位だが、休み明けの馬体減の割に硬さがなかったのは何より。毛ヅヤも悪くない。前走もそうだったが、アオりながら出てしまい、後方から。砂を被るとマズい馬で、今日は最初から外へ。それでも後方から行く以上、砂を被った様でところどころで手応えが悪くなっていたが、それでも回り脚自体は悪くなく4角で中段。最後迄ジワジワ伸びて3着浮上。パシュファイヤーは今回からとのことで、その効果も有りそうだが、この手の矯正馬具は使って行く内に効果が薄れ易い。今後も集中力を何処迄保たせるかが鍵となる。

アシャカトブ

前後肢にバンテージ。骨格のしっかりした馬で見栄えがする。多少小走りは入っていたが、イレ込んでいたという程ではなく、むしろ好気合と見たい。スワーヴアラミスに付いて行く形で、その一段後ろ、全体で5〜6番手から。道中もずっとスワーヴアラミスマークで運び、展開としては絶好に近い形だったが、追ってからが案外。幾ら前が強いといっても、今日の内容とハンデで馬券圏内を外したのは頂けない。今日は今日でいい経験だが、もうワンランクレベルを上げないと通用しない。

メイショウワザシ

馬名とは違い、重戦車の様な造りだが、決して太い印象はない。一歩一歩がしっかりしていたのも好感。ゲートを決め、出脚も速く2番手から。4角からスワーヴアラミスの進出に併せて4角先頭。坂下辺り迄は良かったが、そこからは余力が残っていなかった。1000m通過62.0秒と特にハイペースだった訳ではなく、これも重賞では壁が有りそう。

第50回高松宮記念(GⅠ)

モズスーパーフレア

2歳時から迫力では牡馬顔負けの馬だが、今シーズンはややスッキリした造り。毛ヅヤも維持出来ていた。少しテンションが高いのもスプリント戦なら許容範囲。ゲートは五分程度。しかし、競られた昨年とは違い、今日は出脚で1F時点2馬身抜けた。前走京都戦で行き切っておいたのがいい方に出た。前半3F34.2秒と馬場状態を考慮しても決して速くない流れで、直線向いても突き放す場面は有ったが、そこから後続が殺到。一旦は完全に出られたクリノガウディを差し返そうとしていたところがゴールだった。外が利く馬場で、他馬が遠慮して楽に行けたことが最大の勝因だが、あれだけ楽に行った以上はスカッと勝ちたかったところ。そういう点では少し評価が下がる。

グランアレグリア

2人曳き。+12kg。目一杯仕上げて来たという印象ではないが、牝馬だけに多少フックラ見せる位なら悪くない。落ち着いていたのも好感。出遅れ1馬身不利。更初の1200mということも有って、出脚が付いて行けず後方から。道中の行き振りも決して良くなかったが、後方から1頭違う脚で追い込んで来た。ほぼ前で決まる展開で、唯一の追い込みだから力が断然だったという外ない。しかもこの馬自身がロクに流れに乗れていない状況だと考えれば、尚更評価が上がる。あとは使い込めないので、走ってみないと分からない部分が有るのがネック。間隔を開けて使う馬だから、初のスプリントでも対応出来るのかも知れないが。

ダイアトニック

前々走京都戦が太く、前走阪神戦から仕上がっていたが、今日も高値安定。トモにボリューム感が有って、この点では迫力上位。前走はゲートが怪しかったが、今日は好発。出脚も有って、楽に好位から。眼前に居たセイウンコウセイの内か外で一瞬迷ったが、セイウンコウセイが外へ持ち出したのを確認して内へ。ただ、本来の中京なら少し待った位は何の影響もないのだが、今日はエンジンが掛かったところでクリノガウディに寄られてしまった。最後は盛り返しているが、これがワンテンポ早かったら、勝っていた可能性も有り、タイミングが悪過ぎた。ただ、以前は京都専用馬だったが、前走で阪神をこなし、今日は中京と、馬は間違いなく成長している。

クリノガウディー

毛ヅヤが冴えて、今日は歩様に柔らか味が有った。馬体はこのメンバーに入ると明らかに見劣るが。好発。セイウンコウセイにも出脚で負けておらず、暫く並走していたが、1F過ぎに引いて、その直後から。道中はしっかり流れに乗って、直線も手応え通りに伸びたが、元々左にモタれる癖が有り、ヨレたところに馬が居て痛恨の降着に。ただ、行かせて甘いというパターンも多い馬が、今年に限ってはそれでも頑張って前へ行ったことが激走に繋がった感も有る。中央競馬においてGⅠ1位入線降着馬は、過去メジロマックイーン、カワカミプリンセス、ブエナビスタと全てGⅠ馬。上記3頭はその時点で既にGⅠ馬だったが、この馬も帳尻を合わせたいところ。

シヴァージ

シープスキンノーズバンド。太く映るのは何時ものこと。緩んだところがなければ力は出せる。歩様もスムーズ。ゲートは一応五分に出ているが、行く気なく後方から。基本的にはグランアレグリアをマークする形。一瞬の反応はグランアレグリアと違っていたが、ジリジリ伸びて入着。ゲートは出るに越したことはないが、ダート転向してまだ間もない馬がGⅠでこれだけやれれば充分。出脚自体は決して悪くない馬で、何処かでチャンス有りそう。

ダノンスマッシュ

-4kg。前走中山戦からそこ迄良くなった印象はない。決して走れない状態ではないが、もうちょっと良くなって欲しかったところ。また微妙にゲートが悪く、行けるだけ前へ行ったが、ペースが速くなく馬群が密集するところへ突っ込んでしまい、マトモに揉まれ込んでしまった。中京だけに直線に向いてからはバラけてくれたが、少し淡白な部分も有り、全く伸びず。毎度のことながら、GⅠになると運がない。それに尽きる。

タワーオブロンドン

-6kg。もう10kg絞っていい。前走中山戦よりはマシだが、まだ腹回りがボテッと映る。馬に活気が有って、デキ自体は悪くないが。1200mで出脚が速くないのは何時ものことで中段から。枠が枠だけに多少揉まれる場面は有ったが、後述するダノンスマッシュを考えれば遥かにマシで、3角で外へ持ち出せた。あとは直線に向いて伸びるだけだったが、追って全く案外。乗り役の話ではトモが外へ流れたとのことだが、確かに直線入口で一瞬滑る場面が有った。パワーは有るので、馬場自体はこなす筈だが、滑る馬場は良くなかった様。

第68回日経賞(GⅡ)

ミッキースワロー

前後肢にバンテージ。骨格のしっかりした馬で、常に良く見せる。そういう点では何時ものこの馬。多少、集中力は散漫なのも何時も通り。ゲートは五分に出たが、外枠ということも有り、急かさず後方の近い位置。距離を意識して何時も程の回り脚で一気に行く感じではなかったが、4角でスティッフェリオを目標に射程圏。直線は外へモタれながらも最後迄止まる気配はなく伸びていた。戦前は距離を嫌う向きも有ったのだが、今日の内容なら問題なさそう。ただ、この馬の場合は小回りローカルと中山以外では全く通用しない。

モズベッロ

2人曳き。-6kg。数字以上にスカッと見せる。ただ、毛ヅヤが悪い訳でもなく、歩様や馬体のしなやかさも有った。例に依って出脚は速い方ではないが、行かせた前走京都戦と違い、今日は外を回差れるのを嫌って1周目のホームで少しずつ内へ。2周目3角からミッキースワローを目掛けて、マクり切りそうになっていたが、直線入口でミッキースワローに盛り返され、更に寄られて2着に。ただ、この馬も内にモタれていたことは確かで、マトモなら勝っていたかどうかは微妙だろう。とはいえ、前走52kgから別定56kgで走ったのだから立派。今後もチャンスは続く。

スティッフェリオ

-6kg。小ぢんまりと見せるのは昔からだが、もう少し歩様がスムーズになるとベスト。毛ヅヤは悪くない。好発も、今日は最初からの決め打ちだった様で、急かすことはせず中段から。序盤は少し馬群と離して外を回っていたことも有って、折り合いは付いていた。早目に動いて2周目4角手前で先頭。直線は手前が変わらず流石に押し切れなかったが、最近の中では諦めずに走っていた。ただ、気性的な問題というよりは、馬場の問題の方が大きいだろう。基本的にはラチを頼って走る馬で、特に前走が悲惨だったが、内の馬場が悪過ぎて競馬にならなかった。これが出来るなら内が悪くても競馬が出来る。

サンアップルトン

前肢にバンテージ。首が長いので余計にそう映るが、妙に物見をしていた。馬体は悪くないが、その分、非力に映る。ゲートを出てから進んで行かず最後方から。2周目3角過ぎから外を進出して、4角でモズベッロの直後。ただ、ミッキースワローが外へモタれて来た関係で、やはり馬が気を遣って思い切り走っていない様にも見えた。追い込み有利の馬場と展開が向いた感は否めないが、中山2500mの場合は極端になり勝ちで、そうなる確率は決して低くない。

アイスバブル

-8kg。-8kg。結構キッチリ仕上げて来た。馬体に緩んだところがなく、毛ヅヤも良くて、何より気配がいい。外枠ということも有り、全く行く気なく後方から。今日の展開ならこれはこれでいいのだが、回り脚が他馬と違った様で、少し置かれ加減。直線向いてからは良く盛り返している。やはり東京向き。

第67回毎日杯(GⅢ)

サトノインプレッサ

毛ヅヤが冴えて、現状のデキ自体はいい。ただ、歩様は幾らか良くなったが、もっとメリハリが付きそうな馬体。前走京都戦程ではないが、今日もゲート内がジッとして居られず1馬身の出遅れでそのまま後方から。道中の折り合いは付いていた。取り敢えず賞金が欲しいところで、安全策で外を回す手も有ったと思うのだが、少々狭くともコジ開けてくる脚に自信が有ったのか、馬場適性が有ると読んだのか、前が開く迄待って実質1Fだけの決め手で勝った様な形。最後は追ってもいなかった。今後は東京マイルへ回る様だが、20年前なら大本命のパターン。ただ、最近は本物のマイラーが勝っている感も有り、出遅れないに越したことはない。

アルジャンナ

2人曳き。-6kg。皮膚を薄く見せて、馬体も締まって来た。馬はこれでいいのだが、かなり気負っている印象も。眼がかなり血走っている。ゲート内はこれも決して大人しい馬ではないが、何とか五分に出て好位から。前走京都戦もそうだが、下見の割に意外と我慢して走っている。直線は少し外へ持ち出して、追ってからもそれなりに反応しているのだが、真っ直ぐ走れておらず、フラフラしたところをサトノインプレッサに進路を譲る形となってしまい、2着止まり。完敗の内容。次走は未定だが、現状でGⅠとなると厳しくなった。

ダノンアレー

2人曳き。前後肢にバンテージ。-6kg。このメンバーなら馬の迫力は上位。いい馬だが、トモのボリューム感や歩様等、まだ甘さも残る。好発。出脚も有って一瞬はハナ。ただ、内からアーヴィンドが出て来たはいいが、中途半端に並走。そこを途中からメイショウラツワンが叩気に出て、そこで引いて3番手から。馬自身は特に戸惑っている様子はなかったものの、もう少し違うやり方は有っただろう。この馬自身、まだまだ甘さが有って決め手不足の面が有る馬だが、余計に厳しくなった。その中での3着は良く頑張っている方。クラシックで勝ち負けに持ち込むのは些か厳しいが、先々は走って来そう。

メイショウラツワン

前後肢にバンテージ。皮膚に厚ぼったさが残り、全体的にまだ緩い印象。ただ、馬自体は決してヒケを取っていない。ジワッと馬の気に任せて先行。前述した様にダノンアレーやアーヴィンドのペースが中途半端で、ならばとハナへ。1000m59.6秒は馬場状態を考えればスローではないが、それでも単騎のまま4角を回って来れた。最後は登坂力の差で明らかに脚が上がっていた。ただ、トビ自体は大きい。これもトモがパンとすれば通用しそう。

メイショウダジン

前後肢にバンテージ。-12kg。初芝の馬だが、歩様が硬いのは如何にもといった印象。毛ヅヤは悪くないが、ちょっと迫力で上とは差が有る。ゲートは出ているが、出脚がサッパリで押しても全く進んで行かず後方から。道中は一応付いて行けた。直線も回転数不足ながら、ジリジリ伸びて来ていた。このままだと厳しいが、出脚は経験で変わって来そうで、一応は芝にもメド。