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競馬回顧 2023年2回阪神

第83回皐月賞(GⅠ)

ソールオリエンス

大物感が有るという訳でもないが、元々がスカッと見せて、垢抜けた造りの馬。今日もキッチリ出来ていた。歩様も含めて、減点材料はない。五分の発馬も、最初から鞍上に行く気がなく、後方から。最内枠だったが、決勝線の段階で外に居た。そのままずっと外を回して、直線も大外。4角を回っている際に手前が替わり、外へブッ飛びそうになって、かなりのロスが有ったが、それでも立て直されて追われると1頭違う脚で突き抜けた。道悪で力を発揮出来てない馬も居た筈で、ハッキリしない部分も有るのだが、今日のパフォーマンスだけをいえば圧勝といえる。東京戦でも人気になるだろうが、特殊な馬場と展開での鮮やか過ぎる勝ち振り故に過信も避けたいところ。あとは時計面もどうか。

タスティエーラ

2人曳き。-6kg。緩んだところが一切なく、毛ヅヤもピカピカ。完璧に仕上げて来た。今回、ベストターンドアウト賞はなかった様だが、有ればこの馬だっただろう。出脚は有る方だが、最初から宥め気味に好位直後。油断すると引っ掛かりそうな気配が有り、1角迄真っ直ぐ走らせて、馬群からも離し気味にしていた程。その甲斐有って、何とか1角で折り合い、4角で馬場のいい外へ持ち出す余裕も有った。直線もしっかり伸びたが、更に外から飛び道具にやられては仕方がないところ。ただ、前が総崩れに近い状態での好走は評価に値する。次走東京戦へ向け、競馬の上手さを含めて、ソールオリエンスと同等の評価が必要。

ファントムシーフ

前後肢にバンテージ。-8kg。少しでも絞れたのはいい傾向だが、変わらず張りも有った。ただ、前走東京戦と比較すると少し歩様が硬い。ゲート五分。出脚も悪くなさそうだったが、行きたい馬に行かせている内に番手が下がり、中段やや後方から。ただ、向正面で落鉄したとのことで、3角辺りからノメッて手応えが悪くなり、4角辺りから鞍上は無理矢理外へ持ち出そうとしていたにも関わらず、馬は内にモタれてしまっていた。鞍上の技術で可能な限り、矯正して3着を確保したが、勿体ない競馬。落鉄云々の件を別にしても、東京の方がいいかも。これも圏内の1頭。

メタルスピード

前肢にバンテージ。500kgを超える馬としては、小ぢんまりと映る。伸びやかな歩様で、デキにケチを付けるところもないが。ゲートは出たが、外枠ということも有り、無理せず中段から。枠なりにずっと外を回し、タスティエーラを目標に追われる形。直線に向いて直ぐの反応が良く、一瞬は勝ったか位の勢いだったが、坂が上り切れず、上り切ってからはフラフラだった。過去の戦歴から判断すれば大健闘。力を付けているということにはなるが、この内容のままだと東京戦では通用しない。

ショウナンバシット

馬に活気が有り、毛ヅヤも冴えて、デキ自体は良さそう。ただ、まだ馬体にメリハリを欠き、成長途上。歩様も少し甘い。ゲートがアオり気味だった割に、出脚は悪くなかったが、鞍上に行く気がなく後方に近い位置。内ラチベッタリという訳でもなかったが、外へ持ち出せる様な状況でもなく、4角迄ずっと内目。ところどころでノメる場面は有った。4角で上手く捌いて、直線は馬場の3〜4分どころ。入口ではタスティエーラと併せ馬になりながらも、坂下で突き放されたが、そこからも渋太く食い下がっていた。馬体の若さからまだ一線級という評価はし辛いが、タスティエーラが好位勢の最先着なら、こちらは内を回った組の最先着。その分の評価は必要。

フリームファクシ

2人曳き。前後肢にバンテージ。トモにボリューム感が有って、馬の迫力では上位の存在だが、まだ緩慢さが残る。落ち着いていた点は何よりだが。1完歩目が遅かったが、押して中段やや後方。折り合いが課題の馬だが、完璧ではないとしても、この馬としては我慢して走ってくれていた。ただ、3〜4角の手応えがイマイチで、直線も伸び案外。前走中京戦時にも述べた通り、多頭数の経験がなく、道悪自体というより、馬群の中で色々窮屈な競馬を強いられたことが馬のヤル気を削いだ印象。掲示板を外した組では、まだ救いの有る負け方。東京戦へ向け、今日の競馬自体がいい経験にもなった筈。

べラジオオペラ

2人曳き。シープスキンノーズバンド。筋肉の輪郭がしっかり浮いて、デキの良さは目に付いた。歩様もちから強く、下見は文句なし。ゲート五分。少し出して好位から。記録上はハイペースで前を追い掛け過ぎたということにはなるが、少なくとも序盤はリズム良く走れていた。ただ、2角でタッチウッドに来られたのが誤算。向正面半ば過ぎから既に手応えが怪しくなっており、4角で既にズルズルになっていた。4角の後退振りを考えると、これでもまだ直線は踏ん張っている方。今日はいいのか悪いのか何とも言えない部分が多過ぎて、参考外。

ダノンタッチダウン

+4kg。もう20sは絞ってもいい位。馬自体はいいが、明らかに腹回りがボテッとして、今日は戦前から期待出来そうになかった。ゲート五分。少し出して行って好位から。基本的にはべラジオオペラをマークする様な形。ただ、4角でアラアラになり、直線は全く追っていなかった。故障ではないとのことで、次走マイル戦に向かう様だが、馬体が絞れれば狙ってみる手も。

第28回アンタレスステークス(GⅢ)

プロミストウォリア

後肢にバンテージ。+4kg。雄大な馬体の持ち主で、GⅢのメンバーなら馬は上位だが、今日は明らかに緩かった。ゲートを決め、少し出してハナへ。ただ、1000m通過59.4秒と、ペース自体速かったが、それ以上にメイショウカズサに来られて、道中は結構苦しい展開。それでも4角で後続を突き放し、直線はこの馬自身もかなり苦しそうだったが、それでも一杯一杯振り切った。59kgを背負ってのモノだけに、文句なしの内容。胸を張って大井へ向かうことになるが、昨年59kgで勝ったオメガパフュームが得意の大井で凡走した様に、反動は少し案じたいところ。当時のオメガパフュームとは立場が違うとはいえ、今日はそれ位キツい競馬。

ヴァンヤール

緩いと迄は行かないが、造りにメリハリがない。姿勢も少し高く、その分、歩様に伸びがないのも気になった。ゲートはアオり気味だったが、出脚自体は悪くなく、立て直しが利いて少し押して好位直後。道中はスムーズに運べた。ただ、人気を背負ったプロミストウォリアがハナを切っている展開で、全体のペースだけでなく、各馬の仕掛けも早目なのだが、そこでワンテンポ待ったのが正解。直線に向いてから追い出されると、プロミストウォリアに迫り、半馬身差の2着迄追い上げた。元々は少しズブい位の馬だったが、馬が重賞のペースに慣れて来た印象。もっといえば、鞍上の実力強化も大きいだろうが。

キングスソード

-6kg。馬体に重厚感が有って、見た目には悪くない。トモの送りが少し硬い気もしないでもないが、ダート馬としては許容範囲。1完歩目は速かったが、そこからが鈍く、鞍上もならばと腹を括って後方待機。この鞍上らしく、まずインへ潜ってコースロスなく乗られて、直線もインから。良く差を詰めているが、最後の100mはプロミストウォリアと一緒の脚色になってしまった。今日の内容だけをいえば、重賞では少し差が有る。尤も、今回が初重賞挑戦。これがいい経験になれば。

パワーブローキング

前後肢にバンテージ。-8kg。如何にも馬力が有りそうな筋骨隆々の馬体。それで居て、歩様も軽やか。毛ヅヤが良くて、デキも良さそう。ゲートも分が悪かったが、行く気もなく後方に近い位置。こちらは最内ベッタリという訳でもなかったが、出来る限りコースロスなく乗られ、ヴァンヤール同様、レース全体の流れよりも少し遅目の仕掛け。他馬が甘くなったことも有るが、最後はいい脚で伸びて来ていた。トビが大きく、瞬発力という点では物足りない部分も有るだろうが、その分、簡単にはバテないタイプ。機動力が来れば大きいところも狙える。

カフジオクタゴン

-8kg。数字は絞れたと見ていい。前走中山戦の腹回りがボテッとした感じはなくなった。ゲート五分。出脚は速い方ではなかったが、少し出して好位のイン。プロミストウォリアを意識して、早目早目の競馬。1000m過ぎからプロミストウォリアをメイショウカズサが突く展開は、この馬にとって絶好だった筈だが、プロミストウォリアが強過ぎて追っ掛けバテの形。影も踏ませて貰えなかった。完敗の5着。とはいえ、今日は馬を強くする競馬。分かっていて、この騎乗だった気もしないでもないが。

第32回アーリントンカップ(GⅢ)

オオバンブルマイ

数字の割には良く見せる方だが、今日は大型馬が多く、この中に入ると些か貧弱。歩様も含めて、馬自体に問題はないが。前走は出遅れたが、今日はゲート五分。枠なりに好位。ただ、道中の行き振りは決していい方ではなく、勝負どころではオッツケ気味だった。それでも、直線で外へ持ち出されれても、直ぐにエンジンが掛かった訳ではないが、各馬が鈍くなったラスト100mでいい脚を使って突き抜けた。以前にも述べた様に、勝負強い。次走、東京戦でどうかとなれば、迫力負けする可能性も高いのだが、ラスト100mの加速力は東京でこそ真価を発揮出来るかも。

セッション

良くいえば馬に幅が有るのだろうが、横から見ると500kgを超える大型馬の割に迫力がない。左後肢の送りが少し硬い点も気になった。好発も、急かさず好位から。出脚を使っていないので、折り合いも何とか付いていた。ただ、レース後に鞍上が猛省していた様に、今日は早仕掛けが裏目。自分から動いて、既に坂下で先頭に立っていたが、そのあとはフラフラになっていた。勿論、馬の鍛錬不足も敗因。次走東京戦は当然ながら論外。賞金を加算したことで、その後は準オープンで走ることになるが、かなり厳しい。

ショーモン

前後肢にバンテージ。-8kg。骨格のしっかりした馬で、見栄えはするが、まだ馬が若い。芯が入っておらず、所作が全体に緩慢。好発。出脚も有ったが、ユリーシャがマイルにしては大逃げの形となり、離れた2番手。序盤こそユリーシャとの兼ね合いが悪く、暫く並走する形になったが、隊列が固まってからは折り合いも付いていた。4角で早仕掛けしたセッションと一緒に動いて行く形。坂下辺りでは両サイドのシルバーデュークとセッションに出られていたが、そこから渋太く差し返して3着は確保。重賞で勝つにはもう少し決め手も欲しいところだが、この競馬が出来れば堅実に走れる。これも東京戦を使ったあとは、自己条件の1000万ということになるだろうが、こちらは簡単に突破出来る筈。

シルヴァーデューク

-6kg。マイラー寄りの体型だが、皮膚を薄く見せてデキ自体はいい。ただ、見た目の割にトモに力がない。ゲート五分。ただ、出脚がなく、スタート直後からかなり押しており、その状態で何とか好位のイン。流れに乗れてからの手応えは悪くなかった。ただ、直線に向いて一瞬はショーモンより、前に出ているのだが、差し返されてしまった。最後はトーホウガレオンにも捕まって4着同着。ダラしない内容。500万なら何とかなるとは思うが...。上とはかなりの力量差が有る。

トーホウガレオン

前後肢にバンテージ。-6kg。これも寸詰まりの体型だが、毛ヅヤが冴えて、馬は張っていた。ただ、歩様が窮屈。ゲートは出ているが、内枠に先行した馬が多く、中段やや後方から。道中はインに拘って乗られたが、リズムを欠いた面は有った。位置取りが悪過ぎて届かなかっただけで、直線に向いてからは良く伸びている。要はギャンブル騎乗に失敗。とはいえ、これが鞍上の魅力。今日はこれで仕方がない。

第83回桜花賞(GⅠ)

リバティアイランド

前後肢にバンテージ。+4kg。筋肉の造りが超一流馬。数字は大差ないが、2歳時より更に良くなった。歩様もパワフルで、文句なし。出遅れ1馬身不利。出脚もなく、今日はそのまま後方から。道中で気負うタイプの馬だが、今日は序盤に走る気がなかったことも有ったのか、何時もよりはマシ。ただその分、位置取りが悪くなり、4角でも最後方、しかも大外。並の馬なら絶望的な位置だったが、一完歩毎に差を詰め、終わってみれば圧勝といえる内容。今日は真っ直ぐ走れた点も含めて前走以上のパフォーマンス。何度も述べている様に、トビの高さからワールドクラス。一部に牡馬相手という話も有ったが、次走も限定戦とのこと。恐らくは単勝元返しに近い大本命を背負うことになるが、今日のズブさは次走の2400mを意識してのもので、陣営の狙いもいい方向に行っている。

コナコースト

-4kg。リバティアイランドを別にすれば、馬振りでは上位。歩様,気配とケチを付ける部分はないが、前走でもスッキリと見せていただけに、少しでも減るのはいい傾向ではない。戦前の想定通り、モズメイメイがハナへ行ってくれて、その2番手。当然ながら、全馬がリバティアイランドを意識して乗られていた筈で、出来る限り前のモズメイメイを可愛がるだけ可愛がってからの追い出し。完璧に運んで1分32秒3。雨が上がって馬場も良かったとはいえ、この時計で走って負けたのだから仕方がないところ。次走は距離が延びることになるが、競馬が上手いのは強み。

ペリファーニア

シープスキンノーズバンド。モーリス産駒だが、母の影響が強いのか、胴長の体型は兄エフフォーリアに良く似ている。歩様にも柔らか味が有る。ゲートは微妙に安目を売ったが、少し出して好位直後。馬群の外で、多少力むのは致し方ないところ。コントロールは利いていた。それでも直線に向いてコナコーストを猛追。坂を上がって右手前となり、苦しくなったが、最後迄諦めずに走っていた。あくまで枠の差に泣いただけ。前走でも触れた様に、ノド鳴りが本当なら距離は短い方がいいが、レース内容からは距離延長も問題なさそう。

ハーパー

馬体に緩さはなかったが、少し毛ヅヤが悪い。左後肢の出も硬く、状態面にはかなり疑問符が付く。好発も、折り合い重視で乗られて中段から。道中は少し行き振りが悪かった。直線に向いてからも反応が鈍かったが、その分、最後迄ジリジリ伸びていた分の4着。デキに難がが有った中では、良く頑張っている。距離延長で一番メリットが有りそうなのはこの馬。尤も、鞍上がこのままなら穴人気になりそうで、馬券的には妙味がない。

ドゥアイズ

寸詰まりの体型。その分、完歩の小さい歩様だが、窮屈さがないのは何より。落ち着きも有った。出たなりで中段のイン3角手前で少し窮屈になり、手綱を引っ張る場面も有ったが、それ迄は折り合いが付いて、そこからもめげずに走れていた。4角迄インピッタリを回って、直線に向いてから進路を探しながら、坂を上って外へ持ち出した際に、制裁の対象になりながらも、ここ迄。坂下辺りから、前のハーパーが邪魔になっていた印象も有ったが、一瞬の脚が有れば割って来れるだけのスペースは有った。これも距離はもう少し有ってもいいが、スローの決め手勝負になると苦しい部分も。

ライトクオンタム

良くいえばキッチリ出来ていたということになるが、悪くいえば馬体の成長がない。ただ、前走中京戦と違って、落ち着いていた。気性面での改善が有ったとはいえる。今日はゲート五分。出たなりで中段から。ただ、内枠だったことも有り、向正面でゴチャついて、頭を上げる場面。流れに乗れず、直線もサッパリ伸びなかった。経験不足が露呈した格好。

第41回ニュージーランドトロフィー(GⅡ)

エエヤン

-10kg。数字分だけ腹回りがスッキリ。キッチリ仕上げて来た印象。踏み込みが力強く、気配も良かった。ゲート五分。少し押して位置を取りに行って好位のイン。外,前と壁は有ったが、それでも行きたがっていた。ラスト800m,3角手前辺りで、たまたまスペースが出来た際に、持って行かれて前団へ。キツい形になったが、それでも直線で少し外へ持ち出す余裕も有り、登坂力でドルチェモアを振り切ると、後続に迫られることなく押し切った。完勝。ただ、気性的な面で課題が残った。次走東京戦だが、東京では未勝利で逃げながら引っ掛かる苦い経験も有る。スムーズなら勝っても驚けないが、要は折り合い次第。

ウンブライル

2人曳き。遮眼革。-6kg。背丈の高いタイプで、骨格はしっかりしているが、まだ少し細身。その分、歩様に力強さを欠く。ゲート五分。外枠ということも有り、無理せず中段やや後方から。外に馬が居ない状態だったが、折り合いはスムーズ。尤も、前走東京戦は行き振りが悪く、遮眼革の効果でむしろ真面目に走れる様になったというのが正確なところ。4角手前から先に動いたモリアーナを目標に進出。スパッと切れる印象ではなく、むしろ登坂力は甘い位だったが、坂を上り切ってからの一押しが利いて2着浮上。坂が上れない辺りに、完成度の低さが見え隠れしており、次走は何処へ行っても厳しいが、素質は高い。

シャンパンカラー

前肢にバンテージ。胴長の馬体。トモも張って見栄えはするが、一歩一歩の歩幅が狭いのは気になった。ゲートは微妙に分が悪い程度だったが、上手く立て直して好位の一角。序盤はエエヤンと並走する形。序盤は少し行きたがっていたことも有り、窮屈そうにも見えたが、外へ持ち出してからはスムーズな追走。いい形で脚を矯められた。4角で外から来たモリアーナに抵抗する形で進出。直線入口で外へ張り出して来たエエヤンが邪魔になったが、そこから渋太く伸びて、惜しい3着。前走の2000mは距離が長い印象だったが、マイルに戻って実力を発揮出来た。尤も、今日、示したパフォーマンスとしてはウンブライルと同レベル。次走は東京戦とのことだが、G#8544;だと少し厳しいか。

モリアーナ

2人曳き。パシュファイヤー。メリハリの利いた筋肉質の馬体。集中力が有って、キビキビ歩けていた点も好印象。五分の発馬からジワッと中段。道中は折り合っていたというより、外を回されていたことも有ったか、序盤は少しオッツケ気味。ただ、3角手前で行き脚が付き、真っ先に動く形になってしまった。最後は甘くなって4着止まり。枠に殺されたといえばそうだが、もう少し鞍上に工夫が有っても良かった。少なくとも馬は頑張っている。次走、乗り替わりで東京戦とのこと。賞金的には微妙だが、ゲートにさえ入れれば面白い存在。

ミシシッピテソーロ

前肢にバンテージ。-6kg。見た目にはそこ迄細く見せないが、当然ながら宜しくない傾向。ただ、馬体に柔軟性が有って、いい馬なのは確か。ゲートの速い方ではないが、行く気もなく、後方からジックリと。ガサがないだけに揉まれていいことはなく、バラけた位置で競馬出来たのは良かった。4角で大外へ持ち出し、ウンブライルの後を追う形でここ迄。良く伸びているが、実質的には競馬が終わった後。脚は持っているが、次走どうこうのレベルではなく、馬体増が最優先。出来れば一息入れた方がいいのだろうが、権利取りの為に東京戦出走とのこと。馬にとっては苦しい戦いが続く。

ドルチェモア

2人曳き。前後肢にバンテージ。+8kg。太い印象はない。毛ヅヤも冴えて、デキ自体はいい。ただ、歩様が硬く、馬がイラつき気味。好発。押し出される形でハナへ。札幌の新馬で逃げて勝った際は、折り合いも付いていたが、今日は口を割って引っ掛かっていた。直線入口でエエヤンに来られて、暫くは抵抗していたものの、坂を上る脚がなく、掲示板を外す有様。今日は競馬になっていない。精神面へのダメージは案じるが、今日は参考外。

第66回サンケイスポーツ杯阪神牝馬ステークス(GⅡ)

サウンドビバーチェ

前肢にバンテージ。このメンバーなら単純に馬は上位。少し気難しそうな面は出していたが、歩様も伸びやか。前走は明らかにデキがなかったが、今日はマトモ。ゲート五分。この馬の出脚で外からジワッと2番手。2000mでも走れなくはないが、この距離なら全く不安はなく、小細工なしの正攻法。スムーズに運んで、直線はウインシャーロットとの一騎打ち。登坂力で決着を付け、今日は最後迄甘くなることなく押し切った。デキに問題が有った前走は参考外で、スムーズならこれ位の力は有る。ただ、次走東京戦は時計が課題。日本一の高速決着となるレースで、1分30秒台で走れるスピードがないと通用しない。

サブライムアンセム

例に依って馬は見栄えがする。暖かくなったことも有るが、毛ヅヤも良くなった。活気も有って、最近の中でも一番。今日はゲートを決め、出脚の速いウインシャーロットに行かせての番手。折り合いも付いて、位置取り的にも久々にいい形で運べた。直線に向いても手応え充分。あとは何処を割るかだけだったが、ただその捌きを失敗。右往左往しながら何とか2着確保したが、鞍上の判断はお世辞にも頂けない。今日は枠や展開も味方したが、不利さえなければこれ位走れる力は有る。賞金を加算出来たのも大きい。

コスタボニータ

後肢にバンテージ。+6kg。少し気負っていたが、マイルならギリギリ許容範囲か。馬は小ぢんまりとした体型だが、特に減点材料はなかった。ゲートはサブライムアンセムより良かった位だが、枠の分、サブライムアンセムに粘られて一歩引く形。それでも道中は折り合いが付いて、直線も脚は残っていたが、前のサブライムアンセムが進路に迷って、こちらもそのアオりを食わされた。坂下で外と決めて、ジワジワ伸びて来たが、3着止まり。初重賞挑戦だったが、充分通用するだけの力は持っている。競馬が上手いのもセールスポイント。

ウインシャーロット

前肢にバンテージ。腹回りがかなりボテッと映った前走よりは、締まっていたか。ただ、今日はいつも以上に煩い。ゲートは少し分がいい程度だったが、そこからの出脚が抜群に速く、スッとハナ。1000m通過59.7秒とスロー。折り合いも付いて、しかも単騎。何の問題もなく行けたが、いざ追ってからがもうひとつ。サウンドビバーチェに渋太く抵抗していたが、坂を上り切る直前から甘くなり、まさかの4着。マイルでも重賞2着が有るのだが、今日の内容だけをいえば微妙に距離が長い様な負け方。

アンドヴァラナウト

良くいえば無駄肉がないということになるが、もう少し増えてもいいかも。ただ、少し小走りは入っていたが、歩様は力強い。ゲートで後手に回って後方から。前述した様に、ペースは遅いのだが、それでもオッツケ気味。直線でも中々反応せず、エンジンが掛かったのは坂下辺り。最後はいい脚で伸びて来た。昨年の2着馬だが、その後に長い距離を使われて、久々のマイルに戸惑った様。これを叩いて改めて。

イズジョーノキセキ

一息入った影響なのか、数字は大差なくても馬体の張りがイマイチ。歩様もいい時はもう少し伸びやかさが有った。流石に2500mの後で出脚がなく、後方に近い位置。それでも道中の行き振りはそこ迄悪い様には見えなかったが、追ってサッパリだった。今日はこれで仕方がないところ。立て直してピリッとすれば。

第67回大阪杯(GⅠ)

ジャックドール

+11kg。微妙に重たい気もしないでないが、馬体には張りが有った。多少踏み込みが浅い様に見えるのは何時も通り。好発。ノースブリッジの出方だけは気になっていた筈だが、出脚が違ったのと、鞍上にそこ迄行く気がなく、1角でハナ。トビが大きいので、スローに落とすと決め手負けするのだが、1000m通過が58.9秒と、程々のペースで行けた。3角辺りからペースを上げ、直線入口で突き放す形。最後は苦しくなったが、トビが大きい馬は少々バテても一気に止まらないのが長所。スターズオンアースの猛追をハナ差凌ぎ切った。序盤は序盤は少し行きたがっていた様にも見えただけに、その中でのこのペースは鞍上の手腕と称える外ない。ただ、東京よりは小回りの方がいいのは確か。今年の最大目標は秋の東京戦とのことだが、昨年同様に決め手負けする可能性が高い。

スターズオンアース

前後肢にバンテージ。+12kg。胴長の馬だけに、数字程増えた印象はないが、少し馬が緩い。毛ヅヤや歩様は悪くないが。出ッパ自体も悪かったが、内からポタジェに寄られて後方から。更に、1角手前でヴェルトライゼンデとキラーアビリティに挟まれて、手綱を引っ張る場面も有った。そこからも馬は健気に走っていたのは偉いところ。2000mだと反応が鈍いのは致し方ないところだが、鞍上が慌てずロスなく捌いたことで、ハナ差2着迄追い上げた。やはりもう少し距離が有った方がいい。ただ、次走は東京マイルとのこと。馬券的にはほぼ圏外。

ダノンザキッド

2人曳き。+6kg。気性的に怪しい面の有る馬だが、今日も集中力はなかった。ただ、毛ヅヤが冴えて、馬体もはち切れんばかり。デキだけは抜群に良かった。外からジワッと行かせて好位。基本的には引っ掛かるタイプの馬だが、外から先行したノースザワールドがいい壁役になったのと、ジャックドールのペースが絶妙だったことも有り、何とか我慢。気性的に矯めてもいい方ではなく、マトモにジャックドールを追い掛けて行ったが、手前が変わらず最後は微妙に甘くなった。折り合いがスムーズにならないだけに、これで仕方がないところ。

マテンロウレオ

2人曳き。少しボテッと映る様にも見えるが、前走もこんな感じだった。毛ヅヤの良さも変わらず、一歩一歩しっかり踏めていた。好発。とはいえ、間違っても出脚の速い方ではないが、押してジャックドールの番手。折り合いは付く馬で、スムーズには走れていた。直線に向いて、ダノンザキッドと併せ馬。ダノンザキッドは右手前のままだったが、それでもジリジリ離されて対ダノンザキッドで2馬身差。かなりの能力差を感じさせる内容。競馬が上手いので堅実だが、これで重賞を勝つのは中々難しい。

マリアエレーナ

下見からは特に減点材料はない。馬体に張りが有って、428kgしかなくとも、馬を大きく見せる。歩様も悪くない。好発。出脚も有る筈だが、鞍上の話では馬が下を気にしたとのことで、意外と進んで行かず中段から。道中の折り合いは全く問題ない馬で、直線も前が開いたが、意外に追ってからが甘く、坂が上れていなかった。ベストは平坦なのか...。

ジェラルディーナ

後肢にバンテージ。周回を重ねる毎に煩くなって来たが、これでも何時もよりはマシ。馬体も牡馬に負けていないが、今日は何時もより歩様が甘い。元々ゲートの上手い方ではないが、スタート直後にマリアエレーナに叩かれ、そのマリアエレーナが行かなかったことで後方に近い位置。下見で気負っていても、レースに行けば折り合いは付くタイプ。ただ、一瞬の脚が有るタイプではなく、4角で外へ持ち出せなかったのが痛かった。直線は馬群を捌いて来たが、この競馬で届かないのは仕方がないところ。この馬にとっては時計も速過ぎたか。

ヒシイグアス

-18kg。数字上は絞れた格好だが、前走中山戦がそこ迄太く見せなかっただけに、これだと微妙に細く映る。歩様には問題ないのだが...。ゲート五分。この馬の出脚で好位直後。折り合いに苦労する馬ではない筈だが、道中は珍しく少し掛かり気味。その割に4角の手応えが怪しく、直線は全く伸びなかった。今日は負け過ぎ。デキが本当ではなかった様。

第55回ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)

インダストリア

-8kg。前走東京戦とは別馬。数字は減っているが、むしろ馬体は充実。非力さがなくなったのが何より。ゲート五分。出たなりで中段から。少し行きたがっていた様にも見えたが、前にゾンニッヒを置いて我慢させる形。4角手前から外を進出して、登坂力で決着を付け、最後迄鋭く伸びていた。間違いなくデビュー以来、最高のパフォーマンス。ハンデ戦とはいえ、中々強い内容。馬が良くなっていることをレース出来た。ただ、どちらかといえばピッチ走法で、東京向きではないのも確か。

ジャスティンカフェ

シープスキンノーズバンド。マイラー体型だが、馬は大分ドッシリと見せる様になって来た。気負う面もマシになって、気性的にも成長しているが、歩様が甘い。ゲートを五分に出て中段から。最初からインを突く気はなかった様で、スタート直後から少しずつ外へ誘導。2角でインダストリアの直後。行きたがるのは毎度だが、インダストリアを壁にして何とか堪えていた。直線もインダストリアが通ったところから伸びて来たが、僅かに届かず2着。インダストリアとは2kgのハンデ差が有り、実質的な勝ち馬となるが、引っ掛かる気性から、これも瞬時の決め手を求められる東京が向いていないことを証明してしまった感が有る。

ゾンニッヒ

迫力が有るタイプではないが、寸が詰まったマイラー体型。一歩一歩にブレがなく、体幹がしっかりしているのがいい。外からジワッと行かせて好位。14番枠のベレヌスが行ってくれたことで、16番枠のこの馬も楽に流れに乗れたが、上位2頭と違い、壁がなくて微妙に力んでいた様にも見えた。しかも、直後にインダストリアが居て、目標にされたのもキツかっただろう。負けたとはいえ、強い内容。追って頭が高く、上位2頭とは違った理由で東京だと怪しいことになるが、力そのものは重賞でも足りる。

マテンロウオリオン

+6kg。緩んだところはなく、デキ自体は良さそう。首でリズムを取って、キビキビ歩けており、気配も良かった。出遅れ1馬身不利。そのまま後方から腹を括ってジックリと。折り合いも付いていたが、直線で外へ出せず、坂下辺りから切り替えて内を突く形。競馬が終わった後だったが、1頭だけ違う脚で伸びて来た。近走案外だったが、58kgを背負ってこの内容ならかなり復調しているといえるだろう。次走狙い目。

ウイングレイテスト

+6kg。少し腹回りがボテッと映る。見た目だけをいえば、500kgを切る位がベストだろう。その分、歩様も窮屈。出脚は一番速かった位だが、外からベレヌス、内からミッキーブリランテが主張して3番手から。ただ、道中は折り合いが付いていたというより、少しオッツケ気味。勝負どころも置かれそうになっていた。今日はズルズル行かなかっただけでもマシを思える5着。馬体を絞って改めて。

第53回高松宮記念(GⅠ)

ファストフォース

遮眼革。前後肢にバンテージ。-8kg。更に絞ってGⅠ仕様。歩様にもキレが有って、生涯最高のデキ。ゲートは五分程度。出脚が抜群に速いという訳ではないが、最近のパターン通り、押して先行。向正面はずっと押し通しで、ウインマーベルに外を越される場面も有ったが、3角過ぎから行き脚が付いたのが大きく、直線に向いて馬群を割る脚も有った。抜け切ってから外へヨレて制裁の対象になった点だけは頂けないが、最後迄余力充分に後続を振り切った。前走時にも触れたが、斤量を背負って先行し続けたことが地力強化に繋がった印象。良馬場でGⅠを勝てる馬ではないこともまた確かだが、千載一遇のチャンスをモノにした。

ナムラクレア

-6kg。前走が+6kgで、少しフックラした造り。これ位がベスト。微妙に歩様が硬い気もしないでもないが、許容範囲。ゲートは五分程度。最初から行く気はなかった様で、無理せず中段から。馬場のいいところを通って、揉まれない様に乗られ、直線に向いてからもしっかりと伸びているのだが、ファストフォースが内から抜け出して、その差が最後迄詰まらなかった。ここ迄来たら勝ちたかったところだろうが、前走でモタれた点からも、今季はそこ迄デキがいい訳ではなさそう。次走は東京マイルとのことだが、状態次第。

トゥラヴェスーラ

-12kg。数字は絞れたとみていい。短距離馬らしい迫力ではないが、スッキリと出来ていた。歩様に柔らか味が有った点も好印象。ゲート五分。出脚を使わず中段から。昨年は外枠から最内へ潜り込んで4着だったが、今年も戦前からの決め打ちで、只管内ラチ沿いを通って、一旦は先頭に立つ場面。流石に最後は甘くなったが、大健闘の3着。次走がどうこうという馬ではないとしても、意地は見せた。

ナランフレグ

-6kg。490kgを切らないと腹回りが少しボテッと映る。デキ自体は悪くないだろうが、この点で昨年の方が良かった。2馬身近い出遅れ。そのまま後方から。ずっと内ラチに寄せていたという訳でもないが、比較的内目。ほぼ枠なりに回って来た。前にトゥラヴェスーラを置く形は昨年と一緒だが、直線に向いてそのトゥラヴェスーラが交わせず4着止まり。狭いところを割る脚は有ったが、突き抜ける決め手ではなかった。ここ迄、馬場が悪くなると中々厳しい面も有ったのだろうが、太い分も有っただろう。490kg台だと常に入着止まり。

グレナディアガーズ

-6kg。数字の割に重厚さが有って、馬振りでは上位。少し気負っていたが、1200mならこれで丁度。歩様も悪くない。ゲートが怪しく、行く気もなかった様で、最後方から。いい脚が長く続かない面は有るとはいえ、直線に向いてから進路を探し、前が開いたのはラスト1F。最後はいい脚だったが、競馬が終わった後だった。最初に内へ寄せて、直線は結局外と、進路も中途半端だった印象。道悪も1200mもベストではないとはいえ、外なら外へ行くか、イチかバチかで最内を突くか、勿体ない印象が残る。

メイケイエール

パシュファイヤー。前後肢にバンテージ。+9kg。例に依って下見では落ち着いている。良し悪しは別にして、数字分だけフックラ。伸びやかな歩様も目に付いた。ゲートが微妙に悪く、押して好位。ハナは難しいとしても、せめて外と前に馬が居ないに誘導したかったところだが、直ぐに前が塞がってしまい、首を上げて行きたがってしまった。これが外を回っていればまた違ったのだが、4角手前でファストフォースに来られ、直線も内外前が壁。坂下辺りで馬がヤル気を無くしていた。今日は参考外。

第30回マーチステークス(GⅢ)

ハヤブサナンデクン

後肢にバンテージ。ほぼ真っ白な馬体だけに、デキの判断がし辛いが、太い印象はない。少しトモが甘い様な歩様は何時も通り。ゲート五分。外からこの馬の出脚で好位を確保。競馬は上手いタイプで、流れには乗れていたが、鞍上の話では4角でフワッとしたとのことで、直線に向いて1馬身位置かれたが、そこからジリジリ伸びて、最後はハナ差捕まえて、重賞初制覇。ダート馬としては、力感が有る方ではないので、雨の馬場は向いた。近況の体たらくで、微妙にハンデが恵まれていた点もいい方に出た。逆にいえば、良馬場で斤量を背負った時がネック。賞金を加算出来たことで、交流戦も視野に入って来るが、地方の馬場だともっと苦しいかも。

ウィリアムバローズ

前後肢にバンテージ。例に依って筋骨隆々で、迫力満点。歩様にも力強さが有り、ダート馬としては満点。好発。少し出して行って2番手から。これも道中はスムーズな追走。ビシャビシャの馬場だけに、泥を被らずに済んだのも良かっただろう。ハヤブサナンデクンと違い、4角の反応も良く、坂を上り切って逃げたロードヴァレンチを競り落とし、勝ったかに見えたが、ジワジワ迫って来たハヤブサナンデクンに首の上げ下げで敗れてしまった。勿体ないといえばそうだが、勝ちに等しい内容。ただ、こちらは馬格が有るので、良馬場の方がいい筈。中山巧者だが、地方の馬場でも走れる筈で、今後も馬主孝行してくれそう。

キタノヴィジョン

496kgの割にトモが薄く、もう20s位は増えても良さそうな馬体。見た目通り、歩様にも力がない。出ッパも微妙に悪かったが、出脚もなく、後方から。内目を通っていたが、泥を被っても然程、気にする様子はなかった。3〜4角中間から馬群の切れ目をスムーズに進出。この捌きが上手く行ったことも有るが、直線に向いてからも最後迄いい脚が使えていた。もう少し前が止まる馬場なら差し切っていただろう。鞍上の話では速い脚がないとのことで、今日は上手く行った感も強いのだが、自分の力さえ出し切れば、重賞でも好走出来る力は有る。

ロードヴァレンチ

トモの送りが少し硬いが、ダートなら許容範囲。数字の割に馬が少し薄いが、馬体の張りを見る限り、デキ自体は悪くなさそう。ゲート自体は少し分がいい程度だったが、最初からの決め打ちだった様で、気合を付けてハナ。馬の出脚も速いのだが、1000m通過61.6秒と、自分のペースに持ち込めた。3角からも自分からペースを上げて、後続を突き放しに掛かったが、ウィリアムバローズがキッチリ付いて来られて最後は苦しくなった。初重賞挑戦だったが、今日のところは力負け。良馬場でも勝つ場面はなかっただろうが、これはこれで馬を強くする競馬。次走狙い目。

カフジオクタゴン

+16kg。数字分だけ、腹回りがボテッと映る。歩様も硬さこそないが、重目の分、窮屈。ただ、気配は悪くない。出脚は鈍い方だが、外枠を逆手に取って、押して押して好位。ただ、4角での反応が鈍く、一瞬は後続に交わされそうになっていたのだが、伸びずバテずの5着。とはいえ、トビが大きいので、反応の悪さや出脚のなさは仕方がない面も有る。これも良馬場の方がいいだろう。

ハピ

前後肢にバンテージ。このメンバーに入ると、馬振りで抜けた存在。踏み込みも深く、今日もケチを付けるところはない。直ぐ外のウィリアムバローズの方が出脚は速かったが、少し抵抗して好位。ただ、今日は最初から行き振りが悪く、ところどころでオッツケる場面。4角でも置かれそうになっており、直線も雪崩込んだだけだった。良馬場ならまた少し違ったかも知れないが、58.5kgは流石に見込まれ過ぎたか。

第71回日経賞(GⅡ)

タイトルホルダー

前肢にバンテージ。決して良く見せなかった昨年と比べたら、遥かにいい状態。この馬としては、硬さがないのがいい。半馬身程出負けしたが、押してハナ。出遅れた割にはスッと行けた方。一番出脚が速かった2番手のディアスティマが競り掛けに来なかったことで、1000m62.8秒と楽なペース。2000m通過時点でも126.3秒と、後続の手は動いている割に大してペースは上がらず、直線は後続を離す一方だった。逃げた馬がメンバー中、最速の上がりなのだから、後続はどうしようもない。デキもいいのだろうが、道悪で59kgを背負って、内容的も遥かに上。当然、連覇を目指して京都戦へ向かうことになるが、あとは新装京都の馬場が合うかどうか。

ボッケリーニ

今日は数字の割に大きく見せる。皮膚を薄く見せて、バネを感じさせる歩様。今年初戦だが、良く出来ていた。ゲートを決め、出脚にも余裕有ったが、無理せず中段。直ぐ内ラチに寄せていた。この不良馬場も特に気にしている様子はなかった。前述した様に、タイトルホルダーが前で楽をしており、向正面後半から動く意思を見せていた馬が多かったが、そこを少し待って3角過ぎから進出。4角から好位勢が徐々に脱落していく中で、最後迄ジリジリ伸びて2着浮上。ただ、今日は馬場も展開も特殊。昨年の2着馬でも有り、実績通り走ったということはいえるが、今日の競馬だけでは能力評価は何とも。

ディアスティマ

遮眼革。前肢にバンテージ。+6kg。492kgの迫力はないが、スッキリと仕上がっていた。一歩一歩が力強い。好発も、内から主張したタイトルホルダーに譲って2番手から。多少力んで行くのは何時ものことだが、前走が3600mだった影響も有ったか、何時もよりは折り合っていた。この馬場も他馬が苦しむ分、有利に働いただろう。ただ、それでも4角は付いて行くのがやっと。直線入口で突き放され、完全に脚が上がっていたが、他馬も脚が残っておらず、3着に粘り込んだ。これも評価に迷う内容。タイトルホルダーとは少し横の距離を取って工夫していたとはいえ、ハナ切らなくとも競馬出来たのは収穫といえるが...。

ライラック

-4kg。数字通り、キッチリ出来ていた。キビキビ歩けていた点も好印象だが、牡馬相手となると、もう少し成長も欲しいところ。出遅れ1馬身不利。そのまま腹を括って最後方から。道中は意外と馬場を苦にしている様子はなく、3〜4角中間から外を追い上げ、4角でボッケリーニの1馬身後方。直線に向いてからも、良く食らい付いていたが、登坂力がなく坂で1馬身離された分の4着。最後は馬格の差が出たか。次走は東京2500m辺りが視野に入っている様だが、牝馬同士なら道悪の方が良くて、牡馬相手なら良馬場の方がいい。

マカオンドール

前後肢にバンテージ。+12kg。昨年5月以来だが、少し腹回りに余裕が有る程度。それ以外は問題なさそう。淡々と歩けており、歩様も悪くなかった。好発も、まずは内の出方を窺い、数頭出て来たのを確認してから、外を回されるのを嫌って内ラチ沿いへ。全体では5番手辺り。ゲートが決まった分、前へ行けた。序盤は掛かり気味の追走だったが、この馬場は得意ではない様で、3角辺りから手応えが怪しくなっていた。これも後続が差して来なかった分の5着。ただ、長期休養明けとすれば良く頑張っている。まだまだ稼げる。

アスクビクターモア

前肢にバンテージ。+6kg。胴長の造りで、本来なら馬体増が分かり辛い筈だが、今日は明らかに余裕残し。テンションが高いのは何時ものことだが。2馬身近い出遅れ。これ自体が痛恨だったが、明らかに馬が下を気にして走っており、フォームのリズムが悪かった。道中でインに入れたのも悪い馬場に脚を取られただけで、結果的に失敗だったか。今日は参考外。

第70回毎日杯(GⅢ)

シーズンリッチ

前後肢にバンテージ。-8kg。毛ヅヤが冴えて、現状のデキ自体はいいが、まだ筋肉が付き切っていない。もう20sは増えてもいい。微妙に出負けした為、押して中段のイン。押した分、序盤は少し行きたがっていた。ただ、4角で頭を上げ、直線に向いてからも進路に迷う場面が有り、コースロスはなく回って来れたが、捌きとしてはお世辞にも上手くいかなかった。坂下で右手前にもなっていたが、それでもしっかり伸びて快勝。回転数は多くないが、トビが大きいタイプ。ダービーへ直行する様だが、キレ負けする危険は有っても、条件は合う。

ノッキングポイント

2人曳き。馬振りだけをいえば、このメンバーなら最上位。緩んだとろがなく、デキは問題ないが、テンションが高い。ゲートは五分程度。それ程、出脚が速いという訳ではなさそうだが、急かさすこともなく、中段。向正面はシーズンリッチと並走、コーナーで1列下げて、直線は外へ。スムーズに前が開いていた割には、瞬時に反応出来なかったが、坂の途中辺りからジリジリ伸びて2着浮上。追い出して直ぐ外へヨレた辺り、まだ完成度も低い面が有るのだろうが、これもトビは大きくて、回転数が足りないタイプ。勝ち切るには色々噛み合わないと難しい面が有る。

ドットクルー

小ぢんまりとした造りで、大物感はない。その分、完成度は高いが、もう少し歩様に伸びが欲しい。ゲートを決め、内の出方を窺いつつ中段から。暫く壁がない状態だったことも有り、行きたがっていた様にも見えた。3角からシーズンリッチの外、コースロスは有ったが、スムーズに回って来れた。一瞬は先頭に立ったかに見えたが、追ってクビが使えておらず、その分、末脚の持続性がない。このメンバーでも能力の絶対値だけをいえば見劣らないが、直線の長いコースは得意ではなさそう。

ドクタードリトル

前後肢にバンテージ。コンパクトに纏まっているが、トモに張りが有って、456kgの馬としては良く出来ている。歩様も悪くない。好発も、出脚自体が速くない上に鞍上にも行く気がなく、後方から。ただ、道中はその割に引っ掛かりそうになっており、折り合い面には課題が残った。意図したかどうかはともかく、シーズンリッチを眺めながらの競馬。4角迄コースロスはなかったが、直線に向いて前が壁。1頭分だけ開いたところも、シーズンリッチに入られて、後手に回る形になってしまった。尤も、シーズンリッチにもいえることだが、一瞬の脚が有ればコジ開けられた気もしないでもない。能力面でこのメンバーなら遜色がないということはいえても、重賞でどうかは別問題。

エマヌエーレ

前後肢にバンテージ。-12kg。寸の詰まったマイラー体型。前走も-10kgだったが、数字は絞れたとみていい。しっかり踏めていた点も好印象。好発。出脚も有ったが、外のフルメタルボディーが徹底先行の構えで来て、好位に控える形。折り合いも付いて、絶好の形に見えた。ただ、その割にいざ追ってからが案外。前走もスローで逃げた割に終いが甘く、馬体の印象通り、距離が少し長いかも。