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競馬回顧 2022年2回新潟

第14回レパードステークス(GⅢ)

カフジオクタゴン

546kgと、このメンバーでは抜けた大型馬。その分、迫力が有るということもいえるのだが、もう少し締める部分も有りそう。歩様は力強い。ゲートは五分に出ているが、序盤は無理せず中段やや後方。縦の位置取りよりも、まず内へ潜りに行く形。ペースが落ちた2角辺りから徐々に番手を上げ、3角でタイセイドレフォンの直後。4角が曲がり切れずに過怠金50,000万円を取られていたが、それでも直線はしっかりした脚取りで、タイセイドレフォンとの一騎打ちを制した。今日の様な消耗戦だと馬格の違いも利いただろうが、レース運びとしては明らかにタイセイドレフォンの方がスムーズで、最後は鞍上の腕っぷしもモノをいった印象。短期免許としては初来日の鞍上にとって、いい自信になったのでは?

タイセイドレフォン

+12kg。数字程、太い印象はなく、ほぼ実になった印象。一歩一歩がしっかりしており、下見では目立っていた1頭。好発。出脚も負けていなかったが、徹底先行タイプが多く、それらに行かせて3列目、全体で6番手辺りから。前半1000m通過が60.5秒だが、2F目が10.7秒。道中はまだしも、序盤が速く、結果的に序盤の先行争いを避けたのが正解。3角で一列分、番手を上げ、4角で外へ持ち出して、ラスト300mで先頭。その段階でカフジオクタゴンも迫っていたが、追い比べで僅かに見劣って2着止まり。道中は完璧に運んでいたが、直線で左手前のままだったのが悔やまれるところ。ただ、競馬は器用。古馬相手でも有望。

ハピ

前後肢にバンテージ。ダート馬としては軽い造りだが、皮膚を薄く見せて、見栄えがするタイプ。手先のスナップも利いていた。今日はゲート五分。出脚は速い方ではないが、今日は序盤をスムーズに捌いた方で中段やや後方から。これも向正面で少し番手を上げて中段辺り。この時点で前の人気馬は射程圏に捉えていたが、4角でカフジオクタゴンに弾かれる不利。最後は猛追したが、この馬自身も外へモタれていたことも有り、僅かに届かず。トビの大きい馬で、何時もスケールを感じさせる馬だが、前走大井戦もそうだった様に、出脚がないので序盤の位置取りに苦労することが多いのがネック。

ビヨンドザファザー

500kgの馬としてはスッキリ見せている方。ダートを走るならもう少しトモに迫力がが欲しい。ただ、歩様は悪くなく、気配に乏しいのは何時ものこと。ゲートは一応五分に出たといえる範疇だが、鞍上に行く気がなく後方。まず内ラチに寄せてからレースを組み立てる形だったが、向正面でペースが落ちたことも有り、馬群が密集して3角から外を回しての追い上げ。ただ、4角でカフジオクタゴンを起点として、他馬が飛んで来た為、大きく弾かれたのが痛恨だった。3着とは5馬身差有り、マトモだった時に何処迄差が詰まっていたかは未知数なのだが、最後にホウオウルーレットを競り落とした根性は評価出来る。差し一手でも、1000万は楽勝、準オープンでも好勝負可能。

ホウオウルーレット

前後肢にバンテージ。ゆったり構えて、馬にケチを付けるところはない。迫力満点の馬体に加え、歩様もパワフル。ゲートは決めた方だが、鞍上に行く気がなく中段やや後方。前述した様に、今日のハイペースを考えればこれはこれ。道中の行き振りも鞍上の話程、悪くない様に見えた。これも4角で例の不利を食らっているが、この時点でビヨンドザファザーよりは1馬身前。直線に向き切ってからも、一瞬はいい脚で伸びているのだが、最後に甘くなってビヨンドザファザーに掴まった。トビが大きく、これも素質を感じさせる馬だが、逃げて直線サッパリだった今春中山戦の様に、淡泊な一面が有る。

第27回エルムステークス(GⅢ)

フルデプスリーダー

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。馬体は前走函館戦からスッキリ出来ており、高値安定。例に依って、ダート馬としてはバネを感じさせる歩様。半馬身出遅れも、外枠の馬に行く気がなく、立て直しが利いて少しでも内へ潜りつつ中段。行ける限り、馬群を捌きながら前へ行き、4角手前で内からも前からも2列目。ウェルドーンが抜けたところを通って、オメガレインボーと一緒に進出。そのオメガレインボーをラスト100mで競り落とし、最後の最後にウェルドーンを捕まえて、重賞初制覇。今日は何時も程、手応えが悪かった訳ではないが、基本的には追わせて勝負根性を生かすタイプの馬。追い比べに持ち込めたのが最大の勝因。ただ、今日はまだマシだったが、ゲートがアテにならない。如何にスムーズに運べるかが鍵となる。

ウェルドーン

前後肢にバンテージ。休み明けで大幅馬体増だった前走函館戦もそれなりに出来ていたが、叩いて順当に良化。歩様も含めて、大分シャキッとした印象。ゲートはアイオライトの方が圧倒的に速かったが、少し仕掛けただけで出脚が付き、そのアイオライトの2番手。道中は掛かり気味に近い手応えで、ずっと引っ張り切り。持ったままで3〜4角中間から前へ並び掛け、4角で先頭。この時点では楽勝ムードだったが、抜け切ってソラを遣ったのか、頭が上がってフワフワしたところをフルデプスリーダーに捕まった。能力では負けていないだけに悔いが残る一戦。競馬としては勝っている。完全復調。

オメガレインボー

遮眼革。シープスキンノーズバンド。スプリント戦だと迫力負けする馬だが、今日の相手ならそこ迄引けを取らない。歩様もこの馬としては悪くない。直ぐ内のアイオライトが好発。この馬はそれと比較すると半馬身程、分が悪かったが、アイオライトに付いて行く形で、その番手から。道中も全く問題はなく、前述した様に4角からフルデプスリーダーと一緒に進出。一旦はそのフルデプスリーダーより前に出ているのだが、ラスト100m辺りから甘くなり、追い比べから脱落して3着止まり。能力的には勝てるだけのモノが有る筈だが、意外と甘かった。近走案外だったが、勢いの差か...。

ブラッディーキッド

遮眼革。脚長の馬で、500kg近い馬体の割にはスカッと見せる方。淡々と歩いていたが、歩様も悪くない。ゲートはオメガレインボーと同程度。一応は五分といえる範疇。道中もそもまま行かせてオメガレインボーと並走する形。3〜4角中間からウェルドーンを被せに行く形で進出。勿論、ウェルドーンも抵抗したのだが、その際に馬が競馬を止めてしまい、ここで4馬身程後退したのが痛恨だった。それでいて最後はクビ+クビ+クビの4着だから、マトモなら勝っていただろう。勝負どころでズブくなるのは毎度のことだが、勿体なさが残る。

ロードレガリス

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。+6kg。前走小倉戦もそれなりに出来ていたが、また馬体増。それでも緩い印象はなく、デキ自体はいいのだろうが、腹回りが少し太く映る。ゲート自体は五分に出ているが、行く気なく後方から。これはこれだが、1角で砂を被ったのを嫌がったか、少し頭を上げる場面。鞍上としてはマクりにでたかったとのことだが、中々進んで行かず、1角同様にキックバックを嫌ったか、ところどころで頭が上がっていた。マトモに伸び出したのは直線に向いて外へ持ち出してからだが、この脚は良かった。広いコース向き。

第70回北海道新聞杯クイーンステークス(GⅢ)

テルツェット

2人曳き。勝った昨年と比較して+10kg。その分の成長は有る。トモがパンとして、数字の割に迫力が有る。歩様も悪くない。ゲートは五分も、出脚が速い方ではなく、ローザノワールが逃げ、ホウオウピースフルが番手に入った3列目のイン。1角でファーストフォリオに体当たりされてしまったが、馬がここで我慢してくれたのが大きかった。道中は只管インで脚を矯め、直線も最内から。前に居たホウオウピースフル、ローザノワールと、この馬の為に開けてくれたかの様に眼前に1頭分だけスペースが出来ており、一瞬の脚を生かして突き抜けた。ただ、それでいてサトノセシルとはハナ差。56kgで勝ち切った点はそれなりの評価が必要だが、微妙な案外感も残る。

サトノセシル

-12kg。元々がこれ位で走っていた馬で、特に細くなった印象はない。小ぢんまりと見せるのは元々。ゲートが微妙に悪く、内外から来られて行き場をなくし出脚が付かず、中段。テルツェットと並走する形。従って、これも1角でファーストフォリオに寄られており、こちらの方が不利としては大きかった様にも見えたが、道中はしっかり折り合いが付き、鞍上も余程手応えが良かったのか、3〜4角中間から一気に仕掛けて直線入り口で4頭雁行の大外。直線に向いてからもジワジワ差を詰め、内でセコい競馬をしていたテルツェットともハナ差と、惜しい2着。昨年3着時より、明らかに内容は上。

ローザノワール

遮眼革。+6kg。数字は増えたが、スッキリとした造り。毛ヅヤの良さも目立った。舌がハミを越していながらも、淡々と歩いていた。出脚はウォーターナビレラが明らかに一番速かったが、ステッキを入れて迄主張してハナへ。ただ、番手グループがガッチリ抑えたことで、ペースが上がらず、1000m通過が61.2秒とスロー。ずっと単騎で運んで、4角は引き付け、直線で突き放す理想的な形に持ち込めたが、突き放し方が思ったよりも甘く、追って一瞬だけ外へヨレたところをテルツェットにスクわれた。結果的にスロー過ぎた気もしないでもないが、最低でも連は確保したかったところ。遮眼革着用の馬で、内外から来られるとどうしても淡白になってしまう。

ルビーカサブランカ

前後肢にバンテージ。馬体重こそ大差はないが、重賞を勝った正月の中京戦と比較すると、馬体の張りが物足りない。歩様にも力強さを欠く。今日はゲート五分。これもテルツェットやサトノセシル同様、道中は中段から。外枠の分、1角で例の不利を食らっていない半面、今日のスローでずっと外を回される形になったのは痛かったか。サトノセシルを目標に動いては行ったが、サトノセシルに付いて行くのがやっとの状態。良く差を詰めているが、道中を含めて、手応えがピリッとしなかった分、届かなかった印象。スローの外枠がそもそも厳しかったが、距離も微妙に短い。

ホウオウピースフル

ジャスト500kgの大型馬だけ有って、流石に見栄えがする。ただ、物見をしていたとはいえ、姿勢が高く、その分だけ歩様に力強さを欠く。躓きかけながらも、好発。内から主張したローザノワールに行かせて、その番手から。道中の折り合いもスムーズで、レース運びとしては完璧だったが、いざ追ってからが甘かった。前走函館戦の内容からもうすこしやれてもいいのだが、もっと時計が掛かった方がいいのか...。

ウォーターナビレラ

中間は攻め量が足りないという話も有ったが、春と比べると緩い印象は有った。落ち着いていたのはいい傾向とはいえ、歩様にも力強さを欠く。出脚は抜群に速く、スッと好位。引っ掛かっていたという程ではないにせよ、壁がなかったことで道中は少し力んでいた様にも見えた。ただ、それにしても直線は全く伸びず、追ってサッパリ。敗因は距離面だけではなさそう。下見通り、デキももうひとつだったか。

サマースプリントシリーズ第3戦 第21回アイビスサマーダッシュ(GⅢ)

ビリーバー

あまり人気はなかったが、寸の詰まったスプリント体型で、幅が有り、下見は結構目立っていた。気配も良かった。ゲートも分が悪かったが、出脚も速い方ではなく、8枠3頭の中では最後方。全体でもかなり後ろの方。400m地点では前が完全に塞がっていたが、レジェーロを脚の違いで弾いて進路を確保。ラスト200mの伸び比べを制した。結果論だが、内ラチ沿いへ4頭が行ったことで実質14頭立ての競馬。それ故に例年よりペースが上がらず、決め手勝負になった印象。馬群の捌き易さという点でも実質の頭数減はいい方に向いただろう。人馬共に重賞初制覇だったが、千載一遇のチャンスをモノにした形。ただ、1200m以上ではほぼ着外の馬で、今日はそれ以上ではない。

シンシティ

後肢にバンテージ。+6kg。これも充実した馬体は眼に付いた。鞍下から汗が滴り落ちていたが、気配としては落ち着いていた方。ゲートが抜群という訳ではなかったが、出脚と枠の利でハナへ。直ぐに外ラチ沿いを押さえた。前述した様に、内外に馬群が分かれてペースが想定より上がらなかったのも幸い。ラスト200m迄は先頭だったが、ここからビリーバーとの決め手比べで見劣り2着止まり。今日の展開で勝てないのは頂けない。こちらはダートでも走れるのが救いだが、交流戦を視野に入れるならば、賞金面も勝って上積みしたかったところだろう。

ロードベイリーフ

流石に直千競馬ということを考えると気配に乏しい。ただ、馬体はそれなりに纏まっていて、歩様もこの馬としては悪くない。出脚が速くなかったことも有るが、スタート直後から外へ寄せて馬群を捌きながらここ迄。鞍上の話では馬群の方が集中力が保てるとのことだが、これも決め手勝負の競馬で、上手く脚を矯められたのが好走の要因。ただ、こちらは1200mでもソコソコ走れるタイプ。前走小倉戦もそれなりに差を詰めていたが、ズボズボの展開になれば馬券圏内迄有る馬。

レジェーロ

前肢にバンテージ。424kgと数字のない馬だが、トモが張って良く出来ていた。歩様もスムーズで、下見からケチを付けるところはない。シンシティには出脚の違いで叩かれたが、その番手から。競馬としては上手く行っているが、ラスト300m辺りで1頭分だけ内へ入れて、追撃態勢を取ろうとしたところで、ビリーバーに間を割って入られ、そこからは内へモタれて伸びあぐねた。戦前から力不足は明白だったが、今日の競馬でこれだと相当厳しい。

スティクス

前走小倉戦からは良くも悪くも平行線。馬体の張りという点で多少甘い気もするが、歩様は落ちていない。ゲートは五分程度だったが、押して内ラチ沿いへ寄せてハナへ。内外が離れていて分かり辛いが、600m地点辺り迄はシンシティよりも前に居た様に見えた。ただ、後続がもう少し付いて来てくれていればまた違ったのだが、誰も交わせず、内に居た4頭の中では結果的にこの馬が最先着。これで負けたら仕方がないところ。実質的にはほぼ勝ち馬。昨年の覇者、オールアットワンスを凌いだ点は特に高く評価したい。