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競馬回顧 2023年3回阪神

第64回宝塚記念(GⅠ)

イクイノックス

2人曳き。初コースということも有って、結構物見はしていた。頭が上がっていた分、歩様に力感がない気もするが、スムーズさは有った。馬体もシャープに出来ていた。ゲートを真っ直ぐ出ず、直ぐ内のボッケリーニと接触。その影響で少し馬が怒ったか、行きたがりそうになったことも有って後方から。その折り合いは直ぐに付いた。序盤はジェラルディーナにフタをされていたが、3角でジェラルディーナ動いてくれて壁がなくなったが、それでもそのタイミングで動かず、4角からの進出。その分、余計に外を回された印象も有るのだが、坂下で右手前のまま並び掛け、坂を上る際に左手前に替えるとステッキ一発で押し切った。着差の上ではスルーセブンシーズとクビ差だが、それ以上の完勝。世界一の力を見せ付けた形。気の早い話だが、東京戦でリバティアイランド相手にどう戦うかが今年最大の見どころ。

スルーセブンシーズ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。数字の割には良く出来た馬だが、このメンバーに入ると、至って地味。ただ、落ち着いていたのはいい傾向。1800mの後だったが、全く出脚がなく、鞍上も急かす気をなくして最後方から。序盤はイクイノックスと近い位置に居て、4角手前迄はイクイノックスに付いて行きながら、距離損を嫌って4角で切り替えて馬群の中へ突っ込んで行く形。今日はこれが正解。最初に狙ったジオグリフとジャスティンパレスの間が狭くなり、進路が塞がったが、立て直して猛追して最後はクビ差。イクイノックスにも余裕は有ったが、出し抜けを食らわしていたら面白くなっていた。前走中山戦辺りからワンランク上の競馬が出来る様になっていたが、ドリームジャーニー産駒らしい一撃が有った。コンスタントに力を発揮出来るという訳ではないだろうが、何処かでもう一発有りそう。

ジャスティンパレス

長距離を走る馬としては少し煩いのは毎度。緩んだところもなく、思ったよりキッチリ出来ていた。歩様も悪くない。3200mの後で出脚が厳しく、一旦下げる形。ペースが速かったことも有るが、道中は少しオッツケ気味の追走。3角で先を越して行ったジェラルディーナには付き合わず、イクイノックスを待ってからの仕掛け。ただ、直線入口迄は食らい付いていたものの、そこから徐々に水を開けられて3着止まり。尤も、バテていない分の3着ということも出来る。当然ながら、もう少し距離は有った方が楽。その点で秋は中々苦しいのだが...。

ジェラルディーナ

最近は落ち着いていることも有るが、今日は何時ものイレ込み。皮膚を薄く見せて、馬体もスッキリと仕上がっていた。歩様も含め、デキに問題はない。元々、ゲートは出る方ではなく、そのまま後方から。下見でイレ込んでいてもレースに行くと折り合いが付くのは毎度。前述した様に、3角で動いたのは明らかに早かったとしても、少なくとも馬はソノ気になっていた。この鞍上だけに勝算も有って動いた筈で、坂下で止まったのは意外。イクイノックスには敵わないとしても馬券圏内は有って良かった。パフォーマンスに微妙なムラが有る点は気掛かり。とはいえ、必ずしも下見のイレ込みと成績は一致せず、戦前の段階では読み辛いのだが、落ち着いていた方が確率は良さそう。

ディープボンド

前後肢にバンテージ。-2kg。重目が残ると明らかに機動力が落ちるので、これなら問題はない。馬体に張りも有って、歩様もスムーズ。この距離だと先行出来る出脚はないが、押して中段から。ジェラルディーナに合わせて動いて行きたかっただろうが、機動力がなくて付いて行くのがやっと。直線に向いてからは良く差を詰めているが...。今日の展開ではコーナーで有る程度、加速してかないと苦しい。これでも力を示した5着。ジャスティンパレス同様、秋は中々難しい。豪州遠征も一つの手だが...。

第28回ユニコーンステークス(GⅢ)

ぺリエール

遮眼革。UAE戦帰りだが、数字通り、キッチリ出来ていたが、出来過ぎ感も有る。少しテンションが高いのは許容範囲だが...。躓き気味にゲートを出て、一瞬出脚が鈍って中段から。ペースが速いことも鞍上は分かっていただろうが、馬の行き振りが抜群に良く、3角で既に好位。4角でサンライズジークの直後に付けていた。楽な手応えでラスト300m辺りから追い出され、サンライズジークを殆ど並ぶ間もなく交わすと、あとは独走だった。単純に力が違い過ぎた。ただ、終いが伸び切れなかった前走内容から距離はこの辺りがベストなのだろう。尤も、大井戦には向かわず、秋迄待機するとのこと。後述する様に今日は競馬が下手な馬が多く、現時点での完成度の高さが生きた形。裏を返せば、古馬相手でどうかという疑問符も付くのだが。

サンライズジーク

500kg有る馬だが、明らかに完成途上。馬体もそうだが、歩様にブレが有って、全体に緩さが残る。この馬の出脚で2番手。ハナを切ったニシノカシミヤが1000m通過58.0秒のペースで、そこから数馬身離れた位置での追走。この馬の位置でも少し速かっただろう。それでもニシノカシミアは簡単に止まらず、直線に向いてからも暫く先頭。左手前のままながら、ラスト200mで追い付いたが、その段階でぺリエールに追い付かれていた。そこからは離される一方。ただ、それ以外の後続も差して来ず、安泰の2着だった。楽に追走していたと迄はいえないが、いいスピードが有りそう。ただ、パワー不足も否めないところ。今日は芝スタートの東京マイルで誤魔化せたが、スタート地点がダートだと些か厳しい。

ブライアンセンス

前肢にバンテージ。馬体にメリハリがなく、その分、踏み込みに力強さを欠く。芝ならこれでもいいのだが、ダートだとパワー不足。ゲートは決めたが、芝での出脚が甘く中段から。押している分、序盤に行きたがるのは仕方がないところだが、更に3角手前で外と前が塞がって手綱を引っ張る場面も有った。直線に向いて、前とは絶望的な差が開いていたが、ジリジリ伸びて3着争いの一角。一瞬だけへこたれそうになったが、外からメイショウモズが来て、ひと踏ん張り有った分の3着。勝負根性は有りそうだが、今日の一戦だけでは能力云々は何ともいえないところ。ただ、明らかに芝スタートとダートスタートでは明らかに芝スタートの方が出脚が甘い。堅実だが、この点は課題。

メイショウモズ

-8kg。数字分だけスッキリした印象。動きに力感はないが、その分、柔軟性が有りそう。歩様にもブレがなく、しっかり歩けていた。ゲートも悪かったが、スタートで外へヨレ、出脚がサッパリで最後方から。鞍上の指示に従う様なタイプではなさそうで、道中は徒に動かずそのまま後方待機。直線もそのまま外へ。中々ハミが掛からず、加速し出したのはラスト200mからだったが、一瞬凄い脚を使っている。それ迄は物見しながら、頭の高い走法だったが、本気を出した途端、急に重心が下がった。とんでもない大物かも。とはいえ、大成する確率は10%もないだろうが...。

グレートサンドシー

前後肢にバンテージ。筋肉の輪郭が浮いて、トモに張り。デキ自体は抜群に良かった。馬に集中力が有って、気配もいい。ただ、スケール的に目立つ存在ではない。スタート直後から引っ掛かりそうな気配が有り、下げて後方から。砂を被るのを嫌がっていたのか、単に折り合いが付かなかったのか、良く分からないが、道中も頭が上がり気味。そんな状況でも一瞬は伸びる場面が有った。他馬も似た様なモノとはいえ、マトモに走れば重賞でも通用する力は有りそう。前走の様に、序盤がフワッと行けるといいのだが...。

第28回マーメイドステークス(GⅢ)

ビッグリボン

前後肢にバンテージ。いい面も有れば、悪い面もそれなりに有るがろうが、牝馬にしては造りが重厚。ただ、それでいて、手先が軽いのはいい。出脚を使わず、行きたい馬に行かせて中段のイン。前3頭が飛ばす展開となり、1000m通過が57.3秒。3角過ぎには前の馬の脚色が怪しくなっており、3〜4角中間でストーリアと接触しながらも、ポジション争いを制してビジンの直後へ付けられたのが大きかった。内外に馬が居たことで、4角で一息入れる形になったのも結果的に良かった。外からウインマイティーが先に抜け出す形にはなったが、内から並び掛けて先頭に立つと、そのまま押し切った。上手くハマったことが大きいが、実績通り阪神2000mは走る。ハンデ差が有ったとはいえ、負かした相手がウインマイティーだけにそれなりの評価が必要。

ウインマイティー

+8kg。転厩初戦となるが、数字分だけフックラ。戦前は最高のデキといった話も陣営から有ったが、些か大袈裟。悪くはない程度。一完歩目は怪しかったが、この馬の出脚で中段から。昨年は好位からの競馬だったが、今日は前述した様に極端なハイペースとなっただけに、これで丁度いい位置になった。その先行争いをしていた組は4角手前でアラアラの手応え。先に動いたビジンを目標に勝ちに行く競馬をしたが、内で脚を矯めていたビッグリボンに利が有った。とはいえ、昨年の覇者として、恥ずかしくない競馬は出来た。この内容ならGⅠでも限定戦ならソコソコ走れる筈だが...。昨秋はデキのなさに泣いただけに、ちゃんと調整出来るかどうかか鍵。

ホウオウエミーズ

-6kg。小ぢんまりと見せるのは元々。毛ヅヤが冴えて、デキに問題はない。前脚を投げ出す様に歩いて、トモの送りが少し硬いのも毎度。ゲートは五分に出たが、鞍上に行く気がなく後方から。このペースだともう少し追走に苦労するかと思ったが、意外に付いて行けた。3角手前から内目を少しずつ進出。眼前にビッグリボンが居て、いい形になった。直線に向いて、一瞬は並び掛けるかの場面だったが、坂を上る脚がなく、3着止まり。この馬としては、一雨有った方が良かっただろうが、直線が平坦だったら勝ち負けの位置迄来れていた。戦前から明らかに課題が見えていた中では健闘といえる内容。次走の福島戦は連下級の評価が必要。

ゴールドエクリプス

胴と首が長く、垢抜けた馬体。毛ヅヤも冴えて、デキも良かった。ただ、少し気負っていたのはマイナス。ゲートを真っ直ぐ出ず、出脚が付かず後方から。基本的にはウインマイティーを意識しながらの競馬だが、3角で一瞬置かれて鞍上が慌ててしまい、4角でウインマイティーの真横迄行ってしまったのは如何にも早過ぎた。坂下迄の勢いは良かったが、そこ迄。ただ、鞍上の問題も有るが、距離も微妙に長いか。戦前に述べた様にこのレースは距離適性が重要で、今日のハイペースだと尚更だっただろう。その中では良く頑張っている方。条件さえ合えば、次走狙い目。

シンシアウィッシュ

2人曳き。気性的に難しい部分の有る馬だが、下見では集中力が有った。数字の割に重量感も有って、馬体も悪くない。完歩の小さい歩様も毎度。今日はゲート五分に出て中段から。ただ、気性的に問題の有る馬が、例の3頭の先行争いに一瞬でも付き合ったのは失敗。道中で馬が行きたがってしまった。4角は先行して脚がなくなった馬が居た割には、上手く捌いたが、流石に直線は苦しくなった。道中で折り合いが付いていれば、もう少し違った筈。ただ、2走続けてゲートが決まったのは収穫。力そのものはそこ迄差はない。

第40回エプソムカップ(GⅢ)

ジャスティンカフェ

シープスキンノーズバンド。デビュー以来、最高体重だが、そこ迄太くは見せない。成長しているのだろう。歩様もしっかりして、集中して歩けていた点も好印象。ゲートも悪かったが、外のラストドラフトに出脚の差で締められてしまい、後方から。尤も、鞍上にも行く気がなく、腹を括って、道中もずっと外。小細工なしの待機策。4角から外をジワッと動いて、少し早い位の追い出しだが、最後迄いい脚を長く使って突き抜けた。後述する様に、内は内で別の競馬をしていたのがこの馬にいい方に向いた感は有るものの、ジリッぽい部分を早仕掛けで上手く誤魔化したのが最大の勝因。とはいえ、今日はたまたま勝ったが、一瞬の脚がないことには変わりがない。前走中山戦同様、今日も序盤に行きたがる場面が有った点も課題。今後ももどかしいレースが続きそう。

ルージュエヴァイユ

胴長で軽い造りだが、手先にはバネを感じさせる。水平首を保って、気配も良かった。ただ、どの角度から見ても、道悪が合いそうなタイプではない。ゲートは決して良くなかったが、外を回されるのを嫌って押して2番手。押して行った割に折り合いも付いていた。4角を持ったままで回って、追い出しも我慢。その分、マテンロウスカイに一旦は前に出られたが、ラスト400mから追い出されると、マテンロウスカイとの追い比べを制して2着は確保。序盤に出して行った分のロスを考えれば飛び道具のジャスティンパレスにやられたのは仕方がないところ。前走で前が詰まったことも有り、これしか手がなかった中で、強い競馬をしている。東京1800mがベスト。秋の限定戦を確実に決めたいところ。

マテンロウスカイ

-6kg。意外にもデビュー以来の最低体重。少しスッキリしたが、元来が骨格のしっかりした馬で、今日も迫力充分。ただ、少しテンションは高い。エアロロノアよりはマシだったが、微妙に出負け。その分、この馬の出脚でもハナへ行けず、好位のイン。道中は少し力んでいた様にも見えた。それでも、直線に向いての反応が良く、ラスト400mで先頭。一瞬は勝ったかに見えたが、後から仕掛けたルージュエヴァイユに差し返され、外からジャスティンパレスにも交わされて3着。この形でも慣れて行けば競馬になりそうだが、結果的に出負けしてハナへ行けなかったのが痛恨。力そのものはこの相手でも足りる。

レクセランス

腹回りは薄いが、トモにはボリュームが有って、如何にも長距離馬。歩様にもブレがなく、ここに来て馬が良くなっている。半馬身出遅れも、少しずつ出して行く形。後方に近い位置だったが、馬群には取り付いており、3400mの後でも行き振りは悪くなかった。ただ、直後に居たジャスティンカフェが早仕掛けしたことで、一旦叩かれてワンテンポ待たされる形。良くも悪くもこれが結果に大きく影響した印象。勝ちに行く形だと厳しいが、仕掛けが遅れたことで最後の最後に脚を使う形になった分の4着。反応は鈍いが、この馬としては真っ直ぐ走れていた点も好印象。ただ、新馬以来の1800mだったが、今日の競馬だと距離適性云々は何ともいい難い面も。それでも、今季はデキがいいので、北海道のオープン特別なら、ひとつ位は勝ち鞍を稼げる筈。

エアロロノア

+6kg。馬体が増えながら、スカッと見せていた点は好印象。歩様も伸びやかで、最近の中では一番いい状態。例に依って、出遅れ1馬身不利。出脚もなく、そのまま最後方から。4角手前辺りからジャスティンカフェに付いて行く形で、直線は大外。最後はいい脚を使っている。今後も展開ひとつだが、毎回述べている様にアテにはし辛い。

サマースプリントシリーズ第1戦 第30回函館スプリントステークス(GⅢ)

キミワクイーン

2人曳き。数字の割に、トモの大きいタイプだが、決して見栄えがする馬ではない。ただ、集中力が有り、気配は良かった。歩様もスムーズ。ゲート五分。頑張れば前へ行ける出脚の有る馬だが、今日は鞍上にあまり行く気がなく、中段やや後方から。開幕週の小回りコースにしては、仕掛けも遅らせ気味で、4角は外からディヴィナシオンに被され気味になったことで、慌てて追い出した様にも見えた程。何とか直線で進路を確保すると、頭の高い方法ながら、1頭だけ違う脚で差し切った。見た目だけをいえばかなり強い競馬だが、最近のスプリント戦にしてはハイペースになったことも味方した印象。今日は何故か歩様の硬い馬が多く、メンバー的にも疑問符が付く。次走、試金石。

ジュビリーヘッド

遮眼革。良し悪しは別にして、滞在競馬ということで、ノンビリとした馬が多い中、ツル首で目立っていた。馬体はスッキリ見せて、何時ものこの馬。歩様もしっかりしていた。ゲート五分。出脚は速い方ではないが、押して何とか中段。キミワクイーンとは対照的に、今日は妙に鞍上が強気で、3角から押し上げて行く形。4角では好位に取り付いており、ラスト200mで先頭。一旦は完全に抜け切ったが、最後にキミワクイーン。とはいえ、一番強い競馬だったのは間違いない。昨年のこのレースも2着だったが、コース関係なく少し時計が掛かる条件なら堅実。次走は札幌戦とのことだが、今度こそ決めたいところ。

トウシンマカオ

2人曳き。以前と違って、集中して歩ける様になった。腹回りがボテッと映るのは体型だが、トモも張って、デキにケチを付けるところはない。それでも、スプリンターとしては少し迫力不足か。歩様も力感に欠く。ゲート五分。58kgを背負って、出脚が少し辛そうだったが、押して押して好位。このレースは内枠の人気馬が前詰まりになるケースが多く、積極的に乗られた。ただ、3〜4角中間でテイエムトッキュウが下がって来て、番手を下げざるを得ない場面。結果的に4角でジュビリーヘッドが頑張ってくれたことで、直線の進路も出来、悪い形ではなかったが、そのジュビリーヘッドすら捕まえられず、3着確保がやっとだった。案外感の残る内容。恐らくは58kgが背負い切れなかった格好。馬格がないので、斤量を背負うと、ちょっとしたことが応えるのだろう。

カイザーメランジェ

シープスキンノーズバンド。前肢にバンテージ。少し腹袋は目立つが、元々こんなモノ。歩様も悪くなかった。ゲート自体はそこ迄悪くなかったが、出脚がなく後方から。動くに動けない位置で、4角も外へ持ち出そうとして持ち出せず、内へ切り替える形。苦しい形だったが、最後はあと一歩で3着の位置迄追い込んで来た。惜しい内容。展開自体は厳しくともハイペースが見方した感も有るが、4年前の覇者で、北海道は走る。

ブトンドール

+10kg。一息入っての馬体増だが、太い印象はない。元々、スプリンターとして迫力の有るタイプで、古馬相手でも負けていない。皮膚を薄く見せて、歩様にも硬さがなく、デキ自体も良さそう。ゲート五分。この馬の出脚で好位。ただ、久々の1200mだったことも有るのか、道中はオッツケ気味。直線に向いてからもエンジンの掛かりが遅く、外から並ぶ間もなくキミワクイーンに交わされていたが、ラスト100mで脚を使って掲示板は確保。慣れの問題も有るが、現状だと1200mは忙しい。ベストは1400m。

競馬法100周年記念 第73回農林水産省賞典安田記念(GⅠ)

ソングライン

2人曳き。-8kg。前走は少しフックラ見せたが、その分だけ絞った形。緩んだところが一切なくなり、更に良くなった。今日は中2週で限定戦から転戦して来た牝馬に歩様の硬い馬が多かったが、歩様が落ちていないのもいい。好発。直ぐ内のウインカーネリアンが逃げる形になったが、それには付いて行かず、中段から。壁がない状態では結構行きたがっていたが、3角手前でシャンパンカラーを置いて宥める形。そこからは何とか我慢して走れていた。直線に向いてからは1頭だけ脚が違っていた。例に依って少し頭は高いのだが、トビの高さがも違った。勿論、勝っても何等不思議はない馬では有るが、前走より一枚パフォーマンスが上がった。これを毎回期待出来るのかどうか何ともいえないものの、この路線では文句なしの最強。秋は海外遠征だそうだが、その資格は充分。

セリフォス

2人曳き。前後肢にバンテージ。筋骨隆々の馬体。海外遠征帰りだが、緩んだところもなく、キッチリ出来ていた。ダイワメジャー産駒にしては歩様に硬さがないのもいい。気配も文句なし。時々、出遅れる馬だが、今日はゲートを決めて好位。これも少し頭を上げそうになる場面は有ったが、内枠だったことも有り、我慢して走っていた方だろう。当然ながらソングラインよりもセコい競馬は出来たが、直線で眼前のジャックドールが中途半端に伸びていた為、中々前が開かなかったのが痛恨。もうワンテンポ速く抜けていれば違っていたか。ただ、それでも競馬に勝ったというだけで、比べ馬ではソングラインの方が上。ただ、こちらも1戦毎に強くなっている。秋は連覇が懸かる京都戦も有るが、当然最有力視。

シュネルマイスター

前走京都戦も抜群の状態だったが、今日も高値安定。馬体に張りが有るのが何より。歩様もスムーズ。ゲートは決めたが、出脚がない上に、枠も遠く、後方から。前にレッドモンレーヴが居て、更にその前にソングラインが居たが、特に何かを意識することなく、ラスト400mからの追い出し。追い出して直ぐの反応はイマイチだったが、エンジンが掛かって猛追。ただ、対ソングラインで、道中は2馬身後方に居て、一瞬モタついた際、更に半馬身位ロスして計2馬身半の差が有ったが、そこから1馬身詰めるのがやっとだった。これで勝てば好騎乗だが、結果的に相手を間違えて仕掛け遅れた感は否めない。尤も、毎回GⅠだとこんなモノでは有るのだが...。

ガイアフォース

+6kg。今日もスカッと見せてデキに問題はないが、このメンバーに入ると少し迫力負けしている感も。完歩の小さい歩様は毎度。このメンバーで出脚が速いということはないが、そこ迄労せず中段は確保。道中の折り合いも付いて、特に4角の手応えは抜群に見えたが、いざ追ってから中々エンジンが掛からず、道中は近くに居たソングラインに一瞬で水を開けられたのが痛かった。4着は最後の最後に差を詰めた分。逆にいえば、もう少しエンジンの掛かりが早ければ、馬券圏内迄有った。基本的には経験で片付く範疇だが、現状だと1800mがベスト。

ジャックドール

-4kg。前走阪神戦が微妙に重い状態。大して変化はないが、少しでも絞れたのはいい傾向。ただ、良し悪しは別にして、少し気負っていた。例に依って出脚が抜群に速いというタイプではないが、少し出して先行。ウインカーネリアンがハナを切って、その2番手から。直線に向いてからもジリジリ最後迄諦めずに走っていた。明らかにマイルは不向きだったが、その中では最良に近い結果。ただ、内枠の番手戦よりは、外から行った方が良かっただろう。

イルーシヴパンサー

前肢にバンテージ。左後肢の出が少し悪い気もしないでもないが、許容範囲。馬体に張りも有って、デキに大きな問題はない。ゲートは出たが、出脚が案外で後方に近い位置。道中の行き振りも今日はイマイチだった。それでも直線は手応えが有った様に見えたが、中々前が開かずに一度立て直したところで、再び詰まってしまった。マトモならと思わないでもないが、やられ方がワンパターン。

第76回農林水産省賞典鳴尾記念(GⅢ)

ボッケリーニ

下見所の外を周回して、活気充分。長いところを走っていた馬で、馬体に迫力の有るタイプではないが、纏まった造り。それで居て、体幹の強そうな歩様。出脚でそこ迄負けていた訳ではないが、内の出方を窺いながら、好位勢が団子になりそうな気配が有り、直ぐに引いて中段から。お世辞にも行き振りのいい方ではなかったが、3角手前から徐々に動いて、4角で先団。直線は1頭ずつ脱落していく中で、最後は逃げるフェーングロッテンをネジ伏せる様に押し切った。昨春の東京戦に次ぐ2回目の重賞制覇だが、今回の方が強い内容。少しズブかった点から距離はもう少し有ったほうがいいが、GⅡ以下はこれで6戦連続馬券圏内と堅実。

フェーングロッテン

遮眼革。骨格のしっかりした馬だが、スッキリと見せて、デキに問題はない。ただ、今日は何時も以上に煩い。出脚は両サイドのカラテやマリアエレーナに見劣ったが、押してハナを主張。1000m通過59.6秒は雨上がりとはいえ、開幕週の良馬場だけに決して速くないが、道中はオッツケ気味。その分、他馬がずっと付いて来てしまっており、直線に向いてからも一瞬は呑まれそうになっていたが、ボッケリーニには交わされたものの、2着は確保。頭が高い割に、登坂力が有って渋太いのはいいが、出脚がなさ過ぎる。前走中京戦は出脚もそこ迄悪くなかったが...。開幕週でなかったら、馬券圏内もなかった。調整が難しいタイプ?

アドマイヤハダル

前後肢にバンテージ。皮膚を薄く見せて、状態面は問題ない。馬体に重厚感が有り、踏み込みにも力強さが有った。ゲートは微妙に怪しかったが、出脚は速く、好位の一角。ただ、1角で掛かりそうな気配が有り、1列控えて3列目から。4角で馬群の間が割れず、直線に向いてボッケリーニを行かせてから、その外へ。序盤のペースを考えれば、全体に仕掛けが早い競馬になり、ワンテンポ待つ形となって展開的には絶好だったが、あと一歩が届かず。重賞でもやれるところを示したことは収穫だが、もうワンパンチ欲しい。ロードカナロア産駒は意外にこの手のタイプが多い。

ワンダフルタウン

前後肢にバンテージ。バランスの取れた造りで、見た目にケチを付ける部分はないが、少し歩様が硬い。出脚がイマイチで中段から。内外前に馬が居たことも有るが、道中の行き振りもそこ迄いい様には見えなかった。直線に向いて少し外へ持ち出されると、自然に前が開き、眼前のアドマイヤハダルが捕まえられそうで捕まえられなかった。ただ、回転不足と登坂力の怪しさは有るが、フォーム自体はしっかりしていた印象。最後迄諦めずに走れていた。何かとロクなことがない青葉賞馬だが、今日はキッカケを掴めたといえそう。一番合いそうな新潟に出て来た時が狙い目。

マリアエレーナ

例に依って、一歩一歩しっかりとした脚取り。馬体が横の比較で見劣るのは仕方がないところだが、キッチリ出来ている。出脚は一番速かった位だが、内からフェーングロッテンが主張して、労せず2番手。折り合いも付いて、4角は持ったまま。坂下で先頭に立って楽勝かに見えたが、坂が全く上れなかった。ソーヴァリアントの止まり方から、2番手グループに厳しい展開になったことは確かだが、GⅢなら何とかしたかったところ。今後は平坦コースでないと手が出し辛い。

ヒンドゥタイムズ

馬が見栄えしないのは何時ものことだが、以前にも述べた様にトモの甘さが大分マシになった。イレ込みもマシになっている。意外と出脚がなく後方から。鞍上も腹を括って乗っていた。4角も迷うことなく大外。一瞬は突き抜けてもおかしくない脚色だったが、右手前のままだったことも有り、坂を上り切った辺りで甘くなった。これもベストは平坦。