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競馬回顧 2021年3回小倉

サマーマイルシリーズ第2戦 第69回トヨタ賞中京記念(GⅢ)

アンドラステ

胸がい。前後肢にバンテージ。ひとつ間違うとイレ込む馬だが、何とか堪えていた。馬体もフックラ見せていたが、もう少し歩様に力強さは欲しい。好発も、ディアンドルの逃げが見え見えで、抵抗せず好位のイン。道中で力むのは何時ものこと。これでも2000mだった前走阪神戦を考えれば遥かに堪えている方。ディアンドルが4角で内を開けてくれた為に自然と前が開き、直線は外へモタれ気味だったが、一気に突き抜けた。鞍上も上手く乗ったが、実績通り、距離短縮が良かった。一息入れる様だが、中山戦へサマーマイルシリーズの3000万円を狙いに行く手も有るだろう。

カテドラル

パシュファイヤー。-6kg。馬体はこんなモノだが、歩様が落ちておらず、しっかり踏めていたのが何より。ゲートを出ないのは何時ものことでそのまま後方から。内目の馬場はそれなりに悪いが、コースロスを可能な限り、少なくして乗られ、3角過ぎから外を進出。今日はというより、今日もこの回り脚が速かった。セコい競馬をしたアンドラステには届かなかったものの、大外から1頭違う脚で伸びて来た。久々の1800mというより、1周して来る競馬が2019年1月中山戦以来だが、意外な程ちゃんと走れていた。新味が出たといえそう。

クラヴェル

シープスキンノーズバンド。452kgしかない牝馬だが、迫力満点。歩様も悪くなく、気配も良かった。ゲートも微妙に悪かったが、それ以上に鞍上に行く気がなく最後方から。この鞍上らしく、最初から内へ寄せて折り合いに専念。4角は選択肢が複数有ったが、カテドラルが外へ行ったのを見て、インへ。直線入口の脚は中々速かったが、やはり内を回ろうが外を回ろうが、いい脚は一瞬しかない。ただ、完全に血統由来で、仕方がないところ。ここ2走の好走は鞍上の仕事のお陰。

ミスニューヨーク

ボリューム感が有って、馬の造りは悪くない。歩様にも硬さはなかった。気配に乏しいのは何時ものこと。あまり出脚が速い方ではなく、最内の利が有っても何とか中段。道中もあまり手応えは良さそうに見えず、4角も前は開いたが、アンドラステに並び掛ける様な脚はなく、雪崩れ込むのがやっとだった。鞍上はもう一列前で闘いたかった様だが、全体にもう少し機動力が欲しい。出脚でも伸びでももうワンパンチがないと重賞では通用しない。

ロータスランド

前肢にバンテージ。連勝馬らしい活気が有った。ただ、デキが良過ぎるのか、腹回りがボテッと見える。出脚には余裕が有ったが、ディアンドルが何が何でもの構えで主張して2番手から。道中は折り合いも付いて問題はなかったが、いざ追ってからがサッパリだった、1800mは勝っているが、阪神外回りでのモノで、勝手が違ったか。

サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第57回函館記念(GⅢ)

トーセンスーリヤ

骨格のしっかりした馬で、GⅢのメンバーなら馬は一枚抜けている。多少毛ヅヤは怪しいが、歩様にも力強さが有った。好発。ただ、出脚はそこ迄速い方ではなく、少し押して好位3番手。押した分、序盤は少し行きたがったが、直ぐに制御が利いていた。結果的に前のマイネルファンロン、レッドジェニアルが互いに暴走して共倒れ。ペースも1000m通過58.5秒とソコソコ速かったが、勝負どころの手応えも抜群で、4角手前から後続を待たずに進出。直線は独走だった。連覇が懸かっていた前走新潟戦は馬場に殺された感も有ったが、良馬場ならそれなりに強い。今後もまだまだ稼げる筈。

アイスバブル

-8kg。結果的に今迄が太かったかも。腹回りが大分スッキリして見せた。歩様が硬いのは何時ものこと。ゲート内の駐立が悪い時に開いてしまい、ダッシュが付かず後方から。元々内枠だったが、最初から内ラチ沿いへ寄せていた。この利はそれなりに有ったが、それにしてもバイオスパークを交わす際に一瞬逡巡する場面が有りながらも、良く伸びている。ただ、前走東京戦の様に各馬が上がり32秒台を使う様な展開になると届かない面も有る。かといって道悪でも走らないのだが、今日は上がりの掛かる良馬場と絶好の展開になった。

バイオスパーク

前後肢にバンテージ。下見は最後方を周回。叩いて2走目で順当に良化。もうひと絞り有ってもいいが、馬は張っていた。この馬の出脚でジワッと好位。更に外のレッドジェニアルが先行する形にはなったが、上手くやり過ごすことが出来た。当然、トーセンスーリヤを意識して乗られたが、コーナーでは付いて行くのがやっと。しばらく右手前だったことも有り、直線入口で突き放されて、ラスト100mを切って左手前に替えて寸前迄粘っていたが、アイスバブルの強襲に遭い3着止まり。昨年と同じ3着だが、手前の替え方に問題が有るのは昨年同様。洋芝の方が合うのかも知れないが、基本的には左回りの方がいい。

ディアマンミノル

良し悪しは別にして、物見をしながら淡々と歩いており、気配は地味。それでも馬体にはドッシリ感が有って悪くない。ゲートは出ているが、出脚がサッパリでモタついている間に包まれてしまい後方から。スローの2500mの後で尚更出脚が落ちていた。道中も時折押っ付ける場面が有り、内目に進路を取れず、大外を回して更に苦しくしてしまった。それで僅差の4着なら良く頑張った方。一般論としては次走狙い目ということになるが、行き振りが変わると伸びなくなるのも良く有る話。

サトノエルドール

遮眼革。少しチャカつく。背丈が高い割に寸詰まりの体型だが、それでもスカッと見せていた。デキはまずまず。出遅れ1馬身不利。外枠の馬を一旦行かせてから立て直して中段の外。メリハリのない競馬になった。4角手前からトーセンスーリヤを目標に動いて行ったものの、追い付く迄には至らず、2着の筈が最後に甘くなった。馬は頑張っている方だが、結果的にハンデ56kgもキツかった印象。

第53回函館2歳ステークス(GⅢ)

ナムラリコリス

緩んだところがなく、キッチリ出来ていた。歩様にもブレがなく、今回で3走目だが、使う毎に良くなっている。好発も、直ぐ内のリトスが先行してこちらは無理せず好位4番手。新馬の札幌戦は少しズブい印象も有ったが、前走はセンスの有る競馬で、今日も外で折り合いが付いて、追ってからの反応も軽快だった。道中で余計なことをしないので、最後迄しっかり脚が使える点がいい。完勝といえる内容。ただ、変則日程の関係なのか、例年以上にメンバーが低調。先々は果たしてどうか...。

カイカノキセキ

400kg前半の馬が過半を占める中で、474kg有ると馬は目立つ。まだ緩いが、何処からどう見てもキンシャサノキセキ産駒。ゲートは外の馬の方が速かったが、出脚でカバーして前との距離は少し取りつつ、楽に3番手。行き振りもそれなりに悪くなかった。コーナーで差を詰め、4角は壁になった分、少し脚を矯める形にもなったが、その割にいい脚が一瞬しかなかった。一旦は抜け切っているのだが、ラスト100m位でほぼ止まっていた。今日の内容だけをいえば1200mでも長い印象。要はパワー不足なのだろう。

グランデ

この時期の2歳馬としてはドッシリとした造り。ただ、寸が詰まって歩様も硬目。見た目だけならダートの短距離向き。出遅れ1馬身不利。ハナへ行った新馬の阪神戦と違い、今日はそのまま後方に近い位置。意外とスムーズに走れていた。基本的にはインを只管回って来ただけだが、3〜4角中間で外へ行ってくれた馬が多く、自然と追い上げが利き、4角でカイカノキセキの直後。追っての反応も俊敏だったが、抜け出そうとしたところでポメランチェに寄られたのが痛恨。あれがなければ2着は有った。未勝利だけに次走は楽勝だろうが、それだけメンバーレベルが低いということもいえる。

イチローイチロー

連闘の影響も有るだろうが、これもちょっと歩様が硬いのは気になった。ただ、毛ヅヤは上々。424kgと馬格がない分、完成度は高い。ゲートは五分に出たが、出脚は速いとはいえず、押してやっと中段から。道中もお世辞にも手応えが良かったとはいえず、オッツケ気味。伸びたという印象もなかったが、最後迄止まらなかった分の入着。次走500万でも厳しいだろうが、現状はもうちょっと距離が有った方が楽。

カワキタレブリー

2人曳き。現状のデキとしてはいいだろうが、競走馬としては全然。イマドキの馬にしては歩様が非力過ぎる。スタート直後に内へヨレて出脚が鈍り、後方から。道中も行き振りがサッパリで、最初からステッキが飛ぶ有様。直線に向いてやっと馬が走る気を出した様で、ジリジリ伸びてここ迄。新馬は普通に走れていたが、競馬を忘れたかの内容。これもこのままでは500万が厳しいレベル。

ポメランチェ

前肢にバンテージ。+10kg。勿論、馬体が増えたのはいい傾向。この数字にしては良く出来ている方だが、まだトモが甘い。ゲートでやや後手。そこからの出脚は速かったが、スピード自体が足りない印象で、2F以上走ってやっとハナ。直線を向いた段階でほぼ余力はなく、内にモタれていた。ゲートを失敗したのが最大の敗因だが、ガサがない分、パワーがないので、新馬の札幌戦から2秒掛かる馬場も応えている。

サマー2000シリーズ第1戦 第57回七夕賞(GⅢ)

トーラスジェミニ

-6kg。前走東京戦と比較して、数字分だけスッキリした印象も有るが、大きくは変わらず。キビキビした歩様も維持出来ていた。スタート直後に内へ少しササったが、それでも出脚は速く、楽々2番手。1000m通過60.8秒だが、数字上に序盤はユッタリした流れ。3〜4角中間から仕掛けて直線入口でロザムールに対し、首程先行。直線入口は楽勝かに見えたが、ロザムールに意外な程粘られた。前走東京戦が好内容で、このメンバーなら勝って当然の組み合わせだが、2000mは微妙に長い。裏を返せば不適距離で勝つのだから、それだけ馬は充実している。

ロザムール

+8kg。この16頭の中では"紅一点"ということになるが、500kgの馬体は迫力満点。太いという印象もなく、少し立派という程度。一瞬の出脚はトーラスジェミニの方が速かったが、内から主張してハナへ。前述した様にペース自体は楽だったが、トーラスジェミニのプレッシャーがキツく、馬も少し気を遣っていた様に見えた。仕掛けもトーラスジェミニは早かったが、それでも良く粘ってクビ差で凌いだ。距離経験という点に関してはトーラスジェミニと似た様なモノだが、明らかにこちらの方が2000mへの適性が有りそう。馬格が有るので道悪も向いただろうが、今後も楽しみが持てる内容。

ショウナンバルディ

前後肢にバンテージ。一歩一歩に力強さは有ったが、牡馬としてはちょっとフックラ見せた。もう少し馬体の中身が欲しい。スタート直後に直ぐ外のカウディーリョに寄られて接触。微妙に出脚が鈍って中段から。2番手でも競馬が出来るのを証明したのが前走中京戦だったが、この馬場で馬群はそれなりにバラけていたとはいえ、リラックスして走れていた。直線だけ外へ持ち出し、プレシャスブルーと併せ馬。これをラスト100mで振り切り、最後の最後に3着浮上。道中は少し下を気にする素振りも有った位だが、レースで渋太い。下見はともかく、目下充実している。

マウントゴールド

-6kg。トモのボリューム感は残っているが、腹回りが淋しくなって来た。歩様が落ちていないのは救いだが。好発も、主張して来たロザムールには付き合わず、その番手から。ただ、下を気にしたか、道中の行き振りは少し怪しく、4角も鞍上が必死に追って何とか付いて行く程度。直線は一瞬だけトーラスジェミニの内へ飛び込んだが、そのトーラスジェミニが内を締めて来て、立て直す場面。脚が有れば全く問題ないところだが、今日の行き振りでこうなるとキツい。今日は内に居た利はそれなりに有ったが、手応え以上に渋太かった辺りはこれもデキがいいのだろう。

プレシャスブルー

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。442kgの馬だが、数字の割には良く出来ている。歩様も中々力強い。ゲートも微妙に悪く、例に依って1角進入時は最後方。向正面に入って徐々に番手を上げて行こうという意思は見えたが、大して進んで行かず、3角で10番手、4角で中段。しかも大外を回っており、今日の展開ではどうしようもないところだったが、後方に居た組では最先着の5着。直線向いた段階でショウナンバルディと一緒の位置に居ただけに、見栄えは悪いのだが、通った位置の差を考えれば互角以上の内容。次走は新潟戦だそうだが、絶好の狙い目に。

第26回プロキオンステークス(GⅢ)

メイショウカズサ

遮眼革。-8kg。ダートを走るにしては少し華奢な気もするが、この馬場で結果オーライだったか。それでも立て直して一歩一歩はしっかり踏めていた。ゲートをヨレながら出て出脚が鈍り、外からトップウイナーとメイショウウズマサに叩かれる展開になったが、何とかネジ込んで好位確保。メイショウウズマサが大外からの逃げ、更にこの馬場でペースは速かったが、流れには乗れていた。道中は基本的にはトップウイナーの直後。更にその前に馬が居ると別だが、直後だったことで砂を被る量が少なくて済んだのも揉まれ弱いこの馬にとっては良かっただろう。前走阪神戦はタイムオーバー級の惨敗だったが、重賞を走る様になって出脚が足りず、逃げられない競馬が多くなったことも今回に生きた感も。ただ、今日は馬場が特殊過ぎて次走は何とも。

トップウイナー

遮眼革。-6kg。これもメイショウカズサ同様、軽い造り。ダート馬として見るなら、歩様には力感が欲しい。出脚が抜群に速いという訳ではなさそうだが、ステッキを入れて先行。ただ、更にその上をメイショウウズマサが行って、2番手から。ハイペースながらも、この馬場で各馬の仕掛けも早いのだが、3角からメイショウウズマサに並び掛けて行く脚が有り、後続を突き放して一騎打ちに持ち込めたことが大きかった。最後、メイショウカズサに捕まったのは仕方がないところ。これも前走東京戦は芝で悲惨なことになっていたが、頑張って行ったことは今回に繋がっている。

メイショウウズマサ

前後肢にバンテージ。腹回りはスラッとしているが、トモのボリューム感は目につく。歩様も実に滑らか。メイショウ3頭出しで、戦前は最内のメイショウワザシが行くかに思われたが、中途半端を嫌ってか、大外枠から無理矢理先行。スタート直後は微妙に躓いているのだが、意外な程スンナリ行けた。1000m通過が59.2秒と速く、トップウイナーのマークもキツかったが、結果的に後続を突き放す形になったのが良かった。適性を試していた500万の時代に2000mを使った経験が有るとはいえ、1700mは微妙に長いが、この馬場で何とか3着に踏ん張った。これも次走となると何とも言えないところだが、スピードを見せたということはいえる。

ダノンスプレンダー

遮眼革。前後肢にバンテージ。例に依って胴長でスラッとした体型。手先のスナップが利いていて、芝馬の風情。出脚が足りず、両サイドからやられ、そこから直ぐ内へ潜りに行って中段やや後方から。流石にコーナーは追走に汲々としていたが、それでも内へ潜った利は大きく、何とか最後迄伸びていた分の4着。アヴァンティストが内に居て、少し邪魔になった感も有り、これがなければ3着も有った。この馬自身ももう少し出脚が有ると楽になるが、力そのものは重賞でも通用する。

アヴァンティスト

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。466kgだが、骨格がしっかりしており、馬はこのメンバーに入ると上位。歩様にも力強さが有った。ゲート五分。出脚で負けた訳ではないが、距離を意識してか、鞍上に行く気がなく中段から。このハイペースで道中の折り合いは付いていた。それでも内に居た分、距離は稼いでおり、4角は結果的にメイショウカズサの直後に出て来たが、そこからは前も止まってくれなかった。結果的にもう一段前で闘うべきだっただろう。

第70回ラジオNIKKEI賞(GⅢ)

ヴァイスメテオール

+6kg。500kgは切った方が良さそう。馬自体はこのメンバーでも上位。緩いという程でもないが、もう少しスッキリ見せてくれた方がベスト。歩様も幾らか窮屈。出脚が抜群に速いという訳ではなさそうだが、内のデルマセイシだけ叩いて中段。ノースブリッジの逃げが引っ掛かるのを引っ張りながらで、ペースが上がらず、開幕週のインとはいえ、決していい形ではなかったが、4角で馬群を捌く回り脚が速く、ほぼ楽勝だった。正月に中山で走った時はフラフラだったが、大分脚力が付いてきた印象。GⅠとなれば話は別だが、ノーザンファームの二線級が回って来ることの多いこの厩舎にとって、こういうレースを勝っておくのは大事。

ワールドリバイバル

前後肢にバンテージ。骨格のしっかりした馬で、垢抜けた造り。走る走らないはともかく、見た目だけなら世代でもトップクラスだが、今日は妙に気配に乏しい。好発。少し内の馬と接触したが、出脚は抜群に速く、一旦はハナ。ただ、ノースブリッジが抑え切れずに行って、そこには抵抗せず番手を選択。これはこれで良かったが、回り脚が甘く、4角でスピードを持って回って来れたヴァイスメテオールに対し、こちらは手応え汲々。直線半ばでノースブリッジを捕まえるのがやっとだった。出脚が有るのは強みだが、道中の機動力が欲しい。

ノースブリッジ

+14kg。マイラー体型の馬で、元々重目に見せる傾向を差し引いても立派過ぎる。歩様にも硬さが有った。ゲート自体が怪しく、少し押して行ったところ、思い切り馬が行く気になってしまい、ハナへ。先頭に立っても引っ掛かっていた。向正面で幾らかマシになったが、それでも引っ張り気味。その分、他馬が競り掛けに来ず、ペースも上がらず単騎では行けたが、3〜4角中間迄手綱を引っ張って、そこから慌てた様に追い出しており、今日は兎に角チグハグだった。開幕週だったとはいえ、これで3着なら裏を返せば馬は頑張っているといえそう。次走狙い目。

タイソウ

同じ500kgオーバーでも、ワールドリバイバルと違い、こちらは重厚感の有るタイプ。バネを感じさせる歩様も印象的。出脚が速いという訳ではなさそうだが、最初から先行するつもりだった様で、押して好位。ノースブリッジの挙動が怪しかった割には、連られることもなく、折り合いは付いていた。ただ、4角での機動力がイマイチ。ノースブリッジに対しても突き放され気味になっており、直線もノースブリッジを交わす迄には至らず4着止まり。決勝線を過ぎてから交わしていた。これで重賞挑戦3回目で、正月に中山を使っていた頃よりはマシになっているとはいえ、これももっと自在性が欲しいところ。現状は距離が有った方がまだ誤魔化しが利く。

シュヴァリエローズ

背丈が低いのだろうが、良し悪しは別にして、440kgの割にドッシリ見せる。歩様もスムーズで力強い。これも出脚が速いという訳ではないが、少し押して可能な限り、外の馬に抵抗しつつ、前から6番手辺りのイン。勝負どころで変なポケットにハマった様にも見えたが、この馬自身も外を回すだけの手応えはなく、直線も雪崩れ込んだ様な5着。人気だったボーデンが大外を回ってくれたお陰で、掲示板には載ったが、要は機動力不足。自己条件の準オープンでも些か厳しい。

サマースプリントシリーズ第2戦 第57回CBC賞(GⅢ)

ファストフォース

前肢にバンテージ。-18kg。狙い通り絞れて来た。スカッと見せてはいたが、それでも510kg有り迫力充分。文句なし。ゲートは微妙に分が悪い様にも見えたが、内枠の利も手伝い、頑張ってハナへ。この馬場で行った方がいいことは明白で、当然ながら道中も結構擦られたが、それでも4角で突き放す脚が有り、ピクシーナイトの猛追を一杯一杯振り切った。戦前はスピード不足を懸念する向きも有ったが、枠の利も生かして行き切ったことと、絞れて軽快に動ける様になったのが良かった。また、1800mのレコードをダイタクバートラムが長らく持っていた様に、小倉の場合はこの手の馬場でも意外とスタミナも要る。

ピクシーナイト

前後肢にバンテージ。3歳馬だが、馬はこのメンバーでも上位。ただ、まだ歩様の微妙なブレや本当に良くなるのはまだ先。出脚は抜群に速かったが、この馬場で内の馬6頭に抵抗され、直ぐに引いて中段から。中段位置が空白になっており、3角手前でインへ潜り込めた。好位勢が総崩れとなる中で、インで脚を矯めて、仕掛けを一瞬でも遅らせたのが最後の伸びに繋がった。控えた段階で余程のことがない限り、勝ちは消えた様なモノだだが、あのままでは共倒れになっており、次善策としては最高の形が取れた。鞍上も上手かったが、馬もスプリント向きの立ち回りの上手さが有る。

アウィルアウェイ

前後肢にバンテージ。+10kg。一息入って、数字分だけボテッと映る。歩様ももう少し良くなる余地が有りそう。ゲートはそこ迄悪くなかったが、流石に出脚が苦しく、序盤は中段やや後方から。それでも頭数が少なかったことも有り、今日は何時もより早く上がっていけた印象。3角手前では追撃態勢に入れていた。直線はどうしても外を回さざるを得ない分、届かなかったが、最後迄しっかり脚を使えていた。牝馬の55.5kgということで事実上のトップハンデだっただけに、尚のこと良く頑張っている。ここ迄の時計勝負を陣営が想定していたかどうかは定かではないが、開幕週で機動力は欲しかったところで、厩舎手腕が光る3着。

タイセイビジョン

前肢にバンテージ。-4kg。大分スッキリと見せる様になって来た。それでももうちょっと歩様に伸びが欲しいところ。ゲート自体がそこ迄遅かった訳ではないが、2完歩目からが全く進んで行かず後方から。道中の行き振りも全然だったが、この馬場で最内を只管回った利はそれなりに大きかったか。勿論、この馬自身も地力は高く、眼前のクーファウェヌスを一瞬避ける形になりながらも4着は確保。近走、マイルを多く使っていただけに、行き振りの悪さは仕方がないともいえるが、年々競走馬の出走回数が減っていく中で、今は調教で直しておくべき部分。その点ではアウィルアウェイとは対照的。

ヨカヨカ

前肢にバンテージ。+8kg。前走中京戦にギリギリ感が有り、馬体が回復したのはいい傾向。見た目にもフックラしていた。チャカつくのも何時ものこと。この馬としてはゲートを出た方だが、直ぐ内のメイショウチタンと接触して出脚が鈍ったのが痛恨。それでも結果的に内へ潜って、今日の馬場としては形は整えたが、道中の行き振りがずっとイマイチで、ずっと鞍上が促している様な状態だった。直線も内へ外へ、フラフラ。最近の中では一番内容が悪い。見た目は悪くなかったが、使い過ぎでちょっとヘバっているかも。