4 競馬回顧 2023年1回阪神 [Sakura Archives]

Sakura Archives

競馬回顧 2023年1回阪神

第72回フジテレビ賞スプリングステークス(GⅡ)

べラジオオペラ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。1頭だけ迫力が違った。使われる毎に、馬体が締まって来た点も好印象。歩様も力強い。一完歩目の両脚が揃ってしまい、一瞬だけ出脚が鈍ったことも有り、無理せず中段から。重馬場の割にソコソコ流れたことも有り、縦長の展開。揉まれない形で、ノビノビと走ることが出来た。3〜4角中間から徐々に進出。直ぐ内に居たオールパルフェが外に膨れ気味だった関係で、余分に外を回されているのだが、馬格通りのダイナミックなフォームで突き抜けた。これで無傷の3連勝だが、中でも今日は文句なしの勝ち振り。今年の牡馬路線はやや低調だったが、これが真打ちか。次走本命級。

ホウオウビスケッツ

前後肢にバンテージ。毛ヅヤは良かったが、まだ全体に緩い印象。トモの甘い様な歩様も気になった。ゲート五分。出脚は直ぐ外のオールパルフェの方が分が良さそうにも見えたが、何とか踏ん張りつつ、上手く内へ誘導して、逃げたグラニットの番手から。道中の折り合いは全く問題はなく、そのグラニットを自力で追い掛けて行く形。グラニットも中々渋太かったが、坂を上り切って捕まえたところで、外からラジオオペラの強襲に遭ってしまった。尤も、この2着は負けて強しといえる内容。鞍上の話では気性的にテンションが上がり易い面も有る様だが、レースセンスが有る。中山向きのタイプで、これも次走は圏内。

メタルスピード

前肢にバンテージ。毛ヅヤは冴えて、現状のデキ自体はいいが、504kgの割に迫力がない。造りにメリハリがない。歩様は伸びやかだが...。ゲートをポコンと出て、出遅れ1馬身不利。ただ、1角迄が近いコース形態に助けられ、中段は確保。丁度、べラジオオペラと並走する形。べラジオオペラが外を回したのに対し、こちらは内目から馬群を割る形。レースが流れたことで馬群が密集しておらず、スムーズに捌いて来れた。スパッと切れる印象ではなかったが、最後迄諦めずに走れた分の3着。ただ、追い出してから少しフォームがバラついていた様にも見えた。完成度の問題も有るだろうが、道悪も得意とは言えないか。

グラニット

前後肢にバンテージ。-4kg。2歳時と比較して、少しテンションが高い。ただ、馬をドッシリと見せる様になり、歩様の甘さも大分マシになった。好発。最内枠だったことも有り、例に依って躊躇なく行かせてハナへ。大逃げと迄は行かないが、1000m通過59.4秒とハイペースでレースを引っ張る形。勝負どころの3〜4角中間でも引き付けることはせず、自分から離して行く形。結果的に最後は甘くなったが、坂を上り切る辺り迄は踏ん張っており、惜しい4着。中山戦は賞金面で出走が苦しくなったが、それさえクリア出来るなら面白い存在。

パクスオトマニカ

腹回りは少しボテッと映る割に、トモが薄い。歩様にも勢いがなく、本当に良くなるのはまだ先。鞍上には最初から行く気がなかった様だが、ゲートが開いて躓きそうになって出脚が鈍り、後方に近い位置。勝負どころから早目進出のべラジオオペラを目標に、被せる位の勢いで動いて行ったが、坂を上る途中で右手前になって苦しくなった。ずっと外を回った分も有るにせよ、べラジオオペラとは現状の完成度で差が有る。

セブンマジシャン

+6kg。垢抜けた造りの馬だが、線の細さは相変わらず。キビキビとは歩けていたが、もっと力感が欲しい。ゲートは五分に出たが、余り進んで行かず後方から。今日はずっと行き振りが悪く、ところどころで鞍上がオッツケる場面。その割には最後迄頑張っているともいえるのだが...。良く分からない負け方だが、鞍上の話では馬場が向かなかったとのこと。良馬場で改めて。

第71回阪神大賞典(GⅡ)

ジャスティンパレス

+16kg。元々数字の割にドッシリ見せる方だが、馬体が増えても印象は変わらず。ほぼ成長分だろう。ただ、今日は妙に煩い。ゲート五分。この距離なら出脚も速く、スッと好位。前にアフリカンゴールドを置いて、外にディープボンドが居たが、上手く折り合って走れていた。2周目4角でそのディープボンドにフタをされてしまったが、直線に向いてからディープボンドの脚が怪しくなったことで前が開き、コジ開ける様に伸びた。競馬が上手く、距離適性は有るのだろうが、今日は前が開かない可能性も有っただけに、内容的には褒められたモノではない。詳細は後述するが、能力的にもボルドグフーシュの方が上か。

ボルドグフーシュ

例に依って、馬体の柔軟性と、踏み込みの深さは特筆モノ。良し悪しは別にして、前走中山戦と比較すると、今回の方がスッキリと見せる。今日はゲート五分。ただ、人気を背負って余所行きの競馬も出来ず、中段から。ただ、馬群が密集したところで、前のジャスティンパレスがあまり行ってくれず、序盤はかなり窮屈そうに走っていた。それだけに1角で何時でも動ける外へ持ち出し、2周目3〜4角中間から、自慢の回り脚で追い上げる形。自分の形は造ったが、1馬身3/4差の2着。ただ、今日はジャスティンパレスが道中で楽をしていただけに、この着差でもむしろ強い内容。ただ、次走の京都は外を回すとロクなことがない。リニューアルして、少しでもその状況が違っていれば好勝負に持ち込めるが、こればかりはフタを開けてみないことには。

ブレークアップ

-10kg。前走中山戦が微妙に太かっただけに、絞れたとみていい。脚が長いのが最大の特徴だが、トモの厚みも目立つ。出脚は一番速かった位だが、押して行った馬が何頭か居て、それらには付き合わず、好位で控える形。無理せず行けたことで、道中はリズム良く走れていた。ただ、勝負どころで上位馬とは脚が違っており、少し置かれそうになっていたのが痛かった。特にボルドグフーシュには後ろから前へ出られており、最後こそ良く追い上げたものの、3着止まり。尤も、この辺りは経験値の問題も有る。能力面ではそこ迄遜色はなく、京都も向く筈。次走注目。

アフリカンゴールド

下見は最後方を周回。少しトモが甘い様な歩様は何時ものこと。馬体、気配共、下見ではイマイチ地味。出脚がないので速い他馬が居ると前走の様に行けない時も有るのだが、今日は3000mということで、行かせて貰えて単騎逃げ。1000m通過64.9秒-2000m通過128.2秒と、極めて楽なペース。2周目4角も手応え充分に回って来れた。最後はあくまで決め手の問題。上手く噛み合えば、また何処かで一発が有りそう。

ディープボンド

前後肢にバンテージ。+10kg。少し重いだろうが、馬体には張りが有った。下見の周回では、水平首を保って、気配も良好。最初からの決め打ちだったのだろうが、押して押して2番手から。スローだけにこれで正解なのだが、どうしても勝負どころの手応えが悪い。何時もなら直線でもう少し挽回するのだが、上がりが速過ぎて、それも叶わなかった。結果的にこの馬にはもう少し流れて欲しかったところ。デキは良かっただけに、次走改めて。

第37回フラワーカップ(GⅢ)

エミュー

414kgの割に、背丈は有る方。寸が詰まった体型。ただ、歩様に硬さがなく、現状としては良く出来ていた。馬が横を向いていた時にゲートが開いてしまい、出遅れ1馬身不利。そのまま最後方から。向正面に入って外へ持ち出し、3角からジワジワ進出して、直線は大外。ヒップホップソウルと一緒に伸びて来たが、1頭だけ脚が違っていた。重心が低く、ピッチ走法だけに、道悪も上手いのだろうが、単純に馬も強い。次走は阪神戦となる様だが、今年既に4戦をしている上に、輸送もネック。状態面の維持が鍵となる。

ヒップホップソウル

2人曳き。馬体の迫力は数字通り上位だが、少し頭が高いのは気になった。その分、トモが甘い様な歩様。ゲートをアオり気味に出て、後方。出脚は使っていないが、それでも序盤は結構力んでいた。それでも向正面で何とか折り合いは付き、4角を外から上がって行く脚は悪くなかったが、エミューには一瞬だけ食い下がるのがやっとだった。道中での接触が応えた前走からの巻き返しには成功したが、ゲートが不安定で、道中で行きたがる癖が有るのが勿体ないところ。力そのものはこのメンバーなら上位。

バルクリチュード

全体に筋肉が付き切っていない状態。もう20kgは増えてもいい。歩様にも少し甘さが残っている。ゲート五分。スタート直後から少し行きたがっており、好位のインで宥める形。動くに動けない展開だったことも有るが、道悪でも特に苦にせず走れていた。内から一旦は完全に抜け切っているのだが、最後に馬場のいい外から差して来た外から2頭。今日の馬場だと外をノビノビ走った方が正解で、内目から伸びて来た点は好印象。3着ながら惜しい内容。尤も、ヒップホップソウルにいえることだが、道悪だと行きたがる位の気性の馬の方が走る傾向。逆にいえば良馬場時が試金石。

ゴールデンハインド

このメンバーの中ではフックラと見せていた方。胴長の造りで、馬自体が上位。歩様も伸びやか。ゲート五分。出脚は決して速くなさそうだが、押して先行。ただ、ノメる場面が何度か有り、明らかに道悪は向いておらず、道中もオッツケ気味だった。勝負どころの手応えも決して良かった訳ではないが、鞍上が必至に追って何とか掲示板は確保。対エミューには2戦2敗となり、能力差はそれなりに有るだろうが、確実に馬を強くする競馬。500万は楽勝級。

ココクレーター

2人曳き。-6kg。寸の詰まった体型だが、トモのボリューム感はひと際目立つ。ただ、例に依ってテンションが高い。ゲートは出たが、無理せず後方から。これも少しノメる場面が有った。3角辺りから徐々に外を進出。その割に4角での反応がイマイチだったが、最後迄ジリジリとは伸びている。未勝利即重賞は流石に厳しかったが、内容としては悪くない。もう少し時間は掛かるだろうが、素質は有りそう。

第37回中日スポーツ賞ファルコンステークス(GⅢ)

タマモブラックタイ

前後肢にバンテージ。胴長の造りだが、まだ馬体にメリハリがない。この数字ならもっと歩様に力強さが欲しい。好発。出脚も負けていなかったが、無理はせず、行きたい馬に行かせて好位。前に居た組は、何故かマトモに流れに乗れていない馬が多かったが、この馬だけがスムーズに折り合いが付いていた。直線に向いて最内に飛び込み、坂を上り切って先頭。カルロヴェローチェには迫られたが、ハナ差振り切って重賞初制覇。1200mの前走小倉戦も最後に詰められており、距離面が怪しかったが、今日の内容だけをいえば、1400mでギリギリといった印象。ただ、渋い馬場は走る。

カルロヴェローチェ

-10kg。数字は絞れたモノ。まだ腹回りはボテッと映る。テンションは高いが、イレ込みと迄は行かず、スプリント戦なら許容範囲。ゲートはやや後手に回ったが、押して好位。頭を上げて行きたがったのが序盤だけなら仕方がないところだが、3〜4角でもそんな場面が有ったのは頂けない。その分、直線で仕掛けを待ったところをタマモブラックタイに割って入られ、外に壁が有ったことも有って、ワンテンポ遅れてしまった。最後は猛追したが、脚を少し余した様な負け方。気性面を考慮しての距離短縮だったが、1400mでこれでは厳しい。力は有るが、調教や乗り方に工夫が要る。

サウザンサニー

シープスキンノーズバンド。前後肢にバンテージ。数字程、大きくは見せないが、馬体に柔軟性が有る。落ち着いていた点も好印象。出遅れ1馬身不利。挽回出来るスペースもなく、後方に近い位置から。今日は初芝で道悪と、ややこしい条件だったが、意外とリズム良く走れていた。ただ、直線に向いて前が壁。この馬自身も俊敏に反応出来るという訳ではなさそうだが、待って待って外へ持ち出し、エンジンが掛かったのはラスト1Fを切ってから。前2頭とは水が開いたが、それでもメンバー中、最速の上がりで3着確保。中々渋太い。アテに出来るタイプではないかも知れないが、何度か大穴を開けてくれるタイプ。

ミルトクレイモー

前肢にバンテージ。前駆の勝った体型だが、皮膚を薄く見せて、デキ自体はいい。ただ、今日はかなり煩かった。好発。頑張れば行ける筈の馬だが、距離面を意識したとのことで、矯めて乗られて中段から。コントロールは利いていたが、道中はそれなりに力んでいた。直線は外へ持ち出し、ジリジリ伸びて来たが、内にモタれており、その分、伸びが甘かった。上位馬が道中で内目を回っていたの対し、こちらはずっと外を回っており、能力面でそこ迄見劣るという訳でもないだろうが、気性面はネック。距離も1200mの方がいい。

アームズレイン

前後肢にバンテージ。トモが張って、馬体は迫力充分。ただ、ダート馬の様な歩様。少し硬さが有った。ゲートは五分程度だったが、積極的に乗られてハナ。ただ、内から来たウメムスビが徹底先行の構えだったことも有り、3角からは2番手で我慢させる形。そのウメムスビは4角手前で脚がなくなり、直線入口で先頭に立たされたことで、尚のこと厳しい展開になった。この馬も直線入口で手前が替わっていれば、もうひと踏ん張り有ったかも知れないが、今日はこれで仕方がないところ。オープンでも通用するいいスピードは持っている。

ペースセッティング

前走と違って、少しイラつき気味。馬体はこのメンバーなら上位だが、少し左後肢の出が悪いのも気になった。出遅れたというよりは、周囲の馬が速過ぎた感も有るのだが、後手に回って、序盤はマトモに引っ掛かってしまった。鞍上も馬と喧嘩するよりはと、4角手前から前へ並び掛けて行ったが、坂が上れず失速。流れに乗れておらず、力が出し切れなかった。現状のベストはハナ。

第57回報知杯フィリーズレビュー(GⅡ)

シングザットソング

-4kg。まだ全体に筋肉が付き切っておらず、かなり細身。もう20sは増えてもいい。ただ、歩様に硬さはなく、気配は良かった。今日は好発。ただ、出脚自体がそこ迄速くないことも有るが、行きたい馬が多く、無理せず好位。道中の行き振りは決していいとはいえなかったが、4角手前から外をジワッと動いて、自分から勝ちに行く競馬。コーナーを左手前で回って、外へ張り気味になっていた反面、直線は内にモタれてと、競馬は雑だったが、一杯一杯振り切った。取り敢えずこのメンバーなら力が違ったといえる勝ち方。ただ、次走へ向けて、1F延長は歓迎しない。

ムーンプローブ

-6kg。背丈は高いが、これもまだ華奢な印象。歩様にも力強さを欠く。ただ、毛ヅヤはピカピカ。現状としてはいい方のデキ。好発も、鞍上に行く気がなく、中段やや後方から。その分、折り合いは付いていた。4角でも全く動く気がなく、直線勝負。スパッと切れるといった印象ではなかったが、仕掛けを遅らせて最後迄脚が続いた分の2着。鞍上の話では、少し馬がピリピリしていたとのことだが、大事に乗ったのが正解。今日は鞍上の好騎乗が全て。そのまま本番へ向かう様だが、掲示板に載れば奇跡といえるレベル。

ジューンオレンジ

2人曳き。後肢にバンテージ。少しテンションは高目だが、許容範囲。皮膚を薄く見せて、デキ自体がいい。歩様も悪くない。出遅れ2馬身不利。押して直ぐに挽回し、馬群には取り付いていた。押した分、多少行きたがるのは仕方がないところだが、コントロールは利いており、息は入っていた。ただ、その分、4角で動くに動けない位置。直線迄待つしかなく、前が開いたのは坂下辺りだったが、そこから一瞬の脚で惜しい3着。今日のメンバーレベルには疑問符が付くが、この馬が一番可能性は有りそう。

ルーフ

-4kg。良くいえばスッキリと出来ていたが、これ以上、減ると厳しい。現状でギリギリ。ただ、少し頭が高く、少し非力な印象も。ゲートは五分程度。この馬の出脚で中段から。折り合いも付いて、揉まれない位置で競馬出来た。4角でシングザットソングの直後。展開的には絶好の形で、一旦は2番手に上がりながらも、最後に外から2頭に差し込まれて4着止まり。今日はガレ気味だったことも影響していた筈で、経験や馬の造りで何とかなる範囲だろうが、今日の内容だけをいえば1400mは1F長い。

イティネラートル

+4kg。410kgの馬だけに、少しでも増えたのはいい傾向。背丈が低いだけで、比較的胴長の造り。動き自体も伸びやか。ゲート五分。2歳時は先行していた馬だが、今日は出脚を使わず、中段のイン。これはこれでスムーズに流れに乗れていた。4角の捌きも問題はなく、シングザットソングを追える位置だったが、馬格の有るルーフに外から被されそうになり、それをハネ退ける力はなかった。器用さは有りそう。次走は新装京都へ向かう様だが、平坦の方がいい筈で、圏内の1頭に。

ブトンドール

+12kg。牝馬にしてはドッシリ見せるタイプで、馬体増は気にならない。少し完歩の小さい歩様も何時も通り。ゲート五分。出脚も有る馬だが、無理せず中段やや後方から。ただ、直線に向いて、内にモタれており、マトモに追えないままゴールを迎えてしまった。これ迄右回りしか走っていないのだが、初めて見せた悪癖。今後は調整に工夫が要る。

第59回金鯱賞(GⅡ)

プログノーシス

前後肢にバンテージ。垢抜けた馬体。このメンバーに入れば、馬は一枚上。一歩一歩踏みしめる様に歩いていた点も好印象。例に依って出遅れて後方から。特に出した訳ではないが、今日は少し行きたがっており、宥めながらの追走。ただ、それ以外の小細工はせず、正攻法で直線は外から。坂下辺りで既に勝ったかの勢いで、内のフェーングロッテンも渋太かったが、3/4馬身差交わして重賞初制覇。今日のメンバーなら力が一枚上だった。ただ、課題が多い。特に大外枠にも関わらず、出遅れて引っ掛かったのが頂けない。GⅠ常連組との相手関係も未知数。

フェーングロッテン

遮眼革。馬体はスカッと見せながら、歩様にも力強さが有った。集中して歩けており、気配も良かった。ゲートは五分程度。内の様子を窺いながら、少し押してジワッとハナ。単騎で1000m通過60.9秒のスロー。4角から坂下に掛けて、一旦は引き付け、そこから好位勢は全て突き放しているのだが、最後にプログノーシスの決め手に屈して2着。自分の競馬は出来たが、頭が高いので、いい脚が長く続かない。能力そのものはこのメンバーでも遜色はないが、基本的には小回り向き。香港遠征も視野に入っている様だが、坂が有る阪神の方が持ち味が行かせる気がしないでもない。

アラタ

オーストラリアンブリンカー。-20kg。前走中山戦が太かっただけで、絞れたモノ。皮膚を薄く見せて、毛ヅヤも良くなった。ゲート五分。直ぐ外のマリアエレーナの方が出脚は速かったが、譲らずに2列目のイン。序盤こそ少し行きたがっていたが、直ぐに折り合いも付いた。ただ、直線に向いてフェーングロッテンに並び掛ける脚がなく、3着確保がやっと。フェーングロッテンとは登坂力が違っていた。中京でも勝っているが、平坦の方がいい。平坦のローカル重賞なら何処かでチャンス有る筈。

ハヤヤッコ

-6kg。後肢にバンテージ。白毛だけに分かり難い部分も有るが、数字分だけスッキリした印象。歩様に硬さもなく、特に気になる部分はなかった。ゲート五分。出脚はない馬で、最後方から。ただ、行きたがっていたのか、微妙に緩い馬場を気にしていたのか、序盤は流れに乗れていなかった。4角で外へ持ち出して、直線入口でプログノーシスの直後。スパッと切れるタイプの馬ではないが、外からジリジリ伸びてここ迄。今日はスローの上がり勝負となっただけに、尚のこと評価出来る。この手の馬は中々国内で勝ち切ことが難しく、海外へ目を向けるのもひとつの手。

ディープモンスター

どちらかといえばマイラー寄りの体型にも見えるが、その割にトモが甘そうな歩様。小走りが入って、少し気負ってもいた。ゲートの駐立は怪しかったが、何とか五分に出て好位。道中は宥めながらの追走。何とか我慢させたが、直線に向いてずっと前が壁。前が開いた時には競馬が終わっていた。引っ掛かる気性も不利を招いた一因では有るが、不完全燃焼の一戦。

マリアエレーナ

少しテンションは高いが、424sの割に馬を大きく見せるのがいい。デキに関してはケチを付けるところはない。前述した様に、アラタより出脚は速かったが、無理せず3列目から。折り合いも全く問題はなく、あとは直線で伸びるだけだったが、行くところ行くところが狭くなってしまい、競馬にならなかった。次走阪神戦で改めて。

第41回ローレル競馬場賞中山牝馬ステークス(GⅢ)

スルーセブンシーズ

前肢にバンテージ。+4kg。骨格のしっかりした馬で、その割に馬が薄いのだが、少しでも増えるのはいい傾向。もっと増えてもいい位。ただ、例に依ってテンションが高い。出ッパも微妙に悪かったが、鞍上に行く気もなく、中段から。序盤は少し行きたがっていた為、馬を前に置いて折り合いを付け、2角から何時でも動ける外へ。3〜4角中間から、外をジワッと追い上げ、坂下で先頭。完勝といえる内容だった。これ迄はどちらかといえば、一瞬の脚を生かすタイプだったが、馬がしっかりして来た分、末脚の持続性が出て来た。ただ、今後暫く使うところがない。無理矢理マイルを使ってもいい方に出るとは思えないが...。

ストーリア

前肢にバンテージ。横から見ると、そこ迄大きく見せないが、馬に幅が有る。歩様も含めて、全体にパワフルさが有る。今日はゲート五分。外からウインピクシスが先行して叩かれる形になったが、立て直して中段。向正面半ばで少し番手を上げて好位。クリノプレミアムを目標に、勝ちに行く競馬だったが、登坂力でスルーセブンシーズに見劣り、2着止まり。前走東京戦がスローで不完全燃焼の競馬だったが、力は出し切れた。今日は軽ハンデも利いたとはいえ、力量的には重賞でも通用するが、課題が有るとすればゲート。前走の様に怪しい時が有る。

サトノセシル

高値安定。無駄肉がなく、バランスの取れた馬体。歩様も滑らか。気配も含めて、ケチを付けるところはない。ゲートは互角に出たが、出脚の速い方ではなく、中段のイン。アートハウスをマークする形。そのアートハウスの動きが鈍く、4角はかなり待たされる形になった。決め手がないので、尚のこと辛いのだが、それでも直線は渋太く伸びて3着確保。勝ち切る迄は中々ないが、限定戦のGⅢなら堅実。何処かでタイトルに繋げたいところ。

アートハウス

-12kg。前後肢にバンテージ。数字通り、微妙に細かったのは確かだが、落ち着きが有ったのは何より。トモの甘さもそこ迄は気にならない。例に依って出脚は速いタイプだが、行きたい馬に行かせて好位。序盤から少し行きたがっていたが、3角手前でシャーレイポピーと接触して、馬が怒る場面も有った。ハンデが見込まれていただけに、細かい不利が重なると余計に応えるのは致し方ないところ。ガッカリ感も有るが、まだ本当に良くなるのは先の馬。この経験をバネに改めて。

クリノプレミアム

+4kg。今日も変わらずスッキリとした造り。毛ヅヤが冴えて、如何にもデキが良さそう。硬さもなかった。ゲートを決め、ならばと積極的に位置を取りに行ったが、この馬としては珍しく力んでいた。馬の気に任せて、鞍上も早目早目で乗ったが、終いが踏ん張り切れず。このメンバーなら力は一枚上だが、結果的にもっと大事に乗った方が良かったか。

第60回報知杯弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ)

タスティエーラ

後肢にバンテージ。まだ細身だが、胴長の造りで見栄えはいい。手先のスナップが利いて、伸びやかさも有る。好発。出脚にも余裕有ったが、無理せず好位。道中の折り合いも全く問題はなかった。1000m通過61.0秒とペースが遅かったことに加え、この馬自身が少しズブいことも有り、4角は少し早目の進出。坂下で先頭に立つと、後続をシャットアウト。今日のメンバーレベルにかなり疑問符が付くとはいえ、完勝といえる内容。胸を張って本番へ向かえる。あとは、ペースが速くなった時と、相手関係だけ。中山で余程レベル差を感じさせる負け方なら別だが、東京でも有力馬の1頭に。

トップナイフ

-10kg。元々軽い造りの馬で、馬体減はあまり感心しない。どうしても馬が薄い印象が残る。毛ヅヤは冴えていて、見た目の割に一歩一歩しっかり歩けていたのだが...。少し出しつつ、内の馬を叩いて一旦はハナ。ただ、外からゴッドファーザーが来て、番手で我慢させる形。これは失敗だった様で、3角辺り迄、馬が力んでしまっていた。逆にいえば、これだけロスが有りながら、直線に向いて、狭いところをコジ開ける場面が有っただけでも立派。最初からハナだったらあっさり押し切っていただろう。能力は持っている。馬体減が悪い方に出なければ次走有力。

ワンダイレクト

もう少し全体に成長が欲しいところ。皮膚を薄く見せて、現状のデキ自体はいいが、筋肉が付き切っていない。歩様も微妙に甘い。アオり気味に出て、出脚が鈍ったことも有るが、行く気もなく後方から。直ぐに外へ持ち出し、何時でも動ける態勢に。2角では既に中段に居た。3〜4角中間からタスティエーラを目標に進出。一瞬は突き抜けるかの勢いだったが、坂が上れず失速。2着すら確保出来なかった。前走中京戦はソラを遣った様にも見えたのだが、今日の内容は明らかに体力不足。権利は取ったので、GⅠへ向かうことになるが、500万も怪しい。

アームブランシュ

-10kg。オーストラリアンブリンカー。数字は絞れたとみていい。どちらかといえばマイラー体型だが、馬を大きく見せるのがいい。ただ、小走りが入って、少しテンション高目。1完歩目が遅く、最後方から。最初は馬群にも取り付いていなかったが、向正面で前との差を詰め、最後迄ジリジリ伸びていた。4角でステッキが飛んでいた様に、勝負どころでの反応が鈍いという話も有る様だが、今日の様な鞍上の工夫で何とかなる範囲。ワンダイレクトより、こちらの方が内容は上。500万は勝てる。

フォトンブルー

+8kg。524kgの割に背丈が低く、良くいえば馬に幅が有る。歩様に力強さが有って、下見の雰囲気だけを言えばダート向きだが、休ませて良くなったことは確か。ゲートを真っ直ぐ出なかったことも有るが、出脚がなく、後方からジックリと。全体に仕掛けが早い中で、仕掛けも遅らせ気味。最後の最後に一瞬だけ脚を使って掲示板を確保。ここ2走は500万でも競馬にならなかったが、確実に成長はしている。

第18回夕刊フジ杯オーシャンステークス(GⅢ)

ヴェントヴォーチェ

前肢にバンテージ。この相手なら馬のスケールで上位。ただ、一息入った分、少し造りが緩い印象。ゲートで微妙に安目を売って中段から。ペース自体はそこ迄速かった訳ではないが、馬群がバラけて揉まれずに競馬が出来た。兎に角今日は道中の手応えが抜群で、持ったままで4角先頭に並び掛け、坂下で抜け出すと、あとは独走だった。今日は些かメンバー低調だったとはいえ、これで胸を張って中京戦へ向える。ただ、左回りの経験がない点は懸念事項。あの回り脚が左回りでも出せる様だと面白いのだが。

ディヴィナシオン

前後肢にバンテージ。-4kg。オープンでスプリントを走る馬としては迫力不足。歩様にも力強さに欠く。これもゲートが速かった方ではなく、中段やや後方から。前述した様に、馬群がバラけ気味だったことを上手く利用して、3角過ぎから外へ持ち出してヴェントヴォーチェに付いて行く形。今日はこの判断がドンピシャ。上手く捌いて2着確保。ただ、頭の高い走法で、最後は詰められ気味だった様に、いい脚が長く続かない。2走前の中山戦が6着ながらメンバー中、最速の上がりで、このメンバーでもやれる下地は有ったが、展開には左右される。

エイシンスポッター

-6kg。数字としてはこれ位がベストか。この時期にしては毛ヅヤが冴えているのがいい。気配も何とか堪えが利いていた。これも半馬身程出負けして後方に近い位置。4角の手応えが怪しく、ディヴィナシオンに付いて行くのもやっとだったが、直線に向いてからの脚は重心が低く、しっかりしており、3着確保。坂を上る脚も確かで、もう少し早くエンジンが掛かっていたら2着有った競馬。準オープンを勝ってからの参戦だったが、重賞でも足りる。

マリアズハート

トモを大きく見せて、馬体は目立っていた。目を剥いて、気負っていた。激しくイレ込むと迄は行かないが。この馬としてはゲートを出た方だが、出脚がなく、後方から。大外枠だった割には馬群が縦に長くなった分、コースロスは最小限に留められたが、それでも4角は大外。エイシンスポッターと一緒に伸びて来たが、そのエイシンスポッターが交わせそうで交わせず4着止まり。差し一手だが、堅実は堅実。何時、重賞で突き抜けてもおかしくはないが、1000mの方がその確率は高そう。

ジュビリーヘッド

遮眼革。少しチャカついていたが、スプリント戦だけに許容範囲。馬体そのものは均整が取れて悪くない。外から来た速い馬も居たが、この馬の出脚で好位。ただ、4角でヴェントヴォーチェには回り脚でやられており、そこへキミワクイーンも居て、挟まれそうになったのが痛かった。直線の脚だけをいえば、それ程差はなかった。中山巧者として1番人気に推されていたが、重賞だとちょっとした器用さが足りない印象。過去の戦歴から、あまり時計が速い決着も歓迎しない。出来れば1分8秒台で決まってくれた方が良績が多い。

ナランフレグ

+15kg。昨年もそうだったが、冬場は絞り辛いのか、腹回りがボテッと映る。馬に活気が有って、デキは問題ないのだが。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から。今日は道中の手応えもイマイチだったことも有るが、行くところが全て壁。59kgを背負っている状況で、イチイチブレーキを掛けていては競馬にならない。次走改めて。

第30回チューリップ賞(GⅡ)

モズメイメイ

無駄肉なくキッチリ出来ていたが、この時期だけに本来ならもう少し増えてもいい。集中して歩けていた点は好印象。好発。出脚も速く、スッとハナ。出脚で決着を付けたことも有って、1000m通過59.9秒のスロー。4角から少し早目に後続を突き放しに掛かり、坂を上って右手前となって苦しくなったが、一杯一杯振り切った。しっかり権利を取れたのが何より。ただ、今日は少し道中で行きたがっている様にも見えた。気性的に苦しくなって来た部分も有りそう。次走は相手関係よりも、状態面が鍵となる。

コナコースト

-4kg。少し細い位の造りだが、馬自体はこのメンバーなら上位。毛ヅヤも冴えていた。現状のデキもいい。歩様もスムーズ。ゲートは五分程度も、出脚が速く、楽に好位。ただ、引っ掛かりそうな気配が有り、前に馬を置いて我慢させる形。これで直ぐに折り合いが付いた。スローで上がりの速い展開となり、全馬が伸びている状況で、中々前との差が詰まらなかったが、坂を上り切る手前辺りから加速して2着浮上。惜しい競馬。競馬が上手く、阪神でもソコソコ勝負になりそうだが、より確率が高いのは距離が延びる東京。

ベリファーニア

シープスキンノーズバンド。関東馬だが、ノンビリと歩けていた。不格好な馬が多いモーリス産駒だが、スマートな造り。歩様が伸びやかなのもいい。出遅れ半馬身不利。ただ、最初から口を割って行きたがっており、その間に好位。何とか3角過ぎに折り合いが付き、直線も最後迄ジリジリ伸びていた。鞍上の話ではノド鳴りの影響で苦しがっていたとのことだが、見た目には決め手の差でやられた印象。一般論として、この内容だけで判断すれば距離が延びた方がいいが、ノド鳴りが本当なら当然ながら距離は短い方がいい。

ルミノメテオール

2人曳き。+4kg。背丈が低い影響で、446kgの割にコロンとした体型。気配は良かったが、少しトモが甘い。好発。ただ、出脚は他馬の方が速く、あくまで枠の利でモズメイメイの番手。出脚がない分、出して行っており、少し道中は力んでいた。それでも直線に向いて、絶好の形だったが、追ってからがもどかしい位甘かった。トモが甘いので、現状はもっと矯めて乗った方が良さそう。現状は成長待ち。このままだとオープンでは通用しない。

ルカン

シープスキンノーズバンド。数字通りの小さい馬体。小柄な馬に有り勝ちな歩様の硬さはなく、非力な印象もない。落ち着きも有った。出脚は速い方ではなかったが、スローを嫌って、鞍上の判断で2番手へ。行かせた割には折り合いが付いてスムーズに運べたが、直線に向いてアラアラかに見えた手応えが坂下辺りで復活、伸び出したのは良かったが、外からコナコーストに来られて手綱を引っ張る形になったのが痛かった。直線は何度も手前を替えており、今日の競馬だけでは能力面の判断が付き辛い。逆にいえば、何か秘めたモノは有りそう。未勝利の身で重賞に使いたくなる気持ちも分からないではない。

第97回農林水産省賞典中山記念(GⅡ)

ヒシイグアス

+14kg。デビュー以来、最高体重だが、むしろスッキリと出来ていた。一歩一歩にブレがなく、体幹が強いのがいい。ゲートで分が悪かったことも有るが、行きたい馬が多く、中段やや後方。早目に割り切った分、この枠でもインに入れることは出来た。ハイペースだった前走阪神戦でも付いて行けた位だから、今日も行き振りは良過ぎる位。直線だけスタニングローズの外へ持ち出されると、1頭だけ登坂力が違っていた。流石、中山巧者というべき内容。平坦コースより、坂が有った方が持ち味が生きる。レース直後の段階では次走未定だそうだが、阪神戦なら有力馬の1頭に。

ラーグルフ

2人曳き。前後肢にバンテージ。+4kg。前走も少しボテッと映ったが、今日もそのまま。水平首を保って、気配が悪くないのも前走同様。ゲート五分。出脚はソコソコ速かったが、外枠故に直ぐに引いて後方から。道中は揉まれない位置でスムーズな追走。内に居たヒシイグアスは鞍上の意識に有ったか、フタをするイメージで乗られ、その点は上手く行ったが、直線に向いてヒシイグアスの進路が出来てしまい、届かずの2着。前走内容はお世辞にもそれ程強いとは思えなかったが、1800mに短縮して、折り合いがしっかり付いた面が大きい。勿論、登坂力も有る。逆にいえば2000mだと乗り方に工夫が要る。

ドーブネ

少し寸が詰まったマイラー体型。歩様に伸びがない。首を使って歩けており、気配は良かったが。シュネルマイスターと接触して、1完歩目は決して速くなかったが、出脚と枠の利でカバーしてハナへ。1角手前では先行激化しそうだったが、1角迄に距離のないコース形態に救われ、そこからは単騎。1000m通過ジャスト1分と、スローに近い流れに持ち込み、4角迄単騎で回って来れたが、直線に向いて外へモタれていたのが痛かった。惜しいといえば惜しいが、開幕週だったことも考慮すれば、今日の展開で勝てないと勝てるところがない。このメンバーだと少し足らない。

シュネルマイスター

+14kg。腹回りがボテッとして、明らかに太いが、張りは有る。動き自体もキビキビ。デキ自体はむしろいい方。前述した様に、スタート直後にドーブネと接触。前からブツけられる形となり、こちらの方が痛い不利。ただ、内枠の馬に先行した馬が多かった分、中段位置は確保出来た。ただ、これで1列後ろになったことが、4角から直線での不利を招いてしまった格好。4角でダノンザキッドをパスするのに少し手間取り、直線に向いてもイルーシヴパンサーと同じ位置を狙ってマトモに接触する場面。一瞬は突き抜けるかの勢いだっただけに勿体なかった。力は持っているが、今日はこれで仕方がないところ。

スタニングローズ

+6kg。この馬にしては少し煩い部類。毛ヅヤが悪いのは仕方がないが、馬体も少し緩慢。歩様にも力強さを欠く。出脚は一番速かった位だが、ドーブネとショウナンマグマが主張して3番手から。下見で気負っていても折り合いは付く馬で、前に壁がない状態だったが、流れに乗れていた。ただ、追ってからがジリジリ。明らかに登坂力で見劣った。堅実だが、このメンバーだとワンパンチ足りない印象。ただ、前々走阪神戦に負け過ぎ感が有り、軌道修正には成功。次走は阪神戦とのことだが、内枠が当たってセコい競馬が出来ない限りはかなり厳しい。

ソーヴァリアント

+12kg。元々胴長でスラッとしたタイプだが、数字分だけフックラ。ただ、シュネルマイスターと違って、張りがない。歩様は悪くないが。先行争いに首だけ突っ込んでいたが、外から来られて、少し引く形。道中の折り合いも付いて、4角の雰囲気も悪くなったが、いざ追ってからが案外。初の1800mが合わなかったことも有るだろうが、今日はGⅠ級が揃っており、マトモだとこの程度なのかも。

ダノンザキッド

2人曳き。524kgの割に馬に迫力がない。歩様も硬目。イレ込みネックの馬が、何とか堪えてはいたが...。ゲート内の駐立が悪かったが、五分に出て好位のイン。ただ、道中は結構力んでいた。4角で既にアラアラの手応えで、競馬にならず。ゲート再審査ということで何れにしても1か月の出走停止だが、暫く掛かりそう。

第67回阪急杯(GⅢ)

アグリ

連勝馬にしてはノンビリしていたが、馬はここでも負けていない。手先のスナップが利いて、歩様にバネを感じさせる。ゲート五分。出脚は一番速かった位だが、内からメイショウチタンに粘られて、2番手に引く形。1000m通過56.4秒とソコソコ速い流れだったことも有ったが、これでも折り合いは付いていた。坂下で先頭に立ち、流石に最後は脚が上がったが、クビ差凌ぎ切った。色々教え込んで来たとのことで、2番手でも競馬は出来たが、鞍上の出し方を見るとベストがハナということなのだろう。中京戦へ向かう様で、1200mの方がいいのは確かだろうが、手の内を見せた感が有るのがどう出るか。

ダディーズビビット

-12kg。少しでも絞れたのはいい傾向だが、見た目にはまだ腹袋が目立つ。それでも筋肉の輪郭は浮いており、デキ自体はいい。ゲートは微妙に分が悪かったが、出脚でカバーして好位を確保。内ラチ沿いからセコい競馬が出来た。アグリが早目に抜けてくれた点も、直後に居たこの馬には理想通り。3着以下に4馬身差を付けて際どく追い詰めたが...。逆にいえばこれで勝てなかったのだから、言い訳がない。デビュー当時から競馬センスの高い馬で、堅実には走ってくれているが、重賞で勝ち切るにはもうワンパンチが欲しい。

ホウオウアマゾン

-4kg。見た目に変化が有る訳ではないが、少しでも絞れたのはいい傾向。このメンバーなら馬は上位。外枠だったことも有るが、1400mだと出脚が足りず、3番手から。3角迄はスムーズだったが、4角で少し置かれ加減。一瞬はグレナディアガーズにやられそうになっていたが、坂下辺りから盛り返して3着。前には水を開けられただけに、見た目は悪いのだが、これはこれで評価出来る内容。最近の体たらくを考えればキッカケは掴めたといえそう。尤も、次走は豪州遠征とのことで、走ってみないと分からないところ。

グレイイングリーン

+10kg。全体に馬が薄くて、特にトモが淋しい。見た目にはもう20s増えてもいい位。その割に歩様は悪くないが。出脚で差が有って、後方から。道中もところどころでオッツケる場面。直線に向いてからも中々手前が替わらず、モタついていたが、坂を上り出した辺りで左手前なってから、伸び出してここ迄。元々がこういうタイプの馬だが、これだけズブいとマイルの方が良さそうな印象も。

ショウナンアレス

シープスキンノーズバンド。連闘。546kgの馬だが、無駄肉がなく、キッチリ出来ていた。キビキビ歩けていて、気配の良さも目立った。出脚で差が有って、後方に近い位置。最初からインへ入れて、イチかバチかの競馬。インを狙った割にはスムーズに捌いて来れたが、伸びはもうひとつだった。ただ、準オープンでも微妙に甘い馬で、重賞でも入着だから、相手なりということも出来る。ただ、厩舎が解散した関係で、転厩が決まっており、次走は何とも。

グレナディアガーズ

前後肢にバンテージ。馬振りの良さは流石というところだが、今日は妙に歩様が硬いのが気になった。出脚はソコソコある馬で、出たなりで好位から。ただ、コーナーで外へ張り気味だった上に、少し行きたがっていた。4角を回って格好は付けたが、直線は伸び切れず。もっと矯めた方がいいのだろう。ただ、次走中京戦は1200mに短縮、今日の粗相がいい方に出る可能性も。

第40回フェブラリーステークス(GⅠ)

レモンポップ

2人曳き。後肢にバンテージ。馬体は前走と大きくは変わらず。迫力は有るが、どちらかといえば寸詰まりの体型でスプリント色が強い。ただ、気配は前走の方が良かった。今日は好発。出脚も有る馬だが、無理はせず好位から。ただ、大事に乗られたことでペース自体が上がらず、余計に他馬のマークが厳しくなった面は有ったか。それでも4角で外のフタになっていたセキフウをパスして進路を確保。追い出しを待つ余裕も有り、ラスト300mで抜け切ってからは独走だった。今日は前走と違って、ゲートが決まったのが勝因。距離に不安の有る馬が多い中で、力通りに決まった印象。ただ、距離こそこなしたが、一戦毎の消耗が大きそうな印象がどうしても付き纏う。UAE遠征が視野に入っているとのことだが、陣営の手腕が試される。

レッドルゼル

前後肢にバンテージ。気配も良かったが、歩様もパワフル。500kgを超える馬が多い中で、スケール的には大きくないが、筋肉の張りは目立つ。好発も、恐らく最初からの決め打ちで後方から。馬群にも取り付いていなかった。4角を回り切って大外。良く伸びたが、最後は微妙に甘くなったか。前に1頭居たレモンポップを交わす迄には至らず。昨年が明らかに距離の壁を感じさせる内容だったが、その反省が今日に生きた。ただ、次走のUAE戦は1200m。昨年は2着だっただけに、今年こそといったところだが、今日の競馬で出脚が鈍らねばいいが...。この中間は調整に工夫が要る。

メイショウハリオ

前肢にバンテージ。+6kg。マイルのメンバーに入るとスカッと見せている方。元々が少し煩いタイプで、気配も何時も通り。ゲート自体もアオり気味だったが、1完歩目に躓いて落馬寸前の場面。トータル5馬身近いロス。ただ、レッドルゼルが眼前に居たのは少し競馬がし易かったか。4角を回って一緒に外へ持ち出し、近い位置にも居たが、エンジンが掛かるのが少し遅れたのも痛かった。この馬がここ迄やれるのはメンバーレベルが低いことの証左という気もしないでもないが、ゲート五分で、マイルを1回使っていたら違っていたか。

ドライスタウト

前後肢にバンテージ。-12kg。絞って来たとみていい。この戦歴で人気になるだけ有って、馬自体も負けていない。ゲートは微妙に悪かったが。押して好位。道中はレモンポップと並走する形。ただ、無理に行った分、窮屈な位置へ入ってしまった様にも見えた。直線に向いてからも、レモンポップにフタをされる形となり、前が壁になる場面。最終的にレモンポップの後を追う形になったが、伸びはジリジリだった。ゲート五分ならまた少し違っただろうが、経験不足の面が出たということもいえそう。先々は通用する筈。

アドマイヤルプス

2人曳き。遮眼革。前後肢にバンテージ。胴長でゆったりとした造り。水平首を保って集中して歩けていた。スタート直後から結構押していたが、出脚が鈍く、何とか中段。最初からレモンポップをマークする予定だった様だが、行き振りはともかく、狙っていた競馬は出来た。ただ、追ってからが中々進んで行かない。ずっとドライスタウトと競っていたが、交わせそうで交わせなかった。今ならもう1F有っても良さそうな印象。1800mに出て来た時が狙い目。

第57回小倉大賞典(GⅢ)

ヒンドゥタイムズ

チャカつくのは何時ものこと。去勢前とこの点では大差ないのだが、今回も毛ヅヤはいい。緩んだところもなく、デキにケチを付けるところはない。外のバジオウの方が1完歩目は速かったが、この馬の出脚で中段から。気性的に難しい面の有る馬だが、今日は折り合いも付いて集中して走れていた。兎に角、馬場が悪く、各馬が内を開けて走る展開だった中で、4角で内目を回って前との差を詰め、更に内から来たカテドラルの猛追も凌ぎ切った。ローカルのGⅢなら力量上位なのは周知のところだが、集中力が続く展開になったのが大きい。ラスト100mで右手前になり、一瞬ソラを遣って、止めそうになっていただけに、最大の勝因はカテドラルということになるか。何れにせよ、去勢した甲斐が有った。小倉が一番良績を残しているが、他場でもこの辺りのメンバーなら展開ひとつ。

カテドラル

+6kg。小ぢんまりと見せるのは何時ものこと。休養前と大きく変わったところはないが、歩様に力強さが少し増した気もしないでもない。例に依ってゲートが速い方ではなく、後方から。ただ、この馬としてはこれでも出た方で、流れには乗れていた。枠なりに、道中は比較的内目に居たが、3角から少しずつ馬場のいい外へ。4角でヒンドゥタイムズの直後迄押し上げ、ヒンドゥタイムズの内から併せる形。一瞬だけヒンドゥタイムズがフワッとしたところで交わし切れず、ハナ差惜敗。それでも、58kgを背負ってのものだけに立派。立ち回りが上手く行ったことも有るが、これも小倉は走る。

バジオウ

2人曳き。前後肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて、デキは良さそう。ただ、少し頭が高く、その分だけ歩様に力がない。レッドベルオーブが大逃げを打つ形になったが、馬群の先頭。いいリズムで走れていた。終始、馬場のいい外を選んで、直線も馬場のド真ん中へ。ノビノビ走れたが、内から2頭にやられてしまった。如何なる理由が有ろうとも先行した馬が外へ持ち出して負けた以上は、鞍上の責任。ただ、何故か左回りばかりを使われていたが、当地のここ2走もコーナリングは問題なかった。選択肢が広がる一戦になったということはいえる。

ロングラン

-10kg。少し腹が巻き気味。トモも薄く、この馬体減は見た目に細い。硬さがなく、気配は悪くなかったが。ゲートで安目を売ったが、外枠だけにリカバーが利いて中段から。出脚も有る程度、しっかりしている様には見えた。操縦性のいい馬で、直ぐに折り合いも付いた。道中はずっと外を回っていたが、馬群が切れた3〜4角中間で少し内目へ。決して手応えは良くなかったが、渋太く伸びて来た。デキがマトモだったら、もう少し際どくなっていただろう。勿体ない競馬。ただ、昨夏から芝に転向して4戦全て掲示板。今後も目が離せない存在。

ホウオウエミーズ

+10kg。数字分だけフックラした様にも見えるが、元々が細身の体型で、特には気にならない。踏み込みがしっかりしているのもいい。ゲート五分。出して行こうとしたら、引っ掛かりそうになり、控えて中段やや後方から。ずっと外を回るのは当然といえば当然だが、内の馬が張り出して来たことで必要以上に外を回されてしまったのが痛かった。右手前のままだったが、直線はこれでも良く差を詰めている方。どちらかといえば左回りの方がいいのだろうが、牝馬にしては距離の融通性が利くタイプで、何処へ出て来ても常に狙ってみたい馬。

第73回ダイヤモンドステークス(GⅢ)

ミクソロジー

前後肢にバンテージ。コンパクトに纏まった造り。非力な印象もなく、伸びやかな歩様。惚けた様な気配で、下見周回中は舌がハミを越していた。好発。一瞬はハナ迄有ったが、引っ掛かりそうな気配が有り、控えて好位のイン。折り合い重視で乗られた為、徐々に番手が下がって行ったが、その甲斐は有って、何とか我慢して走ってくれていた。インはないと見て、2周目4角手前から外へ。シルブロンと一緒に伸びて来たが、ラスト200mでシルブロンの脚が鈍り1頭だけに。左手前にもなって、フラつきながらだったが、ギリギリヒュミドールを捕まえて重賞初制覇。これで負けたら鞍上が叩かれるところだったが、勝ったことが何より。年に1回の東京3400mとはいえ、2戦続けてのレコードも最近では少なく、高い評価が出来る。ただ、今年は例年よりこの路線に強敵が多い。次走京都戦は今日の位置取りしか出来ない様なら通用しない。

ヒュミドール

前後肢にバンテージ。バランスが取れて、スカッとした馬体。緩んだところが一切なく、デキは良さそう。歩様もキビキビ。ゲートがアテにならない馬だが、今日は五分。ミクソロジーは叩いたが、外から来た馬も居て、全体で5番手辺りから。内で只管ジッと脚を矯めて、直線もインから。全体に馬群が外へ張り気味だったことも有り、一旦は完全に抜け切ったが、最後にミクソロジー。完璧に運んでやられただけに救い様がない結果。尤も、一昨年5着からは前進。当時はイレ込んでいたが、大分落ち着いて競馬が出来る様になって来た。ゲートさえ決まれば何処かで再度一発が有りそう。

シルブロン

2人曳き。パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。下見は最後方を周回。この距離だけに500kgを超えて小ぢんまりと見せること自体は悪くないが、かなりチャカついていた。ゲートは五分に出たが、出脚が甘く中段やや後方から。最内をキスラーに取られる格好になったが、結果的に動き易くなった面は有り、4角でミクソロジーより前へ。これでいい形になり、一瞬は勝ったかの勢いだったが、坂を上り切ったラスト300m辺りから脚勢が鈍り、3着止まり。ここでも通用しそうだが、今日は初重賞だった上に距離も初。経験の差が出た格好。

ベスビアナイト

遮眼革。+8kg。小さく纏まってキビキビといったタイプが多い中で、少し緩慢な印象。覇気に乏しいのはこの距離だけにマイナスにはならないが。ゲートが開いて、外へ張ったことも有るが、1馬身以上の出遅れ。外枠の分、リカバーは利いて、馬群には取り付いていたが、それでも後方から。馬群に取り付く迄は少し気難しそうな面も出していたが、1周目4角辺りからはスムーズに流れに乗れていた。ただ、レコードが出る馬場でずっと外を回されていては勝負にならない。ただ、元々ジリッぽいタイプで、今日の様な競馬の方が合っていることも確か。重賞で勝ち負けに持ち込むには展開の助けが要る。

レクセランス

前後肢にバンテージ。この時期にしては毛ヅヤがいい。トモのボリューム感と、しっかりした歩様は目立つ。半馬身程の出負け。ただ、1周目の3〜4角から外を回った挽回して、好位の外。出して行った割には我慢して走れていた様にも見えたが、今日の展開で伸びあぐねたのは仕方がないところ。ゲートが不安定なのはネックだが、少なくとも力負けではない。

第58回京都牝馬ステークス(GⅢ)

ララクリスティーヌ

この時期の牝馬としては毛ヅヤがいい。馬体も例に依ってスッキリと見せる。少し踏み込みが浅いのも何時ものこと。ゲートは微妙に悪かったが、出脚でカバーして好位を確保。少し力む位の行き振りは何時ものことだが、逆に3〜4角はオッツケ気味。今日は苦しいかに見えたが、それでも直線に向いてエンジンが掛かると、全身を伸ばした重心の低い走りでジワジワ伸びてハナ差先着。中々味の有る内容。東京戦直行とのことだが、この競馬なら時計勝負に対応出来そう。イマドキは1400mで実績が有る馬の方が東京マイルは結果が出る傾向。圏内の1頭に。

ウインシャーロット

+4kg。馬体の張り自体は悪くないが、少し腹回りがボテッと映る。重たい分、歩様にも伸びがない。好発。出脚も速く、楽々ハナ。この出脚を生かして道中楽が出来るのが最大のセールスポイントの馬で、今日も1000m通過57.6秒だから、そこ迄速いペースではないが、2番手以下が競り掛けて来ることもなく、持ったままで4角を回って来れた。坂下迄追い出しを我慢する余裕も有り、一旦は完全に後続を突き放しているのだが、最後にララクリスティーヌに捕まってハナ差負け。完璧に運んで負けただけに悔いが残る。ここ目標に栗東に滞在しながら、一枚重たい状態だっただけに尚更だろう。次走は再度阪神戦とのことだが、今度こそ負けられない。

ロータスランド

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。馬体はこのメンバーなら迫力上位だが、歩様は少し硬いが、一歩一歩がしっかりしていた。東京戦直行とのことだが、出遅れ1馬身不利。この鞍上だけに、極端な競馬しか考えていなかった筈で、一旦は馬群から切り離す位置迄下げて、内ラチ沿いからイチかバチかで追い込む競馬。何とか前は開いており、伸びて来たが、前も33秒台の脚で上がっているだけに届かないのは仕方がないところ。ただ、近走は走る気をなくしていた中で。ところどころオッツケ気味だったが、最後迄集中して走れていたのは収穫。キッカケは掴めた。

フェルミスフィア

−6kg。皮膚を薄く見せて、筋肉の輪郭が浮いていた。歩様にも力強さが有り、デキに関してケチを付けるところはない。口から泡を吹いて、気配も良かった。ゲート五分。出脚が甘かったことも有るが、直ぐ内のディヴィーナも似た様な出脚で、その1列後ろ、全体で11番手辺りから。動くに動けない展開で、かなり窮屈な競馬を強いられた。直線に向いて、一瞬の反応が鈍かった面は有るが、ララクリスティーヌの直後から、ジワジワ伸びていた。もう1列前なら馬券圏内有ったか。ただ、縦の位置取りとしては悪かったにせよ、それでもインに居た利もそれなりに有った筈。評価が難しい内容。次走が試金石。

メイショウミモザ

+8kg。悪い時はガレた様に見えることも有る馬だが、フックラ見せて、雰囲気は悪くない。歩様もスムーズ。ゲート五分。決して出脚が速いという訳ではなかったが、押して押して好位。例に依って頭が高い走法。坂下辺りでウインシャーロットの1馬身後方迄差を詰めたが、そこからの登坂力がなかった。まだ本当ではなさそうだが、これで引退とのこと。

第57回共同通信杯(トキノミノル記念)(GⅢ)

ファントムシーフ

前肢にバンテージ。絞れては来なかったが、馬体の張りは前走中山戦以上。歩様が伸びやかで馬に活気が有った。ゲート五分。馬の気に逆らわず、ジワッと先行。一瞬はハナ迄有ったが、タッチウッドが来て2番手に控えた際も、ムキになる様なことはなかった。4角でタッチウッドが外へ膨れ、そのアオりを受けて、多少の距離損は有ったが、それでも直線はしっかり伸びて、ラスト100mで捕まえてそのまま押し切った。前走は少し反応の鈍さが気になったが、東京に替わって先行したことで、上手く誤魔化した印象。ただ、同じ東京でも2400mとなると、もう少し決め手がないと苦しいかも。今年は傑出馬が不在だけに、馬券圏内の1頭で有ることは間違いないのだが。

タッチウッド

シープスキンノーズバンド。まだ力が付き切っていない部分もない訳ではないが、トモのボリューム感は目立つ。歩様も悪くない。出遅れ1馬身不利。先行したい馬にとっては痛恨だったが、それでも積極的に乗られて、暴走気味にハナへ。この間に500m程要しており、それなりに脚は使って、ハナへ行ってからもマトモなコーナリングすら出来ず、口向きも悪かったが、それでも直線は寸前迄頑張り通して2着。兎に角渋太かった。外国人ジョッキーが腕っぷしで保たせた部分は有るにせよ、この馬自身も相当の心肺能力を秘めている。次走、中山で単勝を買ってみる手も。

ダノンザタイガー

シープスキンノーズバンド。品のいい馬だが、やはり馬が薄いのが気になるところ。歩様もスムーズだが、力強さに欠く。ゲートは五分に出ているが、鞍上は最初から引っ張っており、好位のインで我慢させる形。ただ、今日は直線の捌きを失敗。前が開いたと思ったら、馬がモタついて塞がるパターンが数回有った。といっても脚が有れば来れた程度の不利で、要は一瞬の脚がない。中山戦はスキップして東京戦目標とのことで、少し時間は有るが、余程鍛えないと賞金加算すらままならない。

タスティエーラ

どちらかといえば寸が詰まったマイラー寄りの体型。ただ、その割に頭が上がり気味で、トモに力がない。好発。出脚も速そうだが、ファントムシーフやタッチウッドに抵抗せず、好位直後に控える形。引っ掛かり易いパターンだが、上手く折り合って走れていた。逆にいえば、それだけに直線はもう少し伸びて欲しかったところ。外へ持ち出そうとしていたダノンザタイガーを上手くブロックしただけに、せめて3着は確保したかった。追ってからの脚がジリッぽい。それでも、500万なら楽勝級。

ウインオーディン

+8kg。元々が細身で、もっと増えてもいい位。少し頭が高い分、踏み込みが浅い様にも見えるが、動き自体はキビキビ。ゲートで安目を売って後方から。まず一旦インへ入れて、徐々に前へ。途中で少し掛かる場面は有った。コーナーで距離を稼いで、4角を回り切った時点ではタッチウッドと4馬身差程度。ダノンザタイガーと違って、前も開いていたが、これも伸びはジリジリだった。とはいえ、そこ迄の差はなさそう。現状重賞で通用するとも思えないが、もう少し成長すれば。

第116回農林水産省賞典京都記念(GⅡ)

ドウデュース

体重計測の有る国内戦ではデビュー以来、最高体重だが、見た目には出来ていた。ハーツクライ産駒としては歩様がスムーズで力強いのがいい。中々これが両立しない。デビュー当時はそうでもなかったが、2000mを超えると掛かる場面が有り、今日もジックリ乗られて後方から。それでも序盤は少し行きたがる場面は有った。向こう正面から少しずつ差を詰め、4角で好位。坂下で先頭に立つと、あとは後続を離す一方だった。今日は完勝。ひと先ず悪い流れを断ち切ったのが何より。次走UAE戦へ向け、折り合い面が気にならないでもないが、2400mではなく1800mの方にしたとのことで、今日の良過ぎる行き振りはむしろ意図的な部分も有るのだろう。

マテンロウレオ

皮膚を薄く見せて、この時期にしては毛ヅヤがいい。少しコロンとした体型だが、一歩一歩がしっかりして、体幹が強いタイプ。ゲート五分。当初は逃げたユニコーンライオンの直後に居たが、外から次々に来られたことで、道中は前から5番手辺り。ドウデュースが早目に動いた関係で、インに居たこの馬は動くに動けない状況だったが、結果的にここで脚を矯められたのがいい方に出た。直線でドウデュースが突き放す形となり、好位グループの脚が止まる中、最後に脚を使って2着浮上。この鞍上らしい競馬が出来た。GⅠで勝ち負けの馬ではないが、登坂力が有るのがいい。何処かでもうひとつ位、タイトルを上乗せしたいところ。

プラダリア

後肢にバンテージ。前走中京戦と大きくは変わらず、高値安定。重心が低く、一歩一歩にブレがない。ゲートは微妙に分が悪かったことも有るが、鞍上も無理せず中段から。ただ、少し馬が行きたがった様で、2角辺りで好位の外。この位置に来てからは折り合えていた。3角辺りからはエフフォーリアを目標に早目のスパート。それでもドウデュースには並ぶ間もなく交わされたが、何とか3着には踏ん張った。賞金を加算出来なかったのは痛いが、明らかにマテンロウレオの方が上手く立ち回っており、内容とすれば互角以上。青葉賞勝ち馬はその後サッパリというケースが多い中で、異質といえる存在。

キングオブドラゴン

+8kg。また馬体増。流石に腹回りは少しボテッとして来た。前走中京戦と比較して、今日の方が気配も少しノンビリ。ゲートの駐立が悪く、ユニコーンライオンに一瞬で叩かれる形となったが、立て直して、その番手から。スムーズには走れていた。直線に向いて、前が開きそうで中々開かなかったのが少し痛かったが、最後迄ジリジリとは伸びていた。他馬に気を遣わない分、ハナへ行った方がいいのは間違いないが、ちょっとずつ競馬が上手くなっている。GⅡレベルなら圏内。何処かでタイトルが欲しい。

キラーアビリティ

+4kg。少し数字は増えたが、前走中京戦よりスッキリした印象。悪くいえば少し迫力に欠く。ただ、落ち着きが有った点は何より。出脚はエフフォーリアより速かったが、行く理由なくエフフォーリアを壁にして我慢させる形。多少力むのは仕方がないところだろう。直線に向いてドウデュースに一気に交わされたが、これで進路が出来ただけにこの5着は何とも微妙な結果。現状の能力自体が大したことないといえばそれ迄だが、距離も長い。

エフフォーリア

-8kg。前走中山戦が一枚重い状態で、狙い通り絞れて来た。毛ヅヤも冴えて、歩様も力強い。今日は文句なし。珍しくゲートを決め、積極的に乗られて2番手から。折り合いも付いて、道中の感じも悪くなかったが、4角からズルズル後退。結局ゴールすら出来なかった。心房細動発症とのこと。出来れば何処かで流れの悪さを断ち切っておきたかったが、これで引退とのこと。

第58回デイリー杯クイーンカップ(GⅢ)

ハーパー

2人曳き。オーストラリアンブリンカー。-12kg。明らかに腹が巻いていた。歩様が悪くなく、イラついていなかったのは救いだが...。ゲートは少しヨレたが、出脚でカバーして中段やや前辺り。揉まれたという程ではないにせよ、内外前に馬が居て楽な形ではなく、特に4角は窮屈そうに走っていた。それでも直線に向いて少し外へ持ち出して進路を確保すると、最後は内にモタれながらも3頭の追い比べを凌ぎ切った。未勝利脱出即重賞勝ちという点は高評価が必要だが、次走阪神戦ヘ向け、馬体減が本番でどう出るか。リバティアイランドが居て、この鞍上が乗れない点も痛いところ。

ドゥアイズ

迫力はないが、コロンとして、コンパクトに纏まっている。一歩一歩がしっかりしているのが特徴。集中力も有り、完成度が高い。出脚が速いという訳ではなさそうだが、押して好位を確保。上手くインへ潜ってセコい競馬が出来た。直線に向いて追い出されると、一瞬は抜け切っているのだが、最後は決め手の差。ただ、止まってズルズル行きそうだったところから踏ん張っての2着という見方も出来るだろう。距離は延びた方がいいタイプ。ひと先ず阪神戦へ向かう様だが、そのあとの東京戦で狙ってみたい。賞金を加算出来たのも何より。

モリアーナ

2人曳き。下見だけパシュファイヤー。前肢にバンテージ。マイラー体型だが、この時期の牝馬としてはトモは張っている。歩様も力強いといえる程ではないが、悪くはない。前走阪神戦が道中で力んでいたことも有り、今日は中段やや後方からジックリと。中間の調整も工夫したのだろうが、道中は少しオッツケる場面も有った程で、少なくも行きたがる場面はなかった。直線だけ外へ持ち出され、ラスト300m位では突き抜けたかの勢いだったが、寸前で甘くなって3着止まり。差す競馬の方が合っていることは間違いないが、それだけに今日は勝ちたかったところ。体力強化すればまた違うのだろうが、現状は脚の使いどころが難しい。

イングランドアイズ

下見は最後方を周回。-6kg。426kgの馬だけに減るのはいい傾向ではないが、見た目には細くない。むしろ数字の割に良く出来ている馬だが、今日は少しイラつき気味。出遅れ1馬身不利も、押して中段から。出した分、行きたがる場面が有ったのは仕方がないところ。追って、暫く前が壁だったことも有るが、頭が上がる場面も有り、この馬自身もモタつく場面が有ったのが痛かった。最後の最後は良く差を詰めている。もうあと100m早くエンジンが掛かっていたら、差し切っていただろう。今日、負けたことで一旦放牧に出して立て直す様だが、もう少しパワーアップしてフォームが安定して来れば大化けするかも。

グランベルナデット

2人曳き。508kgの大型馬だけ有って、迫力は有るが、少し太いかも。腹回りは幾らかボテッと映る。その分、歩様も微妙に窮屈。ゲートでアオッて出遅れ1馬身不利も、押してイングランドアイズと一緒に上がって行って、中段やや後方から。直線はそのまま外へ持ち出したが、ジリジリと伸びてはいたものの、前を捕まえる迄には至らず。一枚太い状態の大型馬だけに瞬発力に欠く面は致し方ないところ。それだけに出遅れが痛かったということになるが、マイルにもちゃんと対応出来た点は収穫。レースセンスは有る。