Sakura Archives

競馬回顧 2021年1回阪神

第70回フジテレビ賞スプリングステークス(GⅡ)

ヴィクティファルス

後肢にバンテージ。まだ馬体は緩さを残しているが、ハーツクライ産駒にしては、歩様にバネを感じさせる。ゲート五分、出脚も五分だったが、外枠だった分、位置取りを悪くして後方に近い位置。前走東京戦同様にジックリと乗られた。泥が飛ぶ馬場とはいえ、1000m通過が62.5秒だから速いとは言えない流れ。それを4角大外から1頭違う脚で差し切った。弥生賞組より、こちらの方が本番に直結し易い点も含めて、昔の皐月賞なら本命級。あとゲート。今日は五分の発馬だったが、前走東京戦は失敗しており、アテにはし辛い。

アサマノイタズラ

+10kg。背丈が高く、数字程の迫力は感じさせないタイプ。従って、馬体が増えるのは歓迎材料だが、まだパンとしていない印象も。ゲートを決め、直後から押していたが、単に先行したいというよりは出来る限り、前で馬場のいい外へ持ち出そうとしており、結果的に前から6番手辺り。3〜4角の手応えが抜群で、一気に動いて4角先頭。馬場は苦にしておらず、しっかり最後迄走っていたが、ヴィクティファルスの決め手に屈した。結果的にもうちょっと大事に乗るか、鞍上が保たせる技術が有ればというところだが、最後は差し返そうとしており、この馬自身のスタミナや根性は相当。

ボーデン

腹回りに厚ぼったさは残るが、気になったのはその程度。キビキビ歩けており、トモの張りも悪くない。出脚は怪しいが、押して先行。その分、序盤は少し掛かり気味。向正面から内ラチ沿いへ寄せ、4角でインから抜け切ってから直線だけ外へ。馬場のいい外を回って来た馬には最後屈する形となったが、権利は確保。この馬が単勝2倍台の1番人気だったのは解せないが、権利が取れてOKとするなら、イチかバチかのギャンブル騎乗が当たった形。ハービンジャー産駒だけに、道悪自体も上手いのだろう。

イルーシヴパンサー

前肢にバンテージ。-8kg。馬体が締まって来た。迫力の面でもこのメンバーならヒケは取らない。ただ、明らかに歩様が甘い。ゲート自体は速かった方だが、出脚は他に速い馬が居て好位から。道悪適性が有るからこそだろうが、2角で掛かる場面が有った。その割に3〜4角の反応が悪く、今度は置かれ加減。直線向いて坂を上る辺りでやっとエンジンが掛かり、ここ迄。回り脚がないタイプ? 昨秋の当地500万戦は内に居て回り脚を要求される形にならなかったが、外を回ってボロが出た。現状だと東京向き。

ヴェイルネピュラ

2人曳き。まだ馬体にメリハリを欠く状況。歩様もブレが残る。ただ、気配自体はそこ迄悪くない。出脚自体が速い方ではなさそうで、中段のイン。道中の行き振りはいい方で、馬場は特に気にしていない様に見えた。4角手前からジワッと進出し、直線もスムーズに進路は確保出来たが、ひと伸びを欠いた。良馬場でどうなるか未知数だが、今日の結果だけをいえば上位馬とは差が有る。

第69回阪神大賞典(GⅡ)

ディープボンド

前後肢にバンテージ。+10kg。腹回りがボテッと映るが、そういう体型でも有る。昔のトシザブイ等、東京2500mで強そうな馬体。好発。行きたい馬に行かせて好位4番手辺り。道中の折り合いは問題ないタイプで、むしろ前走中山戦の様に変に大事に乗って持ち味を生かせないまま終わるよりはと、今日は勝負どころから自力で前を捕まえに行く形。坂下で先頭に立つとあとは独走、最後は5馬身差付けた。道悪の圧勝劇は評価が難しい部分も有るのだが、スタミナは間違いなく持っている。あとは多頭数になった時の位置取りがカギだが、出脚も以前と比較すれば大分速くなって来た。

ユーキャンスマイル

+6kg。休み明けとしてはソコソコ出来ている方。もうひと絞り有ってもいいが、馬体は良くも悪くもこんなモノ。立て直したとのことだが、歩様がマシになったとはいえ、もうチョイ。この距離でも出脚は速い方ではなく、後方から。鞍上も腹を括っていた様だが、馬自身もこの馬場でちょっとズブそうに見えた。2周目の3〜4角中間からエンジンが掛かり、徐々に進出。それでも4角でも中段程度だったが、ディープボンド以外の先行勢が止まったことで2着浮上。この馬も最後は脚が上がっていた様に見えた。最近の中ではマトモに走った方だが、まだ完全復活とはいい難い。

ナムラドノヴァン

メリハリの利いた馬体。皮膚を薄く見せて、デキ自体も良さそう。時折、物見してちょっと頭が高いのは何時ものこと。鞍上もそうだが、馬も行く気がなく最後方から。道中で少し頭が上がる場面が有ったのも今に始まったことではなく、この馬のパターン。ユーキャンスマイルよりは先に動いたが、コーナーの脚がなく、一旦ユーキャンスマイルに先を越されてそれを追い掛ける形。最後は伸びているが、コーナーでモタついたのが痛かった。この距離なら能力は足りるが、やはり実績が示す様に左回りの方が無難。

シロニイ

白毛で分かり辛いが、ちょっとボテッと映る。もう10kg絞っても良さそう。ただ、歩様の力強さは特筆モノ。ゲート五分程度だったが、押して先行。2番手から。見た目通り、速い脚がないので、後続を待たずに早目早目。ただ、逃げたツーエムアロンソを捕まえた段階で、ディープボンドに並ばれており、そこからは雪崩れ込んだだけだった。道悪自体は有利に働いただろうが、重賞で闘うには決め手が欲しい。

ダンスディライト

-6kg。やはり500kgだった前走は太かった様で、数字分だけ馬がスカッとした印象。この馬としては活気も有った。ゲート自体も内の馬の方が微妙に速かったが、行く気もなく後方から。何時もそうだが、頭の高い走法。それだけにあまり持続力はない筈だが、2周3角から動いて、行き振り自体はそこ迄だったにせよ、何とか掲示板は確保。馬は良くなっているとみていい。展開さえハマれば馬券圏内迄有りそう。

アリストテレス

前後肢にバンテージ。垢抜けた馬体は一際目に付く。静止画に問題はないが、今日は何時になく歩様が硬い。ゲートは五分。特に急かすことなく中段から。基本的には折り合いの付く馬だが、今日は珍しく引っ掛かった。それでも2周目4角の行き振りは悪くなく、直線向いた段階では何とかなりそうだったが、内へモタれて完全にガス欠。一戦だけなら良かったが、2戦続けての道悪は応えた様。とはいえ、次走を考えれば変に好走するよりはこの方がダメージは少ない筈。立て直して改めて。

第35回フラワーカップ(GⅢ)

ホウオウイクセル

前肢にバンテージ。-6kg。414kgでの馬体減だが、見た目にはそこ迄気にならず。寸が詰まって、背丈も低いタイプで、造り自体はしっかり。ただ、気性的にはまだまだ子供。好発。インの馬だけ叩いてスッと好位。前走が外枠のマイルだった割に折り合いが付いていたが、今日はインでもスローということも有ってか、序盤は少し掛かり気味。それでも向正面で何とか宥め、直線もインから。スローだったことも有るが、4角で8頭が横一線。そのインに居た利は相当大きかったと言わざるを得ない。抜けて来る一瞬の脚は光ったが、坂を上り切って右手前になっており、まだまだ甘さが目に付く内容だった。ただ、一瞬の脚が有るのは何時の時代も武器になる。ゲートが速いのも長所で、あとはそれを行かせる展開になるかどうか。

エンスージアズム

シープスキンノーズバンド。416kgの馬としては大きく見せる。外を周回して、分かり易くデキが良かった。好発。この馬の出脚で中段やや前辺りから。道中の折り合いは全く問題なく付いていた。4角手前から仕掛けて、4角は内ラチから7頭分外。ホウオウイクセルとはここの差が大きかった。早く動いた分、最後は甘くもなっており、2着死守がやっと。器用さは有るが、出脚がもうちょっと欲しいところ。今日ももう一段前で闘えていれば、もう少し際どくなっていた。その点では距離はもうちょっと有った方が誤魔化しが利きそう。

ユーバーレーベン

-6kg。これ以上は減って欲しくないところだが、今年初戦としてはまずまず。歩様もしっかりしていた。ゲートのタイミングが合わず、出遅れ1馬身不利。それでも出脚は速く、中段やや後方から。今日位スローだと結果的にインを通った方が有利だったということになるが、馬場のいい外目でスムーズに運べた。3角過ぎからはエンスージアズムを追い掛ける形。ただ、ちょっと4角の反応が悪く、坂を上る途中でエンジンが掛かって、最後はハナ差3着。雑な部分も多く、中々勝ち切れないタイプだが、能力というか基礎体力は持っている。距離ももっと有った方がいい。

イズンシーラブリー

前後肢にバンテージ。-6kg。見た目に馬体が減った影響はない。毛ヅヤも良かった。ただ、姿勢の高さはマイナス。大外枠、ゲートも外にヨレ気味だったが、直ぐ内のアビッグチアの徹底先行に食らい付いて行って好位から。出脚が速い訳ではなさそうで、仕掛けて行った割には折り合いも付いていた。今日のペースだと4角でのコース取りは重要で、前に居た分、内を通れたということになるが、流石に最後甘くなったのは仕方がないところ。もうちょっとこの馬自身がパワーアップするか、枠が内なら2着有ったか。前走東京戦でも述べた様に、まだ500万に使える馬だが、楽勝級。ただ、2回続けて賞金を確保出来なかったのは痛い。

クールキャット

前後肢にバンテージ。-8kg。数字通り、馬体が締まって来た。500kgを超える馬で、このメンバーなら上位。ただ、少しチャカ付いたのは減点材料。ゲートをアオりながら出て、出脚が鈍り後方から。序盤は少し流れに乗れていなかった。スローは分かっていた筈で、もうちょっと早く動きたかったところだが、道中は内に居た分、外から何頭か来られて待たされるロス。実質直線だけの競馬になった。今日の展開だと届かないのは仕方がないところ。ただ、最後は重心の低い走りで、脚力は示した。どうせ出遅れるのなら、これも距離が延びた方がいいが、その点は昨秋東京戦から分かっていたことで、前走でマイル戦を使って暴走させてしまう陣営のセンスのなさには疑問も残る。

第35回中日スポーツ賞ファルコンステークス(GⅢ)

ルークズネクスト

前後肢にバンテージ。+10kg。良くいえばドッシリしたということになるが、少し太い。歩様に悪影響が出る程ではないが、腹回りが緩い。ゲートから微妙に悪く、出脚も決して速くないが、誰も行く気がなく、この馬だけが主張してハナへ。出して行った分、序盤はハイペース。1000m通過も56.2秒だからソコソコ速い。コーナーは内ラチ沿いを回って、直線だけ外へ持ち出し、馬場の3分どころでグレナディアガーズと併せ馬。一瞬はグレナディアガーズの方が出た様に見えたが、最後は差し返してアタマ差V。時計は速かったが、力の要る馬場が合っていた印象。いい馬力が有る。GⅠ馬に勝ったのも自信になっただろう。次走は絞って来る筈で、有力馬の1頭に。

グレナディアガーズ

前後肢にバンテージ。数字通り、馬はしっかり出来ていた。ただ、今日はこれ迄で一番歩様が硬い。流石に出脚は速いが、ハナへ行く気はなく、内外の出方を窺いながら、2番手グループの真ん中。道中は結構行きたがっていたが、それでもスムーズには運んで、4角で前へ並び掛けに行く形。ルークズネクストも併せに来て、直線は一騎打ち。一瞬はハナを覗かせたが、最後に差し返された。ダラしないといえばそうだが、フランケル産駒らしく、毎回確実に走るという訳には行かず、この時期に57kgを背負わされたのが応えたか。裏を返せば今日の敗戦を過度に心配しなくていいということもいえるのだが、これで左回りは3戦全敗というのは少し気になるデータ。

モントライゼ

下見だけパシュファイヤー。緩んだところが一切なく、完璧に出来ていた。ちょっと気負い気味だが、1400mなら許容範囲。好発。ゲートは一番速かった位だが、前走阪神戦が飛ばし過ぎた反省を踏まえ、急かさずジックリと。位置取りとしては中段だったが、その甲斐有って、スムーズに流れに乗れた。ただ、今日は前が残る展開。最後は伸びているが水を開けられた3着。能力的にそこ迄の差はないだろうが、気性的に攻めて乗れるのか大事に乗らないとダメなのか、今日は外枠も響いたとはいえ、そこは大きい。

サルビア

もうちょっと馬体が増えて欲しいところ。背丈が高いので、もう20kg位増えてもいい。現状だと腹が巻き気味。テンション高いのもマイナス。これも出脚は速かったが、ハナは厳しいと見るや否や、引いてグレナディアガーズをマークする形。ここ迄は上手く乗られたが、直線に向いて内へ行ったのが結果的に失敗だったかも。追ってちょっと内にモタれ気味でも有ったが、ルークズネクストが外へ行ったことで、ルークズネクストやグレナディアガーズと離れてしまった。4角を回って来た位置で上位2頭の間に入っていればまた違ったかも。個人馬主なので、重賞を無理使いさせられているのが今後どう出るかだが、現状の能力としてはそこ迄の差はない。

インフィナイト

-6kg。490kgの馬だが、まだ全体に薄い印象。ただ、歩様も甘さは有るが、柔軟性は相当。鍛錬を積めば良くなりそうな雰囲気の有る馬。ゲートは微妙に悪かったが、積極的に乗られて好位から。道中は多少力んでいた程度。4角からグレナディアガーズと一緒に動き、直線入口で1馬身後方の位置。ただ、直線は雪崩れ込んだだけで、対グレナディアガーズで最終的に約3馬身差を付けられた。 段々内容が悪くなっている。昨秋にGⅢ2着が有り、現状だと1000万の馬だが、500万に出たとしても怪しい。

第55回報知杯フィリーズレビュー(GⅡ)

シゲルピンクルビー

前後肢にバンテージ。-6kg。姉のシゲルピンクダイヤと比較すれば、全体に身が詰まってこちらの方が短距離向き。それでいて落ち着いていた点も好印象。好発。出脚も速かったが、スッと下げて好位。道中は枠なりにインを回り、直線だけ少し外へ持ち出し、進路を確保すると、重心の低い走りで、鋭く伸びて最後はクビ差。道中の折り合いが付いて、立ち回りが上手かったということが最大の勝因だが、いい決め手が有る。馬体からは単距離志向の強い印象も有るのだが、今日の内容だけをいえばケチをつけるところはない。問題児の多い今年のメンバーなら一発有ってもおかしくない。

ヨカヨカ

前肢にバンテージ。このメンバーに入ると小ぢんまりと映る。チャカつきは幾らかマシになっていたが。出脚は流石に速いが、何が何でもという構えではなく、ジワッと好位4番手辺り。道中の折り合いも完璧に付いていた。追ってからの反応も軽快で、一瞬だけヨレたものの、立て直してからはしっかり伸びたが、最後に捕まった。グレード制導入以降、九州産馬でGⅡを制した馬はおらず、大金星だったが...。とはいえ、スピードは充分通用するところは示した。チャンスは続く。

ミニーアイル

-8kg。480kgなりにバランスが取れて、しっかり造り込まれている。芦毛ながら皮膚を薄く見せていた点も好感。これでもこの馬としてはマシな方だが、ゲートでやや後手に回り、後方から。ただ、まだ馬がパンとしていないのか、フォームが安定するまでに少し時間が掛かった様にも見えた。4角の反応も決していい方ではなかったが、追ってからは長くいい脚を使えている。最後は立ち回りの差。距離が延びていいとも思えず、次走は参加するだけ。そのあと1000万が通用するかどうかだが、その点ももうちょっとパワーアップが必要。

アンブレラデート

-6kg。寸の詰まったマイラー体型だが、馬はこのメンバーなら上位。ノンビリ歩けていた点も好印象。ゲートは五分程度。出脚は一番速かった位だが、ポールネイロンが主張してその番手から。そのポールネイロンは4角で脱落、これを上手く捌いて直線は内ラチ沿いから。一瞬は抜け切っているのだが、坂が上り切れず最後は失速。前走もそうだが、どうも詰めが甘い。500万なら何とかなるとは思うが、これも先々考えれば成長が欲しい。

エルカスティージョ

まだ緩さは残るが、1戦1勝の馬としてはそれなりに出来ている。首でリズムを取って、テンションが上がっていない点も好感。前走と違い、ゲートが微妙に悪く、行く気もなかった様で後方から。入着狙いでインを突き、直線は面白い様に前が開いてここ迄。悪い内容ではないが、今日だけで能力云々は何とも。新馬で負かした馬のその後がサッパリで、次走で500万に使って来る様なら嫌ってみてもいいかも。

第57回金鯱賞(GⅡ)

ギベオン

オーストラリアンブリンカー。+8kg。不調時でも見た目はそこ迄悪くなかったが、数字分だけ腹回りが目立つ程度。今日は毛ヅヤがピカピカで、歩様もスムーズ。そこ迄出脚の速い馬ではないが、今日は注文を付けてハナへ。誰も行く気がなかったことも有り、この馬の出脚でも楽に行けた。1000m通過が61.4秒とスロー。詳細は後述するが、デアリングタクトが4角で外へ行ってくれたこともこの馬には味方したか。圧倒的1番人気が視界から消えたことで、各馬の仕掛けが微妙に遅れ、最後の最後でデアリングタクトが猛追して来たものの、クビ差振り切ってV。一瞬の脚がなく、意外と馬群が割れない馬で、今日は思い切って行ったのが正解。鞍上は初重賞制覇だったが、鞍上の判断だけで逃げることはない筈で、調教師の手腕も見事。

デアリングタクト

後肢にバンテージ。-4kg。前走東京戦が細身に映っただけに、馬体は増えて欲しかったところ。落ち着いていて、あとは問題ないが。ゲート五分。少し頭が高く、道中はリズムが悪そうに見えるのは何時ものこと。この馬の場合はこれで折り合いが付いている。ただ、前走もそうだが、勝負どころで反応が悪くなる癖が有り、4角で馬場のいい外へ持ち出しても、中々反応せず、エンジンが掛かったのはラスト150m。最後は良く差を詰めたが、あと1完歩が遅かった。牡馬相手で弱点が有る馬は取り溢しが有るのは致し方ないところ。

ポタジェ

馬のスケールだけをいえばこのメンバーでは最下位レベル。それでも連勝馬らしい勢いを感じさせる馬で、トモにボリューム感が有って、歩様の力強さも有った。これも出脚が速いというタイプではないが、誰も行く気がなかったのが幸いしてジワッと好位。道中はスムーズに運べた。基本的には外を回したデアリングタクトを待ってからの追い出し。相手なりの馬で、ジリジリ伸びて、途中でデアリングタクトにエンジンが掛かって一気に交わされてからも差し返そうとしていた。絶対能力では差が有るのだろうが、何より根性が有るのがいい。

グローリーヴェイズ

前肢にバンテージ。+4kg。前走東京戦が余裕残しで、今日も腹袋はボテッと映る。それでも、馬に活気が有って、歩様は悪くない。出たなりで好位。デアリングタクトの一歩前から。道中は問題なかったが、4角での反応が一瞬悪く、いざ追い出してからもラスト100mで左手前になって甘くなった。今日は距離というより、一枚太かった分と、馬場が合わなかった様な負け方。恐らく次走は香港遠征だろうが、そこで改めて。、

キセキ

前後肢にバンテージ。-12kg。流石に前走中山戦は太かった。数字はこれ位で丁度。ユッタリ歩けており、デキに問題はない。スタート直後に内にヨレ気味になり、ジナンボーと接触。これで出脚が鈍り、後方から。これはこれでこの馬のパターンだが、少し早目に動いているにも関わらず、中々前に追い付かず、最後は甘くなった様に見えた。転厩で悪い時のこの馬に戻った感も。暫く掛かるかも。

第39回ローレル競馬場賞中山牝馬ステークス(GⅢ)

ランブリングアレー

-6kg。元々胴長の馬体だが、数字分だけスカッとした印象。集中して歩けており、良馬場ならば文句なし。半馬身出負け。無理に急かすことなく中段から。極悪馬場でコースロスよりもリズムを大事に、道中はずっと外を回して、直線も外から。坂下迄、右手前だったが、そこから左手前に替えて1頭だけ伸びて来た。ただ、最後は全馬脚が上がる状態で、今日は勝っても負けても参考外。内に居ただけで苦しくなる様な馬場状態、馬群がバラける2400m以上有るとこういう馬場でも底力勝負になるのだが...。むしろ今日のダメージを案ずるところ。

ロザムール

左後肢が鳥脚気味だが、トモにボリューム感が有って、土砂降りに何より大事な気合が乗っていた。この馬場で決め打ちだったか、押してハナへ。道中は口を割るという程ではないが、力みながらの逃げ。ただ、今日の馬場ならノメるよりは遥かにマシ。自分のリズムで行けていた分、最後迄頑張りが続き、何とかフェアリーポルカを振り切って押し切り態勢だったが、ランブリングアレーが離れた位置から飛んで来て2着。今日はこれで最高の競馬。前述した様に基本的には参考外だが、今日の頑張りは走る気持ち有る証拠。出脚はそこ迄速くないのも確かだが、単騎が適う組み合わせならもう一丁有っても。

フェアリーポルカ

前後肢にバンテージ。前走小倉戦も決して悪くなかった。GⅢのメンバーなら馬は一枚抜けている。歩様も力強い。ゲートは決めたが、内外から来られ、無理も出来ず、一旦は後方から。ただ、内目を開けて走っていた馬が多く、そこを通って距離を稼ぎ、4角では好位。序盤の位置取りを考えれば上手く乗られ、一瞬は勝ったかに見えたが、坂を上って甘くなった。最後は思い切って乗った馬に利が有った形。それでも充分強い内容。やはり中山1800mは走る。

ホウオウピースフル

2人曳き。シープスキンノーズバンド。パシュファイヤー。+4kg。馬体はこれでいいが、完歩が小さかったのがマイナス。今日の馬場で不利だったどうかは別にして、1馬身出遅れ。そのまま後方から。ずっと後方で矯めて、4角を回り切ってから大外へ。上がり3F38.6秒ながら、一応はメンバー中最速の上がりで4着。昨秋がサッパリで、前走から矯める競馬で活路を見出しているところだが、板に付いて来たということはいえそう。地震の影響で今春の福島開催がなくなったが、代替・新潟の限定戦に出て来るなら狙い目に。

シャドウディーヴァ

前肢にバンテージ。緩んだところがない割にドッシリ見せているのは好感。歩様も滑らかだった。ゲートを突っ掛ける様に出て、出脚が鈍り、後方から。道中は内目に居て、3角過ぎから進路を探しつつ、徐々に外へ。コーナーは少し内にモタれていたが、直線に向いてしまえばこの馬の右回りとしては真っ直ぐ走れていた方。道悪は明らかに不得意で追われながらバランスを崩す場面も有ったが、渋太く最後迄走っていた。これもデキがいいから頑張れた印象。東京で改めて。

第58回報知杯弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)

タイトルホルダー

前肢にバンテージ。歩くスピードは速かったが、もうちょっとしっかり踏んで欲しい。馬体の見た目はバランスが取れて悪くないが。好発。馬が最初から行く気になっており、そのままハナへ。2番手のシュネルマイスターが全く競り掛けて来る気がなく、4角でさえ被される迄には至らず。これだけ楽が出来れば直線向いて突き放す脚も残っており、あとはそのままだった。あまりに楽過ぎて良く分からない部分も有るのだが、出脚が速くなっていることは間違いないだろう。次走も展開ひとつ。

シュネルマイスター

+6kg。良く言えば重量感の有る馬だが、悪くいえば厚ぼったい。目力が有って、気配は抜群に良かったが。タイトルホルダー以外は誰も行く気がなく、楽に2番手。外枠からの先行策でも殆ど出脚を使っておらず、何とか折り合いも付いていた。後続にダノンザキッドが居たことで、仕掛けも遅れ気味。結果的に逃げたタイトルホルダーに勝たせてしまった。正直、能力面は何ともいえない内容だが、今日は権利さえ確保出来れば充分。2着で賞金が加算出来たことで東京戦も使えそう。ダノンザキッドにやられるよりはこれでOKなのだろう。

ダノンザキッド

2人曳き。前後肢にバンテージ。-4kg。馬体は出来ていたが、下見からテンションが上がり気味なのは前走同様。ゲートは五分に出たが、課題の折り合い面を意識しつつ中段から。序盤は行きたがっていたが、この馬としてはまだ堪えた方。終始大事に乗られ、結果的に前に居た馬に押し切られてしまったが、それも覚悟の騎乗だっただろう。ただ、この手の無敗で来た馬が前哨戦で負けると本番でいい方に出ないのが過去のパターン。

ソーヴァリアント

骨格のしっかりした馬だが、まだ筋肉が付き切っておらず、少し華奢。歩様もトモがバンとしていない様で少し甘い。ゲートをヨレながら出てしまい、出脚が鈍り後方から。基本的にはダノンザキッドをマークする形。道中の折り合いはスムーズだった。中々エンジンが掛からなかったが、最後の最後にひと脚使って4着浮上。権利が取れなかったのは残念だが、未勝利上がりでこれだけ走れば上等。能力そのものは500万なら楽勝級だが、ゲートがアテに出来ないので、過信もし辛い。

テンバガー

+2kg。数字以上に腹回りがボテッと映った。ダノンザキッドを別にすれば馬のスケール的には大差ないが。これもゲートがヨレ気味だったが、他馬と接触しなかったことで出脚には影響なく、4番手辺りから。道中は過不足なく進めたが、4角で置かれ気味。直線もジリジリだった。絞れれば機動力も変わって来るだろうが、現状だともっと上がりが掛かった方が良さそう。

第16回夕刊フジ杯オーシャンステークス(GⅢ)

コントラチェック

右だけオーストラリアンブリンカー。+6kg。1200mだと迫力の有る馬が多く、間違っても良くは見せない。落ち着いていた点は良かったが。好発。1200mだと流石に行き切れる訳ではないが、それでも速い方で楽に好位。4角を持ったまま回って来たが、悪い時は競馬を投げていただけに、今日は揉まれるどころか、外から被される場面すらなく、これ以上なくスムーズに運べた。直線は前も止まってはいなかったが、ジリジリ伸びて最後はハナ差。前々走は前が詰まり、前走中京戦は出遅れる等、1200mだとちょっとしたことが悪い方に出ることも多いが、やっと集中力を持続出来る競馬が出来た。これが出来れば大崩れはしないということはいえるが、とはいえ今日のメンバーでやっとハナ差。次走は中京戦とのことだが、流石に論外。

カレンモエ

胸がい。前後肢にバンテージ。-6kg。今日は二重の意味でギリギリ。まず腹が少し巻き気味、歩様も更に硬くなって来た。ゲートは五分程度だったが、出脚でカバーして2番手。道中はコントラチェックと並走。4角の手応えはコントラチェックと似た様なモノだったが、内枠の分、直線入口で突き放す形。坂下では1馬身抜け切っていたが、いい脚が一瞬しかなく、坂を上り切って甘くなった分の2着。前走阪神戦同様、今日も勝ちパターンだった筈で、本職が転向組に2戦連続で負けたのは頂けない。もうワンパンチが欲しい。

ビアンフェ

去勢明けで-12kg。馬体に大きな変化はないが、休み明けの分だけ緩い。ただ、去勢前の中山戦と違い、多少なりとも集中して歩ける様になっていた。ゲートはやや後手も、出脚でカバーしてハナへ。2番手グループが無理に競り掛けて来なかったことで、600m通過が33秒7と、この馬場としては平均ペース。4角の仕掛けも待ってくれており、ゲートを除けば直線向く迄は完璧に運べたが、坂下迄だった。去勢明けと考えればこれで充分といえるのだが、今日の様な展開は中々来ない。せめてゲートはちゃんと決めたい。

ヒロイックアゲン

+8kg。攻め馬はしっかりやっているとのことだが、流石に腹回りはボテッと映る。それでも歩様はスムーズで、デキ自体は良さそう。好発も、無理せず好位の内目。スッと流れに乗れて、セコい競馬が出来た。4角を回ってカレンモエの直後。展開的にはドンピシャだったが、直線はどうもジリジリ。重心に低い走法で、もっと伸びても良さそうなモノだが、見掛け倒しだった。もっと絞らないとダメ。

カイザーミノル

遮眼革。+6kg。チャカつくのは毎度。まだ細く映るが、少しでも馬体が増えたことは歓迎材料。毛ヅヤは良かった。ゲートは直ぐ内のヒロイックアゲンの方が速かったが、押して2番手グループへ。3角過ぎに少し引いて内ラチ沿いへ寄せ、直線もインから。これも立ち回りとしては完璧に近かったが、追ってからが甘かった。それでも初の1200mでこれだけ走れれば上等。スピード負けせず、ちゃんと走れている点は高く評価したい。

第28回チューリップ賞(GⅡ)

メイケイエール

前後肢にバンテージ。+4kg。少しフックラ見せる程度。下見は何時も優等生。今日はノンビリ歩けていた。スタート直後から抑えようとしていたが、それでも頭が上がっていた。普段は我慢強いこの鞍上にしては珍しく、600m通過地点で諦めてハナへ。そこからはスムーズだったが、流石にキツくなり、坂下辺りではズルズル行きそうだったが、そこからの二枚腰が凄く、同着ながらも何とか凌ぎ切った。気性面での成長は全くなかったが、流石といえる強さ。先々を考えれば控える競馬が出来るに越したことはないが、次走だけをいえば最初から行かせた方がいいかも。

エリザベスタワー

-6kg。500kgを超える馬で、数字通りの迫力。もっと締めてもいい位。ただ、本当に良くなるのは先だろう。歩様が微妙に甘い。この馬としては五分の発馬。ただ、少し出して位置を取りに行ったら、メイケイエールと一緒になって頭を上げていた。内へ潜り込んで何とかコントロールが利く様になってからもずっと力んでおり、メイケイエールより仕掛けを遅らせている分、一瞬はメイケイエールより前に出たのだが、直線は外にモタれており、差し返されて最後は同着。内容の酷さで言えばメイケイエールの方が上で、今日の段階で絶対能力の比較という話になれば完敗と言わざるを得ない。ちょっとでも折り合いが付く様になれば逆転して不思議はないが...。

ストゥーティ

-4kg。422kgの馬で増えるに越したことはないが、良く出来ていた。筋肉の輪郭が浮いて、歩様もキビキビ。前走中山戦は出遅れたが、今日は五分。このメンバーなら出脚で一枚抜けており、スッとハナ。勿論、ずっと単騎で行くのがベストだが、メイケイエールが来るのは想定内だった筈で、上手くやり過ごせた。ただ、メイケイエールに並走迄持って行くことが出来ず、タガノディアーナの猛追を凌いで3着を確保するのがやっと。権利は取れたが、もうワンパンチが足りない。

タガノディアーナ

2人曳き。前後肢にバンテージ。トモにボリューム感が有って、馬はこれで良いが、もうちょっとリラックスして歩けるとベスト。ゲートは一応五分に出ているが、大外枠ということで無理せず後方に近い位置。今日の馬場であまり外を回してもいいことはなく、これで正解。直線に向いてから外へ持ち出し、ジリジリ伸びているが、僅差の4着。着差は枠の分。権利が取れなかったのは残念だが、まだ500万の身で自己条件なら楽勝級。

シャーレイポピー

-2kg。前走中京戦も細く見せたが、また馬体減。中々馬体がフックラして来ない。歩様がスムーズなのは救いだが...。この馬としてはゲートは速かった方で、少し出して2番手から。ハナへは行きたくなかった様で、徹頭徹尾ストゥーティをマークする様な形。これも上手く運んだ方だと思うのだが、いざ追ってからが甘かった。前走中京戦と違ってゲートが決まったのは収穫だが、ここから先はパワーアップが必要。

第95回農林水産省賞典中山記念(GⅡ)

ヒシイグアス

-6kg。ドッシリと見せた前走と違い、数字分だけスッキリした印象だが、毛ヅヤが冴えて、イレ込まなくなったのが何より。ゲートは五分程度だったが、この馬の出脚で前から4番手。前3頭はバラけており、実質的には馬群の先頭。この形は自力で前を捕まえざるを得ず、持久力を求められるのだが、渋太く最後迄脚を伸ばして、ケイデンスコールを力でネジ伏せる様な内容だった。これで1000万から4連勝だが、東京で2勝、中山でも2勝と、条件が違った中で結果を残せている点が何より頼もしい。最近は直接GⅠに出て来る馬が幅を利かす時代だが、20年前ならGⅠが見えて来たといえる内容。あとはその辺りの相手関係だけ。

ケイデンスコール

前後肢にバンテージ。トモの送りに柔軟性が有って、歩様にブレがない。前走中京戦も良く見せたが、高値安定。好発。ヒシイグアスを意識しつつ、この鞍上らしく内ラチ沿いへ。前が飛ばす展開で、ヒシイグアスと並走に近い形で内へ潜り込めた。今日のペースでは向正面の段階で前3頭は絶望的状況で、3角過ぎからほぼ一騎打ち。4角はトーセンスーリヤの内外でセコく距離を稼いで、一旦は前に出たのだが、坂を上り切って甘くなった。最近は少なくなくなったが、同じ1800mの毎日王冠でマイラーと2000mの馬が対決した場合、大抵勝つのは2000mの方で、今回も似た様なパターン。能力差というより、1F長い。

ウインイクシード

前後肢にバンテージ。少し歩様の力強さが増した以外は、前走と大きくは変わらず。馬体の張りそのものは悪くないが、例に依って腹袋が目立つ。枠の利でバビットが先手を取ったが、それを徹底して突いて1000m通過57.8秒。現代競馬だとハイペースと迄は行かないが、共倒れ覚悟でバビットを潰しに行く形。それでも4角を単騎先頭で回って、坂下では突き放そうとする場面迄造った。流石に坂では甘くなったが、3着は確保。ちょっとやり過ぎた感も有るのだが、バビットが最後方迄沈んだことを考えれば強い内容。まだまだ衰えていない。

ゴーフォザサミット

+6kg。数字通りの雄大な馬体。毛ヅヤもピカピカ。今日で引退の鞍上の為にということなのか、メイチの仕上げ。ゲートは五分程度。出脚の速い方ではないが、少し頑張ってヒシイグアスの直後で徹底マークする形。あとは付いて行くだけでシンプルに乗れた印象だが、直線に向いて中々手前が替わらずにモタついている間に3馬身程突き放されたのが痛かった。左手前になってからの脚色はほぼ一緒だっただけに惜しい。とはいえ、近走の悲惨さを考えればこれでも良く走った方。復活のキッカケは掴めた。

トーセンスーリヤ

2人曳き。+8kg。数字分だけボテッと映る程度で、休み明けとしてはまずまずのデキ。気配も良かった。出脚は速かったが、バビットとウインイクシードが徹底先行の構えで離れた3番手。実力の有る人気馬が後ろに居たことも有り、3〜4角中間から後続を待たずに捕まえに行く形。ただ、ウインイクシードに並び掛ける前に、後続に迫られていた。最後、バタッとは止まっていないが、ダラダラになったのは仕方がないところ。とはいえ、半年振りでソコソコ走った方。連覇が懸かる新潟戦が当面の目標になるだろうが、視界が開けて来た。

第65回阪急杯(GⅢ)

レシステンシア

+8kg。前走は微妙に緩い印象が有ったが、今日は馬体が増えていても張りが有った。更に良くなっている。ゲートは五分程度で、枠が内だったロードアクアが一旦はハナを奪う形だったが、そこから2F程してスピードの違いでこちらがハナへ。単純にこの馬の行き振りに任せて乗られ、1000m通過が56.6秒と速いペースになったが、上がりもしっかり纏めレコード駆け。むしろ登坂力という点では突き放し気味ですら有った。小細工なしの競馬が出来れば流石に強い。今後もその形に持ち込めるかどうかが全て。次走1200mへ使う様だが、モズスーパーフレア等が居て難しい部分は有る。

ミッキーブリランテ

良し悪しではなく、あくまで体型の問題だが、寸詰まりの造りで腹回りがボテッと映る。歩様の力強さが有った。レシステンシアとは出脚が1馬身違ったが、それでも食らい付いて行って好位。そのレシステンシアが人気を背負っていたことで、後続の仕掛けが早くなったが、内に居て我慢する形になった分、最後に脚を残しており2着浮上。前々走の様に少し強気に乗ると大敗することも有り。器用なのは確かだが、能力的な高い評価はし辛い。

ジャンダルム

馬体の重厚感はデビュー当時から有ったタイプ。イレ込みもなかったが、もうちょっと歩様に伸びが欲しい。時々出遅れる馬だが、今日は五分以上の発馬。そのまま積極的に乗られて、レシステンシアをマークする形。道中はスムーズで、後続の仕掛けも早かったが、こちらも手応え充分に4角を回って来れた。一瞬、オッと思わせる場面迄造ったが、登坂力で突き放された。ここ迄来れたなら2着が欲しかったところだが、この時計勝負でミッキーブリランテは内に居た利が大きく、馬は責められない。一時より大分成績が安定して来たのが何より。

インディチャンプ

前走も少し太く映ったが、この数字では腹回りが多少立派。気配や歩様のキビキビ感は悪くなかったが。出たなりで中段から。本当はちょっと前に行きたかった筈だが、出脚がイマイチ甘いのと、外に馬が居ていい位置が確保出来ない。それでも外を回っていても4角の雰囲気は悪くなく、直線向いて一瞬は最低2着の脚勢だったが、坂を上る途中で失速。一枚太いのが影響しているのか、原因は良く分からないが、近走は詰めが甘くなっている。

ダノンファンタジー

前後肢にバンテージ。何時もより活気が有って、馬体も数字通り出来ていた。ただ、歩様はこの馬としては硬目。出遅れ1馬身不利。何とかしようと進路を探していたが、内枠が祟って道中は動くに動けない形。4角から外へ持ち出そうとしているのだが、それも壁が有って叶わず、坂下辺りでバラけてからやっと伸びて来た。時々出遅れる馬では有るが、不完全燃焼。

第38回フェブラリーステークス(GⅠ)

カフェファラオ

オーストラリアンブリンカー。+10kg。数字分だけ腹回りがボテッと映るが、迫力は3歳時から古馬顔負けだった。ゲートは微妙に分が悪かったが、出脚で挽回して好位。ただ、道中の行き振りはそこ迄良かった訳ではなく、むしろオッツケ気味だった。直線は後ろを待たずに仕掛け、相手が来たら来ただけ伸びた印象。完勝だった。ただ、インティが出遅れ、1000m通過が58.5秒とそこ迄流れなかったことも味方しただろう。メンバーレベルも、例年と比較して明らかに低下しており、次走が試金石。前走中京戦から大分真面目に走る様になった感も有るのだが...。

エアスピネル

前後肢にバンテージ。-4kg。首でリズムを取ってキビキビ歩けていた。馬体も元々が芝馬ながらもそこ迄負けていない。ゲートは五分程度も、周囲の出方を窺いながら中段。前述した様にそこ迄ペースが速かった訳ではないのだが、たまたま近くに内の馬が居らず、上手く内に潜り込めた。直線向いてインに居た分、待たされる格好にもなったが、カフェファラオの後ろから一瞬の脚を生かした。展開も向いたが、この馬のマイルの競馬に徹したのが正解。今後もチャンスは続くが、ダートで決め手一本だと勝ち切る迄は中々難しいのもまた確か。

ワンダーリーデル

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。下見は最後方を周回。馬自体はそこ迄悪くないが、左後肢の出が若干甘い。好発も、行く気はあまりなく中段。カフェファラオとエアスピネルの間から。これもインに居た割には揉まれずに競馬が出来た。ただ、追ってからは左手前のままだった。ジリジリとは伸びているが、手前が替わらなかった分、切れなかった印象。相手関係が軽くなった分、昨年4着から一歩前進したが、昨秋同様にエアスピネルには先着出来ず。あくまでGⅢ級。

レッドルゼル

前後肢にバンテージ。全体に重厚感が有って、馬体にケチを付けるところはないが、今日は歩様が落ちていた。好発も、距離を意識して下げつつ、出来る限り内へ潜りに行く競馬。結果的にエアスピネルと並走の位置だから、大外枠としてはまずまず上手く運べた方だろう。エアスピネルの様にインを突く形とは行かなかったが、そのロスも精々1馬身程度。手応えも大して良くなかったが、イマイチ伸びなかった。工夫さえすれば前走内容から何とか保つかと思われたが、マイルは1F長い。

エアアルマス

パシュファイヤー。シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。馬装の割には落ち着いている。馬体の張りも有ったが、歩様がもう少し力強いとベスト。好発。砂を被ったり、揉まれると二束三文の馬で、迷わず行く一手。前述した様にペース自体はそこ迄速くないが、3格手前からワイドファラオに来られ、息が入らない展開になったのが痛かった。最後は完全に脚が上がっていたが、それでも掲示板は確保。条件を整えるのが難儀ながらも、性能は高い。

第55回小倉大賞典(GⅢ)

テリトーリアル

筋肉の輪郭が浮いて、しなやかな馬体。それでいて一歩一歩に力強さが有った。文句なしのデキ。好発。出脚は速くなさそうだが、押して好位3番手。前野トーラスジェミニ、ディアンドルが飛ばす展開となり、この馬より後ろで馬群が固まる形。実質的にはハナを切っているのと同じ形で馬場のいいところを選んで来れた。4角手前から外へ持ち出したが、一瞬相手をディアンドルと見て内へ寄せて行こうとしたところでボッケリーニの勢いがそれ以上にいいことに気付き、慌てて外へ寄せて行くロスも有ったが、何とかハナ差凌ぎ切った。直線の進路取りは頂けないが、馬は良く頑張っている。今日は持久力と根性で勝った印象。

ボッケリーニ

前走中京戦と大きく変わらず。現状のデキに問題が有る訳ではないが、線が細く、歩様もイマイチ頼りない。外からジワッと好位直後。全体で6番手辺りから。人気を背負った馬が前と距離が開く展開ともなれば、自力で捕まえに行かざるを得ないのは仕方がないところだが、ちょっと4角で手応えが渋くなったのが痛かったか。直線に向いてからは盛り返して際どい競馬に持ち込んでいるが、今日に関してはテリトーリアルが一枚上だった。器用さは持っているが、前走中京戦の様に内枠の方が競馬はし易いタイプ。

ディアンドル

2人曳き。左だけオーストラリアンブリンカー。-6kg。少し完歩は小さいが、キビキビ歩けていた。トモにボリューム感も有って、雰囲気はいい。ゲートは五分程度だったが、何時も通りの積極策。ただ、トーラスジェミニも徹底先行のつもりで行ってくれて、お互いに多少なりとも力んではいたが、何とか兼ね合いは付いた。3角過ぎから後続を待たずに仕掛けて4角先頭。流石に最後は甘くなったものの、見せ場タップリの内容。最初は1200mで走っていた馬だが、今なら距離は保つ。近々、一発有りそう。

アールスター

500kgを超える大型馬だが、脚長でスカッとした造り。馬に活気が有って、しっかり踏めていた。昨夏からずっと安定したデキ。一時苦労していたゲートはすっかり安定。今日も五分に出て中段から。ただ、内枠だった分、外にずっとフタをされており、昨夏に重賞を勝った時の様な行き振りではなかった。直線向いてからは際どく差を詰めている辺りは小倉巧者の一端を示したともいえるが、本質的にはもっと軽い馬場の方が向くタイプ。

デンコウアンジュ

前肢にバンテージ。-14kg。近走が太かっただけで、これ位が本来の数字。ただ、今日は少し歩様が硬い。あまり出脚の速い方ではなく、後方に近い位置。今日の様な前の馬も外へ持ち出して来る馬場だと、あまり後方に居ては出番のないところで、イチかバチかインへ潜りに行く策。この馬自身、荒れ馬場は得意とするタイプで一発狙って一瞬見せ場は造ったが、流石に甘くなった。来週引退の鞍上は中央全場重賞制覇が懸かっていたが...。詰めが甘いのもこの鞍上らしいところ。

第71回ダイヤモンドステークス(GⅢ)

グロンディオーズ

前肢にバンテージ。+12kg。数字分だけパワーアップした。元々、馬体は雄大な割に歩様が甘かったが、今日は大分パンとしていた。気配も良かった。今日はゲート五分。出脚が速い方ではないので、少し出して中段から。結果的にオーソリティをマークする格好では有ったが、内外前後に馬が居る状態。メンタル的には決して楽ではなく、折り合いを気にするというよりは、何度かオッツケる場面が有った。勝負どころでも押しても大して進んで行かず、前に付いて行くだけでやっとという状況だったが、ラスト300m辺りから各馬が脚が上がる中、1頭だけ最後迄ジリジリ伸びて捕まえた。前走内容から距離が延びた方が良さそうだが、あとは右回りでどうか。

オーソリティ

胴長の造りだが、昨秋から完全に本格化した。歩様も一歩一歩が力強い。今日は集中力が有って、気配も抜群に良かった。好発。内の馬は叩きつつ、外から行きたい馬に行かせて好位5番手辺り。序盤は少し力んでいたが、向正面に入った辺りからはスムーズ。前の馬は何時でも交わせる手応えで2周目4角を回り、ラスト400mで抜け切ったが、そこから頭が上がって、内ラチにへばりついてしまった。この距離は長かった様。結果的にもっと大事に乗った方が良かったということにはなるが、人気を背負ってこれ以上待てないところ。鞍上は責められない。

ポンデザール

-4kg。普段から休み休み使われており、デキには問題なし。皮膚を薄く見せて毛ヅヤが冴えていた。首を使って、歩様が伸びやか。外から出たなりで中段やや後方。グロンディオーズの直後から。道中は折り合いが付いて、流れに乗れていた。2周目4角の手応えもグロンディオーズより一瞬はいい位に見えたが、いざ追ってからの反応が悪く、暫く内にモタれてラスト200mでやっとエンジンが掛かり、ラスト100mで右手前に替えてグイッとひと伸び。距離は保ちそうだが、重賞だとワンパンチが足りない。

ナムラドノヴァン

490kgの割に小ぢんまりと見せるのはイマドキの長距離向き。物見をしながらノンビリと歩いていた。ゲートは以前から出ない方で、今日も分が悪く、後方に近い位置。最初は内目に居たが、1角過ぎから一旦下げて馬群の外へ。スムーズに運んで、追い出してからの一瞬の反応も良かったが、ラスト250mで左手前になって内にモタれていた。初重賞挑戦だけに、最後は仕方がないところ。やはりディスタンス戦には適性有る。

ヒュミドール

2人曳き。前肢にバンテージ。今日は少し気負っていた。馬体に悪い印象はないが、姿勢が高く、歩様も甘かった。ゲートはオーソリティの方が速かったが、出脚で叩いて逃げ馬の番手。序盤は行きたがっていたが、2角辺りからスムーズ。ただ、直線で先頭に立つ前にオーソリティに交わされ、何とか3着の脚勢だったが、最後に甘くなり5着止まり。前走中山戦からここでも勝ち負けに持ち込めて良かったが、ワンパンチが足りず。もうちょっと落ち着きが欲しいところ。

第56回京都牝馬ステークス(GⅢ)

イベリス

前後肢にバンテージ。+6kg。数字は増えたが、馬体には張り。気配は多少気負い気味だが、手先のスナップが利いていた。ゲートは五分程度だったが、今日は出脚+気合でハナへ。1000m通過57.1秒だからソコソコ飛ばしていたが、絡まれることもなく、4角手前から突き放しに掛かり、そのまま押し切った。馬場も良く、1分20秒0の決着に持ち込んで後続に仕事をさせなかった。1200mで行ける出脚はなく、1600mを我慢する持久力もなくと、条件を整えるのが難しい面は有るのだが、今後も展開一つ。

ギルデッドミラー

+4kg。ノンビリと歩けていた。馬自体は垢抜けているが、短距離だともうちょっと歩様に力強さが欲しい印象。行こうと思えば行ける出脚は有る馬だが、今日は外枠ということも有ってか、行く気なく後方に近い位置。道中はユッタリ運べた。直線向いても手応え充分で、追い出しを少し待っていた程。イベリスが早仕掛けして、好位勢が追っ掛けバテしたのを尻目に2着浮上。外枠としてはこれしかない競馬。前走新潟戦と違って、今日は折り合いが付いたのが大きい。今後も折り合い次第。

ブランノワール

脚が長く、470kgの割に寸詰まりに見せるタイプ。それでもトモだけは厚みが有って、デキは申し分なし。ゲートも微妙に悪かったが、これも1400mだと出脚が苦しく後方から。基本的にはギルテッドミラーの後追いで、この馬自身は一瞬しか脚がないイメージだったが、最後の最後に伸びて来た印象。今日は差しが利く条件だったことも有るが、1400mだと何時も違った面が出て、これはこれで適性が有るといえそう。

アイラブテーラー

-6kg。前走中京戦は粗相が有ったが、下見は問題ない。トモにボリューム感が有って、集中して歩けていた。前走よりは出たが、今日も半馬身出遅れ。そのまま後方から。これはこれだが、ギルデッドミラー,ブランノワールの外で一手遅れた感は否めない。このメンバーでもハマれば突き抜ける力は持っているが、今日の展開ではこれで一杯。とはいえ、前走が前走だけにマトモに競馬出来ただけでもヨシとすべきところ。

シャインガーネット

前後肢にバンテージ。重戦車の様な迫力充分の造り。歩様にも力強さが有って、下見では落ち着いて歩けていた。出たなりで中段。下見とは違い、レースに行くと壁がなかったことも有ったか、道中は行きたがっていた。それでも直線向いて、一瞬は2番手浮上の場面。最後は甘くなったが、見せ場は造った。力は持っている。折り合いさえ付けば今のメンバーレベルならⅠでも足りる。

第55回共同通信杯(トキノミノル記念)(GⅢ)

エフフォーリア

シープスキンノーズバンド。ダート馬の様な腹袋がしっかりしたタイプ。もっとトモに厚みが出て来ると尚いいが、横の比較では迫力上位。この馬の出脚で好位4番手辺り。前走は1000通過63.4秒のスローでスローでかなり行きたがっていたが、今日もスローながら1000m通過61.9秒とまだマシなペースで、何とか我慢して走っていた。追ってからの反応も軽快で、上がり33秒台の勝負で、後続を2馬身半チギったのだから文句なし。現代競馬向きの決め手。現時点では中山戦直行呑み込みだが、中山を経験していない点がどう出るか。癖がないので余程問題はなさそうだが。

ヴィクティファルス

後肢にバンテージ。-6kg。背丈が低く、小ぢんまりと見せるタイプ。もっとトモがパンとして、力強さが欲しいところ。出遅れ1馬身不利。ただ、外枠だったのでリカバーは利き、徐々に番手を上げ、4角でエフフォーリアの直後。特に行きたがっている様子もなく、道中の折り合いも付いていた。ただ、追ってからアタマが上がり気味で、どうしても一瞬の脚がない。明らかに力量差を感じさせる内容。ただ、新馬即重賞挑戦で、他に重賞好走馬も居た中で2着を確保出来たことは高く評価したい。

シャフリヤール

2人曳き。馬自体はヴィクティファルスと似た様なスタイルだが、こちらの方がトモに厚みが有って、歩様もしっかり。気合乗りもこちらの方が良かった。ゲートは五分も、外枠ということで前を深追いせず後方に近い位置。それでもかなり引っ張りながらの追走。当初はハートオブアシティを壁にしようとしていたが、向正面で一気に前へ行ってしまい、壁がなくなったのが余計に痛かった。引っ張っている内に位置取りが更に悪くなり、スローの展開でコーナーの外を回されるという最悪の形になってしまった。それで居て、一番外から僅差の3着。これも新馬即重賞挑戦で、しかも昨年10月以来と、厩舎も一発勝負で狙って来ていた筈だが、運がなかったという外ない。力は500万どころか、重賞でも余裕で足りる。

キングストンボーイ

+8kg。今日の見た目だけをいえば多少立派だが、2歳時は筋肉の付き方が甘く、成長の過程としては好印象。歩様も悪くない。出ッパが悪く、最後方から。外に居るよりはマシだが、こちらはこちらで動くに動けない展開。直線も中々進路がなく、諦めて馬場の悪い最内を通り、ここ迄。重賞だとワンパンチ足りないのも確かだが、2着とはアタマ+クビ差だけに、もう一段前で闘えていたら2着だっただろう。惜しい。

ステラヴェローチェ

前後肢にバンテージ。胴長の造り。昨秋、東京で重賞を勝った時と大きな変化はない。もうちょっと迫力が欲しいところ。ゲートを五分に出て中段から。道中は折り合いが付き、キングストンボーイの一歩前で、直線もエフフォーリアの直後へ持ち出して、前も開いたが、追ってからがジリジリだった。他馬より重い57kgの影響が有ったにしても案外。良馬場だとダメなのか...。

第114回農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

ラヴズオンリーユー

今日は馬に集中力が有った。走らなかった時でも馬体を悪く見せるということはなく、大きな変化はないが、この馬としては硬さも気にならない。出たなりで4番手辺り。スムーズに流れに乗れた。向正面ではハッピーグリンとステイフーリッシュが飛ばす展開になり、少し距離が有ったが、3角から差を詰め、4角で射程圏。スパッと切れた印象ではなかったが、最後は力でネジ伏せる様な勝ち方だった。今日のメンバーなら力が一枚違った印象。恐らくメンタル面も治っているが、若い頃の瞬発力がなくなっている。距離はもっと有った方が良さそう。

ステイフーリッシュ

+6kg。前走中山戦同様、高値安定。シャープに造り込まれて、歩様もスムーズだった。今日は毛ヅヤもいい。珍しく好発。押しても出脚がなく持ったままのハッピーグリンに主張されて2番手から。瞬発力勝負になるとダメな馬で、序盤はハッピーグリンを突いてペースを上げさせ、3角過ぎから一気にハッピーグリンを交わして先頭。登坂力の差でラヴズオンリーユーに捕まったが、2着は確保した。社台の二線級ということで鞍上が日替わりになるのは仕方がないところだが、テン乗りで馬の癖を生かした騎乗が出来たのはベテランならでは。

ダンビュライト

下見は最後方を周回。+6kg。500kgを超すと少し腹回りがボテッとして来るが、毛ヅヤピカピカ。一歩一歩が力強い。ハナへは行けなかったが、積極的に乗られて3番手。これもステイフーリッシュ同様、矯めてもいいことはないタイプで、早目早目の競馬。ただ、ステイフーリッシュに並び掛ける前にラヴズオンリーユーに捕まっており、ここで戦意喪失。そのまま雪崩れ込んで3着止まり。昨年の覇者だが、昨年は京都としては考えられない位の極悪馬場だった。最低でもハロン平均が12秒より掛かる決着にならないと厳しいところ。

ジナンボー

-6kg。気配にムラの有る馬だが、今日はノンビリと歩けていた。トモに丸みが有って、見た目も悪くないが、歩様に力強さが欲しい。出脚も元々そこ迄速くない馬だが、押して行く気もなく、最初から内へ潜りに行く策。向正面で何とか前に馬が居ない中段迄持って来れた。この鞍上らしく、上手く枠ハンデを誤魔化したが、直線向いてステイフーリッシュとダンビュライトの間が割れず、その位置のままで終わってしまった。本当に一瞬の脚が有る馬なら割って来れるだけの微妙なスペースは有ったが、この馬の決め手では中々そこが割って入れない。

ワグネリアン

2人曳き。喉の手術明け。緩いという訳ではないが、もうチョイ絞ってもいいかも。数字上はこれで走っているのだが...。一息入ってテンション高いのもマイナス。ゲートでヨレ気味に出て、出脚が鈍り、後方から。道中の行き振りはちょっと力んで走る何時ものこの馬の姿。ただ、いざ追ってからがダメで、せめて同馬主のジナンボー位は捕まえたかったところ。暫く掛かりそう。

第56回デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)

アカイトリノムスメ

脚長。もっと馬体が増えるに越したことはないが、今日のメンバーだとまだ立派に見せている方。落ち着きが有った点も好印象。半馬身出遅れも、出脚でカバーして好位。出遅れた割に折り合いが直ぐに付いたのが大きかった。直線は芝の生え揃った少し外へ持ち出し、切れるという印象ではなかったが、抜け出してからは相手が来たら来ただけ伸びた。全身を使った伸びやかなフォームが印象的だった。次走は阪神戦直行ということで、ここで初めて右回りを走るということになるが、競馬に癖がないのが何より。ただ、それだけに能力そのものが未知数。

アールドヴィーヴル

2人曳き。前後肢にバンテージ。-18kg。今日の見た目だけをいえば腹は巻き気味だが、馬自体は良く出来ている。歩様もしっかりしていた。ゲートは五分程度。出たなりで中段から。基本的にはアカイトリノムスメをマークする形。道中はスムーズだったが、4角を持ったままで回って来たアカイトリノムスメに対し、こちらはズブさを覗かせていた。それでも前が開いてからはエンジンが掛かり、ジワジワ伸びてここ迄。直線はちょっと外にモタれそうになっていたが、中々渋太い。あとはクラシック前にこの馬体減がどう出るか。

ククナ

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。トモに厚みが有って、このメンバーなら馬は上位。気配も何とか堪えていた。出遅れ1馬身不利。出脚で挽回して中段から。急かした分、向正面では少し力んでいた様にも見えた。直線に向いて、アカイトリノムスメの直後。従って、前は開いたが、ラスト300mで左手前になって、ひと伸びを欠いた。出遅れも痛かったが、それを差し引いても案外感の残る内容。ただ、馬の能力というよりは、結果的に前走中京戦で決め切れなかった影響の方が大きいだろう。クラシックが苦しくなって来た。一発で決めたアカイトリノムスメとは対照的。

エイシンヒテン

-10kg。デビュー以来、最低体重。前走阪神戦がイマイチ緩く、これでいいのだろうが、如何せん見た目が貧弱過ぎる。毛ヅヤも冴えない。ゲート自体は速くなかったが、押してハナへ。誰も行く気がなかったことも有り、楽に行けた。道中は物見をしていたとのことで少しフワフワ走っていた様に見えたが、結果的にいい息が入った。直線入口で突き放す脚も有り、ラスト100mで甘くなったものの、見せ場充分だった。明らかに未完成と思える馬体で走るのだから素質は高い。先々はオープンでも走れる筈。

イズンシーラブリー

前後肢にバンテージ。数字がないのは寸詰まりの体型の影響も。馬の造り自体は悪くないが、ちょっと歩様に力強さを欠く。出遅れ1馬身不利。出脚も他馬の方が速く、後方から。道中の行き振りもお世辞にもいいとはいえなかった。直線向いて、暫く前が壁。ラスト200mでやっと進路が出来て、ここ迄追い込んで来た。手応えが悪くなるのは、馬群を気にするとのことだが、力は持っている。500万なら楽勝級。