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競馬回顧 2022年4回小倉

サマー2000シリーズ第5戦 第58回農林水産省賞典新潟記念(GⅢ)

カラテ

前後肢にバンテージ。-8kg。下見からいい時と悪い時がハッキリしている馬だが、今日はいい方。馬体が絞れて歩様に柔らか味が有った。ゲート五分。2000mなら出脚は速い方で、スッと好位。油断すると引っ掛かりそうな気配も有ったが、馬群の中に入れて我慢させる形。馬も何とか堪えてくれていた。直線は内目に進路を取って、ラスト500mで先頭少し外へヨレ気味になる場面も有ったが、後続が誰も差して来ず、1馬身3/4差を付けて快勝。今日は特別3連勝だった鞍上が乗れていたのも確かだが、トップハンデだけに地力でもぎ取った勝利。マイルではズブい面を見せる様になっており、2000mも丁度良かったのだろう。当然、この後は東京戦が目標。グレード制導入以降、このパターンで連勝したのはオフサイドトラップのみだが、この馬も良くも悪くもそのレベルの評価は出来る。

ユーキャンスマイル

-4kg。特に変わった様子はないが、数字分だけ締まった印象も。歩様も悪くないが、今日は鞍下からの発汗が多かった。珍しく好発。こちらは逆に2000mだと出脚が速い方ではなく、馬の気に任せている間に自然と番手が下がり、後方に近い位置。最近の体たらくを考えれば鞍上に欲はなかった筈で、兎に角ジックリ乗られた。直線も迷わず大外。この手の各馬が内を開けて走る馬場状態の場合、前の馬が外へ張り出して来て、ジワジワ外へ持って行かれるパターンが最悪だが、誰も来ない馬場の8分どころを真一文字に伸びて来た。カラテがチギって、好位グループが苦しくなる展開に加え、この馬に合う様に思い切り良く乗ったのがいい方に出たが、この馬がGⅢを走るのは3年前のこのレースを勝って以来。力量自体も上位だったか。

フェーングロッテン

遮眼革。+6kg。悲惨だった前走福島戦と違い、今日はデキ一変。初の古馬相手でも迫力で負けていない。見た目に馬体が若々しく、歩様も明らかに良くなった発汗は目立った。好発。そのままジワッと行かせて好位の外。序盤こそ力んでいたが、少なくとも3角の時点では折り合いが付いており、道中はほぼ問題はなかった。ただ、いざ追って頭が高いのは前走から変わらず。一旦は2番手の場面こそ有ったものの、新潟だと福島の様に踏ん張り切れない。今日はデキが良かっただけに頑張りが利いたが、通常ならならズルズル行っていた筈。ベストは小回り。

フォワードアゲン

426kgの割には重量感が有って、馬を大きく見せる。もう少し歩様に伸びやかさが欲しいところだが、良く出来ていた。ゲートが分がいい方ではなかったにも関わらず、押して先行争いに首を突っ込んでいたが、引っ掛かりそうな気配も有り、結局は引いて好位直後。追ってから反応も有り、一瞬は直ぐ内に居たフェーングロッテンより前に出た様にも見えたが、これもどちらかといえば頭の高い方で、最後に甘くなった。とはいえ、16番人気の馬だけに上出来といえば上出来。最初に無理をしていなければ3着有ったかも。それ迄がサッパリだっただけに半信半疑の部分も有るのだが、前走札幌戦、今回の2走だけから判断するなら重賞でも足りる。

ヒートオンビート

胴長の造りだが、前走福島戦よりも迫力が増した。馬に活気が有って、キビキビ歩けていた点も好印象。この距離だと出脚が速い方ではなく、押して好位。カラテと似た様な位置に居たが、道中の行き振りはカラテの方が明らかに良かった。直線も追っての反応が鈍く、内外へフラフラ、モタモタしている間に終わってしまった。福島よりは当地の方が向く筈だが、行き振りが悪い影響で末脚に安定感がない。これならユーキャンスマイルの様に矯める競馬の方が可能性は有ったか。

第42回小倉2歳ステークス(GⅢ)

ロンドンプラン

-10kg。大分スッキリした印象。余計な部分が削られたのはいいが、まだ力が付き切っていない様にも映る。歩様も力感に欠く。レース直前に落鉄し、蹄鉄の打ち替えで約6分遅延。ゲート内で我慢出来ず、アオッてしまい出遅れ2馬身不利。鞍上が促しても暫くはハミを取らなかったが、3角手前から馬がヤル気を出し、4角手前からの回り脚が速かった。直線も一瞬は前が塞がり掛かったのだが、脚でコジ開けて一気の伸び。雑な競馬だが、性能が一枚違った印象。今や夏の2歳重賞では新潟、札幌以上の出世レースとなったが、この馬も面白い存在。

バレリーナ

馬名通りというべきか、456kgの見た目以上に小ぢんまりと映る。馬名程の柔軟性はなさそうだが...。ゲート五分。直ぐ内のゴールデンウィンドの先行策に乗る形で好位。外枠だったことも有るが、前走と違って控える競馬でも上手く走れていた。4角で馬群が広がって、外へ行かざるを得ない形となったが、ジワジワ伸びて一瞬は先頭。ロンドンプランには捕まったが、2着は確保した。直線入口で出て来た位置が、結果的に一瞬でもロンドンプランの進路を潰す形。立ち回りの差も有るだけに相当の力量差を認めざるを得ないところ。暫く重賞のみを走る形になりそうだが、ちょっと厳しい。

シルフィードレーヴ

436kgの馬としてはゆったり見せる。歩様もスムーズだが、数字がないだけに、全体にパワフルさに欠く面は否めないところ。ゲートもイマイチだったが、出脚も案外で後方から。前走程、外へモタれなかったが、直線で手前を替えるのが一瞬遅れてモタついたのが痛かった。もう少し、その辺りの反応が俊敏だったら、バレリーナと併せ馬になっており、ロンドンプランの進路がなくなっていただろう。ただ、最後は良く伸びており、前走から考えれば内容は良くなった。3着ということで500万にも出走可能だが、何とかなりそう。

プロトポロス

+8kg。数字が増えた割に緩い印象はなく、今日のメンバーなら迫力を感じさせた方。ただ、イレ込みがキツい。ゲートは出ているが、無理せず中段。3角から少し差を詰めて、好位に取り付き、4角で少し待って、進路を確認してからの追い出し。一瞬の脚は有ったが、外の馬の勢いに屈して4着止まり。馬場差が大きく、能力云々は何とも言えない部分も有るのだが、今日は鞍上の意のままに動く器用さを評価したいところ。これも500万から出直す形になるが、そこは通過点に出来る筈。

ゴールデンウィンド

オーストラリアンブリンカー。-8kg。この時期の2歳馬としては纏まっているが、歩様が硬い。好発。ただ、出脚は抜群という程でもなく、内からクリダームが行き、ニシノトキメキにも行かせて3番手。行き脚が付いてからの行き振りは悪くなく、矯める余裕も有ったが、直線で前へ並び掛けようとして、そこ迄だった。競馬は上手いが、芝だと決め手不足か。

第57回農林水産省賞典札幌2歳ステークス(GⅢ)

ドゥーラ

馬のスケールは別にして、このメンバーに入れば上位の完成度。少し小走りは入っていたが、物見をする余裕も有り、歩様もしっかりしていた。ゲート五分。出脚も負けていなかったが、外枠だけに仕掛けて行くことはせず、中段から。馬場のいいところを選びながらで、それなりに外を回っていたが、4角の回り脚が速く、その勢いで直線も突き抜けた。抜け切った際に少し外へヨレており、課題がない訳ではないが、競馬は上手い。ここ迄3戦共、上がりが最速だった点も評価出来る。距離も問題なさそうで、あとは中央デビュー組との相手関係。

ドゥアイズ

-8kg。馬は少し貧弱にも映るが、良く言えば無駄肉がなくなった。2歳馬としては、気配に集中力が有るのがいい。スタート直後はドゥーラをマークする形だったが、ドゥーラがあまり行かないのを見て、向正面で好位へ。道中の折り合いは問題なかったが、4角を左手前で回って、直線もそのまま。その分、踏ん張り切れなかったか。結果的にドゥーラの目標にされてしまったのも応えた印象。ドゥーラとも着差程の差はない筈で、重賞でもノーマークには出来ない馬。

ダイヤモンドハンズ

+14kg。毛ヅヤが冴えて、デキ自体は悪くないだろうが、明らかに太目残り。ちょっと煩いのも気になった。ゲートも微妙に悪かったが、鞍上に行く気もなく、後方から。一旦、全部下げて馬群の外。リズム重視で乗られていた。3角手前で先を越したシャンドゥレールが一気に行ってくれなかったのは誤算だったが、そこも纏めて4角でマクって行く形。トビが大きく、回り脚はなさそうだったが、直線でジリジリ伸びてここ迄。出来れば賞金を加算したかったところだが、力は示した一戦。勝ち負けはともかく、クラシックに名前がないということはない筈。

ジョウショウホープ

小走りは入っていたが、手先のスナップが良く利いていた。マイラー寄りの体型だが、馬体が締まって来た分、トモが目立つ。一戦毎に馬が良くなっている。ゲートでアオッたことも有るが、馬に距離経験がなかったことを鞍上が考慮したとのことで、後方からジックリと。馬場のいいところを選びつつ、かといって極端な外は回さない様にと、兎に角大事に乗られた。4角も前が壁になっていたが、直線迄待ってから外へ持ち出す形。実質は競馬が終わった後だったが、ジリジリ伸びて4着は確保。大事に乗れば我慢が利くだけで、距離はもう少し短い方がいい。

ブラストウェーブ

シープスキンノーズバンド。兄ブラストワンピースと似た体型だが、まだ少し緩い。歩様も緩慢。この血統はもっと硬い方が走る。ゲートは微妙に分が悪かったが、押して好位。1角では頭を上げていたが、2角からはスムーズに走れていた。4角の手応えも決して悪いようには見えなかったが、いざ追って案外。荒れ馬場自体は苦にしている様には見えなかったが。兄同様、マクる形の方がいいのだろう。

第42回新潟2歳ステークス(GⅢ)

キタウイング

436sの馬としては良くも悪くも全体に立派。連闘という点ではフックラ見せる点は好材料だが、もうひと絞り有ってもいいかも。歩様は落ちていない。ゲートでアオって1馬身出遅れ。直ぐに馬群には取り付いていたが、押した分、少し行きたがっていた様にも見えた。各馬が馬場のいい外へ進路を取る展開となったが、馬場の5分どころ、馬群の最内から差し切った。直線は何回か手前を替えていたが、右手前で走っていた時は明らかに他馬と脚が違っていた。新馬の福島では4着だった馬だが、現状は左回りが向いている。このレースの勝ち馬は中々上手く行かないことが多いのだが、ジックリ育てられるなら来春東京戦で長打が狙える。

ウインオーディン

シープスキンノーズバンド。+4kg。これも連闘だが、馬体増は好印象。前走と大きく変わった訳ではないが、張りが増した。歩様も問題はない。ゲートはむしろ分がいい方だったが、鞍上に行く気がなく、中段で折り合いに専念。枠の関係でどうしても外を回さざるを得ず、キツい展開になったが、一番外から良く伸びていた。キタウイングとの位置取りの差を考えれば、マトモなら間違いなく勝っていた競馬。特にシーウィザードとの併せ馬になった最、一瞬シーウィザードがヨレて、こちらが逡巡し、1馬身程のロス。この差を挽回した根性を特に高く評価したい。今日はメンバーレベル自体が低く、中央では次元の違いにハネ返される可能性も有るが、接戦にさえ持ち込めばそう簡単には負けない筈。

シーウィザード

シープスキンノーズバンド。全体に小ぢんまり。その分、完成度が高いともいえるが、見栄えはしない。ゲートは微妙に分が悪かったが、押して中段やや前。丁度、馬群が切れた位置となり、ノープレッシャーで走れたが、押して行った分なのか、道中はやや行きたがっていた。追ってからジリジリ伸びてはいるが、苦しくなって外へヨレる場面も有り、最後は一杯一杯。明らかに脚が上がっていた。もう少し折り合いがスムーズにならないと苦しい。前走函館戦はハナへ行って折り合っていたが、今日は距離短縮していただけに尚のこと課題が残った。

バクラダス

ダートで下しただけ有って、この時期の2歳馬としてはドッシリ見せるが、寸詰まり気味。歩様は悪くなく、デキ自体はいい。ゲートは五分程度。しかし、ダートの短距離で勝ち上って来ただけ有って、スピードの違いでハナへ。誰も競りかけにも来ず、1000m通過が62.2秒とスロー。楽に行けたことも有るが、直線は決め手の問題だけで最後迄脚は上がっていない。芝でも全く問題なく、500万は勝てる馬。

アイスグリーン

前後肢にバンテージ。-4kg。毛色の分だけ見栄えは得しているが、実際はまだ腹回りが緩い。歩様も柔らかみが有るというより、芯が入っていない。好発。出脚も有りそうだったが、内から主張して来た馬に譲って好位に控える形。壁がない影響も有ったか、道中は少し行きたがっていた。追い出してからも暫くはフォームが固まらず手脚がバラバラだったが、最後の最後に全身が使える様になって踏ん張りが利いた分の5着。将来性は有りそうだが、まだ実戦で使えないレベルの馬。

サマースプリントシリーズ第5戦 第17回キーンランドカップ(GⅢ)

ヴェントヴォーチェ

前後肢にバンテージ。腹回りがボテッと映るのは毎度。その分、トモの可動域が狭い様にも見える。毛ヅヤが良くて、デキは悪くないが。ゲート自体はそこ迄悪くなかったが、内から張られる形になり、引かざるを得ず後方から。この段階で腹を括って、外は諦めて内を突くことに専念。3〜4角はほぼ土の上を走っていた状況だったが、ここで距離を稼いで直線は可能な限り、外へ。逃げたオパールシャルムを筆頭に馬群が全体に外へ張ってくれたことに加え、ウインマーベルも直線で外へモタれたことでVロードが出来ていた。前走新潟戦が前が詰まって消化不良の競馬だったが、っ今日は全てが上手く行った。ただ、これで能力云々は何ともいえないところ。出脚がないので、展開に左右され易いのもネック。

ウインマーベル

遮眼革。+4kg。例に依って筋骨隆々といったタイプではなく、小ぢんまりとした造りだが、その中でも成長は有りそう。歩様も幾らかドッシリして来た。57kgを背負っていた前走中京戦を考えれば出脚は速く、スッと好位。ただ、各馬が馬場のいい外を走りたい中で、外から他馬に被される形。道中は決して楽ではなかったが、前述した様に結果的に4角で逃げたオパールシャルムが必要以上に外へ張ってくれたことで、進路がガラ開き。一旦は完全に抜け切ったが、追って外へヨレた分、ヴェントヴォーチェの強襲を許してしまった。今日は勝てる競馬を落とした格好。この馬なりに成長はしているが、まだ甘い部分が残っており、古馬相手だと少し壁を感じる内容。

ヴァレトニ

2人曳き。前後肢にバンテージ。寸が詰まって、腹回りもボテッと映るタイプだが、これは元々。短距離馬としては良く出来ている。ゲートは五分程度。出脚が抜群に速いという訳ではないが、各馬が内を開けてくれていた関係で進路が有り、只管内ラチ沿いを通って4角で先頭。流石に直線は 苦しくなったが、外の馬が差して来ず3着に粘り込んだ。これも評価のしようがない内容だが、昨年に札幌で3連勝した様に、馬場適性が有ったということはいえるだろう。逆にいえば中央に戻る次走以降は厳しい。

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。一息入ったが、キッチリ出来ていた。毛ヅヤが冴えて、デキにケチを付けるところはない。手先だけで歩いているのは2歳時同様だが、落ち着きが出て来たのは何より。出たなりで中段。直ぐ内のレイハリアが好発を切って、それに付いて行けていればまた違ったが、出脚の違いで付いて行けず、各馬が外へ張りだして来る展開で大外ではどうしようもなかった。ただ、出脚のなさは1200mが初だった影響も有り、同情の余地も有る。逆にいえば、これで0.4秒差に留めたのは勝ちに等しいとさえいえる。

オパールシャルム

前肢にバンテージ。+18kg。488kgはデビュー以来、最高体重。480kg台で走っていた時期も有り、数字程、太い印象はないが、歩様が窮屈。硬いという程ではないのだが...。出脚はレイハリアが一番速かったが、主張してハナへ。基本的には馬場のいいところを選んで内へ寄せず、ほぼ真っ直ぐ走らせる形。コーナーでも同様で、結果的に内から来た馬にスクわれる格好になったが、内外から来られながらも良く踏ん張っていた。毎回述べている様に、内の馬に差されたということは鞍上の進路選択が間違っていたということになるのだが、馬は頑張っている。次走に関してはオープン特別か交流戦の両睨みとのことで配当妙味はないが、暫く追い掛けても損はない筈。

サマー2000シリーズ第4戦 第58回札幌記念(GⅡ)

ジャックドール

+8s。前走阪神戦は前々走中京戦激走の疲れが見え隠れしていたが、リフレッシュの効果は有った。馬体をフックラ見せて気配もノンビリ。パンサラッサが逃げて、2番手ユニコーンライオンの形は大方の想定通りで、最初から行く気はなく3番手から。この馬自身、馬群に包まれていいタイプの馬ではないのだが、それでもソダシを内に入れないという意思は有った様に見えた。鞍上も驚いていた様だが、終始、前に馬を置かなかった割に、折り合いが付き、直線はパンサラッサをネジ伏せる様な勝負根性を見せた。新味を見せたといえる一戦。この競馬が出来れば次走も楽しみということになるが、今日は休み明けの滞在競馬だったことも落ち着いていた要因のひとつ。東京でどうなるかはやってみないと何とも。

パンサラッサ

-6kg。数字分だけ馬体がスッキリした印象。どちらかといえば硬い方の馬だが、今日の雰囲気なら歩様も悪くない。枠の差が有りながら、ユニコーンライオンに出脚で負けていたが、内から主張して無理矢理ハナへ。少し頭が高いながらも、押して行って掛からずに行ける点はこの馬のいいところ。ただ、1000m通過が59.5秒と、最近は57秒台で飛ばしていた馬にしては遅いペース。3〜4角から突き放して行く感じもなく馬が変わって来た感が有るが、直線の追い比べではジャックドールに渋太く抵抗。クビ差2着に踏ん張った。この競馬でもハナへ行かせて貰える内はいいのだが、飛ばして行かないとなると、何れ徹底抵抗する馬が出て来る筈。そうなると二束三文となる危険も。

ウインマリリン

パシュファイヤー。+12kg。デビュー以来、最高体重。歩様を含めて、一応は走れる状態だが、腹回りはもう少し締めてもいいかも。ゲートは五分程度。スタート直後に直ぐ外のソダシに叩かれる形になったが、そのソダシは眼前でジャックドールに抵抗されており、その隙に内へ潜って好位の3番手。こちらは上位2頭とは違って器用なタイプだが、この捌きが利いて内枠を引いた時の様なセコい競馬が出来た。無論、折り合いは何ら心配のない馬で、あとは前を交わすだけだったが、ソダシには競り勝ったものの、直線で伸び切れず3着止まり。いい時と比較するとまだもうひとつだが、鞍上の話では良馬場発表ながら緩い馬場も応えたとのこと。キッカケは掴めたといえそう。

アラタ

オーストラリアンブリンカー。後肢にバンテージ。馬の迫力勝負となると明らかに劣勢だが、デキ自体はいい。緩んだところが一切なく、所作にキレが有った。ゲートは微妙に分が悪かったが、外から叩かれる形にならず、労せず中段は確保。勝負どころからソダシを目標に追い出され、最後迄ジリジリ伸びて4着。この相手で同斤、何等恵まれたところはなく、正攻法の競馬だけに高い評価が出来る。見た目は地味な馬だが、GⅢなら楽勝レベル。

ソダシ

2人曳き。前後肢にバンテージ。前走東京戦が好時計の激走だったが、今日も良く出来ていた。牡馬相手でも上位に見せる馬。前走程の好発ではないが、一応はゲート五分。ただ、例に依ってゲート内の駐立は怪しい。ハナへ行く気はないとしても、好位置は欲しいところだが、前述した様にパンサラッサに粘られて、一列分だけ後ろに引く形。多少引っ張り気味ながらも、この形でも折り合いは付いていた。3〜4角中間から前を追い掛け、あとは直線で伸びるだけだったが、最後は失速。一番は距離が敗因ということになるが、道中でノメる場面も少なからず有った。渋い馬場も良くないのだろう。

グローリーヴェイズ

前後肢にバンテージ。数字通り、馬体はほぼ出来ていた。歩様に勢いが有って、気配も上々。デキにケチを付けるところはない。この馬自身も、ゲートがイマイチだったが、スタート直後にハヤヤッコと接触したことも有って、更に出脚が鈍り、後方から。道中はこの馬なりにスムーズだったが、勝負どころで手応えが汲々としてしまうのは致し方ないところ。出来ればソダシは交わしたかったが、最後迄ジリジリ伸びている。距離を延ばして改めて。

サマースプリントシリーズ第4戦 第57回テレビ西日本賞北九州記念(GⅢ)

ボンボヤージ

後肢にバンテージ。+8kg。元々が目立つ馬ではないが、数字分だけ馬がフックラした印象。歩様は悪くない。ゲートは分が悪い方だったが、内枠勢が先行するか出遅れるか極端な馬ばかりで、労せずリカバーが利いて中段から。これだけでもツキが有ったが、更に僥倖は続き、4角で逃げたテイエムスパーダが外へ持ち出し、進路迄譲ってくれた。51kgも味方し、スパッと抜けて快勝。今週は伊藤雄二元調教師が死去したニュースが有ったが、勇退時に厩舎を引き継いだ梅田智之厩舎の管理馬。近走は二桁着順ながら1秒差以内の競馬が続いており、16番人気の馬でもないのだが、弔い合戦に勝ったという以外に勝因が見当たらない。

タイセイビジョン

前肢にバンテージ。スプリンターとしてはスカッと見せる方だが、今日の相手だと迫力上位。馬に活気も有った。出遅れ1馬身不利。例に依って後方から。基本的には内ラチピッタリを回って来たが、これもテイエムスパーダが外へ行ってくれた恩恵が大きく、展開はドンピシャ。最後の最後に甘くなった様にも見えたが、あくまで57kg分で、周囲が軽い馬だっただけに仕方がないところ。前走時に述べた様に、上手くハマればナランフレグの立場になれる馬だが、ゲートが悪いのはやはりネック。

ナムラクレア

+8kg。今日は数字分だけ余裕残し。とはいえ、スプリント色の強い体型ながら、3歳牝馬としてはパワフルに見せるタイプの馬。歩様、毛ヅヤ等、他の部分も悪くない。外からジワッと行かせて好位直後。結果論になるが、直ぐ外のジャンダルムが好発を切り、主張された分だけ、番手を下げざるを得なかったのが痛かった。4角の手応えは抜群だったものの、前にはズラッと壁。外へ回すには馬が多過ぎて、直線迄待ってから捌く形になったが、内から抜けた2頭には届かず終い。あくまで枠や他馬との兼ね合いで、鞍上を責めるのも酷だが、勝てる競馬を落とした感は強い。

アネゴハダ

+14kg。数字の割には元々良く見せる馬だが、更に良くなっていた。毛ヅヤの良さも維持出来ている。歩様にブレがないのも強調材料。ガチンコの出脚勝負ではテイエムスパーダに分が有るが、内から少し抵抗してその番手から。結果的に前崩れとはなったが、競馬としてはスムーズに運べたといえるだろう。何度も述べている様に、テイエムスパーダが4角で外へ行ってくれたお陰で進路も確保。あとは直線で脚を伸ばすだけだったが、先頭に立つ前にボンボヤージにやられており、伸びずバテずの4着。詰めが甘いという外ないが、前走以上に案外感が残る内容。

モントライゼ

全く人気はなかったが、皮膚を薄く見せてデキ自体は良さそう。ただ、トモが甘い歩様は相変わらず。鞍上に行く気もなかった様だが、ゲートも微妙に分が悪く、中段やや後方から。無理しなかったことで、これも途中で内目に切り替えることが出来て、スムーズに回って来れた。最初から内だったら、もう一つ二つ着が上がっていたかも。ただ、今日はその恩恵があまりにも大き過ぎる。最近の中では一番マシな競馬だが、これで復調とはいい難い面も有る。

テイエムスパーダ

前後肢にバンテージ。下見だけをいえば前走とほぼ変わらず。デビュー当時より歩様がしっかりして来たのが何より。内枠から主張してハナ。ただ、前走と比較してゲートが分が悪く、シンシティが1000mからの参戦だったことも有り、かなりコスられていた。32秒8と、前走と比較して600m通過タイムは1秒遅いのだが、数字以上にキツい形。直線で外へ持ち出したのも内の馬に進路を与えただけで、最後は失速。スムーズなら相当強いのだが、過去にも述べた様に、ゲートがアテにならないのがネック。

サマーマイルシリーズ第3戦 第57回関屋記念(GⅢ)

ウインカーネリアン

シープスキンノーズバンド。淡々と歩くのは何時ものこと。雄大な造りで馬は目立つ。歩様も力強い。出脚は一番速かった位だが、内からシュリが主張して、2番手で折り合いを付ける形。前のシュリは何時でも交わせる自信が有ったのだろうが、追い出しも待てるだけ我慢。内外回りの合流地点辺りから追い出し、シュリも中々渋太かったが、ラスト50mで右手前に替えてグイッとひと伸び。これでサマースプリント王者もほぼ当確。楽過ぎて能力判定不能だが、出脚が有るので道中楽が出来るのが最大の強み。

シュリ

-4kg。一息入ったが、キッチリ出来ていた。人気はなかったが、皮膚が薄く、スカッと見せてデキは良さそう。歩様もスムーズ。出脚はウインカーネリアンの方が速かったが、枠番有利に主張してハナへ。1000m通過60.3秒とスロー。ウインカーネリアンが余計なことをしなかったことも有り、数字以上に楽な展開となった。直線向いた段階で直ぐに手が動いており、手応えは決して楽ではなかったが、道中で楽が出来ていた分、渋太く、ウインカーネリアン3/4馬身差に留め、ダノンザキッドを封じたのは立派。先行馬としては出脚がなさ過ぎる面は有るが、自分の形に持ち込めばこのメンバーでも足りる。

ダノンザキッド

2人曳き。マイラー寄りの体型では有るが、このメンバーに入れば馬は断然。ただ、煩いのも相変わらず。ゲートは出ているが、ソロッと乗られて中段。時折、頭を上げて引っ掛かりそうになっていたが、今日のスローを考慮すれば我慢していた方。ただ、この手の馬に有り勝ちなのだが、スローの決め手勝負になると、どうしても反応が一歩遅れてしまう。その分、ラスト300m辺りで一瞬前が塞がりそうになっていたのも痛かった。更に、直線はずっと左手前のままだったのも伸び切れなかった一因。陣営は今日のメンバーなら楽勝を期待して送り出しただろうが、症状は一緒。課題が中々改善しない。

スカイグルーヴ

2人曳き。曳き手を自分から引っ張って行く位の気配。歩様も力強いが、ちょっと馬体の張りが甘い。ゲートは突進気味ながら速い方だったが、シュリが主張して好位に控える形。スッと番手が確保出来ていれば良かったが、ゴールデンシロップに内ラチを取られたのは少し痛かったか。その分、序盤は馬が力んでいた様にも見えた。ただ、隊列が固まってからはスムーズ。前も開いていたが、追ってもうワンパンチがなかった。鞍上の話ではパンパンの良馬場の方が良かったとのことだが、実績が示す通り、距離も微妙に長いかも。

ピースワンパラディ

1年半以上、休んでいたことを考えれば良く出来ている。ただ、寸が詰まった体型だけに仕方がない面も有るのだが、横から見ると馬が少し小ぢんまりと見せる。馬に幅が有るということもいえるのだが...。歩様も少し窮屈。ゲート五分。出脚に余裕が有った訳ではないが、ウインカーネリアンの先行策に付いて行く形で好位の外。スローだけにいい位置で流れに乗れたということになるが、ウインカーネリアンを目標に追い出したところ、マトモに馬体が併っていたのは直連入口からの100m程度。直ぐに突き放されたが、3〜4着馬相手には渋太く食い下がっていた。長期休養明けを考慮すれば良く走った方。まだまだ稼げる。

サマー2000シリーズ第3戦 農林水産省賞典第58回小倉記念(GⅢ)

マリアエレーナ

424sの馬としては良く見せるタイプだが、今日も高値安定。馬を大きく見せるのが何より。歩様もしっかりしていた。好発。出脚も速かったが、ハナへ行く気はなく、行きたい馬に譲って好位のイン。全体で前から5番手辺り。隊列が落ち着いた1角過ぎ辺り迄は少し力んでいた様にも見えたが、それ以外はスムーズな追走。3〜4角の手応えが抜群で、4角手前から後続を待たずに一気に進出。直線入口では既に1馬身抜け切っており、そのまま独走して5馬身差。オイデオイデの大楽勝だった。真っ直ぐ走れる様になったのが地力強化の証。距離に不安がない上に、競馬に注文も付かない点も強み。今週阪神戦は本命級。

ヒンドゥタイムズ

-14kg。去勢明けの馬体減だが、腹が巻き気味で少し細いかも。テンションの高さは変わらず。歩様は幾らかマシになった。ゲートは出ているが、押しても進んで行かず後方から。道中はずっと内外前に馬が居て、動くに動けない展開だったことも有るが、それ以上にこの馬自身の手応えも悪く、4角を回り切って各馬が居なくなってから外へ。マトモなら届かない形だが、今日はマリアエレーナがブッちぎってくれたことで好位勢が追っ掛けバテの様な形となり、2着浮上。今日の内容だけをいえば高い評価はし辛いが、去勢初っ端としては収穫が有った。このズブさが続くなら、もう少し距離を延ばしてもいいかも。

ジェラルディーナ

+6kg。イレ込むのは毎度だが、今日はまだマシな方。ただ、その分なのか、今日は馬が少し緩く映った。これもゲートは出ていたが、馬にも鞍上に行く気がなく、後方に近い位置。道中の行き振りは悪くなかったが、今日は4角で馬群を捌けなかったのが全て。昼間に雨が降った関係で外を狙ったのこと自体は間違いではないが、ヒンドゥタイムズが壁になって、ワンテンポ仕掛けが遅れてしまった。ただ、最後はハナ差。ヒンドゥタイムズがオープン特別でやっとの馬ということを考えると物足りなさが残る。

カテドラル

パシュファイヤー。前走も気配は良かったが、今日もそのまま。マイラー体型では有るが、馬体の迫力も維持していた。ゲートをヨレ気味に出て、出脚が鈍り後方。前走同様、最初から内目へ寄せていた。ずっと走っていなかった2000mだが、道中の折り合いも付いていた。ただ、これも内目に居たことで4角で捌き損ねたのが痛かった。ヒンドゥタイムズやジェラルディーナの前が開いてから捌いている様では話にならない。距離云々も、もう少し早目に動いて何処迄踏ん張れるかを確認したかったところ。参考外。

ピースオブエイト

ダービー以来だが、馬体はほぼ出来ていた。ただ、基本的には寸が詰まったマイラー体型。歩様も少し窮屈。スタート直後に外のシフルマンに寄られたことも有るが、ハナへ行く気はなかった様で中段やや前で折り合いに専念する形。暴走気味だったダービーを考えれば、スムーズに追走出来ていたが、いざ追ってからが案外。前述した様に2〜4着が競馬を失敗しているだけに尚のこと評価が下がる。体型から距離が長いのか...。