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競馬回顧 2022年5回阪神

第67回京阪杯(GⅢ)

トウシンマカオ

前後肢にバンテージ。454kgの3歳馬だが、ここでも馬は負けていない。首を下げ気味に集中して歩けていた点も好感。歩様もスムーズ。好発。出脚も速かったが、外枠だけに無理せず好位から。丁度バラけた位置でコースロスを最小限に留めつつ揉まれずと、理想的な競馬が出来た。4角でほぼ楽勝の手応えだったが、追い出しを待てるだけ待って、1頭だけ違う脚で突き抜けた。文句なしの勝ち振り。1400mに使ったことも有ったが、微妙に頭が高いので1200mの方が合っている。来春の最大目標となる中京戦はその頭の高さが気にならないでもないが、有力馬の1頭。

キルロード

遮眼革。前肢にバンテージ。数字は増減ないが、結構絞り込まれていた様に見えた。気配も良さそう。好発。出脚も速く、まず内の馬を叩いてハナへ。ただ、ビアンフェが死ぬ気て行って、3角で2番手に一旦控える形。それでも馬には余裕が有り、4角手前から並び掛けて行って直線入口で先頭。直後に居た組は全て突き放しているのだが、トウシンマカオにあの脚を使われては仕方がない。ただこの馬、先行馬の割に登坂力が有るのがいい。今春中京戦も惜しい競馬だったが、今のスプリント路線なら展開ひとつ。

スマートクラージュ

+8kg。短距離馬としては元々が細身に見せるタイプで、この馬体増はいい傾向。歩様が力強いのは何時も通り。スタート直後にテイエムスパーダと接触して馬が怒った様で、掛かり気味に先行。暴走するという程ではないが、ずっと力んでいる様に見えた。4角でキルロードの直後迄押し上げ、態勢は造ったが、坂が上れず3着止まり。とはいえ、力は示した内容。休養前の中山戦も道中でブツけられて悲惨なことになっており、ツキがない点が気にならないでもないが、その内重賞は勝てる馬。

マリアズハート

パシュファイヤー。テンションが高いのは毎度。数字通りドッシリ見せて、馬体は良く出来ていた。この馬としては出た方だが、ゲートが怪しく後方に近い位置。Bコース替わり初週のインでジックリ構えていたことも有り、4角の手応えには余裕が有った。それだけにもう少し伸びても良かったが、直線に向いてライトオンキューの内外で迷ったのは少し痛かったにせよ、手応え程の脚は使えなかった。オープンに上がってから1200mで勝てていない様に、新潟直線1000mがベスト。

ライトオンキュー

-8kg。最近は休み休み使われているが、前走函館戦が太かった。まだ少し緩い気もしないでもないが、その点で一応は前走以上。歩様も悪くない。58kgを背負って出脚には悪影響が有ったが、それでもゲートを決めて好位は確保。流れにも乗れて、自分の力は出し切っているが、58kgだけに馬券圏内迄届かなかったのは仕方がないところ。この馬自身ももう少し時計が掛かってくれた方が合っている。

テイエムスパーダ

前後肢にバンテージ。何時もより多少歩様が硬いが、許容範囲。牝馬としてはドッシリ見せる点も好印象。例に依って一完歩目が遅かった上に、両サイドの馬と接触。今日も行き切れずに好位から。見た目にはスムーズに走れている様に見えたが、この形だと追ってからの良さがない。まだ斤量が軽いので踏ん張れているが、それでも掲示板ですら中々難しい。もう少しゲートをマトモに出ないことには。

ジャパン・オータムインターナショナル ロンジン賞 第42回ジャパンカップ(GⅠ)

ヴェラアズール

前走阪神戦と比較して、馬体自体は大して変わらないが、今日の方が気配が有った。その分、歩様も伸びやか。ゲートが出ないのは毎度だが、少し押して中段。掛かりそうにはなっていたが、この辺りは如何にも外国人ジョッキーという乗り方。道中も内外前に馬が居て楽な形ではないのだが、只管ジッとして直線勝負。その直線も1頭分もない様なところを縫う様にコジ開けて来た。何か一つ失敗していたら馬券圏内もなかっただろう。前述した様に、前走より馬が良くなっていたことも大きいだろうが、まずは鞍上を称えたいところ。中山戦目標とのことだが、過信は出来ない。

シャフリヤール

2人曳き。-6kg。前走が太かっただけに絞れたのはいい傾向。数字を考えたら迫力は充分。歩様もしっかりしていた。ゲートは五分に出たが、こちらは枠が遠く、後方から。鞍上は何処かで内へ入れたかった様だが、ペースが遅く馬群が固まり気味だったことも有って、結局ずっと外と回されて直線も外から。楽な競馬ではなかったが、追っての反応は素晴らしく、一瞬は突き抜けたかの脚だったが、ラスト150mで左手前になって内へモタれて甘くなった。今日の内容だけをいえば距離が長いということになるが、前走は前走で少しズブい部分も有った。ハマればいいが、乗り方に工夫が要る。

ヴェルトライゼンデ

叩いて馬体は良くなった。皮膚を薄く見せて、意外に良く見せた。エビの経験も有る馬だが、歩様も結構しっかりしていた。ゲートも決まったが、この馬の出脚で好位から。1角迄は少し行きたがっていたが、そこからはスムーズ。直線に向いて一瞬の反応がなく、これもコジ開ける様な形になったが、一旦は先頭に立ち、やったかの場面。そこからは上位2頭の決め手が勝ったが、見せ場タップリの内容。前々走阪神戦が少し強い競馬だったとはいえ、これ迄はGⅡもままならなかった馬。戦前に述べた様に、少し今年はレベルが低かったと言わざるを得ない。

デアリングタクト

前肢にバンテージ。中1週だけに状態面を案じるところだが、一応は前走阪神戦から平行線といえる範囲。歩様の硬さも気にならなかった。スタート直後から結構押していたが、それでも他馬の方が出脚が速く、中段やや後方から。前走は揉まれ込んで案外だったが、今日も馬群の中。どうかと思っていたが、直線は一瞬、勝ったかの脚色。シャフリヤールの斜行で手綱を引っ張り、立て直す場面が有ったのが痛かった。マトモなら最低3着は有っただろう。着差が着差だけに惜しい。やはりこの馬は強い。強いていえば3〜4角辺りの手応えが悪かったが、これは何時ものこと。この点から、ベストは東京。他場だと上がりが掛かる展開になってくれた方がいいのだろう。

ダノンベルーガ

2人曳き。増減こそないが、馬体が締まって来た。ただ、今日はテンションが高い。歩様も左右バラバラなのが気になった。ゲート五分、外から急かさず、この馬の出脚で中段から。外でも道中の折り合いは全く問題なかった。4角を少し早目に動いて、その分だけ直線に向いてからも勢いが有り、ラスト250mで一旦は先頭に立っているのだが、例に依って内にモタれて甘くなってしまった。ラスト100mで手綱を引っ張る場面は有ったが、この時点で既に脚は残っておらず、完敗の5着。戦毎回お馴染みの癖だが、これが中々直らない。

第9回ラジオNIKKEI杯京都2歳ステークス(GⅢ)

グリューネグリーン

パシュファイヤー。馬体に大物感はないが、現時点での完成度が高い。少しチャカついており、如何にも仕上がり早といったタイプ。一完歩目はむしろ分が悪い方だったが、二の脚が速く、楽にハナへ。基本的には単騎で行けたが、2角でビキニボーイが掛かり気味に来ても主張。そこ迄楽な形ではなかったが、4角手前から後続を待たずに突き放しに行って、直線は外へモタれて制裁の対象になりながらもアタマ差だけ踏ん張り切った。まだレース内容には問題が有るが、今日は根性一本で勝った様な内容。連続でこの芸当が出来るとも思えず、評価が難しい。グランヴィノスがもう少しマトモに走ってくれればまだ物差しになったのだが...。

トップナイフ

+6kg。490kgでもまだ細身に映る馬で、この馬体増は好印象。歩様にもキレが有り、競走馬として良く出来ている。好発。出脚も有りそうだが、無理はせず中段の内目で折り合いに専念。向正面で外へ出すタイミングも有ったが、道中はずっと内から。ただ、これが結果的に良かったかどうかは微妙なところ。4角でゴチャついてビキニボーイと接触する場面も有った一方で、ガラ空きの内目から良く伸びて惜しい2着。スムーズなら勝っていたと鞍上が嘆くのも無理はないところ。GⅠ級相手に通用するとは思えないが、いい決め手が有る。ローカル重賞程度なら末永く稼げる筈。

ヴェルテンベルク

+4kg。胴が長い馬で、484kgの馬としてはまだ細身。まだ全体に力が付き切っていない様な造りだが、歩様は悪くないので素質は有りそう。ゲートをポコンと出て、出脚が付かず後方に近い位置。道中の折り合いは付いていたが、道中も可能な限り、前へ。4角で中段位に居たのだが、ここで内からシュタールヴィントに体当たりを食らったのが痛恨だった。ワンテンポ後手に回ったところから、最後迄諦めずに良く差を詰めていた。ただ、不利を食らった馬が多く、良く分からない部分も多い。次走が試金石。

シュタールヴィント

寸が詰まって小ぢんまりとした造り。太い印象はなく、出来てはいたが、歩様が硬いのが気になった。昔のマイラー。ゲートを決めて、スッと2番手。前述した様に、4角で不利を食らった馬が多い中、4角手前で他馬を弾いて加害馬の1頭となっていたが、逆に直線ではグリューネグリーンが外へヨレ気味になり、その影響でスマラグドスと接触する場面。それでも他馬と比べたら不利は軽微で、最後に甘くなったのは現状の力量差だろう。鞍上は距離を言い訳ににしていたが、新馬の内容から距離は保つ筈。

ナイトキャッスル

毛ヅヤは冴えていたが、腹回りはもうひと絞り有っても良さそう。それでも歩様に推進力が有り、馬は見栄えがする。好発。そのまま馬の気に任せてジワッと先行。4角も不利を食らわずに回って来れたが、直線は大して伸びなかった。前走は1800mのオープンで2着だったが、今日は案外。まだ一枚重たい影響も有るだろうが、距離も少し長いのかも。

グランヴィノス

前肢にバンテージ。このメンバーでも馬の迫力は断然。ただ、如何せん馬が緩い。トモの送りも緩慢。前走はズブい位の印象だったが、今日は最初から結構行きたがっており、鞍上が必死で引っ張って中段から。向正面で折り合いは付き、4角のアクシデントも大したことはなかったが、直線は雪崩込んだだけだった。まだ馬が若い。

ジャパン・オータムインターナショナル 第39回マイルチャンピオンシップ(GⅠ)

セリフォス

遮眼革。前後肢にバンテージ。相変わらず古馬相手でも馬は目立つ。前走東京戦同様、気配も文句なし。今日もゲートは後手。意図的に下げた前走と違って、位置取りは鞍上の意識に有った様だが、揉まれて頭を上げそうになっており、結局は後方から。外を回った分、4角でも最後方だったが、道中でロスが有ったことを意識してか、追い出しを待てるだけ待ち、手が動いたのは内外の合流地点から。坂を上って右手前になっていたが、それでも最後は1馬身1/4差。鮮やかだった。この競馬が向いているとは思えないのだが、ゲートが悪いのでこの形を採らざるを得ない中でGⅠを勝つのだから馬が強いという外ない。ただ、戦前に述べた様に、メンバーレベルの問題は有る。取り敢えず年内は休養とのことだが、王者として認められる為には海外で勝ちたいところ。

ダノンザキッド

2人曳き。GⅠということで関係者が下見所の中に居たが、前走東京戦と比較しても堪えが利いていた。歩様も力強さが有って、馬体も充実。好発も、油断すると引っ掛かる馬で最初から行く気なく中段から。ソダシを前に置いて丁度いい形になったが、それでも鞍上が懸命に引っ張っていた。この手の馬に内枠は良し悪し有るところだが、集中力を維持するという点で結果的にいい方に向いた印象。坂下でホウオウアマゾンとソダシの間で狭くなったが、コジ開ける様にしてここ迄。前走が案外だった様にアテには出来ないのだが、流石に力は持っている。今後も馬の気分ひとつ。

ソダシ

例に依って白毛で分かり辛いが、馬体は太目感もなく、これで良さそう。ただ、今日は歩様が少し硬い。本来は出脚は有る筈だが、2000mや1800mの後ということも有ってか、他馬の方が速く、好位5番手辺りから。向正面でファルコニアが外から上がって際に少し連られたが、あとはスムーズ。トビが大きいので揉まれない位置で運べたのも何よりだっただろう。坂を上り切って先頭に立つイメージで追われたが、追い出してどうもジリジリ。先頭に立つ前に両サイドからやられていた。要は瞬発力の差ということになるが、前走東京戦以上に見栄えが悪い。戦前から歩様の悪さが気になっていたが、デキが本当ではなかったかも。

ソウルラッシュ

+4kg。僅かでも数字は増えたが、前走東京戦より馬体が締まった印象。手先のスナップも利いて、前走以上の状態。前走東京戦程ではないが、ゲート五分。といっても出脚は速い方ではなく、少し出して中段から。今春に当地で重賞を勝った時のイメージとは違い、今日は素直に外を回して勝ちに行く競馬。伸びてはいるが、いい時の脚が使えなかった。やはり今春の様に矯めるだけ矯めた方がいいのかも。意外と人気にならないこの馬としては結構売れていたが、人気が落ちた時の方が思い切って乗れる分、良さそう。

シュネルマイスター

+4kg。前走中山戦もボテッと映った。この馬体増は頂けない。歩様,気配等、あとの部分は悪くなかっただけに勿体ない。ゲートを五分に出て、出たなりで急かさず中段から。前走は1200m故に流れに乗れていなかったが、今日は外から他馬のプレッシャーが有った以外はスムーズ。直線に向いてから、前にソウルラッシュ、外にエアロロノアが居て、進路がなかったことも有ったが、コジ開けてからも伸び案外だった。鞍上は馬場状態を言い訳にしていたが、一枚重い分も響いただろう。厩舎技量に疑問符が付く負け方。

サリオス

-4kg。数字の割にスカッと見せるのは前走東京戦同様。歩様に硬さもなく、下見からは減点材料はない。ゲートも微妙に悪かったが、開いてからも進んで行かず後方から。道中はセリフォスを左後方に置く形。今日の展開ならこの位置でも問題はなかった筈だが、いざ追ってサッパリだった。苦し紛れに内を突いて余計にキツくなったことも有るが、今日は全く走っていない。2歳時には阪神でGⅠを勝っているが、今日の負け方はコース相性や輸送の問題も有りそう。西下すると明らかにパフォーマンスが落ちている。

第27回東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅡ)

ガストリック

-6kg。数字分だけ締まった印象。皮膚を薄く見せて、現状のデキ自体がいい。ただ、510kgの馬としては寸が詰まったマイラー体型。ゲートで安目を売って後方のイン。鞍上も慌てる様子はなく、そのままジックリと。道中は外に馬は居たが、前とは少し距離が有り、リラックスして運べた。3〜4角中間で少し番手を上げ、直線も内目から。一瞬は外のダノンザタイガーの方が勢いが有った様に見えたが、最後迄ジリジリ伸びた印象。瞬発力で勝ったというより、持続力と根性がモノをいった形。ただ、大物感がなく、クラシック路線で何処迄やれるか微妙。来春迄は何とかなる筈だが...。

ダノンザタイガー

シープスキンノーズバンド。+12kg。丁度500kgだが、見た目には馬が薄い。歩様も伸びやかでは有るが、力強さに欠く。半馬身程、出遅れたが、出して行って中段から。位置取りをリカバーする出脚は速かったが、道中は1000m通過58.9秒と少し流れたことも有って、オッツケる場面も有った。基本的には正攻法で乗られたが、その分だけ外を回った印象も有り、最後はその差が出た格好。ただ、道中から少し頭が高い。追い出してからも大して変わっていない割には最後迄伸びており、素質は相当高いのだろうが、現状は成長待ち。

ハーツコンチェルト

前肢にバンテージ。+6kg。気合は乗っていたが、馬体全体のメリハリがない。ただ、歩様は今日のメンバーではしっかりした方。出遅れ2馬身不利。そのまま最後方から。3角手前で少し番手を上げ、ダノンザタイガーの直後。ただ、ダノンザタイガーが外を回ったことも有り、更にその外。今日の展開でこれだけコースロスが有ると届かないのは致し方ないところ。ダノンザタイガーとは直線入口での位置取りの差だけで、脚色としてはほぼ一緒だった。戦前は新馬の着差を買われて人気になっていたが、不利を挽回するだけの破壊力はなかったということ。次走は中山戦目標とのことだが、まずはゲートを五分に出たい。

ドゥラエレーデ

-4kg。前後肢にバンテージ。どちらかといえば前駆が勝った体型。腹回りも少しボテッとしていたが、その割にトモが薄い。歩様もまだ甘い。好発。出脚も速く、ジワッと先行。ただ、ペース自体が速かった訳ではないにせよ、シルトホルンと2頭並走で逃げる格好。息が入れ辛い展開になってしまった。直線に向いてから暫くは頑張っていたが、ラスト300mで左手前になって脱落。工夫次第で馬券圏内有った競馬。未勝利からの参戦だったが、500万は通用する筈。

フェイト

+8kg。トモにボリューム感が有って、素質は高そうだが、歩様に芯が入っていない印象。一言でいえば完成度が低い。ゲートを決め、出脚も決して負けていなかったが、無理せず中段。前とは距離を取り、いい位置で流れに乗れた。直線に向いてダノンザタイガーの1馬身前方。充分届く位置だったが、いざ追ってから天井を向いてしまい伸び案外。下見通り、まだ馬が若い。現時点では成長待ち。

ジャパン・オータムインターナショナル 第47回エリザベス女王杯(GⅠ)

ジェラルディーナ

+6kg。デビュー以来、最高体重。明らかに馬が分厚くなった。ただ、下見所の中に関係者が居たことも有ったか、前走中山戦と違って今日は何時も通りのイレ込み。ゲートでアオって出脚が鈍ったが、行く気もなく後方から。最近は少しズブい印象も有ったが、今日は行き振りが良く、外から流れに乗れた。道悪になったことで外枠の不利が消え、今日は只管外を回る形。2角過ぎに少し番手を上げ。4角で中段に取り付き、直線入口で好位。坂下で先行するウインマリリンを捕まえると、最後迄伸びてGⅠ初制覇。道悪は良くも悪くもなかった筈だが、前述した様に外枠の不利が消えたのは大きかっただろう。勿論、この馬自身も力を付けていた。ただ、牡馬相手だとGⅡ級。マイルが走れず、レースの選択肢が限られる点はネック。

ウインマリリン

下見だけパシュファイヤー。-8kg。前走札幌戦が一枚重い状態で、キッチリ絞って来た。見た目にも大分スッキリしたが、歩様も滑らか。ゲートは五分。外のウインマイティーの方が出脚が速く、内へ寄せて来ていたが、抵抗しながら中段。馬場のいい外を回っていたことも有ったが、道悪も得意な様で、道中の行き振りも良かった。4角手前からウインマイティーに付いて行く形で進出し、坂下で先頭。坂を上り切れず、最後は同着となったが、惜しい2着。一時不振に陥っていたが、前走でキッカケを掴み、完全復活といえる内容。コーナーで動ける脚が有るので、小回りの方が得意。

ライラック

+6kg。例に依って数字の割に良く出来ている。一歩一歩がしっかりしていて、体幹が強そうなタイプ。外からウインマイティーに来られたことも有るが、例に依って行く気もなく後方からジックリと。掛かったことも有り、前走が思いの外動けずどうかと思っていたが、今日は途中で外から動いた馬が多く、ジェラルディーナにに付いて行く形が取れた。直線に向いて暫く右手前だったが、坂下で左手前に替えると重心が下がって一瞬の脚を生かしてここ迄。アテにはし辛い面も有るが、前々走中山戦の脚は本物だった。道悪をこなしたのも収穫。牡馬相手でもこの決め手が有れば通用する筈。

アカイイト

-4kg。昨年も下見は良く見せたが、今年も馬体はほぼ一緒。迫力はないが、バランスの取れた造り。ただ、今年の方が歩様にバラツキが有った。ゲートでアオって最後方から。これ自体は今に始まったことではないが、コーナーで動いた昨年と違って、今日は鞍上に動く意思がなく消極的に乗ったのが失敗。もっと積極的に乗るべきだった。回り脚が身上の馬だけに、尚のこと持ち味を殺した感が有る。立ち回りひとつで、少なくとも馬券圏内は有った。

ナミュール

+2kg。兎に角、減らなかったのが何より。物見をして、ノンビリ歩けていた点も好印象。歩様も悪くはない。これもゲートでアオったが、最後方からの競馬は避けたかった様で、中段を取りに行く形。結果的にマトモに揉まれ込む形になってしまった。スタート直後のホームストレッチに限らず、ところどころで他馬と接触していた。ガサがないだけに余計に苦しかっただろう。ただ、それでも最後迄頑張っている。中々GⅠに手が届かないが、勝てるだけの力は持っている。

デアリングタクト

前後肢にバンテージ。前走中山戦と比較すると歩様は少し硬目。それでも、馬体をスッキリと見せて、デキは悪くなかった筈。ゲートは何とか五分に出し、中段のイン。最初は外へ持ち出そうとしていたが、壁が有ってそのまま枠なりに内目を走らせるしかなかった。3角辺り迄はスムーズに走れていた様に見えたが、4角から明らかに走りのバランスが悪くなっており、直線も大して伸びず。外を回っていれば結果は違った筈だが、今日は内枠がアダ。ただ、戦前に述べた様に今日を逃すと勝てるところはない。中1週で東京戦へ向かう様だが、引き際を考える時期に。

スタニングローズ

馬体に関しては前走と大きく変わっていない。毛ヅヤも問題ないが、今日は明らかに歩様が落ちていた。ゲートを決め、この馬の出脚で好位。外にウインマイティーは居たが、前走同様スムーズに運べた方だろう。ただ、3〜4角中間から既に手応えが怪しくなっており、直線は下がる一方だった。戦前懸念した様に距離も微妙に長いのだろうが、前走の反動も有ったか...。

第57回デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)

オールパルフェ

前肢にバンテージ。父リアルスティールとは違って、少しコロンとした体型。現状はまだ緩いが、締まって来れば雄大で見栄えのする馬になりそうな雰囲気が有る。ゲートは少し分が悪く、出脚も最内枠のショーモンが一番速かったが、外からジワッと行かせてハナへ。展開上も単騎だったが、1000m通過59.2秒だから楽に行かせて貰えた。4角で後続を引き付け、直線入口で突き放す形。登坂力も有り、そのまま押し切った。単にスロー逃げただけといえばそうだが、馬場状態を考慮しても時計も優秀で、強さを感じさせた。ゲートさえ五分に出られれば今後も楽しみな存在。

ダノンタッチダウン

+6kg。これも少し馬が緩い。垢抜けた馬体で素質は感じるが、所作全体もネジが一本緩んだ様な印象で、今日は感心しなかった。一完歩目が遅く、そのまま後方から。まだ馬の完成度が低く、流れに乗るのにも手間取っていた。ただ、手先が軽く、明らかに素質は高い走り。4角で外へ持ち出す際にショウナンアレクサが邪魔になり、余計に外を回されているのだが、1頭だけ違う脚だった。GⅠを勝てる馬。次走阪神戦も本命級だが、もう少し馬体の成長は必要。必要以上に人気を背負う様だと嫌ってみてもいいかも。

ショーモン

前後肢にバンテージ。+8kg。これでもまだスカッと見せる。500kgを超えてもいい位。落ち着いていた点も好印象。最内枠からゲートを決め、出脚も速く一旦はハナに立ったが、外からオールパルフェが来て2番手で折り合いを付ける形。基本的にはスムーズに走れていたが、3角手前で少し行きたがっていた。4角で前のオールパルフェに並び掛けて行ったが、直線入口で突き放され、その差が最後迄詰まらなかった。スケールの有る馬でトビの大きい走法でも有るが、明らかに回転数が足りない。現状は決め手に欠く。

シルヴァーデューク

スケールでは上の馬も居たが、456kgの馬としてはそれなりに良く出来ている。腹は薄いが、トモに厚みが有って、歩様も力強い。好発を切って好位。上手くインへ入れて、4角でオールパルフェの直後。セコい競馬が出来た。ただ、坂を上り始めたところで右手前になり、そこからは雪崩込んだだけ。現状は登坂力や末脚の持続性に課題が有る。前走東京戦も同じ話になるが、要は鍛錬不足。

クルゼイロドスル

2人曳き。前後肢にバンテージ。堪えてはいたが、2歳馬としては少し気合が乗り過ぎ。ただ、馬体はシャープで、完成度が高い。ゲート五分。外から来た馬も居たが、上手くやり過ごして好位を確保。折り合っている場面も有ったが、ショーモン同様、3角で引っ掛かったのは痛かったか。直線入口でショーモンの1馬身後方。そこから伸びてもいないが、離された訳でもなく、脚色一緒だった。フォームはしっかりした馬で先々は走って来そうだが、現状だと500万も怪しい。

第27回東京中日スポーツ杯武蔵野ステークス(GⅢ)

ギルデッドミラー

前後肢にバンテージ。-6kg。もう少し腹回りがスッキリしてもいいが、ダートならこれで許容範囲。歩様も少し硬さを感じたが、これもダートなら。今日は好発。意外と出脚が付かず、芝の部分で少し押して好位。ただその分、ダートに入って行きたがっていた。ダートに転向してこれで3戦目だが、ダートの経験が少ない馬は如何に砂を被らないかがポイントで、今日はその点では失敗だった方。内,外,前と馬が居て、しかも道中で引っ掛かっている状態だけに、直線に向いてからの手応えが怪しかったが、前が開いて暫くするとエンジンが掛かり、一追い毎に伸びて最後はクビ差。鞍上には反省すべき点は有るが、そこを馬が助けた格好。今日のメンバーだとレベル面で疑問符が付くのだが、賞金を加算出来たのは何より。今後は来年迄待機して東京戦目標とのことだが、圏内の1頭に。

レモンポップ

前後肢にバンテージ。518kgの数字通り、雄大な馬体。ダート馬としては伸びやかな歩様。集中力も有り、下見からはケチを付けるところがない。バスラットレオンとは出脚が1馬身違ったが、それでも楽に2番手グループの外。砂を被らず、揉まれることもなく、絶好の位置で競馬が出来た。直線に向いて、相手もバスラットレオン1頭と決めて、捕まえてはいるのだが、外からギルデッドミラーに差されて2着止まり。追ってから珍しく内にモタれていたが、最後がクビ差だけに今日は勝てる競馬を落とした感が有る。鞍上の話では「中1週が微妙に応えたかも」との話だが、これ迄4連勝で来ていただけに勢いが止まったのが今後に影響しなければいいが...。

バスラットレオン

海外遠征帰りだが、皮膚を薄く見せてデキは良さそう。馬体もキッチリ出来ていた。元来が芝馬だけ有って、歩様もスムーズ。ゲートは五分も、注文を付けてハナ。気性的に前向きで、勝手に自分のペースで走るタイプだが、今日も1000m通過60.1秒と理想的なペース。ずっと単騎で運んで、ラスト200mでもまだ2馬身のリード。最後は58kgがキツかったというところだろうが、見せ場充分の3着。強いていえば、前向き過ぎるが故に息が入っていない様に見える。尤も、この部分もこの馬の個性だけに今日はこれで仕方がない。

スマッシングハーツ

前後肢にバンテージ。下見は最後方を周回していたが、気負うこともなく、落ち着いていた。510kgの割に馬は薄いが、歩様は問題ない。本来は先行したかった様だが、ゲートで安目を売って、中段やや後方から。ただ、道中の行き振りは、このペースを考えると少し怪しい様にも見えたが、これも砂を被っていた影響か。実質は競馬が終わった後だったが、直線で外へ持ち出してからは良く伸びている。今日はあくまで位置取りの差。ただ、出遅れは今に始まったことではなく、出脚も含めてどうしても位置取りが悪くなりがち。現状はそこをハネ返すだけの決め手はない。

ハヤブサナンデクン

後肢にバンテージ。歩様は少し硬目。ダートだけに減点材料ではないが、馬体も含めてパッとしない。好発。意外と出脚も速かったが、出して行くことはせず、好位の外。他馬と比較すると、前後の動きが多く、微妙に流れに乗れていない様にも見えた。直線に向いてからも前に追いつく気配はなく、雪崩込んだだけ。ただ、元々長目の距離で使われており、今日はマイル初挑戦だった点を考慮すれば良く走っている方。経験で何とかなる範囲で、次走注目。

第12回みやこステークス(GⅢ)

サンライズホープ

遮眼革。前後肢にバンテージ。気配に乏しいのは何時ものこと。538kgを誇る雄大な馬だが、馬体の張りという点では少し甘い様にも見えた。本来なら先行したい馬だが、スタート直後に躓いて出脚が付かず1馬身不利。以前から試したかったとのことで、そのまま後方から。道中はずっと外を回しており、砂を被らせない様に気分良く走らせることを心掛けていた様に見えた。手応えも良かったのだろうが、3〜4角中間から外を進出して、4角で好位。坂下で先頭に立つと、そのまま頑張り通した。最近は途中で競馬を止めていたとのことだが、トビが大きいタイプで、小細工なしで乗ったのが正解。次走は何とも言えないところだが、一般論として低迷していたダート馬が復活した場合、暫く追い掛けても損はないケースが多い。

ハギノアレグリアス

前走も雰囲気は良かったが、今日も同様。皮膚を薄く見せて、緩んだところが一切ない。キビキビした歩様も好印象。ゲート五分。出脚が速く、外枠でも楽に好位を確保。1角では砂を被るのを嫌がったか、頭を上げる場面も有ったが、前と数馬身距離を取ってからはスムーズ。馬群が切れたことで内目に潜ることも出来たが、結果的に4角で前が壁になり、一瞬待たされる場面。直線で前が開いた段階ではサンライズホープとほぼ同じ位置だったが、勢いが違っていた分の2着。勝てる競馬を落とした感は有る。それでも、斤量差有ったとはいえ、オメガパフュームに先着した点は評価したいところ。

オメガパフューム

シープスキンノーズバンド。オーストラリアンブリンカー。下見は何時も良く見せないタイプ。従って、馬体はこんなモノだが、歩様に関しては何時も程の硬さを感じなかった。一完歩目が遅く、後方からの競馬は毎度だが、今日は特に最後方から。道中はインでジッとして、直線だけ外へ。ただ、この時にアメリカンフェイスは少し邪魔になったか。最後は猛追しているが、僅かに届かなかった。これ迄、阪神4戦4勝だっただけに、勿体ない面は有るが、力は充分示した競馬。次走は得意の大井へ向かうことになるが、当然有力馬の1頭。今春の様に前哨戦を勝ち切って本番が3着で終わるより、少しお釣りを残したと前向きに捉えたい。

ハピ

前後肢にバンテージ。466kgしかないが、スケールの大きさを感じさせる馬。一歩一歩にブレがなく、実にスムーズ。やはり出脚は速い方ではなく、押して何とか中段。内枠に先行した馬が多く、まずインへ潜る形。道中は砂を被っても特に気にしている様な素振りはなかった。4角でハギノアレグリアスの直後に居たことで、この馬も少し待たされながら、直線は狭いところを割って来たが、一瞬はそのハギノアレグリアスに対し前に出たにも関わらず、坂を上り切った辺りで甘くなった。あそこ迄行ったら最低でも連は確保したかったところ。前走中京戦程走れていない。3月からほぼ月1走のペースで使っているが、ちょっとヘバって来たかも。

タイセイドレフォン

-6s。数字分だけスッキリした印象だが、前走新潟戦も太いという程ではなかった。歩様もしっかりしており、ハピ同様、古馬相手でも迫力負けしていない。ハピより出脚は速かったが、そこ迄急かすことなく中段から。ただ、3〜4角中間でヒストリーメイカーのマクりに付き合い、少し脚を使ったのが失敗だった。結果的にヒストリーメイカーだけでなく、サンライズホープにも先を越され、ワンテンポ待たされており、これなら最初から我関せずで待った方が正解だった。直線で右手前のままだったことも有り、最後の一押しが利かず、ここ迄。力は遜色なく、重賞は何れ勝てる馬。

第60回アルゼンチン共和国杯(GⅡ)

ブレークアップ

脚が長くて、踏み込みが深いのがこの馬のいいところ。毛ヅヤは少し落ちて来た様にも見えるが、馬体の張りは悪くない。ゲート五分。少し押しただけで行き脚が付いて、スッと3番手。道中の折り合いも全く問題はなかった。キングオブドラゴンが直線に向いて直ぐ内ラチに接触。近くに居たこの馬も逡巡する場面が有ったが、立て直して大接戦の2着争いを後目に1馬身1/4差の快勝。ああいったアクシデントが有るとハンデが軽い方が有利という側面も有り、評価が難しい部分も有るのだが、競馬は上手いタイプ。かつては逃げないと二束三文だったが、好位からの競馬も出来る様になった点も評価したい。

ハーツイストワール

シープスキンノーズバンド。可動範囲が広く、歩様に伸びが有る。胴体の割にトモが分厚く、下見では結構目立っていた。行けるところ迄行かせるつもりで出していたが、壁も多く頑張ってやっと中段から。少しずつ内へ潜って道中もこの鞍上らしく丁寧に乗られていたが、内へ潜ったことにより、直線入口で例のアクシデントに遭遇。結構強く引っ張っていた。そこから立て直しての2着は立派という以外にない。道中は馬装通り、頭が高いのだが、追い出すと頭が下がる点も好印象。東京で連を外したのは1000万時代の1回のみと兎に角堅実。次走も東京戦とのことだが、入着なら充分狙える。

ヒートオンビート

2人曳き。増減はないが、前走新潟戦の方が雰囲気は良かった。馬体に変化はないが、頭が高く、気負い気味。出脚はハーツイストワールの方が速かったが、ハーツイストワールに対しての壁となり、上手く内へ潜って好位を確保。ただ、元々行きたがる面の有る馬とはいえ、レッドサイオンに外からプレッシャーを掛けられて道中は少し力んでいる様にも見えた。例の件はこれも少し避ける場面が有ったが、ジリジリ最後迄伸びて3着に。ハンデ差を考えればブレークアップと同等の評価が出来る。道中でもう少しリラックスして走れると理想的だが、今日の様なアクシデントが有ると気性が勝ったタイプは強いともいえる。

カントル

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。前のブレークアップと比較すると脚が短いのだが、その分、重心が低い。トモが張って、キビキビ歩けていた。下見と違って走らせると頭が高い馬で、フォームが安定する迄、少し時間がタイプだが、何とか好位。道中は一応我慢して走っていたが、例の不利がないところに居てもいざ追ってからも頭が高い為、どうしても最後に甘くなってしまう。オープンでも競馬は出来るが、勝ち切るには色々条件が整わないと難しい。小回りの方がその確率は高そう。

ラストドラフト

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。今日はいい時のこの馬。所作にキレが有って、馬体も引き締まっていた。例に依って出脚の速い方ではないが、少し押して中段。上手く内へ潜ってセコい競馬が出来た。4角から徐々に外へ持ち出し、この馬も例のアオリを受けていたが、それは他馬も似た様なモノで、最後に甘くなったのは距離だろう。一昨年の2着馬だが、現状のベストは2000mか。何れにしても今季はデキがいい。適性さえ合うところに使えるならまだまだ稼げる。

テーオーロイヤル

前後肢にバンテージ。馬体は締まって前走中山戦より良くなった。毛ヅヤも冴えていたが、歩様が微妙。前々走阪神戦よりはいいのだが...。ハンデは背負っていたが、この馬の出脚で好位のイン。道中の折り合いは全く問題ない馬で、枠を生かして理想的なセコい競馬が出来た。ただ、直線に向いていざアクセルを踏んだところで例の不利。ハンデを背負っている時のストップ&ゴーは他馬よりスタミナの消耗が激しい。今日はこれで仕方がないところ。千載一遇のチャンスだったが...。

第58回京王杯2歳ステークス(GⅡ)

オオバンブルマイ

+8kg。全く人気はなかったが、背丈が低いだけで数字の割に大きく見せて良く出来ていた。歩様もこの数字の割にはしっかりしていた方。ゲートは五分程度だったが、フロムダスクの先行策に乗る形で好位へ。内に居たサイモンオリーブに粘られそうになっていたが、フロムダスクが行き切ってくれたことで、外枠ながら上手く番手に収まる形。道中の折り合いも全く問題はなく、直線に向いて、鞍上はスピードオブライトの内外で迷っていたが、ラスト300mで外を選択すると左手前になりながらもジワジワ加速して1馬身先着。全く人気はなかったが、中々味な競馬。新馬が▲3kg減だったが、422kgの馬が4kg増をこなしたのも立派といえるだろう。次走、マイルに延長して相手強化となると些か苦しい部分も有るだろうが、今週ゴライコウで門別の交流重賞も持って行ったオーナーの相馬眼が何より素晴らしい。

フロムダスク

前後肢にバンテージ。-8kg。数字分だけ、前走中山戦より馬体が締まった印象。メリハリが利いて見栄えがした。ただ、例に依ってテンションは高い。今日はゲートを決め、押してハナへ。押して行った割に600m通過34.6秒、1000m通過57.6秒と、そこ迄速くないペースだったのは、逆説的になるが、この馬にいいスピードが有って単騎で行けたから。ラスト200mで左手前になって苦しくなったが、そこからも二枚腰を使って2着を守り切った。前走中山戦が競馬にならず、人気を落としていたが、この形なら結構強い。マイルでギリギリだろうが、スプリンターとしては有望。ただ、馬質は明らかに牝馬限定の阪神戦の方が良く、レベル的な疑問もない訳ではないが...。

スピードオブライト

前後肢にバンテージ。-6kg。414kgしかなく、減ること自体はいい傾向ではないが、寸詰まりの体型で、見た目には細い印象はない。歩様も許容範囲。ゲートは微妙に悪かったが、出脚が速く、楽に2番手。フロムダスクが主張して譲る形となったが、枠が逆だったら、こちらがハナへ行っていただろう。道中は何とか我慢して走れている様に見えたが、いざ追ってフロムダスクが交わせそうで交わせなかった。最後のひと踏ん張りに馬格差が出た格好。これもいいスピードは有るが、現状だと1200mの方がいい。

ペースセッティング

+10kg。スケールは大きい馬だが、今日の見た目だけをいえば少し緩い。下見所の外を周回して、気配は悪くなかったが。歩様も問題はない。ゲートは五分。序盤は積極的に乗られ、好位グループの内目に居たが、外から寄られて手綱を引っ張る場面。2馬身程のロスが有った。4角の手応えも案外で、今日は苦しいかに見えたが、変にゴチャつくよりはと、外へ持ち出すとジワジワ加速してここ迄。ラスト100mで左手前になって甘くなったが、惜しい競馬。序盤がスムーズなら最低でも馬券圏内は有っただろう。今日のメンバーレベルに疑問は有るが、少なく見積もっても500万は楽勝級。

ヤクシマ

+12kg。芦毛で分かり辛い面は有るが、数字分だけ重い気もしないでもない。歩様も硬さこそないが、伸びがなかった。ゲート五分。出たなりで好位の外目。これも3角手前でペースセッティングと同じ位置に居て、一旦は引かざるを得ない場面。ただ、そこで馬が怒らなかったペースセッティングに対し、こちらは怒ってしまい、頭を上げて行きたがっていた。直線に向いてロンドンプランに一瞬の脚で負けたが、外へ立て直してペースセッティングと一緒に伸びて来たが、道中で力んだ分、最後は完全に止まった。スムーズならと悔やまれる競馬。前走中京戦がオープンで3着と好走していたが、これも500万なら問題ない筈。

第27回KBS京都賞ファンタジーステークス(GⅢ)

リバーラ

前後肢にバンテージ。+14kg。馬体増だが、緩んだ部分もなく、純粋に成長分。寸詰まりのスプリント体型だが、トモが張って良く見せた。歩様に柔らか味が有って、力強いのも好印象。好発。出脚も速く、ほぼ持ったままでハナへ。1000m57.9秒をむしろ宥め気味に行けた。直線に向いても突き放す脚が有り、トビが大きく中々走法もダイナミック。単勝7070円と全くの人気薄だったが、オイデオイデの完勝だった。もう少し時計が速いと尚良かったが、過去のこのレースの勝ち馬としてはレシステンシア級の評価が出来る。尤も、今年は先週の東京戦組が強力。次走へ向け、距離面を考えても微妙な面は有る。

ブドンドール

+6kg。一息入ったが、ほぼ出来ていた。腹回りが少しボテッとしている点も含めて、体型がビッグアーサーに瓜二つ。単純に一回り小さくしただけ。歩様の微妙な窮屈さも一緒。前走函館戦同様、ゲート後手。次走を考慮すると無理は出来ず、そのまま後方からジックリと。早い段階で何時でも動ける外へ持ち出していたが、人気を背負っていた割には追い出しも少し我慢して、純粋に直線だけの競馬。坂を上る際に少し内にモタれて戒告の対象となりながらも、1頭だけ違う脚を使ってここ迄。マイルは走ってみないと何とも言えないところだが、スプリンターとしては上級。

レッドヒルシューズ

前肢にバンテージ。前走の新馬時からそれなりに出来ており、今日もそのまま。迫力はないが、垢抜けた造り。歩様もこんなモノ。ゲート五分。直ぐ外のリバーラの方が出脚が速く、先を越される形となって、一旦引く形。全体では5番手辺りから。1戦1勝の馬だが、前走が出入りの激しい競馬だったことも有ってか、引っ掛かることなく追走出来た。ただ、追ってから一瞬の反応がもうひとつ。坂下辺り迄はモタついている様に見えたが、他馬の脚が鈍って来た登坂中からジワジワ脚伸ばして3着確保。今日の内容だけをいえば、もう少し距離が有った方がいい。500万でも通用する筈だが、2000mだと基本的には牡馬相手。上手く早い段階で賞金を加算したいところ。

トゥーテイルズ

+6kg。良くも悪くもフックラと見せたが、一歩一歩がしっかりしていたのは好印象。馬体はともかく、歩様に関しては1頭だけ目立っていた。ゲートで安目を売ったが、オッツケて中段やや後方。出して行っても引っ掛かるどころか、むしろオッツケ気味に見えたが、その一方で内から馬群を抜けて来る脚が速かった割に坂を上り切れなかった。今日はチグハグ感が強い。恐らく距離を延ばした方がいいのだろうが、基礎体力の向上がまず最優先か。このままだと500万でも通用しない。

サラサハウプリティ

前肢にバンテージ。腹回りは少し薄いが、トモには丸みが有った。踏み込みも悪くなく、下見からそれ程ケチを付けるところはない。ゲートは五分に出たが、鞍上にあまり急かす様子がなく、自然と番手が下がり、後方から。4角迄内目を回って、そこから進路を探す形となったが、迷いに迷って外へ持ち出した際にコスモフーレイと接触。それがなくても3着有ったかどうかといったところだが、全部がスムーズなら際どくなっていた。次走狙い目と迄はいえないが、勿体ない競馬。

アロマデローサ

前肢にバンテージ。馬体はキッチリ出来ていたが、このメンバーに入るとそこ迄目立たない。イレ込んでいたのがマイナス。ゲートは決まったが、中段のバラけた位置で折り合いに専念。道中は全く問題なくスムーズに走れていたが、4角で既に手応えが怪しくなっており、両サイドから挟まれる例の不利を食らった時点では既に脚がなかった。人気を背負っていたが、案外の内容。時計的にも今日は全く走っておらず、次走が試金石。