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競馬回顧 2020年3回京都

第134回農林水産省賞典目黒記念(GⅡ)

キングオブコージ

胴が長目で、毛色を除けばロードカナロア産駒らしさはあまりない馬。元々歩様の硬い馬で、今日はかなりマシな方。ゲートが若干分が悪く、まず内へ潜りに行って中段やや後方辺り。歩様の割に競馬が上手く、今日も道中の折り合いはピタリ。直線も縦長の展開だった割には、入口で横一列に10頭近く並んだが、上手く間を擦り抜けて来た。以前からそうだが、追っての反応も鋭く、実に器用。距離を延ばして持ち味を良く生かしている。流石にGⅠの馬ではないとしても、強敵相手でも2,3着には押さえておきたい馬。

アイスバブル

+6kg。今日も毛ヅヤはいい。馬に迫力が有るタイプではなく、デキが分かり辛い馬だが、取り敢えず緩んだところはない。歩様もこの馬としては悪くなかった。ゲートはちゃんと出ているが、あまり行く気はなく、中段辺りから。こちらは経験豊富な馬で、道中も何の問題もなく運べたが、直線直ぐの反応が一瞬鈍く、キングオブコージと同じ位置を狙って先に入られてしまった。直ぐにもう1頭分のスペースが出来て、割って来れたのだが、最後が半馬身差だけに勿体ないところ。ただ、昨年よりは間違いなく競馬が上手くなっている。前走の様にあまり上がりが速くなると厳しく、注文も付く馬だが、条件が噛み合えば堅実。

ステイフーリッシュ

毎回そうだが、GⅡ以下になると急に馬を良く見せる。変にイレ込まず、活気が有って、歩様もスムーズ。出脚が速い訳ではないが、最近のパターン通り、積極的に乗られて好位から。こちらは時々引っ掛かる面も有る馬だが、出して行った割には折り合いも付いていた。ただ、追って一瞬の反応が悪く、エンジンが掛かってからも前の2頭と似た様な脚色だった。ただ、0.2秒差ならハンデが言い訳になる範囲。この辺りのメンバーなら力量上位は間違いない。

ノーブルマーズ

シープスキンノーズバンド。-6kg。腹回りがボテッと映るのは毎度。ただ、普段は下見でボケッとしているタイプの割に今日は活気が有った。見た目通り、動きが鈍らな馬で、出脚は速くないのだが、何とか好位から。リズムを崩せないので引っ掛かる様に見える時も有るが、インに居ながらもソコソコ流れたことで上手く走れていた。直線もインから進路を確保出来たが、ジリジリとしか伸びないのは致し方ないところ。この馬の力は出している。

ゴールドギア

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。前肢にバンテージ。多少煩いのは何時ものこと。基本的にはコンパクトな馬だが、今日は馬体が張って、中身が詰まっている様に見えた。今に始まったことではないが、出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。直線もインを突いたが、前がジリジリとしか伸びないノーブルマーズでは出番がない。今日はギャンブルの失敗。

第87回東京優駿(GⅠ)

コントレイル

毛色の影響も有るが、今日も毛ヅヤはピカピカ。馬は相変わらず華奢だが、これで一応完成形なのだろう。前走中山戦は矯めて乗られたが、今日は積極策に出て内の馬を叩いて好位のイン。序盤だけ多少行きたがったが、実質同馬主のコルテジアやディープボンドがいい壁役となり、2角手前でスムーズに。向正面でマイラプソディが動いた際も全く関係なく、直線も少し外へ持ち出すと自然と前が開き、追われてからは独走だった。正直、静止画だけなら何ひとつ強さを感じないのに、結果だけは出るのだが、恐らくは馬体に柔軟性が有って、全身が使えているから走るのだろう。こういう状況下で、国内戦に専念とのことだが、この手のタイプは父ディープインパクトがそうだった様に距離は保つ。パワー差で負かすことは有り得ても、速く走る技術や性質という点に関して、他馬が調教で追い付くことは不可能。兎に角、神に選ばれた馬という外ない。

サリオス

2人曳き。-8kg。距離を保たせる為に絞ったのだろうが、それでも元々が重戦車タイプで迫力満点。歩様も力強い。この馬としてはゲートが悪かったことも有り、距離も意識しつつ、最初から折り合いに専念して中段から。手綱は流石にガッチリ抑えていたが、我慢して走れていた。結果的に道中でジッとしていた分、外を回された感も有るのだが、一瞬はコントレイルに迫る脚を見せて悠々2着は確保。正直、2着を取りに行った様な競馬にも見えたが、真っ向勝負では苦しいのは戦前から明らかで、今日はこれで仕方がないところ。次走未定だが、距離が延びれば乗り方に工夫が要るのは確か。

ヴェルトライゼンデ

馬だけならここへ入っても負けていないどころか、むしろ最上位クラス。今日は物見がなく、集中出来ていた点も好感。出脚は多少怪しかったが、出して行ってコントレイルをマーク。道中の折り合いも付いていたが、4角手前辺りからの行き振りが悪くなり、置かれそうになっていた。結果的にコントレイルに進路を与える様な格好になり、最後は伸びているものの、辛うじて3着。どちらかといえば中山向きの印象も有ったが、東京でも渋太い脚を使えたのは収穫。昭和の時代なら距離が延びて逆転ということもいえたが、現代競馬では中々厳しいところ。機動力を磨く必要が有る。

サトノインプレッサ

あまり迫力が有るというタイプではなく、どちらかといえば薄手の馬。デビュー当時よりは大分マシとはいえ、歩様がもう少し良くなって欲しいところ。この馬としてはこれでもマシだが、出遅れ1馬身不利。それでも枠の利は大きく、何とか中段やや後方の位置にはネジ込めた。1角のゴチャつきが例年よりマシだったことも大きいだろうが、道中の折り合いもほぼ問題はなかった。直線は内目に進路を取りながら馬群を捌いて伸びて来たが、惜しい4着。距離はこなせるが、やはりゲートを決めて最低でももう1列前で戦える様にしたいところ。

ディープボンド

前後肢にバンテージ。今日は馬体が小ぢんまり映る。歩様にも硬さが有って、正直、いいところがない。何時も通り、ジワッと行かせて好位の外。有る程度コントレイルの邪魔をしないことは意識して乗られていた様に見えた。4角も少し早目に動き、流石に直線は苦しくなったが、回転数が落ちながらもちゃんと距離は飛んでおり、何とか粘って掲示板は確保した。競馬に注文が付いた割にはまずまずの内容。前走京都戦でも触れたが、息の長い活躍が期待出来そう。

第3回葵ステークス(重賞)

ビアンフェ

+8kg。前走中京戦も+12kgで、ちょっと重目が残ったか。腹回りが多少弛んで映る。歩様は決して悪くないが。斤量分なのか、一瞬の出脚は何時もより出なかったが、スピードに乗ってからは速く、1Fでスッとハナ。前半600m通過33.5秒だったが、後続との手応えが他馬とまるで違っており、この時点でほぼ勝負有り。ただ、その割に最後は脚が完全に上がっていた。一応完勝だが、ちょっと課題も残る内容。1分7秒台では纏めて欲しかった。ただ、今日は半分出涸らしに近い状態で、一枚重目という部分も影響しただろう。これで秋迄待機とのことで、一息入れてから攻め強化して改めて期待したいところ。古馬相手なら斤量も軽くなるだけに、その点でも有利。

レジェーロ

前後肢にバンテージ。400kgを切る馬だが、馬がちゃんと纏まっている。多少歩様が非力なのは仕方がないところ。好発。ただ、出脚は他馬の方が速かったこと、この馬自身も少矯め気味に乗られ、3列目のイン、全体で5番手辺りから。ビアンフェがソコソコ飛ばしてくれたことで前がバラける展開となり、4角を上手く捌いて、直線だけ外へ。小さい馬なりの一瞬の脚を生かし切った。あそこ迄行ったら勝ちたかったところだが、これも本当に使えた脚は一瞬で、最後はビアンフェが止まって差を詰めている様に見えているだけで、決勝線手前では脚勢が鈍っていた。インに居た割に揉まれなかったことも含めて、今日は全てが噛み合った感が強い。

ワンスカイ

前肢にバンテージ。500kgに乗せたが、デビュー当時から24kg増。寸が詰まったスプリンター体型で、もう少し絞っても走りそうだが、馬は間違いなく充実している。ゲートは五分程度。出脚は速い方ではなさそうで、ゴチャついたところをハネのけつつ、押してレジェーロと並走。外に居た分、レジェーロより早目に動く形となり、一旦は前に出ているのだが、一瞬の脚ではレジェーロに分が有った。ただ、ジリジリとした伸びは、大型馬故に仕方がないのだろう。今日の内容だけだともう少し馬場が渋ってくれた方がいい。あと、次走の注意点として、4角で少しフクれたのは勿体なかった印象も有った。1馬身程度のロスで、タイトに回れていても3着だっただろうが、鞍上の技量なのか、馬の癖なのかは良く見ておきたい。

ケープコッド

前肢にバンテージ。関東馬ながら、今年3戦は全て西下しての競馬だが、馬体に問題はない。多少気合が乗り過ぎている感も有るが、短距離ならこれはこれ。出遅れている訳ではないのだが、一完歩目が遅く、その間に他馬に入られてしまい、後方に近い位置。行き脚が付いてからは徐々に押し上げて3角で中段。4角の手応えは決して良くなかったが、その割には進んでおり、最後迄脚を使ってここ迄。渋太い馬だが、もうちょっと機動力が欲しいところ。ここ迄は全部芝を使って来たが、ダートの方がいいかも。

サヴァイヴ

-4kg。一息入ったが、元々が大きく見せるタイプではなく、数字通り出来ていた。ただ、発汗は気になった。アオり気味に出てダッシュが付かず、最後方から。外へ回す気は全くなく、腹を括って4角を回り切ってから進路を探す形。それなりに伸びているが、実質的には競馬が終わったあと。最後の100mは一番伸びていたが、何れにしてもこの時計だと厳しいかも。現状は、前走の様にもっと時計が掛かるか、1400mに延ばした方が良さそう。

第81回優駿牝馬(GⅠ)

デアリングタクト

後肢にバンテージ。下見は最後方を周回。馬体は流石というところで迫力が有るが、発汗が目立った。気配も煩い。ゲートオープン時に横を向いていたが、何とか五分。デゼルだけ叩いて中段から。1角過ぎで接触も有ったのだが、下見で気負っていた割には折り合いは付いていた。ただ、直線向いて外に進路を取ろうとしたところ、リアアメリアに塞がれ、苦し紛れに内へ切り替えたら、幸いに1頭分だけ進路が有った。同じところをマジックキャッスルも狙っており、一瞬でも判断が遅れていたら八方塞がりになっていたが、何とか飛び込んで抜けて来た。2分24秒3は近年の中では遅いという話も有るにせよ、今日は先行有利の展開で、馬は無条件で褒めるべきだが、鞍上は馬に感謝すべき。これだけ圧倒的能力差が有る以上、秋も有力だが、常に危なっかしいのが厄介。競馬は楽に勝つに越したことはない。競馬の性質が幾ら変わろうとも、これだけは普遍的真理。

ウインマリリン

+2kg。兎に角馬体が減らなかったのが何より。見た目にも前走よりフックラ映る。ただ、もう少し歩様はシャキッとして欲しいところ。最近の鞍上のパターンで、外枠時こそと言わんばかりにジワッと先行。流石に序盤は少し行きたがったが、2角手前で折り合いも付いた。スマイルカナの逃げが1000m59.8秒だから、この時点で4馬身後方に居たこの馬は60秒後半ということでスローに近い流れ。4角も手応え充分で、直線向いて最内の進路だけは確保しつつ、仕掛けを出来る限り遅らせてここ迄。外枠としては最高の競馬。能力差は如何ともし難いが、デキが維持出来たのは今後に繋がる。

ウインマイティー

前肢にバンテージ。+6kg。少しチャカつく場面が有り、まだ子供。馬は寸が詰まったマイラー体型ながら、歩様は力強い。直ぐ外のスマイルカナに叩かれる展開にはなったが、そこから上手く立て直して好位のイン。上手く折り合いも付いた。直線向く前からジワッと動いて、入口ではほぼ先頭。ただ、ラスト150m辺りで苦しがって左手前になってしまい、脚が上がってしまった。結果的にワンテンポ仕掛けが早かった形だが、テン乗りで致し方ない部分も。恐らく距離も長いだろう。最終的にはローカル重賞の安定勢力となりそうで、今後も着実に稼いでくれる看板娘となってくれる筈。

リアアメリア

前後肢にバンテージ。この馬としては落ち着いていた方。ただ、馬体に成長がない。歩様にも力強さを欠く。ゲートをポコンと出て、出脚が鈍って中段やや後方から。スタート直後に多少促したが、それでも我慢して走れていた。上手く馬群の切れ目で運べたのも大きかっただろう。4角手前から外へ持ち出し、前述した様にデアリングタクトをフタした点も含めて上手く運べた。最後届かなかったのは半年間を無駄にした分。ただ、トビの大きさは流石というところ。素質は高く、鍛錬さえ出来る様になれば幾らでも挽回は利く。

マジックキャッスル

シープスキンノーズバンド。やはり馬体の造りはスプリンター。ただ、トモがしっかりして、デキに不足はない。ゲートは若干分が悪い程度で済んだが、スタートして進んで行かず後方から。繰り返しになるが、馬の造りはスプリンターでも気性がおっとりしており、折り合いは付く。ただ、前述した様に、直線向いてから一瞬だけで出来た進路をデアリングタクトに取られてしまい、万事休す。競馬は終わった後だったが、最後は強烈な脚で詰めている。二度とこの距離に使うことはないだろうが、もうちょっと一瞬の反応が良くなると距離を問わず稼げる馬になりそう。

ミヤマザクラ

前肢にバンテージ。下見は外を回ってヤル気充分。馬体も緩んだところがなく、デキだけなら断然でコレ。最初から位置取りよりも内へ潜るつもりだった様だが、それなりに上手く立ち回って中段は確保。狙い通りのセコい競馬が出来て、直線も前が開いたが、いざ追ってからが案外。道中は多少力んでいたにせよ、他馬も似た様なモノで、そこは言い訳にはならない。結果的にもっと積極的に乗った方が良かったか...。

デゼル

-8kg。馬はこのメンバーでも上位クラス。特にトモのボリューム感は抜けている。歩様にも力強さが有ったが、数字分だけ腹が巻いた感も。ゲートは五分に出ているが、クラヴァシュドールやデアリングタクトに叩かれて後方に近い位置。最初は枠なりに内に居たが、所々で前が詰まり手綱を引っ張る場面。明らかに流れに乗れていなかった。途中から外へ持ち出して大外へブン回す最悪のパターンになってしまった。それでも一瞬は脚を使ったが、ラスト200mで力尽きた。キャリア不足で片付けるには競馬が悲惨過ぎる。一番は最内枠が仇になった。

第27回平安ステークス(GⅢ)

オメガパフューム

シープスキンノーズバンド。+9kg。馬体は増えていたが、その割に張りが有る。迫力のなさは毎度で、歩様もしっかりしていた。行きたい馬に行かせて好位直後。揉まれない位置で運べた。59kgということも有って、4角をゴールドドリームに対してフタをするイメージで少し早目の仕掛け。ラスト200mでヴェンジェンスと並走の位置。そこから100mで競り落とした。誰かが早仕掛けした展開を差すという得意の形になったことも有るが、完勝といえる内容。次走は得意の大井。当然、最有力となるが、今日は競馬が上手く行き過ぎた感も有る。前走大井戦も展開がハマった感が強く、過信も避けたいところ。

ヴェンジェンス

一息入ったが、増減なしの数字通り出来ていた。多少歩様が硬いのは何時ものことで、今日はかなりマシな方。今年に入って出脚が良くなっており、スッと3番手。ペース自体は1000m通過61.6秒と大して速くなかったが、2番手スワーヴアラミスが逃げたスマハマを徹底マークしており、競馬はし易くなった。ただ、直線はもうちょっとスワーヴアラミスに頑張って欲しかったところ。今日はオメガパフュームが強く、どう乗っても2着だっただろうが、あれだけ早目先頭に立たされたのは想定外だっただろう。無論、この馬も出脚強化の分、強くなっている。

ゴールドドリーム

前後肢にバンテージ。これ位の数字でも走れる馬だが、今日は緩い。歩様にも伸びがなく、良く見て7割のデキ。ジワッと行かせて好位4〜5番手。前にヴェンジェンス、後ろにオメガパフュームを置く形。展開としては絶好だったが、4角でオメガパフュームにフタをされて、ワンテンポ仕掛けが遅れたのが痛かった。最後はジリジリ伸びている。ただ、今日はデキが一息で、下手に好走するよりはこれで良かったかも。大井戦ではオメガパフュームを今度こそ負かしたいところ。

ヒストリーメイカー

-20kg。見た目だけをいえば、馬体減はむしろこれ位で丁度。ただ、今日はそれなりに暑かったとはいえ、発汗が目立つ。引っ掛かることの多い馬で、例に依って行く気はなく後方で折り合いに専念。下見で気負っていた割には我慢して走っていた。4角でゴールドドリームの直後に居たが、一瞬置かれそうになり、直線向いてバラけてからジワジワ脚を使ってここ迄。モタれる面がいつもよりマシだった点も収穫。これもちょっと強くなっている。

スワーヴアラミス

胸がい。前後肢にバンテージ。馬は前走以上。毛ヅヤが冴えて、一歩一歩がしっかり。集中力も有った。今日はゲート五分。ただ、出脚が苦しく、ステッキを入れてやっと2番手から。それでも道中はずっと逃げたスマハマにプレッシャーを掛け続けて4角先頭。ただ、本当にハナに立てたのはほんの一瞬で、直ぐにヴェンジェンスに捕まって、そこから踏ん張る脚もなく5着。元々先行馬としては押して行くタイプの馬では有るが、もっと楽に行ける様にしたいところ。GⅠ級を相手に闘うには少し差が有る。

第15回ヴィクトリアマイル(GⅠ)

アーモンドアイ

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。普段は牡馬相手でそこ迄目立たないが、流石に牝馬限定戦となると、馬が抜けている印象。歩様も柔らか味が有って力強い。好発。行きたい馬に行かせて中段やや前から。ゲートを決めたことで、この馬より前に行くのは得策でないと判断した馬が多かった様で、直後が番手競りの形となり、益々楽になった。直線は自然と前が開き、ラスト400mから追い出されると回転数が他馬とは明らかに違っていた。何度か手前を替えていたのは、半分遊んでいたからだろう。ケチの付け様がない強さ。ただ、前走中山戦でボロを出した際に課題だった前に壁がない状態での折り合い面は今日の段階では何とも。前のサウンドキアラが内目を開けて走ってくれたのがいい壁になっていた。

サウンドキアラ

昨年とは別馬。トモに厚みが出て、確実に成長して来た。ただ、今年4戦目で歩様は些か落ちて来た。今日は最初からコントラチェックに付いて行くつもりだったのだろうが、そのコントラチェックがハナへは行かなかったものの、2番手へ入ってくれて、その直後から。こちらは完全に壁なしで、序盤に多少力む場面も有ったが、3角手前辺りからはスムーズ。直線は先頭に立つ前にアーモンドアイに交わされていたが、何とか逃げたトロワゼトワルは捕まえて2着は確保した。今年一連の充実振りを改めて証明。デキ落ち気配も有ったが、この後は秋迄休養とのことで、改めて期待したい。

ノームコア

後肢にバンテージ。-12kg。ちゃんと絞って来た。悪い時の硬さがなく、歩様が伸びている。気配も上々。半馬身程出負けも、外枠故にリカバーが利いて中段から。基本的にはアーモンドアイに付いて行く形。向正面では一番馬群が固まる位置だったが、これも外枠故にスムーズに運べた。ただ、直線向いてそれなりには伸びているものの、アーモンドアイには突き放され気味で、サウンドキアラも捕まえられずの3着。昨年が1分30秒5で、今年が1分31秒3だが、今日は出遅れも微妙に響いたとはいえ、一度骨折した馬は時計勝負には対応出来なくなるのは仕方がないところか。

トロワゼトワル

-16kg。前走阪神戦戦が太かった。これ位がベスト。このメンバーに入ると馬が多少落ちるのは仕方がないところ。前走の先行策に無理矢理感が有ったのだが、絞れて出脚が違ったか、外のコントラチェックを制してハナへ。1000m通過56.7秒は間違っても遅いペースではないが、かといって馬場状態を考慮すれば極端に速いペースでもなく、丁度いいところで行けた。逃げて33秒台の脚が有る馬ではなく、直線で決め手負けしたのはやむを得ないところだが、それでも4着は確保。マイルの世界レコードホルダーとして流石に時計勝負は強い。

ダノンファンタジー

-20kg。前走阪神戦が太かったから数字はこれでいいのだが、この馬としては歩様がイマイチ。無理に絞った印象も。ゲートは昔から抜群に速く、内の馬だけ叩いて好位のイン。ただ、徐々に番手が下がり、3角ではアーモンドアイより後ろ。勝負どころの反応が悪く、直線もジリジリだった。器用さ身上の馬で、馬体が絞れればそれなりに対応するが、上位馬とは時計勝負への適性が違っていた印象。現状だと1800m位の方が競馬はし易い。

ラヴズオンリーユー

-6kg。前走京都戦は明らかに太かったが、昨春東京戦時と比較して+10kg。この分の成長は有る。緩んだところもなく、キッチリ仕上げて来た。マイルだと出脚が苦しく、押して何とか中段から。内ラチ沿いには居たが、3角手前で少しゴチャつき、直線も中々前が開かず、不完全燃焼で終わってしまった。ただ、一概に鞍上だけを責められないところ。馬にマイル適性がないのが位置取りを悪くした感が有る。

プリモシーン

2人曳き。-4kg。ギリギリ迄絞り込んで来た印象だが、前走中山戦と比較して落ち着いている。究極に近いデキ。半馬身程出負け。何とかリカバーを試みたが、アーモンドアイをマークしていた中段勢が壁になり、窮屈なところへ一瞬突っ込んでしまった。一度、コーナーでバラけたが、4角で手応えが怪しくなり、直線は外へ。最後はそれなりに伸びて来ているものの、位置取りの差は如何ともし難かった。今日は内枠での出遅れが仇となった感も有るのだが、これしか出来ないのならこの時計には対応出来ない。

コントラチェック

-6kg。若い頃と大きく変わった印象はないが、悪くはない。ただ、歩様がいい時はもうちょっとスムーズだった気もしないでもない。トロワゼトワルに主張され、出脚で負けて2番手から。この馬の場合はこうなったらアウト。道中で引っ掛かっている印象はなかったが、直線はバッタリだった。出脚ももっと欲しいところだが、最近は外枠ばかりが当たっており、まずは内枠が欲しい。

第65回京王杯スプリングカップ(GⅡ)

ダノンスマッシュ

前走中京戦と大きくは変わらず。決して悪くないが、もっと良く見せた時が有った。何となく馬体の張りがイマイチ。好発。出脚も有る馬だが、今日は出脚というより気合でハナへ。道悪だけに、相手が無理を避けて引いてくれた。昔からテンが速くなり辛い東京1400mとはいえ、600m通過35.2秒は遅い。4角を単騎で回って手応え抜群。上がりを33.1秒で纏めて押し切った。雨は相当降っていたが、時計だけはずっと速く、兎に角インが有利。ハナを切って、馬場を苦にせず走れた段階で勝負有り。マトモに走れさえすれば力が違った。デキには疑問符が付くものの、何れにしても秋迄待機とのこと。GⅠに手が届くかどうかはツキの問題。

ステルヴィオ

今季は最初の阪神戦からデキは悪くない。数字の割に小ぢんまりと見せるタイプだが、トモのボリューム感は目立つ。気配も相変わらず良かった。出遅れの常連だが、今日は1/3馬身程度で済んだ。ダノンスマッシュには叩かれたが、外枠ということも有って、リカバーも利いて好位3〜4番手の外。今の馬場で外を回されると見た目以上にキツいのだが、ダノンスマッシュには届かなかったものの、最後迄しっかり伸びて2着は確保。久々にマトモに走れた。ゲートさえ出れば流石に力は一枚上というところだが、そのゲートがアテにならない。今日はたまたま上手く行った感が強い。

グルーヴィット

遮眼革。-6kg。スカッと見せて、しっかり造り込んで来た印象。歩様に勢いが有って、キビキビ歩けていた。これもゲートは決して上手い方ではないが、押して好位。あれだけ仕掛けて行くと良馬場なら引っ掛かるところだが、道悪だと馬が気を遣って何とか折り合いが付く。直線はダノンスマッシュが内を少し開けてくれて進路が出来たが、幾らインが有利とはいえ、逃げ馬が捨てる様な馬場ではそこ迄伸びてくれずに、3着止まり。ただ、上位2頭はGⅠ級で、能力自体がこんなモノという気もしないでもない。G&8545;だと少し壁が有る。

ラヴィングアンサー

もう少し絞ってもいい気もするが、デキ自体は良さそう。手先のスナップも利いてしっかり踏めていた。気配も良かった。この馬としては出た方だが、例に依って出脚がなく後方から。特に馬場も気にしている様子はなかった。インも突ける馬だが、最初から内へ行く気はなく、4角手前から徐々に外へ。基本的に上位馬は全部前で決まったが、後方から1頭だけ違う脚で追い込んで来た。スローとはいえ、上がり3F32.4は出色。今後も展開一つ。

セイウンコウセイ

+10kg。ソコソコ乗り込まれていた様だが、数字分だけ緩く映る。歩様にも力強さがなかった。多少小走りが入るのはマイナス材料ではないのだが。出脚は一番速かったが、直ぐに内の馬を叩ける程ではなく、ジワッと行こうとしたところをダノンスマッシュが一気に行って2番手から。馬場は全くにしておらず、むしろ掛かる位の行き振りだった。直線は自分の形ではなかった割には渋太く伸びている。良くも悪くも枯れて来たベテランらしい競馬。

第25回NHKマイルカップ(GⅠ)

ラウダシオン

この馬としては落ち着いている。少し胴の短い体型だが、それで490kgだから馬に厚みが有る。ただ、歩様は前走中京戦の方がしっかりしていたかも。ゲートを真っ直ぐに出ず、一瞬ヨレたが、そこからの出脚は速く、直ぐにレシステンシアと並走の位置迄。ただ、ハナへ行く気はなかった様で、ここで控える策。人気は別にして、大名マークの様な格好になり、後続が動くに動けない展開。特に今日は2日目同様、風向きが悪く、ダートの砂が飛んで来る状況で、更にこの時期独特といえる芝が生育も早く、インが圧倒的に有利な馬場状態。事実上、4角で前さえ捕まえれば勝ちという形に持ち込めた。レシステンシアに突き放す脚がなく、坂を上るところで相手が苦しくなり、悠々押し切った。今日も含めてゲートが怪しいのがネックだが、今後も出ッパ一つ。差し馬は別だが、先行馬に限れば、今の東京マイルは1400mベストの馬の方が走る。基礎体力が昔とは違っており、簡単には止まらない。

レシステンシア

前後肢にバンテージ。-6kg。デビュー以来、最低体重。落ち着いていたのがせめてもの救いだが、食いが細くなっての馬体減は見た目にも寂しい。歩様のバネは超一流馬のそれだが。ゲート五分。ただ、出脚は速く、スッとハナ。ただ、一瞬ラウダシオンに並ばれたのは頂けない。ペース自体は600m通過34.1秒、1000m通過58.0秒だから決して速くはないのだが、直線向いて突き放す脚がなく、2着に残すのがやっとだった。2歳時のスピードがなくなっている。能力に疑う余地はないが、今シーズンはデキが本当ではなかったかも。ここからは厩舎技量が問われる。外厩全盛の時代でも、現行ルールでは最後に厩舎が調整する外なく、その差は今でもそれなりに大きい。

ギルテッドミラー

前肢にバンテージ。今日も前走阪神戦同様、落ち着いていた。手先だけで歩いていた歩様も幾らかマシ。ゲート五分。出脚の悪くなく、好位直後。上手くインに潜り込めた。デビュー当時より落ち着いて走れる様になっており、折り合いも全く問題なかった。直線向いても前がスムーズに開いたが、前も止まらず伸びはジワジワ。とはいえ、今日は前有利の展開で馬は責められないところ。競馬は一戦毎に上手くなっており、無事なら重賞の一つ二つは勝てる筈。ただ、降級がない現行制度で本賞金1650万円は案外ややこしい。早い段階で賞金の上積みは果たしておきたい。

タイセイビジョン

2人曳き。-6kg。良し悪しは別にして数字分だけしっかり。GⅠということでここ目標に仕上げて来た印象。とはいえ、相変わらず姿勢が高い。無観客競馬も前走阪神戦で経験しているが、今日も物見していた。道中は前にレシステンシア、後ろにギルテッドミラー。今日の展開で位置を取りに行くのは正解だが、出脚はギルテッドミラーの方が速かった分、出して行って少し行きたがっていたが、更に3角手前でプリンスリターンと接触。ここでまた馬が怒ってしまった。直線は道中のロスが大き過ぎて、ほぼ余力なし。結果的にこの馬が案外だったことも、前有利を呼び込んだ印象。3着ギルテッドミラーとはハナ差で、少なくともそれよりは強いということはいえる。今日はアンラッキー。

ルフトシュトローム

2人曳き。後肢にバンテージ。前走中山戦とそう変わらず。骨格に素質馬らしい雰囲気は有るものの、まだ子供。今日も出遅れ。そのまま後方から。今日の馬場を意識して、コースロスを出来る限り少なく乗られた。ただ、直線向いて中々前が開かず、実質マトモに追えたのはラスト1F。最後は良く伸びている。世代上位の力は有る。あとは兎に角ゲート。

シャインガーネット

前後肢にバンテージ。踏み込みが深く、一歩一歩に力強い。馬体の張りも目立ち、デキだけならメンバー中、最上位クラス。内枠の馬に先行した馬が多く、それらを行かせて中段のイン。道中の折り合いも問題ない様に見えた。直線も前が開いたが、いざ追ってからが甘かった。少なくとも前走中京戦より走っていない。良く分からない敗戦。時計に限界が有るのかも...。

第42回新潟大賞典(GⅢ)

トーセンスーリヤ

-6kg。数字分だけ馬体がスッキリした印象も有るが、このメンバーなら馬自体が上位。ローエングリン産駒の割に歩様もスムーズ。新潟2000mの割に出して行った馬が多かったが、この馬も少し出して行く形。縦位置よりもインが欲しかった様で、上手く好位のインに収まった。ブレーキの利きも良くて、折り合いも付いた。直線はほぼアトミックフォースとの一騎打ち。ラストで200mで競り落として重賞初チャレンジで初勝利。デビューが大井で、モジアナフレイバーに9馬身差2着という馬で、その後中央に移籍して芝初勝利迄10戦を要したが、確かに決め手が有るという馬ではなく、器用さ一本で勝負するタイプ。強敵相手でもソコソコやれる筈。

アトミックフォース

前肢にバンテージ。-4kg。前走東京戦が少し太目の造りで、間隔開けて少しでも絞って来た点は好印象。歩様も悪くない。例に依ってブラックスピネルのゲートが一番速いのだが、この馬が2番目に速く、制してハナへ。単騎で1000m59.7秒なら悪くないペースだろう。直線はインで脚を矯めていたトーセンスーリヤに競り落とされたが、暫くは踏ん張っていた。ただ、道中も含めて頭が高い走法。スムーズに運べると力を発揮出来るが、揉まれると苦しそう。その点で広いコースの方が力は発揮し易いが、今日の競馬を見る限りは新潟だと直線が長過ぎる。条件を整えるのが難しい。

プレシャスブルー

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。踏み込みしっかり。450kgの馬で、迫力が有るという程ではないが、纏まった造り。出脚はサッパリの馬だが、外枠ということで押して何とか中段。今に始まったことではないが、道中の行き振りも悪く、結構オッツケていた。それでも直線大外から良く伸びてここ迄。中段より後方に居た組では最先着で、良く頑張っている。今日は前と内が有利な展開に泣いただけ。ただ、小回りだとこの機動力のなさは致命的となる。時計が掛かれば中山でも対応出来るが、これもアトミックフォースとは別の意味で注文が多い馬。

ブラヴァス

490kgはデビュー以来、最高体重。多少重たい気もしないでもないが、この一族としては少し体型が違うタイプ。馬体には張りが有って、毛ヅヤも冴えていた。好発。出脚も速そうで、先行した組が多少なりともほぼ急かしていたのに対し、この馬だけ持ったままで好位。道中の折り合い何とか我慢していた。ただ、直線は追ってラスト300m辺りで左手前になって苦しくなっていた。斤量差も有るだろうが、これだったらもうちょっと積極的に乗っても良かったかも。それはそれで折り合いの怪しさが出て来そうな気配も有ったが。

インビジブルレイズ

これも少し間隔が開いて、2月以来の実戦。一息入った影響は有りそうで、腹回りが多少緩い。歩様は悪くなく、毛ヅヤも問題ないが。この馬の出脚でジワッと好位直後。3角手前辺りで馬場のいい外へ。ただ、いざ追ってからが伸びもう一つ。今日の展開で外を回した判断は明らかに間違いだが、更に外から来たプレシャスブルーには並ぶ間もなくやられており、案外感が残る。休み明けでデキが甘かったと見る外なさそう。ただ、左回りで外へモタれる面は幾らかマシだったのは収穫といえば収穫。

第68回京都新聞杯(GⅡ)

ディープボンド

前後肢にバンテージ。下見で気負うのは何時ものこと。それでも一人で曳いていた様に、これで力は出せる。多少寸が詰まり気味だが、馬体に迫力が有って歩様もスムーズ。東京2500mで良さそうな馬。ゲート自体は速い方だったが、出脚はそうでもなく、押して何とか中段。アドマイヤビルゴをマークする形。1角だけ一瞬首を上げる場面は有ったが、あとはスムーズ。ただ、勝負どころの手応えは決して良かった訳ではなく、直線向いてからも一瞬は外のマンオブスピリットに出られていた。今日は根性だけで勝った様な競馬。圏内の1頭では有ったが、意外な一面を見せた。初年度から活躍馬の多いキズナ産駒だが、タイプがバラバラ。次走東京戦はあくまで連下レベルだが、見た目通り東京2500mは間違いなく向いており、ケガさえしなければ息の長い活躍が出来る筈。

マンオブスピリット

皮膚を薄く見せて毛ヅヤ上々。馬体に迫力が有るというタイプではないが、均整は取れている。ただ、毎度のこととはいえ、歩様が硬い。出脚があまりなさそうで、進んで行かず後方に近い位置。元々が機動力の有るタイプではなさそうだが、道中はジッとして、坂の下りも少し内目を回って距離を稼ぎつつ惰性を付けて差を詰め、直線だけ外へ。前述した様に、一瞬はディープボンドより前に出た様に見えたのだが、差し返されてしまった。まだちょっと馬がパンとしていない影響が出脚や末脚の持続性に出ている。それでこれだけ走るなら素質は高いが、まだ鍛える余地が有る。

ファルコニア

前後肢にバンテージ。444kgの馬だが、馬を大きく見せて素質は高そう。歩様にもバネを感じさせる。ゲートの駐立が悪く、アオり気味だったが、出脚も有る方ではなく、内へ潜りつつ少し促して中段やや後方から。アドマイヤビルゴをマークするディープボンドを追い掛ける様な格好。ただ、向正面で行きたがって、アドマイヤビルゴと並走。4角で少し待たされたが、直線向いて狭いところをコジ開けてここ迄。道中の我慢が利いていればというところだが、それよりもトーセンカンビーナの下ということで、ゲートが段々悪くなって来たのが気掛かり。現代競馬で五分に出られない馬は何処かで天井が有る。

アドマイヤビルゴ

バランスが取れて品が有る。気配もこれでいいが、前走阪神戦と比較してちょっと歩様が硬くなった気もしないでもない。最初から引っ掛かりそうな気配が有り、出たなりで4番手。前3頭が飛ばす中、前との距離も取れて、ここは一応宥めた。ただ、坂の下りで我慢し切れず、直線入口で先頭。唯でさえ単勝1.4倍と圧倒的一本被りで、目標にされていた中で、そこからの踏ん張りが利かなかった。言い訳は色々有るとしても、GⅠ目標なら少々折り合いを欠こうが、この程度のメンバーなら何とかしないとマズいところ。馬はいいが、暫く掛かりそう。

イロゴトシ

前後肢にバンテージ。流石にこのメンバーに入ると馬が大分落ちる。ただ、下見の外を周回して気配は良かった。出脚は決して速くなく中段。一瞬アドマイヤビルゴに付いて行こうとしたものの、そのアドマイヤビルゴが引っ掛かりそうな気配が有り、丁度馬群が切れていたことも有って、内へ潜って中段から。一瞬前が詰まる場面も有り、全てがスムーズだった訳ではないが、セコい競馬は出来た。前の馬とは決め手が違ったものの、最後迄諦めずに走っていた。九州産馬で、未勝利、ひまわり賞と1200mの限定戦しか勝っていない馬だが、余計なことをしないのが長所。中央に所属する限り、これからは1000万を使うことになるだろうが、何とかなるかも。

第161回天皇賞・春(GⅠ)

フィエールマン

+8kg。計測していない昨秋仏国戦を除けばデビュー以来、最高体重。とはいえ、元々細身の馬で、太い印象はなく、少し頼りない位の歩様も毎度。大外枠ということで最初から出すつもりはなく、出たなりで中段やや後方から。ただ、長手綱でユッタリ乗れたという程ではなく、前に馬を置いて、ところどころで宥める場面は有った。それ故か、道中はずっと我慢。2周目の坂の下りでも待って直線だけの競馬。一瞬、前の馬にやられたかに見えたが、キセキが途中で行きたがったり、前の馬が止まることは鞍上の想定だった様で、スティッフェリオには渋太く粘られたものの、ハナ差捕まえた。何かミスしたらやられていただろうが、腹を括ってジックリ乗れるだけの地力が有ったこともまた確か。やはり3200mでの安定感は抜群。ただ、今日はメンバーが低調。次走阪神戦とのことだが、距離云々よりも相手関係という気もしないでもない。

スティッフェリオ

ステイゴールド産駒だけに、見た目は少し細身に見える位で丁度。歩様も他馬と比較すれば硬い方だが、前走中山戦よりはマシ。前走で行く気がなく、今日も戦前は行かないという話だったが、ゲートを出たことも有って、積極的に乗られて2番手。逃げたダンビュライトより出脚が速く、少しアオる余裕すら有った。今日はこれが正解。ダンビュライトは1周目のホームで動いたキセキに連られていたが、前にダンビュライトを置いていた分、連られずに済んだ。基本的にラチを頼る馬で、道中はずっと内ラチ沿いを通り、直線だけフィエールマンへ併せに行く形。一瞬は鞍上も夢を見ただろうが、最後に甘くなった。馬が強くなったということよりも、競馬を投げなくなった印象。とはいえ、スムーズに運べた利が大き過ぎて、次走は何とも。

ミッキースワロー

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。下見は後方を周回。気性散漫な馬で、多少物見をするのは仕方がないところ。馬は悪くないが、もう少しいい時は歩様がスムーズ。ソロッと行かせて中段から。1周目の坂の下りで頭を上げて行きたがっていたのは想定内だろう。宥めている間に番手が下がり、フィエールマンを前において折り合いを付ける形。1周目のホームでは何とか納得して走れていた。向正面で少し番手を上げ、今度はフィエールマンにフタをする形。鞍上としては最高に乗ったが、そのフィエールマンに差されては仕方がないところ。回り脚を生かした競馬は出来た。ちょっとずつ馬も強くなっている。

ユーキュンスマイル

この数字でも太い印象はないが、今日は少し緩く映る。前走阪神戦の方が毛ヅヤが良くて馬体に張りが有った。ゲートは五分。内外の出方を窺いながら中段のイン。鞍上は先週のアクシデントで乗り替わりだが、前任者の様に徹底して内に拘っていた。これはこれで間違っておらず、道中は折り合いも付いて、実際インから一瞬は伸び掛かっているのだが、ラスト200mで甘くなった。底力の差といえばそれ迄だが、あそこ迄行ったら3着は欲しかったところ。基本は左回りがベストの馬で、大分克服して来たとはいえ、見えない部分で悪さが有るのかも。テン乗りが響いたか。

トーセンカンビーナ

前後肢にバンテージ。ユーキュンスマイル同様、見た目だけをいえば前走阪神戦の方が迫力が有った。手先のバネが利いていてしっかり踏めており、デキに問題はなさそうだが。毎度のことながら出遅れ。出脚もなければ行く気もなく、最後方から。向正面へ行ってから少しずつ進出。ただ、坂の下りでフィエールマンをマクるイメージで乗られているのだが、押しても全然進んで行かず、フィエールマンには離される一方だった。直線向いても暫く反応が悪かったが、何故か最後の最後でエンジンが掛かり、その分の5着。京都でも良績有るのだが、距離が延びると勝手が違った様。ゲートも含めてまだまだ課題は多い。

キセキ

前後肢にバンテージ。+6kg。下見にケチを付ける部分はない。落ち着きが有って、馬体が増えても張りが有って迫力充分。ゲート練習も相当積んだだろうが、何より偶数枠ということでゲートに入ってから開く迄15秒程と、然程待たされなかったことも有って、今日はゲート五分。行く馬も居て、好位で宥めようとしていたが、前に馬も置けず、1周目のホームで我慢し切れなくなって1角でハナ。そこからは気分良く走れていたが、直線向いてからが案外。最後はスタミナ切れというより、集中力が続かなかった印象。これだったら無理矢理でも最初から逃げた方が良かったということになるが、兎に角ゲートをマトモに出たことは大収穫。次走に繋がる競馬は出来た。

第27回テレビ東京杯青葉賞(GⅡ)

オーソリティ

2人曳き。-6kg。前走中山戦は重量感が出て成長を感じさせたが、今日はまたスカッと見せる。気配は良かった。出脚は速かったが、ロールオブサンダーに行く気がなかったことでハナの譲り合い。内の馬だけ叩いて、1角で上手く好位のインに収まった。2角で接触した様で、少し馬が怒る場面も有ったが、途中でペースが落ちる展開だった割には我慢して走っていた。直線向いて、前は開いていたが、塞がる危険を避けて外へ。ここで1馬身はロスしていた筈だが、追ってからの決め手が違った。要は今迄にない脚が有った。今日のレースだけをいえば文句なしの内容。あとは中山戦組との相手関係に尽きる。

ヴァルコス

オーナーの趣味だろうが、一言でいえば品のいい馬。無駄な部分が一切なく、均整の取れた馬体。歩様も伸びやか。出脚が抜群に速いという訳ではなさそうで、暫くは押して食らい付いていたが、100m程で一旦引いて中段から。ただ、途中でペースが落ちたことで、分が悪いと踏んだか、向正面で動いて好位へ。3角から外を回った分も有り、4角で手応えが渋くなったが、オーソリティに良く抵抗してジワジワ伸びて来た。過去の傾向から少しズブいので、距離が延びて良さが出て来た印象。昨年11月の休み明けから既に5戦消化しており、次走へ向けて疲れは案じるところだが、デキさえ維持出来ればヒモ穴として面白い存在。

フィリオアレグロ

-8kg。馬体が絞れた点は素直に好感だが、まだ腹回りがボテッと映る。間隔を開けた割に、成長がない。ゲートは出たが、最初から先行争いに参加せず中段から。ただ、先行争いに首を突っ込んだならまだしも、最初から引いた割には序盤に引っ掛かる場面が有った。向正面で折り合いが付き、位置取りとしても道中は眼前にオーソリティが居たことで絶好の形。直線でそのオーソリティが外へ行ってくれたことで内が開き、暫く迷って最内が開くと一気に突き抜けたが、抜け切ったところで甘くなり、脚が一瞬しかなかった。経験で変わって来る範疇だとは思うが、今日の内容だけだと距離が長い。

ブルーミングスカイ

前後肢にバンテージ。馬体にしなかやさが有って、手先も柔らかい。首を使って前進気勢が感じられたのも好印象。ジワッと行かせてオーソリティを叩いて一瞬だけハナ。直ぐにフィロロッソが行ってその番手から。隊列が決まってからは落ち着いて走れていた。直線向いても暫くはジワジワ伸びており、ラスト200mで左手前になった辺りから苦しくなったが、0.3秒差と大きくは負けていない。重賞で勝ち負けに持ち込むにはもう少し決め手が欲しいところだが、これで1000万からの再出発となる訳で、そのレベルなら確実に勝ち負け持ち込める筈。

メイショウボサツ

馬体にメリハリが利いてコンパクトに纏まった馬体。ただ、歩様が少し硬いのと、チャカついていたのがマイナス。ゲートでアオってしまい、2馬身不利。急かした分も有るだろうが、道中は結構行きたがっていた。何とか前を壁にして宥め、直線は外へ。後方に居た組では最先着で、上がりの勝負になった割には良く走っている。これも1000万なら楽々通用する筈。

第55回サンケイスポーツ賞フローラステークス(GⅡ)

ウインマリリン

-10kg。腹が巻いているという程ではないが、現状でもかなり細い。皮膚を薄く見せて毛ヅヤは良かったが。出脚が速いという訳ではなさそうだが、積極的に出して行って好位から。一瞬、接触する場面も有ったが、頑張って乗られ、馬も特に気にする素振りはなく、道中の折り合いは付いていた。直線向いてラスト400mで抜け出し、ラスト100mで左手前になって決して楽ではなかったが、一杯一杯粘り込んだ。今日は強風で角度も悪くてダートの砂がモニター越しにハッキリ映るレベルで舞っており、根性も見せたといえるだろう。ただ、馬体はギリギリ。器用さは有って、距離は保ちそうだが、まずは馬体回復が最低条件。

ホウオウピースフル

2人曳き。シープスキンノーズバンド。このメンバーに入れば馬体そのもの迫力は上位だが、歩様がバラつく時が有る。芯が入っていない様にも見える。出たなりで好位。スタート直後はそうでもなかったが、2角辺りから行きたがってしまい、頭を上げる場面。前外に馬を置いて何とか宥めようとしていたが、それでも力んでいた。折り合いを意識して変なところに居た関係で、直線も中々前が開かなかったが、ラスト400mで何とか前がバラけると、最後に一脚使って2着浮上。これも根性は相当なモノがが有るが、距離を考えるなら折り合いが付かないことには。

フアナ

前後肢にバンテージ。416kgしかないが、トモに張りが有り、見た目には450kg位は有りそうな造り。単純に馬がいい。躓きながらゲートを出る形となり、ダッシュが鈍ったが、上手く内へ潜り中段から。多少強引な部分も有り、ヴォリアーモと向正面直ぐで二度程接触する場面も有ったが、何とか折り合いは付いていた。ただ、眼前にホウオウピースフルが居て、いい位置取りではなく、この馬も直線は中々前が開かなかったが、ここも強引にコジ開けて来た。未勝利から即これだけ走れれば文句なし。ただ、前が開いてから鞍上の右ステッキに過剰反応してしまい、一瞬外にヨレる場面が有ったのが勿体なかった。これがなければもう少し際どくなっていただろう。レース慣れはまだ必要。

ショウナンハレルヤ

前肢にバンテージ。+4kg。馬体減の馬が多い中で、少しでも増えたのはいい傾向。歩様もしっかり踏めていた。ゲート五分。東京2000mの外枠故に中々大変だが、出脚は有りそうで楽々中段は確保。道中は基本的にフアナの外から。直線でフアナを何とか閉じ込めようと乗られたのも間違っていないが、フアナが強引だった上に、フラついて何度も接触。一瞬の脚はフアナの方が有りそうだったが、通った位置の差も考えるとフアナと2馬身という差はない。

スカイグルーヴ

2人曳き。-14kg。気配は良かったが、数字通り大分ガレてしまった。歩様も明らかに力がなくなった。出たなりで中段。フアナやショウナンハレルヤの一歩前から。前には馬を置いて、多少引っ張る場面も有ったが、一応我慢は利いていた。直線は前が開いていたにも関わらず結構追い出しを我慢していたが、それでも使えた脚は一瞬で、最後は雪崩込む様な格好に。距離は保つ筈だが、馬体細化の分、スタミナ切れ。

第51回読売マイラーズカップ(GⅡ)

インディチャンプ

相変わらず下見は気難しそうに見えるが、この馬の休み明けとしては結構出来ていた。馬体に張りが有って、手先のスナップも利いていた。珍しく好発。特に控えることはせず、この馬の出脚で好位4番手辺りから。前を行くランスオブプラーナとベステンダンクが少し離しての先行だったが、持ったまま差を詰め、マトモに追ったのはラスト1F。一瞬の決め手が違っていた。今日はケチの付け様がない強さ。一瞬の決め手が武器の馬だけに、全幅の信頼が置けないところが厄介だが、ステイゴールド産駒だけにまだ奥が有ったか。取り溢しは今後も有ったとしても、先々可能になるなら海外で勝ちたいところ。

ベステンダンク

+10kg。数字はこれ位の方が実績を残しているのだが、見た目には腹回りに余裕が有る。気配は集中力が有って悪くなかったが。もう少し出脚は有る筈だが、太い影響で大して進んで行かず、かなり押して2番手。ランスオブプラーナが行ってくれて1000m通過58.6秒だから、競馬はし易かっただろう。切れる脚がないので、基本的には早目早目。坂の下りでランスオブプラーナへ並び掛けて行き、インディチャンプにエンジンが掛かってからは歯が立たなかったが、止まってはおらず渋太く粘って2着は確保。揉まれずに運べばそれなりに強い。確実に好走するにはもっと出脚が欲しいところだが。

ヴァンドギャルド

2人曳き。下見は最後方を周回。マイラー寄りの体型で、馬は見栄えするが、下見で飛び跳ねており、もっと落ち着かないことには。ゲートを出る際にアオってしまい、2馬身出負け。ただ、最初からペースが遅く、少し出した程度で馬群に取り付けた。道中も引っ張り切りでは有ったが、我慢は利いていた。直線は躊躇なく大外。絶望的な位置に見えたが、32.7秒と、メンバー中最速の上がりで良く差して来ている。ゲートさえ出ればということにはなるが、2回続けての出遅れは頂けない。ゲート練習する等、対策は必要。

ロードクエスト

-6kg。デビュー当時から良く見せる馬だが、年齢を経ても馬体はしっかりしていた。歩様もこの馬としては悪くない。2歳時と違って今は出脚も来ている馬だが、今日は最初から行く気がなく、後方で折り合いに専念。少しずつ内へ寄せて行って、3角で内ラチ沿い。内からジワジワ脚を使っているが、楽々3着の筈がヴァンドギャルドに捕まって4着止まり。近走案外だけに、久々にマトモだったということはいえるのだが、最早往時の力はない。

ヴァルディゼール

寸詰まりのマイラー体型。トモに厚みが有って、デビュー当時より馬は確実に良くなっている。歩様も力強い。ゲートは一番速かった位だが、急かすことはせず、この馬の出脚で中段から。ただ、ちょっと坂の下りで置かれ加減になっており、追ってからもラスト200m程でフォームがバラバラになってしまっていた。直線で伸び案外だったのは落鉄していたとのことだが、勝負どころで手応えが渋くなるのは前走でもそういう気配が有った。馬は間違いなく良くなっているが、スピード競馬への対応が鍵。