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競馬回顧 2021年1回中京

第71回東京新聞杯(GⅢ)

カラテ

530kgの馬だが、緩んだところがひとつもなく、連勝馬らしい馬体の張り。毛ヅヤもピカピカ。歩様もスムーズで今日はケチを付けるところがない。好発。出脚自体がそこ迄速いという訳ではなさそうだが、今日は徹底先行タイプが少なかったことも有り、楽に好位。急かしていないことも有って、折り合いも全く問題がなかった。直線向いた段階で手応え充分。あとは何処を割るかで、最初に狙ったエメラルファイトとトリプルエースの間が割れず、エメラルファイトの外へ切り替えるロスは有ったが、それでもアタマ差捕まえた。馬より初重賞制覇だった鞍上にとって、大きいアタマ差だったといえるだろう。進路を切り替えたことで2着だったらここで降ろされていた可能性も有った。

カテドラル

パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。下見は集中して歩けていた。寸が詰まった完全なマイラー体型だが、歩様もキビキビ。デキ自体が良さそう。時々出遅れる馬だが、今日はまだマシな方。それでも前走は先行して失敗していることも有り、今日は待機策。1000m通過が58.1秒と、微妙なスローで流れたことで馬群が固まり、内枠の馬にとって距離を稼ぎ易い展開になった。直線だけ少し外へ持ち出し、シャドウディーヴァの内から一瞬は抜け切ったが、内で詰まっていたカラテが抜けて2着に。完璧に運んだだけに、鞍上としてはこれで負けたら仕方がないところ。ただ、この馬自身は毎度のこととはいえ、使える脚が短い嫌いは有る。

シャドウディーヴァ

遮眼革。前肢にバンテージ。下見は最後方を周回。冬毛が目立ったが、スカッと見せて馬体には張りが有った。歩様もキビキビ。ゲート自体は速い方だったが、あまり進んで行かず中段から。道中の折り合いは付いていたが、結果的に外を回されてメリハリのない競馬になってしまった印象も。直線は追える鞍上が懸命に追ったが、カテドラルと同様、使える脚が短いタイプで、天井を向きそうになっていた。とはいえ、今日の展開であまり後ろから行ってもいいことはなく、枠に泣かされた。

ヴァンドギャルド

パシュファイヤー。馬体はこんなモノだが、最近のこの馬としては歩様が硬い。気配もイラついている様にも見えた。これもゲートは速かった方。ただ、出脚が速い方ではないので、少しオッツケて好位を確保。壁がなくちょっと行きたがっていたが、正攻法の競馬は出来た。ただ、直線向いて一度として先頭に立つ場面がなく、内外から来られて4着止まり。このメンバーなら力量上位ということで1番人気に推され、実際にそれだけの能力は持っていそうだが、外枠を克服出来るだけの力差迄はなかったということ。勝ち切るにはちょっとした工夫が要る。

トライン

前後肢にバンテージ。デキ自体は悪くないだろうが、このメンバーに入るとスケールで見劣る。歩様も毎度のこととはいえ硬い。この馬の出脚でスッと好位。ただ、前に馬が居なかったことも有り、持って行かれそうになっていた。直線は枠なりに内目から伸びて来たが、序盤にあれだけ行きたがると甘くなるのは仕方がないところ。昨秋、シーズンズギフトの暴走もそうだが、鞍上がダメ。追い込み一手だったカンパニーを行かせて好位で折り合いを付けたあの技量がなくなった。

第61回きさらぎ賞(GⅢ)

ラーゴム

重量感は有るが、まだ全体に緩い印象。本当に良くなるのはまだ先。ただ、現状でも気配はいい。歩様もしっかりしていた。ゲート五分。出脚も悪い方ではなく、行きたい馬には行かせつつ、ほぼ急かすことなく、楽に好位を確保。それでも向正面に入る迄は、結構行きたがっていたが、1000m通過が61.2秒とスロー。他の人気2頭が後ろから行く展開になったことも有り、この位置取りがモノをいった。直線は馬場のいい外へ徐々に持ち出し、早目に抜け出してしまったとはいえ、最後はクビ差迄詰められた。この時期は兎に角賞金を加算することが大事だが、高い評価はし辛い内容。

ヨーホーレイク

+4kg。確実に前走中山戦よりは良くなっている。毛ヅヤは前走時でも良かったが、馬体に締まりが出た。歩様もスムーズ。スタート直後にダノンジェネラルと接触したことも有ったが、行く気もなく後方から。恐らくは最初から馬場のいいところを通るつもりで、ジックリ乗られた。直線も迷わず大外。今日の馬場で前に居た馬も外へ持ち出して来るのは仕方がないところで、内ラチから7〜8等分外。一瞬は突き抜けそうな程いい脚だったが、坂を上り切った辺りで甘くなった。取り敢えず賞金を加算出来たことは良かったが、前走にしても伸びそうで一押しが利かない部分が有り、要は堅実だが、もどかしい。

ランドオブリバティ

シープスキンノーズバンド。-10kg。数字分だけ締まった印象。気配的にも下見は全く問題がなかったが、その点は前走中山戦も一緒。スタート直後にパッチンを食らい、後方から。不慣れな形で、序盤はかなり行きたがっていた。無理矢理、馬群から離して何とか宥めた。それでも眼前がヨーホーレイクだったのは不幸中の幸いで、目標は有ったが、いざ追ってからもステッキに反応して、内にササる場面も有り、ひと伸びを欠いた。完走すら出来なかった前走中山戦と比較すれば遥かにマシだが、まだまだ課題は多い。

タガノカイ

500kgの割には重量感がないが、それでも使う毎に良くなって来た。ただ、如何せんテンションが高い。ゲートをヨレながら出たが、素早く立て直して押してハナへ。向正面迄、ショウナンアレスとの並走だったが、その割には直ぐにスローに落とせた。3角手前から少しずつショウナンアレスを突き放しに掛かったが、4角でラーゴムに来られて苦しくなった。それでも前走は▲の3kg減騎手だったことを考えれば頑張っている方。スローだったとはいえ、決して内目が有利な馬場だったこともなく、それなりに評価出来る4着。競馬に注文が付かなさそうで、オープン特別なら一発有ってもおかしくない。

アランデル

+10kg。前走中山戦が+12kgでまた馬体増。多少腹回りがもう少しスッキリしてもいいが、ほぼ成長分。気配や歩様も問題なかった。スタート直後に直ぐ内のドゥラモンドと接触。そこから仕掛けて行く訳にも行かず後方から。序盤に少し行きたがっていたのは仕方がないところ。4角で外へ持ち出さなかったのは正解で、眼前がラーゴム。スムーズに捌いては来たが、もう一伸びがなかった。競馬自体は上手そうで、叩いて改めて。

第35回根岸ステークス(GⅢ)

レッドルゼル

前後肢にバンテージ。全体に重厚感の有る造り。如何にもダートの短距離馬といった印象。馬に活気も有った。ゲートは決まったが、次走が未体験のマイル戦ということも意識しつつ、中段待機。コーナーで外から上がって行った馬が多く、結果的に4角では後方に近い位置迄下がってしまい、かなりキツい展開になった。直線も眼前のタイムフライヤーが伸びてくれたことは不幸中の幸いだったが、それでも前のテイエムサウスダンが外へモタれて進路がなくなる等、右往左往しながら最後はアタマ差。着差以上に強い内容。次走へ向け、このレースからだと上手く行かないケースの方が多いのは確かだが、陣営としてはやるべきことはやれた。あとは相手関係。

ワンダーリーデル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+8kg。年齢分も有るだろうが、数字分だけ腹回りは余裕残し。毛ヅヤは冴えて、気配も良かったが。ゲートは出た方だが、例に依って行く気はなく最後方から。道中はインでジッとして、4角を回り切ってから大外へ。レッドルゼルの項で述べた様に、全体に仕掛けが早い展開となり、直線向いた段階で前との距離がフルゲートにしては離れていなかったのも幸い。直線半ばで勝ったかの勢いだったが、内から馬群を捌いたレッドルゼルが居た。マトモなら勝っている競馬。今日は相手を称える外ない。

タイムフライヤー

2人曳き。+4kg。馬体が緩いということはないが、ボテッと映る。歩様も一枚重たい分、窮屈だった。ゲートを出て一瞬は出脚が甘かったが、行き脚が付いてからは好位直後でスムーズに走れた。直線向いてからの反応も良く、ラスト200mで先頭。今日はあまりにもスムーズに行き過ぎて早く抜け出してしまい、その分、最後に捕まった印象すら有る。もっとズルいタイプの馬だと思っていたが、真面目に走る様になった。これなら次走も軽視はし辛い。

アルクトス

前後肢にバンテージ。何時もこれで走っているのだが、もうちょっと絞った方が動きが軽快になりそう。歩様にムラが有る。59kgを背負って流石に1完歩目は鈍かったが、そこからは外目の好位をジワッと運べた。4角で他馬が外から来た関係で前を捌くしかなく、直線に向いてから前が壁になり暫く待たされたが、脚が残っており、内目へ進路を切り替えると、ジワジワ伸びて来た。最後は59kgだけに捕まったのは仕方がないところ。ムラ駆け傾向では有るが、今後も展開一つ。

ブルベアイリーデ

上位馬とは迫力という点で見劣るが、緩んだところはなく、この馬なりにキッチリ出来ていた。歩様もキビキビ。その気になれば行ける馬だが、今日は最初からの決め打ちで後方待機。直線向いて眼前がレッドルゼルだったが、前がフラフラだったことも有り、レッドルゼルが進路を切り替えて前が塞がる場面が有ったのが痛かった。あれがなければ4着有ったかも。前走中京戦も狭くなる場面が有ったが、細かい不利が多い。マトモなら重賞でも足りることは証明出来た。

第26回シルクロードステークス(GⅢ)

シヴァージ

遮眼革。前後肢にバンテージ。腹袋が立派なのは毎度。それでも今日は前走阪神戦より馬が張っていた印象。歩様も明らかに力強くなっていた。この馬としてはゲートを出た方。外のモズスーパーフレアとクリノガウディーには叩かれたが、この2頭が直ぐに行き切ってくれた立て直しも容易となり、中段やや後方辺りから。今日は4角の手応えが抜群で、登坂中の勢いが他馬とは違っていた。ハマればこの位の勝ち方でも不思議はないが、今日は馬場のいいところをしっかり走れて、前走の様に外へ張られることもなく、道中の位置取りも良くと、全てが上手く向いた感も有る。次走も展開一つだが、あまり馬群の中から捌いて来る競馬は過去にしておらず、内枠は厳しそう。最低でも外枠は欲しいところ。

ライトオンキュー

-6kg。少しでも絞れたのはいい傾向だが、それでもまだボテッと映る。ただ、絞れた分、何時もより歩様はスムーズ。好発も、直ぐ外のセイウンコウセイが先行してその直後。全体で前から5番手辺り。勿論、最内こそ避けていたが、内目の悪いところを通らされながらも、決して馬場を気にしている様子はなかった。直線向いてからも良く伸びているが、最後は斤量と早目に抜け出し過ぎた分、捕まった印象。競馬としては完璧に運んで勝ちに等しい内容。すっかり1200mが板に付いて来たが、過去に1分7秒台で走った経験がなく、時計の掛かる馬場の方が走る。

ラウダシオン

口から泡を吹いているのは何時ものこと。ただ、今日は馬体に締まりが欲しい印象。歩様も本来はスムーズに出るタイプ。ゲートはやや後手に回ったが、出脚が速く、スッと好位。2歳時以来の1200mだったが、スムーズに流れに乗れた。直線向いて、クリノガウディーの直後で追い出しを待つ余裕も有り、流石にシヴァージの決め手には屈したが、3着は確保。馬場の一番いいところを通れたのも確かだが、出脚が有るので常に競馬は組み立て易いタイプでも有る。ゲート五分で最近一度でも1200mに使っていれば、もう1馬身前に居ただろう。左回りの方が走る傾向にも有り、次走狙い目。

リバティハイツ

遮眼革。+4kg。昔は時々イレ込んでいたが、今日はむしろ大人しい位。精神的に安定して来て、馬体もドッシリ見せる様になって来た。元々が1200mの馬ではないだけに、出脚が速い方ではなかったが、何とか中段。下見で落ち着いていれば、距離に関係なく折り合いも付く。コーナーで外から次々に来られ内に押し込められて、位置取りが少し悪くなったが、直線向いてラウダシオンの直後。ずっと左手前のままで一瞬の反応は悪かったが、エンジンが掛かってからはジワジワ伸びていた。大分慣れて来たが、もうちょっと早く流れに乗れる様になれば通用しそう。

セイウンコウセイ

気配に乏しいのは毎度。毛ヅヤも悪くなさそうだが、腹回りにイマイチ締まりがないのは年齢だろう。モズスーパーフレアは流石に速かったが、この馬も58kgを背負いながら出脚は死んでおらず、楽に3番手。ラチを頼れる馬場ではなく、4角はモズスーパーフレアを目標に併せて行ったが、何頭かにやられるのは仕方がないところ。この馬としては最後迄良く粘っている。良馬場だと苦しいが、雨が降ればまだまだやれそう。実に馬主孝行。

モズスーパーフレア

+5kg。テンションの高い牝馬なので本来は勝手に仕上がるタイプだが、今日は馬体の張りがイマイチ。出脚は流石にケタが違っており、外枠でも一瞬でハナへ。前半3Fが33.7秒だから極端に速いという訳ではないのだが、内ラチを頼れず、直線入口で突き放せないと苦しいところ。今日は馬場に泣かされた以外にない。

第62回アメリカジョッキークラブカップ(GⅡ)

アリストテレス

前後肢にバンテージ。そう大きく変わったところはなさそう。馬体は垢抜けているが、歩様とテンションの高さは気になるところ。出脚の速いタイプではないが、この馬としては好発。それでも外から行く馬が多く、少し出して中段やや前辺り。1番人気だけにマークされるのは仕方がないが、この馬場であまり包まれると宜しくないところで、結構周囲には気を遣って乗られていた。向正面で外のナイママが動いた際にも、少し付いて行って、出来るだけ外に馬を置かない様に乗られていた。3〜4中間からも外のヴェルトライゼンデに被されない様に進出、それでも前のステイフーリッシュを捕まえ、ヴェルトライゼンデの猛追も凌ぎ切った。相手なりに走れる強みが出たともいえるが、昨春は詰めが甘くてクラシックを逃していた馬だけに、特殊な馬場でもしっかり勝ち切った点をまずは評価したい。

ヴェルトライゼンデ

+6kg。完璧ではないが、ソコソコ出来ていた。時々イレ込む馬が、今日は落ち着いていたのがも良かった。ゲートは五分だが、例に依って出脚がなく、後方に近い位置。それでも、1角を上手く立ち回ったことで何とかアリストテレスの2馬身後方には持って来れた。向正面で馬群がバラけて悪い内目から逃れられたのも良かっただろう。後方ママで終わった前走京都戦の轍を踏まない様、アリストテレスを急かす位のタイミングで動き、見せ場は造ったが、あと一歩が届かず。直線で手前が替わっていなかった割に最後は差を詰めているが、4角で手応えが悪く、対アリストテレスで突き放され気味だったのが痛かった。昨春の中山戦も稍重の馬場で、勝負どころで手応えが悪く不発だったが、道悪は良くないかも。

ラストドラフト

前後肢にバンテージ。見た目の成長も有るが、それ以上に歩様の力強さが3歳時と比べると別物になっている。ゲートはアリストテレスに対して少し分が悪い程度だったが、抵抗する気はなく、一旦後方。ただこれも、1角を上手く入っており、ヴェルトライゼンデの真横には付けていたが、道中の行き振りはヴェルトライゼンデの方が良く、時折オッツケる場面が有った。4角で少し内目を回って距離を稼ぎ、直線はヴェルトライゼンデと並走。それなりに伸びているが、坂を上ってアリストテレスとヴェルトライゼンデの間が割れず、最後の最後に引っ張らざるを得なかったのが痛恨だった。昔なら道悪は二束三文だった筈で、充分好内容。まだまだ稼げる。

ステイフーリッシュ

一息入ったが、皮膚を薄く見せて高値安定。数字もこの位の方が見た目の格好はいいのだが、結果から見れば恐らくは太い。以前と比較してゲートと出脚が速くなっており、外の馬には叩かれたが、直ぐに立て直して好位から。今日の展開ならこれでいいところだが、勝負どころで手応えが渋くなるのは相変わらず。今日の展開や馬場状態だと余計に痛かった。例に依って最後は盛り返している。結果的にもう一歩前で戦いたかったということになるが、枠の並びの関係で外から来られただけに仕方がないところ。

モズベッロ

2人曳き。+6kg。前走が減っていたことも有り、数字は回復分。馬体の張りも有って、特にデキが悪いということはなさそう。歩様の硬さは一時よりマシになった。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。1角の時点で外へ持ち出していた。基本的にはジックリ乗られ、直線で前が開く迄に少し待たされたのは痛かったが、良く伸びている。つかみどころのない馬だが、道悪の我慢比べには強い。

第38回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

オーヴェルニュ

+4kg。ダート馬としては基本的に細身。従って、少しでも増えるのはいい傾向だが、相変わらず歩様が硬い。出脚はインティにも負けていなかった位だが、枠の関係も有り、1角で引いて序盤は3〜4番手辺りから。ただ、向正面から兎に角積極的に乗られ、3角からほぼインティと並走。直線入口で抜け出して、そこから遊ぶ場面こそ有ったものの、独走だった。今日はこの馬場で勢いに任せて強気に乗ったのが正解。ダートは格より勢いというのが基本だが、この馬場で余計に優先された印象。逆にいえば今日は地力で勝った訳ではない。良馬場で馬力勝負となると分が悪い面も出て来そう。

アナザートゥルース

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。良くも悪くもドッシリと見せているが、左後肢の出が甘い。ゲート五分。スタート直後はオーヴェルニュに有る程度付いて行きつつ、好位直後から。砂を被ると宜しくない馬で、道中は少し外を回し気味に乗られた。他馬もそうだったとはいえ、この馬もかなり水が浮いた馬場を走り辛そうにしていたが、それでも最後迄渋太く伸びていた。前が止まらない馬場だが、今日は追っ掛けバテし易い展開でも有り、これは純粋に地力で勝ち取った2着。57kgと、僅か1kgでも斤量差が出易い馬場状態を考えればキツい条件でも有り、評価上げたい内容。交流戦ならまだまだ稼げそう。

メモリーコウ

下見所の外を回って、活気充分。この馬なりにしっかり作り込まれており、何より一歩一歩が力強い。内の出方は窺いながらも、行く気はなく出たなりで中段から。直ぐ内枠に居たロードアクシスが1角で逸走しており、並走していなかったのは結果的にラッキーだった。砂を被っても問題ない馬で、道中は馬を前に置き、コースロスも出来るだけ少なく乗られ、最後はアナザートゥルースとハナ差。ただ、こちらは追っ掛けバテの展開に乗じた格好。デキがいいだけに暫くは安定して走ってくれそうだが、過大評価も避けたいところ。

デュードヴァン

前後肢にバンテージ。気配は良かったが、やはり古馬相手だと迫力不足は否めない。歩様も毎度のことながら硬い。ゲートをアオり気味に出て、出脚が鈍り、後方から。道中はジッとして、直線は大外へ。直線は左手前のままだったが、追って直ぐは1頭違う脚だった。手前が替わっていたら、もう少し末脚の持続性も有って、2着迄有っただろう。スタート直後に流れに乗ってフォームが安定する迄の時間が他馬より掛かっている点も気になった。性能は間違いなく高いが、まだ馬が若い。

グレートタイム

遮眼革。しっかり踏めていたのが何より。トモに張りも有って、特に減点すべき材料はなかった。出脚もそこ迄速い訳ではなさそうだが、スタート直後に直ぐ隣のダイシンインディーがステッキを入れて先行していたことも有り、直ぐに引いて中段のイン。内枠を生かしたセコい競馬は出来た。直線向いての反応も良く、アナザートゥルースに並び掛けて暫く2着争いに加わっていたが、ラスト100mで脱落。かつては内にモタれていた馬が今日は比較的真っ直ぐ走れていた。砂というよりは泥だろうが、内は内で精神的にキツい競馬になった筈で、悲観する内容ではない。

第61回京成杯(GⅢ)

グラティアス

2人曳き。+10kg。前後肢にバンテージ。元々細身だった馬で、馬体増は素直に好感。ただ、これをもっと筋肉にする鍛錬は必要。まだ緩さが残る。スタート直後に馬場のいい外へ持ち出そうとしていた様にも見えたが、外に壁が有り、諦めて1角で内へ。結果的に逃げたタイムトゥヘヴンの番手から。ただ、今日は1000m通過が63.7秒とスローで、これがむしろ正解。先行するタイムトゥヘヴンが直線で外へ持ち出したが、こちらは内ラチピッタリを最後迄通り切ってV。2馬身半とそれなりの着差は付いたが、今日は上手く行き過ぎた感が強い。馬がまだ未完成感アリアリの造りでも有り、次走が試金石。

タイムトゥヘヴン

前肢にバンテージ。気配的には良かったが、皮膚が薄いというより、馬自体が薄い。もう20kg位増えてもいい様な造り。好発。鞍上の話ではハナへは行きたくなかったとのことだが、誰も来ず、押し出される形でハナへ。馬も特に序盤は戸惑っていた様に見えた。そんな逃げではペースも上がらず、前述した様に超スローといえる流れに持ち込めた。勝負どころでも、2番手に居たタイソウが早々に失速。馬場のいい外へ持ち出す余裕も有ったが、内の馬にやられたのは誤算だったか。首を下げて走る走法で、全身が使えるタイプ。今日の内容だけなら後述するテンバガーの方が素質は高そうだが、あとは成長次第。

テンバガー

510kgの割にはまだ全体に芯が入っていない印象も有ったが、歩様は実に滑らか。これはこれで一つの才能。ゲートで横を向いている時に開けられてしまい、ダッシュが鈍ったが、押して何とか5番手辺り。スタートから押して行く馬が少なかったのは不幸中の幸いだったか。出して行った割には道中の折り合いは問題なかったが、勝負どころでの行き振りがそこ迄良かった訳ではなく、直線入口のところで前でヨレたヴァイスメテオールに前をカットされる様な形になったのはかなり痛かったか。それでも最後迄諦めずに伸びており、ゲートのロスも加味すれば中々強い内容。馬がしっかりすれば名前の通り、大化けするかも。

ヴァイスメテオール

2人曳き。多少腹回りが厚ぼったく映るが、迫力は充分。多少物見はしつつも、首で曳き手を引っ張る場面も有り、気配も良かった。好発。出脚も有って、ジワッと好位。ただ、1角が典型だったが、ところどころで手綱を引っ張る場面が有り、行きたがっていた様にも見えた。直線に向いてもタイムトゥヘヴンが外へ張り出して来た影響を受けたとはいえ、フラフラ。坂を上る脚が甘かった。これももうちょっと脚力を磨く必要が有る。

プラチナトレジャー

シープスキンノーズバンド。腹袋のしっかりしたタイプで、全体に纏まった造り。ただ、歩様が明らかに甘いのは気になった。出脚自体が速い訳ではなさそうだが、直ぐ内のアクセルが出負けする等で、丁度馬群の切れ目が出来て、まずインへ潜りに行く形。ただ、向正面でペースが落ちた影響も有ったとはいえ、頭を上げてマトモに引っ掛かっていた。荒れ馬場でこうなると競馬にならない。今日はズルズル行かなかっただけでも充分とさえいえる内容。あとは気性面。

第68回日経新春杯(GⅡ)

ショウリュウイクゾ

遮眼革。+10kg。胴が薄い体型で、そこ迄馬体増は目立たず。逆にいえばトモは中々立派。歩様の力強さも有った。好発。外のナルハヤには叩かれる展開となったが、積極的に乗られて好位の外。何処が伸びるのか良く分からない今の中京だが、結果的にいいところを通れたということだろう。人気馬が隣でもがいて後退して行く中、手前こそ2回替えていたが、最後迄しっかりとした脚取りで突き抜けた。前走の敗戦が良く分からないところだが、前々走阪神戦の様に早目に動いた方がいいのは間違いなさそう。次走が試金石。

ミスマンマミーア

前後肢にバンテージ。-10kg。この位でも走っている馬で、細い印象はなかった。この時期の牝馬の割には毛ヅヤは維持しており、一歩一歩に力強さが有った。この馬としてはゲートを出た方だが、例に依って行く気はなく、離れた最後方から。道中はコースロスなく乗られ、直線だけ大外へ。追って直ぐの反応が良く、1頭だけ違う脚で伸びて来た。惜しい2着。ただ、4角でレクセランスがブッ飛ぶことなく、その外を回っていたら厳しかったかも。追い込み馬はどうしても細かい展開の助けが要る。

クラージュゲリエ

皮膚を薄く見せて、デキ自体は良さそう。ただ、少し完歩の小さい歩様が気になったのと、490kg有る割に迫力を欠く気もしないでもない。出たなりで好位直後。基本的にはショウリュウイクゾの真後ろから。道中の折り合いは全く問題はなく、ショウリュウイクゾが勝つ展開なのだから絶好の形だが、最後の最後に甘くなった。距離も微妙に長いのだろうが、今日はハンデが何時も以上に応える馬場状態だった影響も有っただろう。

サンレイポケット

2人曳き。シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。+16kg。多少腹回りに肉が付いている程度で、一応は走れる状態だっただろう。今日は何時も以上に活気が有ったのがいい。少し押して中段から。この荒れ馬場の割に各馬がタイトに回っており、馬は下を気にしてオッツケ気味の追走。4角でも決して手応えが良かった訳ではないが、鞍上のステッキに何とか応えようと最後迄ジリジリ伸びていた。ズブかったのは一枚重かった影響の有るだろうが、馬は良く頑張っている。やはり左回りは走る。

サトノソルタス

遮眼革。芦毛だけに、毛ヅヤがイマイチ分かり辛いが、馬体の張りは悪くなさそう。歩様に硬さがなかったのも何より。毎度のことだが、出脚がなくて後方のイン。荒れ馬場を走らされた割に道中の行き振りはそこ迄悪くなかったが、直線向いて進路がなく、前が開いた時には競馬が終わっていた。今日は不完全燃焼。基本的に中京は得意としているが、一昨年暮れのレースがそうだった様に不利が多く、ツキに見放されている。

ヴェロックス

2人曳き。前後肢にバンテージ。このメンバーに入れば垢抜けた馬体は目を引く。ただ、馬体の張りと歩様がイマイチ。単純にデキがない。出ッパの差でアドマイヤビルゴに叩かれる形となったが、直ぐに立て直しは効いて好位から。ショウリュウイクゾにずっとフタをされており、このハンデを背負って荒れ馬場を通らされたことはかなり響いた筈だが、それにしても直線は伸びなかった。休み明けの前走の方が良く見えた様ではダメ。暫く掛かるかも。

第58回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

マジックキャッスル

シープスキンノーズバンド。+12kg。名門厩舎だけに馬体増でも緩んでいることはなく、数字は単純にパワーアップ分。また、今日は何時も以上に気配が良かった。この馬としては好発。それでも位置取りよりも、内へ寄せたかった様で、馬群の薄いところ迄下げて、後方に近い位置。ただ、今週の傾向として、被されるとマズいことになるケースが多く、自分より後方の馬にマクられるのを嫌い、ちょっと早目の追い出し。外からしっかりとした脚取りで、最後の最後にランブリングアレーを捕まえた。3歳時に散々述べて来た様に、本質はスプリンターで、距離は器用さでこなしている馬だが、今日はハイペースだっただけに中々力強い内容。馬体増も含めて日頃の鍛錬の賜物だろう。これこそ厩舎技量。今後も楽しみ。

ランブリングアレー

2人曳き、+10kg。胴長の体型で、目立たないのだが、過去の戦績から数字は回復分と見ていい。ちょっと小走りが入っていた。ゲート五分。直ぐ外のシゲルピンクダイヤに抵抗しつつ、中段辺りから。ただ、マジックキャッスルが早目に動いたことで、3〜4角中間辺りから包まれる格好になったのだが、直線入口で一瞬のスペースを見つけると、ズバッと割って入って来た。最後は外をノビノビ伸びて来たマジックキャッスルに捕まったものの、勝ちに等しい内容。あの脚が有れば小回りにも対応出来る筈で、今年は"限定戦荒らし"となりそう。

ウラヌスチャーム

前肢にバンテージ。+6kg。一息入ったが、緩んだところもなくほぼ出来ていた。毛ヅヤ、歩様もまずまず。ルーラーシップ産駒らしくゲート内が煩く、スタートしてもダッシュが付かず、後方から。ただ、何時もなら何処か途中で動いて行くところだが、今日は外に馬が居て中々動けず、全部行かせてから、直線で大外へ。流石に前とは水を開けられたが、しぶとく最後迄諦めずに走った分の3着。アテには出来ないが、これはこれで一つのレパートリーが増えたといえそう。

アブレイズ

-10kg。トモのボリューム感を残しつつ、腹回りが大分スッキリして来た。気配も悪くないが、少し皮膚が厚ぼったく見える。ゲートを内に切れ込む様に出てしまい、直ぐ内のレッドアステルと接触。その時点で外のシゲルピンクダイヤも来ており、挟まれる様な格好で後方から。道中は問題なく追走出来た様に見えたが、勝負どころの手応えが怪しく、外を追い上げて来たウラヌスチャームにも叩かれそうになっており、直線入口では接触する場面も有った。最後は捕まったが、雑な競馬だった割には直線は良く頑張ったといえるか? まずはゲートを五分に出たい。

サトノガーネット

昨年辺りから歩様がスムーズになった。馬体も昔は少しギスギスした印象も有ったが、今はシャープさを残しつつ、角が取れて来た。今日は最初から流れていたことも有るが、何時も以上に出脚がサッパリで後方から。行き脚が付いてからの行き振りはそこ迄悪くなかったが、鞍上にあまり動く気がなく、直線迄待ってから進路を探す形。結果的にマジックキャッスルの2馬身後ろで、これはこれで悪い位置ではなかった様に思うのだが、追ってからがジリジリだった。デキは良かっただけに、今日は案外感の残る内容。

第37回フェアリーステークス(GⅢ)

ファインルージュ

2人曳き。馬に活気が有ってヤル気充分。馬体はまだ成長の余地を残しているが、歩様の力強さだけをいえばこのメンバーだと最上位。ゲート内の駐立が悪く、頭を下げていた時にゲートが開いてしまい、やや出負け。中段やや後方から。序盤は折り合いが少し行きたがっていた様にも見えたが、向正面で折り合いが付き、前の出入りが激しくなった場面でもジックリ脚を矯められたのが最大の勝因。4角の手応えが他馬と違っており、この段階で決着が付いた。展開が向いたとはいえ、このメンバーなら力も一枚上だろう。あとはGⅠ級との相手関係。この馬自身は折り合いとゲートを改善したい。

ホウオウイクセル

前肢にバンテージ。馬格がない割にトモにボリューム感が有る。歩様も420kgの馬としてはまずまずしっかりしていた。ゲートは五分程度。油断するとブッ飛びそうになっており、外枠だけに中々難しい部分も有ったとはいえ、出来る限り、馬を前に置いて折り合いを付ける形。向正面の頂点辺りで丁度ファインルージュをマークする格好になったのが良かった。前述した様に前が数字以上に厳しい展開となり、外枠の不利が消えた格好。ガサがないので馬場のいい外を通ったことが結果的に正解となった。ただ、今日はそれ以上ではない。これで実質準オープンの馬ということになるのだが、今後1勝するのは余程の進境がないと厳しい。

ベッラノーヴァ

前肢にバンテージ。+6kg。当然ながら少しでも増えるのはいい傾向。もう20kg位増えてもいいくらい。この時期にしては毛ヅヤが冴えていた点も好印象だが、右後肢の出が多少甘い。今日は最初から行く気がなかった様で、下げて外へ持ち出そうとしていたが、その際にアトミックフレアと何度か接触。これは明らかに鞍上の確認不足だった。3角手前で最後方迄下げてやっと外へ持ち出し、直線は大外へ。展開のロスを考えれば2着のホウオウイクセルよりは遥かに強い競馬をしている。何より根性が有るのがいい。

テンハッピーローズ

シープスキンノーズバンド。下見では特に頭が高い様な雰囲気はなかった。440kgの馬としては外見は良く出来ているが、歩様は甘い。今日はゲート五分。行く気はなかった様だが、その分、何時もより前で競馬出来た。ただ、どころどころで行きたがっていたというより、外に張ってしまっていたのが勿体なかった。直線向いてからはジリジリ伸びている。まだ芯が入っていないので、コーナーでブレてしまう。要は鍛錬不足。

ネクストストーリー

前肢にバンテージ。+8kg。太くは見せず、バランスの取れた造り。無観客ということも有るが、良くも悪くも淡々と歩いていた。好発切って一瞬だけハナに立ったが、今回が初のマイルということも有ってか、そこから押して行くことはせず、行きたい馬に行かせて好位のイン。1200mでも楽に行けるスピードの有る馬だが、不思議な位スムーズに折り合えていた。勝負どころも決して手応えがいい様に見えなかったが、最後にエンジンが掛かって狭いところを割って伸びて来た。今日の内容だけだったらもっと距離を延ばしてもいい位。昨年のマジックキャッスル的伏兵として面白い存在になれるか。

第55回日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ)

ピクシーナイト

前後肢にバンテージ。536kgの馬だが、馬格が有るというよりも、まだ全体に緩い印象。手先のスナップは利いていたが、下見は感心しなかった。好発。前走阪神戦は出遅れたが、ゲートを決めた場合の決め打ちだった様で迷わずハナへ。新馬の当地戦等、少しズブい場面も有った馬だが、今日は出脚も有って、いいスピードに乗って行けた。道中は多少物見をしながらだったのは初めての逃げだけに仕方がないところ。追ってからは全くフラつかなかったという訳ではないが、大型馬らしいトビの大きい走りで押し切った。ただ、今日はイン有利の馬場にも関わらず、誰も鈴を付けに来なかったのが向いた感も。この馬自身もまだまだ緩く、全ての評価は鍛え直してから。

ルーズネクスト

前後肢にバンテージ。まだ馬全体が子供っぽい。良くいえば柔軟性が有るということになるが、要は芯が入っていない。やや出負け。本当は出して行きたかったところだろうが、ソロッと乗っているにも関わらず、最初から引っ掛かっており、2角辺りは制御不能になり掛けていた。何とか向正面に入って漸く落ち着き、3角から少し外へ持ち出しつつ進出。直線は内から6頭分の位置から伸びて来た。切れたというよりジワジワだったが、序盤のロスを考えれば良く走っている。ただ、これも明らかに馬が緩く、大舞台で通用するかどうかは何とも。

バスラットレオン

数字通り、見た目も前走阪神戦と変わらず。腹袋が目立って、実際のところはさておき、どうしても太く見える。ピクシーナイトには叩かれる形となったが、少し出して2番手グループから、ロードマックスも行きたそうにしていたが、何が何でも譲らない構えで乗られていた。従って、ペースとは違う部分で道中はそれなりに脚やメンタルを削られていた筈で、それを考えれば良く頑張った3着といえるだろう。鞍上の雑な乗り方には疑問の余地も有るが、GⅢ級なら充分足りる馬。

ククナ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて、脚長の体型。垢抜けている印象。ただ、長距離輸送が有った分だけ、ちょっと煩かったか。ゲートは速い方だったが、押して行くと引っ掛かる危険も有り、徐々に下げて横のコースロスを減らす方向で乗られた。直線向いて改めて進路を探し、ルーズネクストの内へ併せて行ったが、伸びていない訳ではないものの、ルーズネクストには突き放され気味になっていた。外枠に泣いたことは間違いなく、圏内の馬では有るだろうが、そこ迄の破壊力は持ち合わせていない様。

セラフィナイト

前肢にバンテージ。寸詰まりの体型だが、トモ自体はしっかりしている印象。歩様もキビキビ。毛ヅヤも良かった。ゲートも微妙に悪かったが、それ以上に荒れた馬場を気にしたとのことで、進んで行かず後方から。コーナーはそれでも流石に内目を通っていたが、直線は馬場のいい大外へ。坂をの上る脚に一瞬だけ見どころが有った。もっと持続性が有れば馬券圏内だったということにはなるのだが、今日の馬場だとこれでも良く走っている方だろう。注文付く部分は有っても、そんなに差はない。

第59回スポーツニッポン賞京都金杯(GⅢ)

ケイデンスコール

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。元々骨格がしっかりして見栄えのするタイプだが、歩様にも推進力が有って力強い。今日は満点。出脚の速い馬ではない筈だが、今日はスタート直後から気合で位置を取りに行って中段から。ポケットからスタートする昔の中京1400mと一緒で、内有利なコース形態では有ったが、恐らくは決め打ちの積極策。内の馬場がボコボコしていたことも有って、外へ持ち出した馬が多かったのもこの馬にはラッキーだった。スローだったが、揉まれずノビノビ走れたことが最大の勝因。直線向いて最初にエントシャイデンとボンセルヴィーソの間を狙ったところが狭くなり、ボンセルヴィーソの外へ切り替える場面が有り、トビの大きい馬にとっては結構痛い場面だった筈だが、それでもラスト100mで先頭に立って後続を振り切った。昨秋のカツジもそうだが、今更ながら荒れ馬場で内目を立ち回らせたらこの鞍上は上手い。

ピースワンパラディ

+4kg。緩んでいるという程ではないが、少し重目にも映る。歩様や気配は近況から大して変化はないのだが。出脚は有る方だが、エントシャイデン,ボンセルヴィーソ,タイセイビジョンと先行して、それらから2馬身程離れた4番手から。馬場のいいところを通りたかったのだろうが、結果的に内の進路をケイデンスコールの為に開けた格好。それでも直線で伸びてくれればまだ良かったが、4角辺りから手応えが怪しくなり、坂を上る際には天井を向きそうになっていた。ただ、このモタつきが痛かっただけで、上り切ってからは伸びている。鞍上の乗り方で勝てた競馬だったかも。マイルは依然として連対を外しておらず、堅実なことには変わりないが。

エントシャイデン

後肢に短目のバンテージ。良くも悪くも何時ものこの馬。腹回りをボテッと見せて、窮屈な歩様。気配だけは良かったが。枠も出脚もボンセルヴィーソの方が良かったが、流石にボンセルヴィーソにも逃げる気はなく、この馬が来たことで楽に譲って貰えた。これも決め打ちだったと思うのだが、2018年3月阪神戦以来の逃げの手。ハナを切るのに脚を使ったが、それでも1000m通過58.5秒ならオープンとしては平均よりやや遅い流れで、これも内ラチ沿いをピッタリ回ったことで、前後関係だけでなく、横も含めて距離が取れたことでプレッシャーが大分軽減された。直線向いてボンセルヴィーソを何とか退け、またケイデンスコールが進路を切り替えてくれたことも幸いして3着粘り込み。今日は全てに恵まれた印象。最大の問題はハナへ行けたのがたまたまという点。逃げるには出脚が足りない。

タイセイビジョン

+22kg。数字程ではないが、緩んでいないだけで、全体に厚い造り。歩様もマトモならもっと伸びて歩ける馬。好発。出脚も速かったが、内からボンセルヴィーソ,エントシャイデンが主張して3番手から。序盤はちょっと行きたがっていた。隊列が決まってからはスムーズに運べたが、これも勝負どころからの手応えが怪しく、登坂中にフラフラ。ケイデンスコールに進路を切り替えるロスが有ったにも関わらず、そこで追い付けていないのが敗因。坂を上ってからは伸びている。もっと矯めて乗った方が勝負どころの機動力は増す気もするのだが、今日はそれ以前に太目が祟った感も。

シュリ

+6kg。514kgはデビュー以来、最高体重。成長していることも確かだが、それでも少し厚ぼったく見えた。少し煩いのは何時ものことだが。出遅れ1馬身不利。それでも出脚でカバーしてケイデンスコールと前後する位置。序盤に脚を使った分、道中は少し力んでいた。向正面で内の馬が外へ張り出して来て、その分、外を通らされたが、何とかコーナーでは内へ潜って距離を稼ぎ、4角でケイデンスコールの直後。ただ、この段階で置かれ気味になっており、直線も雪崩れ込んだだけだった。出遅れは痛かったが、4角で少々手応えが悪くとも、ピースワンパラディやタイセイビジョンが盛り返していることを考えると、物足りなさが残る。今回が初重賞挑戦だったが、明らかに壁が有る。

第70回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)

ヒシイグアス

馬体充実。以前は馬体重の変動が激しいイメージも有ったが、大分安定してドッシリと見せる様になって来た。イレ込まなくなった点も好印象。毛ヅヤも良かった。ゲート五分。出脚自体は有る方だが、それよりも外から行った馬に連られて序盤は結構引っ張っていた。2角で折り合いは付いた様に見えたが、結果的に窮屈なポジションにハマってしまい、外,前,後と馬が居て、向正面では手綱を引っ張る場面も有った。3角過ぎから馬群がバラけ、追ってからは重心がグッと下がってココロノトウダイとの一騎打ちを退けた。今日は馬に助けられた勝利。3歳時とは別馬。これで初重賞制覇だが、現時点でもGⅡ級は充分。走法から恐らくは東京の方が切れる脚が使える筈。

ココロノトウダイ

シープスキンノーズバンド。+10kg。正月戦の馬体増はいい傾向ではないのだが、見た目には太い印象はなかった。歩様もスムーズで、特に窮屈な印象はない。出脚には余裕有ったが、スタート後暫くして、内のテリトーリアルと接触。これで馬が怒ってしまう場面も有ったが、何とか宥めて3列目のイン。引っ張り気味だったが、一応コントロールは利いていた。4角で前のテリトーリアルが内へ行ったのを確認して少し外へ。直線はバイオスパークを脚で弾いて、ヒシイグアスとの一騎打ち。ただ、こちらの方が馬装通り頭が上がり気味で、追い比べになると分が悪いのは致し方ないところ。前走福島戦もそうだが、ちょっと掛かり気味に行った方が走る。平均的に流れる小回りの方が向いている印象。今日はスローで走れたのは、テリトーリアルとの接触がいい方に出たという評価にしておきたい。

ウインイクシード

前後肢にバンテージ。馬体の張りが悪い訳ではないが、腹袋が目立つ。毛ヅヤも一息だったが、歩様はしっかり。好発。内の馬を確認しつつ、馬の行き振りに任せて2番手へ。スローとはいえ、道中もずっと抜群の手応えで、4角で前に並び掛けに行く形。ただ、ここで思ったより突き放せず、後続2頭に捕まって3着に。上位2頭は決して完璧に運んでいた訳ではないだけに、物足りない印象。昨年2着、今年3着と堅実だが、ワンパンチが足りない。前走も伸びそうで伸びなかったが、もう少し登坂力や機動力が欲しいところ。

ロザムール

+8kg。500kgを超えたのはデビュー以来初。流石に腹回りがボテッと映った。歩様ももう少ししっかり踏んで欲しいところ。ゲートは僅かながらでも分が悪い位だったが、注文を付けてハナへ。外枠、出負け気味とペースが上がり易い条件だったが、2番手ウインイクシードがガッチリ抑えてくれたことで、1000m通過62.0秒とスローに落とせた。そのウインイクシードが4角手前から仕掛けて来たが、直線入口ではズルズル行きそうな中で1馬身差4着なら良く踏ん張ったといえるだろう。もうちょっと絞れて出脚が来れば逃げ切り迄有っておかしくない。

アールスター

脚長で508kgの割にはスカッと見せるタイプだが、今日は比較的重量感を感じさせる造り。歩様も一歩一歩に伸びが有った。間違っても出脚の速い馬ではないが、坂下辺りで内外から来られる形となり、更に手綱を引っ張る場面が有り、後方から。とはいえ、これはこれで何時もの競馬。直線はエンジンが掛かる迄に少し間が有ったが、前が開いてからは1頭違う脚で伸びて来た。惜しい競馬。昨夏に小倉で重賞を勝った時が53kgだったが、今日は56kg。充分、背負い切ったといえる内容で、今後も展開一つ。