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競馬回顧 2023年1回中京

第73回東京新聞杯(GⅢ)

ウインカーネリアン

シープスキンノーズバンド。パシュファイヤー。+10kg。デビュー以来、最高体重。ただ、そんなに太い印象はない。骨格のしっかりした馬で、例に依って馬は見栄えがする。歩様の力強さも特筆モノ。前走阪神戦はゲート内で立ち上がって、調教再審査を食らっていたが、今日は大人しかった。それでも、一完歩目はソロッと出した様にも見えたが、そこから押した時の出脚が速く、一瞬でハナ。それでもファルコニアのプレッシャーも有って、今日は一切ペースを落とさず、1000m通過57.1秒とハイペース。楽な形ではなかったが、坂を上り切ってファルコニアを振り切ると、後続の追撃も一杯一杯振り切った。Dコースだけにインが有利だったことも間違いないのだが、とはいえ冬場の1分31秒8は速い。GⅠでも無視は出来ない。

ナミュール

昨春は馬体減に苦しめられたが、昨秋から本格化。もっと増えてもいいのだが、まずは現状維持出来れば問題はない。好発。意外な程、出脚も速く、一切急かさずに好位を確保。いい位置が確保出来たことで、距離損も大外枠としては軽微で済んだ。道中も流れに乗れていたが、マイルの距離が久々でこの時計だったことも有り、一瞬モタついたのが致命傷になってしまった。最後はアタマ差だけに良く差を詰めているが...。ただ、今日の経験で反応は変わって来る筈。次走を何処にするか、迷っていた部分も有っただろうが、これなら今春東京戦が目標に出来る。

プレサージュリフト

+6kg。元々が細身の馬だが、これ位が現状のベストか。少しイラついていた前走中京戦より、落ち着きが有ったのも何より。今日はゲート五分。ただ、前走と違い、外枠だったことも有ってか、出して行かず中段から。結果的にそれなりに外を回されたが、それでも追い出しを待つ余裕も有り、外から良く伸びていた。同じ3着でも前走より遥かに内容がいい。時計勝負になった時の東京で外枠は絶望的に不利なことが多く、これなら今春東京戦でも期待出来るところだったが、残念ながら骨折が判明。千載一遇のチャンスを逃した感も有る。

ジャスティンカフェ

シープスキンノーズバンド。前を歩くウインカーネリアンが目立っていたことも有るが、500kgを超える馬としては迫力の有るタイプではない。ただ、今日は落ち着いていた。歩様も大分良くなった。ゲートが微妙に分が悪く、後方のイン。完璧に折り合っていたという訳でもないが、以前と比較すれば折り合い面も大分スムーズ。セコい競馬は出来たが、いざ追って頭が上がってしまい、いい脚が長く続かない。根本的問題として、1番人気だった割に鞍上も消極的過ぎたが、そういう騎乗にならざるを得ない点も含めて、馬にも問題が有る。重賞でも勝てる力は持っているが、課題が多い。

エアロロノア

−6kg。数字分だけ微妙にスッキリした感は有るが、例に依って馬は見栄えがする。歩様もしっかりしており、デキにケチを付けるところはない。ゲートは出ているが、急かさず後方に近い位置。基本的にはプレサージュリフトの後を追う形。外は回されたが、スムーズに運べた。直線もプレサージュリフトと一緒に伸びて来たが、前を交わせるだけの脚はなかった。堅実だが、重賞だとこんなモノ。前走中京戦の様に噛み合えばいいが、基本的にはワンパンチ足りない馬。

ピンハイ

2人曳き。-6kg。見た目にそこ迄、細い印象はないのだが、減らないに越したことはないところ。少しテンションが高いのもマイナス。ゲートは決めたが、出脚を使わず中段から。道中は折り合っていた様に見えたが、何時もなら使える筈のラスト1Fでの鬼脚がなかった。案外の内容。前走阪神戦も含めて、パフォーマンスが落ちて来ている。ここから盛り返すには、馬体の成長が欲しいところ。

第63回きさらぎ賞 (NHK賞)(GⅢ)

フリームファクシ

2人曳き。レースだと気負うが、下見では落ち着いている。トモにボリューム感が有って、見栄えはするが、まだ全体に緩慢。好発。先々を見据えると、間違ってもハナへ行きたくはなかっただろうが、内のシェイクユアハートと牽制し合っているところへ、レミージュが行ってくれて2番手で我慢させる形。ただ、レミージュを行かせる際に幅寄せを食らったことも有り、かなり力んでいた。4角で待ち切れずに先頭。ただ、馬場のいい真ん中へ出したのが正解。1頭になった際に頭が上がって、ソラを遣う様な感じになっていたが、オープンファイアが来て、最後のひと踏ん張りが有った。力は有るが、とはいえ気性面が心許ない。次走は中山戦ということになりそうだが、噛み合わないと何処にも居ない危険も。

オープンファイア

-6kg。このメンバーだと単純に馬の迫力が一枚抜けている。緩んだところが一切なく、完成度も高い。落ち着きも有った。今日はゲート五分。鞍上に行く気がなく、今日も中段やや後方からジックリと乗られた。ところどころでオッツケる場面も有ったが、1800mよりはレースがし易そうで、一応は流れに乗れていたといえる範囲。4角でフリームファクシが外へ持ち出したことで、前との差も縮まり、この段階で3馬身程度の差だったが、あと一歩届かなかった。ただ、まだ馬が遊び遊び走っている状況だが、本気を出してからのグッと重心が沈んだフォームは間違いなく本物。機動力が来れば大化けしそう。

クールミラボー

オーストラリアンブリンカー。-8kg。良くも悪くもコンパクトに纏まっている。少し煩い点が気にならないでもないが、活気が有ったといえる範囲。頭が上がってしまい、一完歩目が遅かったが、馬がソノ気になっており、労せず中段のイン。ただ、道中の行き振りとなると、少し怪しく、これもオッツケる場面が有った。上位2頭は相手にせず、そのまま内を突いて渋太く脚を伸ばしていた。フォームが安定しない部分が有り、500万楽勝級ともいい辛いが、秘めた素質の一端を示したということはいえそう。馬体の成長さえ有れば相当いいところ迄行ける筈。

ロゼル

2人曳き。胴長でゆったりとした造り。ただ、歩様に伸びが欲しい。手先のスナップは利いていたが、少しトモが甘い。ゲート五分。出たなりで中段から。1角手前でレミージュ接触する場面も有ったが、特に影響はなく、スムーズに運べた。道中はフリームファクシを徹底マーク。その分、この馬の能力を考えると早仕掛けになって最後が甘くなったが、3着も4着も一緒という考え方も有るだろう。これはこれで馬を強くする競馬。徐々に競馬が上手くなって来た点も好印象。500万は勝てる。

レミージュ

少しチャカつく。ロゼルとは対照的に、436kgの割に脚長。その分、寸が詰まって、幅がない体型だが、キリッとしている。出遅れたことも有り、最初はフリームファクシを前に置いて折り合いを付けようとしていたが、抑え切れず暴走気味にハナへ。行き切ってからはスムーズだったが、前述した様にフリームファクシやロゼルと接触する等、操縦性が悪いのは気になった。直線もバタッとは止まっていないが、雪崩込んだだけ。前走阪神戦で500万勝ちの能力は示したが、オープンだと苦しいのも確か。

第37回根岸ステークス(GⅢ)

レモンポップ

前後肢にバンテージ。下見所の外を力強く周回して、馬に活気が有ったのが何より。馬体も例に依って目立つ。ゲートで横を向いていたことも有って、一完歩目が遅かったが、そこからの出脚が速く、労せず好位を確保。道中の行き振りが抜群に良くて、直線に向いた段階でもも楽勝の手応え。ラスト300mで先頭に立ち、結果的に少し早過ぎた感も有るのだが、逆にギルテッドミラーが少し仕掛け遅れたことも有って、何とか振り切った。レース内容には微妙な部分も有るのだが、馬は間違いなく強かった。ギルテッドミラーに対し、昨秋の借りは返せた。ただ、次走へ向け、マイルは微妙に長い印象。最低でもゲートは五分に出ないと苦しい。

ギルテッドミラー

前後肢にバンテージ。+6kg。良くも悪くも前走と一緒。もう少し絞れてもいいが、ダートなら許容範囲。ただ、歩様は今日の方がスムーズ。これもゲートで横を向いていた上に、外から前をカットされて、行き場がなくなり、後方から。動くに動けない展開だった上に、砂を被って少し嫌そうにもしていた。直線に向いてズラッと前が壁。前述した様に、ラスト400mで外へ持ち出したのはワンテンポ遅れた感も有ったが、エンジンが掛かってからは猛追。惜しい2着だった。この形でも外枠だったら、もう少し際どくなっていたか。当然、マイルなら対レモンポップ逆転は期待したいところ。

バトルクライ

前後肢にバンテージ。前を歩くレモンポップが良過ぎて、大分スケールダウンした様に見えるが、この馬なりに纏まった馬体。デキに問題はない。これもゲートで微妙に失敗しているが、外枠の分、立て直しが利いて中段から。バラけた位置で立ち回りそのものはスムーズ。直線に向いて最初はタガノビューティと一緒に伸びて来たところを、途中で相手をレモンポップとみて内へ寄せて行ったが、レモンポップには馬体を併せる迄に至らず3着止まり。競馬で癖がないのはいいのだが、重賞だとワンパンチ足りない印象。昨年にはペイシャエスに先着した実績も有るのだが、重賞で勝ち切るにはもう一段の成長が必要。

タガノビューティ

遮眼革。少しボテッとは映るが、馬体に張りが有るのがいい。毛ヅヤも冴えて、デキ自体は上々。歩様もスムーズで、特にケチを付けるところはない。この馬自身も一完歩目が遅かった上に、両サイドから挟まれる形になったが、何とか立て直して中段やや後方から。3角手前辺りから少しずつ番手を上げ、バトルクライの位置迄押し上げて、直線に向いたが、そこからがイマイチ甘かった。追い出して一瞬の脚は有ったのだが、それが持続しない。これはこれで賞金を咥えて来れるので個人馬主としては悪くない結果だが、勝ち切るには極端な競馬をした方がいいのかも。

エアアルマス

シープスキンノーズバンド。後肢にバンテージ。着順にはムラの有るタイプだが、馬は何時も見栄えがする。ただ、今日は少しテンションが高い。ゲートを決めて、ジワッと先行。行き振りが良過ぎる位だったが、砂を被るとダメな馬で、そのまま行かせる形。ただ、直線に向いてレモンポップとは脚が違い過ぎて、一瞬へこたれそうになったところをズルズルとは行かず、再度は再び盛り返している。流石にこのメンバーだと決め手不足の感は否めないが、条件さえ整えばもう少し稼げる。

テイエムサウスダン

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。-6kg。腹袋は目立つが、これ位でも走っている馬。皮膚を薄く見せて、歩様も悪くないが、強いていえば少しイラつき気味。好発も、無理はせず好位から。1枠2頭が先行してくれたことで、前に馬を置く形。展開上はドンピシャだったかに見えたが、直線は全く伸びず。良く分からない負け方。次走試金石。

第28回シルクロードステークス(GⅢ)

ナムラクレア

+6kg。本番前の一戦ということを考慮すれば、これ位で丁度。手先が軽くて、馬に集中力が有った。この馬としてはゲートが微妙に分が悪かったが、無理はすることなく中段から。道中は折り合いが付いていた。前走中山戦のレース内容から、外へ持ち出す策は頭になかっただろうが、そのままインでジッとしたら、直線入口では自然と前が開いていた。追って直ぐ内へモタれて、一瞬は苦しいかに見えたが、立て直してファストフォースに来られたら再び根性を発揮。勝負根性一本で勝った様な内容。56.5kgのハンデは決して楽ではなかっただろうが、出脚を使わなかったことがいい方に出た印象。次走へ向け、内へモタれた点が気にならないでもないが、有力馬の1頭に。

ファストフォース

遮眼革。-12kg。近走が太かっただけに、絞れたとみていい。見た目にも大分スカッとした。下見所は大分内目を回っていたが、歩様の硬さも気にならない。最近は押して行く競馬が多く、マッドクールとは出脚が違ったにせよ、それでも少し押した程度で好位を確保。スムーズに流れに乗れた。直線入口では一瞬、勝ったかの勢いだったが、最後はナムラクレアの決め手や根性が一枚上手だった。それでも、デビュー以来、最高のパフォーマンスといえるだろう。過去に何回か触れた様に、斤量を背負って先行することは、その日の結果だけをいえばマイナスだった筈だが、それがここに来て地力強化に繋がった印象。

マッドクール

前肢にバンテージ。+6kg。デビュー以来、最高体重。連勝馬にしては、少し緩い様にも見えた。伸びやかに歩けていたが、連勝馬という先入観が有ると、活気に欠く嫌いも。最初からの決め打ちではなかったとのことだが、ゲートを決めてハナ。レイハリアに少し抵抗された面は有ったが、この出脚は速かった。前半600m33.8秒だから、全体の時計を考えても極端に速いという訳ではなく、それを単騎で行けたが、坂を上り切った辺りから徐々に脚勢が鈍り、最後は2頭に掴まって3着止まり。ハナを切って勝ったことも有る馬だが、不慣れな印象すら有る負け方。今年から規定が変わって、ハンデがキツいことも影響しているのだろうが、この馬自身にも矯めた方が合っていそう。能力自体は足りる。

トーシンマカオ

前後肢にバンテージ。+12kg。そこ迄、太いという程ではないが、少し全体に緩慢。ただ、スプリンターらしいトモの張りは流石。頑張れば行ける馬だが、外枠だけに無理せず、ジワッと流れに乗せて中段から。基本的に引っ掛かる馬なので、壁がなかったのはプラスとはいえなかっただろう。それでも、次善策として4角で無理に外を回さず、直線迄待ってから進路を探したのは正解。坂を上る際に左手前になり、フラフラではあったが、最後迄渋太く伸びてはいた。外枠と58.5kgのハンデを考えれば良く走った方。次走は内枠なら巻き返せる。

マリアズハート

-4kg。久々に500kgを割ったが、意外な程、全体に緩く映る。毛ヅヤが一息ということも有るだろうが。歩様は悪くない。例に依ってゲートが微妙に分が悪く、後方から。4角の段階でトウシンマカオの直後。そこで少し進路を探す形になったのは勿体なかったか。ラスト200mで進路を決めてからはジリジリ伸びている。アテには出来ないだろうが、このメンバーでも展開ひとつ。次走は実績の有る中山戦目標とのこと。ヒモには加えたい。

テイエムスパーダ

前後肢にバンテージ。デビュー当時の非力さは完全になくなった。このメンバーでも馬は負けていないが、今日はテンションが高目。ゲートで後ろにモタれ掛かった様になり、またしても出遅れ。直ぐ外のカイザーメランジェに前を塞がれ、最後方から。今日はそのまま付いて回っただけになってしまった。ゲートさえ出ればやれてもいい筈だが、全く競馬にならず。

第64回アメリカジョッキークラブカップ(GⅡ)

ノースブリッジ

2人曳き。前肢にバンテージ。+4kg。下見は最後方を周回。コロンと見せる体型は元々。毛ヅヤは多少怪しかったが、気で走るタイプで、気配は良かった。ゲートを真っ直ぐに出ず、出脚が鈍ったが、行きたがる位の気性の馬だけに、立て直しが利いて好位のイン。道中もずっと力んでいたが、鞍上が只管宥めての追走。馬場が悪いので、4角で各馬のコース取りが比較的バラけたが、開いたところを一気に抜けて先頭。追って内にモタれていたのと、抜け切って頭が上がりそうになったのを、を鞍上が必至で御しながら押し切った。完勝。この手の馬は外を揉まれずに走った方がいい方に出るケースが多いのだが、セコい競馬が出来たのが収穫。これが出来ると距離の融通が利く。ただ、当然ながらこの手の馬は鞍上を選ぶ。

エヒト

前後肢にバンテージ。+8kg。この馬としては腹回りが少しフックラとしていたが、許容範囲。トモが微妙に甘い歩様だが、前走阪神戦で気になった硬さはなくなった。ゲートが怪しかったことも有るが、出脚も甘く後方に近い位置。前で馬群が固まり、後方はバラバラとなったが、それ故にストレスのない競馬は出来た。3〜4角中間から外を追い上げ、直線も最後迄しっかり脚を使っていたが、ノースブリッジには届かずの2着。鞍上の話では前走と比較して、行き振りが悪かったとのことだが、今日はそれが最後の脚に繋がった印象も。細かい部分で安定しないところは今後へ向けての課題だが、別定戦で走れた点も収穫。

ユーバーレーベン

前肢にバンテージ。造りにメリハリが利いていた。集中して歩けていた点も好印象。最近の中では一番いい。一完歩目を躓き気味に出て、出脚が鈍ったことも有るが、鞍上にも行く気がなく、そのまま後方から。これも行き振りはイマイチだったが、向で正面で少し促してアリストテレスと並走。3角手前辺りからガイアフォースと一緒に動いて、4角で好位。この時点では勝ったかの勢いだったが、直線はダラダラになってしまった。要は鞍上の手応え通りに走っていない。最後の最後にエヒトに来られて盛り返している辺り、気性的な問題が有りそう。暫く掛かるかも。

ラーゴム

ダートならこれでもいいが、芝ならもうひと絞り有ってもいい。その一方でダートを使って歩様に力感が出たこともまた確かだが。ゲート五分。出脚は速くなかったが、押して中段。押して行った分、馬がソノ気になっており、向正面過ぎから少し緩めて好位。4角でほぼ先頭といい形にはなったが、直線に向いてからも右手前のままで伸びあぐねた。道中も少し右に張っていた面が有った。芝,ダート共ソコソコ走れるタイプだが、現状だとラチを頼る形になった方が安心感が有る。

ガイアフォース

+2kg。真っ白故に分かり辛いが、今日は少し太く映る。キタサンブラック産駒としては、完歩が小さいのは毎度のことだが...スタート直後に結構大きく外ヘヨレたが、立て直して好位。3角過ぎから外を来たユーバーレーベンに抵抗する形で動いて行ったが、4角で既に苦しくなっていた。寸が詰まった体型で長い距離が向かないということも有るだろうが、それ以上に今日は走っていない。次走が試金石。

第40回東海テレビ杯東海ステークス(GⅡ)

プロミストウォリア

-4kg。胴長の体型。骨格もしっかりしており、見栄えがする。皮膚を薄く見せて、毛ヅヤも良かった。歩様もスムーズで、今日はケチを付けるところがない。ゲートは五分だったが、少し押して行き脚が付き、スッとハナへ。あとは馬が自分のペースで勝手に走ってくれた。1000m通過62.6秒は如何にもスロー。カラ馬となったヴァンヤールとの関係で他馬が競り掛けられず、4角でハヤブサナンデクンがガードしてくれたのも大きかっただろう。直線に向いて突き放す脚が有り、あとはオイデオイデの大楽勝だった。ただ、現時点では東京戦が視野に入っているとのことだが、単純にマイルの経験がない上に、芝スタートも経験がなく、課題は多い。

ハギノアレグリアス

後肢にバンテージ+10kg。数字分だけ重たい気もしないでもないが、元々がダート馬としてはスカッと見せるタイプ。気配は良かった。この馬の出脚でジワッと行かせて好位直後。スムーズな競馬は出来た。前走阪神戦で前が詰まった経験から、4角で外へ持ち出すのは当然だが、ここで上手くカラ馬の内へ誘導出来たのも好判断。良く追い詰めたが、最後はそのカラ馬に前をカットされたにせよ、差し切るだけの脚はなかった。次走未定だが、競馬は上手いのは確か。GⅢレベルなら、チャンスは続く。

ハヤブサナンデクン

-6kg。後肢にバンテージ。-6kg。元々がそうだが、ダートを走る馬としてはスカッと見せる。歩様も含めて、下見では目立たないタイプ。一完歩目は怪しかったが、出脚が速くスッと好位。今日は何の不利もなく、揉まれずに競馬が出来た。カラ馬は有ったにせよ、4角では楽勝かに見えたが、いざ追ってからが甘い。幾ら前が楽をしていたとはいえ、今日の展開で勝てなかったら、今後が苦しい。もっと距離を延ばす為にも、交流戦へ活路を求めた方がいいのかも。

ウェルカムニュース

数字の割に迫力が有るというタイプではないが、緩んだところが一切なく、デキ自体は上々。一歩一歩がしっかりしていた。ゲート五分。少し出して好位。道中はハヤブサナンデクンの直後で流れに乗れた。ただ、今日はスローの上がり勝負が向かなかった。伸びていない訳ではないが、ここからの決め手が不足していた。とはいえ、初重賞挑戦としては良く走っている方。勝ち切るにはもう一段のパワーアップが必要だが、経験を積めば何とかなる範囲。

スマッシングハーツ

オーストラリアンブリンカー。前後肢にバンテージ。-8kg。数字分だけスッキリした印象。歩様に伸びが有って、プロミストウォリア同様、下見は良く見せた。出たなりで中段やや後方から。ただ、3角辺りから置かれ出し、結果的にインから。中京はこの策が結構有効で、直線入口ではそれなりの位置に出て来れたのだが、意外と伸びていない。せめて4着は欲しかったところ。前走、今回と、最近の中では前で競馬しているが、もっと矯めた方が良さそう。

第63回京成杯(GⅢ)

ソールオリエンス

大物感はないが、3歳のこの時期にしては馬体が纏まっている。歩様も含めて、ケチを付けるところはない。一完歩目が微妙に遅く、後方に近い位置。道中の折り合いは付いていた。直線での圧勝劇を考えると、3角過ぎからの手応えが怪しく、4角では大外に膨れる場面も有ったが、直線で抜けて来る脚が速く、フォームに力強さが有った。競馬は雑だが、レース内容は強い。前走東京戦はそんな素振りはなかっただけに、現状は左回りの方がいいのかも知れないが、フォームが力強いのが何より。この世代のの牡馬の中では一番可能性を感じさせる。

オメガリッチマン

シープスキンノーズバンド。-10kg。寸詰まりの体型だが、数字分だけ腹回りがスッキリ。歩様にもキレが有った。出脚も速い方ではなさそうだが、行く気もなく中段やや後方から。道中はインで我慢させて、直線だけ少し外へ。少頭数だったことも有り、スムーズに捌けたが、ソールオリエンスとは脚が違っていた。坂を上る際に、ソールオリエンスに前をカットされているのだが、不利にもならないレベル。今日の内容だけだと能力水準は何とも言えないところだが、競馬が上手いのは確か。

セブンマジシャン

まだ線の細さは残っているが、1頭だけ垢抜けた馬体。少し気が良過ぎる嫌いも有るが、所作が全体にキビキビ。躓き気味に出て、出脚が鈍り、後方から。ソールオリエンスが近くに居て、競馬は組み立て易かった筈だが、4角でソールオリエンスの真後ろに居た関係で、一緒に外へ連られてしまった。直線に向いてからもソールオリエンスが内へ寄って来たことでオメガリッチマンが外へ持ち出した際に、マトモにブレーキを踏まされる場面。今日は競馬になっていない。最低でも2着は有った競馬。人気になりそうで馬券的には手が出し辛いが、次走こそ何とかしたいところ。

サヴォーナ

+10kg。全体に緩い印象。数字分だけでも絞った方が良さそう。歩様も悪い訳ではないが、全体に緩慢さが有った。出負けして後方のイン。道中で行きたがる場面はなかったが、行き振りが安定せず、鞍上の話では下を気にしていたとのこと。ただ、直線で前が中々開かなかった。割って入るだけの瞬発力が有れば何とかなった範囲だが、そこ迄の勢いもなく、右往左往の末に最後に外へ持ち出てここ迄。この馬自身も内にモタれ気味だっただけに、鞍上もやり辛かっただろう。現状だと力差を認めざるを得ないが、500万なら通用。

シルヴァーデューク

+14kg。どちらかといえばマイラー体型。数字程、重たい印象はないが、腹回りは少し目立つ。ただ、歩様はしっかりしていた。出脚は有ったが、鞍上に行く気がなく、好位で馬を前に置いて折り合いを付ける形。それでも道中は結構ハミを噛んでいた。鞍上も我慢し切れず、4角手前から前を追い掛けて行ったが、直線入口で並び掛けた迄で、あとは後続に吸収されてしまった。今日の内容だけをいえば距離が長い。馬体の見た目通り、現状はマイルがベスト。

第70回日経新春杯(GⅡ)

ヴェルトライゼンデ

+6kg。元々3歳時は良く見せていた馬が一時低迷していたが、年相応の迫力が出て来た。歩様にも力強さが増した。見た目に本格化。一完歩目の姿勢が悪かったが、直ぐに立て直して中段のイン。ただ、前は比較的バラけており、いい位置で追走出来た。直線は土曜日のアートハウス同様に外へ持ち出し、左手前のままだったが、ジワジワ伸びて計った様に差し切った。どちらかといえば、今迄詰めが甘いタイプでは有ったが、59kgを背負って勝ち切ったことに価値が有る。ドリームジャーニー産駒だけに成長力も有る筈で、今年は大化けするかも。

キングオブドラゴン

+10kg。太いということはないが、数字分だけフックラした印象。歩様も悪くなく、気配にも集中力が有った。ゲートが開いて、馬はハナへ行ってもいい位の勢いだったが、鞍上に行く気がなく、アフリカンゴールドに行かせて、その番手から。道中が少しオッツケ気味になるのは前走東京戦同様。残念ながら、直線に向いて今日も一瞬は内ラチ沿いへ行き掛けたが、そこにアフリカンゴールドが居て事なきを得た。そこからは真っ直ぐ走って一旦は抜け出す場面も有ったが、最後にヴェルトライゼンデ。負けはしたが、今日の形で競馬が出来たのは収穫。基本的にはハナへ行った方がいい馬だが、前走を考えるとそれもまた怖いところ。

プラダリア

遮眼革。後肢にバンテージ。+6kg。背丈の低いタイプだが、その分、重心が低い。歩様にもスムーズさが有りながら、一歩一歩にブレがない。ゲートは五分か少し分が悪い程度。スタート直後から馬がソノ気になっており、宥めながら中段の外。ただ、折り合いを意識するあまりに、攻めて乗れず、道中で番手が下がり、更に外を回る形になったのが痛かった。坂下辺りではヴェルトライゼンデとも近い位置に居たのだが、中々その差が詰まらず、キングオブドラゴンにも粘り込まれてしまい、3着止まり。ただ、直線が左手前だった割には真っ直ぐ走れていた。馬が良くなっている。

ヤマニンゼスト

+6kg。500kg有る馬だが、イマイチ迫力を感じない。スッキリと見せているということもいえるのだが...。ただ、歩様はしっかり踏める様になって来た。頑張ればハナへ行ける位の出脚だったが、前々走同様に後方のインでイチかバチかの競馬。展開上はハマっているのだが、キングオブドラゴンが捕まりそうで捕まらず。前走阪神戦の様に、意外と走る時も有るのだが、基本的にはワンパンチが足りない。

ロバートソンキー

前後肢にバンテージ。少し腹回りがボテッと映るのは体型。それでも皮膚を薄く見せて、デキ自体は高値安定。ゲートは五分に出たが、例に依って出脚の速い方ではなく、中段やや後方から。基本的にはヴェルトライゼンデの後を追う形で乗られた。ヴェルトライゼンデに対し、坂を上る迄は渋太く食らい付いていたのだが、そこからがジリジリ離されて入着止まり。内目が悪かったにせよ、いい脚が長く続かない嫌いは有る。実績が示す通り、中山向き。

第60回農林水産省賞典愛知杯(GⅢ)

アートハウス

+10kg。歩様の甘さはこれでも大分マシになった方。力強いと迄は言えないが...。ただ、馬体が増えた分、ドッシリとは見せる様になって来た。ゲートを五分に出て、ジワッと好位。道中はマリアエレーナと並走する形。アブレイズやアイコンテーラーが外から一気に来て、序盤は連られそうになっていたが、2角迄には何とか宥めた。向正面で一気にペースが落ちたが、それでもスムーズに走れていた。直線に向いて、馬場のいいド真ん中へ持ち出されると、1頭だけ脚が違っていた。完勝といっていい内容。折り合い面と道悪の中で最後迄しっかり走れていた点が特に好印象。現状で牡馬相手に通用する迄の迫力はなく、暫くは使うところがないのだが、道悪の激走だけに間隔が開くこと自体はいい方に出そう。

アイコンテーラー

牝馬同士なら馬はそこ迄ヒケは取らない。ただ、前走の方が歩様にキビキビ感が有った。今日の方が踏み込みが浅い。出ッパの駐立が微妙に悪く、出脚が鈍ったことも有るが、押して外から来たアブレイズに抵抗しつつ、2番手。アブレイズがいい勢いで行ったことで他馬が控え、スローになったが、行きたがらない程度に行き振りも抜群に良かった。ただ、鞍上は4角でアートハウスを相手と決めて、外へ併せに行ったが、馬は内へモタれ気味。それでも一旦は抜け出す場面が有り、2着は確保。少し頭は高く、最後の詰めは甘いのだが、左回りは走る。叶わぬ話だが、昔の中京の様な左回りの小回りコースが有れば重賞にも手が届きそう。

マリアエレーナ

数字の割に品の有る馬だが、今日も問題なさそうな造り。毛ヅヤは芦毛故に分かり辛いが、キビキビ歩けていた点も好印象。56.5kgでも出脚は抜群に速かったが、行きたい馬に行かせて3番手のイン。馬は一生懸命走っていたが、道中は微妙にノメッていた様にも見えた。直線に向いてもスッと反応せず、アブレイズを交わすのに手間取っている間に、外から2頭が遥か前に行っていた。道悪の重ハンデは流石に厳しかったか。ただ、それでも3着を確保するのが底力。今日はむしろ評価が上がる一戦。

アブレイズ

小走りは入っていたが、トモにボリューム感が有って、迫力充分。それでいて、手先が軽い点も好印象。最初からの決め打ちだったか、大外から押してハナへ。外からの逃げはペースが極端になりがちだが、結構いい勢いで行ったのを見て他馬が控えてくれたことも有り、1000m通過が63.9秒と馬場状態を勘案してもかなりのスロー。ハナへ行ってからは少しオッツケる場面も有り、道悪は決して上手い方ではなさそう。その分、直線も踏ん張りが利かなかった。といっても、良馬場ならこの展開になっていないということにはなるのだが、限定戦で惜しいレースが多い。ソロソロ何処かで一発が有りそう。

サトノセシル

気のいい方の馬では有るが、今日はいつも以上に煩かった。それでも、毛ヅヤが冴えて、歩様も力強さが有った。デキ自体はいい。ゲートは五分に出たが、マリアエレーナの方が出脚が速く、その直後から。パワーは有る馬で、道中は全く問題なく走れていたが、直線は伸びずバテずの5着。鞍上もそんな話をしていた様だが、瞬発力がない。北海道で強いのも上がりが掛かるからで、今日はスローに対応出来なかった形。

第39回フェアリーステークス(GⅢ)

キタウイング

2人曳き。数字は増減ないが、1回叩いて馬体に張りが出た。ただ、成長がない。他馬が良くなって来たことも有るだろうが、横の比較で少し分が悪い。ゲートを真っ直ぐに出ず、出脚が鈍ったことも有るが、最初から行く気はなく、馬群からも離れた後方。真っ先に内ラチ沿いへ寄せていた。徹頭徹尾インを突くのも計画通りだったのだろうが、4角手前の手応えが抜群。直線も決して広いスペースが有った訳ではないが、脚でコジ開けて来た。新潟戦時は右手前の方が明らかに走りが良かったが、今日は左手前でもちゃんと走れていた点が収穫。見た目はそうでもないのだが、中身は良くなっているのだろう。馬格の割に全身が使えてダイナミックなのもいい。GⅠ云々の馬ではないだろうが、馬群も全く苦にせず、この手のタイプは息の長い活躍が期待出来る。

メイクアスナッチ

2人曳き。+6kg。イレ込み気味の馬が多い中で、堪えが利いていた。歩様もしっかりしており、馬体も小さいなりに纏まっている。半馬身程出負け。馬群には取り付いていたが、後方に近い位置。これも道中はインに入れていたが、力みながらの追走で、馬を前に置いて我慢させていた。3〜4角中間から外へ持ち出し、直線は外から1頭違う脚で追い込んで来た。内外の差を考えれば勝ちに等しい内容。全身を伸ばして走るキタウイングとはタイプは違えど、こちらも重心の低い走りは好印象。道中の行き振りから距離面に課題がない訳ではないが、こちらも先々有望。

スピードオブライト

前後肢にバンテージ。-12kg。ガサがないだけに大幅馬体減は歓迎しないが、見た目にはそこ迄細くない。歩様も悪くなく、良く出来た馬。好発。中山マイルだけに最内枠の利は大きく、ほぼ労せずハナへ行けたが、向正面の頂点辺りでマイレーヌが主張して2番手に控える形。上手く折り合って運べた。後続の追い上げが緩かったことも有り、少し待って坂下で先頭。最内のキタウイングには並ぶ間もなく交わされたが、何とか3着は死守した。これで2戦連続重賞3着と、最悪の形が続いているが、力は持っている。今後はひと先ず単騎放牧に出して馬体回復に努めるという話だが、成長次第では期待が持てる。

ブウランウェーブ

2人曳き。-10kg。数字の割にガレた印象はない。歩様も悪くないが、テンションが高いのはマイナス。メイクアスナッチと同程度の出遅れ。メイクアスナッチより枠が外だった分、1列後方から。追走に汲々だった前走福島戦より、道中はスムーズに運べた。ただ、今日の展開で直線迄待ってから外へ出す形だと競馬が終わった後になっていた。メイクアスナッチの1馬身後方からだったが、勢いを付けて回っていない分、一瞬でも突き放されてしまう。逆にいえばこのメンバーでも何とかなりそう。馬体細化がネックで、難しい部分も有るのだが、今日の内容だけをいえば500万でも足りる。

リックスター

シープスキンノーズバンド。+8kg。線が細いタイプで、少しでも増えたのは無条件で歓迎。もっと増えてもいい位。ただ、結構チャカついていた。ゲート五分。ただ、出脚が速い方ではなさそうで、この枠でも中段から。3角手前で番手を上げ、スピードオブライトの直後。セコい競馬は出来たが、直線に向いてから内にモタれ気味になって追い辛そうだった。ただ、東京で新馬勝ちの馬だけに、初の右回り,重賞と考えれば、良く頑張った方だが、即500万で通用するかどうかは微妙。

第56回日刊スポーツ賞シンザン記念(GⅢ)

ライトクオンタム

+2kg。細身の馬だけに、少しでも増えたのはいい傾向。手先が軽いのが如何にもディープインパクト産駒。ただ、かなり気負っていた。ゲートでマトモにアオってしまい、出遅れ2馬身不利。そのまま後方から。道中は行きたがっていたという訳ではないが、口向きが悪そうな走り振り。それでも直線で外へ持ち出されると、更に外へ逃げ加減ながらも、1頭だけ脚が違っていた。頭数が少なかったこともかなり味方したといえるが、完勝。あとは競馬が雑な点をどう矯正して行くか。現状だと多頭数になった段階で競馬が出来ない。

ペースセッティング

-4kg。このメンバーだと馬振りの良さで抜けていた。数字分だけ馬体も締まった印象。歩様も含めて、今日はケチを付けるところはない。好発。今日は最初からの決め打ちだった様で、迷わずハナへ。クファシルが徹底マークの形で付いて来てはいたが、競り掛けて来るのは至らなかった上に、1000m58.1秒だから楽に行けた方。直線で少し外へモタれながらも、後続を一旦は突き放しているのだが、最後にライトクオンタム。ただ、やられたのは少頭数ならではともいえる。距離はマイルでギリギリという話だが、自分の競馬さえ出来れば安定して走れるタイプ。

トーホウガレオン

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。少し寸が詰まった体型。その分、馬に幅が有る。ただ、歩様の完歩が小さい。ゲートで妙に外へヨレていたが、立て直して中段から。ただ、1800m,2000mしか経験のなかった馬だが、マイルでも道中は結構行きたがっていた。馬の気に任せて4角手前から前との差を詰め、直線もジリジリ伸びていたが、ライトクオンタムの末脚に屈した。新馬から5走連続の馬券圏内と堅実だが、もう少し序盤をスムーズに運べる様になりたいところ。

スズカダブル

前後肢にバンテージ。脚が短くて少し不格好だが、踏み込みが深いのが特徴。毛ヅヤも悪くない。ゲート五分。スタート直後の進路を内外で迷っていたが、外に壁が有って内を選択。少し頭が高いながらも、道中の折り合いも問題なかった。直線だけ外へ持ち出して渋太く食い下がっていたが、最後の最後に甘くなった。ヨレていた馬が多かった中で、比較的真っ直ぐ走れていた方だが、もう少し重心が低い走りになってくれると最後の踏ん張りが違って来るのだが...。

サンライズピース

全体に筋肉が付き切っていない印象も有るが、骨格が良さそう。大化けしそうな雰囲気は有る。ただ、テンションが高い。出遅れ2馬身不利。そのまま後方から。道中はインを回って、直線は一瞬だけ外へ持ち出そうとしていたが、クファシルが壁になり、結局は内へ。一瞬は突き抜ける位の脚だったが、ラスト100mでバッタリ止まった。素質は有る筈だが、見た目通り、まだ力が付き切っていないのだろう。この内容だと500万も怪しい。

第61回スポーツニッポン賞京都金杯(GⅢ)

イルーシヴパンサー

前肢にバンテージ。+14kg。歩様、毛ヅヤ、気配と悪くないが、腹回りは少し重たい様にも見えたが...。ゲート五分。恐らくは最初からの決め打ちだった様で、まず内に入れる策。ただ、ゲートを出たのと、内枠の馬に先行した馬が多く、楽に中段位置が確保出来た。直線も外へ持ち出す気はなく、そのままインへ。今日はこれがハマった。一枚太い状態だったが、流石に左回りは走る。58kgを背負って競馬にメリハリを付けたのもいい方に出ただろう。基本的にはGⅠでも通用する可能性は有る馬。追い込み一手でアテにし辛い部分も有るのだが、今日の様にゲートを決めて少しでも好位置を確保出来る様になりたいところ。

エアロロノア

何時も下見は良く見せるタイプ。胴長でスッキリとした造り。歩様にも伸びが有り、下見にケチを付けるところはない。ゲートの怪しい馬だが、今日は五分。好位直後から。折り合いもスムーズで、今日はいい形で運べた。直線に向いてプレサージュリフトとの絡みでワンテンポ待った分、イルーシヴパンサーと同じ位置から追い出す形となったが、抜けて来る一瞬の脚でイルーシヴパンサーに分が有り、その差が最後迄詰まらなかった。堅実は堅実だが、あくまでGⅢレベルの馬。少し強い馬が出て来ると歯が立たない。

プレサージュリフト

+16kg。元来が細身に見える馬だが、これでももっと増えてもいい位。歩様にも力強さが有ったが、少しイラつき気味。半馬身程出負けしたが、枠の利と押して好位。序盤は少し行きたがったが、直ぐに折り合いも付いた。直線に向いてからスッと抜け出す脚が有り、坂を伸び切った時点で先頭。完全な勝ちパターンだったが、そこで止まってしまい、内外からやられて3着に。ハンデ差を考えても最低でも2着が欲しかった競馬。あまりにダラしなかった。もうちょっと距離が有った方がいいのか、矯める競馬の方が合っているのか...。

ピースワンパラディ

良くも悪くも淡々と歩いていた。馬体に緩い印象はなく、この時期にしては毛ヅヤもいい方。歩様もスムーズ。ゲートも少し分が悪かったが、押して何とか好位。好位といっても、本来ならもっと出遅れていたプレサージュリフトを叩きたかったところだが、最内を取られていた。結果として、勝負どころからプレサージュリフトを後追いする形となり、最後迄そのままだった。昨年の2着馬だが、一瞬の反応が鈍いのは昨年と一緒。今年の方がメンバーが揃っており、相手関係を考えても、昨年並には走っているということもいえる。

カイザーミノル

遮眼革。数字は変わらないが、前走阪神戦と比較して、今日の方がギスギス感がない。頭の高さもマシで、短期間ながら、結構上向いていた。今日はゲート五分に出て、中段から。正月開催独特のインが有利な馬場状態の中で、枠の関係でずっと外を回されていたが、外から良く差を詰めていた。昨年3着馬だが、やはり力は有る。ただ、右回りでも走れない訳ではないが、良績は左回りの方が多い。その一方で、頭が高いので出来れば直線の短いコースの方が向いていることもまた確か。

第72回日刊スポーツ賞中山金杯(GⅢ)

ラーグルフ

2人曳き。+8kg。数字分だけ腹回りがボテッと映るが、それ以外は悪くない。水平首を保って集中力が有ったのが良かった。ゲートはアオり気味だったが、出脚と枠の利でカバーして中段。手綱を緩めると引っ掛かりそうになっており、その気になれば好位は確保出来る位の行き振り。完全に操縦の利く様になった向正面で少し番手を上げ、3〜4角から外を追い上げて、坂下でフェーングロッテンを射程圏に捉え、登坂力で押し切った。気性面が大分いい方にコントロール出来る様になって来て、勝負強さが出て来た。ただ、後述する様にクリノプレミアムが勝っていた競馬。能力の絶対値だけをいえばオープン特別級。

クリノプレミアム

冬毛が目立って見栄えが悪いのだが、所作には柔軟性が有った。牡馬相手でも馬自体も負けていない。好発。行きたい馬に行かせて好位から。ただ、2200mの後だったことも有るのか、スタート直後から少し押しており、その分掛かり気味。それでも勝負どころでの手応えが抜群で、3〜4角でラーグルフと一緒に上がって行きたかったところだったが、そのラーグルフに外から締め込まれ、仕方なしに直線に向いて馬群を割ろうとすれば前が詰まって、結局はラーグルフの外へ立て直さざるを得なくなった。これだけのロスが有りながら最後はラーグルフとハナ差。勿体ない競馬になってしまった。何時走るか分かり辛い面は有るが、どちらかといえば冬場の方が走るタイプ。引退迄にもうひとつタイトルが欲しいところ。

フェーングロッテン

遮眼革。+8kg。微妙に重たい程度で、馬体はこれでもいいが、歩様に伸びがない。ただ、気配は抜群に良かった。出脚が速いという訳ではなさそうだが、押してハナ。頭の高い走法なのは気になったが、折り合いに問題はなく、1000m通過60.6秒とスローで行けた。このペースだと後続の追い上げもそれなりに早いが、勝ったラーグルフの間には2頭噛んでおり、直線入口では突き放す場面。勝ちパターンには持ち込めた。それでも最後に捕まったのは走法の分。逆にいえば絶対能力は秘めているともいえるが、あくまでベストは小回り1800m。

アラタ

オーストラリアンブリンカー。+24kg。数字程ではないが、些か立派。その分、迫力が有るともいえるが...。ただ、毛ヅヤが冴えて、馬体の張りは有った。デキ自体は間違いなくいい。ゲートを真っ直ぐに出ず、出脚が鈍って中段から。スムーズな競馬は出来たが、唯でさえ勝負どころでの反応が悪い馬が一枚重たい分、余計に動き出しが鈍くなっていた。最後は良く差を詰めているが、スローで外を回らされていた影響は多少なりとも有ったとしても、直線入口でもう半馬身前に居たら勝っていた。これもチャンスが有っただけに勿体ない内容。

マテンロウレオ

2人曳き。変則日程故に、重目の馬が多い中で、スッキリと見せていた方。気配も良くて、キッチリ仕上げて来た。ゲートをポコンと出て、出脚が鈍ったが、押して中段やや後方。道中はインで我慢させて、4角から外へ持ち出す算段だった様だが、レインカルナティオに押し返されて、直線迄待たざるを得ない形。伸びていない訳ではないが、ハンデを背負っているだけに一瞬でもブレーキを踏むと厳しくなる。ただ、今日の経験は今後に生きて来そう。間違いなく馬を強くする競馬。