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競馬回顧 2021年3回阪神

第62回宝塚記念(GⅠ)

クロノジェネシス

2人曳き。海外遠征帰りだが、歩様がおかしくなっていなければ力は出せる。馬体も出来ていたが、ちょっと今日はテンション高い。ゲートは微妙に宜しくなかったが、意外に出脚が有って、スッと好位。珍しく序盤は少し宥める位の行き振りだった。道中はスローだったが、今日は鞍上が替わって大事に乗られた印象。もうちょっと回り脚は速い筈だが、実質は直線迄待ってから追い出し、登坂力で決着を付け、坂を上り切ってからも突き放す脚が有った。完勝。どう乗っても勝っただろうが、仏国遠征を意識しつつ、可能な限りの安全策を取った印象。毎回述べている様に、競馬は楽に勝つに越したことはない。16馬身差の化け物が出て来たとしても、そこ迄の差はない筈。

ユニコーンライオン

オーストラリアンブリンカー。背丈が高く、520kgの割にはスカッと見せるタイプ。前走中京戦で気になった歩様も今日は悪くなかった。スタート直後にレイパパレに寄られ、出脚が鈍ったが、押してハナへ。行き切ったらレイパパレも競りかけては来ず、単騎で行けた。1000m通過が60.0秒。直前に少し霧雨が降ったにせよ、時計の速い馬場でスロー。3角過ぎから少しペースを上げ、それでも4角の回り脚はレイパパレの方が速かったが、それでも登坂力でレイパパレを振り切り2着は確保。中々渋太い内容。本来はもっと出脚の速い馬で、スタート直後のロスはそれなりに有った筈。その点でも高い評価が出来る。取り敢えず一息入れる様だが、今後も伏兵として有望。

レイパパレ

下見は最後方を周回。+10kg。減るよりはいいが、まだGⅠのメンバーに入れば華奢。それでも歩様が良くなって、落ち着きも有った。デビュー以来、一番いい状態なのも確か。ユニコーンライオンよりは好発。前述した様に、結果的に体当たりを食らわせる形となり、この馬としては出脚の優位性が有ったが、喧嘩になるよりはと引いて2番手。道中で行きたがるのは仕方がないところ。2番手、直ぐ後ろにキセキが居て突かれる形にもなっていたが、この2点を考えればまだ堪えていた方だろう。4角でユニコーンライオンに並び掛け、坂下では交わしたかに見えたが、そこからが保たなかった。楽々単騎ならまだ違うのかも知れないが、一般論としては距離が長い。

カレンブーケドール

シープスキンノーズバンド。やはり3200mの後で少し反動は有りそう。馬体はこれでいいが、少し歩様が硬い。ゲートは出た割に、3200mの後で出脚が甘くなっていたが、それでも頑張ってクロノジェネシスをマーク。ただ、枠が外だったことも有り、どうしても外を回されてしまう。4角でキセキがクロノジェネシスを被せに行った際に、一緒に付いて行きたかったが、むしろ置かれ気味になっており、最後は前3頭と離された4着止まり。何か一つでも条件が好転していれば違った可能性も有ったが、臨戦過程は仕方がないとしても、今日は全てが向かなかった印象。

キセキ

前後肢にバンテージ。元々良く見せる馬だが、今日も迫力満点。歩様にも力強さが有って、気配にも集中力が有った。この馬としてはゲートは出た方。大外枠で行かせやすくなり、1角迄一直線に走らせて好位。基本的にはクロノジェネシスを被せる格好で、その点では結構タイトに乗られたが、コーナーの脚が怪しく、結果的に直線入口での加速が付いていなかったことでクロノジェネシスに進路を与えてしまった。最後の最後は幾らかでも盛り返していた。かといって東京だと瞬発力でやられてしまう。何処を走っても一長一短有る。

第26回ユニコーンステークス(GⅢ)

スマッシャー

今日は心身共にデキが良かった。皮膚を薄く見せて、毛ヅヤピカピカ。ダート馬として迫力が有るということはないが、活気も有った。一完歩目が微妙に怪しかったことも有るが、出脚もなさそうで、中段やや後方から。内枠だったが、少しバラけた位置に居た関係で故障したピンクカメハメハは上手く避けられた。ペースがソコソコ流れたことも有って、直線は好位勢が早々に脱落。自然と捌き易くなり、特にラスト200mで右手前に替えてからの脚は強烈だった。今日の人気は別にして、ザヴァのソコソコ強い馬だと思うが、それを捕まえたのだから文句なし。追い込みで鳴らすウェスタールンドの後継者にはなれそう。

ザヴァ

前後肢にバンテージ。どうしても腹袋は目立つが、ダート馬ならこれでOK。全く人気はなかったが、このメンバーなら馬は断然。好発。出脚も有りそうだったが、直ぐ内のカレンロマチェンコが主張して2番手から。300m程走ってプロバーティオが無理矢理ハナへ行ったが、変わらずカレンロマチェンコをマークする格好。4角を手応え充分に回って、ラスト400mで先頭。結果的に余りに早く抜け出し過ぎてスマッシャーの強襲を許した格好。ただ、走法は如何にもダート向きの力強い掻き込みで、間違いなくGⅠクラス。ただ、過去の戦歴は確かにムラ駆け傾向。大トビ故に揉まれたり、砂を被った時に注文は付く。

ケイアイロベージ

遮眼革。前後肢にバンテージ。頭が高い割には歩様に非力さがない。寸が詰まったマイラー体型だが、造りも悪くない。発走直前に蹄鉄を打ち替えるアクシデント。出遅れ1馬身不利も、出脚自体は速そうで、馬群には直ぐに取り付けていた。道中はずっと内目に居て、これもピンクカメハメハは上手く避けられた。3角からはスマッシャーを追うイメージで乗られ、良く追い込んでいるが、最後迄伸びたスマッシャーに対し、ラスト100mで少し甘くなった分の3着。それでも馬装の割に、砂を被っても気にする様子もなく、ゲート以外に注文は付かなさそう。今日はレースレベルもそれなりに高く、これも今後が楽しみな馬。

ルーチェドーロ

後肢にバンテージ。+6kg。もうちょっと歩様に柔らか味が有るとベストだが、これでもマシになった方。500kgも有る割には造りにメリハリがない。ゲートは五分に出ているが、出脚が一息で中段から。1400mからの参戦だったことも有るが、その割に道中は引っ張り気味の追走。追い出しも少し我慢して乗られたが、最後は明らかに止まっていた。今日は外を回されたことも有るとはいえ、ちょっとマイルは長い。

クリーンスレイト

-8kg。少しでも絞れて来たのはいい傾向。多少気配に乏しい部分も有るが、一歩一歩しっかり踏めていた。この馬もゲートは悪かったが、更に内からラペルーズがヨレて来て、パッチンを食らい、後方から。この影響は相当大きかった様で、今日は何時も以上に道中の行き振りが悪かった。直線向いて最後方の大外。ジリジリ伸びてはいたが、馬券圏内迄には至らず。本来はもうちょっと行き振りのいい馬で、今日はスタート直後のアクシデントが影響したと考える外ない。次走改めて。

第26回マーメイドステークス(GⅢ)

シャムロックヒル

馬格が有って、重賞でも馬は負けていない。気負っていた馬が多かった中で落ち着いていた点も好印象。歩様もスムーズ。好発。出脚が抜群に速いという訳ではないが、押してハナへ。押した分、他馬も警戒したか、1000m通過60.8秒とスローで流れた割に、誰も鈴を付けに行かなかった。コーナーでの機動力はなさそうで、4画手前から手が動いていた割には後続に追い付かれそうになっていたが、直線は二枚腰で突き放し、最後は大外から飛んで来たクラヴェルも振り切って重賞初制覇。今日の内容だけをいえば中々渋太い。ただ、この馬の姉で一昨年覇者のサラスはその後に二桁着順を並べて引退。この馬も一世一代の大駆け感は強い。

クラヴェル

2人曳き。シープスキンノーズバンド。均整の取れた馬体。450kgの馬としては良く出来ている。イレ込み易い馬の割に、今日は気配に集中力も有った。ゲートは出たが、最初から行く気はなく、決め打ちで後方から。序盤がスローだった影響で、各馬の仕掛けがどうしても早くなるのだが、そこをワンテンポ待ってから大外へ持ち出して直線勝負。僅かに届かなかったものの、1頭だけ脚が違っていた。道中で何とか我慢が利いたのが好走の最大要因だが、今日は10Rでこの鞍上が大外一気を決めており、久々に鞍上も乗れていた印象も。

シャドウディーヴァ

前肢にバンテージ。3月中山戦以来と少し間隔は開いたが、まずまず。この馬としてはユッタリ見せたが、変に硬いよりはこの方がいい。ゲートの怪しい馬だが、この馬としては上手く出た方で好位直後のイン。基本的に折り合いは全く問題ない馬で、4角手前で2番手に居たサンクテュエールが内を開けた隙に2列目へ押し上げ、直線は内へモタれながらも必死で追ったが、最後は力尽きた。シャムロックヒルとは0.1秒差だが、5kg差を考えれば勝ちに等しい内容。基本的には東京向きの印象だが、今日は意外に機動力も有った。まだまだ稼げる筈。

アンドラステ

胸がい。前後肢にバンテージ。+6kg。数字分だけ立派なのだろうが、筋肉質の馬体は目立つ。骨折明けの割には良く出来ていた。ただ、少しテンションが高いのがマイナス。この距離だと出脚は速い方でスッと好位。ただ、壁がなかったことも有るが、序盤は頭を上げて行きたがる場面。鞍上が宥めるのに汲々としていた。向正面で何とか折り合いは付いたものの、結局、道中は壁がない状態が続き、早目スパートを余儀なくされて最後は坂が上れず苦しくなった。ただ、初距離の55kgだったことを考えれば良く頑張っている方。これもまだまだ賞金は咥えて来れる馬。

ホウオウエミーズ

初コースだが、落ち着いていたのが何より。馬体に迫力が有るというタイプではないが、一歩一歩しっかり踏めていた。毛ヅヤも良好。ゲートをアオり気味に出て出遅れたが、内枠だけに何とか潜り込んで中段は確保。道中も折り合いが付いて、セコい競馬が出来たが、直線に向いて明らかに捌き損ねたのが痛かった。鞍上の話では狭いところに馬が入って行かなかったとのことだが、スペースもなかった様に見えた。最後の脚勢からマトモだったら馬券圏内有ったかも。